(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、情報処理方法及び学習済みモデル
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220315BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
(21)【出願番号】P 2019133941
(22)【出願日】2019-07-19
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】513112474
【氏名又は名称】株式会社ボルテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100117592
【氏名又は名称】土生 哲也
(72)【発明者】
【氏名】池田 正規
【審査官】岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-026970(JP,A)
【文献】特開2015-125483(JP,A)
【文献】特開2016-057768(JP,A)
【文献】特開2008-077276(JP,A)
【文献】特開2009-128918(JP,A)
【文献】西村 崇,トヨタが挑むHRテック 新人配置、ITでカイゼン,日経コンピュータ ,日経BP社 Nikkei Business Publications,Inc.,2019年01月24日,第982号,pp.80-83
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェーズが特定された過去の案件に関する案件実績情報と、前記過去の案件の前記フェーズを担当した担当者に関する担当者情報、及び前記過去の案件の前記フェーズにおける前記担当者に対する評価に関する評価実績情報を含む学習用データを用いて、所定の評価モデルの機械学習を実行する学習手段と、
フェーズが特定された将来の予定案件に関する予定案件情報と、前記予定案件の前記フェーズを担当する担当者に関する担当者情報を含む入力データを前記評価モデルに入力して、前記予定案件の前記フェーズを前記担当者が担当する場合の評価を予測した評価予測情報を出力データとして出力する評価予測情報出力手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記学習手段は、一の過去の案件に対して二以上のフェーズにおける前記案件実績情報と、それらに対応する前記担当者情報及び前記評価実績情報を含む学習用データを用いて、機械学習を実行すること
を特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記案件実績情報と、前記案件実績情報に対応する前記評価実績情報を関連づけて格納する情報格納手段を備えていて、
前記学習手段は、前記情報格納手段から読み出した前記案件実績情報及び前記評価実績情報を含む学習用データを用いて、機械学習を実行すること
を特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記学習手段は、前記過去の案件の相手方である顧客に関する顧客情報を含む学習用データを用いて機械学習を実行し、
前記評価予測情報出力手段は、前記予定案件の相手方である顧客に関する顧客情報を含む入力データを前記評価モデルに入力して、前記評価予測情報を出力データとして出力すること
を特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記評価予測情報出力手段は、一の予定案件情報に対して、二以上の異なる担当者に関する担当者情報と組み合わせた二以上の入力データを前記評価モデルに入力して、前記二以上の異なる担当者の各々に対応する評価予測情報を出力し、
前記二以上の異なる担当者の各々に対応する評価予測情報から、前記一の予定案件情報に対応する予定案件を担当する担当者の候補者リストを生成する候補者リスト生成手段を備えること
を特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記候補者リスト生成手段は、所定の期間に予定されている予定案件に関する二以上の予定案件情報に対応する二以上の候補者リストを生成し、
前記二以上の予定案件情報に対応する各々の予定案件について、対応する候補者リストから選定した担当者を組み合わせた担当者配置案の実行可能性をシミュレーションして、実行可能と判断された担当者配置案について、各々の予定案件について候補者リストから選定された担当者の評価予測情報を用いて、前記担当者配置案に対する評価を実行する担当者配置案評価手段を備えること
を特徴とする請求
項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記担当者配置案評価手段は、同一の期間に予定されている予定案件に関する二以上の予定案件情報に対して、実行可能と判断された二以上の担当者配置案の各々に対する評価を実行し、
前記二以上の担当者配置案から、各々の担当者配置案に対する評価に基づき一又は二以上の担当者配置案を選定する担当者配置案選定手段を備えること
を特徴とする請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記担当者配置案評価手段は、前記候補者リストに含まれる担当者から所定の条件に基づき絞り込んだ担当者を組み合せた担当者配置案のみを対象に実行可能性をシミュレーションすること
を特徴とする請求項6又は7記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、
フェーズが特定された過去の案件に関する案件実績情報と、前記過去の案件の前記フェーズを担当した担当者に関する担当者情報、及び前記過去の案件の前記フェーズにおける前記担当者に対する評価に関する評価実績情報を含む学習用データを用いて、所定の評価モデルの機械学習を実行する学習手段、
フェーズが特定された将来の予定案件に関する予定案件情報と、前記予定案件の前記フェーズを担当する担当者に関する担当者情報を含む入力データを前記評価モデルに入力して、前記予定案件の前記フェーズを前記担当者が担当する場合の評価を予測した評価予測情報を出力データとして出力する評価予測情報出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータが、フェーズが特定された過去の案件に関する案件実績情報と、前記過去の案件の前記フェーズを担当した担当者に関する担当者情報、及び前記過去の案件の前記フェーズにおける前記担当者に対する評価に関する評価実績情報を含む学習用データを用いて、所定の評価モデルの機械学習を実行する学習ステップと、
前記コンピュータが、フェーズが特定された将来の予定案件に関する予定案件情報と、前記予定案件の前記フェーズを担当する担当者に関する担当者情報を含む入力データを前記評価モデルに入力して、前記予定案件の前記フェーズを前記担当者が担当する場合の評価を予測した評価予測情報を出力データとして出力する評価予測情報出力ステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
フェーズが特定された過去の案件に関する案件実績情報と、前記過去の案件の前記フェーズを担当した担当者に関する担当者情報、及び前記過去の案件の前記フェーズにおける前記担当者に対する評価に関する評価実績情報を含む学習用データを用いて、機械学習を実行することによって生成され、
フェーズが特定された将来の予定案件に関する予定案件情報と、前記予定案件の前記フェーズを担当する担当者に関する担当者情報を含む入力データを入力すると、前記予定案件の前記フェーズを前記担当者が担当する場合の評価を予測した評価予測情報を出力データとして出力するよう、コンピュータを機能させるための学習済みモデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案件のフォーズに応じた担当者の評価と、その評価に応じた予定案件への担当者の配置に用いられる情報処理装置、情報処理プログラム、情報処理方法及び学習済みモデルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
企業等の組織において、取り扱う案件の内容に応じて成果を上げられる可能性が高い担当者を適切に配置することは重要な課題であるが、こうした課題に対して、案件(タスク)の属性とこれに適した担当者(リソース)の関係をルール化して、各々の案件(タスク)に適した担当者(リソース)を割り当てるコンピュータシステムに関する発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、こうした案件の属性に応じた担当者を配置する人員配置において、担当者に対する一般的な評価のみに基づくのではなく、その案件(業務)の内容や求められるパフォーマンスに応じた人員配置を行う発明も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2002-531900号公報
【文献】特開2019-61606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした文献等に開示されている案件と担当者の属性をマッチングさせる技術によって、例えば、顧客にある物件を販売する商談に係る案件に対して、その顧客との良好な関係を築くことを期待できる担当者や、対象となる物件に精通している担当者を、当該案件の担当者に選定することが可能になる。しかしながら、大型物件の販売のように複数回の交渉や長期間にわたる商談が必要な案件においては、初回訪問、2回目以降の訪問、商談のクロージング、契約の締結といった案件のフェーズに応じて、担当者に求められる資質やスキルが異なるため、単に案件と担当者の属性をマッチングさせるだけでは、案件のフェーズに応じた担当者の適性を評価して、適切な担当者を選定することは難しい。
【0006】
また、各々の案件のフェーズに応じた担当者を選定することが可能であるとしても、企業等が一定の規模になると、同時に複数の商談等の案件が進行し、それらの案件を複数の担当者が分担して担当することが通常である。そのため、各々の案件のフェーズに応じた担当者を選定するだけでなく、同じ期間に進行している複数の商談等の案件に対して、最適の状態に担当者を配置する仕組みも求められるところである。
【0007】
本発明は、このような課題に対応してなされたものであり、案件のフェーズに応じた担当者の適性を評価するとともに、同じ期間に進行する複数の案件に対してその評価に応じて最適化された配置案を提示することが可能な、案件のフォーズに応じた担当者の評価と、その評価に応じた予定案件への担当者の配置に用いられる情報処理装置、情報処理プログラム、情報処理方法及び学習済みモデルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明に係る情報処理装置は、フェーズが特定された過去の案件に関する案件実績情報と、前記過去の案件の前記フェーズを担当した担当者に関する担当者情報、及び前記過去の案件の前記フェーズにおける前記担当者に対する評価に関する評価実績情報を含む学習用データを用いて、所定の評価モデルの機械学習を実行する学習手段と、フェーズが特定された将来の予定案件に関する予定案件情報と、前記予定案件の前記フェーズを担当する担当者に関する担当者情報を含む入力データを前記評価モデルに入力して、前記予定案件の前記フェーズを前記担当者が担当する場合の評価を予測した評価予測情報を出力データとして出力する評価予測情報出力手段と、を備えることを特徴とする。前記学習手段は、一の過去の案件に対して二以上のフェーズにおける前記案件実績情報と、それらに対応する前記担当者情報及び前記評価実績情報を含む学習用データを用いて、機械学習を実行することを特徴としてもよい。
【0009】
本発明では、顧客と対象物件等によって特定される商談等の案件単位ではなく、案件のフェーズ単位の案件実績情報と、その案件のフェーズを担当した担当者、その案件のフェーズにおける担当者に対する評価である評価実績情報を含む学習用データを用いて機械学習によって評価モデルを生成し、その評価モデルを用いることによって、予定案件のフェーズ毎に担当者の評価を行える構成としている。こうした構成によって、予定案件のフェーズに応じた担当者の適性を評価することが可能になる。
【0010】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記案件実績情報と、前記案件実績情報に対応する前記評価実績情報を関連づけて格納する情報格納手段を備えていて、前記学習手段は、前記情報格納手段から読み出した前記案件実績情報及び前記評価実績情報を含む学習用データを用いて、機械学習を実行することを特徴とする。
【0011】
本発明を効果的に実施するためには、学習手段によって機械学習を実行する前処理として、上記のように、案件のフェーズ単位の案件実績情報と、その案件のフェーズを担当した担当者に対する評価に関する情報を関連づけて格納しておく構成とすることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記学習手段は、前記過去の案件の相手方である顧客に関する顧客情報を含む学習用データを用いて機械学習を実行し、前記評価予測情報出力手段は、前記予定案件の相手方である顧客に関する顧客情報を含む入力データを前記評価モデルに入力して、前記評価予測情報を出力データとして出力することを特徴とすることもできる。
【0013】
予定案件のフェーズに応じた担当者の適性、特に各々の顧客との相性も反映された適切な評価を行うためには、上記のように構成して、対象となる案件のフェーズを担当した担当者に関する情報だけでなく、案件の相手方である顧客に関する情報も反映された評価モデルで担当者の評価を行うことが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記評価予測情報出力手段は、一の予定案件情報に対して、二以上の異なる担当者に関する担当者情報と組み合わせた二以上の入力データを前記評価モデルに入力して、前記二以上の異なる担当者の各々に対応する評価予測情報を出力し、前記二以上の異なる担当者の各々に対応する評価予測情報から、前記一の予定案件情報に対応する予定案件を担当する担当者の候補者リストを生成する候補者リスト生成手段を備えることを特徴とすることもできる。
【0015】
企業等で同時に複数の案件が進行している場合には、同じ担当者が配置されないように調整が必要になるが、このように構成すると、一件の案件に対して一名の担当者ではなく、二以上の担当者がその案件を担当する候補者として提示されるので、同じ期間内に進行する複数の案件に対して最適化された担当者の配置を選定することが必要な場合に、特に好適となる。
【0016】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記候補者リスト生成手段は、所定の期間に予定されている予定案件に関する二以上の予定案件情報に対応する二以上の候補者リストを生成し、前記二以上の予定案件情報に対応する各々の予定案件について、対応する候補者リストから選定した担当者を組み合わせた担当者配置案の実行可能性をシミュレーションして、実行可能と判断された担当者配置案について、各々の予定案件について候補者リストから選定された担当者の評価予測情報を用いて、前記担当者配置案に対する評価を実行する担当者配置案評価手段を備えることを特徴とすることもできる。前記担当者配置案評価手段は、同一の期間に予定されている予定案件に関する二以上の予定案件情報に対して、実行可能と判断された二以上の担当者配置案の各々に対する評価を実行し、前記二以上の担当者配置案から、各々の担当者配置案に対する評価に基づき一又は二以上の担当者配置案を選定する担当者配置案選定手段を備えることを特徴としてもよい。
【0017】
このように構成すると、将来の同じ期間に進行する複数の予定案件に対して、実行可能な担当者配置案を生成してその評価を行うとともに、その中から最適となる担当者配置案を選定することが可能になる。
【0018】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記担当者配置案評価手段は、前記候補者リストに含まれる担当者から所定の条件に基づき絞り込んだ担当者を組み合せた担当者配置案のみを対象に実行可能性をシミュレーションすることを特徴とすることもできる。
【0019】
このように構成すると、候補者リストに含まれる担当者の組合せの数が膨大となり、いわゆる「組合せ爆発」が起こることを防ぎたい場合に、その組合せの数を抑制してシステム処理にかかる負荷を低減することが可能になる。
【0020】
また、本発明は、本発明に係る情報処理装置に対応するコンピュータにおいて動作する、情報処理プログラムとして特定することもできる。
【0021】
本発明に係る情報処理プログラムは、コンピュータを、フェーズが特定された過去の案件に関する案件実績情報と、前記過去の案件の前記フェーズを担当した担当者に関する担当者情報、及び前記過去の案件の前記フェーズにおける前記担当者に対する評価に関する評価実績情報を含む学習用データを用いて、所定の評価モデルの機械学習を実行する学習手段、フェーズが特定された将来の予定案件に関する予定案件情報と、前記予定案件の前記フェーズを担当する担当者に関する担当者情報を含む入力データを前記評価モデルに入力して、前記予定案件の前記フェーズを前記担当者が担当する場合の評価を予測した評価予測情報を出力データとして出力する評価予測情報出力手段、として機能させるためのプログラムである。
【0022】
また、本発明に係る情報処理プログラムは、先に説明した情報処理装置の各々の構成において動作する、情報処理プログラムとして特定することもできる。
【0023】
また、本発明は、本発明に係る情報処理装置に対応するコンピュータよって実行される、情報処理方法として特定することもできる。
【0024】
本発明に係る情報処理方法は、コンピュータが、フェーズが特定された過去の案件に関する案件実績情報と、前記過去の案件の前記フェーズを担当した担当者に関する担当者情報、及び前記過去の案件の前記フェーズにおける前記担当者に対する評価に関する評価実績情報を含む学習用データを用いて、所定の評価モデルの機械学習を実行する学習ステップと、前記コンピュータが、フェーズが特定された将来の予定案件に関する予定案件情報と、前記予定案件の前記フェーズを担当する担当者に関する担当者情報を含む入力データを前記評価モデルに入力して、前記予定案件の前記フェーズを前記担当者が担当する場合の評価を予測した評価予測情報を出力データとして出力する評価予測情報出力ステップと、を有することを特徴とする情報処理方法である。
【0025】
また、本発明に係る情報処理方法は、先に説明した情報処理装置の各々の構成によって実行される、情報処理方法として特定することもできる。
【0026】
また、本発明は、本発明に係る情報処理装置において生成され、データの入出力が行われる学習済みモデルとして特定することもできる。
【0027】
本発明に係る学習済みモデルは、フェーズが特定された過去の案件に関する案件実績情報と、前記過去の案件の前記フェーズを担当した担当者に関する担当者情報、及び前記過去の案件の前記フェーズにおける前記担当者に対する評価に関する評価実績情報を含む学習用データを用いて、機械学習を実行することによって生成され、フェーズが特定された将来の予定案件に関する予定案件情報と、前記予定案件の前記フェーズを担当する担当者に関する担当者情報を含む入力データを入力すると、前記予定案件の前記フェーズを前記担当者が担当する場合の評価を予測した評価予測情報を出力データとして出力するよう、コンピュータを機能させるための学習済みモデルである。
【0028】
また、本発明に係る情報処理方法は、先に説明した情報処理装置の各々の構成に対応する学習済みモデルとして特定することもできる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、業務内容等の案件の属性だけでなく、案件のフェーズに応じた担当者の適性を評価して、各々のフェーズに適した担当者を選定することが可能になる。また、同じ期間に進行する複数の予定案件に対して、案件のフェーズに応じた適性を評価された担当者を最適の状態に配置した配置案を提示することも可能になり、企業等における案件毎の担当者の配置業務が高度化かつ効率化される。
【0030】
本発明は、不動産等の大型物件の販売や賃貸、大規模なシステム開発の受託、M&Aの仲介等のように、複数回の交渉や長期間にわたる商談が必要であり、担当者の商談スキル、顧客との相性、商談フェーズとの相性等がその進捗に大きく影響しやすい案件を担当する営業部門の担当者等の配置に特に好適であり、こうした大型案件の成約推進による経済活動の活性化を期待することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】本発明に係る情報処理装置に対応する業務管理サーバの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明で機械学習によって生成される評価モデルの学習及び利用方法を示す図である。
【
図4】本発明に係る情報処理装置に対応する業務管理サーバに格納される案件情報の一例を示す図である。
【
図5】本発明に係る情報処理装置に対応する業務管理サーバに格納される顧客情報の一例を示す図である。
【
図6】本発明に係る情報処理装置に対応する業務管理サーバに格納される担当者情報の一例を示す図である。
【
図7】本発明に係る情報処理装置において候補者リストを生成する処理フローを示すフローチャートである。
【
図8】本発明に係る情報処理装置によって、所定の期間に予定されている予定案件の担当者配置案を選定する例を示す図である。
【
図9】本発明に係る情報処理装置によって、所定の期間に予定されている予定案件の担当者配置案を選定する処理フローを示すフローチャートである。
【
図10】本発明において予定案件に担当者を配置する組合せを生成する際に、組合せ爆発を防ぐために組合せの対象となる担当者を絞込む方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下においては、本発明を不動産販売等の案件に係る商談を担当する営業部店等の担当者の管理に適用する例について説明するが、本発明の実施形態の一例を示すものであって、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0033】
図1は、本発明を不動産販売等の案件に係る商談を担当する営業部店等の担当者の管理に適用するケースにおける、実施形態の概要を示したものである。
図1において、業務管理サーバ10が本発明に係る情報処理装置に対応する。
【0034】
不動産販売等に係る複数の案件を抱えている事業者は、それらの案件に係る商談を営業部店等の複数の担当者に割り当てて担当させている。各々の案件に係る商談をどの担当者に担当させるかについては、案件の性質等と担当者のスキル等を考慮して決定されるが、ここでは各々の案件と担当者のマッチングに、本発明に係る情報処理装置に対応する機能を備えた業務管理サーバ10が用いられる。
【0035】
業務管理サーバ10には、不動産販売等の案件の内容や商談の進捗状況等に関する案件情報(案件情報には過去の案件の実績に関する案件実績情報と、将来の予定案件に関する予定案件情報が含まれる)、各々の案件の相手方である顧客の属性や特徴等に関する顧客情報、各々の案件に係る商談を担当する担当者の属性やスキル等に関する担当者情報が、データベースに格納されている。
【0036】
データベースに格納されるこれらの情報のうち、案件情報と顧客情報は、各々の案件や顧客を担当する担当者が自らの所持するスマートフォン等の担当者端末30から、あるいは、担当者の上司等の管理者が各営業所に設置されたPC等の営業所端末40や本部等に設置された管理者端末50から入力し、担当者情報は、各々の担当者の上司等の管理者が営業所端末40や管理者端末50から入力して、インターネット等のネットワーク経由で業務管理サーバ10に送信される。
【0037】
このようにしてデータベースに案件情報、顧客情報及び担当者情報が蓄積されると、過去の案件に関する案件情報(案件実績情報)及び顧客情報と、各々の案件を担当した担当者情報の関係性をその評価を含めて解析することで、将来予定されている予定案件についても、その解析結果を用いて予定案件に関する案件情報(予定案件情報)や顧客情報を候補となる担当者の担当者情報とマッチングさせれば、各々の案件に対する担当者の適性を評価し、成果を期待できる可能性が高い担当者を割り当てることが可能になると考えられる。
【0038】
その際に、本発明では、各々の案件における成果に基づく案件を担当した担当者の評価を、案件単位ではなく案件のフェーズ単位で管理するとともに、担当者の評価には機械学習による学習済みの評価モデルを活用し、さらに、個々の予定案件に対する担当者の評価だけでなく、所定の期間に予定されている複数の予定案件に対してその評価を用いて最適化された担当者の配置を提示することを特徴としている。
【0039】
具体的には、案件のフェーズ毎に管理される案件実績情報には、各々のフェーズを担当した担当者の評価が記録されていて、こうした評価に関する評価実績情報と関連付けられた案件実績情報と案件の相手方である顧客の顧客情報、その案件のフェーズを担当した担当者の担当者情報を機械学習によって評価モデルに学習させる。このようにして生成された学習済みの評価モデルに、各々のフェーズが特定された予定案件に関する予定案件情報とその予定案件の相手方である顧客の顧客情報、その予定案件のフェーズを担当する候補となる担当者の担当者情報を入力すると、各々の担当者がその予定案件のフェーズ担当する場合に期待できる成果を予測した評価予測情報が出力される。
【0040】
このようにしてフェーズが特定された各々の予定案件について、各々の予定案件を担当する候補となる担当者の評価予測情報が出力されると、その中から所定の基準を満たす担当者が各々の予定案件を担当する候補者に選定される。所定の期間に予定されている複数の予定案件について、各々の予定案件を担当する候補者が選定されると、同じ時間帯に予定されている複数の予定案件を同じ担当者が担当することはできないこと、及び既存予定や移動時間等を考慮して、想定される候補者の組合せの実行可能性をシミュレーションして、実行可能と判断された担当者配置案が、担当者の配置の決定等を担当する本部等の管理者が操作するPC等の管理者端末20に出力される。
【0041】
尚、
図1には、本発明に係る情報処理装置をインターネットに接続された業務管理サーバ10として構成する実施形態の例を示しているが、クローズドなネットワークに接続されたネットワーク端末から業務管理サーバ10が案件情報等を受信する構成としてもよいし、スタンドアローンで用いられるコンピュータを本発明に係る情報処理装置として、案件情報等をネットワーク経由ではなくキーボード等の入力装置から本発明に係る情報処理装置に直接入力する構成として、本発明を実施することとしてもよい。
【0042】
図2のブロック図は、本発明に係る情報処理装置に対応する業務管理サーバ10の、
図1に示した実施形態における構成の一例を、機能ブロックで示したものである。業務管理サーバ10は、インターネットに接続されてデータの送受信が可能なサーバコンピュータであり、CPU、メインメモリ、HDD等の補助記憶装置が備えられている。業務管理サーバ10では、補助記憶装置に格納されたプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって所定の機能が実現される。
【0043】
業務管理サーバ10を構成するコンピュータの物理的な構成は特に限定されるものではなく、本発明における案件を担当する担当者の評価や配置を行う機能以外の機能が、同一のコンピュータに備えられるものであってもよい。また、本発明に必要な各々の機能は、物理的に一台のコンピュータによって実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータが連携して実現されるものであってもよい。
【0044】
業務管理サーバ10の機械学習実行部14、評価予測情報出力部16、候補者リスト生成部17、担当者配置案評価部18、担当者配置案選定・出力部19は、いずれも機能的に特定されるものであって、HDD等の補助記憶装置に格納された各部の機能に対応するプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、各部に対応する機能が実現される。
【0045】
業務管理サーバ10の案件情報格納部11、顧客情報格納部12、担当者情報格納部13、評価モデル記憶部15には、HDD等の補助記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられる。これらの記憶領域は物理的に一台のコンピュータに設けられることを必須の要件とするものではなく、データベースサーバを構成するコンピュータ等の複数のコンピュータに設けられるものであってもよい。
【0046】
管理者端末20、担当者端末30、営業所端末40、管理者端末50は、業務管理サーバ10とのデータの送受信が可能なネットワーク端末であれば、その構成は特に限定されるものではなく、PCやタブレット型コンピュータ、スマートフォン等を用いることができる。
【0047】
尚、先に説明した、本発明をスタンドアローンのコンピュータに適用する実施形態においては、業務管理サーバ10に案件情報等を入力する担当者端末30、営業所端末40、管理者端末50や、業務管理サーバ10から担当者配置案が出力される管理者端末20には、業務管理サーバ10に対応するコンピュータに直接接続されたキーボードやモニター等の入出力装置が該当することになる。
【0048】
以上の構成を前提にして、
図3-10を用いて、本発明に係る情報処理装置に対応する業務管理サーバ10において、機械学習により評価モデルが生成され、その評価モデルを用いて将来予定されている案件(予定案件)を各々の担当者が担当する場合の評価を実行するとともに、各々の予定案件を担当する候補となる担当者の候補者リストを生成し、所定の期間における複数の予定案件に対して候補者リストから選定された担当者を実行可能な状態で配置した担当者配置案を選定する流れについて、以下に具体的に説明する。
【0049】
はじめに、業務管理サーバ10において、機械学習によって担当者を評価する評価モデルを生成する方法いついて説明する。業務管理サーバ10では機械学習実行部14が所定のタイミングで起動されて、案件情報格納部11、顧客情報格納部12、担当者情報格納部13から読み出した情報を用いた機械学習によって、案件毎に商談を担当する担当者を評価するための評価モデルを生成して、評価モデル記憶部15に記憶させる。
【0050】
図3は、本発明で機械学習によって生成される評価モデルの学習及び利用方法を示しているが、評価モデル記憶部15に記憶される学習済みの評価モデルは、案件のフェーズ単位で管理されているフェーズが特定された過去の案件に関する案件実績情報、その案件の相手方である顧客の顧客情報、その案件のフェーズを担当した担当者の担当者情報と、その案件のフェーズにおける担当者の成果を評価した評価実績情報を学習用データ(教師データ)としてニューラルネットワークなどを用いた推薦アルゴリズムに読み込ませて、機械学習を実行することによって生成される。
【0051】
機械学習が実行された学習済みの評価モデルに対して、案件のフェーズ単位で管理されているフェーズが特定された将来予定されている案件に関する予定案件情報、その予定案件の相手方である顧客の顧客情報、その予定案件のフェーズを担当する候補となる担当者の担当者情報を入力すると、その担当者がその予定案件のフェーズを担当する場合に期待できる成果を予測した評価予測情報が出力される。ここでその予定案件のフェーズを担当する候補となる複数の担当者の担当者情報をそれぞれ入力すれば、ある予定案件のフェーズを担当する候補となる担当者の評価予測情報(
図3の例では評価を「10」「9」等のスコアで示している)が付された候補者リストを出力することができる。
【0052】
以上に説明したように、本発明では、案件を担当した担当者に対する評価を案件単位で管理するのではなく、案件のフェーズ単位で管理される案件実績情報と関連付けて、各々のフェーズにおける担当者に対する評価を評価実績情報として管理し、それらの情報を学習用データ(教師データ)に用いて評価モデルに学習させることによって、フェーズが特定された将来の案件に関する予定案件情報を評価モデルに入力すれば、過去の実績に基づく各々の担当者の案件のフェーズ毎の適性が反映された評価予測情報を出力することが可能となっている。
【0053】
ここでニューラルネットワーク等に読み込ませる案件実績情報、顧客情報、担当者情報は、それぞれ案件情報格納部11、顧客情報格納部12、担当者情報格納部13に格納され、各々の案件のフェーズにおける担当者の評価実績情報は、それぞれ対応する案件のフェーズの案件実績情報と関連付けて案件情報格納部11に格納されているが、案件実績情報及び評価実績情報、顧客情報、担当者情報の一例を示したのが、それぞれ
図4、
図5、
図6である。
【0054】
図4は、案件情報格納部11に格納される案件実績情報及び評価実績情報の一例を示したものであるが、ここでは案件(不動産販売であれば特定の物件に関する特定の顧客との商談等)を識別する一の案件コードに対して、初訪、再訪等のフェーズが特定された複数のレコードが設けられ、各々のレコードには、商談の難度や規模等の案件の属性(これらは同一の案件であればフェーズが異なっても同じ情報となる)、そのフェーズを担当した担当者を識別する社員コード、訪問日、再訪設定日等の案件実績情報と、そのフェーズにおける担当者の成果を評価した評価実績情報が記録されている。
【0055】
図4の例であれば、「再訪設定ポイント」「移行ポイント」「売上貢献ポイント」と、それらを総合した評価である「評価ポイント」が評価実績情報に該当する。「再訪設定ポイント」には、例えば、訪問日と再訪設定日の間隔を演算して、再訪を設定できたタイミングが早いほど高いポイントを付与することとすればよい。「移行ポイント」には、例えば、移行したフェーズに応じて、一般に難しいとされるフェーズへの移行や停滞していた状態からの次のフェーズへの移行に対して、相対的に高いポイントを付与することとすればよい。「売上貢献ポイント」には、例えば、契約フェーズが完了した段階で、同じ案件の他のフェーズを担当した担当者にも、所定の配分比率に応じてポイントを付与することとすればよい。これらのポイントをフェーズ毎に合計した各々の担当者に付与される総合ポイントが、「評価ポイント」となる。
【0056】
尚、こうした評価実績情報は、
図4の例のように各々の項目毎にスコア化して評価するのがシステム処理の効率上は好適であるが、各々の項目毎の評価を自然文で記載しておいて、これを人工知能等で解析して総合評価をスコア化する構成としてもよい。
【0057】
ある案件を担当した担当者の成果は、一般に案件単位で評価されることが多いと考えられるが、本発明では案件のフェーズ毎に担当者の評価が行われて、案件情報格納部11には案件のフェーズ毎の評価が格納される。こうした担当者の評価には、上述の「再訪設定ポイント」等のように、案件実績情報等からシステム処理によって自動的に算出されるポイント等を採用することとすればよいが、その他に、担当者の上司等の管理者が評価を行い、その情報を営業所端末40や管理者端末50に入力して業務管理サーバ10に送信し、業務管理サーバ10で受信した情報を案件情報格納部11に格納して案件のフェーズ毎に管理することとしてもよい。こうした案件実績情報及び評価実績情報を案件のフェーズ毎に管理するための前処理を実施し、これを学習用データ(教師データ)として評価モデルの機械学習に用いることによって、案件の性質のみでなく、フェーズ毎の担当者の適性やスキルが反映された担当者の評価が可能となっている。
【0058】
図4には、案件情報格納部11に格納される案件実績情報及び評価実績情報の一例を示したが、案件情報格納部11には過去の案件に関する案件実績情報等のみでなく、将来予定されている予定案件のフェーズ毎に管理される予定案件情報も格納される。未だ終了していない予定案件情報には、評価実績情報に対応する情報は当然に関連付けられてはおらず、予定案件のフェーズ毎に設定される予定案件情報を記録するレコードには、案件コード、顧客コード、フェーズ、予定されている訪問日時等の情報が含まれることになる。
【0059】
図5は、顧客情報格納部12に格納される顧客情報の一例を示したものであるが、案件の相手先である顧客を識別する顧客コード毎に設けられたレコードには、顧客の企業名や業種、規模等の基本情報の他に、顧客側の担当者の氏名とその担当者の性質(例えば「柔軟性」「気質」「意思決定力」等)が記録されている。案件情報格納部11に格納される案件実績情報等と顧客情報格納部12に格納される顧客情報は、各々の案件の相手先である顧客の顧客コードをキーに関連づけられている。
【0060】
尚、顧客情報格納部12に格納される顧客情報は、顧客となる企業毎に管理することとすればよいが、同一の企業内に異なる案件を担当する複数の部署が存在するような場合には、一の企業に対して複数の顧客情報を設定できることとしてもよい(
図5の例では、そうしたケースを想定して顧客コードを枝番形式としている)。顧客情報格納部12に格納される顧客情報は、顧客を担当する担当者が担当者端末30に、あるいは担当者の上司等の管理者が営業所端末40や管理者端末50に入力して、業務管理サーバ10に送信することとすればよい。
【0061】
図6は、担当者情報格納部13に格納される担当者情報の一例を示したものであるが、案件の商談を担当する営業部店等の社員を識別する社員コード毎に設けられたレコードには、社員の氏名や年齢、性別、勤続年数等の基本情報の他に、その社員の性質(例えば「柔軟性」「気質」「思考」等)が記録されている。案件情報格納部11に格納される案件実績情報等と担当者情報格納部13に格納される担当者情報は、各々の案件を担当する社員の社員コードをキーに関連付けられている。
【0062】
担当者情報格納部12に格納される担当者情報は、顧客を担当する担当者の上司等の管理者が営業所端末40や管理者端末50に入力して、業務管理サーバ10に送信することとすればよい。
【0063】
以上のようにして、案件情報格納部11に格納されている案件実績情報及び評価実績情報、顧客情報格納部12に格納されている顧客情報、担当者情報格納部13に格納されている担当者情報は、営業日毎の定時等の所定のタイミングで起動される機械学習実行部14に読み出されて、これらの情報を学習用データ(教師データ)として、評価モデル記憶部15に記憶される評価モデルの機械学習が実行される。
【0064】
尚、評価モデル記憶部15に記憶される評価モデルの機械学習には、案件情報格納部11に格納されている案件実績情報及び評価実績情報と、担当者情報格納部13に格納されている担当者情報を学習用データ(教師データ)として用いることが必要である。顧客情報格納部12に格納されている顧客情報についても、担当者と顧客との相性や、案件のフェーズに応じた顧客の意思決定等における傾向等を反映するために用いることが好ましいが、これを省略して機械学習を実行することも可能である。
【0065】
ここに説明する本発明の実施形態では、将来の予定案件を担当する候補となる担当者の評価に、ディープラーニング等により機械学習が行われた学習済みモデル(いわゆる人工知能)を採用することとしているが、ここで用いられる評価モデルは機械学習による学習済みモデルに限定されるものではなく、例えば、案件実績情報や評価実績情報を解析してルール化したルールベースの評価モデルを用いることとしてもよい。しかしながら、案件、顧客、担当者の性質等の相関関係は、各々の相性等の要素もあって極めて複雑であり、ここに案件のフェーズというパラメータが加わるとルール化は一層困難となるため、評価モデルには機械学習が行われた学習済みモデルを採用することが好適である。
【0066】
続いて、ここまでに説明した学習済みモデルを用いて、各々の担当者が予定案件を担当する場合の評価を行い、各々の予定案件を担当する候補となる担当者の候補者リストを生成する流れについて、
図7のフローチャートに沿って説明する。
【0067】
業務管理サーバ10では、所定の期間の予定案件について最適化された担当者の配置案を出力したいタイミングで、評価予測情報出力部16が起動される。具体的には、例えば、営業日毎に営業時間の終了時に近づくと評価予測情報出力部16が自動的に起動され、翌営業日分の担当者配置案が生成されることとしてもよいし、担当者配置案の生成が必要なタイミングで、管理者等の操作によって評価予測情報出力部16が起動されることとしてもよい。
【0068】
図7のフローチャートは、評価予測情報出力部16及び候補者リスト生成部17によって実行される処理フローを示したものであるが、評価予測情報出力部16が起動されると、一の予定案件のフェーズについて、案件情報格納部11にフェーズ単位で格納されている一の予定案件情報と、顧客情報格納部12に格納されている予定案件の相手方である顧客の顧客情報が読み出される(S01)。
【0069】
続いて、担当者情報格納部13から、当該予定案件のフェーズを担当する候補となる一の担当者の担当者情報を読み出して、S01で読み出した予定案件情報及び顧客情報とあわせて、評価モデル記憶部15に記憶された評価モデルに入力すると(S02)、当該予定案件のフェーズを当該担当者が担当する場合に期待される評価を予測したスコア(評価予測情報)が出力される(S02)。こうしたスコアの出力を、当該予定案件のフェーズを担当する候補となる全ての担当者を対象にして繰り返す(S02-S04)。
【0070】
当該予定案件のフェーズを担当する候補となる全ての担当者についてのスコア(評価予測情報)が出力されると(S04がNo)、候補者リスト生成部17が起動されて、スコアを降順にソートして、
図3の例に示したような、当該予定案件のフェーズを担当する候補者を優先順位に従って並べた候補者リストを生成する(S05)。こうした各々の予定案件のフェーズに関する候補者リストの生成を、所定の期間に予定されている全ての予定案件を対象にした処理が終了するまで(S06がNo)、繰り返し実行する(S01-S06)。
【0071】
以上のようにして、所定の期間に予定されている全ての予定案件に関する各々の予定案件のフェーズを担当する担当者の候補者リストが生成されると、担当者配置案評価部18が起動されて、候補者リストから選定した担当者を組み合わせた各々の担当者配置案についての評価が行われ、担当者配置案選定・出力部19によって、その中から最適と判断される担当者配置案が選定されて、選定された担当者配置案が管理者端末20に出力される。
【0072】
つまり、
図8の例に示したように、所定の期間に予定されている全ての予定案件に関する各々の予定案件のフェーズを担当する担当者の候補者リストが生成されても、この段階では各々の担当者の他の予定や、一人の担当者について同じ時間帯に予定案件が重複していないか、重複しなくても次に予定されている予定案件の場所への移動が可能かといった実行可能性が考慮されていないため、候補者リストから選定された担当者を組み合わせた担当者配置案を対象に、こうした実行可能性をシミュレーションして、実行可能かつ最適(最大の成果を期待できる)と判断される担当者配置案(例えば、担当者のスコアの合計値が最大となる担当者配置案)を、予定案件への担当者の配置を担当する管理者等に提示する担当者配置案に選定する。
【0073】
本発明では、先に説明したように、案件のフェーズ毎に管理されている案件実績情報及び評価実績情報を用いて評価モデルの機械学習を実行し、この評価モデルを用いることによって、各々の予定案件の担当に適した担当者を各々のフェーズに応じて選定することができるが、各々の予定案件にそのフェーズに適した担当者を配置するためには、こうした評価モデルの利用による担当者の評価のみでは不十分であり、評価モデルによって選定された担当者を各々の予定案件に実行可能な状態で配置することによって、実効性のある担当者配置案を提示することができるものである。
【0074】
図9のフローチャートは、業務管理サーバ10の担当者配置案評価部18及び担当者配置案選定・出力部19によって、所定の期間に予定されている予定案件の担当者配置案を選定する処理フローを示している。
【0075】
担当者配置案評価部18が、候補者リスト生成部17で生成された所定の期間に予定されている予定案件のフェーズを担当する担当者の候補者リストを受け付けると(S11)、いわゆる「組合せ爆発」を防ぐために、後に例示するような候補者リストに掲載された担当者の絞込みを必要に応じて実行して(S12)、候補者リストに掲載されたいずれかの担当者を配置することが可能な全ての組合せを担当者配置案として生成する(S13)。
【0076】
続いて、担当者情報格納部13等から各々の担当者のスケジュールを読み出し(S14)、担当者毎の休暇や他に確定している予定等により予定案件への対応が不可能な日時や場所の除外、二以上の予定案件の時間と場所に基づく担当者の移動の可否等から、各々の組合せに基づく担当者の配置の可否をシミュレーションして、各々の担当者配置案の実行可能性を判定する(S15)。
【0077】
実行可能と判断された組合せである担当者配置案については、各々の予定案件のフェーズを担当する候補に選定された担当者の、当該予定案件のフェーズに関するスコア(評価予測情報)を集計して、各々の担当者配置案の評価を実行する(S16)。担当者配置案選定・出力部19は、その評価に基づき最適と判断される一の担当者配置案を選定して(S17)、選定された担当者配置案に関する情報を管理者端末20に出力する(S18)。
【0078】
ここで各々の担当者配置案を評価し、一の担当者配置案を選定する方法は特に限定されるものではないが、例えば、各々の予定案件を担当する候補に選定された担当者の当該予定案件に関するスコアの合計値や平均値が最大となる担当者配置案を選定することとすればよい。また、管理者端末20に出力する担当者配置案には、一件の担当者配置案のみでなく、予定案件への担当者の配置を担当する管理者等が選択できるように、複数の担当者配置案を含めることとしてもよいし、複数の担当者配置案に集計したスコアにより決定される優先順位を付して出力することとしてもよい。
【0079】
S12で実行する担当者の絞込みの処理は必須の工程ではないが、いわゆる「組合せ爆発」を防止して担当者配置案評価部18によって実行される処理のシステム負荷を抑制するためには、この工程を含めることが好ましい。絞込みの方法は特に限定されるものではないが、例えば、
図10の上段に例示したように、各々の予定案件に対応する候補者リストのうち、スコアが一定の順位以下(この例では4位以下)の担当者を、担当者配置案を生成するための組合せから除外することとしてもよいし、順位ではなくスコアが一定の値以下の担当者を順位に関わらず除外することとしてもよい。
【0080】
また、
図9のフローチャートでは、各々の担当者の休暇や他に確定している予定は、実行可能性のシミュレーションの段階で考慮するものとして説明したが、組合せの対象となる担当者を絞り込む前段階で各々の担当者のスケジュールを読み出して、
図10の下段に例示したように、他の予定等により当該予定案件を担当することが不可能な担当者を、組合せの対象となる担当者を絞り込む段階で除外することとしてもよい。
【0081】
尚、以上の説明では、候補者リストに掲載された担当者の評価には、ディープラーニング等により機械学習が行われた学習済みモデルを採用することとしているが、先に説明したように学習済みモデルに代えてルールベース等の他の評価モデルを用いることとしてもよく、その場合には、候補者リストに掲載された担当者のスコアがルールベース等の他の評価モデルによって算出されるスコアとなる他は、担当者配置案の評価や選定には、ここまでの説明と同様のプロセスを適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 業務管理サーバ
11 案件情報格納部
12 顧客情報格納部
13 担当者情報格納部
14 機械学習実行部
15 評価モデル記憶部
16 評価予測情報出力部
17 候補者リスト生成部
18 担当者配置案評価部
19 担当者配置案選定・出力部
20 管理者端末
30 担当者端末
40 営業所端末
50 管理者端末