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特許7040763ゲートウェイ装置、方法、プログラム、及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】ゲートウェイ装置、方法、プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/66 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
H04L12/66
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018061706
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019176295
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】長井 栄吾
(72)【発明者】
【氏名】田村 利之
(72)【発明者】
【氏名】白山 篤志
【審査官】安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/043204(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0048876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて端末装置のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイとの通信を行う第1通信処理部と、
MEC(Mobile Edge Computing)によりサービスを提供するMECサーバとの通信を行う第2通信処理部と、
前記MECサーバのアドレスに関する情報を管理する管理部と、
を備え、
前記MECサーバのサービスエリアは、トラッキングエリア識別子により識別されるエリアであり、
前記第1通信処理部は、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレス以外のアドレスである場合には、前記端末装置と前記パケットデータネットワークゲートウェイとの間でデータの転送を行い、前記MECサーバの前記サービスエリアへのトラッキングエリアアップデートリクエストを前記端末装置から受信した場合に、前記パケットデータネットワークゲートウェイに対して、Modify Bearer Requestメッセージを送信し、
前記第2通信処理部は、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレスである場合には、前記端末装置と前記MECサーバとの間でデータの転送を行う、ゲートウェイ装置。
【請求項2】
前記第1通信処理部は、前記パケットデータネットワークゲートウェイから、Modify Bearer Responseメッセージを受信する、請求項記載のゲートウェイ装置。
【請求項3】
前記第1通信処理部は、前記パケットデータネットワークゲートウェイから前記Modify Bearer Responseメッセージを受信した後、前記パケットデータネットワークゲートウェイとの間で、S5インタフェースを用いた通信を行う、請求項記載のゲートウェイ装置。
【請求項4】
EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて端末装置のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイとの通信を行うことと、
MEC(Mobile Edge Computing)によりサービスを提供するMECサーバとの通信を行うことと、
前記MECサーバのアドレスに関する情報を管理することと、
を含み、
前記MECサーバのサービスエリアは、トラッキングエリア識別子により識別されるエリアであり、
前記パケットデータネットワークゲートウェイとの通信では、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレス以外のアドレスである場合に、前記端末装置と前記パケットデータネットワークゲートウェイとの間でデータの転送を行い、前記MECサーバの前記サービスエリアへのトラッキングエリアアップデートリクエストを前記端末装置から受信した場合に、前記パケットデータネットワークゲートウェイに対して、Modify Bearer Requestメッセージを送信し、
前記MECサーバとの通信では、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレスである場合に、前記端末装置と前記MECサーバとの間でデータの転送を行う、方法。
【請求項5】
EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて端末装置のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイとの通信を行うことと、
MEC(Mobile Edge Computing)によりサービスを提供するMECサーバとの通信を行うことと、
前記MECサーバのアドレスに関する情報を管理することと、
をプロセッサに実行させるプログラムであり、
前記MECサーバのサービスエリアは、トラッキングエリア識別子により識別されるエリアであり、
前記パケットデータネットワークゲートウェイとの通信では、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレス以外のアドレスである場合に、前記端末装置と前記パケットデータネットワークゲートウェイとの間でデータの転送を行い、前記MECサーバの前記サービスエリアへのトラッキングエリアアップデートリクエストを前記端末装置から受信した場合に、前記パケットデータネットワークゲートウェイに対して、Modify Bearer Requestメッセージを送信し、
前記MECサーバとの通信では、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレスである場合に、前記端末装置と前記MECサーバとの間でデータの転送を行う、プログラム。
【請求項6】
EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて端末装置のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイとの通信を行うことと、
MEC(Mobile Edge Computing)によりサービスを提供するMECサーバとの通信を行うことと、
前記MECサーバのアドレスに関する情報を管理することと、
をプロセッサに実行させるプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体であり、
前記MECサーバのサービスエリアは、トラッキングエリア識別子により識別されるエリアであり、
前記パケットデータネットワークゲートウェイとの通信では、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレス以外のアドレスである場合に、前記端末装置と前記パケットデータネットワークゲートウェイとの間でデータの転送を行い、前記MECサーバの前記サービスエリアへのトラッキングエリアアップデートリクエストを前記端末装置から受信した場合に、前記パケットデータネットワークゲートウェイに対して、Modify Bearer Requestメッセージを送信し、
前記MECサーバとの通信では、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレスである場合に、前記端末装置と前記MECサーバとの間でデータの転送を行う、記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートウェイ装置、方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、MEC(Mobile Edge Computing)は、アプリケーション開発者及びコンテンツプロバイダに対して、モバイル加入者に近接した無線アクセスネットワーク内でのクラウドコンピューティング能力及びIT(information technology)サービス環境を提供する。この環境は、超低遅延及び高帯域幅に加えて、アプリケーション及びサービスによって活用されることができる無線ネットワーク情報(加入者位置、セル負荷など)への直接アクセスを提供することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2017/099165号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
MECを実現する方法は、以下のようにいくつか存在しうるが、3GPP(3rd Generation Partnership Project)に規定されるような標準的な方法はない。
【0005】
例えば、S1区間にDPI(Deep Packet Inspection)を設置して、MECサービス向け宛先IPパケットの経路を変更する方法では、次のような問題がある。すなわち、MECサービス向けのサービス提供エリアでは、UE(User Equipment)の位置が分からないため、ネットワークからのダウンリンクパケットをUEが受信することができない。
【0006】
また、MECサービス向けのサービスエリアにPGWを配備し、当該PGWをモビリティ制御と連動させると、UEは、ダウンリンクパケットを受信することができるが、PDNセッションの再設定が必要となる。つまり、UEにIPアドレスが再割り当てされるという点で、サービスへの影響が発生する。また、PGWをMECサービス向けのサービスエリアに配備する場合、インターネット向けの接続を維持するため、MECサービス向けのサービスエリアには、例えばIPX(Internetwork Packet eXchange)などの設備が必要となる。
【0007】
本発明の目的は、EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて、パケットデータネットワークゲートウェイを介したサービスとMEC(Mobile Edge Computing)によるサービスとの両方を端末装置に対して適切に提供することを可能にするゲートウェイ装置、方法、プログラム、及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のゲートウェイ装置は、EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて端末装置のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイとの通信を行う第1通信処理部と、MEC(Mobile Edge Computing)によりサービスを提供するMECサーバとの通信を行う第2通信処理部と、上記MECサーバのアドレスに関する情報を管理するアドレス管理部と、を備え、上記MECサーバのサービスエリアは、トラッキングエリア識別子により識別されるエリアであり、上記第1通信処理部は、上記端末装置のためのデータの宛先アドレスが上記MECサーバのアドレス以外のアドレスである場合には、上記端末装置と上記パケットデータネットワークゲートウェイとの間でデータの転送を行い、上記MECサーバの上記サービスエリアへのトラッキングエリアアップデートリクエストを上記端末装置から受信した場合に、上記パケットデータネットワークゲートウェイに対して、Modify Bearer Requestメッセージを送信し、上記第2通信処理部は、上記端末装置のためのデータの宛先アドレスが上記MECサーバのアドレスである場合には、上記端末装置と上記MECサーバとの間でデータの転送を行う。
【0009】
本発明では、上記MECサーバのアドレスと、それ以外のアドレスを管理し比較する事でデータ転送先を判断している。ここで、この判断で用いるアドレスとは、IPv4(Internet Protocol version 4)アドレス、IP v4アドレス群、IPv6(Internet Protocol version 6)アドレス、IPv6アドレス群、トランスポート層で用いるPort番号、トランスポート層で用いるPort番号群、或いは上位層でサービスの限定に用いる情報であってもかまわない。
【0010】
本発明の方法は、EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて端末装置のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイとの通信を行うことと、MEC(Mobile Edge Computing)によりサービスを提供するMECサーバとの通信を行うことと、上記MECサーバのアドレスに関する情報を管理することと、を含み、上記MECサーバのサービスエリアは、トラッキングエリア識別子により識別されるエリアであり、上記パケットデータネットワークゲートウェイとの通信では、上記端末装置のためのデータの宛先アドレスが上記MECサーバのアドレス以外のアドレスである場合に、上記端末装置と上記パケットデータネットワークゲートウェイとの間でデータの転送を行い、上記MECサーバの上記サービスエリアへのトラッキングエリアアップデートリクエストを上記端末装置から受信した場合に、上記パケットデータネットワークゲートウェイに対して、Modify Bearer Requestメッセージを送信し、上記MECサーバとの通信では、上記端末装置のためのデータの宛先アドレスが上記MECサーバのアドレスである場合に、上記端末装置と上記MECサーバとの間でデータの転送を行う、方法である。
【0011】
本発明のプログラムは、EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて端末装置のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイとの通信を行うことと、MEC(Mobile Edge Computing)によりサービスを提供するMECサーバとの通信を行うことと、上記MECサーバのアドレスに関する情報を管理することと、をプロセッサに実行させるプログラムであり、上記MECサーバのサービスエリアは、トラッキングエリア識別子により識別されるエリアであり、上記パケットデータネットワークゲートウェイとの通信では、上記端末装置のためのデータの宛先アドレスが上記MECサーバのアドレス以外のアドレスである場合に、上記端末装置と上記パケットデータネットワークゲートウェイとの間でデータの転送を行い、上記MECサーバの上記サービスエリアへのトラッキングエリアアップデートリクエストを上記端末装置から受信した場合に、上記パケットデータネットワークゲートウェイに対して、Modify Bearer Requestメッセージを送信し、上記MECサーバとの通信では、上記端末装置のためのデータの宛先アドレスが上記MECサーバのアドレスである場合に、上記端末装置と上記MECサーバとの間でデータの転送を行う、プログラムである。
【0012】
本発明の記録媒体は、EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて端末装置のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイとの通信を行うことと、MEC(Mobile Edge Computing)によりサービスを提供するMECサーバとの通信を行うことと、上記MECサーバのアドレスに関する情報を管理することと、をプロセッサに実行させるプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体であり、上記MECサーバのサービスエリアは、トラッキングエリア識別子により識別されるエリアであり、上記パケットデータネットワークゲートウェイとの通信では、上記端末装置のためのデータの宛先アドレスが上記MECサーバのアドレス以外のアドレスである場合に、上記端末装置と上記パケットデータネットワークゲートウェイとの間でデータの転送を行い、上記MECサーバの上記サービスエリアへのトラッキングエリアアップデートリクエストを上記端末装置から受信した場合に、上記パケットデータネットワークゲートウェイに対して、Modify Bearer Requestメッセージを送信し、上記MECサーバとの通信では、上記端末装置のためのデータの宛先アドレスが上記MECサーバのアドレスである場合に、上記端末装置と上記MECサーバとの間でデータの転送を行う、記録媒体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、EPCネットワークにおいて、パケットデータネットワークゲートウェイを介したサービスとMECによるサービスとの両方を、端末装置に対して適切に提供することが可能になる。なお、本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果とともに、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態に係るシステム1の概略的な構成の一例を示す説明図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るゲートウェイ装置100の概略的な構成の例を示すブロック図である。
図3図3は、実施例に係るEPCネットワークの概略的な構成の例を示す図である。
図4図4は、EPCネットワークにおける各ネットワークノードの動作の流れを概略的に示す図である。
図5図5は、トラッキングエリアアップデートのプロシージャを説明するためのシーケンス図である。
図6図6は、他の実施例に係るEPCネットワークの概略的な構成の例を示す図である。
図7図7は、第2の実施形態に係るゲートウェイ装置100の概略的な構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0016】
説明は、以下の順序で行われる。
1.本発明の実施形態の概要
2.システムの構成
3.第1の実施形態
3.1.ゲートウェイ装置100の構成
3.2.技術的特徴
3.3.実施例
4.第2の実施形態
4.1.ゲートウェイ装置100の構成
4.2.技術的特徴
5.他の形態
【0017】
<<1.本発明の実施形態の概要>>
まず、本発明の実施形態の概要を説明する。
【0018】
(1)技術的課題
MEC(Mobile Edge Computing)は、アプリケーション開発者及びコンテンツプロバイダに対して、モバイル加入者に近接した無線アクセスネットワーク内でのクラウドコンピューティング能力及びIT(information technology)サービス環境を提供する。この環境は、超低遅延及び高帯域幅に加えて、アプリケーション及びサービスによって活用されることができる無線ネットワーク情報(加入者位置、セル負荷など)への直接アクセスを提供することが可能になる。
【0019】
MECを実現する方法は、以下のようにいくつか存在しうるが、3GPP(3rd Generation Partnership Project)に規定されるような標準的な方法はない。
【0020】
例えば、S1区間にDPI(Deep Packet Inspection)を設置して、MECサービス向け宛先IPパケットの経路を変更する方法では、次のような問題がある。すなわち、MECサービス向けのサービス提供エリアでは、UE(User Equipment)の位置が分からないため、ネットワークからのダウンリンクパケットをUEが受信することができない。
【0021】
また、MECサービス向けのサービスエリアにPGWを配備し、当該PGWをモビリティ制御と連動させると、UEは、ダウンリンクパケットを受信することができるが、PDNセッションの再設定が必要となる。つまり、UEにIPアドレスが再割り当てされるという点で、サービスへの影響が発生する。また、PGWをMECサービス向けのサービスエリアに配備する場合、インターネット向けの接続を維持するため、MECサービス向けのサービスエリアには、例えばIPX(Internetwork Packet eXchange)などの設備が必要となる。
【0022】
本実施形態の目的は、EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて、パケットデータネットワークゲートウェイを介したサービスとMEC(Mobile Edge Computing)のためのサービスとの両方を、端末装置に対して適切に提供することを可能にすることである。
【0023】
(2)技術的特徴
本発明の実施形態では、例えば、ゲートウェイ装置は、EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて端末装置のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイとの通信を行う。また、ゲートウェイ装置は、MEC(Mobile Edge Computing)によりサービスを提供するMECサーバとの通信を行う。また、ゲートウェイ装置は、上記MECサーバのアドレスに関する情報を管理する。そして、ゲートウェイ装置は、上記端末装置のためのデータの宛先アドレスが上記MECサーバのアドレス以外のアドレスである場合には、上記端末装置と上記パケットデータネットワークゲートウェイとの間でデータの転送を行い、上記端末装置のためのデータの宛先アドレスが上記MECサーバのアドレスである場合には、上記端末装置と上記MECサーバとの間でデータの転送を行う。
【0024】
このように、本発明の実施形態では、上記MECサーバのアドレスと、それ以外のアドレスを管理し比較する事でデータ転送先を判断している。この判断で用いるアドレスとは、IPv4(Internet Protocol version 4)アドレス、IP v4アドレス群、IPv6(Internet Protocol version 6)アドレス、IPv6アドレス群、トランスポート層で用いるPort番号、トランスポート層で用いるPort番号群、或いは上位層でサービスの限定に用いる情報であってもかまわない。
【0025】
これにより、例えば、EPCネットワークにおいて、パケットデータネットワークゲートウェイを介したサービスとMECによるサービスとの両方を、端末装置に対して適切に提供することが可能になる。
【0026】
なお、上述した技術的特徴は本発明の実施形態の具体的な一例であり、当然ながら、本発明の実施形態は上述した技術的特徴に限定されない。
【0027】
<<2.システムの構成>>
図1を参照して、本発明の実施形態に係るシステム1の構成の例を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシステム1の概略的な構成の一例を示す説明図である。図1を参照すると、システム1は、ゲートウェイ装置100、パケットデータネットワークゲートウェイ200(以下、PGW200ともいう。)、モバイルエッジコンピューティングサーバ300(以下、MECサーバ300ともいう。)、基地局400、及び端末装置500を含む。
【0028】
例えば、システム1は、3GPP(Third Generation Partnership Project)の規格(standard)/仕様(specification)に準拠したシステムである。より具体的には、例えば、システム1は、LTE/LTE-Advanced及び/又はSAE(System Architecture Evolution)の規格/仕様に準拠したシステムであってもよい。あるいは、システム1は、第5世代(5G)/NR(New Radio)の規格/仕様に準拠したシステムであってもよい。当然ながら、システム1は、これらの例に限定されない。
【0029】
(1)ゲートウェイ装置100
ゲートウェイ装置100は、コアネットワークのノードであって、PGW200、MECサーバ300、及び基地局400のそれぞれとネットワークを介した通信を行う。
【0030】
(2)PGW200
PGW200は、インターネット2との接合点、つまりPDN(Packet data network)との接合点であり、IPアドレスの割当ておよびサービングゲートウェイ(SGW)へのパケット転送などを行うゲートウェイである。また、PGW200は、図1に示すように、ネットワークを介してゲートウェイ装置100との通信を行う。
【0031】
(3)MECサーバ300
MECサーバ300は、MECサービスを提供するサーバであり、ゲートウェイ装置100と通信可能に接続され、ゲートウェイ装置100および基地局400を介して、端末装置500に当該MECサービスに用いるデータの送受信を行う。
【0032】
(4)基地局400
基地局400は、無線アクセスネットワーク(Radio Access Network:RAN)のノードであり、カバレッジエリア内に位置する端末装置(例えば、端末装置500)との無線通信を行う。
【0033】
例えば、基地局400は、eNB(evolved Node B)であってもよく、又は、5GにおけるgNB(generation Node B)であってもよい。
【0034】
(5)端末装置500
端末装置500は、基地局との無線通信を行う。例えば、端末装置500は、基地局400のカバレッジエリア内に位置する場合に、基地局400との無線通信を行う。例えば、端末装置500は、UE(User Equipment)である。
【0035】
<<3.第1の実施形態>>
続いて、図2図6を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
【0036】
<3.1.ゲートウェイ装置100の構成>
次に、図2を参照して、第1の実施形態に係るゲートウェイ装置100の構成の例を説明する。図2は、第1の実施形態に係るゲートウェイ装置100の概略的な構成の例を示すブロック図である。図2を参照すると、ゲートウェイ装置100は、ネットワーク通信部110、記憶部120及び処理部130を備える。
【0037】
(1)ネットワーク通信部110
ネットワーク通信部110は、ネットワークから信号を受信し、ネットワークへ信号を送信する。
【0038】
(2)記憶部120
記憶部120は、ゲートウェイ装置100の動作のためのプログラム(命令)及びパラメータ、並びに様々なデータを、一時的に又は恒久的に記憶する。当該プログラムは、ゲートウェイ装置100の動作のための1つ以上の命令を含む。
【0039】
(3)処理部130
処理部130は、ゲートウェイ装置100の様々な機能を提供する。処理部130は、第1通信処理部131、第2通信処理部133、及び管理部135を含む。なお、処理部130は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含み得る。即ち、処理部130は、これらの構成要素の動作以外の動作も行い得る。第1通信処理部131、第2通信処理部133、及び管理部135の具体的な動作は、後に詳細に説明する。
【0040】
例えば、処理部130(第1通信処理部131)は、ネットワーク通信部110を介してパケットデータネットワークゲートウェイ200と通信する。また、処理部130(第2通信処理部133)は、ネットワーク通信部110を介してMECサーバ300と通信する。
【0041】
(4)実装例
ネットワーク通信部110は、ネットワークアダプタ並びに/又はネットワークインタフェースカード等により実装されてもよい。記憶部120は、メモリ(例えば、不揮発性メモリ及び/若しくは揮発性メモリ)並びに/又はハードディスク等により実装されてもよい。処理部130は、ベースバンド(Baseband:BB)プロセッサ及び/又は他の種類のプロセッサ等の1つ以上のプロセッサにより実装されてもよい。第1通信処理部131、第2通信処理部133、及び管理部135は、同一のプロセッサにより実装されてもよく、別々に異なるプロセッサにより実装されてもよい。上記メモリ(記憶部120)は、上記1つ以上のプロセッサ内に含まれていてもよく、又は、上記1つ以上のプロセッサ外にあってもよい。
【0042】
ゲートウェイ装置100は、プログラム(命令)を記憶するメモリと、当該プログラム(命令)を実行可能な1つ以上のプロセッサとを含んでもよい。当該1つ以上のプロセッサは、上記プログラムを実行して、処理部130の動作(第1通信処理部131、第2通信処理部133、及び/又は管理部135の動作)を行ってもよい。上記プログラムは、処理部130の動作(第1通信処理部131、第2通信処理部133、及び/又は管理部135の動作)をプロセッサに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0043】
なお、ゲートウェイ装置100は、仮想化されていてもよい。即ち、ゲートウェイ装置100は、仮想マシンとして実装されてもよい。この場合に、ゲートウェイ装置100(仮想マシン)は、プロセッサ及びメモリ等を含む物理マシン(ハードウェア)及びハイパーバイザー上で仮想マシンとして動作してもよい。
【0044】
<3.2.技術的特徴>
次に、第1の実施形態の技術的特徴を説明する。
【0045】
ゲートウェイ装置100(第1通信処理部131)は、EPCネットワークにおいて端末装置(例えば端末装置500)のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイ200と通信を行う。また、ゲートウェイ装置100(第2通信処理部133)は、MECサービスを提供するMECサーバ300と通信を行う。また、ゲートウェイ装置100(管理部135)は、MECサーバ300のアドレスに関する情報を管理する。
【0046】
そして、ゲートウェイ装置100(第1通信処理部131)は、上記端末装置(例えば端末装置500)のためのデータの宛先アドレスがMECサーバ300のアドレス以外のアドレスである場合には、上記端末装置(例えば端末装置500)とパケットデータネットワークゲートウェイ200との間でデータの転送を行う。また、ゲートウェイ装置100(第2通信処理部133)は、上記端末装置(例えば端末装置500)のためのデータの宛先アドレスがMECサーバのアドレスである場合には、上記端末装置(端末装置500)とMECサーバ300との間でデータの転送を行う。
【0047】
このように、ゲートウェイ装置100は、上記MECサーバのアドレスと、それ以外のアドレスを管理し比較する事でデータ転送先を判断している。この判断で用いるアドレスとは、IPv4(Internet Protocol version 4)アドレス、IP v4アドレス群、IPv6(Internet Protocol version 6)アドレス、IPv6アドレス群、トランスポート層で用いるPort番号、トランスポート層で用いるPort番号群、或いは上位層でサービスの限定に用いる情報であってもかまわない。
【0048】
例えば、ゲートウェイ装置100(第1通信処理部131、第2通信処理部133、管理部135)は、MECサーバ300のサービスエリア向けのMME(Mobility Management Entity)、SGW及びPGWとして機能する。
【0049】
(1)アドレス
上記端末装置のための上記アドレスとは、具体的には、PGW200によって上記端末装置(例えば端末装置500)に割り当てられるIP(Internet Protocol)アドレスである。
【0050】
また、上記MECサーバ300の上記アドレスとは、具体的には、MECサーバ300のIPアドレスである。また、ゲートウェイ装置100(管理部135)により管理される上記MECサーバ300の上記アドレスに関する上記情報とは、例えば、ゲートウェイ装置100(例えばDNSサーバ)内で認識可能なMECサーバ300のIPアドレスとドメイン名との対応関係に関する情報である。
【0051】
(2)MECサーバ300のサービスエリア
MECサーバ300のサービスエリアは、具体的には、トラッキングエリア識別子により識別されるエリアである。
【0052】
上述したように、上記MECサーバ300のサービスエリアが上記トラッキング識別子により識別される場合、ゲートウェイ装置100は、例えばトラッキングエリアアップデートに関する処理において、次のような処理を行う。
【0053】
ゲートウェイ装置100(管理部135)は、例えば、端末装置500から、上記MECサーバ300の上記サービスエリアへのトラッキングエリアアップデートリクエストを受信した場合に、上記MECサーバ300の上記アドレスに関する上記情報を取得することにより管理する。
【0054】
また、ゲートウェイ装置100(第1通信処理部131)は、例えば、端末装置500から、上記MECサーバ300の上記サービスエリアへのトラッキングエリアアップデートリクエストを受信した場合に、パケットデータネットワークゲートウェイ200に対して、Modify Bearer Requestメッセージを送信する。
【0055】
続いて、ゲートウェイ装置100(第1通信処理部131)は、パケットデータネットワークゲートウェイ200から、Modify Bearer Responseメッセージを受信する。これにより、ゲートウェイ装置100とパケットデータネットワークゲートウェイ200との間に、S5インタフェースが設定される。つまり、ゲートウェイ装置100(第1通信処理部131)は、パケットデータネットワークゲートウェイ200からModify Bearer Responseメッセージを受信した後、パケットデータネットワークゲートウェイ200との間で、S5インタフェースを用いた通信を行う。
【0056】
<3.3.実施例>
次に、第1の実施形態に係る実施例を説明する。
【0057】
(1)ネットワークの構成例
図3は、実施例に係るEPCネットワークの概略的な構成の例を示す図である。図3に示す例では、MME0は、Macro area内の基地局を制御するモビリティマネジメントエンティティであり、SGW0は、Macro area内の端末装置(例えばUE)向けの信号を伝送するためのサービングゲートウェイである。
【0058】
また、PGW0又はPGW3は、上述したパケットデータネットワークゲートウェイ200に相当する。
【0059】
また、MEC Server1又はMEC Server2は、上述したMECサーバ300に相当する。
【0060】
また、MME1、SGW1、及びPGW1のセット、又はMME2、SGW2、及びPGW2のセットは、上述したゲートウェイ装置100に相当する。
【0061】
上述したように、ゲートウェイ装置100は、MECサーバ300(MEC Server1又はMEC Server2)のためのパケットデータネットワークゲートウェイ(PGW1又PGW2)として機能する。このため、EPCのセッションアンカーであるパケットデータネットワークゲートウェイは、Internet向けのPGW0とMECサーバ300向けのPGW(例えば、PGW1又PGW2、ゲートウェイ装置100の一機能)との合計2段のゲートウェイから構成されることになる。
【0062】
このような構成により、例えば、端末装置(UE)は、MEC area1に到達した場合、MEC Server1により提供されるサービスへのアクセスが可能となる。ここで、Internet向けのPGW0は、端末装置(UE)の移動が、SGWチェンジ(例えば、SGW0からSGW1への変更)のハンドオーバとして認識される。つまり、PGWチェンジによるPDNセッションの設定変更が不要であるため、端末装置(UE)に対するIPアドレス再割り当てなどが行われず、サービスへの影響が発生しない。
【0063】
より具体的には、MEC Server1のためのゲートウェイとして機能するゲートウェイ装置100は、例えばPGW1内に設けられるDPIによって、ユーザーパケットの宛先IPアドレスを確認し、上記宛先IPアドレスがMEC Server1宛先のIPアドレスである場合は、MEC Server1のためのPGW(PGW1)として動作する。一方、ゲートウェイ装置100は、上記宛先IPアドレスがMEC Server1宛先のIPアドレスでない場合は、SGW(SGW1)として動作し、InternetのためのPGW(PWG0)へS5インタフェース経由で上記ユーザーパケットに含まれるデータを転送する。このような動作により、端末装置(UE)は、PGW0との接続性を保ったまま、MEC Server1により提供されるサービスを受け取ることが可能になる。言い換えれば、MEC Server1のためのPGW(PGW1)は、そのアンカーとしての動作が既存設備(例えばPGW0)などから見て隠ぺいすることができる。つまり、PGWへのセッションの再設定が不要であり、端末装置(UE)に対するIPアドレスの再設定もないため、アプリケーションサービスへの影響がなくなるという利点がある。
【0064】
ここで、MEC area1では、S5リファレンスポイントが、PGW0及びPWG1からなるカスケード構成となる。また、MEC area1で端末装置(UE)が接続されるSGW(SGW1)は、MEC Server1のためのPGW(PGW1)を内在するものと扱うことができる。このため、PGW1及びSGW1のセットはTGW(Tandem GW,Transit GW)と呼んでもよい。また、End user IP addressは、InternetのためのPGW0から提供されるものをMEC Server1のためのPGW1で用いることができる。また、MEC Server11のためのPGW1が、アプリケーションレイヤレベルでNAT(Network Address Translation)を実施してもよい。
【0065】
また、MEC Server1のためのPGW1は、C-Planeのモビリティ制御と連動するため、PGW0からのダウンリンクパケットを端末装置(UE)に送信することが可能となる。また、MEC Server1のための向け設備として、MME1、SGW1、PGW1、つまりゲートウェイ装置100を設置することになる。このため、既存設備へ機能追加が不要で、MECによるサービスの導入が容易となるという利点がある。
【0066】
(2)トラッキングエリアアップデート
次に、図4及び図5を用いて、端末装置(UE)の移動時に行われるトラッキングエリアアップデートを説明する。図4は、EPCネットワークにおける各ネットワークノードの動作の流れを概略的に示す図である。また、図5は、トラッキングエリアアップデートのプロシージャを説明するためのシーケンス図である。
【0067】
(Macro areaからMEC area1への移動:ST1)
端末装置(UE)がMacro areaからMEC area1へ移動してMEC area1の基地局(eNodeB)と接続する場合、TAIリストを跨ぐトラッキングエリアの変更があるため、TAU with MME,SGW changeが起動される。
【0068】
この場合、MEC Server1のためのMME(MME1)は、MEC Server1のためのSGW(SGW1)のみを認識するように、DNSの設定を行う。また、MEC Server1のためのSGW(SGW1)は、端末装置(UE)が繋がっていたPGW(例えばPGW0)に対してModify Bearer Requestを送付する。これにより、S5インタフェースの設定変更が実行される。
【0069】
(MEC area1からMEC area2への移動:ST2)
端末装置(UE)がMEC area1からMEC area2へ移動してMEC area2の基地局(eNodeB)と接続する場合、TAIリストを跨ぐトラッキングエリアの変更があるため、TAU with MME,SGW changeが起動される。
【0070】
この場合、MEC Server2のためのMME(MME2)は、MEC Server2のためのSGW(SGW2)のみを認識するように、DNSの設定を行う。また、MEC Server2のためのSGW(SGW2)は、端末装置(UE)が繋がっていたPGW(例えばPGW0)に対してModify Bearer Requestを送付する。これにより、S5インタフェースの設定変更が実行される。
【0071】
(MEC area2からMacro areaへの移動:ST2)
端末装置(UE)がMEC area2からMacro areaへ移動してMacro areaの基地局(eNodeB)と接続する場合、TAIリストを跨ぐトラッキングエリアの変更があるため、TAU with MME,SGW changeが起動される。
【0072】
この場合、端末装置(UE)が接続されるSGWはどのSGW(例えば、SGW0、SGW1、SGW2)でもよい。SGW0は、UEが繋がっていたPGW(例えばPGW0)に対してModify Bearer Requestを送信する。これによりS5インタフェースの設定変更が実行される。
【0073】
-効果
本実施例によれば、端末装置(UE)のIPアドレスを変更せずに、MECサービスを提供することが可能になる。また、本実施例によれば、MEC Server1、2に接続するためにMECサービス向けのPGW(例えばPGW1、PGW2)にPDNセッションを設定変更することなく、Macro area向けのPGW0が利用可能となる。すなわち、端末装置(UE)は、Internet向けAPNに関する設定を変更することなく、MECサービスを受けることが可能になる。
【0074】
また、MECサービス向けベアラの設定のためにMECサービス向けAPNを設定することは、ユーザにとって手間がかかるため煩わしい。これに対して、本実施例によれば、MECサービス向けのPGW(例えば、PGW1、PGW2)内に設けられたDPIが、ユーザーパケットの宛先IPアドレスを見て、MECサービス向けのみMECサーバ3への転送処理を行う。このため、APNは、Internet向けに設定した状態で、MECサービスを端末装置(UE)に提供することが可能となる。
【0075】
さらに、本実施例によれば、提供されるMECサービスは、ダウンリンクを含むEPCの全てのモビリティ制御を利用することが可能になる。比較例として、S1区間にDPI装置を設置した場合には、ユーザーパケットの宛先IPアドレスを見てMECサービス向けのみMECサーバへ転送することで振り分けが可能であるもののUEの位置が分からない。このため、MECサービスからUEへのダウンリンクが実施できない。一方、本実施例では、MECサービス向けの設備として、例えば、MME1とSGW1とPGW1とのセット、つまりゲートウェイ装置100があるため、EPCの全てのモビリティ制御を利用することが可能である。これにより、オペレータは、MECサービス向けの設備を容易に導入することも可能になる。例えば、MME1とSGW1とPGW1とのセット、つまりゲートウェイ装置100と、既存設備との接点を、S10とS5点のみに集約することができる。
【0076】
(3)他の実施例
図6は、他の実施例に係るEPCネットワークの概略的な構成の例を示す図である。図6に示すように、MECサービス向けの設備として、MME(MME1、MME2)の機能を果たすゲートウェイ装置100が収容される。このように、MEC area1又はMEC area2に到達した端末装置(UE)に対して、MECサービス向けのMME(ゲートウェイ装置100)を介して、SMS(Short Message Service)を通知することが可能となる。言い換えれば、MECエリアに位置する端末装置(UE)は、MECサービスが使用できることを認識することができる。この場合、MECサービス向けのMME(MME1、MME2)は、MCC(Mobile country code)を確認することにより、ユーザの国別に応じたMECサーバ選択及び言語に応じたSMS通知が可能である。
【0077】
また、MECサービス向けのMME(MME1、MME2)が端末能力や端末契約を識別することによって、MECサービスをサポートするか否かを判断し、端末装置(UE)からのトラッキングエリアアップデートのRequestを拒否してもよい。これにより、MECサービス向けのMME(MME1、MME2)は、MECサービスを端末装置(UE)に与えないように制御することが可能である。
【0078】
<<4.第2の実施形態>>
続いて、図7を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。上述した第1の実施形態は、具体的な実施形態であるが、第2の実施形態は、より一般化された実施形態である。
【0079】
<4.1.ゲートウェイ装置100の構成>
まず、図7を参照して、第2の実施形態に係るゲートウェイ装置100の構成の例を説明する。図7は、第2の実施形態に係るゲートウェイ装置100の概略的な構成の例を示すブロック図である。図7を参照すると、ゲートウェイ装置100は、第1通信処理部141、第2通信処理部143、及び管理部145を備える。第1通信処理部141、第2通信処理部143、及び管理部145の具体的な動作は、後に説明する。
【0080】
第1通信処理部141、第2通信処理部143、及び管理部145は、同一のプロセッサにより実装されてもよく、別々に異なるプロセッサにより実装されてもよい。第1通信処理部141、第2通信処理部143、及び管理部145は、プログラム(命令)を記憶するメモリと、当該プログラム(命令)を実行可能な1つ以上のプロセッサとを含んでもよく、当該1つ以上のプロセッサは、第1通信処理部141、第2通信処理部143、及び管理部145の動作を行ってもよい。上記プログラムは、第1通信処理部141、第2通信処理部143、及び管理部145の動作をプロセッサに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0081】
なお、上述した各々のプロセッサは、例えば汎用なコンピュータにインストールされたハイパーバイザーなどにより実現される仮想プロセッサであってもよい。また、上述した各々のメモリは、例えば汎用なコンピュータにインストールされたハイパーバイザーなどにより実現される仮想メモリであってもよい。
【0082】
<4.2.技術的特徴>
次に、第2の実施形態の技術的特徴を説明する。
【0083】
第2の実施形態では、ゲートウェイ装置100(第1通信処理部141)は、EPCネットワークにおいて端末装置(例えば端末装置500)のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイ200と通信を行う。また、ゲートウェイ装置100(第2通信処理部143)は、MECサービスを提供するMECサーバ300と通信を行う。また、ゲートウェイ装置100(管理部145)は、MECサーバ300のアドレスに関する情報を管理する。
【0084】
そして、ゲートウェイ装置100(第1通信処理部141)は、上記端末装置(例えば端末装置500)のためのデータの宛先アドレスがMECサーバ300のアドレス以外のアドレスである場合には、上記端末装置(例えば端末装置500)とパケットデータネットワークゲートウェイ200との間でデータの転送を行う。また、ゲートウェイ装置100(第2通信処理部143)は、上記端末装置(例えば端末装置500)のためのデータの宛先アドレスがMECサーバのアドレスである場合には、上記端末装置(端末装置500)とMECサーバ300との間でデータの転送を行う。
【0085】
例えば、第1通信処理部141は、上述した第1の実施形態に係る第1通信処理部131の動作を行ってもよい。また、第2通信処理部143は、上述した第1の実施形態に係る第2通信処理部133の動作を行ってもよい。さらに、管理部145は、上述した第1の実施形態に係る管理部135の動作を行ってもよい。
【0086】
以上、第2の実施形態を説明した。第2の実施形態によれば、例えば、EPCネットワークにおいて、パケットデータネットワークゲートウェイを介したサービスとMECによるサービスとの両方を、端末装置に対して適切に提供することが可能になる。
【0087】
<<5.他の形態>>
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。
【0088】
例えば、本明細書に記載されている処理におけるステップは、必ずしもシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、処理におけるステップは、シーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、処理におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。
【0089】
また、本明細書において説明したゲートウェイ装置の構成要素(例えば、第1通信処理部、第2通信処理部、及び/又は管理部)を備える装置(例えば、ゲートウェイ装置を構成する複数の装置(又はユニット)のうちの1つ以上の装置(又はユニット)、又は上記複数の装置(又はユニット)のうちの1つのためのモジュール)が提供されてもよい。また、上記構成要素の処理を含む方法が提供されてもよく、上記構成要素の処理をプロセッサに実行させるためのプログラムが提供されてもよい。また、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体(Non-transitory computer readable medium)が提供されてもよい。当然ながら、このような装置、モジュール、方法、プログラム、及びコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体も本発明に含まれる。
【0090】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0091】
(付記1)
EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて端末装置のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイとの通信を行う第1通信処理部と、
MEC(Mobile Edge Computing)によりサービスを提供するMECサーバとの通信を行う第2通信処理部と、
前記MECサーバのアドレスに関する情報を管理する管理部と、
を備え、
前記第1通信処理部は、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレス以外のアドレスである場合には、前記端末装置と前記パケットデータネットワークゲートウェイとの間でデータの転送を行い、
前記第2通信処理部は、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレスである場合には、前記端末装置と前記MECサーバとの間でデータの転送を行う、ゲートウェイ装置。
【0092】
(付記2)
前記MECサーバのサービスエリアは、トラッキングエリア識別子により識別されるエリアである、付記1記載のゲートウェイ装置。
【0093】
(付記3)
前記第1通信処理部は、前記MECサーバの前記サービスエリアへのトラッキングエリアアップデートリクエストを前記端末装置から受信した場合に、前記パケットデータネットワークゲートウェイに対して、Modify Bearer Requestメッセージを送信する、付記2記載のゲートウェイ装置。
【0094】
(付記4)
前記第1通信処理部は、前記パケットデータネットワークゲートウェイから、Modify Bearer Responseメッセージを受信する、付記3記載のゲートウェイ装置。
【0095】
(付記5)
前記第1通信処理部は、前記パケットデータネットワークゲートウェイから前記Modify Bearer Responseメッセージを受信した後、前記パケットデータネットワークゲートウェイとの間で、S5インタフェースを用いた通信を行う、付記4記載のゲートウェイ装置。
【0096】
(付記6)
EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて端末装置のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイとの通信を行うことと、
MEC(Mobile Edge Computing)によりサービスを提供するMECサーバとの通信を行うことと、
前記MECサーバのアドレスに関する情報を管理することと、
を含み、
前記パケットデータネットワークゲートウェイとの通信では、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレス以外のアドレスである場合に、前記端末装置と前記パケットデータネットワークゲートウェイとの間でデータの転送を行い、
前記MECサーバとの通信では、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレスである場合に、前記端末装置と前記MECサーバとの間でデータの転送を行う、方法。
【0097】
(付記7)
EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて端末装置のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイとの通信を行うことと、
MEC(Mobile Edge Computing)によりサービスを提供するMECサーバとの通信を行うことと、
前記MECサーバのアドレスに関する情報を管理することと、
をプロセッサに実行させるプログラムであり、
前記パケットデータネットワークゲートウェイとの通信では、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレス以外のアドレスである場合に、前記端末装置と前記パケットデータネットワークゲートウェイとの間でデータの転送を行い、
前記MECサーバとの通信では、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレスである場合に、前記端末装置と前記MECサーバとの間でデータの転送を行う、プログラム。
【0098】
(付記8)
EPC(Evolved Packet Core)ネットワークにおいて端末装置のためのアドレスを設定するパケットデータネットワークゲートウェイとの通信を行うことと、
MEC(Mobile Edge Computing)によりサービスを提供するMECサーバとの通信を行うことと、
前記MECサーバのアドレスに関する情報を管理することと、
をプロセッサに実行させるプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体であり、
前記パケットデータネットワークゲートウェイとの通信では、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレス以外のアドレスである場合に、前記端末装置と前記パケットデータネットワークゲートウェイとの間でデータの転送を行い、
前記MECサーバとの通信では、前記端末装置のためのデータの宛先アドレスが前記MECサーバのアドレスである場合に、前記端末装置と前記MECサーバとの間でデータの転送を行う、記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0099】
EPCネットワークにおいて、パケットデータネットワークゲートウェイを介したサービスとモバイルエッジコンピューティングによるサービスとの両方を、端末装置に対して適切に提供することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 システム
100 ゲートウェイ装置
131、141 第1通信処理部
133、143 第2通信処理部
135、145 管理部
200 パケットデータネットワークゲートウェイ
300 MECサーバ
400 基地局
500 端末装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7