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特許7040795長さ可変パスボックスおよびこれを用いたグローブボックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】長さ可変パスボックスおよびこれを用いたグローブボックス
(51)【国際特許分類】
   B25J 21/02 20060101AFI20220315BHJP
   B01L 1/00 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
B25J21/02
B01L1/00 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019232784
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021100774
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-01-08
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511014518
【氏名又は名称】株式会社UNICO
(74)【代理人】
【識別番号】100131657
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 律次
(72)【発明者】
【氏名】一戸 貴志
【審査官】木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-039582(JP,A)
【文献】特開2017-007049(JP,A)
【文献】特開2006-115733(JP,A)
【文献】実開昭49-099783(JP,U)
【文献】特開2017-099622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 21/02
B01L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密な作業室を有し、外気と遮断した状況下でグローブを介して外部から当該作業室内の作業を行えるようにしたグローブボックス本体と、
収納室を有すると共に、前記作業室に通じる第1開口部および前記外部に通じる第2開口部を有するパスボックス本体と、
を具備し、
前記第1開口部は、前記収納室を前記作業室側に延長するための第1長さ調節部材と着脱して前記収納室内を密閉可能な着脱部が形成されることを特徴とするグローブボックス。
【請求項2】
前記第1開口部の着脱部に着脱して前記収納室を密閉し、当該収納室を前記作業室側に延長するための第1長さ調節部材を具備し、
前記第1長さ調節部材は、前記収納室を前記作業室側に延長するための1以上の第1連結部材と第1蓋部材を連結して構成されるものであることを特徴とする請求項1記載のグローブボックス。
【請求項3】
前記第2開口部は、前記収納室を前記外部側に延長するための第2長さ調節部材と着脱して前記収納室内を密閉可能な着脱部が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のグローブボックス。
【請求項4】
前記第2開口部の着脱部に着脱して前記収納室を密閉し、当該収納室を前記外部側に延長するための第2長さ調節部材を具備し、
前記第2長さ調節部材は、前記収納室を前記外部側に延長するための1以上の第2連結部材と第2蓋部材を連結して構成されるものであることを特徴とする請求項3記載のグローブボックス。
【請求項5】
前記パスボックス本体と前記第1長さ調節部材の間および前記パスボックス本体と前記第2長さ調節部材の間を密閉するためのシール部材を具備することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のグローブボックス。
【請求項6】
前記パスボックス本体は、前記収納室内を減圧するための排気手段又は収納室内の気体を置換するための気体供給源に接続され、前記収納室内の気体の給排を行うための給排流路を具備することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のグローブボックス。
【請求項7】
前記第1開口部又は前記第2開口部の着脱部は、螺合により着脱可能とするために、雄ねじ又は雌ねじとして形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のグローブボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローブボックスの作業室と外部との間に配置される長さ可変パスボックスおよびこれを用いたグローブボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、大気中で不安定な物質等を扱うために、グローブボックスが用いられている。グローブボックスは、真空ポンプ等により内部の気体を排気して減圧したり、内部の気体を不活性ガス等に置換したりして使用する気密な作業室を有し、外部側からゴム製のグローブを介して作業室内の作業を行えるようにしたものである。このようなグローブボックスは、作業室の外部と内部との間で物品等の搬入や搬出をする際に、作業室内の環境を管理し易くするため、気密な隔離室を有するパスボックスが設けられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【文献】特開2003-311675
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のパスボックスは、一般的にグローブボックスに固定されており、大きさが決まっているため、外部と内部との間で搬入や搬出できる物品の大きさも制限される。また、あらかじめ大きいパスボックスを設置すると、パスボックス内部の気体を排気して減圧したり、内部の気体を不活性ガス等に置換したりするのに必要な時間が長くなるという問題があった。また、大きいパスボックスは、設置するための空間が余分に必要であるという問題もあった。
【0005】
そこで本発明は、作業室の外部と内部との間で搬入や搬出する物品の大きさに合わせて大きさを変えることができるパスボックスおよびこれを用いたグローブボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のパスボックスは、収納室を有すると共に、少なくとも当該収納室に通じる第1開口部および第2開口部を有するパスボックス本体と、前記第1開口部に着脱して前記収納室を前記第1開口部方向に延長するための第1長さ調節部材と、前記第2開口部に着脱して前記収納室を前記第2開口部方向に延長するための第2長さ調節部材と、を具備することを特徴とする。
【0007】
ここで、前記第1長さ調節部材は、前記収納室を前記第1開口部方向に延長するための1以上の第1連結部材と第1蓋部材を連結して構成されるものであってもよい。
【0008】
また、前記第2長さ調節部材は、前記収納室を前記第2開口部方向に延長するための1以上の第2連結部材と第2蓋部材を連結して構成されるものであってもよい。
【0009】
また、前記パスボックス本体と前記第1長さ調節部材の間および前記パスボックス本体と前記第2長さ調節部材の間を密閉するためのシール部材を具備する方が好ましい。
【0010】
また、前記パスボックス本体は、前記収納室内の気体の給排を行うための給排流路を具備していてもよい。
【0011】
また、前記パスボックス本体と前記第1長さ調節部材又は前記第2長さ調節部材の着脱部は、螺合可能に形成されたものであってもよい。
【0012】
また、本発明のグローブボックスは、作業室を有するグローブボックス本体と、上述した本発明の長さ可変パスボックスと、を具備し、前記パスボックス本体は前記グローブボックス本体に固定され、前記第1長さ調節部材は前記作業室内に配置され、前記第2長さ調節部材は前記グローブボックス本体の外部に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパスボックスは、作業室の外部と内部との間で搬入や搬出する物品の大きさに合わせて大きさを調節することができる。また、設置面積の狭い場所にも設置でき、また、パスボックス内部の気体を排気して減圧したり、内部の気体を不活性ガス等に置換したりするのに必要最低限の時間で行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の長さ可変パスボックスを示す概略斜視図である。
図2】本発明の長さ可変パスボックスを示す概略断面図である。
図3】本発明の長さ可変パスボックスの第1長さ調節部材を外した状態を示す概略斜視図である。
図4】本発明の長さ可変パスボックスの開放状態を示す概略断面図である。
図5】本発明の長さ可変パスボックスを示す概略断面図である。
図6】本発明の長さ可変パスボックスを示す概略断面図である。
図7】本発明の別の長さ可変パスボックスを示す概略断面図である。
図8】本発明のグローブボックスを示す概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の長さ可変パスボックス1は、図1図2に示すように、パスボックス本体10と、第1長さ調節部材11と、第2長さ調節部材12とで主に構成される。
【0016】
パスボックス本体10は、図3図4に示すように、収納室100を有すると共に、少なくとも当該収納室100に通じる第1開口部101および第2開口部102を有する。また、パスボックス本体10の形状はどのような形状でもよいが、例えば両端に第1開口部101および第2開口部102を有する円筒状に形成することができる。
【0017】
第1開口部101は、図3図4に示すように、第1長さ調節部材11とパスボックス本体10の収納室100に通じる開口のことである。また、第2開口部102は、図4に示すように、第2長さ調節部材12とパスボックス本体10の収納室100に通じる開口のことである。第1開口部101と第2開口部102の位置は、特に限定されないが、パスボックス本体10を挟んで対向する側に設ける方が好ましい。
【0018】
第1長さ調節部材11は、第1開口部101に着脱して収納室100を第1開口部101方向に延長するためのものである。また、第1開口部101を覆い収納室100を外部と密閉するためのものでもある。第1開口部101に着脱する第1長さ調節部剤11の大きさを変更することにより、収納室100の長さを調節することができる。第1長さ調節部材11は、どのように構成してもよいが、例えば、図5図6に示すように、収納室100を第1開口部101方向に延長するための1以上の第1連結部材111と第1蓋部材112を連結して構成すればよい。
【0019】
第1連結部材111は、例えば、両端に開口を有する筒状に形成され、当該開口の一端側をパスボックス本体10の第1開口部101側に着脱可能に形成されると共に、他端側を第1蓋部材112と着脱可能に形成される。そして、長さの異なる第1連結部材111を用意することにより、当該第1連結部材111を交換することによって第1長さ調節部材11の長さを変更することができる。また、互いに連結可能な第1連結部材111を複数用意し、これらを連結することによって長さを変更可能にしてもよい。
【0020】
また、第1蓋部材112は外部と収納室100との間で物品等の搬入や搬出をする際に、収納室100を開閉するためのものでもある。ここで、上記説明では、第1長さ調節部材11を第1連結部材111と第1蓋部材112で構成する場合について説明したが、第1長さ調節部材11は、図2に示すように、第1蓋部材112単独で構成されていてもよい。また、第1長さ調節部材11は、第1連結部材111と第1蓋部材112を一体に形成した有底筒状の単一の部材とすることも可能である。
【0021】
第2長さ調節部材12は、第2開口部102に着脱して収納室100を第2開口部102方向に延長するためのものである。また、第2開口部102を覆い収納室100を外部と密閉するためのものでもある。第2開口部102に着脱する第2長さ調節部剤12の大きさを変更することにより、収納室100の長さを調節することができる。第2長さ調節部材12は、どのように構成してもよいが、例えば、図5図6に示すように、収納室100を第2開口部102方向に延長するための1以上の第2連結部材121と第2蓋部材122を連結して構成すればよい。
【0022】
第2連結部材121は、例えば、両端に開口を有する筒状に形成され、当該開口の一端側をパスボックス本体10の第2開口部102側に着脱可能に形成されると共に、他端側を第2蓋部材122と着脱可能に形成される。そして、長さの異なる第2連結部材121を用意することにより、当該第2連結部材121を交換することによって第2長さ調節部材12の長さを変更することができる。また、図7に示すように、互いに連結可能な第2連結部材121を複数用意し、これらを連結することによって長さを変更可能にしてもよい。
【0023】
また、第2蓋部材122は外部と収納室100との間で物品等の搬入や搬出をする際に、収納室100を開閉するためのものでもある。ここで、上記説明では、第2長さ調節部材12を第2連結部材121と第2蓋部材122で構成する場合について説明したが、第2長さ調節部材12は、図2に示すように、第2蓋部材122単独で構成されていてもよい。また、第2長さ調節部材12は、第2連結部材121と第2蓋部材122を一体に形成した有底筒状の単一の部材とすることも可能である。
【0024】
長さ可変パスボックス1の材質、すなわちパスボックス本体10、第1長さ調節部材11、第2長さ調節部材12等の材質は、収納室100の外部と内部の気圧差に対して耐久性を有していればどのようなものでも良く、例えばステンレス鋼等の金属で形成される。
【0025】
また、第1連結部材111と第2連結部材121は異なるものを使用してもよいが、同一のものを利用する方が互いに流用ができて好ましい。また、第1蓋部材112と第2蓋部材122も異なるものを使用してもよいが、同一のものを利用する方が互いに流用ができて好ましい。なお、パスボックス本体10と第1連結部材111の連結部、パスボックス本体10と第2連結部材121の連結部、第1連結部材111同士の連結部、第2連結部材121同士の連結部、第1連結部材111と第1蓋部材112の連結部、第2連結部材121と第2蓋部材122の連結部のみを共通とすることもできる。
【0026】
また、パスボックス本体10と第1長さ調節部材11又は第2長さ調節部材12の着脱部は、図3又は図4に示すように、螺合可能に形成されたものであってもよい。この場合、パスボックス本体10と第1長さ調節部材11の連結部、パスボックス本体10と第2長さ調節部材12の連結部のいずれか一方を雄ねじ、他方を雌ねじにすればよい。これにより、狭い場所でもパスボックス本体10と第1長さ調節部材11又は第2長さ調節部材12の着脱を容易にすることができる。
【0027】
また、第1連結部材111同士の連結部、第2連結部材121同士の連結部、第1連結部材111と第1蓋部材112の連結部および第2連結部材121と第2蓋部材122の連結部も、いずれか一方を雄ねじ、他方を雌ねじにし、螺合可能に形成されたものである方が好ましい。
【0028】
また、上述したように、第1連結部材111と第2連結部材121を同一にする場合は、パスボックス本体10の第1開口部101側と第2開口部102側の両方を雌ねじにするか、または両方を雄ねじとし、第1連結部材111と第2連結部材121の一端側を雌ねじ、他端側を雄ねじにすればよい。同様に、パスボックス本体10と第1連結部材111の連結部、パスボックス本体10と第2連結部材121の連結部のみを共通にする場合には、パスボックス本体10の第1開口部101側と第2開口部102側の両方を雌ねじするか、または両方を雄ねじとし、第1連結部材111と第2連結部材121の一端側を雌ねじ、他端側を雄ねじにすればよい。
【0029】
また、本発明の長さ可変パスボックス1は、パスボックス本体10と第1長さ調節部材11の間およびパスボックス本体10と第2長さ調節部材12の間を密閉するためのシール部材を有する方が好ましい。また、本発明の長さ可変パスボックス1は、同様に、第1連結部材111同士の間、第2連結部材121同士の間、第1連結部材111と第1蓋部材112の間および第2連結部材121と第2蓋部材122の間を密閉するためのシール部材を有する方が好ましい。シール部材は、水密、気密を必要とする箇所の隙間をふさぐための部材であればどのようなものを用いてもよく、例えば、ゴムパッキン等を用いることができ、材質としては、クロロプレンゴム等の有機材料からなるものを用いれば良い。
【0030】
また、パスボックス本体10は、図3に示すように、収納室100内を減圧したり、不活性ガス等の気体と置換したりするための給排流路4を有していてもよい。収納室100内を減圧する場合には、給排流路4は真空ポンプ等の排気手段に接続される。また、収納室100内を不活性ガス等の気体と置換する場合には、給排流路4は、不活性ガス等の気体供給源に接続される。
【0031】
次に、本発明の長さ可変パスボックス1を用いたグローブボックスについて説明する。本発明のグローブボックスは、図8に示すように、内部に外部と隔離された作業室6を有するグローブボックス本体5と、上述した本発明の長さ可変パスボックス1と、で主に構成される。
【0032】
グローブボックス本体5は、作業室6内を外気と遮断した状況下で作業が可能となるように、グローブを介して内部に手だけを入れられるよう設計された密閉容器を指す。グローブボックス本体5にはどのようなものを用いてもよく、公知ものを利用することができる。また、グローブボックス本体5は長さが可変ではない従来のパスボックス51を更に有していてもよい。
【0033】
長さ可変パスボックス1は、パスボックス本体10がグローブボックス本体5に固定される。グローブボックス本体5へのパスボックス本体10の固定は、どのように行ってもよく、例えば、ボルトとナットによる固定や、溶接による固定等を用いることができる。なお、図8においては、第1開口部101が収納室100の作業室6側に配置され、第2開口部102が作業室6の外部側(外気側)に配置されている。
【0034】
また、第1長さ調節部材11は作業室6内に配置され、第2長さ調節部材12はグローブボックス本体5の外部に配置される。そして、第1長さ調節部材11や第2長さ調節部材12の大きさを変更することにより、作搬入や搬出する物品の大きさに合わせて長さ可変パスボックス1の収納室100の大きさを調節することができる。
【0035】
なお、第1長さ調節部材11や第2長さ調節部材12が長くなる場合には、これらの重さを支持する支持具を更に配置してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 長さ可変パスボックス
4 給排流路
5 グローブボックス本体
6 作業室
10 パスボックス本体
11 第1長さ調節部材
12 第2長さ調節部材
51 パスボックス
100 収納室
101 第1開口部
102 第2開口部
111 第1連結部材
112 第1蓋部材
121 第2連結部材
122 第2蓋部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8