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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/54 20220101AFI20220315BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
H04L67/54
H04M11/00 301
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020160730
(22)【出願日】2020-09-25
(62)【分割の表示】P 2016163357の分割
【原出願日】2016-08-24
(65)【公開番号】P2021002393
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2020-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】坂本 光隆
【審査官】今川 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-104666(JP,A)
【文献】特開2005-236828(JP,A)
【文献】特開2012-244602(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02407903(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/54
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定変更に関する情報を受け付ける受付部と、
前記受付部と異なる経路で設定変更に関する情報を受けつけるIF部と、
設定変更に関する情報に基づいて、設定変更を実行する処理部と、を備え、
前記IF部が受け付ける設定変更に関する情報は、
一時的な設定変更の内容と設定変更の回数とが集計され、集計結果に基づいて決定された使用頻度の高い設定変更であって、
前記処理部は、前記受付部が設定変更に関する情報を受けつけた場合に一時的に設定を変更し、前記IF部が設定変更に関する情報を受けつけた場合に継続的に設定を変更すること、
を特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記使用頻度の高い設定変更は、前記通信装置の初期設定の変更によって行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記処理部は、一時的な設定な変更に対して期間を予め定め、当該期間が経過すると一時的な設定の変更をもとに戻すことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理技術に関し、特に設定変更を管理する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の無線通信端末では、画面表示や操作に関する機能設定態様がユーザごとの端末操作によって設定されている。ユーザに適した設定を容易に実行するために、無線通信端末に接続された機能設定サーバは、ユーザ情報を取得し、ユーザ情報に基づいて機能設定態様を決定してから、決定された機能設定態様に関する情報を無線通信端末に伝達する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-264945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
業務用無線に対応した通信装置では、一般的に、販売店において機能設定プログラムを用いて設定変更がなされたり、OTAP(Over-the-Air-Programming)によって設定変更がなされたりしている。そのため、ユーザは、設定を変更したい場合でも、ユーザによる操作によって設定を変更するのではなく、販売店に設定変更を依頼する必要がある。これにより、誤った設定変更が生じる可能性は低くなるが、ユーザの利便性は低くなる。なお、設定の中には、周波数チャネル等のようにユーザが勝手に設定を変更してはならない項目が存在するが、ユーザが設定を変更しても問題にならない項目については変更を許可するプロセスが容易であることが望ましい。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、誤った設定変更の発生を抑制しながら、ユーザの利便性を向上する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある通信装置は、設定変更に関する情報を受け付ける受付部と、前記受付部と異なる経路で設定変更に関する情報を受けつけるIF部と、設定変更に関する情報に基づいて、設定変更を実行する処理部と、を備え、前記処理部は、前記受付部が設定変更に関する情報を受けつけた場合に一時的に設定を変更し、前記IF部が設定変更に関する情報を受けつけた場合に継続的に設定を変更する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、誤った設定変更の発生を抑制しながら、ユーザの利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
図2図1の通信装置の構成を示す図である。
図3図1の管理装置の構成を示す図である。
図4図1のサーバ装置の構成を示す図である。
図5図1の通信システムによる設定変更手順を示すシーケンス図である。
図6図2の通信装置による設定変更手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例は、業務用無線に対応した通信装置が含まれる通信システムに関する。業務用無線では、基地局装置を介して、あるいは基地局装置を介さずに、通信装置の間でPTT(Push to Talk)による通話が実行される。PTTに対応した通信装置はPTTボタンを備えており、ユーザがPTTボタンを押し下げた場合に、PTTにおける送話が開始され、ユーザがPTTボタンを解放した場合に送話が終了する。一方、PTTボタンを押していない場合、ユーザはメッセージを聞くのみである。このような通信装置には、周波数チャネル、ネットワーク構成が設定される。その設定の変更は認められていないが、仮に変更する場合であっても、販売店において機能設定プログラムやOTAPを用いてなされる。
【0011】
しかしながら、設定の中には、ユーザによって設定変更されてよいものもある。例えば、バックライト、LCD(Liquid Crystal Display)の明るさ、LCDの表示配色、時刻、音量、キーロックである。これまでは、このような設定の変更も、販売店において機能設定プログラムやOTAPを用いてなされている。これにより、ユーザによる設定変更の誤りの発生は防止されるが、ユーザの利便性は低くなる。そのため、誤った設定変更の発生を抑制しながら、ユーザの利便性を向上することが求められる。
【0012】
これに対応するために、本実施例に係る通信装置は、ネットワークを介して、通信装置における設定内容を管理する管理装置にアクセス可能に構成される。ユーザは通信装置を操作することによって、管理装置に設定変更を要求する。管理装置は、要求された設定変更が可能である場合、通信装置に対して設定変更を一時的に許可する。これにより、通信装置では、設定が一時的に変更される。管理装置は、設定変更の内容と設定変更の回数とを集計して集計結果をサーバ装置に送信する。サーバ装置では、集計結果をもとに、使用深度の高い設定変更を選択し、通信装置に対する継続的な設定変更を販売店に実行させる。つまり、一時的な設定変更はユーザ操作によってなされるが、継続的な設定変更は販売店によってなされる。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。通信システム100は、通信装置10、基地局装置12、管理システム14、設計部門16、販売店18を含む。また、管理システム14は、ネットワーク20、管理装置22、サーバ装置24を含み、販売店18は、設定装置26を含む。通信システム100に含まれる通信装置10、基地局装置12の数は「1」に限定されないが、ここでは説明を明瞭にするために、通信装置10、基地局装置12はそれぞれ「1」つだけ示される。
【0014】
通信装置10は、業務用無線による通信を実行可能な装置である。業務用無線については公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、前述のごとく、通信装置10においてPTTによる通話が実行されるが、PTTについても説明を省略する。基地局装置12は、一端側において、業務用無線により通信装置10に接続され、他端側においてネットワーク20に接続される。なお、業務用無線では、複数の通信装置10によってグループを形成することも可能である。基地局装置12は、グループに対して、上りチャネルと下りチャネルを割り当ててもよい。このような状況下において、グループ中の1つの通信装置10が、上りチャネルにて信号を送信し、グループ中の他の通信装置10が、下りチャネルにて信号を受信する。
【0015】
ネットワーク20は、有線回線、無線回線、それらの組合せのいずれかで構成される。ネットワーク20は、基地局装置12、管理装置22、サーバ装置24、設定装置26を接続する。そのため、基地局装置12、管理装置22、サーバ装置24、設定装置26間においてネットワーク20を介した通信が可能である。
【0016】
管理装置22は、通信装置10における設定内容を管理する。設定内容には、周波数チャネル、ネットワーク構成等のように変更が制限されるもの(以下、「制限項目」という)と、バックライト、LCDの明るさ、LCDの配色、時刻、音量、キーロックのように変更が制限されていないもの(以下、「非制限項目」という)とが含まれる。ここで、制限項目に対しては、通信を実行するために予め定められた値の使用が要求されており、それを変更すると通信が実行できなくなる。一方、非制限項目に対しては、設定を変更しても通信が実行できなくはならない。管理装置22は、基地局装置12、ネットワーク20を介して通信装置10から、設定変更を要求された場合、設定変更が非制限項目を対象としているか否かを判定する。非制限項目に対する設定変更である場合、管理装置22は、設定変更を一時的に許可する。一方、制限項目に対する設定変更である場合、管理装置22は、設定変更を許可しない。これにより、非制限項目に関して、一時的ではあるが、通信装置10のユーザによる能動的な設定変更が可能になる。また、管理装置22は、許可した設定変更の内容と設定変更の回数とを集計する。管理装置22は、ネットワーク20を介してサーバ装置24に集計結果を送信する。
【0017】
サーバ装置24は、ネットワーク20を介して管理装置22からの集計結果を受信する。集計結果には、使用頻度の高い設定内容が示されている。例えば、通信装置10のユーザは、使用環境によりLCDの見易さを調整可能としたいとする。その際、通信装置10におけるLCDの明るさ調整の変更を頻繁に行うため、LCDの明るさ調整の機能をキーに割当てる設定変更が頻繁になされていれば、LCDの明るさ調整の機能の設定変更が使用頻度の高い設定内容であるといえる。サーバ装置24は、使用頻度の高い設定内容になるように、通信装置10の初期設定を更新する。サーバ装置24は、初期設定の更新を設定装置26に通知する。また、サーバ装置24は、集計結果を設計部門16にも出力する。
【0018】
設定装置26は、販売店18に備えられた装置であり、例えば、機能設定プログラムを実行可能な装置である。設定装置26は、ネットワーク20を介してサーバ装置24から、初期設定の更新の通知を受けつける。設定装置26は、受けつけた初期設定を機能設定プログラムに設定する。設定装置26は、ケーブル等を介して通信装置10を接続する。このような状態において、設定装置26は、機能設定プログラムを実行することによって、通信装置10の初期設定を変更する。例えば、初期設定の変更により、通信装置10の所定のキーにLCDの明るさ調整の機能が割当てられるこれにより、通信装置10において継続的な設定変更がなされる。
【0019】
設計部門16は、ネットワーク20を介してサーバ装置24から集計結果を受けつける。設計部門16は、集計結果の内容を次期開発機種の設定に反映する。その結果は、設定装置26に通知される。設定装置26は、設計部門16からの設定を受けつけた場合、機能設定プログラムを実行することによって、次期開発機種に設定を反映させる。
【0020】
図2は、通信装置10の構成を示す。通信装置10は、操作部30、表示部32、マイク34、スピーカ36、制御部38、通信部40、IF部42を含む。制御部38は、要求部44、受付部46、処理部48を含む。ここでは、(1)PTTのための基本処理、(2)設定変更処理の順に説明する。
(1)PTTのための基本処理
操作部30は、PTTボタンを含み、PTTによって音声を送信する場合に、ユーザによって押し下げられる。また、音声を送信している間にわたって、操作部30は押し下げ続けられる。そのため、操作部30が押し下げられることは、音声信号を送信するための送信指示を受けつけることに相当する。操作部30は、押し下げられている間にわたって、送信指示を制御部38に出力し続ける。表示部32は、例えば、LCDであり、制御部38からの指示に応じた情報を表示する。
【0021】
マイク34は、ユーザによって発声された音声を集音する。マイク34は、集音した音声を電気信号(以下、「音声信号」という)に変換し、音声信号を制御部38に出力する。一般的に、マイク34は、操作部30が押し下げられている間にわたって音声を集音する。スピーカ36は、ユーザとの通話相手の音声信号を制御部38から入力する。スピーカ36は、音声信号を音声に変換し、音声を出力する。
【0022】
制御部38は、ユーザインターフェイスである操作部30、表示部32、マイク34、スピーカ36と、通信機能である通信部40との間に配置され、ユーザインターフェイスでの処理を制御するとともに、通信機能を制御する。制御部38は、操作部30からの送信指示を受けつけている間にわたって、マイク34からの音声信号を入力するとともに、当該音声信号を通信部40に出力する。これは、通信部40に対して音声信号の送信を指示することに相当する。一方、制御部38は、操作部30からの送信指示を受けつけていない場合、通信部40からの音声信号を入力すれば、当該音声信号をスピーカ36に出力する。
【0023】
通信部40は、業務用無線の通信方式に対応した送信処理と受信処理とを実行する。通信部40は、送信処理として、制御部38からの音声信号を入力した場合、音声信号が含まれた信号を生成するとともに、当該信号に対して変調処理、周波数変換処理、増幅処理を実行することによって、無線信号を生成する。通信部40は、無線信号をアンテナから送信する。通信部40は、受信処理としてアンテナから無線信号を受信する。通信部40は、受信した無線信号に対して、増幅処理、周波数変換処理、復調処理を実行することによって、音声信号が含まれた信号を取得する。この音声信号は、通信相手の音声信号に相当する。通信部40は、音声信号を制御部38に出力する。
【0024】
制御部38は、前述の処理に加えて、操作部30、表示部32、マイク34、スピーカ36、通信部40の動作を制御する。例えば、制御部38は、通信部40において使用される周波数チャネルを指定する。また、制御部38は、表示部32におけるバックライトのオン/オフ、LCDの明るさを制御したり、スピーカ36における音量を制御したりする。そのため、これらの制御に使用される設定は制御部38に登録される。
(2)設定変更処理
ここでは、設定変更処理として、(2-1)一時的設定変更処理、(2-2)継続的設定変更処理の順に説明する。
(2-1)一時的設定変更処理
前述のごとく、制御部38には、通信装置10におけるさまざまな設定が登録されており、設定は、制限項目と非制限項目とを含む。それらのうち、非制限項目が、一時的設定変更処理の対象とされる。非制限項目は、大きく次の3つに大別される。1つ目は、通信装置10の操作部30に含まれた物理キーに割当可能であり、かつ変更/追加/削除が可能な項目である。これは、例えば、時刻表示機能、バックライト、LCDの明るさ調整、キーロック等である。2つ目は、通信装置10の操作部30に含まれる物理キーに割り当てられたメニューにおいて、メニューの項目の変更/追加/削除が可能な項目である。これは、例えば、音量変更、時刻表示機能、バックライト、LCDの明るさ調整、キーロック等である。3つ目は、通信装置10の設定の変更が可能な項目である。これは、例えば、時刻フォーマット(12H/24H)、日付フォーマット(月/日/年の並び)、Sub-LCDの表示内容、操作確認音量、バッテリの温度単位(F/℃)等である。
【0025】
操作部30をユーザが操作することによって、設定変更の要求が入力される。操作部30は、設定変更の要求を制御部38に出力する。要求部44は、操作部30からの設定変更の要求を入力すると、入力した設定変更の要求に応じた要求メッセージを生成する。要求部44は、通信部40に要求メッセージを出力する。通信部40は、基地局装置12、ネットワーク20を介して管理装置22に要求メッセージを送信する。これは、管理装置22に設定変更を要求することに相当する。
【0026】
管理装置22において設定変更が許可された場合、受付部46は、通信部40を介して管理装置22からの応答メッセージを受けつける。これに続いて、操作部30をユーザが操作することによって、設定変更の内容が入力される。操作部30は、設定変更の内容を制御部38に出力する。受付部46は、操作部30からの設定変更の内容を入力すると、入力した設定変更の内容に応じた変更通知を生成する。受付部46は、通信部40に変更通知を出力し、通信部40は、基地局装置12、ネットワーク20を介して管理装置22に変更通知を送信する。
【0027】
管理装置22において、変更通知に対応した値であって、かつ設定変更を実現するための値が導出されると、受付部46は、通信部40を介して管理装置22から、導出された値が含まれた設定変更メッセージを受けつける。ここで、導出された値は一時的に有効である。これは、要求部44において要求した設定変更が可能であると管理装置22が判定した場合、管理装置22によって一時的に許可された設定変更を受けつけるといえる。受付部46は、設定変更メッセージに含まれた値を処理部48に出力する。
【0028】
処理部48は、受付部46からの値を入力すると、制御部38内に値を設定することによって、設定を変更する。なお、設定が変更されている期間は予め定められており、当該期間が経過すると、処理部48は、もとの値に戻す。これは、管理装置22によって一時的に許可された設定変更を受付部46が受けつけた場合、設定を一時的に変更することに相当する。
【0029】
以下では、一時的設定変更処理をさらに具体的に説明する。なお、通信システム100における操作部30は、「P1キー」と「P3キー」を含んでおり、「P1キー」がメニューキーであるとする。ここでは、ユーザ操作によって、「P3キー」に「LCDの明るさ調整機能」を追加する場合を例に示す。ユーザが「P1キー」を押下しながら、表示部32に表示されたメニュー「Mode」から「設定変更の要求」を選択すると、要求部44は、通信部40を介して管理装置22に設定変更の要求メッセージを送信する。要求メッセージには、機種名/Firmware Versionが含まれる。
【0030】
管理装置22は、要求メッセージを受信する(以下、管理装置22におけるこの処理を「処理A」という)。管理装置22は、要求メッセージにおける機種名、FirmwareVersionに応じて、設定変更が可能な項目であるか否かを判定する。ここでは、設定変更が可能な項目、つまり非制限項目であると判定する(以下、管理装置22におけるこの処理を「処理B」という)。なお、管理装置22は、通信装置10によるシステムの利用の認証がなされていない場合、制限項目である場合、NGを返す。管理装置22は、要求の応答と設定変更が可能な項目の情報が含まれた応答メッセージを生成し、応答メッセージを通信装置10に送信する(以下、管理装置22におけるこの処理を「処理C」という)。
【0031】
受付部46は、応答メッセージを受けつけると、設定変更が可能な項目の情報を取得し、制御部38内のメモリにそれを記憶する。表示部32は、設定変更が可能な項目をリスト形式で表示する。ユーザは、表示部32の表示を確認しながら、「P1キー」を操作して、「LCDの明るさ調整機能」→「追加」→「P3キー」を順に選択する。これに応じて、受付部46は、「P3キー」とLCDの明るさ調整機能とが含まれた変更通知を生成し、通信部40を介して管理装置22に変更通知を送信する。
【0032】
管理装置22は、変更通知を受信する(以下、管理装置22におけるこの処理を「処理D」という)。管理装置22は、変更通知の内容から、機種のメモリマップで「P3キー」のアドレスと、「LCDの明るさ調整機能」を示す値とを算出する(以下、管理装置22におけるこの処理を「処理E」という)。また、管理装置22は、このような設定変更の内容を保存する(以下、管理装置22におけるこの処理を「処理F」という)。さらに、管理装置22は、「P3キー」のアドレスと「LCDの明るさ調整機能」を示す値とが含まれた設定変更メッセージを生成し、設定変更メッセージを通信装置10に送信する(以下、管理装置22におけるこの処理を「処理G」という)。
【0033】
受付部46は、設定変更メッセージを受けつける。処理部48は、「P3キー」のアドレスと「LCDの明るさ調整機能」を示す値とをもとに、設定変更を一時的に実行する。処理部48は、一時的な設定変更を完了すると、設定変更の通知が示されたの完了通知を生成する。処理部48は、通信部40を介して管理装置22に完了通知を送信する。管理装置22は、完了通知を受信する(以下、管理装置22におけるこの処理を「処理H」という)。
(2-2)継続的設定変更処理
IF部42は、管理装置22とは異なった設定装置26に接続するためのインターフェイスである。設定装置26は、機能設定プログラムを実行することによって、通信装置10に設定変更の書込みを実行する。IF部42は、設定装置26からの設定変更を受けつけ、処理部48に出力する。処理部48は、IF部42を介して設定装置26から、設定変更を受けつけた場合、設定を継続的に変更する。そのため、設定装置26からの設定変更は継続的な設定変更であるといえる。
【0034】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0035】
図3は、管理装置22の構成を示す。管理装置22は、通信部60、制御部62、管理部64、集計部66を含む。また、制御部62は、受付部68、判定部70、許可部72を含む。
【0036】
通信部60は、ネットワーク20に接続される。通信部60は、ネットワーク20、基地局装置12を介して通信装置10と通信したり、ネットワーク20を介してサーバ装置24と通信したりする。通信部60は、基地局装置12、ネットワーク20を介して通信装置10から、設定変更の要求である要求メッセージを受信する。通信部60は、要求メッセージを受付部68に出力する。受付部68は、通信部60から要求メッセージを受けつける。これは、前述の処理Aに相当する。受付部68は、要求メッセージを判定部70に出力する。
【0037】
判定部70は、受付部68から要求メッセージを入力する。判定部70は、要求メッセージに対応した設定変更が可能であるか否かを判定する。具体的に説明すると、判定部70は、非制限項目あるいは制限項目に対応した機種名、FirmwareVersionを参照情報として記憶する。また、判定部70は、要求メッセージにおける機種名、FirmwareVersionと、参照情報とを比較することによって、要求された設定変更が非制限項目であるか制限項目であるかを判定する。これは、前述の処理Bに相当する。判定部70は、判定結果を許可部72に出力する。
【0038】
許可部72は、判定部70から判定結果を入力する。許可部72は、判定結果が非制限項目である場合、つまり設定変更が可能であると判定された場合、要求の応答と設定変更が可能な項目の情報が含まれた応答メッセージを生成する。許可部72は、判定結果が制限項目である場合、あるいは通信装置10によるシステムの利用の認証がなされていない場合、応答メッセージを生成しない。許可部72は、応答メッセージを通信部60に出力する。通信部60は、基地局装置12を介して通信装置10に応答メッセージを送信する。これは前述の処理Cに相当する。
【0039】
通信部60は、基地局装置12を介して通信装置10から変更通知を受信する。通信部60は変更通知を許可部72に出力する。許可部72は、通信部60から変更通知を入力する。これは、前述の処理Dに相当する。許可部72は、変更通知の内容から、設定変更の具体的な内容を導出する。これは、前述の処理Eに相当する。許可部72は、設定変更の具体的な内容を管理部64に出力する。管理部64は、許可部72から設定変更の具体的な内容を入力すると、それに対応した通信装置10の設定内容を変更する。このように、管理部64は、通信装置10ごとに、設定内容を管理する。これは、前述の処理Fに相当する。さらに、許可部72は、設定変更の具体的な内容が示された設定変更メッセージを生成し、設定変更メッセージを通信部60に出力する。通信部60は、基地局装置12を介して通信装置10に設定変更メッセージを送信する。この設定変更メッセージによる設定変更は一時的であるので、許可部72は、通信装置10に対して設定変更を一時的に許可するといえる。これは前述の処理Gに相当する。
【0040】
通信部60は、基地局装置12を介して通信装置10から完了通知を受信する。通信部60は、完了通知を許可部72に出力する。許可部72は、通信部60から完了通知を入力する。これは、前述の処理Hに相当する。許可部72は、完了通知を管理部64に出力する。管理部64は、通信装置10に対する設定内容を管理する。ここでは、前述のごとく、許可部72から、設定変更の具体的な内容を受けつけることによって、通信装置10に対して変更された設定内容を管理している。また、管理部64は、完了通知を受けつけたタイミングを起点とした一定期間を計測する。管理部64は、一定期間が到来した場合、通信装置10に対して変更された設定内容をもとの設定内容に戻す。これは、管理装置22による通信装置10の設定変更が一時的な設定変更であるからである。一方、通信装置10が、設定変更された後、一定期間が経過した場合、あるいは電源がオフされた場合、変更された設定内容をもとの設定内容に戻してもよい。なお、管理装置22とは別の設定装置26によって通信装置10の設定が変更された場合、管理部64は、当該変更に応じた設定内容も変更する。その際、管理部64は一定期間を計測しない。これは、設定装置26による通信装置10の設定変更が継続的な設定変更であるからである。
【0041】
集計部66は、管理部64が通信装置10の設定内容を変更した場合、それを取得するとともに、通信装置10ごとに設定変更の内容と設定変更の回数とを集計する。集計結果は、例えば、LCDの明るさの変更が「10回」されているように示される。つまり、集計部66は、許可部72が一時的に許可した設定変更の内容と設定変更の回数とを集計する。集計部66は、集計結果を通信部60に出力する。通信部60は、集計部66における集計結果をサーバ装置24に送信する。
【0042】
図4は、サーバ装置24の構成を示す。サーバ装置24は、通信部80、記憶部82、選択部84、出力部86、表示部88を含む。
【0043】
通信部80は、ネットワーク20に接続される。通信部80は、ネットワーク20を介して管理装置22、設定装置26と通信する。通信部80は、ネットワーク20を介して管理装置22から集計結果を受信する。前述のごとく、集計結果は通信装置10ごとに生成されている。通信部80は、受信した集計結果を記憶部82に記憶する。記憶部82は、複数の通信装置10に対する集計結果を記憶する。
【0044】
選択部84は、記憶部82に記憶された複数の通信装置10に対する集計結果のうち、1つの通信装置10に対する集計結果を抽出する。選択部84は、抽出した集計結果から、使用頻度の高い設定変更を選択する。例えば、選択部84は、変更回数がしきい値よりも多い設定変更を選択してもよく、選択部84は、複数の設定変更の中から最も変更回数の多い設定変更を選択してもよい。前者が絶対的基準による選択に相当し、後者が相対的基準による選択に相当する。このように、選択部84は、集計部66における集計結果をもとに、使用頻度の高い設定変更を選択する。選択部84は、選択した設定変更であって、かつ1つの通信装置10に対する設定変更を出力部86に出力する。
【0045】
出力部86は、選択部84から、1つの通信装置10に対する設定変更を入力する。出力部86は、通信部80、ネットワーク20を介して設定装置26に、1つの通信装置10に対する設定変更を送信する。これにより、設定装置26は、当該1つの通信装置10に対する継続的な設定変更を実行する。
【0046】
以上の処理に加えて、あるいは代わりに、選択部84、出力部86は、次の処理を実行してもよい。選択部84は、記憶部82に記憶された複数の通信装置10に対する集計結果を抽出する。選択部84は、抽出した集計結果から、使用頻度の高い設定変更を選択する。これまでとの差異は、複数の通信装置10に対する集計結果を処理対象にしていることであり、選択の処理はこれまでと同様である。選択部84は、選択した設定変更を出力部86に出力する。
【0047】
出力部86は、選択部84から設定変更を入力する。出力部86は、通信部80、ネットワーク20を介して設定装置26に設定変更を送信する。ここで、設定変更の対象となる通信装置10は、選択部84における選択の対象となった複数の通信装置10とは別の通信装置10である。これにより、設定装置26は、当該別の通信装置10に対する継続的な設定変更を実行する。これは、1つのグループに含まれた複数の通信装置10を対象にして選択部84が設定変更を選択し、当該グループに新たに含まれる別の通信装置10に対して設定変更を反映させることに相当する。なお、選択部84において選択された設定変更は、設計部門16に出力されてもよい。設計部門16は、受けつけた設定変更を次期開発機種の設定に反映する。
【0048】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図5は、通信システム100による設定変更手順を示すシーケンス図である。通信装置10は、管理装置22に要求メッセージを送信する(S10)。管理装置22は、通信装置10に応答メッセージを送信する(S12)。通信装置10は、管理装置22に変更通知を送信する(S14)。管理装置22は、通信装置10に設定変更メッセージを送信する(S16)。通信装置10は、管理装置22に完了通知を送信する(S18)。
【0049】
図6は、通信装置10による設定変更手順を示すフローチャートである。要求部44が要求メッセージを送信し(S50のY)、受付部46が応答メッセージと設定変更メッセージとを受信した場合(S52のY)、処理部48は、一時的な設定変更を実行する(S54)。処理部48は、一定期間経過後に設定変更を戻す(S56)。要求部44が要求メッセージを送信しない場合(S50のN)、あるいは受付部46が応答メッセージと設定変更メッセージとを受信しない場合(S52のN)、設定装置26から設定変更を受けつければ(S58のY)、処理部48は、継続的な設定変更を実行する(S60)。設定装置26から設定変更を受けつけない場合(S58のN)、処理は終了される。
【0050】
本実施例によれば、通信装置から受けつけた設定変更の要求をもとに、通信装置に対して設定変更を一時的に許可するので、誤った設定変更がなされても、一定期間後にもとの設定に戻すことができる。また、誤った設定変更がなされても、一定期間後にもとの設定に戻されるので、誤った設定変更の影響を抑制できる。また、設定変更が可能であると判定した場合、通信装置に対して設定変更を一時的に許可するので、ユーザの利便性を向上できる。そのため、誤った設定変更の発生を抑制しながら、ユーザの利便性を向上できる。
【0051】
また、設定変更の内容と設定変更の回数との集計結果をもとに、使用頻度の高い設定変更を選択するので、継続的に設定変更すべき内容を特定できる。また、使用頻度の高い設定変更をもとに継続的な設定変更を設定装置に実行させるので、通信装置の使用形態に適した設定変更を実行できる。また、複数の通信装置に対する集計結果をもとに選択した使用頻度の高い設定変更を、複数の通信装置とは別の通信装置に対する継続的な設定変更とするので、設定変更を要求していない別の通信装置に対しても、使用形態に適した設定変更を実行できる。
【0052】
また、管理装置によって一時的に許可された設定変更を受けつけた場合、設定を一時的に変更し、設定装置から、継続的な設定変更を受けつけた場合、設定を継続的に変更するので、誤った設定変更の発生を抑制しながら、ユーザの利便性を向上できる。また、通信装置から設定変更を要求するので、ユーザが能動的に設定を変更できる。またユーザが能動的に設定を変更するので、販売店に設定変更を依頼する手間を省略できる。また、使用頻度の高い設定変更が設計部門に知らされるので、次期開発機種の設定を見直す機会を提供できる。
【0053】
以上、本発明を、実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0054】
実施例において、通信システム100に、業務用無線を使用している。しかしながらこれに限らず例えば、業務用無線以外の無線通信システムが使用されてもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0055】
10 通信装置、 12 基地局装置、 14 管理システム、 16 設計部門、 18 販売店、 20 ネットワーク、 22 管理装置、 24 サーバ装置、 30 操作部、 32 表示部、 34 マイク、 36 スピーカ、 38 制御部、 40 通信部、 42 IF部、 44 要求部、 46 受付部、 48 処理部、 60 通信部、 62 制御部、 64 管理部、 66 集計部、 68 受付部、 70 判定部、 72 許可部、 80 通信部、 82 記憶部、 84 選択部、 86 出力部、 88 表示部、 100 通信システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6