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特許7040824フェムト秒レーザーを用いた超精密ブレードエッジ加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】フェムト秒レーザーを用いた超精密ブレードエッジ加工方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 3/36 20060101AFI20220315BHJP
   B24B 53/00 20060101ALI20220315BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20220315BHJP
   B23P 15/28 20060101ALI20220315BHJP
   B23K 26/36 20140101ALI20220315BHJP
   B23K 26/073 20060101ALI20220315BHJP
   B23K 26/02 20140101ALI20220315BHJP
【FI】
B24B3/36 E
B24B53/00 D
B24B49/12
B23P15/28 Z
B23K26/36
B23K26/073
B23K26/02 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020572368
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 KR2019006105
(87)【国際公開番号】W WO2020111411
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2020-09-14
(31)【優先権主張番号】10-2018-0148258
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520355943
【氏名又は名称】トゥエンティファーストティーエイチ センチュリー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】21TH CENTURY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】(Banggyo-dong)17,Dongtansandan 2-gil Hwaseong-si Gyeonggi-do 18487,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン ファン
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-042755(JP,A)
【文献】特開2016-175141(JP,A)
【文献】特開2006-239817(JP,A)
【文献】特開平04-240007(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0163262(US,A1)
【文献】特開2015-085336(JP,A)
【文献】特表2019-523824(JP,A)
【文献】特開2006-297458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 3/36
B24B 27/06
B24B 53/00
B24B 49/12
H01L 21/301
B28D 5/00
B26B 9/00
B26B 19/00
B26B 21/54
B23P 15/28
B23K 26/00 - 26/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削砥石を利用して、ブレードエッジ部を1次研削するが、前記研削砥石によって前記ブレードエッジ部を1次研削する段階と、
前記研削されたブレードエッジ部の長手方向に沿ってフェムト秒レーザーを照射して前記ブレードエッジ部の少なくとも一部を2次蝕刻する段階と、を含み、
前記2次蝕刻する段階は、前記フェムト秒レーザーを発振する段階と、前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布の大きさを増加させる段階と、前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布を変形する段階と、前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布の中央部を、前記ブレードエッジ部の端部に整列する段階と、可動式対物レンズを介して前記ブレードエッジ部に照射する段階と、前記ブレードが載置されたステージを、前記ブレードの長手方向に移動させ、フェムト秒レーザーを照射する段階と、を含み、
前記ブレードエッジ部は、第1の傾斜面と第2の傾斜面を有し、前記第2の傾斜面は、前記1次研削する段階を通じて形成され、前記第1の傾斜面は、前記2次蝕刻する段階を通じて形成され、前記第1の傾斜面は、前記第2の傾斜面よりも緩やかな傾斜をなすように形成されていることを特徴とするフェムト秒レーザーを用いた超精密ブレードエッジ加工方法。
【請求項2】
前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布を変形する段階は、結像スリットを使用してガウス分布を有するフェムト秒レーザービームを長方形エネルギー分布を持つフェムト秒レーザービームに変形する段階を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフェムト秒レーザーを用いた超精密ブレードエッジ加工方法。
【請求項3】
前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布は、正方形であることを特徴とする請求項2に記載のフェムト秒レーザーを用いた超精密ブレードエッジ加工方法。
【請求項4】
前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布の正方形の一辺は50um以下であることを特徴とする請求項3に記載のフェムト秒レーザーを用いた超精密ブレードエッジ加工方法。
【請求項5】
前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布の中央部を、前記ブレードエッジ部の端部に整列する段階は、CCDカメラが前記ブレードと前記フェムト秒レーザーが整列されていることを撮影する段階と、撮影された画像をオートエンコーダに入力して、特徴ベクトルを抽出する段階と、前記特徴ベクトルに基づいてブレードの位置を制御する制御量を導き出す段階と、前記導き出された段階に基づいてブレードが載置されたステージを制御し、前記ブレードエッジ部と前記フェムト秒レーザーを整列する段階とを含むことを特徴とする請求項1に記載のフェムト秒レーザーを用いた超精密ブレードエッジ加工方法。
【請求項6】
前記オートエンコーダは、前記CCDカメラから前記ブレードと前記フェムト秒レーザーが整列されることを撮影して入力として入力を受け、
前記撮影された画像をオートエンコーダに入力して、特徴ベクトルを抽出する段階は、前記オートエンコーダが前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布の中央部が前記ブレードエッジ部の端部に正常に整列された画像を出力するように学習する段階とを含むことを特徴とする請求項5に記載のフェムト秒レーザーを用いた超精密ブレードエッジ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーを用いた超精密ブレードエッジ加工方法に関するものであって、より詳細には、フェムト秒レーザー(Femtosecond Laser)により蝕刻され、ブレードの精度と寿命が向上されたレーザーを用いた超精密ブレードエッジ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレードを用いたカッティング工程は、モバイル電気電子機器、電池、及びディスプレイ産業などの各種精密電子産業分野で用いられる様々な部品の製造に一般的に用いられる。
【0003】
特に、MLCC(Multi-Layer Ceramic Capacitor)をはじめ、電子部品産業の発達に伴い超微細精密加工システムの需要が急増する傾向にある。したがって、部品の小型化及び精密化による超精密加工技術として、一般的な研削技術とELID(Electrolytic In-Prosess Dressing)研削法が多く利用されている。
【0004】
大韓民国登録特許公報第1の0-917140号、大韓民国登録特許公報第1の0-762074号、及び大韓民国登録特許公報第1の0-1478048号には、研削に係る技術が開示されている。
【0005】
特許文献1および特許文献2は、ブレード研削のための従来の一般的な研削に係る特許文献であり、特許文献3は、ELID研削を用いたブレード研削に関するものである。これらの一般的な研削とELID研削法の場合、様々な理由によりブレードの寿命と品質が低下するという問題点がある。例えば、回転体である研削砥石の曲率面を利用して、ブレードのエッジ(edge)が過度に研磨されることにより、エッジ部分が加工により切り取られず残留するバリ(Burr)現象が発生するとともに切断負荷が増加し、切断物質の劣化をもたらすことがある。また、切断負荷が増加するにつれてブレードのエッジの一部が細かく欠けるチッピング(chipping)現象が発生することもある。また、研磨砥石の異物(contamination)がブレードのエッジに残り、不良を誘発することがある。
したがって、超精密研削加工技術は、上述した一般的な研削及びELID研削法の様々な問題点により技術開発の限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】大韓民国登録特許公報第10-917140号
【文献】大韓民国登録特許公報第10-762074号
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1478048号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ブレードエッジの強度を向上させることによりブレードエッジの不良率を減少させ、切断面の損傷率を最小限に抑えることができるレーザーを用いたブレードエッジ加工装置及びその方法を提供するものである。
【0008】
本発明が解決しようとするもう一つの課題は、レーザー加工により、ブレードの精度を向上させることができるレーザーを用いたブレードエッジ加工装置及びその方法を提供するものである。
本発明の課題は、以上で述べた課題に制限されず、言及されていないもう一つの課題は、以下の記載により当業者が明確に理解することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述したような課題を解決すべく本発明の一実施例に係るフェムト秒レーザーを用いた超精密ブレードエッジ加工方法は、研削砥石を用いてブレードエッジ部を1次研削する段階と、この研削されたブレードエッジ部の長手方向に沿ってフェムト秒レーザーを照射し、前記ブレードエッジ部の少なくとも一部を2次蝕刻する段階とを含み、該2次蝕刻する段階は、前記フェムト秒レーザーを発振する段階と、前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布を変形する段階と、前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布の大きさを増加させる段階と、前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布の中央部を、前記ブレードエッジ部の端部に整列する段階と、前記フェムト秒レーザーの進行方向を変更し、可動式対物レンズを介して前記ブレードエッジ部に照射する段階と、前記ブレードが載置されたステージを、前記ブレードの長手方向に移動させ、フェムト秒レーザーを照射する段階とを含むことができる。
【0010】
この場合、前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布を変形する段階は、集光レンズ及び非球面円筒レンズを用いてガウス分布を持つフェムト秒レーザービームを長方形エネルギー分布を持つフェムト秒レーザービームに変形する段階とを含むことができる。
また、前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布は、正方形であることが好ましい。
また、前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布の正方形の一辺は、50um以下であってもよい。
【0011】
また、前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布の中央部を、前記ブレードエッジ部の端部に整列する段階は、CCDカメラが前記ブレードと前記フェムト秒レーザーが整列されたことを撮影する段階と、撮影された画像をオートエンコーダに入力して、特徴ベクトルを抽出する段階と、前記特徴ベクトルに基づいてブレードの位置を制御する制御量を導き出す段階と、前記導き出された段階に基づいてブレードが載置されたステージを制御し、前記ブレードエッジ部と前記フェムト秒レーザーを整列する段階を含むことができる。
【0012】
また、前記オートエンコーダは、前記CCDカメラから前記ブレードと前記フェムト秒レーザーが整列されたことを撮影して入力として入力を受け、前記撮影された画像をオートエンコーダに入力して、特徴ベクトルを抽出する段階は、前記オートエンコーダが前記フェムト秒レーザーのエネルギー分布の中央部が前記ブレードエッジ部の端部分に正常に整列された画像を出力するように学習される段階を含むことができる。
その他の実施例の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ブレードエッジの強度を強化させることによってブレードエッジの不良率を低下させ、切断面の損傷率を最小限に抑えることができる。
また、本発明は、レーザ加工により、ブレードの精度を向上させることができる。
本発明による効果は、以上で例示した内容によって制限されることなく、更に、様々な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係るレーザを用いたブレードエッジ加工装置の概略図である。
図2】本発明の実施例に係るブレードエッジの研削過程を説明するための図である。
図3】本発明の実施例に係るブレードエッジのレーザー加工過程を説明するための図である。
図4】本発明の実施例に係るフェムト秒レーザーユニットを説明するためのブロック図である。
図5】本発明の実施例に係るフェムト秒レーザーのエネルギー状態とビームサイズを説明するための図である。
図6】本発明の実施例に係るフェムト秒レーザービームのエネルギー分布を説明するための図である。
図7】本発明の実施例に係るフェムト秒レーザービームのエネルギー分布を説明するための図である。
図8】本発明の実施例に係る可動式対物レンズを説明するための図である。
図9】本発明の実施例に係るオートフォーカス調整を説明するための図である。
図10】本発明の実施例に係るブレードのレーザー精密研削及びブレードの整列を説明するための図である。
図11】本発明の実施例に係るオートエンコーダを説明するための図である。
図12】本発明の実施例に係るオートエンコーダの入出力画像を説明するための図である。
図13】本発明の実施例に係るブレードエッジ部の断面図である。
図14】本発明の実施例及び比較例によるブレードの斜視図である。
図15】本発明の実施例と従来技術の効果を比較するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付された図面を参照して、本発明の様々な実施例を詳細に説明する。
【0016】
図1は、レーザーを用いたブレードエッジ加工装置の概略図である。図1を参照すると、レーザーを用いたブレードエッジ加工装置100は、研削ユニット110、フェムト秒レーザーユニット200及び制御部120を含む。
【0017】
研削ユニット110は、ブレード140(図2参照)のエッジを研削するための構成として移動プレート、加工物(ブレード140)、電源装置111、研削砥石112、電極113など、ブレードエッジ部142研削に必要な様々な構成要素が含まれることができる。
【0018】
具体的には、研削砥石112は、様々な構成要素を支持する移動プレートに安着して固定され、移動プレートによって移送装置方向へ移動され、移送装置に垂直に固定されたブレード140の刃先を研削することができる。研削砥石112は、回転数を制御する制御部120の信号に従って回転し、その回転数は研削砥石112の工作物の硬さの違いまたは目標表面粗さ、及び工作物の材質によって決定することができる。具体的な研削砥石112の動作は、図2および図3を参照して、後述する。
【0019】
また、図1には示されていないが、研削ユニット110には、カメラを設置することができ、設置したカメラから受信した画像情報を確認し、制御するためのモニターをさらに設置することもできる。
【0020】
フェムト秒レーザーユニット200は、ブレード140の超精密超微細加工のための構成であって、レーザー伝送部210を含む。レーザー伝送部210は、主に超精密材料加工などのために使用されるフェムト秒レーザーを用いて、フェムト秒(10-15)の極超短波幅の光子エネルギー照射により熱影響を最小限に抑えることができる。
【0021】
図1に示すように、フェムト秒レーザーユニット200は、レーザ伝送部210から出力される光の方向を変えるために先端にミラー(221、mirror)が設けられ、ミラー221を介して反射される光は可動式対物レンズ222に伝達される。
【0022】
可動式対物レンズ222は、フェムト秒パルスを集光するので、レーザー伝送部210から出てくるフェムト秒レーザー光がブレード140の局所領域に照射されるように手助けする。
【0023】
制御部120は、研削ユニット110及びフェムト秒レーザーユニット200を制御するための構成であって、研削砥石制御部121、レーザー駆動部122とブレードの位置制御部123を含む。このとき、制御部120は、例えば、コンピュータで具現されることができ、例えば、PC、携帯電話、タブレットPCなどのコンピューティング機能が可能な様々な装置で具現されることができる。
【0024】
研削砥石制御部121は、ブレード140が研削されるように研削砥石112を制御する構成であって、研削砥石112の回転速度、回転方向、研削砥石112の移動速度などを制御することができる。
【0025】
レーザー駆動部122は、フェムト秒レーザーユニット200に含まれたレーザー伝送部210を駆動させるための構成であって、ブレードエッジ部142の局所領域にレーザーを照射するためにレーザー波長の強さ及びエネルギー分布を調節することができ、レーザー照射時間及びレーザー照射方向などを制御することができる。
【0026】
ブレード位置制御部123は、フェムト秒レーザーユニット200で被蝕刻されるブレード140とレーザービームの位置関係を精密に制御して、ブレード140のレーザー蝕刻位置を精密に制御することができる。
以下では、図2及び図3を参照して、ブレードエッジ部142の研磨過程を詳細に説明する。
図2は、ブレードエッジ部の研削過程を説明するための図である。図3は、ブレードエッジ部のレーザー加工過程を説明するための図である。
【0027】
レーザーを用いた超精密ブレードエッジ加工方法は、研削砥石112を用いてブレードエッジを研削した後、研削されたブレードエッジにおいて、エッジの一端に位置する局所領域のみフェムト秒レーザーを照射する。すなわち、本発明の一実施例に係るレーザを用いた超精密ブレードエッジ加工方法は、ELID研削加工技術とレーザー伝送部210の加工技術の両方を実行することにより、ブレードエッジ部142の不良率を最小化し、精度を向上させることができる。
【0028】
図2を参照すると、ブレード140研削過程時、研削砥石112、研削砥石112と一定間隙を間に対向配置された電極113、電源装置、および導電性研削液である研削油114を必要とする。
【0029】
研削砥石112は、ブレード140が、x軸方向に移動するにつれて研削砥石112の回転方向と垂直する面にブレード140のエッジを研削することができる。
電極113は、蝕刻用電極113として研削砥石112と一定間隙を間に対向配置される。
【0030】
電源供給部は、正極(+)である研削砥石112と負極(-)である電極113に電源を印加し、研削砥石112と電極113との間に電解液の役割をする研削油114を供給すれば、研削砥石112に存在する金属から発生するチップがイオン化されると同時に金属イオンが正極で酸素イオンと結合して金属酸化物になり、酸化皮膜が形成され、金属がイオン化される過程が繰り返されるようになる。
【0031】
また、電極113と研削砥石112との間の間隙に酸素イオンからなる伝導性研削液である研削油114を供給するためのノズルをさらに含むことができる。ただし、図2に示すように、研削砥石112と電極113との間の間隙に供給される研削液がノズルを通じて外部から供給されるため、研削砥石112と電極113との間の間隙に研削液がむらなく供給されないことがある。
【0032】
このことにより、 正常にイオン化されず、研削チッピの砥粒突出が鈍化することで研削性能が低下するとともに、研削加工が長時間行われるようになり、万が一、非常に高精度を要するブレード140を研削する場合には、ブレード140のエッジ先端にバリ(Burr)が発生したり、またはブレード140の温度を上昇させながら研削されたブレード140の切刃にチッピング(chipping)が形成されたり、または刃先の真直度(Strightness)に致命的な問題をもたらすようになる。
【0033】
一般的なブレード研削装置は、ブレードを研削しても研削装置の精度によって公差が生じる。すなわち、研削砥石を用いてブレードを研削する場合、ブレードは、理想的な直線のようには研削されず、曲がってしまうことがある。
【0034】
本発明の一実施例に係るレーザを用いた超精密ブレードエッジ加工装置100は、レーザーを用いてブレード140を細かく加工することができるので、ブレード140の真直度を向上させることができる。本発明では、ブレード140研削加工時のブレード140の真直度が10μm~25μmの範囲内である場合のみ、適切なものと判断する。
【0035】
したがって、本発明の一実施例に係るレーザを用いた超精密ブレード140研削加工方法は、図2に示す研削方法と、図3に示すレーザ加工方法を同時に実行して、上述したような問題を解決することができる。
【0036】
図3を参照すると、ブレードは平らな形状を有するブレード本体部141とブレード140本体から延びて、切削のために一定角度で傾斜され、尖ったエッジを形成するブレードエッジ部142からなる。この場合、ブレードエッジ部142は、第1の傾斜面142-1及び第2の傾斜面142-2からなる。
【0037】
第1の傾斜面142-1は、レーザビームが照射される領域、すなわち、レーザーを用いたブレード140の蝕刻加工範囲である。図3に示すように、第1の傾斜面142-1は、第2の傾斜面142-2より緩やかな傾斜をなし、第2の傾斜面142-2間の角度は、約9°である。
【0038】
また、第1の傾斜面142-1に照射されるレーザービームは、フェムト秒(10-15)の極超短波幅の光子エネルギービームであり、これより高いエネルギーのレーザーが第1の傾斜面142-1に照射される場合、熱による変形が発生し得るので、適切なエネルギーのレーザーを照射しなければならない。
【0039】
図3を参照すると、ブレード140は、y軸方向、すなわち、ブレード140が形成された方向に動いたり、x軸ブレード140の高さ方向に沿って距離を調節するために動くことができる。
図4は、本発明の実施例に係るフェムト秒レーザーユニット200を詳しく説明するための図である。
【0040】
本発明の実施例に係るフェムト秒レーザーユニット200は、フェムト秒レーザー241を伝送させるレーザー伝送部210、結像光学系220とステージ230を含むことができる。
この場合、レーザー伝送部210は、レーザ発振器211、シャッター212、ビームエキスパンダー216とミラー221を含むことができる。
【0041】
レーザー発振器211は、フェムト秒レーザー241を発振させる装置であって、パルス放射時間が10-15m/s以下である極超短パルスを発振し、レーザーエネルギーの発振密度を極めて大きく形成させたレーザである。
【0042】
一方、一般的に、フェムト秒レーザーが1mJの光エネルギーを有し、100フェムト秒以下のパルス放射時間を有すれば、レーザービームのエネルギー密度は、約10ギガワットのレベルに達し、どんな材質の加工でも可能になる。また、フェムト秒レーザーのように極超短パルスレーザービームを加工物として放射すると、材料の構成格子に多光子吸収現象(multi-photon absorption)が発生する。このとき、原子の励起現象が起こる間、光子が周囲の構成格子に熱を伝達する時間よりも入射パルスが短いので、ブレードが蝕刻される間、発生し得る熱拡散による加工精度の低下、材質の物理/化学的変化、及び加工部位の一部溶融など、従来のレーザー加工における問題点を解決することができる。
【0043】
シャッター212は、レーザ発振器211から走査されるレーザーを遮断したり通過させたりして集中度と効率を高め、前記シャッター212は、ビームエキスパンダー216前後のどの位置でも設置してよいが、本実施例では、前に設けられたものを記載した。
【0044】
ビームエキスパンダー216は、ビームを拡大する役割をするが、ビームのエネルギーによりビームを伝送する光学系の損傷を防止し、コンピュータ120の制御を受けるモーターによって倍率を調整することができる。例えば、ビームエキスパンダー216は、最初に5um以下の大きさを有するフェムト秒レーザービームの大きさを、縦横50um以上の大きさを有するようにビームの大きさを大きくする。
結像光学系220は、第1及び第2スプリッタ215、225、結像スリット224、および可動式対物レンズ222を含む。
一方、第1スプリッタ215は、照準ビーム223とフェムト秒レーザービームが同軸上に入射されるようにする役割をする。
【0045】
照準ビーム223(aiming beam)は、レーザ発振器211から出たフェムト秒レーザービームがブレード140の蝕刻を必要な箇所に正確に入射されるようにガイドする役割をする。例えば、照準ビーム223は、同軸He-Neレーザービームを使用することができる。
【0046】
結像スリット224は、フェムト秒レーザー241が正方形の均一なエネルギー分布を持つようにレーザ発振器211で生成されたレーザーのエネルギー分布を成形する。結像スリット224は、例えば、正方形の移動型スリット(Movable Slit)の精密結像スリットシステムを利用することができる。
【0047】
図5に示すように、フェムト秒レーザービームは、基本的には大きなエネルギーを印加すると、ビームのサイズが大きくなることがあるが、エネルギーが過度に印加され蝕刻する際、蝕刻する部位の周辺部位が溶融され、図5の(c)のようになる。一方、エネルギーが小さい状態(図5(a))では、蝕刻自体が正常に行われないので、図5(b)に示すように、正常な蝕刻が行われるためには、ビームサイズが約5um内外と限定的である。
【0048】
このとき、図10に示すように結像スリット224を通過して成形されたビーム241-1は、ブレード140の第1の傾斜面142-1上の欠陥、及びブレード140の真直度(約25um以下)にもかかわらず、容易に整列(align)され得る約50um以下の大きさでレーザービームの大きさを持つ。ここで、ビームの大きさが50um以下と定められる理由として、欠陥の大きさは約1um以下程度に研削されるが、真直度によってブレード刃の左側と右側との高さの差が約25um以下の誤差を持つことができるからである。一般的に、真直度が25um以上になるブレードは、不良品として処理されるので、ビームの大きさは50um以下と決められることが好ましい。また、ビームの大きさが大きくなりすぎた場合には、大幅にレーザーの密度が低くなるので、蝕刻力が大いに減少しうるので、ビームの大きさは50um以下と決めることが好ましい。
【0049】
また、結像スリット224は、加工の容易さにより均一なエネルギー分布、例えば、正方形の形態を持つエネルギー分布をもたらすフェムト秒レーザー241を形成することができる。なぜなら、ブレードを研削する際、加工面が同一時間フェムト秒レーザーにさらされるようにするためには、正方形のエネルギー分布を持つことが有利である。
【0050】
図6及び図7を参照すると、結像スリット224を通過したレーザービームは、例えば、正方形、長方形または円形の均一なエネルギー分布を持つように成形される。好ましくは、結像スリット224を通過したレーザビーム250は、正方形の均一なエネルギー分布を持つように形成される。このとき、従来は図6(a)および図7(a)に示すようにガウス形態のエネルギー分布を有するが、結像スリット224により図6(b)、図7(b)のように、正方形の均一なビームが形成されるようになる。
【0051】
ブレードの蝕刻にフェムト秒レーザーを使用することは、従来の技術にはないもので、特に、MLCCなどの精密電子部品をカッティングするためのブレード刃の蝕刻に、フェムト秒レーザーを活用する例はなかった。なぜなら、フェムト秒レーザーは、エネルギーを集中させるために非常に大きさを小さくするため、小さな穴を切削して生成することには有利であったが、本発明のように、ブレード刃と同じ大面積を蝕刻することには適していなかった。ただし、本発明の実施例では、ビームエキスパンダー216と結像スリット224によりこのような問題点を解決している。
【0052】
さらに図4を参照すると、レーザー伝送部210は、第2スプリッタ225を含むことができる。第2スプリッタ225は、レーザ光の一部をCCDカメラ234に伝送してビームのエネルギー分布や大きさなどを制御部120で確認できるようにする。また、制御部120は、結像スリット224を制御してビームのエネルギー分布や大きさを制御することができる。この場合、CCDカメラ234は、鮮明な撮影のために照明(図示しない)をさらに含むことができる。
【0053】
一方、第2スプリッタ225を通過したフェムト秒レーザー241は、レーザーを被加工物であるブレード140の第1の傾斜面142-1に集中させる可動式対物レンズ222を含むことができる。この場合、可動式対物レンズ222は、LMガイド(Linear Motion Guide)とモータによって結像光学系を通過したビームに平行な方向(Z軸方向)に移動できるように具現される。Z軸方向に移動する場合には、鏡筒222-1が一点鎖線で表示された部分まで下方へ移動し、可動式対物レンズ222も鏡筒222-1と一緒に移動される。
【0054】
オートフォーカス調整モジュール240は、自動に可動式対物レンズとブレード140との間の焦点距離を調整する役割を果たす。好ましくは、発光部から発光したレーザ光をレーザダイオードから受信して、光三角法を利用して、被加工物であるブレード140までの距離を測定し、測定された距離情報を制御部120へ送信し、可動式対物レンズ222とブレード140との距離を調整して焦点距離を調整する。
【0055】
一方、ステージ230は、被加工物であるブレード140を載置した状態で前後/左右に移動することができる。ステージ230は、制御部120のブレード位置制御部123によって駆動され、このとき精密な制御のためにCCDカメラの画像を利用することができる。CCDカメラの画像を活用したブレード位置の整列制御については、後述する。
【0056】
この場合、ステージ230を制御して、ステージ230上に載置されたブレードを図10に示す長手方向に移動させながらフェムト秒レーザーでブレード140の第1の傾斜面142-1の少なくとも一部を蝕刻するようになる。
【0057】
レーザー光学系の整列と清浄度のために鏡筒内部を外気と遮蔽させ、内部に窒素ガスなどで充填したり、フィルタを使用して異物が入らないようにしたりといった状況で、可動式対物レンズ222を上下に動かせることにより焦点距離を合わすように具現され、ブレード140をZ軸方向へ移動する必要がなくなる。
【0058】
したがって、前記ステージ230は、ブレードの位置制御部123の制御によりXY軸に運動するように構成され、同時に3つの軸を制御することよりも加工精度を高めた。
【0059】
また、前記照明光源223は、白色光源または波長633nmのHe-Neレーザを使用して、反射ミラー を通じてブレード140に走査されるようにすることが好ましい。
以下では、図11及び図12を参照して、本発明の実施例に係るステージ230の制御について説明する。
【0060】
図12を参照すると、図12(a)に示すように、好ましくはフェムト秒レーザーのエネルギー分布の中央部がブレード140の第1の傾斜面142-1の端部にくるようにブレード140と、レーザービームが整列されることが好ましい。
【0061】
しかし、ブレード140は、23cm、3cm程度と非常にサイズが大きいのに対し、フェムト秒レーザーのエネルギー分布は、50um以下、例えば、20um程度とサイズが小さいため、ブレード140と、レーザービームが整列されるのは非常に難しい。
【0062】
したがって、人工知能、例えば、オートエンコーダ300(Autoencoder)を活用し、ステージ230を制御してステージ230上に載置されたブレード140を、レーザービームと整列することができる。オートエンコーダ300は、制御部120が具現されたPCまたは制御120と接続された別のサーバーにソフトウェアモジュールの形態で具現されることができる。
【0063】
この場合、オートエンコーダ300の学習画像は、実際のブレード140がステージ230上に位置した画像(例えば、図12の(b)または(c))を入力310とし、ブレード140が好ましく載置された図12の(a)のような画像を出力330として用意し、オートエンコーダ300を学習モードで学習するようにする。
【0064】
学習後、検出モードでオートエンコーダ300は、どのような画像が送られてきても、ブレードとレーザービームが正しく位置した画像を出力するように学習するようにする。
【0065】
それから検出モードでは、オートエンコーダ300にCCDカメラ234で撮影した画像を入力として入力を受け、その場合、正しく位置した画像がどの画像であるかを出力する。このとき、オートエンコーダ300の隠れ層320から特徴ベクトルを抽出し、前記特徴ベクトルに基づいてステージ230の前後左右方向の制御量を導き出すことができる。
【0066】
導き出された制御量は、制御部120のブレード位置制御部123へ伝送され、ブレードの位置制御部123は、フェムト秒レーザーのエネルギー分布の中央部がブレード140の第1の傾斜面142-1の端部に来るようにブレード140と、レーザービームを整列することができる。
以下では、本発明の効果を、図13図15を参照して説明する。図13は、ブレードエッジ部の断面図である。
【0067】
図13及び下記の表1を参照すると、本発明の実施例に係るレーザーで追加研削されたブレードエッジ部142の角度(A)は、9°であり、ブレード140の刃幅(W)は、0.03以下の値を持つ。また、図13に示すように、実施例に係るブレード140は、側面の角(CP)が発生しない。
【0068】
一方、下記の表に示すように比較例(つまり、フェムト秒レーザーによる追加研削がない場合)によるブレードエッジ部142の角度(A)は、18°であり、ブレード140の刃幅(W)は、0.03以上である。また、比較例に係るブレード140は、側面の角(CP)を有するため、側面変曲点による側面部の損傷が発生しうる。
【0069】
【表1】
【0070】
したがって、フェムト秒レーザーを用いた追加研削時、ブレード140の角度が9°と大きく減少しているため、ブレードエッジ艶出しによる切断負荷を減らし、刃の寿命が大幅に延びることを知ることができる。ここで、切断負荷が減るということは、ブレード140が部品を切断する際に部品とブレード140との間で発生する摩擦係数が減少するとして理解するのが好ましいといえる。
【0071】
図14は、比較例及び実施例に係るブレードの斜視図である。図14(c)は、図14(a)および図14(b)を説明するための図であり、第1の傾斜面142-1を含むブレード140の一部を拡大した図である。図14(a)は、比較例に係るブレード140の欠陥を説明するための図であり、図14(c)のA部分とB部分の断面を示したものであり、図14(b)は、本発明の実施例に係るブレード140の欠陥を説明するための図であり、図14(c)のA部分とB部分の断面を示したものである。
【0072】
図14(a)は、比較例でもってレーザーを加工する前のブレード140、いわゆる、研削砥石112による研削のみが進行された場合を示したものであり、ブレードエッジ部142の一側に屈曲した断面が発生するしたを見ることができる。ブレード140において屈曲となる現象は、ブレード140に欠陥が発生したと判断することができ、このとき、欠陥の大きさは、図14(a)のBBセクションを示す断面図での斜線パターンが表示された領域上部の領域であって、非常に大きく示されることが分かる。
【0073】
図14(b)を参照すると、ブレード140の一側にも屈曲された断面、すなわち、欠陥が発生したことを知ることができる。ここで、欠陥の大きさは、図14(b)のB-Bセクションを示す断面図で斜線パターンが表示された領域上部の領域であると見ることができる。
【0074】
ただし、図14(a)と図14(b)を比較すると、実施例に係るブレード140の欠陥領域における大きさが、比較例に係るブレード140の欠陥の大きさに比べてはるかに減少したことが分かる。すなわち、ブレードエッジ部142を研削した後、レーザー伝送部210を利用して追加研削した場合には、ブレード140に発生する欠陥の大きさを最小限に抑えることができる。
【0075】
したがって、本発明の実施例に係るレーザを用いた超精密ブレード140加工装置は、レーザ加工により、ブレード140の強度を高め、欠陥を最小限に抑えることにより、ブレード140の精度を向上させることができる。また、刃の角度を減らして切断負荷を一緒に減少させ、ブレードの寿命を大幅に延ばすことができる。また、ブレードエッジ部142の強度を強化させ、ブレードの不良率を最小化することができる効果がある。
【0076】
図15を参照すると、従来の技術である一般的な研削やELID研削技術では、バリ(Burr)またはチッピング(Chipping)が発生することがある。しかし、本発明のフェムト秒レーザー微細加工によれば、バリやチッピングが発生した後にフェムト秒レーザーにより、バリ取りやチッピング等を除去することができるので、これらの問題点を解決することができる。
【0077】
また、従来の研削で発生した異物もブレード140を利用した部品のカッティングをする際、切断負荷を増加させると同時に切断された部品を不良にする可能性があったが、フェムト秒レーザーは、追加の蝕刻パーティクルが生じないので、追加のレーザー微細加工を通じて異物が完全に除去されることが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15