(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】洗車機
(51)【国際特許分類】
B60S 3/06 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
B60S3/06
(21)【出願番号】P 2019094517
(22)【出願日】2019-05-20
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 晃
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-105513(JP,A)
【文献】特開平5-193461(JP,A)
【文献】特開平5-170054(JP,A)
【文献】特開昭57-191152(JP,A)
【文献】特開2009-096328(JP,A)
【文献】特開2017-001578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄車両を洗浄する洗車機であって、
前記被洗浄車両の上面を洗浄するトップブラシと、前記被洗浄車両の前面および側面を洗浄するサイドブラシと、前記トップブラシまたは前記サイドブラシによる洗浄に先立って、前記被洗浄車両に対して上方からプレリンス液としての水を噴射するトッププレリンス噴射部とを有し、前記被洗浄車両に対して相対的に移動して前記被洗浄車両を洗浄する洗車機本体と、
前記被洗浄車両の車種および洗浄モードについての外部からの指定入力を受け付ける操作部と、
前記操作部で受け付けた前記車種および前記洗浄モードに応じて、前記トップブラシおよび前記サイドブラシの駆動と、前記トッププレリンス噴射部による前記プレリンス液の噴射とを制御する制御部とを備え、
前記洗浄モードは、前記被洗浄車両の上面を洗浄する第1の洗浄モードと、前記被洗浄車両の上面の少なくとも一部に対して洗浄の実行を停止する第2の洗浄モードとを含み、
前記第2の洗浄モードは、前記トッププレリンス噴射部によって前記プレリンス液を噴射するプレリンスON期間と、前記プレリンス液の噴射を停止するプレリンスOFF期間とを含み、
前記制御部は、前記操作部によって前記車種および前記第2の洗浄モードが指定されたときに、前記プレリンスON期間では、前記トップブラシを前記被洗浄車両の上面と摺動させる摺動モードと、前記トップブラシを前記被洗浄車両の上面から離間させる離間モードとを、指定された前記車種に応じて切り替える一方、前記プレリンスOFF期間では、前記トップブラシを前記被洗浄車両の上面から離間させることを特徴とする洗車機。
【請求項2】
前記第2の洗浄モードでは、前記プレリンスON期間と前記プレリンスOFF期間とがこの順で連続することを特徴とする請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記制御部は、前記プレリンスOFF期間において、前記トップブラシが前記被洗浄車両の上面から離間している間、前記トップブラシを回転させることを特徴とする請求項2に記載の洗車機。
【請求項4】
前記制御部は、前記プレリンスON期間では、前記車種が、箱型の荷台を有するトラック、トレーラー、または平らな荷台を有する平ボディ車である場合に、前記トップブラシを前記摺動モードで駆動する一方、前記車種がバスである場合に、前記トップブラシを前記離間モードで駆動することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の洗車機。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作部によって前記車種および前記第2の洗浄モードが指定されたときに、前記トップブラシによる前記被洗浄車両の後面の洗浄の実行および停止を、前記車種に応じて切り替えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の洗車機。
【請求項6】
前記制御部は、前記車種が、箱型の荷台を有するトラック、トレーラー、またはバスである場合には、前記トップブラシを駆動して前記被洗浄車両の後面の洗浄を実行させる一方、前記車種が、平らな荷台を有する平ボディ車である場合には、前記トップブラシによる前記被洗浄車両の後面の洗浄の実行を停止させることを特徴とする請求項5に記載の洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄車両を洗浄する洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、節水を目的とした洗車機が種々提案されている。例えば特許文献1では、洗浄ブラシによる洗浄動作中に、洗浄ブラシが被洗浄車両の洗浄に関与していない状況になったときに、ノズルからの洗浄水の散布を停止または制限することにより、節水を図るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗車機で被洗浄車両の上面を洗浄する場合、例えば門型の洗車機本体を被洗浄車両の前端から後端に向かう方向に移動させながら、洗車機本体に設けられたトップブラシを被洗浄車両の上面と摺動させる。このとき、被洗浄車両の上面が乾いていると、トップブラシが摺動したときに乾拭き状態となり、被洗浄車両の上面が傷つくおそれがある。このような上面の傷つきを回避するためには、被洗浄車両の上面を濡らしておくことが必要である。そこで、通常では、トップブラシによる洗浄に先立って、被洗浄車両に対して上方から水(以下では、「プレリンス液」とも称する)を噴射することが行われる。
【0005】
一方、被洗浄車両が例えばトラックである場合、トラックの上面の洗浄に関して、上面全体(キャビン上面+荷台上面)の洗浄を希望するユーザも存在するし、トラックのキャビン上面のみの洗浄を希望する(荷台上面の洗浄を希望しない)ユーザも存在する。そこで、洗車機では、通常、操作パネルにおいて、ユーザによる洗浄部位等の指定を受け付け、その指定に応じて洗車機本体を駆動して被洗浄車両を洗浄するようにしている。
【0006】
ここで、トラックのキャビン上面のみの洗浄が指定された場合、トップブラシによるキャビン上面の洗浄が終了した時点で、トップブラシを被洗浄車両の上面から離間させる。これにより、トップブラシによる荷台上面の洗浄を回避することができる。したがって、トップブラシが被洗浄車両の上面から離間している間、プレリンス液の噴射を停止させれば、節水を図ることができる。
【0007】
しかし、節水を図るべく、トップブラシが被洗浄車両の上面から離間している間、一律にプレリンス液の噴射を停止させると、被洗浄車両の車種によっては他の不都合が生じる場合がある。例えば、被洗浄車両がバスであり、バスの側面のみの洗浄が指定された場合(バスの上面全体の洗浄の停止が指定された場合)、バスの前面は、洗車機本体の左右に位置する一対のサイドブラシを閉じる(左右の間隔を狭める)ことによって洗浄される。これは、トップブラシを下降させてバスの前面を洗浄しようとすると、トップブラシがバスの前面から突出したミラーに当たってミラーを損傷させるおそれがあるためである。したがって、バスの前面洗浄時には、トップブラシはバスの上面から離間している。このときに、バスに対して上方からのプレリンス液の噴射を停止させると、バスの前面(特にフロントガラス上部)が乾いた状態でサイドブラシが当たるため、バスの前面が傷つくおそれがある。
【0008】
したがって、洗車機においては、被洗浄車両の上面の少なくとも一部に対して洗浄の実行を停止する洗浄モードが指定された場合に、トップブラシまたはサイドブラシによる被洗浄車両の傷つきを、被洗浄車両の車種に関係なく低減しながら、プレリンス液の噴射を制御して使用水量を削減できる構成を実現することが望ましい。しかし、そのような構成の洗車機は、未だ提案されていない。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、被洗浄車両の上面の少なくとも一部に対して洗浄の実行を停止する洗浄モードが指定されたときに、トップブラシまたはサイドブラシによる洗浄時の被洗浄車両の傷つきを車種に関係なく低減しながら、使用水量を削減することができる洗車機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面に係る洗車機は、被洗浄車両を洗浄する洗車機であって、前記被洗浄車両の上面を洗浄するトップブラシと、前記被洗浄車両の前面および側面を洗浄するサイドブラシと、前記トップブラシまたは前記サイドブラシによる洗浄に先立って、前記被洗浄車両に対して上方からプレリンス液としての水を噴射するトッププレリンス噴射部とを有し、前記被洗浄車両に対して相対的に移動して前記被洗浄車両を洗浄する洗車機本体と、前記被洗浄車両の車種および洗浄モードについての外部からの指定入力を受け付ける操作部と、前記操作部で受け付けた前記車種および前記洗浄モードに応じて、前記トップブラシおよび前記サイドブラシの駆動と、前記トッププレリンス噴射部による前記プレリンス液の噴射とを制御する制御部とを備え、前記洗浄モードは、前記被洗浄車両の上面を洗浄する第1の洗浄モードと、前記被洗浄車両の上面の少なくとも一部に対して洗浄の実行を停止する第2の洗浄モードとを含み、前記第2の洗浄モードは、前記トッププレリンス噴射部によって前記プレリンス液を噴射するプレリンスON期間と、前記プレリンス液の噴射を停止するプレリンスOFF期間とを含み、前記制御部は、前記操作部によって前記車種および前記第2の洗浄モードが指定されたときに、前記プレリンスON期間では、前記トップブラシを前記被洗浄車両の上面と摺動させる摺動モードと、前記トップブラシを前記被洗浄車両の上面から離間させる離間モードとを、指定された前記車種に応じて切り替える一方、前記プレリンスOFF期間では、前記トップブラシを前記被洗浄車両の上面から離間させる。
【0011】
前記第2の洗浄モードでは、前記プレリンスON期間と前記プレリンスOFF期間とがこの順で連続することが望ましい。
【0012】
前記制御部は、前記プレリンスOFF期間において、前記トップブラシが前記被洗浄車両の上面から離間している間、前記トップブラシを回転させることが望ましい。
【0013】
前記制御部は、前記プレリンスON期間では、前記車種が、箱型の荷台を有するトラック、トレーラー、または平らな荷台を有する平ボディ車である場合に、前記トップブラシを前記摺動モードで駆動する一方、前記車種がバスである場合に、前記トップブラシを前記離間モードで駆動することが望ましい。
【0014】
前記制御部は、前記操作部によって前記車種および前記第2の洗浄モードが指定されたときに、前記トップブラシによる前記被洗浄車両の後面の洗浄の実行および停止を、前記車種に応じて切り替えることが望ましい。
【0015】
前記制御部は、前記車種が、箱型の荷台を有するトラック、トレーラー、またはバスである場合には、前記トップブラシを駆動して前記被洗浄車両の後面の洗浄を実行させる一方、前記車種が、平らな荷台を有する平ボディ車である場合には、前記トップブラシによる前記被洗浄車両の後面の洗浄の実行を停止させることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記の構成によれば、被洗浄車両の上面の少なくとも一部に対して洗浄の実行を停止する洗浄モード(第2の洗浄モード)が指定されたとき、プレリンスON期間では、プレリンス液の噴射により、被洗浄車両の上面または前面がプレリンス液で濡れる。これにより、被洗浄車両の上面と摺動するトップブラシまたは被洗浄車両の前面と摺動するサイドブラシを濡らすことができる。したがって、摺動モードと離間モードとを車種に応じて切り替えることにより、摺動モードでは、トップブラシによる洗浄時の被洗浄車両(例えばトラック)の上面の傷つきを低減することができ、離間モードでは、サイドブラシによる洗浄時の被洗浄車両(例えばバス)の前面の傷つきを低減することができる。つまり、トップブラシまたはサイドブラシによる被洗浄車両の傷つきを、車種に関係なく低減することができる。また、プレリンスOFF期間では、トップブラシが被洗浄車両の上面から離間することで、被洗浄車両の上面の洗浄が停止されるが、このときにプレリンス液の噴射が停止されるため、不要なプレリンス液の消費を回避して、使用水量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係る洗車機の概略の構成を示す側面図である。
【
図2】上記洗車機が備える洗車機本体の正面図である。
【
図3】上記洗車機の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図4】被洗浄車両の上面の少なくとも一部に対して洗浄の実行を停止する洗浄モードにおいて、上記被洗浄車両としてトラックまたはトレーラーを洗浄する場合のプレリンス液の噴射の有無およびトップブラシの駆動の有無を模式的に示す説明図である。
【
図5】上記洗浄モードにおいて、上記被洗浄車両として平ボディ車を洗浄する場合のプレリンス液の噴射の有無およびトップブラシの駆動の有無を模式的に示す説明図である。
【
図6】上記洗浄モードにおいて、上記被洗浄車両としてバスを洗浄する場合のプレリンス液の噴射の有無およびトップブラシの駆動の有無を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明は、以下の内容に限定されるわけではない。
【0019】
〔1.洗車機の構成〕
図1は、本実施形態の洗車機WAの概略の構成を示す側面図であり、
図2は、洗車機WAが備える洗車機本体1の正面図である。洗車機WAは、被洗浄車両CAとして大型車を洗浄する洗車機である。上記大型車としては、箱型の荷台を有するトラック(以下、単にトラックとも称する)、トレーラー(トラクター+トレーラー部)、平らな荷台を有する平ボディ車、バスなどを想定することができる。
【0020】
この洗車機WAは、洗車機本体1と、レール2と、リモートパネル60(
図3参照)とを備えている。洗車機本体1は、左右の対向する2つのスタンド部90と、スタンド部90の上端を連結する天井部91とを有して門型に形成され、被洗浄車両CAを跨ぐように配置されて被洗浄車両CAを洗浄する。
【0021】
左右一対のレール2は地面に敷設され、洗車機本体1の底面に設けた車輪3がレール2上に配される。これにより、洗車機本体1は、走行モータ25(
図3参照)の駆動によりレール2上を走行して被洗浄車両CAに対して前後に相対移動する。
【0022】
リモートパネル60(
図3参照)は、洗車機本体1への被洗浄車両CAの進入経路上に配され、外部からの指定入力を受け付ける操作部である。被洗浄車両CAをリモートパネル60の近傍に停車させることにより、ユーザ(例えば被洗浄車両のドライバー)は、リモートパネル60に対して各種の指定入力を行うことができる。リモートパネル60の操作により、例えば洗車の受け付け、車種の選択、洗車条件の設定(洗浄モードの指定)等が行われる。
【0023】
洗車機本体1には、被洗浄車両CA上に摺動してブラッシングする複数の回転ブラシが設けられる。回転ブラシは、トップブラシ4およびサイドブラシ5を含む。トップブラシ4は、トップブラシ駆動モータ4a(
図3参照)により回転駆動される。サイドブラシ5は、サイドブラシ駆動モータ5a(
図3参照)により回転駆動される。
【0024】
トップブラシ4は、洗車機本体1に支持される水平な回転軸(不図示)に布(織布、編布、不織布等)や樹脂繊維から成るブラシ毛(不図示)を放射状に固着して形成される。トップブラシ4の回転軸は、ワイヤー(不図示)を介してトップブラシ昇降モータ24(
図3参照)に連結される。トップブラシ昇降モータ24の駆動によってトップブラシ4が昇降し、被洗浄車両CAに対して接離する。これにより、トップブラシ4が被洗浄車両CAに沿って移動し、トップブラシ4の摺動により被洗浄車両CAの上面が洗浄される。
【0025】
サイドブラシ5は左右一対設けられ、洗車機本体1に支持される鉛直な回転軸(不図示)にトップブラシ4と同様のブラシ毛を固着して形成される。サイドブラシ5の摺動により被洗浄車両CAの両側面が洗浄される。サイドブラシ5の回転軸は、アーム(不図示)を介してサイドブラシ移動モータ23(
図3参照)に連結される。サイドブラシ移動モータ23の駆動によってサイドブラシ5が洗車機本体1の走行方向に対して垂直な方向(被洗浄車両の幅方向、左右方向)に移動し、被洗浄車両CAに対して接離する。なお、洗車機本体1は、被洗浄車両CAのタイヤを含む側面下部を洗浄するロッカーブラシを備えていてもよい。
【0026】
なお、被洗浄車両CAが大型車である場合、被洗浄車両の運転席の斜め前方および助手席の斜め前方には、少なくとも1個のミラーが突出形成されている。このため、被洗浄車両CAの前面を洗浄する際に、トップブラシ4を下降させると、トップブラシ4が上記ミラーに当たって上記ミラーを損傷させる可能性がある。このため、被洗浄車両CAの前面の洗浄は、トップブラシ4ではなく、サイドブラシ5によって行われる。例えば、左右のサイドブラシ5を閉じて(左右の間隔を狭めて)被洗浄車両CAの前面に摺動させるとともに、上記ミラーに当たらない範囲で各サイドブラシ5を左右方向に移動させることにより、被洗浄車両CAの前面を洗浄することができる。
【0027】
洗車機本体1の2つのスタンド部90の車両入口側の端部には、車両センサ8が設けられる。車両センサ8は、各スタンド部90に縦方向に並設された複数の光電センサにより形成される。一方のスタンド部90に設けた車両センサ8の投光部と他方のスタンド部90に設けた車両センサ8の受光部との間を被洗浄車両CAが通過して遮光することで、被洗浄車両CAの有無(前端、後端を含む)、車形(外面形状)および車両長さが検知され、洗車機本体1の走行範囲が決められる。なお、車両センサ8は、超音波センサ等の他の装置により形成されてもよい。また、車両センサ8の各投光部(各受光部)は、洗車機本体1の走行方向(
図1の左右方向)に並んで配置されていてもよい。
【0028】
洗車機本体1の一方のスタンド部90の前面には、操作パネル7が配される。操作パネル7は、リモートパネル60と同様の操作ボタンを備えた操作部であり、外部からの指定入力を受け付ける。操作パネル7は、例えば被洗浄車両CAから降車したドライバーまたは洗車場の従業員や管理者によって操作され、これによって洗車の受け付け、車種の選択、洗車条件等の指定が行われる。
【0029】
また、洗車機本体1には、トッププレリンス噴射部11と、サイドプレリンス噴射部12とが設けられている。トッププレリンス噴射部11は、トップブラシ4またはサイドブラシ5による洗浄に先立って、被洗浄車両CAに対して上方から水を噴射する。なお、上記水のことを、トッププレリンス液または単にプレリンス液とも称する。洗車機本体1において、トッププレリンス噴射部11は、トップブラシ4に対して、洗車機本体1が被洗浄車両CAの前端から後端に向かう走行方向の下流側に位置している。
【0030】
サイドプレリンス噴射部12は、サイドブラシ5による洗浄に先立って、被洗浄車両CAに対して側方から水を噴射する。なお、上記水のことを、サイドプレリンス液または単にプレリンス液とも称する。洗車機本体1において、サイドプレリンス噴射部12は、サイドブラシ5に対して、洗車機本体1が被洗浄車両CAの前端から後端に向かう走行方向の下流側に位置している。
【0031】
また、図示しないが、洗車機本体1には、被洗浄車両CAに市水、シャンプー、ワックス等を噴射する噴射ノズルが設けられる。なお、洗車機本体1には、必要に応じて、洗浄後の被洗浄車両CAを乾燥させる送風装置が設けられてもよい。
【0032】
図3は、洗車機WAの主要部の構成を示すブロック図である。洗車機WAは、制御部10を備えている。制御部10は、例えばCPUで構成されており、洗車機WAの各部の動作を制御する。この制御部10には、操作パネル7、リモートパネル60、車両センサ8、電流検出部26、記憶部9、走行モータ25、トップブラシ駆動モータ4a、サイドブラシ駆動モータ5a、トップブラシ昇降モータ24、サイドブラシ移動モータ23、トッププレリンス噴射部11およびサイドプレリンス噴射部12が接続されている。
【0033】
電流検出部26は、トップブラシ駆動モータ4aの駆動電流(以下、単に「トップブラシ4の駆動電流」という)およびサイドブラシ駆動モータ5aの駆動電流(以下、単に「サイドブラシ5の駆動電流」という)を検出する。これにより、トップブラシ4およびサイドブラシ5の回転時の各モータの負荷が検知される。
【0034】
記憶部9は、RAM、ROM、不揮発性メモリなどからなり、制御部10により実行される動作プログラムおよび制御データが記憶される。
【0035】
走行モータ25は、被洗浄車両CAの前側から後側に向かう一方向およびその逆方向に、洗車機本体1を走行させる。
【0036】
上記構成の洗車機WAでは、リモートパネル60等によって指定された洗車条件に基づいて洗車機本体1が被洗浄車両CAに対して前後方向に走行する。そして、被洗浄車両CAには、各種ノズルから市水や液剤が噴射され、洗車機本体1に設けた各回転ブラシが被洗浄車両CAに摺動して被洗浄車両CAの洗浄が行われる。例えば、洗車機本体1を一往復させる洗車コースが設定された場合、洗車機本体1の往路で被洗浄車両CAの洗浄(市水+液剤の噴射)を行い、復路ですすぎ(市水の噴射のみ)を行うことで、被洗浄車両CAの洗車が完了する。
【0037】
〔2.被洗浄車両の洗浄方法の詳細について〕
本実施形態では、上記した洗車機WAにおいて、制御部10が、リモートパネル60または操作パネル7で受け付けた車種および洗浄モードに応じて、トップブラシ4およびサイドブラシ5の駆動と、トッププレリンス噴射部11によるプレリンス液(トッププレリンス液)の噴射とを制御する。
【0038】
ここで、上記の洗浄モードには、第1の洗浄モードと、第2の洗浄モードとが含まれる。第1の洗浄モードは、被洗浄車両CAの上面を洗浄する洗浄モードである。第1の洗浄モードが指定された場合、制御部10は、指定された車種に関係なく、トッププレリンス噴射部11からプレリンス液を被洗浄車両CAの上面に向かって噴射させるとともに、トップブラシ4を回転させながら被洗浄車両の上面に摺動させる。これにより、被洗浄車両の上面を洗浄することができる。
【0039】
一方、第2の洗浄モードは、被洗浄車両CAの上面の少なくとも一部に対して洗浄の実行を停止する洗浄モードである。例えば、ユーザがトラックのキャビン上面のみの洗浄を希望する場合(荷台上面の洗浄を希望しない場合)や、バスの上面全体の洗浄を希望しない場合(側面のみの洗浄を希望する場合)、ユーザがリモートパネル60等を操作することにより、第2の洗浄モードが指定される。その場合、制御部10は、指定された車種に応じて以下の制御を行う。
【0040】
なお、第2の洗浄モードでは、被洗浄車両CAの前面および側面をサイドブラシ5によって洗浄するとともに、サイドブラシ5による洗浄に先立って、サイドプレリンス噴射部12からプレリンス液(サイドプレリンス液)を被洗浄車両CAの側面に向けて噴射させるが、サイドプレリンス液の噴射およびサイドブラシ5による洗浄動作は、指定された車種に関係なく共通して行われる。そのため、ここでは主に、トッププレリンス液の噴射およびトップブラシ4による洗浄動作について説明し、必要に応じてサイドブラシ5による洗浄動作の説明を加える。なお、以下では、特に断らない限り、「プレリンス液」は、「トッププレリンス液」を指すとする。
【0041】
(2-1.被洗浄車両がトラックまたはトレーラーである場合)
図4は、第2の洗浄モードにおいて、トラックまたはトレーラーを洗浄する場合のプレリンス液の噴射の有無およびトップブラシ4の駆動の有無を模式的に示している。なお、
図4において、トッププレリンスの「ON」は、トッププレリンス噴射部11によってプレリンス液を噴射するプレリンスON期間を示し、トッププレリンスの「OFF」は、トッププレリンス噴射部11によるプレリンス液の噴射を停止するプレリンスOFF期間を示す(他の図面でも同じ)。また、トップブラシの「ON」は、トップブラシ4が被洗浄車両CAの上面または後面と摺動する動作モード(摺動モード)を示し、トップブラシの「OFF」は、トップブラシ4が被洗浄車両CAの上面から離間する動作モード(離間モード)を示す(他の図面でも同じ)。なお、トラックとトレーラーとで基本的な洗浄動作は同じであるため、
図4では、被洗浄車両CAとしてトラックを例示的に図示している。
【0042】
リモートパネル60等により第2の洗浄モードおよび被洗浄車両CAの車種が指定され、指定された被洗浄車両CAがトラックである場合、洗車機本体1の往路において、制御部10は走行モータ25を駆動して、洗車機本体1をトラックの前端から後端に向かう一方向に走行させる。そして、車両センサ8がトラックの前端を検知すると、制御部10はトッププレリンス噴射部11を駆動し、トッププレリンス噴射部11からトラックのキャビン上面に向けてプレリンス液を噴射させる(プレリンスON期間開始)。なお、制御部10は、車両センサ8がトラックの前端を検知する前から、トッププレリンス噴射部11によってプレリンス液を噴射させるようにしてもよい。
【0043】
次に、制御部10は、トップブラシ駆動モータ4aを駆動してトップブラシ4を回転させるとともに、トップブラシ昇降モータ24を駆動してトップブラシ4を下降させ、トップブラシ4をトラックのキャビン上面と摺動させる(摺動モード)。これにより、トラックのキャビン上面がトップブラシ4によって洗浄される。
【0044】
また、制御部10は、サイドブラシ駆動モータ5aを駆動してサイドブラシ5を回転させるとともに、サイドブラシ移動モータ23を駆動して、左右のサイドブラシ5を一旦閉じる(左右の間隔を狭める)。そして、車両センサ8がトラックの前端を検知してから洗車機本体1が所定距離だけ(車両センサ8とサイドブラシ5との離間距離だけ)走行すると、制御部10は、サイドブラシ移動モータ23を駆動して各サイドブラシ5を開く(左右の間隔を広げる)。サイドブラシ5の回転および左右方向の移動により、トラックの前面がサイドブラシ5によって洗浄される。なお、サイドブラシ5の左右方向の移動は、トラックの運転席の斜め前方および助手席の斜め前方に突出するミラーと当たらない範囲で行われる。トラックの前面の洗浄が終了すると、制御部10は、サイドブラシ5をミラーと当たらないように移動させて、トラックの側面を洗浄する位置に戻す。以降、車両センサ8によってトラックの後端が検知されるまで、サイドブラシ5によってトラックの側面の洗浄が行われる。
【0045】
洗車機本体1の走行により、車両センサ8がトラックのキャビンと荷台との境界を検知すると、制御部10はトッププレリンス噴射部11からのプレリンス液の噴射を停止させる(プレリンスON期間終了、プレリンスOFF期間開始)。また、制御部10は、トップブラシ昇降モータ24によってトップブラシ4を上昇させ、トラックの荷台上面から離間させる(離間モード)。これにより、トップブラシ4によるトラックの荷台上面の洗浄が回避される。このとき、制御部10は、トップブラシ駆動モータ4aを駆動し続け、トップブラシ4の回転を維持する。
【0046】
洗車機本体1が、トラックの前端から一定距離の位置(例えば車長12mのトラックに対して車両前端から11mだけ車両後方に進んだ位置)に到達すると、制御部10はトッププレリンス噴射部11を駆動し、トッププレリンス噴射部11からトラックの後面近傍にプレリンス液を噴射させる(プレリンスOFF期間終了、プレリンスON期間開始)。そして、洗車機本体1の走行により、車両センサ8がトラックの後端を検知すると、制御部10は、トップブラシ昇降モータ24を駆動してトップブラシ4を下降および上昇させ、トップブラシ4をトラックの後面と摺動させる。これにより、トラックの後面がトップブラシ4によって洗浄される。
【0047】
トラックの後面の洗浄が終了すると、制御部10は、トッププレリンス噴射部11からのプレリンス液の噴射を停止させるとともに(プレリンスON期間終了)、トップブラシ昇降モータ24を駆動して、トップブラシ4をトラックの荷台上面から上方に離間させる。これにより、洗車機本体1の往路での洗浄動作が終了する。
【0048】
洗車機本体1の復路では、制御部10はトッププレリンス噴射部11によってプレリンス液を噴射させず、トップブラシ昇降モータ24によってトップブラシ4をトラックの上面から離間させたまま、走行モータ25を駆動して洗車機本体1をトラックの後端から前端に向かって走行させ、洗車機本体1を洗車開始前の初期位置に戻す。したがって、洗車機本体1の復路では、トラックのキャビン上面はトップブラシ4によって洗浄されない。ただし、トラックの側面は、サイドブラシ5によって洗浄される。以上により、洗車機本体1の往復でのトラックに対する洗浄動作が終了する。
【0049】
(2-2.被洗浄車両が平ボディ車である場合)
図5は、第2の洗浄モードにおいて、平ボディ車を洗浄する場合のプレリンス液の噴射の有無およびトップブラシ4の駆動の有無を模式的に示している。被洗浄車両CAが平ボディ車である場合、第2の洗浄モードにおける平ボディ車の洗浄動作は、後面の洗浄を行わない点以外は、トラックまたはトレーラーの洗浄動作と同じである。
【0050】
すなわち、リモートパネル60等により第2の洗浄モードおよび被洗浄車両CAの車種が指定され、指定された被洗浄車両CAが平ボディ車である場合、洗車機本体1の往路において、制御部10は走行モータ25を駆動して、洗車機本体1を上記一方向に走行させる。そして、車両センサ8が平ボディ車の前端を検知すると(または前端の検知前から)、制御部10はトッププレリンス噴射部11を駆動し、トッププレリンス噴射部11から平ボディ車のキャビン上面に向けてプレリンス液を噴射させる(プレリンスON期間開始)。
【0051】
次に、制御部10は、トップブラシ駆動モータ4aを駆動してトップブラシ4を回転させるとともに、トップブラシ昇降モータ24を駆動してトップブラシ4を下降させ、トップブラシ4を平ボディ車のキャビン上面と摺動させる(摺動モード)。これにより、平ボディ車のキャビン上面がトップブラシ4によって洗浄される。
【0052】
また、制御部10は、サイドブラシ5を回転させるとともに、左右のサイドブラシ5を一旦閉じ、車両センサ8が平ボディ車の前端を検知してから洗車機本体1が所定距離だけ走行すると、各サイドブラシ5を開く。これにより、平ボディ車の前面がサイドブラシ5によって洗浄される。平ボディ車の前面の洗浄が終了すると、制御部10は、サイドブラシ5を前方に突出するミラーと当たらないように移動させて、平ボディ車の側面を洗浄する位置に戻す。以降、車両センサ8によって平ボディ車の後端が検知されるまで、サイドブラシ5によって平ボディ車の側面の洗浄が行われる。
【0053】
洗車機本体1の走行により、車両センサ8が平ボディ車のキャビンと平らな荷台との境界を検知すると、制御部10はトッププレリンス噴射部11からのプレリンス液の噴射を停止させる(プレリンスON期間終了、プレリンスOFF期間開始)。また、制御部10は、トップブラシ昇降モータ24によってトップブラシ4を上昇させ、平ボディ車の荷台から離間させる(離間モード)。これにより、トップブラシ4による平ボディ車の荷台の洗浄が回避される。このとき、制御部10は、トップブラシ駆動モータ4aを駆動し続け、トップブラシ4の回転を維持する。
【0054】
洗車機本体1の走行により、車両センサ8が平ボディ車の後端を検知すると、洗車機本体1の往路での洗浄動作が終了する(プレリンスOFF期間終了)。すなわち、平ボディ車の場合、トップブラシ4の昇降による後面の洗浄は行われず、トッププレリンス噴射部11からのプレリンス液の噴射も行われない。
【0055】
洗車機本体1の復路では、制御部10はトッププレリンス噴射部11によってプレリンス液を噴射させず、トップブラシ昇降モータ24によってトップブラシ4を平ボディ車の荷台から離間させたまま、走行モータ25を駆動して洗車機本体1をトラックの後方から前方に向かって走行させ、洗車機本体1を洗車開始前の初期位置に戻す。したがって、洗車機本体1の復路では、平ボディ車のキャビン上面はトップブラシ4によって洗浄されない。ただし、平ボディ車の側面は、サイドブラシ5によって洗浄される。以上により、洗車機本体1の往復での平ボディ車に対する洗浄動作が終了する。
【0056】
(2-3.被洗浄車両がバスである場合)
図6は、第2の洗浄モードにおいて、バスを洗浄する場合のプレリンス液の噴射の有無およびトップブラシ4の駆動の有無を模式的に示している。被洗浄車両CAがバスである場合、第2の洗浄モードでは、バスの上面全体にわたってトップブラシ4による洗浄が行われず、バスの前面、側面および後面がサイドブラシ5によって洗浄される。
【0057】
すなわち、リモートパネル60等により第2の洗浄モードおよび被洗浄車両CAの車種が指定され、指定された被洗浄車両CAがバスである場合、洗車機本体1の往路において、制御部10は走行モータ25を駆動して洗車機本体1を上記一方向に走行させる。そして、車両センサ8がバスの前端を検知すると(または前端の検知前から)、制御部10はトッププレリンス噴射部11を駆動し、トッププレリンス噴射部11からバスの上面に向けてプレリンス液を噴射させる(プレリンスON期間開始)。
【0058】
このとき、制御部10は、トップブラシ駆動モータ4aを駆動してトップブラシ4を回転させるが、トップブラシ昇降モータ24によってトップブラシ4を下降させず、トップブラシ4をバスの上面から離間させておく(離間モード)。
【0059】
一方、制御部10は、サイドブラシ5を回転させるとともに、左右のサイドブラシ5を一旦閉じ、車両センサ8がバスの前端を検知してから洗車機本体1が所定距離だけ走行すると、各サイドブラシ5を開く。これにより、バスの前面がサイドブラシ5によって洗浄される。バスの前面の洗浄が終了すると、制御部10は、サイドブラシ5を前方に突出するミラーと当たらないように移動させて、バスの側面を洗浄する位置に戻す。そして、洗車機本体1が上記一方向に一定の距離(例えば2m)だけ走行すると、制御部10はトッププレリンス噴射部11によるバスの上面へのプレリンス液の噴射を停止させる(プレリンスON期間終了、プレリンスOFF期間開始)。
【0060】
以降、洗車機本体1が走行し、車両センサ8によってバスの後端が検知されるまで、トップブラシ4のバスの上面からの離間状態が維持される(離間モード)。このため、バスの上面はトップブラシ4によって洗浄されない。一方、バスの側面は、車両センサ8によってバスの後端が検知されるまで、サイドブラシ5によって洗浄される。
【0061】
洗車機本体1が、上記一方向の走行により、バスの前端から一定距離の位置(例えば車長12mのバスに対して車両前端から11mだけ車両後端側に進んだ位置)に到達すると、制御部10はトッププレリンス噴射部11を駆動し、トッププレリンス噴射部11からバスの後面近傍にプレリンス液を噴射させる(プレリンスOFF期間終了、プレリンスON期間開始)。そして、洗車機本体1の走行により、車両センサ8がバスの後端を検知すると、制御部10はトップブラシ昇降モータ24を駆動してトップブラシ4を下降および上昇させ、トップブラシ4をバスの後面と摺動させる。これにより、バスの後面がトップブラシ4によって洗浄される。
【0062】
バスの後面の洗浄が終了すると、制御部10は、トッププレリンス噴射部11からのプレリンス液の噴射を停止させるとともに(プレリンスON期間終了)、トップブラシ昇降モータ24を駆動して、トップブラシ4をバスの上面から上方に離間させる。これにより、洗車機本体1の往路での洗浄動作が終了する。
【0063】
洗車機本体1の復路では、制御部10はトッププレリンス噴射部11によってプレリンス液を噴射させず、トップブラシ昇降モータ24によってトップブラシ4をバスの上面から離間させたまま、走行モータ25を駆動して洗車機本体1をトラックの後端から前端に向かって走行させ、洗車機本体1を洗車開始前の初期位置に戻す。したがって、洗車機本体1の復路では、バスの上面はトップブラシ4によって洗浄されない。ただし、バスの側面はサイドブラシ5によって洗浄される。以上により、洗車機本体1の往復でのバスに対する洗浄動作が終了する。
【0064】
〔3.効果〕
表1は、第2の洗浄モードにおいて、被洗浄車両CAの車種ごとに、プレリンスの噴射のON/OFF(プレリンスON期間/プレリンスOFF期間)と、トップブラシ4による洗浄のON/OFF(摺動モード/離間モード)とをまとめた結果を示している。
【0065】
【0066】
本実施形態では、操作部(リモートパネル60または操作パネル7)によって、被洗浄車両CAの上面の少なくとも一部に対して洗浄の実行を停止する洗浄モード(第2の洗浄モード)と、被洗浄車両CAの車種とが指定されたとき、制御部10の制御により、プレリンスON期間では、トップブラシ4について摺動モードと離間モードとが車種に応じて切り替えられる。例えばトラック、トレーラー、平ボディ車に対しては、プレリンスON期間でトップブラシ4が摺動モードで駆動され、バスに対しては、プレリンスON期間でトップブラシ4が離間モードで駆動される。
【0067】
プレリンスON期間で摺動モードが実行されると、プレリンス液で濡れた被洗浄車両CAの上面に対してトップブラシ4が摺動する。被洗浄車両CAの上面がプレリンス液で濡れていると、トップブラシ4で被洗浄車両CAの上面を洗浄する際に乾拭き状態とはならないため、トップブラシ4で被洗浄車両CAの上面を傷つけることなく洗浄することができる。
【0068】
一方、プレリンスON期間で離間モードが実行されると、トップブラシ4は被洗浄車両CAの上面から離間するが、この場合は、プレリンス液で濡れた被洗浄車両CAの前面に対してサイドブラシ5を摺動させて、被洗浄車両CAの前面を洗浄することができる。被洗浄車両CAの前面がプレリンス液で濡れていると、サイドブラシ5で被洗浄車両CAの前面を洗浄する際に乾拭き状態とはならないため、サイドブラシ5で被洗浄車両CAの前面を傷つけることなく洗浄することができる。
【0069】
また、プレリンスOFF期間では、トップブラシ4が被洗浄車両CAの上面から離間し、被洗浄車両CAの上面がトップブラシ4によって洗浄されない。このため、プレリンス液の噴射が停止されても、被洗浄車両CAの上面がトップブラシ4によって傷つくことはなく、むしろ、被洗浄車両CAの上面の非洗浄時に無駄なプレリンス液の消費を抑えて、使用水量ひいては洗車のランニングコストを削減することができる。
【0070】
つまり、第2の洗浄モードが指定されたときに、プレリンスON期間およびプレリンスOFF期間の両方を設け、プレリンスON期間では摺動モードと離間モードとを車種に応じて切り替えることにより、トップブラシ4またはサイドブラシ5による洗浄時の被洗浄車両CAの傷つきを車種に関係なく低減することができ、プレリンスOFF期間ではプレリンス液の噴射停止により、使用水量を削減することができる。
【0071】
また、第2の洗浄モードでは、プレリンスON期間とプレリンスOFF期間とがこの順で連続する。先にプレリンスON期間でプレリンス液が被洗浄車両CAの上面に向かって噴射されることにより、被洗浄車両CA(例えばトラック)のキャビンの上面または被洗浄車両CA(例えばバス)の前面をトップブラシ4またはサイドブラシ5で傷つけることなく洗浄することができる。また、その後のプレリンスOFF期間では、トップブラシ4が被洗浄車両CAの上面から離間するため、トップブラシ4による洗浄が不要な被洗浄車両CAの上面への無駄なプレリンス液の噴射を停止して、使用水量を削減することができる。
【0072】
また、制御部10は、プレリンスOFF期間において、トップブラシ4が被洗浄車両CAの上面から離間している間、トップブラシ4を回転させる。
【0073】
プレリンスON期間において、プレリンス液が被洗浄車両CAに対して上方から噴射されると、プレリンス液で濡れた被洗浄車両CAの上面とトップブラシ4が摺動することにより、または、噴射されたプレリンス液が直接トップブラシ4に付着することにより、トップブラシ4が濡れる。この場合、その後のプレリンスOFF期間でトップブラシ4の回転が停止していると、トップブラシ4に吸収されたプレリンス液の液滴が、トップブラシ4から被洗浄車両CAの上面に落下し、ひいては上面から側面を伝って流れ落ちる。この場合、被洗浄車両CAに付着したプレリンス液の乾燥によって生じる跡が、汚れとして残る可能性がある。
【0074】
プレリンスOFF期間において、トップブラシ4が被洗浄車両CAの上面から離間している間にトップブラシ4を回転させることにより、トップブラシ4の水切りが行われる。つまり、トップブラシ4の回転により、トップブラシ4に吸収されたプレリンス液が、細かい粒の状態で周囲に分散される。これにより、トップブラシ4からのプレリンス液の液滴の落下を低減することができ、上記液滴が被洗浄車両CAの側面に付着して上記の汚れが生じる事態を低減することができる。
【0075】
また、制御部10は、プレリンスON期間では、車種が、トラック、トレーラー、または平ボディ車である場合に、トップブラシ4を摺動モードで駆動する一方、車種がバスである場合に、トップブラシ4を離間モードで駆動する。プレリンスON期間において、トラック等に対しては、トップブラシ4を摺動モードで駆動することによって上面洗浄を実行することができ、バスに対しては、トップブラシ4を離間モードで駆動することによって上面洗浄の実行を停止させることができる。つまり、第2の洗浄モードでは、上面洗浄が必要な車種に対してのみ、プレリンスON期間で上面洗浄を実行して利便性を向上させることができる。
【0076】
また、制御部10は、操作部(リモートパネル60、操作パネル7)によって車種および第2の洗浄モードが指定されたときに、トップブラシ4による被洗浄車両CAの後面の洗浄の実行および停止を、車種に応じて切り替える。より具体的には、制御部10は、車種が、トラック、トレーラー、またはバスである場合には、トップブラシ4を駆動して被洗浄車両CAの後面の洗浄を実行させる一方、車種が平ボディ車である場合には、トップブラシ4による被洗浄車両CAの後面の洗浄の実行を停止させる。このように車種に応じて後面洗浄の実行および停止を切り替えることにより、後面洗浄が必要な車種(トラック等)に対してのみ後面洗浄を実行して利便性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、被洗浄車両としてトラック等の大型車を洗浄する洗車機に利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 洗車機本体
4 トップブラシ
5 サイドブラシ
7 操作パネル(操作部)
10 制御部
11 トッププレリンス噴射部
60 リモートパネル(操作部)
CA 被洗浄車両
WA 洗車機