(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】マルチコプターの制御システム
(51)【国際特許分類】
B64C 39/02 20060101AFI20220315BHJP
B64C 13/16 20060101ALI20220315BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220315BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220315BHJP
B64F 5/40 20170101ALN20220315BHJP
【FI】
B64C39/02
B64C13/16 Z
B64C27/08
B64D27/24
B64F5/40
(21)【出願番号】P 2018542395
(86)(22)【出願日】2017-09-15
(86)【国際出願番号】 JP2017033422
(87)【国際公開番号】W WO2018061823
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】P 2016192706
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高尾 征志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 義成
(72)【発明者】
【氏名】竹本 心路
(72)【発明者】
【氏名】皇甫 蘭
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 未来
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特許第5857326(JP,B1)
【文献】独国特許出願公開第102013102194(DE,A1)
【文献】特開2012-206696(JP,A)
【文献】特開平09-038845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
B64C 27/08
B64D 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラを回転させる複数のモータと、
前記モータの駆動情報を読み取る制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記モータの駆動時間に基づいて前記モータの累積負荷量を算出する算出部と、
算出された前記累積負荷量が第1設定負荷量以上であるときに、アラーム信号を出力する信号出力部と、
を備え
、
さらに前記制御部は、前記累積負荷量が前記第1設定負荷量よりも大きな第2設定負荷量以上であるときに、前記モータへの通電を停止するマルチコプターの制御システム。
【請求項2】
前記モータとは異なる他のモータへ交換された場合に、前記算出部は、前記累積負荷量をゼロ負荷量へリセットする請求項1に記載のマルチコプターの制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記累積負荷量が前記第1設定負荷量以上であるときに、前記モータの回転数を制限して駆動する低速回転モードで前記モータを駆動させる指令を行う指令部をさらに備える請求項1または請求項2に記載のマルチコプターの制御システム。
【請求項4】
前記モータとは異なる他のモータへ交換が行われた場合に、前記指令部は、前記低速回
転モードを解除する請求項3に記載のマルチコプターの制御システム。
【請求項5】
前記モータとは異なる他のモータへ交換が行われた場合に、前記制御部は、前記モータへの通電の停止を解除する請求項1に記載のマルチコプターの制御システム。
【請求項6】
マルチコプター本体と、前記マルチコプター本体を操作するコントローラと、を備え、
前記マルチコプター本体は、前記アラーム信号を、前記コントローラに送信する通信部を備える請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のマルチコプターの制御システム。
【請求項7】
マルチコプター本体と、前記マルチコプター本体を操作するコントローラと、を備え、
前記マルチコプター本体は、算出された前記累積負荷量のデータを、前記コントローラに送信する通信部を備える請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のマルチコプターの制御システム。
【請求項8】
前記算出部は、前記駆動時間に対する、前記モータの回転数情報と前記モータの温度情報のうち少なくとも一方の乗算によって前記累積負荷量を算出することを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のマルチコプターの制御システム。
【請求項9】
前記モータの巻線温度を検出する温度センサをさらに備え、
前記モータの温度情報は、前記温度センサにより検出される温度である請求項8に記載のマルチコプターの制御システム。
【請求項10】
前記累積負荷量は、複数の前記モータの各々について算出され、
算出された各々の前記累積負荷量は前記第1設定負荷量以上であるかを判定される、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のマルチコプターの制御システム。
【請求項11】
前記累積負荷量は、複数の前記モータにおける平均値として算出される請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のマルチコプターの制御システム。
【請求項12】
マルチコプター本体と、前記マルチコプター本体を操作するコントローラと、を備え、
前記制御部は、前記マルチコプター本体または前記コントローラのいずれか一方に備わる請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のマルチコプターの制御システム。
【請求項13】
プロペラを回転させる複数のモータを有するマルチコプター本体と、
前記モータの駆動情報を読み取る制御部と、
前記マルチコプター本体の現在地を測定する測位システムと、
前記マルチコプター本体の目的地を設定する目的地設定部と、
前記マルチコプター本体が、前記現在地から前記目的地まで飛行した際に受けると推定される推定累積負荷量を算出する累積負荷量推定部と、
を備え、
前記制御部は、
前記モータの駆動時間に基づいて前記モータの累積負荷量を算出する算出部と、
算出された前記累積負荷量が第1 設定負荷量以上であるときに、アラーム信号を出力する信号出力部と、
を備え、
前記累積負荷量が前記第1設定負荷量よりも低いときに、
前記累積負荷量と前記推定累積負荷量との和が、前記第1設定負荷量以上であるときに、前記信号出力部がアラーム信号を出力するマルチコプターの制御システム。
【請求項14】
前記モータとは異なる他のモータへ交換された場合に、前記算出部は、前記累積負荷量をゼロ負荷量へリセットする請求項13に記載のマルチコプターの制御システム。
【請求項15】
前記累積負荷量および前記推定累積負荷量は、複数の前記モータの各々について算出され、
算出された各々の前記累積負荷量および前記推定累積負荷量の和は前記第1設定負荷量以上であるかを判定される、請求項13または請求項14に記載のマルチコプターの制御システム。
【請求項16】
前記累積負荷量および前記推定累積負荷量は、複数の前記モータにおける平均値として
算出される請求項13または請求項14に記載のマルチコプターの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マルチコプターの制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、マルチコプター(ドローン)と呼ばれる飛行体の開発・普及が盛んである。マルチコプターは、モータにより回転される複数のプロペラを有することで、空中において上昇・下降、横移動、回転などの動作が可能である。例えば、日本国公開公報特開2016-88121号公報には、4つのプロペラを有する従来のマルチコプターが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、マルチコプターはプロペラを回転させるモータを有するが、モータには寿命が存在する。モータの寿命は、使用状況に応じて変化する。例えば、高回転数で連続時間モータを駆動させると、モータに加わる負荷が高くなり、寿命は短くなる。
【0005】
従来、ユーザが知らぬ間にマルチコプターのモータが寿命に近づくと、モータの出力が低下し、マルチコプターが十分な揚力を得ることができないという問題があった。
【0006】
上記状況に鑑み、本開示は、マルチコプターの飛行機能を十分に維持することが可能となるマルチコプターの制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の例示的なマルチコプターの制御システムは、プロペラを回転させる複数のモータと、
前記モータの駆動情報を読み取る制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記モータの駆動時間に基づいて前記モータの累積負荷量を算出する算出部と、
算出された前記累積負荷量が第1設定負荷量以上であるときに、アラーム信号を出力する信号出力部と、
を備え、
さらに前記制御部は、前記累積負荷量が前記第1設定負荷量よりも大きな第2設定負荷量以上であるときに、前記モータへの通電を停止する構成とする。
【0008】
また、本開示の別態様の例示的なマルチコプターの制御システムは、プロペラを回転させる複数のモータを有するマルチコプター本体と、
前記モータの駆動情報を読み取る制御部と、
前記マルチコプター本体の現在地を測定する測位システムと、
前記マルチコプター本体の目的地を設定する目的地設定部と、
前記マルチコプター本体が、前記現在地から前記目的地まで飛行した際に受けると推定される推定累積負荷量を算出する累積負荷量推定部と、
を備え、
前記制御部は、
前記モータの駆動時間に基づいて前記モータの累積負荷量を算出する算出部と、
算出された前記累積負荷量が第1設定負荷量以上であるときに、アラーム信号を出力する信号出力部と、
を備え、
前記累積負荷量が前記第1設定負荷量よりも低いときに、
前記累積負荷量と前記推定累積負荷量との和が、前記第1設定負荷量以上であるときに、前記信号出力部がアラーム信号を出力する構成とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示の例示的なマルチコプターの制御システムによれば、マルチコプターの飛行機能を十分に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るマルチコプター本体の外観を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るマルチコプターの制御システムのブロック構成図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る起動時の処理に関するフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る起動後の処理に関するフローチャートである。
【
図5】
図5は、累積負荷量と駆動時間との関係の一例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、第1実施形態の第1変形例に係るマルチコプターの制御システムにおけるマルチコプター本体のブロック構成図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の第2変形例に係るマルチコプターの制御システムのブロック構成図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係るマルチコプターの制御システムのブロック構成図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る起動時の処理に関するフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る起動後の処理に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本開示の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
<1.第1実施形態>
ここでは、本開示の第1実施形態に係るマルチコプターの制御システムについて説明する。
【0013】
<1-1.マルチコプターの制御システムの構成>
図1は、第1実施形態に係るマルチコプター本体10の外観を示す概略斜視図である。マルチコプター本体10は、本体部100と、第1モータ101A、第2モータ101B、第3モータ101C、および第4モータ101Dと、第1プロペラ102A、第2プロペラ102B、第3プロペラ102C、および第4プロペラ102Dと、を備える。
【0014】
本体部100は、中央から四方へ枝分かれする形状を有し、アーム100A~100Dを有する。アーム100A~100Dのそれぞれの先端部には、第1モータ101A、第2モータ101B、第3モータ101C、および第4モータ101Dがそれぞれ支持される。第1モータ101A~第4モータ101Dの各ロータには、第1プロペラ102A~第4プロペラ102Dが固定される。すなわち、マルチコプター10では、4つのモータによって4つのプロペラが回転される。なお、モータとプロペラの個数は、4つに限らず、少なくとも2つであればよい。
【0015】
図2は、第1実施形態に係るマルチコプターの制御システム30のブロック構成図である。
図2に示すように、マルチコプターの制御システム30は、マルチコプター本体10と、コントローラ20と、を備える。
【0016】
マルチコプター本体10は、第1モータ101A~第4モータ101Dと、駆動回路103A~103Dと、制御部104と、センサ群105と、操作部106と、通信部107と、電源回路108と、バッテリ109と、表示部110と、を有する。
【0017】
第1モータ101A~第4モータ101Dは、DCブラシレスモータ、またはDCブラシ付きモータ等から構成され、それぞれ巻線L1~L4を有する。また、第1モータ101A~第4モータ101Dは、それぞれ温度センサT1~T4を有する。温度センサT1~T4は、それぞれ巻線L1~L4の温度を検出する。巻線温度の検出手法としては、例えば抵抗法による温度測定方法が採られる。
【0018】
第1モータ101A~第4モータ101Dをそれぞれ駆動する駆動回路103A~103Dは、不図示のマイコン、およびPWM(Pulse Width Modulation)出力回路などを有する。
【0019】
制御部104は、マルチコプター本体10を統括的に制御するユニットであり、例えばマイコンから構成される。制御部104は、後述する算出部104A、信号出力部104B、指令部104C、および記憶部104Dを有する。
【0020】
センサ群105には、例えば3軸ジャイロセンサ、3軸加速度センサ、気圧センサ、磁気センサ、超音波センサなどが含まれる。
【0021】
3軸ジャイロセンサは、マルチコプター本体10の前後の傾き、左右の傾き、回転の角速度を検出し、機体の姿勢と動きを検出する。3軸加速度センサは、マルチコプター本体10の前後方向、左右方向、上下方向の加速度を検出する。気圧センサは、機体の高度を把握するために用いられる。磁気センサは、方位を検出する。超音波センサは、地面に対して超音波を発信して反射信号を検出することで、地面に対する距離を検出する。
【0022】
操作部106は、例えば、マルチコプター本体10を操作するためのハードキー(電源ボタン等)を有する。通信部107は、後述するコントローラ20との無線通信を行う。無線通信には、例えばWi-Fi規格の通信が用いられる。
【0023】
電源回路108は、バッテリ109から供給される電力に基づきマルチコプター本体10の各部に電力を供給する回路である。バッテリ109には、例えば、リチウムポリマ二次電池が用いられる。表示部110は、例えば液晶表示部、またはLED表示部などで構成される。
【0024】
マルチコプター本体10を操作するために用いられるコントローラ20は、制御部201と、通信部202と、表示部203と、操作部204と、を有する。
【0025】
制御部201は、コントローラ20の各部を統括的に制御するユニットであり、例えばマイコンによって構成される。通信部202は、マルチコプター本体10の通信部107との間で無線通信を行う。表示部203は、例えば液晶表示部、またはLED表示部などで構成される。操作部204は、例えば、マルチコプター本体10を操作するためのスティックなどを有する。
【0026】
このような構成のマルチコプターの制御システム30では、ユーザがコントローラ30を手で把持し、操作部204によってマルチコプター本体10を操作する。この機体の操作には、例えば、昇降、回転、前後移動、左右移動が含まれる。ユーザによる操作部204の操作に応じて、制御部201は、操作信号を通信部202を介してマルチコプター本体10の通信部107に無線送信する。
【0027】
通信部107により受信された操作信号は、制御部104に送られる。制御部104は、受け取った操作信号に基づき駆動回路103A~103Dにモータ制御信号を出力する。駆動回路103A~103Dは、それぞれ受け取ったモータ制御信号に基づき、第1モータ101A~第4モータ101Dに駆動電流を出力して各モータを駆動制御する。具体的には、モータの回転数(回転速度)を制御することで、マルチコプター本体10の機体を操作する。なお、駆動回路103A~103Dは、第1モータ101A~第4モータ101Dに生じる電流信号または電圧信号に基づきモータの回転数を検出することができる。
【0028】
また、制御部104には、センサ群105からの検出信号が常に入力され、制御部104は、取得した検出信号に基づき駆動回路103A~103Dに適切なモータ制御信号を出力する。
【0029】
<1-2.寿命アラーム機能について>
本実施形態に係るマルチコプターの制御システム30は、モータが寿命に近づいていることを検出してユーザにアラームを通知する機能を有しており、以下、この機能について
図3および
図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0030】
ここで、制御部104に含まれる算出部104Aは、第1モータ101A~第4モータ101Dのそれぞれについて、モータに加わる負荷の時間的に累積した量を示す累積負荷量を算出する。算出された累積負荷量は、制御部104に含まれる記憶部104Dに記憶される。
【0031】
制御部104は、駆動回路103A~103Dによりそれぞれ検出されるモータの回転数と、温度センサT1~T4によりそれぞれ検出される巻線L1~L4の各巻線温度の乗算値を時間推移に従って累積することにより、累積負荷量を算出する。または、モータの回転数、温度センサによる検出値のいずれか一方を時間推移に従って累積して累積負荷量を算出してもよい。
【0032】
例えば、モータの寿命は、モータの軸受に含まれるグリースの寿命により決定される。グリースの寿命は、軸受の回転数と軸受の温度に依存する。従って、累積負荷量を上記のようにモータの回転数と巻線温度により算出することで、モータの寿命を把握することができる。
【0033】
マルチコプターに搭載されるモータは、マルチコプターの揚力、方向展開、および姿勢を維持するためなどにより大きな負荷が加わる。例えば、玉軸受を用いるモータの寿命を推定する一つの要素として、一般的に下記の数式を用いることができる。下記の数式は、グリースの寿命を表したものである。
log t = f1 - f2(n/Nmax) - (f3 - f4(n/Nmax))T
t:グリースの平均寿命
f1、f2、f3、f4:グリースにより決定される定数
n:軸受の回転速度
Nmax:グリース潤滑の許容回転数
T:軸受の温度
【0034】
上記数式のとおり、主に、軸受の回転数および温度によってグリースの平均寿命が変化する。特に、温度によってグリースの寿命は決定され、温度変化を伴う累積負荷量を算出することで、モータの寿命を推定することができる。
【0035】
本実施形態において、経時的な累積負荷量を算出することで、モータの寿命を把握することができる。つまり、ユーザの使用条件に応じた累積負荷量を算出することで、モータの寿命を把握することができる。
【0036】
ここで、
図5は、累積負荷量の2つのパターン(実線と一点鎖線)の一例を示す。実線と一点鎖線のパターンでは、モータ回転数と巻線温度による負荷状況が異なり、実線のほうが一点鎖線のパターンよりも負荷が大きいため、累積負荷量の上昇が速く、一点鎖線のパターンよりも先に累積負荷量が第1設定負荷量および第2設定負荷量に到達する。
【0037】
第2設定負荷量はモータの寿命付近に対応する所定の負荷量であり、第1設定負荷量は第2設定負荷量よりも低く設定された所定の負荷量である。つまり、第1設定負荷量は、モータが寿命に近づいていることを示す指標である。従って、
図5においては、負荷状況の違いにより、実線のほうが一点鎖線のパターンよりも寿命が短くなっている。
【0038】
例えば、マルチコプター本体10の操作部106による操作(電源ボタンのオン等)によって起動指示があると、
図3に示すフローチャートが開始される。まず、
図3のステップS1において、制御部104は、記憶部104Dに記憶された第1モータ101A~第4モータ101Dの累積負荷量のうち、対象のモータの累積負荷量を確認し、累積負荷量が第1設定負荷量以上であるかを判定する。第1設定負荷量以上でなければ(ステップS1のN)、ステップS11に進む。
【0039】
ステップS11では、制御部104によって、全てのモータについて累積負荷量の確認が済んだかを判定し、もし済んでいなければ(ステップS11のN)、制御部104は、対象のモータを変更し(ステップS12)、ステップS1に戻る。
【0040】
ステップS1で累積負荷量が第1設定負荷量以上である場合は(ステップS1のY)、ステップ2に進み、制御部104は、累積負荷量が第2設定負荷量以上であるかを判定する。もし、第2設定負荷量以上でない場合は(ステップS2のN)、対象のモータが寿命に近づいているとして、ステップS7に進む。
【0041】
ステップS7で、制御部104は、対象のモータは新たなモータへ交換されたかを判定する。モータ交換の判定は、例えば、モータに格納されたIDなどを読出し、IDなどが変化しているかを確認することで行える。
【0042】
もし、モータが交換されていなければ(ステップS7のN)、ステップS9に進み、制御部104に含まれる信号出力部104Bは、アラーム信号としての表示制御信号を表示部110へ出力する。これにより、表示部110は、対象のモータを交換することをユーザに促す表示を行う。表示部110が例えば液晶表示部である場合は、文字等の表示によってユーザにモータ交換を促してもよいし、表示部110が例えばLED表示部である場合は、対応するLEDを点灯することでユーザに点灯色によって対象モータの交換を促してもよい。なお、信号出力部104Bは、通信部107を用いてコントローラ20側に表示制御信号を送信し、コントローラ20の表示部203にアラーム表示を行わせるようにしてもよい。
【0043】
ステップS9の後、ステップS10に進み、制御部104は、第1モータ101A~第4モータ101Dを低速で回転させる低速回転モードの設定を行い、ステップS11に進む。
【0044】
一方、ステップS7で、対象のモータが新たなモータに交換されたと判定された場合は(ステップS7のY)、ステップS8に進み、制御部104は、対象の累積負荷量をゼロ負荷量へリセットする。ステップS8の後、ステップS11へ進む。
【0045】
また、ステップS2で、累積負荷量が第2設定負荷量以上である場合は(ステップS2のY)、対象のモータが寿命に到達した、または寿命に非常に近づいているとして、ステップS3へ進む。ステップS3で、制御部104は、対象のモータは新たなモータへ交換されたかを判定する。もし、交換されていない場合は(ステップS3のN)、信号出力部104Bは、アラーム信号としての表示制御信号を表示部110へ出力する。これにより、表示部110は、対象のモータを交換することをユーザに促す表示を行う。ここでの表示は、ステップS9での表示に比べて交換の緊急性を要することをユーザへ伝えるための表示としてもよい。
【0046】
そして、ステップS6に進み、制御部104は、少なくとも駆動回路103A~103Dに電源を供給しないように電源回路108を制御する。すなわち、第1モータ101A~第4モータ101Dへの通電を停止させ、マルチコプター本体10は起動しない。
【0047】
一方、ステップS3で、モータの交換がされている場合は(ステップS3のY)、ステップS4に進み、制御部104は、対象の累積負荷量をゼロ負荷量へリセットする。ステップS4の後、ステップS11へ進む。
【0048】
ステップS11で、第1モータ101A~第4モータ101Dの全てについて累積負荷量の確認が済んだ場合は(ステップS11のY)、ステップS13に進む。ステップS13で、制御部104は、駆動回路103A~103Dを含む各部に電源を供給するよう電源回路108を制御し、第1モータ101A~第4モータ101Dへの通電を可能とする。すなわち、マルチコプター本体10が起動する。以降、コントローラ20の操作により、マルチコプター本体10の飛行を制御することができる。
【0049】
なお、ここでステップS10により既に低速回転モードが設定されている場合は、以降、制御部104に含まれる指令部104Cは、第1モータ101A~第4モータ101Dの回転数を制限して駆動させるモータ制御信号を駆動回路103A~103Dへ送る。すなわち、指令部104Cは、低速回転モードでモータを駆動させる指令を行う。
【0050】
ステップS13でマルチコプター本体10が起動すると、
図4に示すフローチャートへ進む。
図4では、まずステップS21で、制御部104に含まれる算出部104Aは、第1モータ101A~第4モータ101Dのうち対象のモータについて累積負荷量を算出する。
【0051】
そして、ステップS22に進み、制御部104は、算出された累積負荷量は第1設定負荷量以上であるかを判定する。もし、第1設定負荷量以上でなければ(ステップS22のN)、ステップS28に進み、対象のモータを変更し、ステップS21に戻る。
【0052】
一方、累積負荷量が第1設定負荷量以上である場合は(ステップS22のY)、ステップS23に進み、制御部104は、累積負荷量が第2設定負荷量以上であるかを判定する。もし、第2設定負荷量以上でなければ(ステップS23のN)、ステップS25に進む。
【0053】
ステップS25で、制御部104に含まれる信号出力部104Bは、アラーム信号としての表示制御信号を通信部107へ出力する。これにより、表示制御信号は通信部107からコントローラ20側へ送られ、コントローラ20における表示部203は、表示制御信号に基づき対象のモータを交換することをユーザに促す表示を行う。これにより、マルチコプター本体10の飛行中に、ユーザは手元にあるコントローラ20にてアラームを確認できる。
【0054】
そして、ステップS26に進み、制御部104は、既に低速回転モードが設定されているかを判定し、もし設定されている場合は(ステップS26のY)、ステップS28に進む。一方、低速回転モードが設定されていない場合は(ステップS26のN)、ステップS27に進み、制御部104は、低速回転モードを設定する。以降、指令部104Cは、低速回転モードでモータを駆動させる指令を行う。ステップ27の後、ステップS28に進む。
【0055】
また、ステップS23で、累積負荷量が第2設定負荷量以上である場合は(ステップSS23のY)、ステップS24に進み、制御部104に含まれる信号出力部104Bは、アラーム信号としての表示制御信号を通信部107へ出力する。これにより、表示制御信号は通信部107からコントローラ20側へ送られ、コントローラ20における表示部203は、表示制御信号に基づき対象のモータを交換することをユーザに促す表示を行う。このときの表示は、ステップS25の表示に比べてモータ交換の緊急性が高いことを示す表示としてもよい。そして、ステップS28に進む。
【0056】
図4に示す処理は、ステップS28での対象モータの変更を繰り返しながら、マルチコプター本体10が起動している間、継続される。ここで、算出されて記憶部104Dに記憶された累積負荷量が、
図3に示す起動時の処理における判定に用いられることとなる。
【0057】
このように
図3および
図4に示す処理を行う本実施形態に係るマルチコプターの制御システムは、プロペラ(102A~102D)を回転させる複数のモータ(101A~101D)と、前記モータの駆動情報を読み取る制御部(104)と、を備え、
前記制御部は、前記モータの駆動時間に基づいて前記モータの累積負荷量を算出する算出部(104A)と、算出された前記累積負荷量が第1設定負荷量以上であるときに、アラーム信号を出力する信号出力部(104B)と、を備える。
【0058】
このような構成によれば、モータが寿命に近づいた場合にユーザにモータ交換を促すことができ、モータの交換を行うことによってマルチコプターは十分な揚力を得ることができる。すなわち、マルチコプターの飛行機能を十分に維持することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態では、前記モータとは異なる他のモータへ交換された場合に、前記算出部は、前記累積負荷量をゼロ負荷量へリセットすることとしている。これにより、モータが交換された場合に、リセットされた値から新たな累積負荷量を算出開始することができる。
【0060】
また、本実施形態では、前記制御部は、前記累積負荷量が前記第1設定負荷量以上であるときに、前記モータの回転数を制限して駆動する低速回転モードで前記モータを駆動させる指令を行う指令部(104C)をさらに備える。これにより、モータが寿命に近づいた場合に、寿命を延ばすことが可能となる。
【0061】
また、本実施形態では、前記モータとは異なる他のモータへ交換が行われた場合に、前記指令部は、前記低速回転モードを解除する。これにより、モータを交換すれば、モータを通常状態で駆動させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、前記制御部は、前記累積負荷量が前記第1設定負荷量よりも大きな第2設定負荷量以上であるときに、前記モータへの通電を停止する。これにより、モータが寿命に到達した、または、より寿命に近づいた場合に、マルチコプター本体の飛行を禁止することができる。
【0063】
また、本実施形態では、前記モータとは異なる他のモータへ交換が行われた場合に、前記制御部は、前記モータへの通電の停止を解除する。これにより、モータの交換をした場合に、マルチコプター本体の飛行を行うことができる。
【0064】
また、本実施形態に係るマルチコプターの制御システム30は、マルチコプター本体(10)と、前記マルチコプター本体を操作するコントローラ(20)と、を備え、
前記マルチコプター本体は、前記アラーム信号を、前記コントローラに送信する通信部(107)を備える。これにより、マルチコプター本体の飛行中に、ユーザは手元にあるコントローラでアラームを確認することができる。
【0065】
また、本実施形態では、前記算出部は、前記駆動時間に対する、前記モータの回転数情報と前記モータの温度情報のうち少なくとも一方の乗算によって前記累積負荷量を算出する。これにより、モータの寿命に関わる回転数および温度を考慮して累積負荷量を算出することができる。
【0066】
また、マルチコプターの制御システム30は、前記モータの巻線温度を検出する温度センサ(T1~T4)をさらに備え、前記モータの温度情報は、前記温度センサにより検出される温度である。これにより、特にモータの寿命に関連する巻線温度に基づいて累積負荷量を算出することができる。
【0067】
また、本実施形態では、前記累積負荷量は、複数の前記モータの各々について算出され、算出された各々の前記累積負荷量は前記第1設定負荷量以上であるかを判定される。これにより、いずれのモータを交換すべきかをアラーム信号によりユーザが確認できる。
【0068】
<1-3.第1実施形態の第1変形例>
図6は、上記実施形態の第1変形例に係るマルチコプターの制御システムにおけるマルチコプター本体10aのブロック構成図である。
【0069】
図6に示すマルチコプター本体10aは、先述した第1実施形態との構成上の相違点として、温度センサT1a~T4aを有する。温度センサT1a~T4aは、第1モータ101A~第4モータ101Dのそれぞれの筐体の外壁面に固定される。制御部104は、温度センサT1a~T4aによる検出信号に基づいて累積負荷量を算出する。このような実施形態によっても、寿命に関連するモータ温度を考慮して累積負荷量を算出することができる。
【0070】
<1-4.第1実施形態の第2変形例>
図7は、上記実施形態の第2変形例に係るマルチコプターの制御システムのブロック構成図である。
図7に示すマルチコプターの制御システムは、マルチコプター本体10bと、コントローラ20aと、を備える。
【0071】
本変形例では、コントローラ20aに含まれる制御部1201が、算出部1201Aと、信号出力部1201Bと、指令部1201Cと、記憶部1201Dと、を有する。すなわち、制御部は、マルチコプター本体(第1実施形態)またはコントローラ(本変形例)のいずれか一方に備わればよい。
【0072】
本変形例に係るマルチコプターの制御システムにおいても、先述した
図3および
図4の処理は行われるが、下記のような相違点がある。
【0073】
図4のステップS21においては、算出部1201Aが累積負荷量の算出を行う。このとき、算出部1201Aは、通信部202を用いた通信により、マルチコプター本体の制御部104aにモータの回転数と巻線温度の情報を要求して取得する。算出された累積負荷量は、記憶部1201Dに記憶される。
【0074】
ステップS22、S23の判定処理は、制御部1201が行う。ステップS24、S25のアラーム表示は、制御部1201の信号出力部1201Bが表示部203に行わせる。ステップS26の判定処理は制御部1201が行い、ステップS27では、制御部1201の指令部1201Cが通信部202を用いた通信により制御部104aに低速回転モードの設定を行う。
【0075】
また、
図3におけるステップS1、S2では、制御部1201が記憶部1201Dに記憶された累積負荷量に基づき判定を行う。ステップS3、S7では、制御部1201がモータが交換済であるかを判定する。このとき、制御部1201は、例えば制御部104aに対してモータのIDなどを要求する。
【0076】
また、ステップS4、S8では、制御部1201が累積負荷量をゼロ負荷量にリセットする。ステップS5、S9では、制御部1201の信号出力部1201Bが表示部203または表示部110にアラーム表示を行わせる。ステップS6では、制御部1201が、制御部104aにモータの通電を停止させる。また、ステップS10では、制御部1201の指令部1201Cが通信部202を用いた通信により制御部104aに低速回転モードの設定を行う。そして、ステップS13では、制御部1201が制御部104aに起動を指令する。
【0077】
<1-5.第1実施形態のその他の変形例>
また、上記第1実施形態のさらに別の変形例として、マルチコプター本体10の制御部104が、算出部104Aにより算出された累積負荷量のデータを、通信部107による通信を用いて、コントローラ20の制御部201へ送信するようにしてもよい。すなわち、マルチコプター本体(10)は、算出された前記累積負荷量のデータを、コントローラ(20)に送信する通信部(107)を備えることとしてもよい。
【0078】
これにより、マルチコプター本体の飛行中に、ユーザの手元にあるコントローラに累積負荷量のデータが送信され、コントローラで累積負荷量を把握することが可能となる。
【0079】
また、上記第1実施形態では、累積負荷量は、第1モータ101A~第4モータ101Dの各々について算出していたが、各モータについて算出された累積負荷量の平均値として算出してもよい。すなわち、累積負荷量は、複数のモータにおける平均値として算出してもよい。
【0080】
これにより、累積負荷量の第1設定負荷量との比較判定処理を簡易化することができる。
【0081】
<2.第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
図8は、本開示の第2実施形態に係るマルチコプターの制御システム60のブロック構成図である。
【0082】
本実施形態に係るマルチコプターの制御システム60は、マルチコプター本体40と、コントローラ50と、を備える。マルチコプター本体40の上記第1実施形態との相違点は、制御部1041と、測位システム111を備えることである。測位システム111は、マルチコプター本体40の現在地を測定する。
【0083】
コントローラ50の上記第1実施形態との相違点は、制御部2011を備えることである。制御部2011は、算出部2011A、累積負荷量推定部2011B、指令部2011C、記憶部2011D、信号出力部2011E、および目的地設定部2011Fを有する。
【0084】
このような構成であるマルチコプターの制御システム60における寿命アラーム機能について
図9および
図10のフローチャートを用いて説明する。
【0085】
操作部204の操作により目的地設定部2011Fがマルチコプター本体40の目的地を設定し、起動指示がなされると、
図9に示すフローチャートが開始される。まず、
図9のステップS31で、累積負荷量推定部2011Bは、マルチコプター本体40が現在地から目的地まで飛行した際に受けると推定される推定累積負荷量を第1モータ101A~第4モータ101Dのうち対象のモータについて算出する。
【0086】
例えば、累積負荷量推定部2011Bは、測位システム111により測定される現在地と、目的地設定部2011Fにより設定された目的地とから決定される飛行予定経路と、前回のマルチコプター本体40の起動中に累積された分の累積負荷量と、前回のマルチコプター本体40の実際の飛行経路と、に基づいて推定累積負荷量を算出する。なお、前回の起動中に累積された分の累積負荷量のデータは、記憶部2011Dに記憶させることができる。また、前回のマルチコプター本体40の実際の飛行経路は、前回の起動中に測位システム111により測定された現在地のデータを逐次、記憶部2011Dに記憶させることで把握することができる。
【0087】
次に、ステップS32で、制御部2011は、記憶部2011Dに記憶される累積負荷量と、上記算出された推定累積負荷量との和が第1設定負荷量以上であるかを判定する。もし、第1設定負荷量以上でない場合は(ステップS32のN)、ステップS37に進む。ステップS37では、制御部2011は、全てのモータについて判定したかを確認し、もしそうでない場合は(ステップS37のN)、ステップS38に進み、対象のモータを変更し、ステップS31に戻る。
【0088】
一方、ステップS32で、第1設定負荷量以上である場合は(ステップS32のY)、ステップS33に進み、制御部2011は、対象のモータが新たなモータに既に交換されているかを判定する。もし、交換されていない場合は(ステップS33のN)、ステップS34に進み、信号出力部2011Eは、アラーム信号としての表示制御信号を表示部203へ出力する。これにより、表示部203は、表示制御信号に基づき対象のモータを交換することをユーザに促す表示を行う。
【0089】
この場合、ステップS35に進み、制御部2011は、マルチコプター本体40の制御部1041に起動指示を行わないので、マルチコプター本体40は起動しない。
【0090】
もし、ステップS33で、既にモータが交換されている場合は(ステップS33のY)、ステップS36に進み、制御部2011は、記憶部2011Dに記憶された累積負荷量をゼロ負荷量にリセットする。そして、ステップS37に進む。
【0091】
ステップS37で、全てのモータについて判定が済んでいる場合は(ステップS37のY)、ステップS39に進み、制御部2011は、マルチコプター本体40の制御部1041に通信部202による通信を介してマルチコプター本体40の起動を指示する。これにより、制御部1041は、駆動回路103A~103Dを含む各部に電源を供給するよう電源回路108を制御し、第1モータ101A~第4モータ101Dへの通電を可能とする。すなわち、マルチコプター本体40が起動する。
【0092】
以降、例えば、制御部2011によって現在地と目的地とから決定されて制御部1041へ送られた飛行予定経路のデータに基づき、制御部1041が駆動回路103A~103Dを介して第1モータ101A~第4モータ101Dを駆動制御し、マルチコプター本体40を目的地へ導くように制御する。
【0093】
マルチコプター本体40が起動すると、
図10に示すフローチャートが開始される。まず、
図10のステップS41で、算出部2011Aは、対象のモータについて累積負荷量を算出する。制御部1041から通信部107による通信を介して送られるモータの回転数データ、および巻線温度データに基づき累積負荷量は算出される。
【0094】
そして、ステップS42で、制御部2011は、算出された累積負荷量は第1設定負荷量以上であるかを判定し、もしそうでない場合は(ステップS42のN)、ステップS46に進み、対象モータを変更し、ステップS41に戻る。
【0095】
もし、ステップS42で、累積負荷量が第1設定負荷量以上である場合は(ステップS42のY)、ステップS43に進み、信号出力部2011Eは、アラーム信号としての表示制御信号を表示部203へ出力する。これにより、表示部203は、表示制御信号に基づき対象のモータを交換することをユーザに促す表示を行う。
【0096】
次に、ステップS44で、制御部2011は、低速回転モードがマルチコプター本体40に設定されているかを判定し、設定されていない場合は(ステップS44のN)、ステップS45に進む。ステップS45で、指令部2011Cは、通信部202による通信を介して制御部1041に低速回転モードを設定させる。これにより、マルチコプター本体40は、低速回転モードでの動作へ移行する。そして、ステップS46に進む。
【0097】
一方、ステップS44で、低速回転モードに設定されている場合は(ステップS44のY)、ステップS46に進む。
【0098】
図10に示す処理は、ステップS46での対象モータの変更を繰り返しながら、マルチコプター本体40が起動している間、継続される。ここで、算出されて記憶部104Dに記憶された累積負荷量が、
図9に示す起動時の処理における判定に用いられることとなる。
【0099】
このように
図9および
図10に示す処理を行う本実施形態に係るマルチコプターの制御システムは、プロペラを回転させる複数のモータ(101A~101D)を有するマルチコプター本体(40)と、
前記モータの駆動情報を読み取る制御部(2011)と、
前記マルチコプター本体の現在地を測定する測位システム(111)と、
前記マルチコプター本体の目的地を設定する目的地設定部(2011F)と、
前記マルチコプター本体が、前記現在地から前記目的地まで飛行した際に受けると推定される推定累積負荷量を算出する累積負荷量推定部(2011B)と、
を備え、
前記制御部は、
前記モータの駆動時間に基づいて前記モータの累積負荷量を算出する算出部(2011A)と、
算出された前記累積負荷量が第1設定負荷量以上であるときに、アラーム信号を出力する信号出力部(2011E)と、
を備え、
前記累積負荷量が前記第1設定負荷量よりも低いときに、
前記累積負荷量と前記推定累積負荷量との和が、前記第1設定負荷量以上であるときに、前記信号出力部がアラーム信号を出力する構成である。
【0100】
このような構成によれば、第1実施形態と同様の効果を享受できると共に、現在の累積負荷量が第1設定負荷量より低くても、現在地から目的地への飛行による負荷によって予想される累積負荷量が第1設定負荷量以上となれば、飛行前にあらかじめユーザにアラームを知らせることができる。
【0101】
また、本実施形態では、前記モータとは異なる他のモータへ交換された場合に、前記算出部は、前記累積負荷量をゼロ負荷量へリセットすることとしている。これにより、上記アラームによりモータ交換を促されたユーザが、モータを交換すれば、リセットした値から新たな累積負荷量を算出開始できる。
【0102】
また、本実施形態では、前記累積負荷量および前記推定累積負荷量は、複数の前記モータの各々について算出され、算出された各々の前記累積負荷量および前記推定累積負荷量の和は前記第1設定負荷量以上であるかを判定されることとしている。これにより、複数のモータ個々についてアラームを出力でき、どのモータを交換すべきかをユーザに伝えることができる。
【0103】
なお、累積負荷量および推定累積負荷量は、第1モータ101A~第4モータ101Dの各々について算出された値の平均値として算出してもよい。すなわち、前記累積負荷量および前記推定累積負荷量は、複数の前記モータにおける平均値として算出してもよい。これにより、累積負荷量と推定累積負荷量との和についての判定処理が簡易化される。
【0104】
<3.その他>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変更が可能である。
【0105】
例えば、上記信号出力部は、アラーム信号として音声信号を出力してもよい。すなわち、音声によってユーザにモータ交換を促すようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本開示は、ホビー用途、業務用途などのマルチコプターに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0107】
10、10a、10b・・・マルチコプター本体、100・・・本体部、100A~100D・・・アーム、101A・・・第1モータ、101B・・・第2モータ、101C・・・第3モータ、101D・・・第4モータ、102A・・・第1プロペラ、102B・・・第2プロペラ、102C・・・第3プロペラ、102D・・・第4プロペラ、103A~103D・・・駆動回路、104、104a・・・制御部、104A・・・算出部、104B・・・信号出力部、104C・・・指令部、104D・・・記憶部、105・・・センサ群、106・・・操作部、107・・・通信部、108・・・電源回路、109・・・バッテリ、110・・・表示部、111・・・測位システム、L1~L4・・・巻線、T1~T4、T1a~T4a・・・温度センサ、20、20a・・・コントローラ、201、1201・・・制御部、202・・・通信部、203・・・表示部、204・・・操作部、1201A・・・算出部、1201B・・・信号出力部、1201C・・・指令部、1201D・・・記憶部、30・・・マルチコプター本体の制御システム、40・・・マルチコプター本体、1041・・・制御部、50・・・コントローラ、2011・・・制御部、2011A・・・算出部、2011B・・・累積負荷量推定部、2011C・・・指令部、2011D・・・記憶部、2011E・・・信号出力部、2011F・・・目的地設定部、60・・・マルチコプターの制御システム