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特許7040823リコイルスタータ用のロープリールおよびリコイルスタータ
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  • 特許-リコイルスタータ用のロープリールおよびリコイルスタータ 図1
  • 特許-リコイルスタータ用のロープリールおよびリコイルスタータ 図2A
  • 特許-リコイルスタータ用のロープリールおよびリコイルスタータ 図2B
  • 特許-リコイルスタータ用のロープリールおよびリコイルスタータ 図3
  • 特許-リコイルスタータ用のロープリールおよびリコイルスタータ 図4
  • 特許-リコイルスタータ用のロープリールおよびリコイルスタータ 図5
  • 特許-リコイルスタータ用のロープリールおよびリコイルスタータ 図6
  • 特許-リコイルスタータ用のロープリールおよびリコイルスタータ 図7A
  • 特許-リコイルスタータ用のロープリールおよびリコイルスタータ 図7B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】リコイルスタータ用のロープリールおよびリコイルスタータ
(51)【国際特許分類】
   F02N 3/02 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
F02N3/02 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020568173
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(86)【国際出願番号】 JP2020001995
(87)【国際公開番号】W WO2020153379
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2019008412
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391014000
【氏名又は名称】スターテング工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀越 義則
(72)【発明者】
【氏名】水野 智康
(72)【発明者】
【氏名】橋場 英希
【審査官】二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4940028(US,A)
【文献】実開昭53-117840(JP,U)
【文献】米国特許第2848987(US,A)
【文献】実開昭61-125668(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02N 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リコイルスタータに設けられるロープリールであって、
ロープを巻き付けるように構成されたロープ保持溝と、
前記ロープ保持溝の両側に配置されたフランジ部と、
前記ロープ保持溝に巻き付けた前記ロープの端末を貫通させるように構成され、前記フランジ部に設けられた貫通穴と、
前記貫通穴に隣接して、前記ロープリールの側面に設けられたアーチ部と、
を備え、
前記ロープの端末は、結び目を作ることで前記ロープリールの側面に対して係止され、
前記アーチ部は、前記ロープの前記結び目よりも先端側を保持するように構成され、
前記アーチ部は、前記ロープを挿通可能な環状の挿通路が形成され、該アーチ部が当該挿通されたロープを前記ロープリールの側面に沿って保持可能である。
【請求項2】
ロープの結び目を収容するように構成される端末収容部をさらに備え、
前記端末収容部は、前記貫通穴の周囲を囲むように形成される壁を含み、
前記アーチ部は、前記壁に形成された挿通穴と隣り合わせで形成されている、請求項1に記載のロープリール。
【請求項3】
前記アーチ部は、前記ロープリールの側面にてロープを露出させる開口を含む、請求項1または2に記載のロープリール。
【請求項4】
前記ロープが前記アーチ部を貫通するように構成され、
前記ロープリールの側面には、前記ロープの先端部の位置が確認されるように目盛が設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載のロープリール。
【請求項5】
前記アーチ部は、前記ロープリールの側面に設けられる着脱可能な押さえ部材である、請求項1~4のいずれか1項に記載のロープリール。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のロープリールを備えたリコイルスタータであって、
前記アーチ部がエンジン側に配置されるように構成される、リコイルスタータ。
【請求項7】
前記アーチ部の前記開口は、前記アーチ部の側面に形成される、請求項3に記載のロープリール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロープを引き操作することでエンジンに始動回転力を付与することができるリコイルスタータに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンを始動させる始動装置として、ロープリールに巻き回されたロープを牽引することによりロープリールを回転させ、該ロープリールの回転をエンジンのクランク軸に結合された回転部材に伝達し、該回転部材を介してエンジンのクランク軸を回転してエンジンを始動させるリコイルスタータが知られている。
【0003】
ロープリールに巻き回されるロープの端末は、当該ロープの端末のうち一方が引き操作可能となるようにケースの外部に引き出されており、他方がロープリールに取り付けられている。例えば、日本国特開2012-251561号公報に記載される構成においては、ロープリールに取り付けられるロープの端末は、結び目を作ることでロープリールの側面に対して係止されている。当該ロープの結び目は、ロープリールを覆うスタータケース側ではなく、エンジン側のロープリールの側面に固定されている。上記の構成により、ロープリールを覆うスタータケースとロープリールとの間にロープの結び目を保持するための隙間を設ける必要がないので、スタータケースとロープリールとができる限り互いに接近するように配置することができる。これにより、リコイルスタータの幅ができるだけ小さくなり、リコイルスタータをコンパクトにすることができる。
【0004】
しかし、上記の日本国特開2012-251561号公報に記載される構成では、ロープの結び目よりも先端側の部分が固定されていないため、エンジン側の回転部材にロープの先端部が干渉するおそれがあった。
【0005】
上記の干渉を防止する方法としては、ロープの先端部を結び目付近で挟み込む方法が考えられる。しかしながら、ロープの先端部を挟み込む方法では、ロープが緩むといった原因に起因し、結び目付近で挟み込まれた先端部が外れてしまうおそれがあった。
【0006】
上記の干渉を防止する別の方法として、接着剤等の手段でロープの先端部を固定する方法が考えられる。しかしながら、接着剤等の手段でロープの先端部を固定してしまうと、ロープを交換することができなくなるという問題があった。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、ロープの先端部がエンジン側の回転部材に干渉することがない、かつ、ロープが容易に交換されるリコイルスタータ用のロープリールを提供する。また、本開示は、リコイルスタータのロープリールに巻き付けたロープの端末に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、リコイルスタータに設けられるロープリールは、ロープを巻き付けるように構成されたロープ保持溝と、前記ロープ保持溝の両側に配置されたフランジ部と、前記ロープ保持溝に巻き付けた前記ロープの端末を貫通させるように構成され、前記フランジ部に設けられた貫通穴と、前記貫通穴に隣接して、前記ロープリールの側面に設けられたアーチ部と、を備える。前記アーチ部は、前記ロープを挿通するように構成され、該アーチ部が当該挿通されたロープを前記ロープリールの側面に沿って保持可能である。
【0009】
本発明の前記態様によれば、リコイルスタータ用のロープリールは、ロープ保持溝に巻き付けたロープの端末を貫通させるためにフランジ部に設けられた貫通穴と、貫通穴に隣接してロープリールの側面に設けられたアーチ部と、を備え、アーチ部は、ロープを挿通可能であり、挿通したロープをロープリールの側面に沿って保持可能である。上述の構成によれば、アーチ部に挿通することでロープの先端部をしっかりと固定することができるので、ロープの先端部がエンジン側の回転部材に干渉することがない。また、ロープの先端部がロープリールの側面に沿って保持されるため、ロープリールを回転部材に接近して配置することが可能となり、レイアウトの自由度を増すことができる。例えば、リコイルスタータの幅を小さくして、リコイルスタータを小型化することができる。また、アーチ部から引き抜くだけでロープを外すことができるので、ロープの交換も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、ロープの端末が保持されていない状態におけるリコイルスタータを示す断面図である。
図2A図2Aは、ロープを取り付けたロープリールを示す側面図である。
図2B図2Bは、ロープリールを示す正面図である。
図3図3は、ロープを取り付けたロープリールを示す斜視図である。
図4図4は、ロープリールを示す斜視図である。
図5図5は、ロープリールを別の角度から見た斜視図である。
図6図6は、変形例1に係るロープリールを示す斜視図である。
図7A図7Aは、変形例2に係るロープリールを示す斜視図である。
図7B図7Bは、変形例2に係るロープリールを示す一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態が、図を参照しながら説明される。
本実施形態に係るリコイルスタータ10は、エンジンクランク軸42に回転力を付与することにより、エンジンを始動させる。図1に示されるように、リコイルスタータ10は、スタータケース11、ロープリール20、ラチェット部材40、駆動プーリ41などを備えて構成されている。
【0012】
スタータケース11は、リコイルスタータ10の主要構成部品を収容しつつ、エンジンの側面部を覆うように配置されている。スタータケース11の中央には、エンジンクランク軸42と対向するように内側に突出したリール支軸11aが設けられている。このリール支軸11aには、後述されるロープリール20が回転可能に取り付けられている。
【0013】
ロープリール20は、ホイール状の部材であり、そのロープリール20の周囲にロープ30を巻き付けるように構成されるロープ保持溝21を含む。このロープリール20は、その中心部に形成された孔に上記のリール支軸11aを貫通させることで、リール支軸11aに対して回転自在に取り付けられている。このロープリール20に巻回されたロープ30は、そのロープ30のうち一端がロープリール20に固定され、他端がスタータケース11の外部に引き出されている。このため、この引き出されたロープ30を作業者が勢いよく牽引することで、ロープリール20がリール支軸11aを中心に回転するように構成される。
【0014】
作業者が引き出したロープ30を放すと、ロープリール20はリターンゼンマイによって逆回転し、自動的にロープ30が巻き取られる。リターンゼンマイは、ゼンマイバネであり、リターンゼンマイの一端がスタータケース11に固定され、他端がロープリール20に固定される。ロープ30を引き出すことでロープリール20が回転すると、リターンゼンマイに回転力が蓄積される。また、引かれたロープ30が放されると、リターンゼンマイに蓄積されたバネ力でロープリール20が逆回転し、ロープリール20がロープ30を巻き取るように構成されている。
【0015】
ラチェット部材40は、ロープリール20と一体的に回転するようにロープリール20に取り付けられている。このラチェット部材40は、ロープリール20の側面に揺動可能に取り付けられており、ラチェット部材40を揺動させることで後述される駆動プーリ41の内周面に係合するようにラチェット部材40が形成されている。このラチェット部材40には関連技術の構造が応用されてもよいため、ラチェット部材40の構成が詳しくは説明されないが、ロープリール20が駆動プーリ41に対して所定の方向(エンジンを始動させる方向)に回転しようとしたときにのみ、駆動プーリ41と係合するように構成される。
【0016】
すなわち、ロープ30が引き出される操作を行うことで、ロープリール20が回転したとき、ラチェット部材40が揺動することでラチェット部材40が駆動プーリ41に係合し、ロープリール20の回転力が駆動プーリ41に伝達される。一方、ロープリール20がロープ30を巻き取る方向に回転しているとき又は、ロープリール20が回転していないとき、ラチェット部材40は退避方向に揺動して駆動プーリ41に係合しない。その結果、ロープリール20と駆動プーリ41とが互いに回転力を伝達しない。
【0017】
駆動プーリ41は、筒状の部材であり、エンジンクランク軸42に接続される。この駆動プーリ41は、ロープリール20の回転軸(リール支軸11a)と同軸上において、回転自在に支持されている。この駆動プーリ41にロープリール20の回転力が伝達され、駆動プーリ41が回転を開始すると、駆動プーリ41に一体的に結合されたエンジンクランク軸42が回転し、エンジンに始動回転力が付与される。
【0018】
本実施形態に係るエンジンクランク軸42には、駆動プーリ41のほかにも、エンジンクランク軸42と一体的に回転する回転部材43が取り付けられている。例えば、エンジンに送風するためのファン形状を備えた回転部材43が取り付けられている。
【0019】
上述のリコイルスタータ10において、ロープリール20に取り付けられるロープ30の端末は、結び目30bを作ることでロープリール20の側面に対して係止される。また、ロープ30の結び目30bは、図1に示されるようにエンジン側に配置されるロープリール20の側面に固定される。上記の構成により、ロープリール20を覆うスタータケース11とロープリール20との間にロープ30の結び目30bを保持するための隙間を設ける必要がないので、スタータケース11とロープリール20とができる限り互いに接近するように配置することができる。これにより、リコイルスタータ10の幅をできるだけ小さくすることができる。
【0020】
しかしながら、図1に示すように、ロープ30の結び目30bよりも先端側の部分が固定されていないと、エンジン側の回転部材43にロープ30の先端部30aが干渉するおそれがある。この点に関して、本実施形態に係るロープリール20は、ロープ30の端末を保持可能となっており、回転部材43とロープ30の先端部30aとの干渉を防止できるように形成されている。
【0021】
すなわち、本実施形態に係るロープリール20は、図2A及び図2Bに示すように、ロープ保持溝21の両側に配置されたフランジ部22と、ロープリール20の側面に設けられた端末収容部23と、端末収容部23に隣接してロープリール20の側面に設けられたアーチ部24と、を備えている。
【0022】
フランジ部22は、互いに対向するように一対で形成されており、この一対のフランジ部22の間にロープ保持溝21が形成されている。一対のフランジ部22のうち、エンジン側に配置されるフランジ部22には、図4および図5に示すように、ロープ保持溝21に巻き付けたロープ30の端末を貫通させるように構成された貫通穴22aが形成されている。
【0023】
端末収容部23は、ロープ30の結び目30bを収容するように構成され、上記の貫通穴22aの周囲を囲む壁23aによって形成されている。端末収容部23は、ロープリール20の軸方向に該ロープリール20の一側から突出するように設けられた壁23aによって囲まれている。また、壁23aの先端部は覆われていないので、図2Aに示すように、ロープ30の結び目30bはロープリール20の側面にて露出する。
【0024】
この端末収容部23の壁23aには、図5に示すように、挿通穴23bが形成されている。挿通穴23bは、端末収容部23を形成する壁23aのうち少なくとも一つに形成される。本実施形態では、貫通穴22aから見たとき挿通穴23bが周方向に配置された壁23aに形成されている。この挿通穴23bは、端末収容部23とアーチ部24とを連通させる。換言すれば、挿通穴23bは、端末収容部23からロープ30を挿通穴23bに挿入することで、ロープ30がアーチ部24に導かれるように構成される。
【0025】
アーチ部24は、ロープ30の結び目30bよりも先端側を保持するように構成される。このアーチ部24には、ロープ30を挿通可能な環状の挿通路が形成されており、該アーチ部24が挿通されたロープ30をロープリール20の側面に沿って保持可能である。本実施形態に係るアーチ部24は、端末収容部23の壁23aに形成された挿通穴23bに連続して形成されている。換言すれば、挿通穴23bが形成された壁23aを隔てて、一方側に端末収容部23が設けられ、他方側にアーチ部24が設けられている。
【0026】
アーチ部24は、フランジ部22の周方向に沿って、端末収容部23に隣接して配置されている。このため、アーチ部24に保持されたロープ30の端末も、図2Aに示すように、フランジ部22の周方向に沿って保持される。
【0027】
本実施形態に係るアーチ部24は、ロープリール20の側面に対して垂直に立設された一対の側壁24cと、この一対の側壁24cの上端部を接続する上壁24aと、を備えている。より具体的には、一対の側壁24cと上壁24aとによって、略U形状のアーチ部24が形成されている。このアーチ部24の幅(一対の側壁24cの幅、および、ロープリール20の側面と上壁24aとの間の幅)は、ロープ30の先端部30aを挿入しやすくするために、ロープ30の径よりやや大きくなるように設計されている。
【0028】
なお、上壁24aには、例えば図4に示すように、貫通穴22a(又は、端末収容部23)から遠い側の端部に切り欠き24bが形成されている(換言すれば、上壁24aには、ロープ30がアーチ部24から導出される側に切り欠き24bが形成されている)。この切り欠き24bを設けることで、アーチ部24にロープ30の先端部30aを通すときに、切り欠き24bから先端部30aを引き出しやすくなっている。
【0029】
また、側壁24cには、例えば図3に示すように、ロープ30を露出させる開口24dが形成されている。この開口24dを設けることで、アーチ部24にロープ30の先端部30aを通すときに、開口24dからロープ30を操作でき、ロープ30を通しやすくなっている。
【0030】
本実施形態においては、ロープリール20の側面に、アーチ部24を貫通したロープ30の先端部30aの位置が確認される目盛25が設けられている。この目盛25は、フランジ部22の周方向に沿って、アーチ部24の延長線上に(アーチ部24から離れた位置に)、アーチ部24から所定の間隔をあけて形成されている。目盛25は、ロープリール20の側面に、刻印、成形、印刷などの関連技術の方法によって表示されている。ロープリール20にロープ30を取り付けるとき、例えば図2Aに示すように、ロープ30の先端部30aがこの目盛25を超えない長さとなるように結び目30bの位置を調節する。このようにロープ30を取り付けることで、アーチ部24に保持されていないロープ30の先端部30aが長くなりすぎることを防止できるので、ロープ30の先端部30aがエンジン側の部材に干渉することを防止できる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、ロープ保持溝21に巻き付けたロープ30の端末を貫通させるためにフランジ部22に設けられた貫通穴22aと、貫通穴22aに隣接してロープリール20の側面に設けられたアーチ部24と、を備え、アーチ部24は、ロープ30を挿通可能であり、挿通したロープ30をロープリール20の側面に沿って保持可能である。よって、アーチ部24に挿通することでロープ30の先端部30aをしっかりと固定することができるので、ロープ30の先端部30aがエンジン側の回転部材43に干渉することがない。また、ロープ30の先端部30aがロープリール20の側面に沿って保持されるため、ロープリール20を回転部材43に接近して配置することが可能となり、レイアウトの自由度を増すことができる。例えば、リコイルスタータ10の幅を小さくして、リコイルスタータ10を小型化することができる。また、アーチ部24から引き抜くだけでロープ30を外すことができるので、ロープ30の交換も容易に行うことができる。
【0032】
また、貫通穴22aの周囲を囲むように壁23aを形成することでロープ30の結び目30bを収容する端末収容部23を形成するとともに、アーチ部24を端末収容部23の壁23aに形成された挿通穴23bに連続して形成している。このような構成によれば、端末収容部23の壁23aの高さを基準にしてロープ30の結び目30bを作ればよいので、ロープ30の取り付け作業を行いやすい。そして、端末収容部23の壁23aに形成された挿通穴23bにロープ30の結び目30bよりも先端側の端末を挿入するだけで、ロープ30がアーチ部24に保持されるので、ロープ30がエンジン側の回転部材43に干渉しないようにすることができる。
【0033】
また、アーチ部24の側面にロープ30を露出させる開口24dを形成した。このため、ロープ30を挿通したり外したりするときに開口24dからロープ30を操作できるので、ロープ30の取り付けや取り外しの作業を容易に行うことができる。
【0034】
また、ロープリール20の側面には、アーチ部24を貫通したロープ30の先端部30aの位置を確認するための目盛25が設けられている。このような構成によれば、目盛25によってロープ30の端末の長さを管理することができるので、ロープ30がエンジン側の回転部材43に干渉しないように取り付けることができる。
また、アーチ部24がロープリール20と一体に形成されており別部品ではないため、別部品を設けることによるコストアップを避けることができる。
アーチ部24の形状は上記の実施形態で説明される形状に限られず、種々の形状が考えられる。
【0035】
例えば、図6に示すように、半円筒状のアーチ部24が形成されてもよい。図6に示される例では、端末収容部23が省略されているが、端末収容部23を省略して簡素な形状としてもよい。
【0036】
また、図7A及び図7Bに示すように、アーチ部24は、ロープリール20の側面に着脱可能な押さえ部材27によって形成されていてもよい。例えば、押さえ部材27の先端に返し形状を備えた係止爪27aを設け、ロープリール20の側面にこの係止爪27aに係合可能な取付穴28を設けてもよい。そして、係止爪27aを取付穴28に係合させることでロープリール20の側面に押さえ部材27を取り付けられるようにし、押さえ部材27を取り付けることでロープリール20の側面に環状に閉じられたアーチ部24が形成されるようにしてもよい。
【0037】
このように着脱可能な押さえ部材27によってアーチ部24を形成すれば、ロープ30の端末を後から押さえ付けることができるので、組み付け性が向上する。また、このような構成においては、アーチ部24に対するロープ30の通しやすさを考慮する必要がないため、アーチ部24の幅をロープ30の径より大きくする必要がない。よって、ロープ30を押さえ込むようにアーチ部24の幅を設定し、ロープ30の保持力を高めることができる。
【0038】
本出願は、2019年01月22日出願の日本特許出願特願2019-008412に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B