(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】蒸気供給システム及び蒸気を生成する方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20220315BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20220315BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2020518790
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 GB2018052911
(87)【国際公開番号】W WO2019073238
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-06-01
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヘップワース, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】マロニー, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】アビアウン, ワリド
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-320286(JP,A)
【文献】特表2015-531601(JP,A)
【文献】特表2015-507476(JP,A)
【文献】特表2017-509339(JP,A)
【文献】国際公開第2016/198266(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/062777(WO,A1)
【文献】特表2014-532435(JP,A)
【文献】特表2014-500017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引コンポーネントとベースユニットとを備える蒸気供給システムであって、
前記吸引コンポーネントが蓄熱体を備え、
前記ベースユニットが、
前記吸引コンポーネントを受け入れるための受容ゾーンと、
前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーン内に配置されるときに前記吸引コンポーネントにおける前記蓄熱体を加熱するためのエネルギー源であって、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーンから取り出され
たときに、加熱された前記蓄熱体からの熱が用いられて、蒸気前駆体材料の少なくとも一部を気化して使用者による吸引のための蒸気を形成するようになっている、エネルギー源と
を備え
、
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーンから取り出されようとしているときを判断するためのセンサをさらに備え、前記蓄熱体を加熱するための前記エネルギー源は、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーンから取り出されようとしていることを前記センサが判断することに応答して前記蓄熱体を加熱するように構成されている、蒸気供給システム。
【請求項2】
前記センサは、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーン内を動き始めるときを検出するための運動センサを備える、請求項
1に記載の蒸気供給システム。
【請求項3】
前記センサは、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーン内にある場合に使用者が前記吸引コンポーネントに接近するときを検出するための近接センサを備える、請求項
1に記載の蒸気供給システム。
【請求項4】
前記センサは、使用者が動作させるスイッチを備える、請求項
1に記載の蒸気供給システム。
【請求項5】
前記蓄熱体は電磁サセプタを備え、前記蓄熱体を加熱するための前記エネルギー源は電磁誘導コイルを備える、請求項1~
4のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
【請求項6】
前記蓄熱体を加熱するための前記エネルギー源は、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーン内に配置されるときに熱を前記蓄熱体に熱伝導するよう構成されたヒータを備える、請求項1~
4のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
【請求項7】
前記蓄熱体は、金属ブロック、金属ロッド、金属シート、金属メッシュ、金属発泡体、金属コイル、金属繊維、金属粒子のアレイ及びセラミックのうちの少なくとも1つを備える、請求項1~
6のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
【請求項8】
前記蒸気前駆体材料は、液体、固体、ゲル、ペースト及び発泡体のうちの少なくとも1つを備える、請求項1~
7のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
【請求項9】
前記蒸気前駆体材料は、吸収性材料に蓄えられた液体を備える、請求項
8に記載の蒸気供給システム。
【請求項10】
前記蒸気前駆体材料はリザーバ内の液体を備え、前記吸引コンポーネントは、前記リザーバから前記蓄熱体へと液体を運ぶためのウィッキング要素をさらに備える、請求項
8又は
9に記載の蒸気供給システム。
【請求項11】
前記ウィッキング要素は、繊維材料、多孔性セラミック材料及び多孔性金属材料のうちの少なくとも1つを備える、請求項
10に記載の蒸気供給システム。
【請求項12】
前記吸引コンポーネントは、前記蓄熱体により加熱される前記蒸気前駆体材料に加えて、タバコの一部分を備える、請求項1~
11のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
【請求項13】
前記タバコの一部分は、使用中に前記蓄熱体によって加熱もされるように配置されている、請求項
12に記載の蒸気供給システム。
【請求項14】
前記吸引コンポーネントは、使用者により吸引される蒸気に加香するための香味料の供給源をさらに備える、請求項1~
13のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
【請求項15】
前記香味料の供給源は、選択的に前記蒸気に加香するよう使用者により選択的に開けられ得る少なくとも1つの封止された香料カプセルを備える、請求項
14に記載の蒸気供給システム。
【請求項16】
前記蓄熱体は、使用者が使用中に前記吸引コンポーネントを吸うと空気が前記吸引コンポーネントの空気入口から引き込まれ、前記蒸気前駆体材料を通過する前に加熱するための前記蓄熱体を通過するように、前記空気入口と前記蒸気前駆体材料との間に配置されている、請求項1~
15のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
【請求項17】
前記ベースユニットは、複数の前記吸引コンポーネントを受け入れるための複数の受容ゾーンを備える、請求項1~
16のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
【請求項18】
請求項1~
17のいずれか一項に記載の蒸気供給システムにおけるベースユニット。
【請求項19】
請求項1~
17のいずれか一項に記載の蒸気供給システムにおける吸引コンポーネント。
【請求項20】
吸引コンポーネント手段とベースユニット手段とを備える蒸気供給システムであって、
前記吸引コンポーネント手段が蓄熱体手段を備え、
前記ベースユニット手段が、
前記吸引コンポーネント手段を受け入れるための受容ゾーン手段と、
前記吸引コンポーネント手段が前記受容ゾーン手段内に配置されるときに前記吸引コンポーネント手段における前記蓄熱体手段を加熱するためのエネルギー源手段であって、前記吸引コンポーネント手段が前記受容ゾーン手段から取り出され
たときに、加熱された前記蓄熱体手段からの熱が用いられて、蒸気前駆体材料の少なくとも一部を気化して使用者による吸引のための蒸気を形成するようになっている、エネルギー源手段と
を備え
、
前記ベースユニット手段は、前記吸引コンポーネント手段が前記受容ゾーン手段から取り出されようとしているときを判断するためのセンサ手段をさらに備え、前記蓄熱体手段を加熱するための前記エネルギー源手段は、前記吸引コンポーネント手段が前記受容ゾーン手段から取り出されようとしていることを前記センサ手段が判断することに応答して前記蓄熱体手段を加熱するように構成されている、蒸気供給システム。
【請求項21】
吸引コンポーネントとベースユニットとを具備する蒸気供給システムであって、前記吸引コンポーネントが蓄熱体を備え、前記ベースユニットが、前記吸引コンポーネントを受け入れるための受容ゾーンと、前記吸引コンポーネントにおける前記蓄熱体を加熱するためのエネルギー源とを備え、
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーンから取り出されようとしているときを判断するためのセンサをさらに備える、
前記蒸気供給システムにおいて蒸気を生成する方法であって、
前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーン内に配置されるときに
前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーンから取り出されようとしていることを前記センサが判断することに応答して前記蓄熱体を加熱するためにエネルギー源を用いることと、
前記吸引コンポーネントを前記受容ゾーンから取り出すことと、
前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーンから取り出された後に、前記蓄熱体からの熱を用いて、蒸気前駆体材料を加熱して使用者による吸引のための蒸気を形成することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニコチン送達システム(例えば、電子タバコ等)のような蒸気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)のような、使用者の吸引用の蒸気を生成するための従来の蒸気供給システムは、通常、次の主要コンポーネント(部品)を備えている。
(i)そこから蒸気が生成される蒸気前駆体材料。
(ii)蒸気生成領域で蒸気前駆体材料から蒸気を生成するための気化器(例えば熱気化による)。
(iii)気化器の動作を制御するための制御回路であって、ボタン又はパフセンサ等の気化器を作動させるためのセンサ、及び多くの場合、追加機能を提供するためのマイクロコントローラを含む制御回路。
(iv)気化器を駆動するための電源、通常は充電式バッテリー。
【0003】
使用中、使用者は、電力が気化器に供給され、蒸気前駆体材料の一部を気化させる間、システムの蒸気出口(吸い口)を吸う。空気は、入口の穴からデバイスに、そして蒸気生成領域に引き込まれ、そこで気化した前駆体材料と混合して凝縮エアロゾルを形成する。空気と蒸気/凝縮エアロゾルの混合物は、使用者が吸引するために、蒸気生成領域から吸い口の出口流路に沿って引き込まれる。
【0004】
常にではないが、蒸気供給システムは、再利用可能な部品と交換可能なカートリッジ部品の両方を含むモジュラ式組立体で構成されることがよくある。典型的には、交換可能なカートリッジ部品は、蒸気前駆体材料及び気化器を含み、再利用可能なデバイス部品は、電源(充電式バッテリー)及び制御回路を含む。これらの異なる部品は、機能に応じてさらなる要素を含み得ることは理解されよう。例えば、再利用可能なデバイス部品は、使用者が構成する入力を受信し、動作状態特性を表示するための使用者インターフェースを備える場合があり、交換可能なカートリッジ部品は、気化温度の調節を助けるための温度センサを備える場合がある。
【0005】
カートリッジは、例えば電気的な係合用での電気接触子を有するねじ式又はバヨネット式の取付具によって、使用するために制御ユニットに電気的及び機械的に接続される。カートリッジ内の蒸気前駆体材料が使い果たされた場合、又は使用者が異なる蒸気前駆体材料を有する別のカートリッジに切り替えたい場合、カートリッジを制御ユニットから取り外し、代わりのカートリッジをその場所に取り付けるとよい。
【0006】
蒸気供給システムは、いくつかの点で比較的複雑なデバイスであり、従来の紙巻きタバコよりも大幅に大きくなることが多く、製造コストが高くなる可能性がある。多くの場合、これは、例えば操作機能や容量の点で、望ましい機能を考慮して保証される。しかしながら、本発明者らは、例えば、より従来の電子タバコを持ちたくない使用者、電源が切れた通常のデバイスを有する使用者、又は携帯し忘れた通常のデバイスを有する使用者が容易に利用することができる、比較的低コストの使い捨てタイプの使い捨てデバイス(例えば、従来の可燃性紙巻きタバコと同様の時間持続するもの)を提供するために、より単純な形態のデバイスが好ましい場面があると考えた。また、また、少なくともいくつかの場合には、サイズが従来の可燃性紙巻きタバコにより近い蒸気供給システムを使用することを好む使用者もいる。
【0007】
以下、これらの問題の少なくとも一部に対処しそれを軽減するための様々な手法について説明する。
【発明の概要】
【0008】
特定の実施形態の第1の態様によれば、吸引コンポーネントとベースユニットとを備える蒸気供給システムが提供され、この蒸気供給システムにおいては、吸引コンポーネントは蓄熱体を備え、ベースユニットは、吸引コンポーネントを受け入れるための受容ゾーンと、吸引コンポーネントが受容ゾーン内に配置されるときに吸引コンポーネントにおける蓄熱体を加熱するためのエネルギー源であって、吸引コンポーネントが受容ゾーンから取り出されるときに、加熱された蓄熱体からの熱が用いられて(例えば、伝導又は放射による)、蒸気前駆体材料の少なくとも一部を気化して使用者による吸引のための蒸気を形成するようになっている、エネルギー源とを備える。
【0009】
特定の実施形態の第2の態様によれば、特定の実施形態の上述の第1の態様の蒸気供給システムで使用するためのベースユニットが提供される。
【0010】
特定の実施形態の第3の態様によれば、特定の実施形態の上述の第1の態様の蒸気供給システムで使用するための吸引コンポーネントが提供される。
【0011】
特定の実施形態の第4の態様によれば、吸引コンポーネントとベースユニットとを具備する蒸気供給システムにおいて蒸気を生成する方法が提供され、この方法においては、吸引コンポーネントは蓄熱体を備え、ベースユニットは、吸引コンポーネントを受け入れるための受容ゾーンと、吸引コンポーネントにおける蓄熱体を加熱するためのエネルギー源とを備える。そして、この方法は、吸引コンポーネントが受容ゾーン内に配置されるときに蓄熱体を加熱するためにエネルギー源を用いることと、吸引コンポーネントを受容ゾーンから取り出すことと、吸引コンポーネントが受容ゾーンから取り出された後に、蓄熱体からの熱を用いて、蒸気前駆体材料を加熱して使用者による吸引のための蒸気を形成することとを含む。
【0012】
本発明の第1及びその他の態様に関して上で説明した本発明の特徴及び態様は、本発明の他の態様による本発明の実施形態に等しく適用可能であり、上記の特定の組合せに限らずそれらと適宜組み合わされてもよいことは理解されよう。
【0013】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】ある使用段階における本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムを非常に概略的な断面で示している。
【
図1B】別の使用段階における本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムを非常に概略的な断面で示している。
【
図1C】さらに別の使用段階における本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムを非常に概略的な断面で示している。
【
図2】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図3】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図4】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図5】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図6】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図7】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図8】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図9】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図10】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図11】本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの吸引コンポーネントを非常に概略的な断面で示している。
【
図12】本開示の特定の他の実施形態による蒸気供給システムを非常に概略的な斜視図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本書では、特定の例及び実施形態の態様及び特徴を論じ説明する。しかし、特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来から具現化されている場合もあり、簡潔化のために、それらを詳細に論じることも説明することもしない。したがって、詳細に説明せずに本書で論じた装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を具現化するための任意の従来の技術によって具現化できることは理解されよう。
【0016】
本開示は、eシガレット等、エアロゾル供給システムと称されることもある蒸気供給システムに関する。以下の説明を通じて、「eシガレット」又は「電子タバコ」という用語を使用することがあるが、この用語は蒸気(エアロゾル)供給システム及び電子蒸気(エアロゾル)供給システムと互換的に使用することができることは理解されよう。さらに、当該技術分野では一般的であるように、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語、並びに「気化」及び「エアロゾル化」等の関連の用語もまた、互換的に使用することができる。
【0017】
図1A~
図1Cは、様々な使用段階での本開示の特定の実施形態による蒸気供給システム2を概略的な断面で示している。ここで示されるシステム2は、2つの主要なコンポーネント(構成要素)、すなわち吸引コンポーネント10と、ベースユニット20とを備える。本書でさらに論じられるように、吸引コンポーネント10は、使用準備のために(すなわち、蒸気生成を開始するために)、(又は他の実施形態において)ベースユニット20に配置され、その後、使用のために(すなわち、生成された蒸気を使用者が吸引するために)ベースユニットから
取り出されてもよい。
【0018】
吸引コンポーネント10は、空気入口15と吸い口出口14との間の空気流路を画定する実質的に管状のハウジング11を備える。ハウジング11内には、空気流路内/それに隣接して配置された蒸気前駆体材料12の供給源と、蒸気前駆体材料12の一部と熱的に接触している蓄熱体13とがある。以下でさらに説明するように、蒸気前駆体材料12及び蓄熱体13の配置に採用することができる構成には様々ある。例えば、蒸気前駆体材料は、液体材料ではなく、又は液体材料に加えて、固体、ゲル又は発泡材料を含むものとすることができる。しかしながら、本例では、蒸気前駆体材料の供給源は、吸収性材料/詰め物材料(例えば、有機綿、又は例えばガラス繊維材料や多孔性金属、多孔性セラミック材料のような他の多孔性材料)によって保持される液体蒸気前駆体材料を含み、蓄熱体は、例えば鋼板の一部から形成されたある大きさの金属を含む。
【0019】
本例における管状のハウジング11は、例えば、約100mmの長さ及び約7mmの直径を有する従来のシガレットに広く対応するサイズを有する。管状のハウジングの内径は、例えば約5mmとすることができる。ハウジング11は、本例ではプラスチック材料を含み得るが、他の例では、カード/紙材料を含み得る。一般に、ハウジングは任意の材料で形成することができるが、典型的には使い捨てのアイテムであることを意図していることを考えると、ハウジングを比較的安価に作ることが一般的に望まれる。ハウジングは、例えば、従来の長さの大部分に沿って白色を有し、従来の巻きタバコフィルタセクションを表す吸い口出口14に向かっての茶色の区域がある等、従来の巻きタバコの外観を模倣する外面を提供するように構成され得る。しかしながら、吸引コンポーネントの審美的外観、並びにその特定の形状、寸法及び材料は、本書で説明される原理にとって基本的な重要性がないことは理解されよう。
【0020】
上述したように、本例における蒸気前駆体材料は、吸収性材料/詰め物材料によって保持された気化可能な液体を含む。本例では、詰め物材料は有機綿を含むが、他の例では、詰め物材料は、他の吸収性材料、例えば、ガラス繊維、スチールウール、紙、セラミック繊維、タバコ材料等を含んでもよい。液体は、電子タバコで従来使用されているタイプのものであり、例えば、ある量のニコチン、例えば約3%のニコチンと、約50%のグリセロール、並びにほぼ等しい量の水及びプロピレングリコールを含むベース液とを含む。液体は、香料のような他の成分をさらに含んでもよい。いくつかの例では、比較的低温の気化温度を有する液体、例えば、比較的大量のエタノール又はトリアセチンを含む液体を選択することができる。所与の実施形態で使用される特定の液体は、例えば、(例えば使用者が選択できるニコチン含有量及び/又は香料の観点等において)様々な特性を有する蒸気前駆体材料を有するある範囲の吸引コンポーネントを提供することによる等、使用者の好みの問題であり得ることは理解されよう。
【0021】
本例の蓄熱体は、鋼板からプレス加工された実質的に長方形の形状であり、例えば、寸法が約25mm×3mm×0.1mmであるAISIタイプ430又は409の鋼を含む。しかしながら、例えば導電性セラミックや、他の金属又は合金(例えばアルミニウム及び/又は鉄及び/又はニッケル、グラファイト等)の様々な材料、及び様々な形状やサイズを有する他の形態の蓄熱体が、他の実施形態において採用されてもよい。例えば、他の実施形態における蓄熱体は、実質的に平坦な形状を有するのではなく、例えば中実又は中空のピン/ロッドの形態又はらせん状コンル若しくはフラットコイルの形態の管形状を有し得る。本書で説明するように、蓄熱体の熱を使用して、吸引のために蒸気前駆体材料の一部を加熱して気化させることができる。蓄熱体についての熱質量が比較的大きい場合、より多くの蒸気前駆体材料が気化される可能性があることを意味するが、加熱に時間がかかると予想され得る。一方、蓄熱体についての熱質量が比較的小さい場合、より迅速な加熱を可能にするが、熱質量が冷却する前の蒸気の生成は少なくなる。したがって、所与の実施形態では、蓄熱体についての熱質量は、使用毎に気化され得る蒸気の量と加熱速度とのバランスの観点から所望の特性に従って選択され得る。本書でさらに説明するように、
図1A~
図1Cに示される例示的な実施形態における蓄熱体13は、ベースユニット20によって誘導加熱されてもよい。その点で、蓄熱体はサセプタとも呼ばれ、誘導加熱の影響を受けやすい任意の材料(例えばフェライト鋼又はマルテンサイト鋼)を含み得る。他の例では、蓄熱体13は、例えば伝導加熱や及び/又は放射加熱のような、誘導加熱以外の手段により、ベースユニット20によって加熱されてもよく、そのような場合、蓄熱体13は、誘導加熱を受けやすい材料を含む必要はない。
【0022】
ここで、ベースユニット20に目を向けると、これは、
図1A~
図1Cにおいて、実質的に長方形の箱形状であるとして概略的に示されているが、実際には、ベースユニットの全体形状は特に重要ではなく、例えば、所望の美的外観に従って選択されてもよい。例えば、ベースユニットは、灰皿に実質的に類似する外観を有するように等しく構成されてもよく、或いは、マットの形態で実質的に平坦とされてもよい。また、ベースユニットは独立型デバイスでなくてもよく、別の装置に組み込まれてもよいことは理解されよう。例えば、ベースユニットは、例えば従来のシガレットライターソケットに類似した外観で、車両に組み込まれてもよい。ベースユニット20は、多くの実施形態において、比較的固定された設備を備えることが期待され、例えば、ベースユニットは公共の場所のテーブル又は壁に固定され主電源が設けられ得る。しかしながら、他の実施形態では、ベースユニットは、内部電源を有するとともに、使用者が簡単に持ち運びできるようにサイズが決められた携帯型のデバイスであってもよい。
【0023】
本例のベースユニット20は、吸引コンポーネント10の少なくとも一部を受け入れるようにサイズ及び形状が決められた受容ゾーン22が画定された外部ハウジング21と、電源25と、制御回路26と、作動センサ24と、誘導コイル23とを備える。
【0024】
本例では、受容ゾーン22は、ベースユニット20の上壁の実質的に円筒形の凹部によって画定されている。円筒形の凹部は、吸引コンポーネントのハウジング10の直径よりも少し大きい直径と、
図1Bに概略的に示されるように、サセプタ13を含む吸引コンポーネントの端部が円筒形の凹部に完全に受け入れられることを可能にする深さを有する。これは、受容ゾーンの適切なサイズ及び形状の単なる一例を示すものであり、他の構成が他の実施形態で採用され得ることは理解されよう。例えば、いくつかの実施形態では、受容ゾーンは、ベースユニットの表面に凹部又は開口部を有さず、単に吸引コンポーネント10が接して配置されるベースユニットの外面上の領域を備えてもよい。
【0025】
電源25は、ベースユニット20に動作電力を提供するように構成されている。上記のように、携帯型のベースユニットの場合、電源25は、例えば、充電式リチウムイオン電池等の電池を備えるものとすることができる。しかしながら、本例では、ベースユニット20は、一般的に固定された設備での使用を意図しており、例えば幹線電源から外部電力を受け取ることが想定されている。したがって、本例の電源25は、外部幹線電源に接続され、外部幹線電源をベースユニットを動作させるのに適した電源、例えば12ボルトDC電源に変換するように構成された電源回路に対応する。もちろん、ベースユニットが動作する電源の特定の性質は、本書に記載されている原理にとって重要ではないことは理解されよう。例えば、他の実施形態では、ベースユニットは、(例えば、バス停留所の近く等の外部での使用を目的としたベースユニットの場合)燃料電池又は太陽光発電によって電力が供給されてもよい。
【0026】
制御回路26は、ベースユニット20の動作を制御して、本開示の実施形態に従って本書で説明される機能を提供するように構成される。制御回路(プロセッサ回路)は、この機能を提供するための様々なサブユニット/サブ回路を含み得、いくつかの個別のハードウェア要素として、及び/又は制御回路の適切に構成された機能として実装され得る。したがって、制御回路は、電子デバイスを動作させるための従来のプログラミング/構成技術を使用して所望の機能を提供するように適切に構成/プログラムされた回路を含むことができる。制御回路26の機能は、例えば1つ以上の適切にプログラムされたプログラム可能コンピュータを使用したり、1つ以上の適切に構成された特定用途向けの集積回路/電子回路/チップ/チップセットを使用したりすること等、様々な異なる方法で提供され得ることは理解されよう。
【0027】
誘導加熱コイル23は、この誘導加熱コイル23が制御回路によって作動されるときに、受容ゾーン22に受け入れられた吸引コンポーネントにおけるサセプタ13を誘導加熱するように配置構成されている。したがって、
図1A~
図1Cの構成では、誘導加熱コイルは、吸引コンポーネントが受容ゾーンにあるときにサセプタ13を囲む部分を覆うように、受容ゾーンを含む円筒形の凹部の周りに巻かれた螺旋状コイルをからなる。したがって、吸引コンポーネント10が受容ゾーン22に受け入れられ、誘導加熱コイル23が作動されてサセプタ13に電流を誘導すると、サセプタが加熱される。誘導加熱コイル23の動作特性は、例えば巻数、電流及び動作周波数に関して、所与の実施形態で採用された特定のサセプタ形状を考慮に入れて、誘導加熱の周知の原理を考慮して選択することができる。これに関して、誘導加熱コイルは、例えば、吸引コンポーネントにおけるサセプタ/蓄熱体を数秒程度の時間スケールで約200℃の温度に加熱するように設計されてもよい。
【0028】
作動センサ24は、誘導加熱コイル23に電流を流すべきときに制御回路26に指示を与えるよう構成されている。実際、作動センサの役割は、受容ゾーンに現在ある吸引コンポーネントが使用のために取り出されようとしているときに制御回路に指示し、制御回路26が誘導コイルを駆動して吸引コンポーネントにおけるサセプタ/蓄熱体を加熱し、それを使用できるようにすることである。作動センサ24は、様々な実施形態においてある範囲の様々な技術に基づくものとすることができる。例えば、いくつかの場合において、作動センサは、使用者が吸引コンポーネントを受容ゾーンから引き抜こうとし始めるときに吸引コンポーネントの動きを検出するように構成された運動センサを備え得る。他のいくつかの場合では、作動センサは、使用者が吸引コンポーネントを受容ゾーンから引き抜こうとしているときに使用者の手の接近を検出するように構成された近接センサを備え得る。さらに他の場合では、作動センサは、使用者が受容ゾーンから吸引コンポーネントを引き抜こうとしていることを示すために使用者によって手動で作動されるスイッチを備えてもよい。さらに他の場合では、作動センサは、吸引コンポーネントが受容ゾーンに配置されているときはいつでも誘導加熱コイルが作動されるよう、吸引コンポーネントが受容ゾーン内に挿入されたことを単に検出するように構成されてもよい。制御回路が誘導加熱コイル23をいつ駆動すべきかを検出するように作動センサが構成される特定の態様に関係なく、作動センサは、従来の感知技術を考慮して実施され得る。すなわち、それは従来の技術(例えば、手元での実行に応じた物体の接近、存在又は動きを検出するための容量性又は光学的なセンシング技術の使用、又は手動起動のための従来の機械的スイッチの使用)に基づくものである。いくつかの実施形態では、ベースユニットは作動センサを備えない場合があり、代わりに、誘導コイルがベースユニットに挿入されているときはいつでも誘導コイルが永久的に駆動されるようにしてもよい。別の例では、ベースユニットは、第1の位置で吸引コンポーネントを受け入れるように構成されてもよく、その場合、使用者が吸引コンポーネントを第2の位置に移動したとき(例えば、ばね力に抗して押し下げるか、又は単に吸引コンポーネントをベースユニットに対して再配置するとき)、誘導加熱コイルは、蓄熱体を加熱するよう作動され得る。一例では、吸引コンポーネントは、所定の時間の加熱の後に、蓄熱体が使用のために十分に加熱されたことを示すために、例えばタイマ又は熱応答性のラッチがばね力を解放することに基づいて、「ポップアップ」するように構成されてもよい。いくつかの場合においては、ベースユニットは、サセプタ/蓄熱体がベースユニットから取り出され始めたときにサセプタ/蓄熱体の動きを検出するための第2のコイルと、それに応じて駆動される誘導加熱コイルとを備えてもよい。
【0029】
図1A、
図1B及び
図1Cに示される蒸気供給システム2の全体的な構造及び構成について論じてきたが、システム2の例示的な使用法について次に説明する。これに関して、
図1Aは、未使用の吸引コンポーネントが使用されようとしている状況を概略的に示すものと想定する。したがって、
図1Aでは、吸引コンポーネント10は、ベースユニット20の受容ゾーン22に近づいているところが示されている。この段階では、未使用の吸引コンポーネント10におけるサセプタ/蓄熱体13は低温である(すなわち、周囲温度である)。
【0030】
図1Bは、ベースユニット20の受容ゾーン22に受け入れられたときの吸引コンポーネント10を示す。上述したように、この構成では、ベースユニット20の誘導加熱コイル23は、吸引コンポーネント10のサセプタ13を取り囲む。
図1Bに示すように、吸引コンポーネント10が受容ゾーンに配置されている間、作動センサ24は、吸引コンポーネントが使用のために
取り出されようとしているので吸引コンポーネントにおけるサセプタ13を加熱すべきであることを検出する。上記のように、この検出は、目下の実施形態に応じて様々なセンサ技術に基づくことができる。本例では、作動センサ24は、使用者が使用のために吸引コンポーネントを引き抜き始めたときに吸引コンポーネントの動きを検出するように構成された運動センサであると想定している。
【0031】
作動センサ24が、吸引コンポーネントにおけるサセプタ13が加熱されるべきであると判定すると、信号が制御回路26に送られ、それに応答して、制御回路は、電源25から電力を誘導加熱コイルに適切に誘導することによって、駆動信号を誘導加熱コイル23に印加する。誘導加熱コイルへの駆動信号の印加は、サセプタ13に電流を誘導し、それによりサセプタを加熱する。本例では、誘導加熱コイル23は、サセプタを2秒以内に約200℃の温度に加熱するように構成されている。この加熱速度を達成するために誘導加熱コイル23に印加される駆動信号の特性は、誘導電流に対するサセプタの感受性とその熱質量(すなわち、蓄熱体13のサイズ)に依存することは理解されよう。しかしながら、上述したように、誘導加熱コイルの動作は従来の誘導加熱器技術に従ってもよい。
吸引コンポーネント10が受容ゾーンから引き出されている(すなわち、受容ゾーンから離れ始めている)ことを検出する作動センサ24によって誘導加熱が開始される本例においては、蒸気供給システム2の使用者は、必要性を知ることができる。吸引コンポーネント10を受容ゾーンから比較的ゆっくりと引き出し、吸引コンポーネントが引き出されるときにサセプタが加熱される時間を与える必要性を意識しているとよい。いくつかの場合では、誘導加熱コイル23が駆動されているときを示すためにインジケータ、例えばライトが設けられてもよい。したがって、制御回路が、十分なエネルギーが吸引コンポーネントにおけるサセプタ13に伝得られたと判断すると(例えば、誘導加熱コイルの所定の駆動時間の後)、インジケータライトはオフに切り替わり。したがって、使用者が吸引コンポーネント10を受容ゾーンから引き抜き始めると、インジケータライトが点灯するのを見て、インジケータライトが消えるまで吸引コンポーネントを引き抜くのを遅らせるべきであることを理解する。吸引コンポーネントが引き抜かれ始めるときをベースユニットが判定することに応答して加熱コイルを作動させることに基づく手法では、使用者にフラストレーションを与える可能性がある遅延を必要とせずにサセプタを加熱するのに十分な時間を与えないという所与の実施形態に懸念がある場合には、別の作動センサによる手法を採用することができる。例えば、上述したようにベースユニットに近づく使用者の手の検出に基づく近接センサによる手法が代わりに使用されてもよい。この場合、加熱コイル23の作動は、使用者が吸引コンポーネントをベースユニットから取り出し始める前に開始することができ、それにより、使用者が感じる遅延を低減するのに役立つ。
【0032】
図1Cは、サセプタ/蓄熱体13が誘導加熱コイル23によって加熱された後にベースユニット20から
取り出された吸引コンポーネント10を概略的に示している。この段階では、吸引コンポーネント10は、使用者が吸い口端部14を吸い、空気を空気入口15から、ハウジング11によって画定される空気流路に沿って引き込むことができるという点で、使用者による吸引の準備が整っている。使用者がこれを行うと、蓄熱体13の熱が熱伝導により蒸気前駆体材料12の一部を気化し、結果として生じる蒸気が吸引コンポーネントを通る空気流に同伴され、吸い口14を通して使用者によって吸引される。液体空気前駆体材料を保持している有機綿が十分に緩んだ状態にあるいくつかの構成では、その空気は詰め物を通して引き込むことができ、他のいくつかの構成では、蒸気が蓄熱体13により生成されている領域に主として存する吸引コンポーネントを通って空気が引き出され得るように、空気チャネルがサセプタの近くの詰め物を通る通路によって提供されてもよい。
【0033】
吸引コンポーネントを1パフし(一吸いし)、蒸気の一部を吸引した後、使用者は、2回目のパフ(場合によってはそれ以上のパフ)のための十分な蒸気前駆体材料を気化し続けるのに十分である温度を保持するのに十分な熱容量を蓄熱体が有している場合、2回目のパフの準備ができている吸引コンポーネントを保持し続けることがある。他の場合では、蓄熱はパフを1回だけもたらすのに十分であり、その結果、使用者が1パフをしたときには、吸引コンポーネントを受容ゾーンに戻し、上述したのと同様な態様で次のパフのために再加熱される準備をするようにするとよい。使用者は、蒸気前駆体材料が使い果たされるまで、必要に応じて再加熱しながら、吸引コンポーネントを吸い続けることができる。この時間の後、吸引コンポーネントを廃棄して、新しい吸引コンポーネントを使用することができるが、基本的には吸引コンポーネントを補充することもできる。例えば、綿の詰め物が液体の一部を吸収し、吸引コンポーネントを蒸気前駆体材料で実質的に再充填してさらに使用するよう、吸引コンポーネントを液体蒸気前駆体材料溜めに浸すことができる。いくつかの例では、蒸気前駆体材料溜め/リザーバがベースユニット内に設けられ、吸引コンポーネントが受容ゾーンに受け入れられると、吸引コンポーネントの一部、例えば端部が蒸気前駆体材料のリザーバと接する。したがって、ベースユニットは、吸引コンポーネントに熱を与えて蒸気前駆体材料を気化させるだけでなく、ベースユニットはまた、吸引コンポーネントに蒸気前駆体材料自体を提供することもできる。その意味で、吸引コンポーネントは最初、蒸気前駆体材料なしで供給されてもよい。さらに、場合によっては、吸引コンポーネントは、気化された前駆体材料が使用者によって吸われ吸引されるまで気化された前駆体材料が吸引コンポーネントに残っている状態で、吸引コンポーネントが依然としてベースユニットの受容ゾーンにある間に気化され得る、1回のパフに対応する液体の量を吸収するように構成されることができる。
【0034】
1つの使用シナリアとしては、例えばレストランやバー、バス停留所のような人々が頻繁に待つエリア等の公共スペースにベースユニットが設けられ、使用者が、そのような「公共」ベースユニットと組み合わせて使い捨てを基本として使用されるよう、個別の又はパックの吸引コンポーネントを単に購入することが考えられる。例えば、ベースユニットは、吸引コンポーネントの製造業者/供給業者によって提供されてもよい。その点で、吸引コンポーネントとベースユニットは、例えば吸引コンポーネントに特定の形状をベースユニットの特定の形状と一致させることを要求することによって、又は他の識別手段(例えば、関連するベースユニットで使用できる吸引コンポーネントとして各吸引コンポーネントを識別するために、各吸引コンポーネントに設けられたRFIDタグ)を用いることによって、協働するようにのみ構成されるとよい。したがって、この手法は、完全なスタンドアロンデバイス(すなわち、バッテリーと独自の制御電子機器を有するデバイス)を必要とせずに、電子タバコによって提供される種類の蒸気を吸引する可能性を使用者に与える。これは、いくつかの理由で望ましい場合がある。例えば、使用者は、単に、かさばるスタンドアロンデバイスを持ちたくないことがある。使用者は自分のデバイスを有しているかもしれないが、それを携帯するのを忘れたため、暫定的に公共ベースユニットで使用するための使い捨て吸引コンポーネントのパックを購入したい場合がある。さらに別のシナリオでは、使用者は自分の電子タバコを有しているかもしれないが、例えばサンプルテストによって、上記の種類の使い捨て吸引コンポーネントとして提供される新しい香料を試したいだけの場合もある。
【0035】
図2は、
図1A~
図1Cを参照して上で論じられた吸引コンポーネントを断面図で概略的に示している。
【0036】
図3は、
図1A~
図1Cを参照して上で論じられ、
図2に示された吸引コンポーネント10の変形である吸引コンポーネント30を概略断面図で示している。
図2に示された吸引コンポーネント10の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する対応する要素から理解されるであろう
図3に示される吸引コンポーネント30の要素は、対応する参照符号で特定され、簡潔にするために再度説明しない。この吸引コンポーネント30は、ハウジング11内にタバコの一部分(以下「タバコ部分」ともいう)16が追加されていることで、
図2に示されている吸引コンポーネントとは相違している。タバコ部分16は、吸引の前に蒸気前駆体材料12から生成された蒸気がタバコ16を通して引き込まれように、蒸気前駆体材料12及び蓄熱体13の下流側(すなわち、蒸気前駆体材料と吸い口との間)に配置されたルーズカットタバコの断面を含み得る。これは、場合によっては必要な追加の香料特性を使用者に提供するのに役立つ。
図3の吸引コンポーネント30は、上述した
図2の吸引コンポーネント10と共に使用されるベースユニットに対応するベースユニットと共に使用されてもよい。
【0037】
図4は、
図1A~
図1Cを参照して上述され、
図2に示される吸引コンポーネント10の別の変形である吸引コンポーネント40を概略断面図で示している。
図2に示された吸引コンポーネント10の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図4に示される吸引コンポーネント40の要素は、対応する参照符号で特定され、簡潔にするために再度説明しない。
図4に示される吸引コンポーネントは、ハウジング11内にタバコ部分16が追加されていることで、
図2に示される吸引コンポーネントとは相違している。タバコ部分16は、蒸気前駆体材料12及び蓄熱体13の上流側に配置され(すなわち、蒸気前駆体材料は、タバコ部分と吸い口との間にある)、吸引コンポーネントに入る空気は、蒸気前駆体材料を通過する前にタバコ16を通して引き込まれるようになっている。これは、場合によっては必要な追加の香料特性を使用者に提供するのに役立つ。
図4の吸引コンポーネント40は、上述した
図2の吸引コンポーネント10と共に使用されるベースユニットに対応するベースユニットと共に使用されてもよいが、その場合、受容ゾーンによって画定される円筒形の凹部は、サセプタを有する吸引コンポーネントの部分がベースユニットの誘導加熱コイルに隣接して配置されるよう十分に深く作られる。
【0038】
図5は、
図3に示され上述された吸引コンポーネント30の変形である吸引コンポーネント50を概略断面図で示している。
図3に示された吸引コンポーネント30の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図5に示した吸引コンポーネント50の要素は、対応する参照符号で特定され、簡潔にするために再度説明しない。
図5に示される吸引コンポーネントは、蓄熱体/サセプタ13が液体前駆体材料12及びタバコ部分16の両方と熱的に接触する大きさとなっている点で、
図3に示される吸引コンポーネントとは相違している。したがって、使用時、タバコ部分16並びに蒸気前駆体材料12の両方が蓄熱体によって加熱される。その意味で、タバコ部分16自体は、吸引コンポーネントの蒸気前駆体材料の一部と見なすことができる(すなわち、
図5は、蒸気前駆体材料が液体と固体の両方を含む例を示している)。この手法の変形において、液体蒸気前駆体材料及びタバコ部分は、ベースユニットによって別々に加熱され得る(両方にまたがる単一のサセプタとは対照的に)別個のサセプタと関連付けられ得る。
図5の吸引コンポーネント50は、上述した
図2の吸引コンポーネント10と共に使用されるベースユニットに対応するベースユニットと共に使用されてもよいが、その場合、受容ゾーンによって画定される円筒形の凹部と誘導加熱コイルとは、サセプタを有する吸引コンポーネントの部分がベースユニットの誘導加熱コイルに隣接して配置されるよう十分に大きく作られる。
【0039】
図6は、
図5に示され上述された吸引コンポーネント50の変形である吸引コンポーネント60を概略断面図で示している。
図5に示された吸引コンポーネント50の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図6に示された吸引コンポーネント60の要素は、対応する参照符号で特定され、簡潔にするために再度説明しない。
図6に示される吸引コンポーネントは、液体蒸気前駆体材料12及びタバコ部分(固体蒸気前駆体材料)16が、空気入口15と吸い口出口14との間の空気流路に沿ったそれらの相対位置で入れ替わっているという点で、
図5に示される吸引コンポーネントと相違している。
図6の吸引コンポーネント60は、上述した
図2の吸引コンポーネント10と共に使用されるベースユニットと共に使用されてもよいが、その場合、受容ゾーンによって改訂される円筒形の凹部と誘導加熱コイルとは、サセプタを有する吸引コンポーネントがベースユニットの誘導加熱コイルに隣接して配置されるよう十分に大きく作られる。
【0040】
図7は、
図1A~
図1Cを参照して上述されかつ
図2に示された吸引コンポーネント10の変形である吸引コンポーネント70を概略断面図で示している。
図2に示された吸引コンポーネント10の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図7に示された吸引コンポーネント70の要素は、対応する参照符号で特定され、簡潔にするために再度説明しない。
図7に示される吸引コンポーネントは、フィルタセクションが吸い口開口15に隣接する空気流路内に追加されているという点で、
図2に示される吸引コンポーネントとは相違している。フィルタセクション17は、例えば、任意の従来の紙巻きタバコで使用されるタイプのフィルタ材料、例えば酢酸セルロースを含んでもよい。さらに、フィルタセクション17は、香味料カプセル内の香味料がフィルタ内に吸収され、吸引コンポーネントによって提供される蒸気に香味料特性を付与することができるように、使用者が選択的に破壊することができる香味料カプセル18を含む。例えば、香味料カプセル18は、メントール又は他の香味料を含有する液体を内包する破壊可能な外皮を備えるものとすることができる。これに関して、香味料カプセル18は、例えばその材料構造や含有量の面で、従来の紙巻きタバコと組み合わせて一般的に使用される香味料カプセルのタイプと対応させることができる。
図7の吸引コンポーネント70は、上述した
図2の吸引コンポーネント10と共に使用されるベースユニットに対応するベースユニットと共に使用されてもよい。より一般的には、吸引コンポーネントは、例えば濾過することにより又は加香することにより、吸引コンポーネントからの出力の官能特性を変更するための他の手段が設けられてもよいことは理解されよう。
【0041】
さらに、上述のいくつかの例のような、液体に浸された詰め物及び平坦なサセプタに基づく手法に加えて、蒸気前駆体材料及び蓄熱体が設けられ得る様々な異なる態様があることは理解されよう。いくつかの代替的な構成が
図8~
図10に概略的に示されている。
【0042】
図8は、
図1A~
図1Cを参照して上述され
図2に示された吸引コンポーネント10の変形である吸引コンポーネント80を概略断面図で示している。
図2に示された吸引コンポーネント10の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図8に示された吸引コンポーネント80の要素は、対応する参照符号で特定される。入口15の近くの吸引コンポーネント80の一部分のみが
図8に示されているが、吸引コンポーネントの残りの部分は、本書で論じられる他の例のいずれかと一致して形成され得ると理解されるべきである。
図8に示される吸引コンポーネント80は、液体蒸気前駆体材料が加熱のためにサセプタ/蓄熱体に供給されるという態様において、
図2に示される吸引コンポーネント10とは相違する。上記の例では、蒸気前駆体材料は、一般に蓄熱体に近接している綿の詰め物に保持される。しかしながら、
図8の例では、液体蒸気前駆体材料12は、管11の内周の環状リザーバに保持され、この例では、セラミック繊維を含むウィッキング(毛細管現象を奏する)要素19が、気化のために液体蒸気前駆体材料をサセプタ13へと引き出すように構成されている。液体蒸気前駆体材料は、例えば、
図2の構成を参照して上述した種類の環状の詰め物材料に保持されてもよいし、ウィッキング要素が延在している環状壁付きチャンバ内に貯留された自由液体を含んでもよい。この点に関して、
図8の配置構成は、液体蒸気前駆体材料の大部分を保持するための比較的高い多孔性領域と、サセプタへの液体の流れを所望の速度で制御するためのより低い多孔性のウィッキング要素とを含むと考えることができる。ウィッキング要素は、他の材料と形態、例えば繊維性材料ではなく多孔性材料を備えてもよく、セラミック、金属又は他の任意の適切な材料、例えば繊維ガラスを含んでもよいことは理解されよう。より一般的には、サセプタの熱に耐えることができるとともに、液体蒸気前駆体材料をサセプタに吸い上げることができる任意の材料を使用することができる。
図8の吸引コンポーネント80は、
図2の吸引コンポーネント10と共に使用され上述されたベースユニットに対応するベースユニットと共に使用されてもよい。
【0043】
図9は、
図1A~
図1Cを参照して上述され
図2に示された吸引コンポーネント10のさらに別の変形である吸引コンポーネント90を概略断面図で示している。
図2に示された吸引コンポーネント10の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図9に示された吸引コンポーネント90の要素は、対応する参照符号で特定される。
図8に関していうと、入口15の近くの吸引コンポーネント90の一部分のみが
図9に示されているが、吸引コンポーネントの残りの部分は、上述の例のいずれかと一致して形成され得ると理解されるべきである。
図9に示される吸引コンポーネント90は、蓄熱体/サセプタ13及び蒸気前駆体材料12の配置によって、
図2に示される吸引コンポーネント10とは相違する。特に、
図9の例における蓄熱体/サセプタ13は、例えばワイヤウール/スチールウール等の繊維性金属材料を含み、蒸気前駆体材料12は、サセプタ13を含む繊維上のゲルコーティングを含む。これは、例えば、繊維状サセプタ13を液体形態の蒸気前駆体材料に単に浸漬することによって形成することができ、その蒸気前駆体材料は続いて乾燥/冷却されてゲルを形成する。
図9の吸引コンポーネント90は、
図2の吸引コンポーネント10と共に使用され上述されたベースユニットに対応するベースユニットと共に使用されてもよい。したがって、吸引コンポーネント90がベースユニットの受容ゾーンに受け入れられると、繊維状サセプタ13に電流が導かれてサセプタが加熱され、吸引コンポーネントがベースユニットから引き抜かれたとき、吸引のために、サセプタ13を構成する繊維をコーティングするゲル状の蒸気前駆体材料12が気化する。
【0044】
図10は、
図1A~
図1Cを参照して上述され
図2に示される吸引コンポーネント10のさらに別の変形である吸引コンポーネント100を概略断面図で示している。
図10に示される吸引コンポーネント100の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図10に示される吸引コンポーネント100の要素は、対応する参照符号で特定される。
図8及び
図9に関していうと、吸引コンポーネントの入口15端の近くの吸引コンポーネント100の一部分のみが
図10に示されており、吸引コンポーネントの残りの部分は、上述された他の例のいずれかに対応し得ることを理解すべきである。
図10に示される吸引コンポーネント100も、蓄熱体/サセプタ13及び蒸気前駆体材料12の配置が、
図2に示される吸引コンポーネント10とは相違している。特に、
図10に示される構成では、液体蒸気前駆体材料12は、綿の詰め物の母体内ではなく、環状壁付きチャンバ27内に保持される。壁付きチャンバ27は、例えば、
図10に概略的に示されるように、吸引コンポーネント100の管状のハウジング10内に配置するための実質的に管状のインサートを備える場合があるが、他の実施形態では、ハウジング11と一体的に形成されてもよい。
図10のサセプタは、実質的に平坦状の金属メッシュ(又は他の多孔性構造)、例えば実質的にシート形状をとる焼結金属繊維材料を備える。サセプタの少なくとも1つの縁部は、チャンバ27の内壁の対応するスロット内に延在し、それにより、サセプタがチャンバ27内から液体12を吸い上げ、それにより濡れた状態となることを可能にする。使用中、サセプタ13は、上述した種類のベースユニット内の誘導コイルによって加熱され、それにより、液体がサセプタ13の表面から気化されて、使用者による吸引が行われる。サセプタ13から気化した液体は、サセプタ材料自体の多孔性のために、周囲のチャンバ内の液体から毛細管現象の作用によって補充される。すでに述べたように、サセプタ13の特定のサイズと形状は重要ではないが、
図10の例では、それは鋼の焼結繊維を含む実質的に長方形であり、約25mm×3.5mm×1mmの寸法を有する。
【0045】
図11は、
図1A~
図1Cを参照して上述され
図2に示される吸引コンポーネント10のさらに別の変形を表す吸引コンポーネント110を概略断面図で示している。
図2に示される吸引コンポーネント10の対応する要素と機能的に同等であり、その対応する要素から理解されるであろう
図11に示される吸引コンポーネント110の要素は、対応する参照符号で識別される。
図11に示される吸引コンポーネント110は、蒸気前駆体材料12がサセプタ/蓄熱体13と直接熱的に接していないが上流側(すなわち、サセプタ/蓄熱体13と吸い口出口14との間)に配置されている点で、
図2に示される吸引コンポーネントとは相違している。したがって、使用時、サセプタは、例えば、上述した種類のベースユニットを使用して加熱され、使用者がマウスピース端部14を吸うと、空気は、空気入口を通り、蓄熱体13の熱によって加熱される吸引コンポーネント110に吸い込まれるので、加熱された空気は、蒸気前駆体材料を通して/その全体に引き込まれて、吸引用の蒸気を生成する。この構成はいくつかの面で、使用者が吸引コンポーネント110を通して空気を引き込んでいないときに蒸気前駆体材料に伝達される熱がなく(又は少なくとも大幅に少なく)、その結果、デバイスがパフ(吸込み)されていないときには気化が少ないという点で、パフ作動式のデバイスに対応すると考えられ得る。別の実施形態では、これらの2つの要素を整列/近接させて蒸気を生成し、また実際に蒸気生成を停止するために整列/近接から外すことができるように、蓄熱体が蒸気前駆体材料に対して移動することができるよう吸引コンポーネントを構成配置してもよい。この場合、相対運動は、例えば、蓄熱体の一方又は他方で、使用者の吸引行為によって駆動されてもよく、又は使用者が吸引コンポーネントの吸い口を吸った際の吸引コンポーネント内の空気流によって移動される蒸気前駆体材料によってもよい。さらに別の実施形態では、使用者が吸引コンポーネントを吸ったときに開かれるフラップによって、蓄熱体の周囲の領域が閉じられてもよい。したがって、吸引コンポーネントの周囲の領域は、使用者がデバイスを吸ってフラップを開き、蒸気を引き出すまで、実際には蒸気が逃げることができない閉鎖空間となり得る。
【0046】
もちろん、本書に記載されている開示の様々な実施形態の特徴を組み合わせることができることは理解されよう。例えば、
図7に示される種類のフィルタ及び香料カプセルは、
図2から
図6及び
図8~
図11に示される構成のいずれにも提供され得る。同様に、
図3が
図6に示される種類のタバコ部分は、
図8~
図11に示される構成のいずれにも含めることができる。さらに、
図8~
図11に示される蒸気前駆体材料及び蓄熱体の構成のいずれかは、
図2~
図7に示される構成のいずれかと共に使用されてもよい。より一般的には、使用するためにベースユニットから引き抜かれた吸引コンポーネント内の蒸気前駆体材料を気化させる蓄熱体を加熱するためのエネルギーを提供すべくベースユニットを使用するという基本的な原理に合わせて採用できる幅広い実施形態があることは理解されよう。
【0047】
さらに、すでに述べたように、ベースユニットは、様々な異なる形態をとることができる。例えば、
図1A~
図1Cに示される例では、ベースユニットは管状開口の形態の単一の受容ゾーンを含むが、他の例では、ベースユニットは、対応する複数の吸引コンポーネントを同時に取り扱うための複数の受容ゾーンを備え得る。さらに、受容ゾーンは、管状の凹部以外の構成を備え得る。
【0048】
これに関して、
図12の概略図は、
図1A~
図1Cに概略的に示されたベースユニットとは異なる設計構造を有するベースユニット120を示している。この例では、ベースユニット120は、実質的に半管の形の4つの受容ゾーン22を備え、その受容ゾーンに吸引コンポーネント(1つの例示的な吸引コンポーネント10が
図12に示されている)が配置され得る。吸引コンポーネントが受容ゾーン22の1つに受け入れられた場合、その蓄熱体は、上記の原理に従って誘導的に加熱され得る。この点に関して、誘導コイルの構成は、それが吸引コンポーネントを完全に包囲しないが、実際には、吸引コンポーネント内の一側に隣接するという点で、
図1A~
図1Cに概略的に示されているものとは異なることは理解されよう。これに関して、誘導コイルは、平坦又は湾曲したコイルとすることができる。より一般的には、誘導コイルの設計及び構成は、誘導加熱のための十分に確立された原理を考慮して選択することができる。いくつかの形状では、誘導コイルに対して吸引コンポーネントには優先的な向きがあり、この場合、吸引コンポーネントは、使用する方向を示すためにマークされているとよい(例えば、吸引コンポーネントの転写ステッカーが上を向いている、又はベースユニット上にマークを並べて配置する等)。
図12に示されるベースユニット120には、
図1A~
図1Cに示されるベースユニット20について上述した種類の機能が与えられ、複数の異なる受容ゾーンにその機能が与えられ得る。したがって、複数の受容ゾーンを有するベースユニット120は、対応する複数の誘導コイル及び作動センサを備え得る。
【0049】
以上、吸引コンポーネントとベースユニットとを備える蒸気供給システムであって、吸引コンポーネントが蓄熱体及び蒸気前駆体材料を備え、ベースユニットが、吸引コンポーネントを受け入れる受容ゾーンと、吸引コンポーネントが受容ゾーン内に配置されるときに吸引コンポーネントにおける蓄熱体を加熱するためのエネルギー源であって、吸引コンポーネントが受容ゾーンから取り出されるときに、熱が、加熱された蓄熱体から蒸気前駆体材料に伝えられ、蒸気前駆体材料の少なくとも一部を気化して使用者による吸引のための蒸気を形成するようにする、エネルギー源とを備える、蒸気供給システムについて説明した。
【0050】
また、ベースユニットと吸引コンポーネントとを備える蒸気供給システムで使用するためのベースユニットも記載されており、このベースユニットは、吸引コンポーネントを受け入れるための受容ゾーンと、吸引コンポーネントが受容ゾーン内に配置されるときに吸引コンポーネントにおける蓄熱体を加熱するためのエネルギー源であって、吸引コンポーネントが受容ゾーンから取り出されるときに、加熱された蓄熱体からの熱が使用されて、蒸気前駆体材料の一部を気化して使用者による吸引のための蒸気を形成するようにする、エネルギー源とを備える。
【0051】
さらに、吸引コンポーネントとベースユニットとを備える蒸気供給システムで使用するための吸引コンポーネントも記載されており、この吸引コンポーネントは、吸引コンポーネントがベースユニットの受容ゾーンに受け入れられたときにベースユニット内のエネルギー源によって加熱されるよう構成された蓄熱体を備えており、吸引コンポーネントが受容ゾーンから取り出されるときに、加熱された蓄熱体からの熱が使用されて、蒸気前駆体材料の一部を気化して使用者による吸引のための蒸気を形成するようになっている。
【0052】
上述の例示的な実施形態は、ベースユニットが電磁誘導によって吸引コンポーネント内の蓄熱体を加熱するように構成されるという手法に焦点を合わせてきた。しかしながら、ベースユニットから蓄熱体にエネルギーを伝達するための他の技術を使用することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、ベースユニットは実際にホットプレート/ヒータを備えるとよく、吸引コンポーネント内の蓄熱体は、吸引コンポーネントがベースユニットの受容ゾーン内に配置されるときに蓄熱体が熱伝導により加熱されるように、蓄熱体がホットプレート/ヒータと接して或いは近づいて配置されるよう構成されるとよい。他の例示的な手法は、吸引コンポーネントがベースユニットに配置されるときの蓄熱体の光学的加熱という手法を含み得る。
【0053】
さらに、いくつかの特定の蓄熱体と蒸気前駆体材料の構成について例として説明してきたが、他の構成が使用されてもよいことは理解されよう。例えば、金属シートの形態で蓄熱体を形成するのではなく、蓄熱体は、ブロック形状又はロッド形状を有するものとすることもでき、そして固体又は多孔性でありものとすることができる(例えば、金属メッシュ、発泡繊維又は金属粒子のアレイを含むもの等)。さらに、蓄熱体は金属である必要はなく、例えば、誘導加熱を使用しない実施形態では、導電性セラミック又は非導電性材料を含むものであってもよい。同様に、蒸気前駆体材料は、様々な形態の液体、固体、ゲル、ペースト又は発泡体を採用することができる。
【0054】
また、ベースユニットは、いくつかの実施形態のために追加の機能を備えることができることも理解されよう。例えば、いくつかの場合において、ベースユニットは、例えば、サーモパイルにより蓄熱体からの赤外線放射を検出することに基づいて、又は熱電対や他の温度センサを用いて、蓄熱体の温度を測定する手段を組み込んでもよい。この場合、ベースユニットは、適切な温度に到達するまで、吸引コンポーネントの蓄熱体へのエネルギーの移動をもたらすように構成され得る。いくつかの実施形態では、吸引コンポーネントには、例えばRFIDタグの形で、ベースユニットが読み取るように構成された識別子が設けられるとよい。そのような場合、ベースユニットは、例えば、特定の吸引コンポーネント(例えば、所定の供給業者からの吸引コンポーネント)でのみ機能するように構成されてもよいし、又は、異なる吸引コンポーネントで使用され得る蒸気前駆体材料又は蓄熱体の異なる特性を考慮するよう、吸引コンポーネントの同一性に応じて異なるタイプの吸引コンポーネントに対して異なる動作をするように構成されてもよい。
【0055】
さらに、いくつかの例では、ベースユニットは、サセプタがベースユニットに挿入されるときに、サセプタのサイズ又は表面色又は電磁特性等の吸引コンポーネントの特性を検出し、この検出に基づいて、異なる量のエネルギーを蓄熱体に提供するように構成されてもよい。例えば、液体蒸気前駆体材料に基づく吸引コンポーネントは、固体蒸気前駆体材料に基づく吸引コンポーネントよりも少ない熱しか必要としないため、固体蒸気前駆体材料に基づく吸引コンポーネントはより大きな蓄熱体を有する。ベースユニットは、(例えば、従来の金属検出技術を使用して)蓄熱体のサイズを検出し、誘導加熱コイルを使用して適切な量のエネルギーを提供するように構成され得る。
【0056】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示では例示によって、特許請求された(少なくとも1つの)発明を実施することができる様々な実施形態を示す。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうち代表的な例のものにすぎず、すべての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求された(少なくとも1つの)発明の理解と教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、或いは特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、修正を施すことができることを理解されよう。様々な実施形態が、本明細書で特に説明されたもの以外の、開示された要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備えてもよく、それらのみから構成されてもよく、又は実質的にそれらから構成されてもよく、したがって、特許請求の範囲に明記されている以外の組合せで従属項の特徴を独立項の特徴事項と組み合わせてもよいことは理解されよう。本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含み得る。
[発明の項目]
[項目1]
吸引コンポーネントとベースユニットとを備える蒸気供給システムであって、
前記吸引コンポーネントが蓄熱体を備え、
前記ベースユニットが、
前記吸引コンポーネントを受け入れるための受容ゾーンと、
前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーン内に配置されるときに前記吸引コンポーネントにおける前記蓄熱体を加熱するためのエネルギー源であって、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーンから取り出されるときに、加熱された前記蓄熱体からの熱が用いられて、蒸気前駆体材料の少なくとも一部を気化して使用者による吸引のための蒸気を形成するようになっている、エネルギー源と
を備える、蒸気供給システム。
[項目2]
前記ベースユニットは、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーンから取り出されるべきときを判断するためのセンサをさらに備え、前記蓄熱体を加熱するための前記エネルギー源は、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーンから取り出されるべきであることを前記センサが判断することに応答して前記蓄熱体を加熱するように構成されている、項目1に記載の蒸気供給システム。
[項目3]
前記センサは、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーン内を動き始めるときを検出するための運動センサを備える、項目2に記載の蒸気供給システム。
[項目4]
前記センサは、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーン内にある場合に使用者が前記吸引コンポーネントに接近するときを検出するための近接センサを備える、項目2に記載の蒸気供給システム。
[項目5]
前記センサは、使用者が動作させるスイッチを備える、項目2に記載の蒸気供給システム。
[項目6]
前記蓄熱体は電磁サセプタを備え、前記蓄熱体を加熱するための前記エネルギー源は電磁誘導コイルを備える、項目1~5のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
[項目7]
前記蓄熱体を加熱するための前記エネルギー源は、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーン内に配置されるときに熱を前記蓄熱体に熱伝導するよう構成されたヒータを備える、項目1~5のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
[項目8]
前記蓄熱体は、金属ブロック、金属ロッド、金属シート、金属メッシュ、金属発泡体、金属コイル、金属繊維、金属粒子のアレイ及びセラミックのうちの少なくとも1つを備える、項目1~7のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
[項目9]
前記蒸気前駆体材料は、液体、固体、ゲル、ペースト及び発泡体のうちの少なくとも1つを備える、項目1~8のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
[項目10]
前記蒸気前駆体材料は、吸収性材料に蓄えられた液体を備える、項目9に記載の蒸気供給システム。
[項目11]
前記蒸気前駆体材料はリザーバ内の液体を備え、前記吸引コンポーネントは、前記リザーバから前記蓄熱体へと液体を運ぶためのウィッキング要素をさらに備える、項目9又は10に記載の蒸気供給システム。
[項目12]
前記ウィッキング要素は、繊維材料、多孔性セラミック材料及び多孔性金属材料のうちの少なくとも1つを備える、項目11に記載の蒸気供給システム。
[項目13]
前記吸引コンポーネントは、前記蓄熱体により加熱される前記蒸気前駆体材料に加えて、タバコの一部分を備える、項目1~12のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
[項目14]
前記タバコの一部分は、使用中に前記蓄熱体によって加熱もされるように配置されている、項目13に記載の蒸気供給システム。
[項目15]
前記吸引コンポーネントは、使用者により吸引される蒸気に加香するための香味料の供給源をさらに備える、項目1~14のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
[項目16]
前記香味料の供給源は、選択的に前記蒸気に加香するよう使用者により選択的に開けられ得る少なくとも1つの封止された香料カプセルを備える、項目15に記載の蒸気供給システム。
[項目17]
前記蓄熱体は、使用者が使用中に前記吸引コンポーネントを吸うと空気が前記吸引コンポーネントの空気入口から引き込まれ、前記蒸気前駆体材料を通過する前に加熱するための前記蓄熱体を通過するように、前記空気入口と前記蒸気前駆体材料との間に配置されている、項目1~16のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
[項目18]
前記ベースユニットは、複数の前記吸引コンポーネントを受け入れるための複数の受容ゾーンを備える、項目1~17のいずれか一項に記載の蒸気供給システム。
[項目19]
項目1~18のいずれか一項に記載の蒸気供給システムにおけるベースユニット。
[項目20]
項目1~18のいずれか一項に記載の蒸気供給システムにおける吸引コンポーネント。
[項目21]
吸引コンポーネント手段とベースユニット手段とを備える蒸気供給システムであって、
前記吸引コンポーネント手段が蓄熱体手段を備え、
前記ベースユニット手段が、
前記吸引コンポーネント手段を受け入れるための受容ゾーン手段と、
前記吸引コンポーネント手段が前記受容ゾーン手段内に配置されるときに前記吸引コンポーネント手段における前記蓄熱体手段を加熱するためのエネルギー源手段であって、前記吸引コンポーネント手段が前記受容ゾーン手段から取り出されるときに、加熱された前記蓄熱体手段からの熱が用いられて、蒸気前駆体材料の少なくとも一部を気化して使用者による吸引のための蒸気を形成するようになっている、エネルギー源手段と
を備える、蒸気供給システム。
[項目22]
吸引コンポーネントとベースユニットとを具備する蒸気供給システムであって、前記吸引コンポーネントが蓄熱体を備え、前記ベースユニットが、前記吸引コンポーネントを受け入れるための受容ゾーンと、前記吸引コンポーネントにおける前記蓄熱体を加熱するためのエネルギー源とを備える前記蒸気供給システムにおいて蒸気を生成する方法であって、
前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーン内に配置されるときに前記蓄熱体を加熱するためにエネルギー源を用いることと、前記吸引コンポーネントを前記受容ゾーンから取り出すことと、前記吸引コンポーネントが前記受容ゾーンから取り出された後に、前記蓄熱体からの熱を用いて、蒸気前駆体材料を加熱して使用者による吸引のための蒸気を形成することとを含む、方法。