(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】蓄電システムおよび蓄電システムの設置方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/244 20210101AFI20220315BHJP
E02D 27/00 20060101ALI20220315BHJP
E04B 1/00 20060101ALI20220315BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20220315BHJP
【FI】
H01M50/244 A
E02D27/00 B
E04B1/00 502A
H01M50/251
(21)【出願番号】P 2018104089
(22)【出願日】2018-05-30
【審査請求日】2020-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】上田 光保
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-334869(JP,A)
【文献】特開2014-099357(JP,A)
【文献】特開2000-243369(JP,A)
【文献】特開2002-289161(JP,A)
【文献】特開2004-103489(JP,A)
【文献】特開2003-157817(JP,A)
【文献】特開2003-297319(JP,A)
【文献】特開2014-125734(JP,A)
【文献】国際公開第2016/186139(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
E02D 27/00
E04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製の基礎ブロック上に固定される蓄電システムであって、
蓄電池と、
前記蓄電池を収容する筐体と、
前記筐体を支持する一対の支持体と
、を備え、
前記一対の支持体はそれぞれ、
前記筐体に
固定される第一の平板部と、
前記第一の平板部と離隔して前記第一の平板部
に対向して配置され、前記基礎ブロックに
固定される第二の平板部と、
前記第一の平板部および前記第二の平板部のそれぞれの端部から離れた位置で前記第一の平板部と前記第二の平板部とを接続する第三の平板部と、を含み、
前記一対の支持体は、前記一対の支持体のそれぞれに含まれる前記第三の平板部同士が向かい合うように配置され、
前記一対の支持体のそれぞれは、一方の前記支持体から見て、前記第一の平板部の前記第三の平板部に接続される領域よりも他方の前記支持体
から遠い第一の領域において、
第一の締結部材により前記筐体に締結され、前記第二の平板部の前記第三の平板部に接続される領域よりも他方の前記支持体
に近い第二の領域において、
第二の締結部材によって前記基礎ブロックに締結され
、
前記筐体は、前記第一の平板部に固定される平板状の構成部を含む脚部を含み、
前記第一の領域には、前記第一の平板部の板厚方向に貫通し、前記第一の締結部材が挿通可能な第一の貫通孔が形成されており、
前記脚部には、前記第一の貫通孔に対応する領域を含むように切り欠きが形成されている、蓄電システム。
【請求項2】
前記蓄電システムを前記基礎ブロック上に固定した状態において、前記筐体の水平面への投影像内に、前記一対の支持体の前記水平面への投影像が収まる、請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記第一の締結部材は、ボルトを含
む、請求項1または請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記第二の締結部材は、アンカーボルトを含み、
前記第二の領域には、前記第二の平板部の板厚方向に貫通し、前記アンカーボルトが挿通可能な第二の貫通孔が形成されている、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記第二の貫通孔は、長孔状である、請求項
4に記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記一対の支持体はそれぞれ、鋼からなる、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の蓄電システム。
【請求項7】
蓄電システムをコンクリート製の基礎ブロック上に固定する蓄電システムの設置方法であって、
前記蓄電システムは、
蓄電池と、
前記蓄電池を収容する筐体と、
前記筐体を支持する一対の支持体と
、を備え、
前記一対の支持体はそれぞれ、
前記筐体に
固定される第一の平板部と、
前記第一の平板部と離隔して前記第一の平板部
に対向して配置され、前記基礎ブロックに
固定される第二の平板部と、
前記第一の平板部および前記第二の平板部のそれぞれの端部から離れた位置で前記第一の平板部と前記第二の平板部とを接続する第三の平板部と、を含
み、
前記筐体は、前記第一の平板部に固定される平板状の構成部を含む脚部を含み、
前記設置方法は、
前記基礎ブロックの外縁に沿って前記一対の支持体のそれぞれに含まれる前記第三の平板部同士が向かい合うように前記一対の支持体を載置する工程と、
前記脚部を前記一対の支持体に向けて、前記一対の支持体上に前記筐体を載置する工程と、
前記一対の支持体のそれぞれを、一方の前記支持体から見て、前記第一の平板部の前記第三の平板部に接続される領域よりも他方の前記支持体
から遠い第一の領域において、
前記第一の領域に形成された、第一の締結部材が挿通可能な貫通孔および前記貫通孔に対応する領域を含むように前記脚部に形成された切り欠きを介して、前記第一の締結部材により前記筐体
の前記脚部に締結する工程と、
前記一対の支持体のそれぞれを、前記第一の平板部の前記第三の平板部に接続される領域よりも他方の前記支持体
に近い第二の領域において、
第二の締結部材によって前記基礎ブロックに締結する工程と、を備える、蓄電システムの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電システムおよび蓄電システムの設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蓄電池を備える蓄電装置は昨今、住宅や一般家庭に設置され、利用されている。特許文献1には、屋外において建築物の外壁の壁際に設置された蓄電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、蓄電装置はアンカーボルトを介して基礎に対して固定されている。ここで、蓄電池を備える蓄電システムにおいては、蓄電池を収容する筐体の固定の方式として、コンクリートからなる平面の基礎上にアンカーボルトを用いて固定する方式と、アンカーボルトを用いた固定が困難である場合に、コンクリートからなる基礎ブロック上にボルトを用いて固定する方式とがある。
【0005】
例えば、集合住宅のベランダに蓄電装置が設置される場合がある。このような場合、基礎ブロックの大きさをできるだけ小さくすることが望まれる。
【0006】
そこで、基礎ブロックの大きさを小さくしつつ、高い耐震クラスを維持することができる蓄電システムおよび蓄電システムの設置方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従った蓄電システムは、コンクリート製の基礎ブロック上に固定される蓄電システムである。蓄電システムは、蓄電池と、蓄電池を収容する筐体と、筐体を支持する一対の支持体と、筐体と一対の支持体とを締結する第一の締結部材と、基礎ブロックと一対の支持体とを締結する第二の締結部材と、を備える。一対の支持体はそれぞれ、筐体に接触する第一の平板部と、第一の平板部と離隔して第一の平板部と平行に配置され、基礎ブロックに接触する第二の平板部と、第一の平板部および第二の平板部のそれぞれの端部から離れた位置で第一の平板部と第二の平板部とを接続する第三の平板部と、を含む。一対の支持体は、一対の支持体のそれぞれに含まれる第三の平板部同士が向かい合うように配置される。一対の支持体のそれぞれは、一方の支持体から見て、第一の平板部の第三の平板部に接続される領域よりも他方の支持体に近い第一の領域において、第一の締結部材により筐体に締結され、第二の平板部の第三の平板部に接続される領域よりも他方の支持体から遠い第二の領域において、第二の締結部材によって基礎ブロックに締結される。
【発明の効果】
【0008】
上記蓄電システムによれば、基礎ブロックの大きさを小さくしつつ、高い耐震クラスを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る蓄電システムに備えられる一対の支持体のうちの一方の支持体である第一の支持体の外観斜視図である。
【
図8】実施の形態1に係る蓄電システムの外観斜視図である。
【
図9】実施の形態1に係る蓄電システムの外観斜視図である。
【
図10】実施の形態1に係る蓄電システムの正面図である。
【
図11】実施の形態1に係る蓄電システムの背面図である。
【
図12】実施の形態1に係る蓄電システムの右側面図である。
【
図13】実施の形態1に係る蓄電システムの左側面図である。
【
図14】実施の形態1に係る蓄電システムの平面図である。
【
図15】実施の形態1に係る蓄電システムの底面図である。
【
図17】実施の形態1に係る蓄電システムの設置方法の代表的な工程を示すフローチャートである。
【
図18】実施の形態2に係る第一の支持体の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願の実施態様を列記して説明する。本願に係る蓄電システムは、コンクリート製の基礎ブロック上に固定される蓄電システムである。蓄電システムは、蓄電池と、蓄電池を収容する筐体と、筐体を支持する一対の支持体と、筐体と一対の支持体とを締結する第一の締結部材と、基礎ブロックと一対の支持体とを締結する第二の締結部材と、を備える。一対の支持体はそれぞれ、筐体に接触する第一の平板部と、第一の平板部と離隔して第一の平板部と平行に配置され、基礎ブロックに接触する第二の平板部と、第一の平板部および第二の平板部のそれぞれの端部から離れた位置で第一の平板部と第二の平板部とを接続する第三の平板部と、を含む。一対の支持体は、一対の支持体のそれぞれに含まれる第三の平板部同士が向かい合うように配置される。一対の支持体のそれぞれは、一方の支持体から見て、第一の平板部の第三の平板部に接続される領域よりも他方の支持体に近い第一の領域において、第一の締結部材により筐体に締結され、第二の平板部の第三の平板部に接続される領域よりも他方の支持体から遠い第二の領域において、第二の締結部材によって基礎ブロックに締結される。
【0011】
本願の蓄電システムにおいて、一対の支持体のそれぞれは、一方の支持体から見て、第三の平板部よりも他方の支持体が位置する側と反対側である第二の領域で基礎ブロックに取り付けられる。よって、コンクリート製の基礎ブロックの外縁と第二の締結部材を締結する箇所とを離すことができ、基礎ブロックに第二の締結部材を締結する際に、基礎ブロックの外縁の欠けや割れが生じるおそれを低減して固定することができる。また、一対の支持体のそれぞれは、一方の支持体から見て、第一の平板部の第三の平板部に接続される領域よりも他方の支持体に近い領域において、第一の締結部材により筐体に締結される。よって、筐体と一対の支持体との取り付け位置をできるだけ離すことができる。これにより、一対の支持体によって支持される箇所をできるだけ離して、揺れや振動に対して筺体を安定して支持することができる。その結果、上記蓄電システムでは、基礎ブロックを小さくしつつ、高い耐震クラスを維持することができる。
【0012】
上記蓄電システムにおいて、蓄電システムを基礎ブロック上に固定した状態において、筐体の水平面への投影像内に、一対の支持体の水平面への投影像が収まるようにしてもよい。このようにすることにより、一対の支持体が筐体からはみ出す部分をなくすことができる。
【0013】
上記蓄電システムにおいて、第一の締結部材は、ボルトを含み、第一の領域には、第一の平板部の板厚方向に貫通し、ボルトが挿通可能な第一の貫通孔が形成されていてもよい。このようにすることにより、ボルトを用いて筐体と支持体とを締結する際に、第一の貫通孔を利用して適切に筐体と支持体とを締結することができる。
【0014】
上記蓄電システムにおいて、筐体は、第一の平板部に接触する平板状の接触部を含む脚部を含み、脚部には、第一の貫通孔に対応する領域を含むように切り欠きが形成されていてもよい。このようにすることにより、ボルトを一対の脚部に形成された切り欠きに嵌め込むことができ、第一の締結部材による締結をより容易に行うことができる。
【0015】
上記蓄電システムにおいて、第二の締結部材は、アンカーボルトを含み、第二の領域には、第二の平板部の板厚方向に貫通し、アンカーボルトが挿通可能な第二の貫通孔が形成されていてもよい。このようにすることにより、アンカーボルトにより基礎ブロックに一対の支持体を締結する際に、第二の貫通孔を利用して適切に一対の支持体を基礎ブロックに締結することができる。
【0016】
上記蓄電システムにおいて、第二の貫通孔は、長孔状であってもよい。このようにすることにより、アンカーボルトの位置が多少ずれていても、締結時において位置のずれを調整することが容易となる。
【0017】
上記蓄電システムにおいて、一対の支持体はそれぞれ、鋼からなってもよい。このような材質は剛性が高く安価に製造できるため、蓄電システムに備えられる支持体として、好適である。
【0018】
本願に係る蓄電システムの設置方法は、蓄電池と、蓄電池を収容する筐体と、筐体を支持する一対の支持体と、筐体と一対の支持体とを締結する第一の締結部材と、基礎ブロックと一対の支持体とを締結する第二の締結部材と、を備え、一対の支持体はそれぞれ、筐体に接触する第一の平板部と、第一の平板部と離隔して第一の平板部と平行に配置され、基礎ブロックに接触する第二の平板部と、第一の平板部および第二の平板部のそれぞれの端部から離れた位置で第一の平板部と第二の平板部とを接続する第三の平板部と、を含む蓄電システムをコンクリート製の基礎ブロック上に固定する蓄電システムの設置方法である。蓄電システムの設置方法は、基礎ブロックの外縁に沿って一対の支持体のそれぞれに含まれる第三の平板部同士が向かい合うように一対の支持体を載置する工程と、一対の支持体上に筐体を載置する工程と、一対の支持体のそれぞれを、一方の支持体から見て、第一の平板部の第三の平板部に接続される領域よりも他方の支持体に近い第一の領域において、第一の締結部材により筐体に締結する工程と、一対の支持体のそれぞれを、第一の平板部の第三の平板部に接続される領域よりも他方の支持体から遠い第二の領域において、第二の締結部材によって基礎ブロックに締結する工程と、を備える。
【0019】
このような蓄電システムの設置方法によると、基礎ブロックの外縁に沿って適切に蓄電システムを設置することができる。したがって、基礎ブロックを筐体のフットプリント内に収めながら、高い耐震クラスを維持することができる。
【0020】
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本願の蓄電システムの一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0021】
(実施の形態1)
本願の実施の形態1に係る蓄電システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る蓄電システムに備えられる一対の支持体のうちの一方の支持体である第一の支持体11aの外観斜視図である。
図2は、
図1に示す第一の支持体の正面図である。
図3は、
図1に示す第一の支持体の背面図である。
図4は、
図1に示す第一の支持体の右側面図である。
図5は、
図1に示す第一の支持体の左側面図である。
図6は、
図1に示す第一の支持体の平面図である。
図7は、
図1に示す第一の支持体の底面図である。
【0022】
図1から
図7を参照して、実施の形態1に係る蓄電システムに備えられる第一の支持体11aは、第一の平板部12aと、第二の平板部13aと、第三の平板部14aとを含む。第一の平板部12aの外形形状は、第一の平板部12aの板厚方向から平面的に見た場合に(特に
図6参照)、Y方向が長くX方向が短い長方形形状であって、四つの角部に面取りが施された形状である。第二の平板部13aの外形形状についても、同様である。第二の平板部13aは、第一の平板部12aと離隔して第一の平板部12aと平行に配置される。なお、第一の支持体11aにおいて、面取りを施されていなくともよく、面取りは、第一の平板部12aの板厚方向から見た場合に、円弧状であってもよい。第一の支持体11aは、後述する蓄電池32を収容する筐体33をコンクリート製の基礎ブロック36上に固定する際に、一対で使用される。第一の支持体11aは、筐体33および基礎ブロック36に着脱可能である。
【0023】
第三の平板部14aは、第三の平板部14aの板厚方向から平面的に見た場合に(特に
図4参照)、長方形形状である。第三の平板部14aは、第一の平板部12aと第二の平板部13bとを接続する。第三の平板部14aは、第一の平板部12aの端部15a、16aおよび第二の平板部13aの端部17a、18aから離れた位置で第一の平板部12aと第二の平板部13bとを接続する。この場合、端部15a、16a間のX方向の中央の位置および端部17a、18a間のX方向の中央の位置で接続される。なお、第一の平板部12aにおいて、第三の平板部14aが接続されていない側の面27aは、平面である。また、第二の平板部13aにおいて、第三の平板部14aが接続されていない側の面28aは、平面である。
【0024】
第一の平板部12aには、第三の平板部14aに接続される領域よりも一方の端部15aが位置する第一の領域21aにおいて、板厚方向に貫通する第一の貫通孔22a、23aが形成されている。第一の貫通孔22a、23aは、X方向の位置をそろえて、Y方向に間隔をあけて形成されている。第一の貫通孔22a、23aは、それぞれ丸孔状である。
【0025】
第二の平板部13aには、第三の平板部14aに接続される領域よりも一方の端部18aが位置する第二の領域24aにおいて、板厚方向に貫通する第二の貫通孔25a、26aが形成されている。第二の貫通孔25a、26aは、X方向の位置をそろえて、Y方向に間隔をあけて形成されている。第二の貫通孔25aが形成されるY方向の位置は、第一の貫通孔22aが形成されるY方向の位置とそろえられている。第二の貫通孔26aが形成されるY方向の位置は、第一の貫通孔23aが形成されるY方向の位置とそろえられている。第二の貫通孔25a、26aは、それぞれ丸孔状である。
【0026】
第一の支持体11aは、鋼からなる。このような材質は剛性が高く安価に製造できるため、蓄電システム31に備えられる支持体として、好適である。第一の支持体11aは、例えば、面取りを施したいわゆるH鋼に対して、第一の領域21aにおいて第一の貫通孔22a、23aを形成し、第二の領域24aにおいて第二の貫通孔25a、26aを形成したものである。H鋼としては、例えば、耐荷重が24tのものが採用される。
【0027】
なお、蓄電システム31に備えられる一対の支持体11a、11bのうちの他方の支持体である第二の支持体11bの構成については、第一の支持体11aと同様であるため、説明を省略する。このような構成の一対の支持体11a、11bは、蓄電池32を収容した筐体33をコンクリート製の基礎ブロック36上に設置し、固定する際に有効に利用される。
【0028】
次に実施の形態1に係る蓄電システムの構成について説明する。
図8および
図9は、実施の形態1に係る蓄電システムの外観斜視図である。
図10は、実施の形態1に係る蓄電システムの正面図である。
図11は、実施の形態1に係る蓄電システムの背面図である。
図12は、実施の形態1に係る蓄電システムの平面図である。
図13は、実施の形態1に係る蓄電システムの底面図である。
図14は、実施の形態1に係る蓄電システムの右側面図である。
図15は、実施の形態1に係る蓄電システムの左側面図である。各図において、X方向は、後述する第二の外表面に垂直な方向であり、Y方向は、後述する第一の外表面に垂直な方向であり、Z方向は、後述する底面に垂直な方向である。
図8において、蓄電池32を概念的に破線で示している。
【0029】
図8~
図15を参照して、実施の形態1に係る蓄電システム31は、蓄電池32と、蓄電池32を収容する筐体33と、を備える。蓄電池32は、系統電力や、太陽光により発電した電力、燃料電池により発電した電力等を充電する。また、蓄電池32は、系統電力システムや蓄電システム31自体に接続されている負荷へ給電する。蓄電池32には、外部との電力の供給等のための図示しない配線等が接続されている。蓄電池32は、例えば、リチウムイオン電池から構成されている。蓄電システム31は、蓄電池32が筐体33内に収容されている構成であり、主に屋外に設置されて使用される。
【0030】
筐体33の外形形状は、直方体形状を有する。ここで、直方体形状を有するとは、幾何学的に厳密に直方体形状であることを意味するのではなく、直方体形状を構成する外表面に多少の凹凸が形成されていたり、外表面に穴が形成されていたり、角部が欠落していたり、角部に面取りが形成されていたり、面と面との平行状態が厳密に確保されていない形状を含めるものとする。
【0031】
筐体33は、中空である。筐体33は、例えば、6枚の板状部材を組み合わせて形成される。筐体33の中空の空間に、蓄電池32が収容される。筐体33は、第一の外表面41と、第二の外表面42と、第三の外表面43と、第四の外表面44と、頂面45と、底面46とを含む。第一の外表面41は、筐体33が所定の箇所に設置された際に、筐体33の正面に相当し、第四の外表面44は、筐体33の背面に相当する。第一の外表面41を正面として見た場合に、第二の外表面42は、右側面に相当し、第三の外表面43は、左側面に相当する。第二の外表面42および第三の外表面43は、互いに平行であり、それぞれ第一の外表面41と直交する。なお、第一の外表面41と第四の外表面44とも、互いに平行である。また、第二の外表面42および第三の外表面43はそれぞれ、第四の外表面44とも直交する。頂面45および底面46もそれぞれ、第一の外表面41および第四の外表面44のそれぞれと直交する。頂面45と底面46とも、互いに平行である。第一の外表面41の底面46側の一部および第二の外表面42の一部には、筐体33内と外部とを通風する空冷用の開口が形成されている。
【0032】
筐体33は、底面46から底面46に垂直な方向に延びる一対の脚部47、48を含む。脚部47は、第二の外表面42寄りに配置され、脚部48は、第三の外表面43寄りに配置される。
図16は、脚部47の一部を示す拡大図である。併せて
図16を参照して、脚部47は、第一の平板部12aに接触する平板状の接触部39を含む。脚部47には、第一の貫通孔22aに対応する領域を含むように切り欠き38が形成されている。脚部47には、第一の貫通孔23aに対応する領域を含むように切り欠きが形成されている。脚部48は、脚部47と同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0033】
ここで、蓄電システム31は、筐体33を支持する一対の支持体11a、11bと、筐体33と一対の支持体11a、11bとを締結する第一の締結部材としてのボルト34およびナット35と、基礎ブロック36と一対の支持体11a、11bとを締結する第二の締結部材としてのアンカーボルト37とを備える。蓄電システム31は、例えば、屋外に据え付けられたコンクリート製の基礎ブロック36上に固定され、使用される。
【0034】
一対の支持体11a、11bは、平行に配置される。具体的には、一対の支持体11a、11bに含まれるそれぞれの第三の平板部14a同士が平行なるように配置される。ボルト34は、第一の貫通孔22a、23aに挿通される。複数のボルト34のうち、一つのボルト34にナット35が取り付けられる。アンカーボルト37は、第二の貫通孔25a、26aに挿通され、基礎ブロック36に取り付けられる。蓄電システム31を基礎ブロック36上に固定した状態において、筐体33の水平面への投影像内に、一対の支持体11a、11bの水平面への投影像が収まる(特に
図14および
図15参照)。水平面への投影像は、例えば、
図14によって示される。
【0035】
次に、蓄電システム31の設置方法について説明する。
図17は、実施の形態1に係る蓄電システム31の設置方法の代表的な工程を示すフローチャートである。併せて
図17を参照して、まず、基礎ブロック36の外縁に沿って一対の支持体11a、11bのそれぞれに含まれる第三の平板部14a、14b同士が向かい合うように一対の支持体11a、11bを載置する(
図17において、ステップS11。以下、「ステップ」を省略する。)。この時、一方の支持体11aに含まれる端部17aのX方向の位置と基礎ブロック36の一方の外縁のX方向の位置とが一致するよう載置する。他方の支持体11bに含まれる端部17aのX方向の位置と基礎ブロック36の他方の外縁のX方向の位置とが一致するよう載置する。また、第二の貫通孔25a、26aが形成された第二の領域24a同士が向かい合うように載置する。
【0036】
次に、一対の支持体11a、11b上に筐体33を載置する(S12)。この場合、具体的には、筐体33に含まれる一対の脚部47、48の接触部39を、第一の平板部12a、12bのうちの面27a(特に
図1参照)に接触させるようにして載置する。
【0037】
次に、一対の支持体11a、11bのそれぞれを、一方の支持体11a、11bから見て、第一の平板部12aの第三の平板部14aに接続される領域よりも他方の支持体11b、11aに近い第一の領域21aにおいて、ボルト34およびナット35により筐体33に締結する(S13)。
【0038】
その後、一対の支持体11a、11bのそれぞれを、第二の平板部13aの第三の平板部14aに接続される領域よりも他方の支持体11a、11bから遠い第二の領域24aにおいて、アンカーボルト37によって基礎ブロック36に締結する(S14)。
【0039】
実施の形態1に係る蓄電システム31において、一対の支持体11a、11bのそれぞれは、一方の支持体11a、11bから見て、第三の平板部14aよりも他方の支持体11b、11aが位置する側と反対側である第二の領域24aで基礎ブロック36に取り付けられる。よって、コンクリート製の基礎ブロック36の外縁とアンカーボルト37を締結する箇所とを離すことができ、基礎ブロック36にアンカーボルト37を締結する際に、基礎ブロック36の外縁の欠けや割れが生じるおそれを低減して固定することができる。また、一対の支持体11a、11bのそれぞれは、一方の支持体11a、11bから見て、第一の平板部12aの第三の平板部14aに接続される領域よりも他方の支持体11b、11aに近い領域において、ボルト34およびナット35により筐体33に締結される。よって、筐体33と一対の支持体11a、11bとの取り付け位置をできるだけ離すことができる。この場合、X方向の取り付け位置をできるだけ離すことができる。これにより、一対の支持体11a、11bによって支持される箇所をできるだけ離して、揺れや振動に対して筐体33を安定して支持することができる。その結果、上記蓄電システム31では、基礎ブロック36を小さくしつつ、高い耐震クラス、例えば、耐震クラスA以上を維持することができる。すなわち、高い耐震クラスの蓄電システム31を構築しながら、蓄電システム31の設置面積をできるだけ小さくすることができる。
【0040】
上記蓄電システムにおいて、蓄電システム31を基礎ブロック36上に固定した状態において、筐体33の水平面への投影像内に、一対の支持体11a、11bの水平面への投影像が収まるため、一対の支持体11a、11bが筐体33からはみ出す部分をなくすことができる。
【0041】
上記蓄電システム31において、第一の締結部材は、ボルト34を含み、第一の領域には、第一の平板部12aの板厚方向に貫通し、ボルト34が挿通可能な第一の貫通孔22a、22bが形成されているため、ボルト34を用いて筐体33と支持体11a、11bとを締結する際に、第一の貫通孔22a、22bを利用して適切に筐体33と支持体11a、11bとを締結することができる。
【0042】
上記蓄電システム31において、筐体33は、第一の平板部12aに接触する平板状の接触部39を含む脚部47、48を含み、脚部47、48には、第一の貫通孔22a、22bに対応する領域を含むように切り欠き39が形成されているため、ボルト34を一対の脚部47、48に形成された切り欠き39に嵌め込むことができ、ボルト34およびナット35による締結をより容易に行うことができる。
【0043】
上記蓄電システム31において、第二の締結部材は、アンカーボルト37を含み、第二の領域24aには、第二の平板部13aの板厚方向に貫通し、アンカーボルト37が挿通可能な第二の貫通孔25a、26aが形成されているため、アンカーボルト37により基礎ブロック36に一対の支持体11a、11bを締結する際に、第二の貫通孔25a、25bを利用して適切に一対の支持体11a、11bを基礎ブロック36に締結することができる。
【0044】
また、このような蓄電システム31の設置方法によると、基礎ブロック36の外縁に沿って適切に蓄電システム31を設置することができる。したがって、基礎ブロック36を筐体33のフットプリント内に収めながら、高い耐震クラスを維持することができる。
【0045】
(実施の形態2)
本願の実施の形態2に係る蓄電システム31の構成について説明する。
図18は、実施の形態2における蓄電システム31に備えられる第一の支持体11aの一部を示す図である。
【0046】
実施の形態2の蓄電システム31は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構造を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2における蓄電システム31は、以下の点において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0047】
図18を参照して、実施の形態2の蓄電システムは、実施の形態1の場合と同様に、蓄電池と、筐体と、第一の支持体と、第二の支持体と、を備える。第一の支持体11aに形成される第二の貫通孔25aは、長孔状である。第二の貫通孔25aは、第一の支持体11aの長手方向に沿って延びている。このようにすることにより、アンカーボルト37の位置が多少ずれていても、締結時において位置のずれを調整することが容易となる。なお、長孔の延びる方向は、
図18に示す場合に対して、垂直な方向であってもよい。
【0048】
(他の実施の形態)
【0049】
上記蓄電システム31の設置方法において、支持体11a、11bと筐体33とを締結した後に、支持体11a、11bと基礎ブロック36とを締結することとしたが、これに限らず、順序を入れ替えてもよい。すなわち、支持体11a、11bと基礎ブロック36とを締結した後に、支持体11a、11bと筐体33とを締結してもよい。
【0050】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本願の蓄電システムおよび蓄電システムの設置方法は、基礎ブロックの大きさを小さくしつつ、高い耐震クラスの維持が求められる場合に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0052】
11a,11b 支持体
12 第一の平板部
13 第二の平板部
14 第三の平板部
15a,16a,17a,18a 端部
21a 第一の領域
22a,23a 第一の貫通孔
24a 第二の領域
25a,26a 第二の貫通孔
27a,28a 面
31 蓄電システム
32 蓄電器
33 筐体
34 ボルト
35 ナット
36 基礎ブロック
37 アンカーボルト
41 第一の外表面
42 第二の外表面
43 第三の外表面
44 第四の外表面
45 頂面
46 底面