IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社富士通ゼネラルの特許一覧

<>
  • 特許-車両指令システム 図1
  • 特許-車両指令システム 図2
  • 特許-車両指令システム 図3
  • 特許-車両指令システム 図4
  • 特許-車両指令システム 図5
  • 特許-車両指令システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】車両指令システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/04 20060101AFI20220315BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20220315BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20220315BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
H04M11/04
G08B25/10 D
G01C21/26 C
G09B29/00 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018101709
(22)【出願日】2018-05-28
(65)【公開番号】P2019208107
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】定別當 勇
【審査官】白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-256963(JP,A)
【文献】特開2002-156902(JP,A)
【文献】特開2009-250841(JP,A)
【文献】特開2000-057171(JP,A)
【文献】特開平09-016608(JP,A)
【文献】特開2015-071011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C21/26
G08B23/00-31/00
G09B29/00
H04B7/24-7/26
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
要請者から車両の出動要請を受けたときに、要請者宅を特定する入力情報に基づいて出動指令生成部により出動指令データを生成し、当該出動指令データに基づいて車両を出動させる車両指令システムであって、
前記入力情報に基づいて地図情報を検索して要請者宅の位置を特定し、地図情報に当該要請者宅の位置を表す要請者宅識別マークを付加する地図情報検索部と、
前記地図情報検索部で特定した要請者宅の位置を中心として予め設定した所定の範囲内に前記要請者の姓と同じ姓の同姓宅が存在するか否かを検索し、同姓宅の位置を特定する同姓宅検索部と、
前記同姓宅検索部において前記同姓宅の存在を検出したときに、当該同姓宅の存在を表す近隣同姓宅情報を前記出動指令生成部に出力する同姓宅報知部とを備え、
前記出動指令生成部は、前記同姓宅報知部からの前記近隣同姓宅情報を前記出動指令データに付加する
ことを特徴とする車両指令システム。
【請求項2】
前記同姓宅報知部は、前記同姓宅検索部において前記同姓宅の存在を検出したときに、前記近隣同姓宅情報に前記地図情報に要請者宅の位置を表す要請者宅識別マークと異なる同姓宅識別マークを付加することを特徴とする請求項1に記載の車両指令システム。
【請求項3】
前記車両は、前記出動指令データに基づいて地図情報を表示するナビゲーション装置を有し、
前記ナビゲーション装置は、前記出動指令データが入力されたときに、前記出動指令データに前記近隣同姓宅情報が含まれている場合に、ナビゲーション装置の表示部に表示している前記地図情報を基にした地図に前記同姓宅識別マークを表示することを特徴とする請求項2に記載の車両指令システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、要請者からの車両の出動要請を受信したときに、要請者宅に車両を向かわせる車両指令システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば消防署では、救急車や消防車などの車両の出動要請を受けた際に、車両の出動を要請した要請者宅に救急車両や消防車両などの緊急車両を迅速且つ的確に到着させる必要がある。
通常、消防署では、消防指令台で通報者からの119番通報を受けた場合、要請者(通報者)から通報の内容、要請者宅の住所等を聴取する。消防指令台では、要請者宅の住所に基づいて地図情報を検索して表示装置に表示された地図上に要請者宅を表示するとともに出動指令情報及び支援情報を作成し、緊急車両の情報端末に出動指令情報及び支援情報を送信する。出動指令情報は要請者宅地点、目標物、現場状況などであり、支援情報は建物情報、水利条件、危険物、地図などである。緊急車両は出動指令情報及び支援情報を受信することにより、要請者宅に向かって出動する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-139216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緊急車両は、消防指令台から出動指令情報と支援情報を受信することにより、この支援情報に含まれる地図表示情報に基づいて要請者宅に誘導されるようになっている。しかしながら、要請者宅の近隣に要請者と同姓の住宅が存在している場合、表札には、通常、姓(苗字)のみが表示されている場合が多いため、目的とする要請者宅とは異なる同姓宅を訪れてしまう場合がある。
火災の場合には、火災現場の状況から要請者宅を確認することができるが、救急車両の出動要請では、到着した同姓宅の住人との応対によって初めて要請者宅ではないことが分かり、真の要請者宅への到着が遅れるという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記特許文献1に記載された従来例の課題に着目してなされたものであり、要請者宅以外の同姓宅が存在しても真の要請者宅への到着が遅れることを防ぐ車両指令システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両指令システムの一態様は、要請者から車両の出動要請を受けたときに、要請者宅を特定する入力情報に基づいて出動指令生成部により出動指令データを生成し、当該出動指令データに基づいて車両を出動させる車両指令システムである。この車両指令システムは、入力情報に基づいて地図情報を検索して要請者宅の位置を特定し、地図情報に当該要請者宅の位置を表す要請者宅識別マークを付加する地図情報検索部と、地図情報検索部で特定した要請者宅の位置を中心として予め設定した所定の範囲内に要請者の姓と同じ姓の同姓宅が存在するか否かを検索し、同姓宅の位置を特定する同姓宅検索部と、同姓宅検索部において同姓宅の存在を検出したときに、当該同姓宅の存在を表す近隣同姓宅情報を前記出動指令生成部に出力する同姓宅報知部とを備え、出動指令生成部は、同姓宅報知部からの近隣同姓宅情報を出動指令データに付加する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、要請者宅に向かう車両の乗員に要請者宅の近隣に同姓宅が存在することを注意喚起することができ、要請者宅以外の同姓宅が存在しても真の要請者宅への到着が遅れることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る車両指令システムの全体構成を示す構成図である。
図2】緊急車両の搭載システムを示すブロック図である。
図3】指令制御部で実行する出動指令処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4】ナビゲーション装置の制御部で実行する制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5】カーナビゲーション装置による地図表示例を示す図である。
図6】要請者宅の近隣の検索結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合があることに留同姓宅意すべきである。したがって、具体的な構成部品については以下の説明を参酌して判断すべきものである。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
以下に、本発明の一実施形態に係る車両指令システムについて説明する。
本実施形態では、車両指令システムを消防署に適用した場合について説明する。
図1に示すように、車両指令システム1は、救急車両の出動要請に対処する指令台11と、通信制御部12と、支援情報検索部13と、出動指令生成部14と、指令伝送部15と、放送制御部16を備えている。
【0011】
指令台11は、電話回線網CNを介して119番の緊急通話回線に接続された要請者の電話機T1またはT2から緊急車両の出動を要請があったときに、指令台の指令員が要請者から聞き取った要請者宅の住所や要請内容等に基づいて出動のための所定の入力情報を入力する操作入力部11aと、入力された入力情報に基づいて出動を指令する指令制御部11bと、要請者宅の情報や地図情報を表示する指令表示部11cを備えている。
通信制御部12は、電話回線網CNに接続された電話機T1,T2と、指令台11の間の回線接続、回線切換、回線切断等を行う通信回線制御部12aを備えている。
【0012】
支援情報検索部13は、地図情報記憶部13aと、地点情報マスタ13bと、地図情報検索部13cと、同姓宅検索部13dと、同姓宅報知部13eを備えている。
地図情報記憶部13aは、消防署の管轄区域及びその周辺の詳細地図情報と、地図情報に家屋とその居住者名を付加した住宅地図情報とを記憶している。
地点情報マスタ13bは、住宅地図情報で表示される各地点(家屋)の代表者の名称、緯度、経度の位置情報を記憶している。
地図情報検索部13cは、指令台11の操作入力部11aで入力された要請者宅の住所をもとに詳細地図情報を検索して要請者宅の位置を特定し、検索された要請者宅を含む所定範囲の住宅地図情報に要請者宅の位置を表す要請者宅識別マークを加えた地図情報を出動指令生成部14に出力するとともに、指令表示部11cに要請者宅を含む所定範囲の住宅地図を表示させる。
【0013】
同姓宅検索部13dは、要請者宅の位置が特定されたときに、要請者宅を中心として予め設定した範囲内に要請者宅の姓と同姓の住宅(以下、同姓宅という)が存在するか否かを検索して、同姓宅が存在した場合、同姓宅の位置情報を抽出する。
同姓宅報知部13eは、同姓宅検索部13dで同姓宅の位置情報が抽出されたとき、同姓宅の位置情報、同姓宅の氏名を含む近隣同姓宅情報を出動指令生成部14に出力するとともに、指令表示部11cに表示されている地図情報検索部13cで検索された要請者宅を含む所定範囲の住宅地図上の同姓宅に要請者宅と異なる表示形態で同姓宅識別マークを表示させる。
【0014】
出動指令生成部14は、指令台11の操作入力部11aで入力された入力情報に対応した出動隊を編成するとともに、出動指令データを作成する。出動指令データとしては、要請者名、要請者宅の住所、要請内容、搬送先、要請者宅の周囲の地図情報や同姓宅報知部13eから出力された近隣同姓宅情報が含まれている。また、出動指令生成部14は、作成した出動指令データを指令書として印刷する指令書作成部14aと、作成した出動指令データを記憶する指令書ファイル14bを備えている。
指令伝送部15は、無線通信ネットワークNTを介して出動指令生成部14で生成された出動指令データを緊急車両である消防車両F1や救急車両A1に送信したり、または緊急車両からの通信を受信する。
【0015】
放送制御部16は、出動指令生成部14で生成された出動指令データから出動に必要な指令放送用の音声合成データを作成する音声合成部16aと、作成した音声合成データを出力する音声データ出力部16bを備えている。ここで、指令放送用の音声合成データには、出動要請種別、要請者名、出動先(要請者宅住所)、出動車両等のデータが含まれている。また、同姓宅報知部13eから近隣に同姓宅が存在することを表す近隣同姓宅情報が出力されている場合には、この近隣同姓宅情報を含める。
【0016】
一方、消防車両F1や救急車両A1には、図2に示すナビゲーション装置20及び通信装置30を備えている。
ナビゲーション装置20は、入力部21、GPS受信部22、動態管理部23、記憶部24、制御部25、および表示部26を有する。
入力部21は、緊急車両を運転する運転者などの乗務員が、ナビゲーション装置20に目的地までの経路を案内させるための目的地を入力したり、経路検索をスタートさせたりするためのもので、例えば、ナビゲーション装置20の表示部26の上にタッチパネルとして配置されていて、選択項目を表示させて選択する項目にタッチして入力することができるものである。なお、通信装置30を介して車両指令システム1からの出動指令データを制御部25が受信すると出動指令データに含まれる要請者宅住所又は経度及び緯度の位置情報を基に、目的地が自動的に設定される。
【0017】
GPS受信部22は、衛星からのGPS信号を受信して、ナビゲーション装置20が搭載された緊急車両の現在位置(緯度と経度)を検出し、制御部25は、この現在位置を地図とともに表示部26に表示させる。
動態管理部23は、緊急車両が目的地への「通常移動中」、目的地への「緊急出動中」、現場での「作業中」(救援中、処置中など)、病院への「搬送中」、「帰路途中」などの緊急車両の動態情報の項目を表示部26に表示させて選択する項目をタッチして選択し、GPS受信部22から現在地の情報を含めて車両指令システム1へ通信装置30を介して送信し、車両指令システム1が緊急車両の動態管理をできるようにしている。
【0018】
記憶部24は、経路検索を行うための地図検索情報記憶部24aと車両情報記憶部24bを有する。地図検索情報記憶部24aには、道路やランドマークなどに関する道路データ、各道路の交差点、行き止まり点、曲がり点を表すノードデータ、ノード間の道路区間を表すリンクデータなどを含む詳細地図情報と地図情報に家屋とその居住者名を付加した住宅地図情報が記憶されている。
車両情報記憶部24bは、ナビゲーション装置20が搭載された緊急車両の車幅等の車両情報を記憶する。
なお、記憶部24には、上記以外に経路検索で得たデータなども記憶される。
表示部26は、地図情報の地図や目的地(要請者宅)までの経路を表示したり、車両指令システム1からの出動指令データを指令情報として表示させたりするためのもので、例えば、液晶ディスプレイが使用される。
【0019】
制御部25は、ナビゲーション装置20の各部の機能を制御し、また、目的地までの経路検索を実行処理し、得られた目的地までの移動経路を表示部26に出力して表示させる。また、車両指令システム1からの指令情報などの情報を表示部26に出力したり、GPS受信部22からの車両位置情と動態管理部23の動態情報を車両指令システム1に送信したりする。また、制御部25は、緊急車両が要請者宅に近づくと、それまで表示していた詳細地図情報から住宅地図情報に切換え、要請者宅の位置に要請者宅識別マークを表示させ、近隣同姓宅情報がある場合には、同姓宅の位置に要請者宅識別マークと異なる同姓宅識別マークを表示させる。
通信装置30は、車両指令システム1や他の移動局との間で通信を行うための送受信機を備えている。
【0020】
次に、上記実施形態の動作について指令制御部11bで実行する指令制御処理手順の一例を示す図3及び救急車両A1のナビゲーション装置20の制御部25で実行する制御処理手順の一例を示す図4を伴って説明する。
例えば病院への救急搬送が必要な患者の家族などの要請者が電話機T1で電話回線網CNを介して例えば119番通報を行うと、車両指令システム1は、通信制御部12によって119番通報が指令台11に接続する。指令台11では指令員が119番通報を受け付けし、指令員が要請者から聞き取った要請者の氏名、住所、要請内容等の情報である要請者宅情報を操作入力部11aで入力する。
【0021】
指令制御部11bでは、操作入力部11aで要請者宅情報が入力されるまで待機し、要請者宅情報が入力されると(ステップS1でY)、支援情報検索部13の地図情報検索部13cは、要請者宅情報に含まれる要請者宅住所に基づいて要請者宅を中心とする所定の範囲の要請者宅地図情報を検索する(ステップS2)。
次いで、地図情報検索部13cは、検索された要請者宅を含む所定範囲の住宅地図情報に要請者宅の位置を表す要請者宅識別マークを付加し、指令制御部11bは、検索された要請者宅地図情報の地図を指令表示部11cに表示する(ステップS3)。このとき、図5に示すように、指令表示部11cに表示された地図上の要請者宅地点に要請者宅識別マークM1を表示する。この要請者宅識別マークM1は、目的地を表すため、例えば丸に十字の記号で、指令表示部11cに表示されたときに視認可能な大きさに設定されている。
【0022】
次いで、指令制御部11bは、要請者宅情報に含まれる要請者宅住所及び要請者宅の姓を同姓宅検索部13dに送り、同姓宅検索部13dは、要請者宅を中心とした設定範囲(例えば半径200m)内に要請者と同姓の同姓宅が存在するかを検索する(ステップS4)。
この検索結果が、同姓宅が存在しない場合(ステップS4でN)にはステップS7に移行し、同姓宅が存在する場合には(ステップS4でY)、同姓宅報知部13eは、図5で示すように、指令表示部11cに表示された要請者宅地図上の同姓宅地点に同姓宅識別マークM2を表示させるとともに、「近隣に同姓宅があります」のポップアップ表示を行う(ステップS5)。これによって、指令台11を操作している指令員に同姓宅の存在を知ることで、指令員から出動車両の乗員に注意喚起することができる。
【0023】
次いで、同姓宅報知部13eは、同姓宅の氏名、住所及び位置情報(緯度及び経度)で構成される近隣同姓宅情報を作成し、近隣同姓宅情報を出動指令生成部14に出力した後(ステップS6)、ステップS7に移行する。
一方、ステップS4の検索結果が、要請者宅の周囲の設定範囲内に同姓宅が存在しない場合(ステップS4でN)には、ステップS7に移行する。
ステップS7では、出動指令生成部14は、検索された要請者宅情報、要請者宅地図情報に基づいて出動指令データを生成する。
【0024】
次いで、出動指令生成部14は、近隣同姓宅情報があるか否かを判定する(ステップS8)。このステップS8の判定結果が、近隣同姓宅情報がある場合(ステップS8でY)には、出動指令データに近隣同姓宅情報を追加する(ステップS9)。この近隣同姓宅情報により、出動指令データに含まれる要請者宅地図情報に、図5に示すように、同姓宅に同姓宅識別マークM2の情報が追加されるとともに、「近隣同姓宅あり」の同姓宅メッセージが追加される。なお、住宅地図情報には、図5に示すように、各地点(家屋)を示す地点マークM3が表示されている。
【0025】
また、ステップS8の判定結果が、近隣同姓宅情報がないものである場合(ステップS8でN)には、ステップS10に移行する。
このステップS10では、出動指令生成部14が、出動指令データを出動指令書として印刷し、次いで、指令制御部11bは、出動指令データを放送制御部16に送って、音声合成部16aが音声合成データを作成し、作成した音声合成データを音声データ出力部16bに送って出動放送を行う(ステップS11)。
次いで、指令制御部11bは、出動指令データを指令伝送部15に送って、無線通信ネットワークNTを介して出動指令データを出動車両である例えば救急車両A1に送信する(ステップS12)。
【0026】
次に、救急車両A1のナビゲーション装置20の制御部25で実行する制御処理手順の一例を示す図4を伴って説明する。
制御部25は、動態管理部23の動態情報が目的地への「緊急出動中」、現場での「作業中」、病院への「搬送中」以外の「出動待機中」又は「帰路途中」であるときに図4の処理を実行する。
先ず、制御部25は、指令台11の指令制御部11bから出動指令データを受信したか否かを判定する(ステップS21)。この判定結果が出動指令データを受信していない場合(ステップS21のN)には、出動指令データを受信するまで待機し、出動指令データを受信した場合(ステップS21のY)、制御部25は出動指令データに含まれる要請者宅住所又は緯度・経度の位置情報に基づいて目的地(要請者宅)を設定し、要請者宅への移動経路を探索する(ステップS22)。
【0027】
次いで、制御部25は、現在地からの移動経路を表示部26に表示する(ステップS23)。次いで、制御部25は、表示部26に「出動」の項目を表示させて、出動の際に入力部21で「出動」が選択されたか否かを判定し、「出動」が選択されていないとき(ステップS24でN)には「出動」が選択されるまで待機し、「出動」が選択されたとき(ステップS24でY)には車両位置に応じた移動経路を表した詳細地図情報を表示部26に表示して移動経路の案内が開始される(ステップS25)。なお、このとき、動態情報は「緊急出動中」となる。
【0028】
次いで、制御部25は、GPS受信部22の現在位置情報に基づいて救急車両A1が要請者宅付近(例えば、要請者宅を中心とした設定範囲内)に達したか否かを判定し(ステップS26)、要請者宅地点付近に達していないとき(ステップS26でN)には、ステップS25に戻り、要請者宅付近に達したときには表示部26に表示される表示情報を詳細地図情報から住宅名を詳細に記載した住宅地図情報に切り替える(ステップS27)。この住宅地図情報には図5に示すように要請者宅に要請者宅識別マークM1が表示されている。
【0029】
次いで、制御部25は、出動指令データに近隣同姓宅情報が存在するか否かを判定する(ステップS28)。このステップS28の判定結果が、近隣同姓宅情報が存在するものである場合(ステップS28でY)には、制御部25が、近隣同姓宅情報に含まれている同姓宅の位置情報を基に住宅地図上の同姓宅に同姓宅識別マークM2を表示して(ステップS29)からステップS30に移行する。このステップS29では、図5に示すように、地図の縮尺を要請者宅及び同姓宅の識別マークが識別できる程度に大きくすることが好ましい。
一方、ステップS28の判定結果が、近隣同姓宅情報がないものである場合(ステップS28でN)には、直接ステップS30に移行する。
【0030】
ステップS30では、要請者宅に到着し、動態管理部23の動態情報が「緊急出動中」から「作業中」に乗務員によって切り替えられる。さらに動態情報が「帰路中」又は「出動待機中」であるときに前述したステップS21に戻る。
このとき、ナビゲーション装置20の表示部26に表示されている住宅地図情報は、図5に示すように、要請者宅識別マークM1が大きく表示され、その近隣に同姓宅が存在する場合には、同姓宅に同姓宅識別マークM2が表示される。このため、乗務員は表示部26を目視することで、車両を要請した要請者宅と同姓宅を確認することができる。
したがって、要請者宅に向かう車両の乗員に要請者宅の近隣に同姓宅が存在することを注意喚起することができ、要請者宅以外の同姓宅が存在しても真の要請者宅への到着が遅れることを防ぐことができる。
【0031】
次に、同姓宅検索部13dの具体的な検索方法について図6を伴って説明する。
図6に示すように、例えば特定の範囲の地域において、地点ユニークコード「1」の「佐藤T郎」宅(緯度「35°35′26″」及び経度「139°37′11″」)を筆頭に地点ユニークコード「2」の「鈴木I郎」宅、地点ユニークコード「3」の「田中A子」宅、地点ユニークコード「4」の「佐藤G郎」宅、地点ユニークコード「5」の「鈴木B子」宅、地点ユニークコード「6」の「佐藤S郎」宅、地点ユニークコード「7」の「佐藤田H郎」宅の計7地点が存在するものとする。これら地点データは、支援情報検索部13の地点情報マスタ13bに格納されている。
【0032】
このとき、同姓宅検索を行う場合には、要請者宅を中心とした設定範囲(検索範囲)と検索する文字数を予め設定する。例えば、検索範囲を半径200mに設定し、検索文字数を先頭の2文字に設定する。
そして、例1距離では、「佐藤T郎」宅を要請者宅として設定している。この場合、「鈴木I郎」宅までは50m、「田中A子」宅までは100m、「佐藤G郎」宅までは150m、「鈴木B子」宅までは200m、「佐藤S郎」宅までは250m、「佐藤田H郎」宅までは300mとなっている。このため、同姓宅検索を実行すると、「佐藤T郎」宅から半径200mの設定範囲内の地点すなわち、「鈴木I郎」宅、「田中A子」宅、「佐藤G郎」宅、「鈴木B子」宅が先ず抽出され、次いで、先頭2文字の同姓判断を行うことにより、「佐藤G郎」宅が同姓宅として抽出される。
【0033】
次に、例2距離では、地点ユニークコード「3」の「田中A子」宅を災害地点(要請者宅)として設定した。この場合には、他の6地点の全てが設定範囲内となるが、同姓判定を行った結果、同姓の「田中」姓がいないので、同姓宅なしと判断される。
さらに、例3距離では、地点ユニークコード「6」の「佐藤S郎」宅を災害地点(要請者宅)として設定した。この場合には、「佐藤T郎」宅を除く5地点が設定範囲内となり、同姓判定を行った結果、「佐藤田H郎」宅及び「佐藤G郎」宅が同姓宅として抽出される。
【0034】
このように、同姓宅を検索する場合に先頭2文字すなわち姓のみとして検索するのは、災害地点到着の確認をする際に、表札が頼りとなるが、表札には姓のみが記載されている場合が殆どであり、名前まで記載されている表札は少ないため、姓を同姓判別対象としている。
なお、上記実施形態では、緊急車両に搭載したナビゲーション装置20に地図情報に要請者宅識別マークM1及び同姓宅識別マークM2を表示させる場合について説明した。本発明は上記構成に限定されるものではない。すなわち、乗務員に携帯電話機やタブレットなどのGPS機能を有する携帯端末を携帯させ、この携帯端末に地図情報を含む出動指令データを送信するようにしてもよい。この場合、通常は緊急車両からの移動距離が少ないのでGPS機能は省略するようにしてもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、消防署の車両指令システムに本発明を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、警察署の車両指令システム、タクシー会社等の車両の行き先を管理する種々の車両指令システムに本発明を適用することができる。
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。したがって、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例又は実施形態も網羅すると解すべきである。
【符号の説明】
【0036】
1…車両指令システム、11…指令台、11a…操作入力部、11b…指令制御部、11c…指令表示部、12…通信制御部、12a…通信回線制御部、13…支援情報検索部、13a…地図情報記憶部、13b…地点情報マスタ、13c…地図情報検索部、13d…同姓宅検索部、13e…同姓宅報知部、14…出動指令生成部、14a…指令書作成部、14b…指令書ファイル、15…指令伝送部、15a…ネットワーク制御部、16…放送制御部、16a…音声合成部、16b…音声データ出力部、CN…電話回線網、T1,T2…通報元電話機、NT…無線通信ネットワーク、F1…消防車両、A1…救急車両、20…ナビゲーション装置、21…入力部、22…GPS受信部、23…動態管理部、24…記憶部、24a…地図検索情報記憶部、24b…車両情報記憶部、30…通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6