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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20220315BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20220315BHJP
   F04C 29/06 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
F04B39/00 101Z
F04B39/00 102Z
F04B39/00 106Z
F04C29/00 T
F04C29/06 Z
F04C29/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018205907
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020070763
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】福滿 孝平
(72)【発明者】
【氏名】深澤 末広
(72)【発明者】
【氏名】太田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】松本 和也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆容
(72)【発明者】
【氏名】西澤 敦
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-515041(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0075972(KR,A)
【文献】特開2013-177826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04C 29/00
F04C 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の圧縮を行う圧縮機構と、
前記圧縮機構を駆動させる電動モータと、
前記電動モータの駆動制御を行うインバータと、
内部に前記圧縮機構と前記電動モータとを収容するハウジングと、
複数の締結具によって前記ハウジングに締結され、前記ハウジングとの間に前記インバータを収容する収容室を形成するカバーとを備えた電動圧縮機であって、
前記カバーは、板状をなす本体壁と、前記本体壁の周縁に設けられ、前記締結具が挿通される複数の挿通孔とを有し、
前記本体壁には、前記収容室内で前記インバータと対向する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とが形成され、
前記本体壁には、第1板厚をなす第1板厚部と、前記第1面における前記各挿通孔の少なくとも1つの周囲に位置し、前記第1面から前記第2面に向かって凹設されて前記第1板厚よりも薄い第2板厚をなす第2板厚部とが設けられ、
前記カバーは、前記本体壁と接続して前記本体壁を囲包し、前記ハウジングに向かって延びて前記ハウジングと当接する周壁を有し、
前記各挿通孔は、前記本体壁及び前記周壁に形成され、
前記第2板厚部は、前記挿通孔と同心をなし、前記挿通孔を囲みつつ前記周壁に接続する略扇状に形成されていることを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記電動モータを収容するモータ収容部を有し、
前記各締結具のうち、前記カバーを前記モータ収容部に締結する前記締結具は特定締結具とされ、
前記各挿通孔のうち、前記特定締結具が挿通される前記挿通孔は特定挿通孔とされ、
前記第2板厚部は、前記特定挿通孔の周囲に位置している請求項1記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記ハウジングと前記カバーとの位置決めを行う位置決め体をさらに備え、
前記位置決め体は、前記ハウジングに形成された嵌合部と、前記周壁に形成されて前記嵌合部と嵌合する被嵌合部とからなり、
前記被嵌合部は、前記第2板厚部に隣接している請求項又は記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の電動圧縮機が開示されている。この電動圧縮機は、圧縮機構と、電動モータと、インバータと、ハウジングと、カバーとを備えている。圧縮機構は冷媒の圧縮を行う。電動モータは圧縮機構を駆動させる。インバータは電動モータの駆動制御を行う。ハウジングは、内部に圧縮機構と電動モータとを収容している。カバーは、複数の締結具によってハウジングに締結されることにより、ハウジングとの間にインバータを収容する収容室を形成している。
【0003】
カバーは、アルミニウム合金製であり、本体壁と複数の挿通孔とを有している。本体壁は、板状をなしており、収容室内でインバータと対向する第1面と、第1面の反対側に位置する第2面とが形成されている。各挿通孔は、本体壁の周縁に設けられている。各挿通孔には、各締結具がそれぞれ挿通されている。また、第1面には、第1面側からインバータ側に向かって突出する複数のリブが設けられている。
【0004】
この種の電動圧縮機では、作動時に圧縮機構や電動モータで生じた振動がハウジングに伝達することでハウジングが振動する。そして、ハウジングの振動がカバーに伝達することでカバーが振動することにより、作動時の騒音が大きくなる問題がある。この点、特許文献1記載の電動圧縮機では、各リブによって本体壁の剛性を向上させることにより、作動時にハウジングの振動がカバーに伝達することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-177826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の電動圧縮機では、各リブが第1面側からインバータ側に向かって突出することで、その分、収容室が小さくなり、収容室内でインバータと各リブとが干渉し易い。このため、収容室を大きくしようとすれば、カバーが軸方向で大型し、電動圧縮機が大型化するとともに重量が増大してしまう。
【0007】
また、収容室の大型化を避けつつ、インバータと各リブとの干渉を防止するために、第2面に各リブを設けることも考えられる。しかしながら、第2面は電動圧縮機の外部に面するため、この場合には、各リブに埃や塩分等が堆積し易くなる。このため、カバーに腐食等が生じ易く、耐久性が低下する。また、第2面に各リブを設ける場合、カバー、ひいては電動圧縮機が軸方向で大型することにもなる。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、作動時の騒音を抑制可能であるとともに、小型化及び軽量化を実現可能な電動圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電動圧縮機は、流体の圧縮を行う圧縮機構と、
前記圧縮機構を駆動させる電動モータと、
前記電動モータの駆動制御を行うインバータと、
内部に前記圧縮機構と前記電動モータとを収容するハウジングと、
複数の締結具によって前記ハウジングに締結され、前記ハウジングとの間に前記インバータを収容する収容室を形成するカバーとを備えた電動圧縮機であって、
前記カバーは、板状をなす本体壁と、前記本体壁の周縁に設けられ、前記締結具が挿通される複数の挿通孔とを有し、
前記本体壁には、前記収容室内で前記インバータと対向する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とが形成され、
前記本体壁には、第1板厚をなす第1板厚部と、前記第1面における前記各挿通孔の少なくとも1つの周囲に位置し、前記第1面から前記第2面に向かって凹設されて前記第1板厚よりも薄い第2板厚をなす第2板厚部とが設けられ
前記カバーは、前記本体壁と接続して前記本体壁を囲包し、前記ハウジングに向かって延びて前記ハウジングと当接する周壁を有し、
前記各挿通孔は、前記本体壁及び前記周壁に形成され、
前記第2板厚部は、前記挿通孔と同心をなし、前記挿通孔を囲みつつ前記周壁に接続する略扇状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の電動圧縮機では、カバーは、各挿通孔に挿通された各締結具によってハウジングに締結されるため、カバーには、作動時に各締結具を通じてハウジングの振動が伝達し得る。この際、カバーにおける各挿通孔の周囲は、各締結具を通じてハウジングの振動が伝達し易い。
【0011】
ここで、この電動圧縮機では、各挿通孔は本体壁の周縁に設けられている。また、本体壁には、第1板厚部と第2板厚部とが設けられており、第2板厚部は、第1板厚部の第1板厚よりも薄い第2板厚とされている。そして、第2板厚部は、各挿通孔の少なくとも1つの周囲に位置している。これにより、第2板厚部は挿通孔の周囲で本体壁の剛性を低下させる。つまり、この電動圧縮機では、本体壁の周縁の剛性が低下している。一方、第1板厚部は、第2板厚部よりも厚い第1板厚をなしているため、本体壁の中央部位を含め、本体壁の周縁以外は、本体壁の周縁よりも剛性が高い。
【0012】
こうして、この電動圧縮機では、作動時にハウジングの振動によって、カバーでは第2板厚部が振動し易くなる。このため、ハウジングの振動を第2板厚部、すなわち挿通孔の周囲で吸収することができる。これにより、ハウジングの振動が本体壁の中央部位に伝達することを抑制でき、作動時に本体壁の中央部位が振動することを抑制できる。ここで、本体壁において、振動により騒音が発生するのは中央部位であるため、第2板厚部によって挿通孔の周囲を積極的に振動させる一方、中央部位での振動を抑制すれば、作動時にハウジングの振動がカバーに伝達しても騒音は発生し難い。
【0013】
また、第2板厚部は、本体壁において、第1面から第2面に向かって凹設されているため、この電動圧縮機では、第2板厚部の存在が収容室を小さくする要因とならない。これにより、この電動圧縮機では、大きな収容室を確保するために、カバーを軸方向に大型化させる必要がない。
【0014】
そして、この電動圧縮機では、ハウジングにカバーが締結されることにより、第2板厚部は収容室内に位置するため、第2板厚部には埃や塩分等が堆積し難い。また、電動圧縮機の外部に面する第2面を平坦に形成することができるため、埃や塩分等が第2面に堆積することも抑制できる。これらのため、この電動圧縮機では、カバーを金属製とした場合であっても腐食等が生じ難い。
【0015】
したがって、本発明の電動圧縮機は、作動時の騒音を抑制可能であるとともに、小型化及び軽量化を実現できる。
【0016】
ハウジングは、電動モータを収容するモータ収容部を有し得る。また、各締結具のうち、カバーをモータ収容部に締結する締結具は特定締結具とされ得る。さらに、各挿通孔のうち、特定締結具が挿通される挿通孔は特定挿通孔とされ得る。そして、第2板厚部は、特定挿通孔の周囲に位置していることが好ましい。
【0017】
ハウジングにおいて、モータ収容部は、作動時に電動モータの振動の影響を受け易く、より振動し易い。ここで、この電動圧縮機では、第2板厚部が特定挿通孔の周囲に位置しているため、モータ収容部が振動しても、モータ収容部の振動が本体壁の中央部位に伝達することを抑制できる。
【0018】
カバーは、本体壁と接続して本体壁を囲包し、ハウジングに向かって延びてハウジングと当接する周壁を有している。また、各挿通孔は、本体壁及び周壁に形成されている。そして、第2板厚部は、挿通孔と同心をなし、挿通孔を囲みつつ周壁に接続する略扇状に形成されている
【0019】
このため、周壁によって、電動圧縮機の外部と収容室とを好適に区画することができる。また、カバーが周壁を有することにより、ハウジングの形状の複雑化を防止でき、ハウジングの形成を容易化できる。そして、第2板厚部が挿通孔を囲みつつ周壁に接続する略扇状に形成されることで、ハウジングの振動が本体壁の中央部位に伝達することを好適に抑制できる。
【0020】
本発明の電動圧縮機は、ハウジングとカバーとの位置決めを行う位置決め体をさらに備え得る。また、位置決め体は、ハウジングに形成された嵌合部と、周壁に形成されて嵌合部と嵌合する被嵌合部とからなり得る。そして、被嵌合部は、第2板厚部に隣接していることが好ましい。
【0021】
この場合には、ハウジングとカバーとの位置決めを容易に行うことが可能となるため、ハウジングとカバーとを容易に締結することが可能となる。そして、被嵌合部が第2板厚部に隣接しているため、ハウジングの振動が嵌合部及び被嵌合部を通じて本体壁の中央部位に伝達することを好適に抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電動圧縮機は、作動時の騒音を抑制可能であるとともに、小型化及び軽量化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施例の電動圧縮機を後方側から見た背面図である。
図2図2は、実施例の電動圧縮機に係り、図1のA-A断面を示す部分断面図である。
図3図3は、実施例の電動圧縮機に係り、ハウジングを示す電動圧縮機の後方側からの背面図である。
図4図4は、実施例の電動圧縮機に係り、カバーを示す電動圧縮機の前方側からの正面図である。
図5図5は、実施例の電動圧縮機に係り、図4のB-B断面を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。この電動圧縮機は車両に搭載されており、車両用空調装置の冷凍回路を構成している。
【0025】
図1及び図2に示すように、実施例の電動圧縮機は、ハウジング1と、電動モータ3と、圧縮機構5と、カバー7と、インバータ9と、位置決め体31を備えている。ハウジング1は、第1ハウジング11と第2ハウジング13とを有している。
【0026】
本実施例では、図1に示す各矢印によって、電動圧縮機の上下方向及び左右方向を規定している。そして、図2以降では、図1に対応して上下方向及び左右方向を規定している。また、図2及び図5では、第2ハウジング13が位置する側を電動圧縮機の前方側とし、カバー7が位置する側を電動圧縮機の後方側として、電動圧縮機の前後方向を規定している。なお、これらの各方向は説明の便宜上のための一例であり、電動圧縮機は、搭載される車両等に対応して、その姿勢が適宜変更される。
【0027】
図2に示すように、第1ハウジング11はアルミニウム合金製である。第1ハウジング11は、第1底壁11aと、第1側壁11bと、第1フランジ部11cとを有している。第1底壁11aは、第1ハウジング11の後端に位置しており、電動圧縮機の径方向に延びている。第1側壁11bは、第1底壁11aと連続しており、第1底壁11aから電動圧縮機の軸方向で前方に向かって延びている。これらの第1底壁11a及び第1側壁11bにより、第1ハウジング11は、前方側が開口した有底の筒状をなしている。第1フランジ部11cは、第1ハウジング11の前端側で第1側壁11bと一体をなしており、第1側壁11bから電動圧縮機の右側に向かって突出している。第1フランジ部11c内には、第1挿通孔110が形成されている。
【0028】
より具体的には、図3に示すように、第1ハウジング11は、モータ収容部111と、ブリッジ部113とを有している。モータ収容部111は、第1ハウジング11の下側部分を構成している。モータ収容部111は、略円筒状に形成されている。モータ収容部111には、第1側壁11bに開口する吸入口(図示略)が設けられている。ブリッジ部113は、モータ収容部111と連続しており、モータ収容部111の上側に位置している。これにより、ブリッジ部113は、第1ハウジング11の上側部分を構成している。ブリッジ部113は、略矩形の筒状に形成されている。なお、モータ収容部111及びブリッジ部113の形状は適宜設計可能である。
【0029】
また、第1ハウジング11には、第1~6ハウジング側挿通孔15a~15fと、接続口17と、第1、2位置決めピン19a、19bとが設けられている。第1、2位置決めピン19a、19bは、本発明における「嵌合部」の一例である。
【0030】
図1に示すように、第1~6ハウジング側挿通孔15a~15fは、それぞれ第1底壁11a内及び第1側壁11b内を第1ハウジング1の軸方向、すなわち電動圧縮機の前後方向に延びており、第1底壁11aに開口している。図3に示すように、第1~4ハウジング側挿通孔15a~15dは、第1ハウジング11の下側部分、つまり、モータ収容部111に設けられている。第1~4ハウジング側挿通孔15a~15dは、それぞれ電動モータ3を囲うようにモータ収容部111の周方向に配置されている。第5、6ハウジング側挿通孔15e、15fは、第1ハウジング11の上側部分、すなわち、ブリッジ部113に設けられている。第5ハウジング側挿通孔15eは、ブリッジ部113の左端側に配置されており、第6ハウジング側挿通孔15fは、ブリッジ部113の右端側に配置されている。
【0031】
接続口17は、第1底壁11aにおいて、第5ハウジング側挿通孔15eと第6ハウジング側挿通孔15fとの間に配置されている。接続口17は、第1底壁11aと、ブリッジ部113の内部とを連通している。接続口17内には、封止部材21が設けられている。
【0032】
第1、2嵌合ピン19a、19bは、第1底壁11aに一部を埋設させた状態で第1底壁11aに固定されている。第1、2嵌合ピン19a、19bは、第1底壁11aから電動圧縮機の後方に向かって延びている。つまり、第1、2嵌合ピン19a、19bは、第1ハウジング11の軸方向で第1底壁11aから後述するカバー7の周壁73に向かって延びている。
【0033】
第1、2嵌合ピン19a、19bは、第1ハウジング11の下側部分、すなわち、モータ収容部111に配置されている。より具体的には、第1嵌合ピン19aは、モータ収容部111の左端側であって、第1ハウジング側挿通孔15aと第3ハウジング側挿通孔15cとの間に位置している。第2嵌合ピン19bは、モータ収容部111の右端側であって、第2ハウジング側挿通孔15bと第4ハウジング側挿通孔15dとの間に位置している。また、第2嵌合ピン19bは、モータ収容部111において、第1嵌合ピン19aよりも僅かに上側に配置されている。
【0034】
図2に示す第2ハウジング13もアルミニウム合金製である。第2ハウジング13は、第2底壁13aと、第2側壁13bと、第2フランジ部13cとを有している。第2底壁13aは、第2ハウジング13の前端に位置しており、電動圧縮機の径方向に延びている。第2側壁13bは、第2底壁13aと連続しており、第2底壁13aから電動圧縮機の軸方向で後方に向かって延びている。これらの第2底壁13a及び第2側壁13bにより、第2ハウジング13は、後方側が開口した有底の筒状をなしている。詳細な図示を省略するものの、第2ハウジング13は、第1ハウジング11の形状に対応する形状をなしている。つまり、第2ハウジング13は、下側部分が略円筒状に形成されており、上側部分が略矩形の筒状に形成されている。第2フランジ部13cは、電動圧縮機の右側に向かって突出している。第2フランジ部13c内には、第2挿通孔130が形成されている。
【0035】
第2ハウジング13は、第2フランジ部13cを第1ハウジング11の第1フランジ部11cに整合させた状態で第1ハウジング11の前方側に配置されている。そして、第1ハウジング11と第2ハウジング13とは、第1、2挿通孔110、130に挿通されたボルト23の他、図示しない複数のボルトによって互いに締結されている。これにより、第1ハウジング11と第2ハウジング13とが一体化されている。なお、第1、2ハウジング11、13をアルミニウム合金以外で形成することもできる。
【0036】
電動モータ3は、第1ハウジング11のモータ収容部111内に収容されている。電動モータ3は、ステータ25と、ロータ27と、駆動軸29と、接続部(図示略)とを有している。ステータ25は、モータ収容部111内で第1側壁11bの内周面に固定されており、図示しないコイルを有している。ロータ27は、ステータ25の内側に配置されている。駆動軸29は、ロータ27に固定されており、ロータ27と一体的に回転する。接続部は、ブリッジ収容部113内に収容されたクラスタブロック(図示略)と接続されている。クラスタブロックは、ブリッジ収容部113内で接続端子(図示略)と接続されている。
【0037】
圧縮機構5は、モータ収容部111内において、電動モータ3の前方側に収容されている。圧縮機構5としては、公知のスクロール型圧縮機構が採用されている。圧縮機構5は、第1側壁11bの内周面に固定された固定スクロールと、固定スクロールに対向して配置された可動スクロールとを有している。可動スクロールは駆動軸29と動力伝達可能に接続されおり、駆動軸29によって回転可能となっている。固定スクロールと可動スクロールとは噛合して両者の間に圧縮室を形成している。また、固定スクロールと第2ハウジング13との間に吐出室が形成されている。なお、固定スクロール、可動スクロール、圧縮室及び吐出室については、いずれも図示を省略する。また、圧縮機構5として、ベーン型圧縮機構等を採用しても良い。
【0038】
図4及び図5に示すように、カバー7はアルミニウム合金製である。カバー7は、本体壁71と、周壁73と、第1~6カバー側挿通孔75a~75fとを有している。第1~6カバー側挿通孔75a~75fは、本発明における「挿通孔」の一例である。なお、カバー7を樹脂製としても良い。
【0039】
図5に示すように、本体壁71は、カバー7の後端に位置しており、電動圧縮機の径方向に延びている。本体壁71は板状をなしており、第1面71aと第2面71bとが形成されている。第1面71aは、カバー7の前方側に面している。第2面71bは、第1面71aの反対側に位置しており、カバー7の後方側、すなわち電動圧縮機の外部に面している。なお、本体壁71についての詳細は後述する。
【0040】
図4に示すように、周壁73は、本体壁71と一体をなしており、本体壁71の第1面71aを全周で囲包している。図2に示すように、周壁73は、第1ハウジング11に向かってカバー7の軸方向で前方に延びている。これらの本体壁71及び周壁73により、カバー7は、前方側が開口した有底の略筒状をなしている。ここで、カバー7についても、第1ハウジング11の形状に対応する形状をなしている。つまり、カバー7には、モータ収容部111に対応して略円筒状をなす第1部位7aと、ブリッジ部113に対応して略矩形の筒状をなす第2部位7bとが設けられている。なお、カバー7の形状は、第1ハウジング11の他、インバータ9等の形状に応じて、適宜設計可能である。
【0041】
また、周壁73には、貫通孔711aが形成されている。貫通孔711aは、周壁73を上下方向に延びており、カバー7の外部と、後述する収容室37とを連通している。さらに、周壁73には、コネクタ部715が一体で形成されている。コネクタ部715は、貫通孔711aを囲包する略矩形の筒状をなしており、周壁73から上方に向かって延びている。なお、貫通孔711a及びコネクタ部715を本体壁71に形成しても良い。
【0042】
第1~6カバー側挿通孔75a~75fは、本体壁71及び周壁73に設けられている。具体的には、第1~6カバー側挿通孔75a~75fは、それぞれ本体壁71の周縁に位置しており、本体壁71及び周壁73をカバー7の軸方向に貫通している。第1~6カバー側挿通孔75a~75fは、それぞれ図3に示す第1~6ハウジング側挿通孔15a~15fに対応して配置されている。つまり、図4に示すように、第1~4カバー側挿通孔75a~75dは、第1部位7aに設けられており、第1部位7aの周方向に配置されている。これらの第1~4カバー側挿通孔75a~75dは、本発明における「特定挿通孔」とされている。一方、第5、6カバー側挿通孔75e、75fは、カバー7の第2部位7bに設けられている。第5カバー側挿通孔75eは第2部位7bの左端側に配置されており、第6カバー側挿通孔75fは第2部位7bの右端側に配置されている。
【0043】
本体壁71には、第1板厚部711と、第2板厚部713a~713dとが設けられている。ここで、本体壁71を占める第1板厚部711と第2板厚部713a~713dとの割合は、第1板厚部711の方が多くなっている。つまり、第1板厚部711は、本体壁71の大部分を構成している。図5に示すように、第1板厚部711は、第1板厚T1で形成されている。
【0044】
図4に示すように、第2板厚部713aは、第1カバー側挿通孔75aの周囲に位置している。第2板厚部713aは、第1カバー側挿通孔75aと同心をなして、第1カバー側挿通孔75aを囲みつつ周壁73に接続する略扇状に形成されている。同様に、第2板厚部713b~713dは、それぞれ第2~4カバー側挿通孔75b~75dの周囲に位置している。そして、第2板厚部713b~713dについても、それぞれ第2~4カバー側挿通孔75b~75dと同心をなして、第2~4カバー側挿通孔75b~75dを囲みつつ周壁73に接続する略扇状に形成されている。こうして、第2板厚部713a~713dは、カバー7の第1部位7aにおいて、本体壁71を囲うように配置されている。
【0045】
このように、本体壁71に第2板厚部713a~713dが設けられることにより、本体壁71には、中央部位Cが形成されている。具体的には、中央部位Cは、第1板厚部711において、第2板厚部713a~713dよりも本体壁71の中央側となる部位である。そして、第1板厚部711が第1板厚T1で形成されていることから、中央部位Cは、第1板厚T1となっている。
【0046】
図5に示すように、本体壁71において、第2板厚部713a~713dは、それぞれ第1面71aから第2面71bに向かって凹設されている。これにより、第2板厚部713b~713dは、第1板厚T1よりも薄い第2板厚T2をなしている。ここで、本実施例では、第2板厚T2が第1板厚T1の約半分の厚さに設定されている。これにより、本体壁71において、第2板厚部713b~713dでは、第1板厚部711に比べて剛性が低くなっている。なお、第1板厚T1よりも薄ければ、第2板厚T2の厚さは適宜設計可能である。
【0047】
さらに、図4に示すように、カバー7において、周壁73には、第1、2嵌合凹部77a、77bが形成されている。第1、2嵌合凹部77a、77bは、本発明における「被嵌合部」の一例である。そして、図2に示す位置決め体31は、第1、2嵌合ピン19a、19bと、第1、2嵌合凹部77a、77bとによって構成されている。
【0048】
図4に示すように、第1、2嵌合凹部77a、77bは、それぞれ周壁73の端面に開口しつつカバー7の軸方向で電動圧縮機の後方に向かって延びており、内部に第1、2嵌合ピン19a、19bを挿通可能となっている。ここで、第1、2嵌合凹部77a、77bは、本体壁71を貫通しないように深さが設定されている。
【0049】
第1、2嵌合凹部77a、77bは、第1、2嵌合ピン19a、19bとそれぞれ対応する位置に配置されている。つまり、第1嵌合凹部77aは、周壁73において、第1カバー側挿通孔75aと第3カバー側挿通孔75cとの間に配置されている。一方、第2嵌合凹部77bは、周壁73において、第2カバー側挿通孔75bと第4カバー側挿通孔75dとの間に配置されている。
【0050】
そして、第1嵌合凹部77aは第2板厚部713cと隣接しており、第2嵌合凹部77bは第2板厚部713bと隣接している。より具体的には、第1嵌合凹部77aは、自己の一部を第2板厚部713cの左側に重ねつつ、第2板厚部713cに隣接している。同様に、第2嵌合凹部77bは、自己の一部を第2板厚部713bの下側に重ねつつ、第2板厚部713bに隣接している。
【0051】
図2に示すように、カバー7は、本体壁71の第1面71aを第1ハウジング11の第1底壁11aに対向させた状態で、第1ハウジング11の後方に配置されている。また、カバー7と第1ハウジング11との間にはガスケット33が設けられている。
【0052】
そして、図1に示すように、この電動圧縮機では、第1嵌合凹部77a内に第1嵌合ピン19aを挿通させるとともに、第2嵌合凹部77b内に第2嵌合ピン19bを挿通させている。これにより、第1、2嵌合ピン19a、19bと、第1、2嵌合凹部77a、77bとがそれぞれ嵌合している。こうして、図2に示すように、第1~6ハウジング側挿通孔15a~15fと、第1~6カバー側挿通孔75a~75fとが整合した状態で、第1ハウジング11とカバー7とが位置決めされている。
【0053】
そして、第1ハウジング11とカバー7とが位置決めされた状態において、カバー7は、図1に示す第1~6ボルト35a~35fによって、第1ハウジング11に締結されている。第1~6ボルト35a~35fは、本発明における「締結具」の一例である。具体的には、第1ボルト35aは、本体壁71の第2面71b側から、第1カバー側挿通孔75aと第1ハウジング側挿通孔15aとに挿通されている。同様に、第2ボルト35bは、第2カバー側挿通孔75bと第2ハウジング側挿通孔15bとに挿通されており、第3ボルト35cは、第3カバー側挿通孔75cと第3ハウジング側挿通孔15cとに挿通されている。また、第4ボルト35dは、第4カバー側挿通孔75dと第4ハウジング側挿通孔15dとに挿通されており、第5ボルト35eは、第5カバー側挿通孔75eと第5ハウジング側挿通孔15eとに挿通されている。そして、第6ボルト35fは、第6カバー側挿通孔75fと第6ハウジング側挿通孔15fとに挿通されている。こうして、カバー7は、第1部位7aが第1~4ボルト35a~35dによって、第1ハウジング11のモータ収容部111に締結されており、第2部位7bが第5、6ボルト35e、35fによって、第1ハウジング11のブリッジ部113に締結されている。つまり、第1~6ボルト35a~35fのうち、第1~4ボルト35a~35dは、本発明における「特定締結具」とされている。なお、第1~6ボルト35a~35fの個数、ひいては、第1~6カバー側挿通孔75a~75f及び第1~6ハウジング側挿通孔15a~15fの個数は、第1ハウジング11やカバー7の大きさ等に応じて適宜設計可能である。
【0054】
こうして、カバー7が第1ハウジング11に締結されることにより、図2に示すように、第1底壁11と、本体壁71の第1面71aとの間に収容室37が形成されている。そして、収容室37は、周壁73によって囲包されることにより、貫通孔711aを除いて、電動圧縮機の外部から区画されている。また、ガスケット33によって、収容室37と第1ハウジング11との間が封止されている。
【0055】
インバータ9は、第1底壁11aに固定されて収容室37内に収容されている。これにより、収容室37内において、インバータ9と本体壁71の第1面71aとが対向している。詳細な図示を省略するものの、インバータ9は、回路基板と、回路基板上に配置された複数の半導体素子と、回路基板に接続されたリード線とを有している。リード線は、図3に示す接続口17を通じてブリッジ部113内に延びており、接続端子と接続されている。これにより、インバータ9と電動モータ3とが接続されている。
【0056】
また、図2に示すように、カバー7の貫通孔711a内には、給電アッセンブリ39が設けられている。給電アッセンブリ39は、第1端子391、第2端子392及びバスバー393が絶縁性樹脂394にインサート成形されることで形成されている。給電アッセンブリ39は、収容室37内において、バスバー393を通じてインバータ9に接続されている。
【0057】
以上のように構成された電動圧縮機では、カバー71のコネクタ部715が図示しないケーブルを介して、電動圧縮機の外部に設けられた電源(図示略)に接続される。これにより、インバータ9には給電アッセンブリ39を通じて電源から直流電力が供給される。そして、インバータ9は、直流電力を交流電力に変換しつつ、電動モータ3に交流電力を供給することで、電動モータ3の駆動制御を行う。そして、交流電力が供給された電動モータ3では、ロータ27及び駆動軸29が回転する。これにより、圧縮機構5が駆動する。こうして、圧縮機構5では、吸入口から吸入された冷媒ガスを圧縮し、圧縮された冷媒ガスを吐出口から吐出する。なお、冷媒ガスは、本発明の「流体」の一例である。
【0058】
この電動圧縮機では、カバー7は、第1~6カバー側挿通孔75a~75fに挿通された第1~6ボルト35a~35fによって第1ハウジング11に締結されている。このため、カバー7には、作動時に電動モータ3及び圧縮機構5が作動することによる第1ハウジング11振動が第1~6ボルト35a~35fを通じて伝達し得る。この際、カバー7における第1~6カバー側挿通孔75a~75fの周囲は、第1~6ボルト35a~35fを通じて第1ハウジング11の振動が伝達し易い。特に、第1ハウジング11のモータ収容部111には、電動モータ3が収容されるため、カバー7の第1部位7aにおいて、第1~4カバー側挿通孔75a~75dの周囲は、第1~4ボルト35a~35dを通じてモータ収容部111の振動が伝達し易い。
【0059】
ここで、この電動圧縮機では、第1~6カバー側挿通孔75a~75fは、本体壁71の周縁に設けられている。また、本体壁71には、第1板厚部711と第2板厚部713a~713dとが設けられており、第2板厚部713a~713dは、第1板厚部711の第1板厚T1よりも薄い第2板厚T2とされている。そして、第2板厚部713a~713dは、第1~4カバー側挿通孔75a~75dの周囲にそれぞれ位置している。これにより、第2板厚部713a~713dは、第1~4カバー側挿通孔75a~75dの周囲で本体壁71の剛性を低下させている。つまり、この電動圧縮機では、本体壁71の周縁の剛性が低下している。一方、第1板厚部711は、第2板厚部713a~713dよりも厚い第1板厚T1をなしているため、本体壁71の中央部位Cを含め、本体壁71の周縁以外は、本体壁71の周縁よりも剛性が高くなっている。そして、第1板厚部711は、本体壁71の大部分を占めているため、本体壁71、ひいてはカバー7の剛性を十分に高くすることが可能となっている。
【0060】
そして、この電動圧縮機では、作動時に第1ハウジング11の振動によって、カバー7では第2板厚部713a~713dが振動し易くなる。これにより、モータ収容部111を含め、第1ハウジング11の振動を第2板厚部713a~713d、すなわち、第1~4カバー側挿通孔75a~75dの周囲で吸収することができる。こうして、この電動圧縮機では、モータ収容部111を含め、第1ハウジング11の振動が本体壁71の中央部位Cに伝達することを抑制でき、作動時に本体壁71の中央部位Cが振動することを抑制できる。ここで、本体壁71において、振動により騒音が発生するのは中央部位Cであるため、第2板厚部713a~713dによって第1~4カバー側挿通孔75a~75dの周囲を積極的に振動させる一方、中央部位Cでの振動を抑制すれば、作動時に第1ハウジング11の振動がカバー7に伝達しても騒音は発生し難い。
【0061】
また、第2板厚部713a~713dは、本体壁71において、第1面71aから第2面71bに向かって凹設されているため、この電動圧縮機では、第2板厚部713a~713dの存在が収容室37を小さくする要因とならない。これにより、この電動圧縮機では、大きな収容室37を確保するために、カバー7を軸方向に大型化させる必要がない。
【0062】
そして、この電動圧縮機では、第1ハウジング11にカバー7が締結されることにより、第2板厚部713a~713dは収容室37内に位置するため、第2板厚部713a~713dには埃や塩分等が堆積し難くなっている。また、電動圧縮機の外部に面する第2面71bは平坦に形成されているため、埃や塩分等が第2面71bに堆積することも抑制することが可能となっている。これらのため、この電動圧縮機では、カバー7に腐食等が生じ難くなっている。
【0063】
したがって、実施例の電動圧縮機は、作動時の騒音を抑制可能であるとともに、小型化及び軽量化を実現できる。
【0064】
特に、この電動圧縮機において、第2板厚部713a~713dは、それぞれ第1~4カバー側挿通孔75a~75dを囲みつつ周壁73に接続する略扇状に形成されている。このため、本体壁71に占める第2板厚部713a~713dの割合を可及的に少なくしつつ、第1ハウジング11の振動が本体壁71の中央部位Cに伝達することを好適に抑制できる。こうして、この電動圧縮機では、作動時に第1ハウジング11の振動が本体壁71の中央部位Cに伝達することの抑制と、カバー7の剛性の確保とを好適に両立させることが可能となっている。
【0065】
また、カバー7が周壁73を有していることにより、電動圧縮機の外部と収容室37とを好適に区画することが可能となっている。さらに、第1ハウジング11に対してカバー7側に向かって延びる周壁を形成する場合に比べて、第1ハウジング11の形状の複雑化を防止できるため、第1ハウジング11の形成を容易化することが可能となっている。
【0066】
また、この電動圧縮機では、位置決め体31によって、第1ハウジング11とカバー7との位置決めを容易に行うことが可能となっており、第1ハウジング11とカバー7とを容易に締結することが可能となっている。ここで、位置決め体31が第1、2嵌合ピン19a、19bと、第1、2嵌合凹部77a、77bとからなるため、位置決め体31の構成を容易化することが可能となっている。そして、第1嵌合凹部77aは第2板厚部713cと隣接しており、第2嵌合凹部77bは第2板厚部713bと隣接している。このため、この電動圧縮機では、第1、2嵌合ピン19a、19bと、第1、2嵌合凹部77a、77bとを通じて、第1ハウジング11の振動が本体壁71の中央部位Cに伝達することも抑制できる。
【0067】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0069】
例えば、本体壁71において、第2板厚部713a~713dに加えて、第5、6カバー側挿通孔75e、75fの周囲にも第2板厚部が設けられていても良い。
【0070】
また、本体壁71において、第1~6カバー側挿通孔75a~75fのいずれか1つの周囲のみに第2板厚部713aが設けられていても良い。
【0071】
さらに、第1~6ボルト35a~35fの頭部がカバー7の後方に突出することを防止する目的のために、本体壁71の第2面71bにおいて、第1~6カバー側挿通孔75a~75fの周囲に凹部を形成しても良い。
【0072】
また、カバー7の周壁73を省略する一方、第1ハウジング11に対して、第1底壁11aを囲包しつつカバー7側に向かって延びる周壁が形成される構成としても良い。
【0073】
さらに、第1底壁11aに対して、第1嵌合ピン19aのみを設ける構成としても良く、第1、2嵌合ピン19a、19bに加えて嵌合ピンを設ける構成としても良い。また、第1嵌合ピン19aをモータ収容部111に配置し、第2嵌合ピン19bをブリッジ部113に配置する構成としても良く、第1、2嵌合ピン19a、19bの両方をブリッジ部113に配置する構成としても良い。
【0074】
また、実施例の電動圧縮機について、圧縮機構5が冷媒ガス以外の流体を圧縮する構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は車両等の空調装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…ハウジング
3…電動モータ
5…圧縮機構
7…カバー
9…インバータ
19a、19b…第1、2嵌合ピン(嵌合部)
31…位置決め体
35a~35d…第1~4ボルト(締結具、特定締結具)
35e、35f…第5、6ボルト(締結具)
37…収容室
71…本体壁
71a…第1面
71b…第2面
73…周壁
75a~75d…第1~4カバー側挿通孔(挿通孔、特定挿通孔)
75e、75f…第5、6カバー側挿通孔(挿通孔)
77a、77b…第1、2嵌合凹部(被嵌合部)
111…モータ収容部
711…第1板厚部
713a~713d…第2板厚部
T1…第1板厚
T2…第2板厚
図1
図2
図3
図4
図5