(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】リレーのジャック盤
(51)【国際特許分類】
H01R 9/00 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
H01R9/00 A
(21)【出願番号】P 2016075541
(22)【出願日】2016-04-05
【審査請求日】2019-02-28
【審判番号】
【審判請求日】2020-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130476
【氏名又は名称】原田 昭穂
(72)【発明者】
【氏名】岩田 康伸
(72)【発明者】
【氏名】漆山 望
(72)【発明者】
【氏名】重岡 雅儀
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】中村 大輔
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-27246(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0187083(US,A1)
【文献】特開平11-111377(JP,A)
【文献】実開昭60-111321(JP,U)
【文献】特開2000-208176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台板に配線端子台が取り付けられるリレーのジャック盤において、
前記配線端子台は
、形状の異なる複数の端子台ユニットから前記台板
の使用する端子の配置に適合する前記端子台ユニットが選択されて組み合わされ、
前記配線端子台として使用しない部分には、蓋ユニットのバリエーション群のなかから前記台板
の使用しない端子の配置に適合する前記蓋ユニットが選択されて取り付けられる、リレーのジャック盤。
【請求項2】
請求項1に記載のリレーのジャック盤であって、前記端子台ユニット及び前記蓋ユニットは、前記台板に対して着脱自在に取り付けられる、リレーのジャック盤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリレーのジャック盤であって、前記端子台ユニットは、予め電線を配線した状態で前記台板に後付けで取り付けられる、リレーのジャック盤。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリレーのジャック盤であって、前記端子台ユニットは、電線配線口を有し、電線を該電線配線口に着脱自在に配線させる、リレーのジャック盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレーのジャック盤に係り、特に、台板に電線を接続する配線端子の差込み口である配線端子台が取り付けられるリレーのジャック盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リレーのジャック盤は、装置自体を配電盤に設置した状態でリレーのジャック盤に備えられた配線端子に電線を半田付けにより取り付けていた。この半田付けによる配線は配線作業自体に多くの時間を要する。また、半田付けによる配線の品質は、作業者の技術に依存するため、半田付けにより配線不良を起こす虞がある。さらに、この配線作業は現場に設置された配電盤に向かって行うため作業性が悪い。
【0003】
図7に、従来の半田付け方式による
リレーのジャック盤20の実施例を側面図により示す。また、
図8に、
図7の
リレーのジャック盤20の実施例を正面図により示す。
【0004】
図7及び
図8に示すように、
リレーのジャック盤20は、台板2の一方に止めねじ18、ナット17、座金19、接触片16aが取り付けられる。そして、この接触片16aには電線が半田付けにより取り付けられる。また、台板2の他方には、例えばリレー10などの端子が接続される接触片(図示せず)が設けられ、案内管6によりリレー10(
図1参照)と接続される。
【0005】
この半田付けによる配線作業を改善するために「ネジレス端子配線方式」が提案されている。このネジレス端子配線方式は、特許文献1に示すように、バネの復元力により配線された電線を端子台装置に固定する方式であり、配線時には電線配線口に電線を押し込むことで配線が完了する。そして、配線を外す際にはレバーを押し込んでバネを弾性変形させて電線を外すことができる。
【0006】
特許文献1には、複数本の電線が端子台装置を介して接続された回路基板を有する機器を交換する場合に、各電線を接続しなおす必要がなく機器を容易に交換できる端子台装置が開示されている。この端子台装置は、機器の回路基板に半田付けにより固定する端子台ベースを備えている。また、端子台ベースには複数本の電線を接続する端子台本体が脱着可能に取り付けられている。そして、取付用ねじのナットへの螺合締付けにより端子台本体を端子台ベースに取り付けると、ベース端子のスプリング端子接続部とスプリング端子のベース端子接続部とが接続することが記載されている。
【0007】
このネジレス端子配線方式の採用により、配線作業時間自体の短縮、配線不良件数の削減が達成された。特に、現場で配電盤に向かって行う配線作業時間が激減したことで作業性が向上した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ジャック端子装置による配線に関し、ネジレス端子配線方式の採用により従来の半田付け方式の問題は解消される。しかし、ジャック端子装置に取り付けられる接触片は、設計により多様な配置が発生する。また、配線端子台を使用しない接触片が生じるため、それらの接触片には保護用の蓋をする必要がある。
【0010】
現状では、これらの接触片の多様な配置、及び配線端子台を使用しない接触片に対して個別に配線端子台及び蓋を製作して対応している。そのため、個別製作により設計及び製作に時間とコストがかかるという問題がある。
【0011】
本願の目的は、かかる課題を解決し、接触片の多様な配置に対して効率よく自在に対応可能な配線端子台を有するリレーのジャック盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るジャック盤は、台板に配線端子台が取り付けられるリレーのジャック盤において、配線端子台は、形状の異なる複数の端子台ユニットから台板の使用する端子の配置に適合する端子台ユニットが選択されて組み合わされ、配線端子台として使用しない部分には、蓋ユニットのバリエーション群のなかから台板の使用しない端子の配置に適合する蓋ユニットが選択されて取り付けられることを特徴とする。
【0013】
上記構成により、配線端子台が端子台ユニットとして標準化される。これにより、リレーのジャック盤の取り付けを行う作業者は、端子台ユニットのバリエーションのなかから台板の端子の配置に適合する最適な端子台ユニットを選択することができる。
【0014】
また、端子台ユニットの各バリエーションは、予め作り置きしておくことができる。これにより、端子台の設計及び製作に時間をかけずに配線作業を効率的に行うことができる。また、個別に設計及び製作をする必要がないため端子台ユニットの製作コストを削減できる。
【0015】
また、リレーのジャック盤は、端子台ユニットを台板に実装しない部分に取り付ける蓋ユニットが含まれることが好ましい。これにより、配線端子台として使用しない接触片に対する蓋についても標準化され、端子台ユニットのバリエーションとして活用される。従って、ジャック端子装置の取り付けを行う作業者は、端子台ユニットと蓋ユニットから最適な組み合わせを選択することができる。
【0016】
また、リレーのジャック盤は、端子台ユニット及び蓋ユニットが台板に対して着脱自在に取り付けられることが好ましい。これにより、各端子台ユニットを個別に交換することができ、メンテナンス時や配線変更時などの作業が容易になり省力化が図れる。
【0017】
また、リレーのジャック盤は、端子台ユニットに予め電線を配線した状態で台板に後付けで取り付けられることが好ましい。これにより、電線が配線された状態の端子台ユニットを台板に取り付けることで配線作業を省力化、簡素化することができる。また、既設の台板を簡易に交換することができる。
【0018】
さらに、リレーのジャック盤は、端子台ユニットに電線配線口を有し、電線をこの電線配線口に着脱自在に配線させることが好ましい。これにより、それぞれの電線を個別に交換することができ、メンテナンス時や配線変更時などの作業が容易になり省力化が図れる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明に係るリレーのジャック盤によれば、端子台ユニットの標準的なバリエーションを、予め作り置きしておくことができ、形状の異なる複数の端子台ユニットから台板の端子の配置に適合する端子台ユニットを選択して組合せることができる。
【0020】
これにより、接触片の多様な配置に対して効率よく自在に対応可能な配線端子台を有することができる。
【0021】
さらに、端子台の設計及び製作に時間をかけずに配線作業を効率的に行うことができ、個別に設計及び製作をする必要がないため、端子台ユニットの製作コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る
リレーのジャック盤の一つの実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【
図3】
図2の
リレーのジャック盤をA-A方向から見た正面図である。
【
図4】
図2の
リレーのジャック盤をB-B方向から見た背面図である。
【
図5】
リレーのジャック盤に取り付く端子台ユニット及び蓋ユニットのバリエーションの実施例を示す説明図である。
【
図6】
リレーのジャック盤に取り付く端子台ユニット及び蓋ユニットの組み合わせの実施例を示す説明図である。
【
図7】従来の半田付け方式による
リレーのジャック盤を示す側面図である。図である。
【
図8】
図7の
リレーのジャック盤をC-C方向から見た正面図である
。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(
リレーのジャック盤の構成)
以下に、図面を用いて本発明に係るジャック端子装置1につき、詳細に説明する。
図1に、本発明に係る
リレーのジャック盤1の一つの実施形態の概略構成を斜視図で示す。また、この
リレーのジャック盤1について側面図を
図2に示し、正面図を
図3に示し、背面図を
図4にそれぞれ示す。
【0024】
図1に示すように、本実施形態における
リレーのジャック盤1は、リレー10に接続される場合を示すが、リレー10に限らず、様々な機器の配線コネクタとして用いられる。
図2に示すジャック端子装置1の側面図において、台板2に対して配線端子台3が取り付く側を表側とし、この表側を
図3にA-A方向から見た正面図として示す。
【0025】
本実施形態のリレーのジャック盤1は、台板2に配線端子台3として端子台ユニット4a,4bが接続される。すなわち、配線端子台3は、形状の異なる端子台ユニット4のバリエーション群4a~4fのなかから台板2の端子8の配置に適合する端子台ユニット4a,4bが選択されて組み合わされる。ここで、端子台ユニット4aは、例えばリレー10の各接点を駆動させる端子8である。また、端子台ユニット4bは、リレー10のコイルを駆動させるための端子8である。
【0026】
また、リレーのジャック盤1には配線端子台3として使用しない部分に取り付ける蓋ユニット5が取り付けられる。すなわち、配線端子台3は、形状の異なる蓋ユニット5のバリエーション群5a,5c~5fのなかから台板2の端子8の配置に適合する蓋ユニット5が選択されて組み合わされる。なお、端子台ユニット4のバリエーション群4a~4f、及び蓋ユニット5のバリエーション群5a,5c~5fは、一つの実施例であり、これらのバリエーションには限らない。
【0027】
リレーのジャック盤1の端子台ユニット4及び蓋ユニット5は、それぞれ台板2に対して着脱自在に取り付けられる。
図1中に、一つの端子台ユニット4の端子8を取り出して詳細を示す。この端子8には、電線9が挿入されてロックされる電線挿入口11、電線9のロックが解除されるロック解除レバー12、及び検査用のチェックピン(図示せず。)が挿入されるチェックピン挿入口13が設けられる。端子8に設けられる「ネジレス端子配線方式」は公知の技術であり、特許文献1にその詳細が開示されている。この「ネジレス端子配線方式」は、バネの復元力により配線された電線9を端子8に固定する方式であり、配線時には電線挿入口11に電線9を押し込むことで配線が完了する。そして、電線9を外す際にはロック解除レバー12を押し込んでバネを弾性変形させて電線9を外すことができる。本発明では、この技術を
リレーのジャック盤1の端子台ユニット4だけではなく蓋ユニット5にも適用し、汎用性の高い
リレーのジャック盤1を実現している。
【0028】
また、
リレーのジャック盤1には、止めねじ18が設けられ、配線端子台3が台板2に固定される。
図2に示すように、この止めねじ18には一組のナット17、座金19などが備えられている。さらに、
図3に示すように、配線端子台3は、端子台引掛け部14を端子台引掛け孔15に挿入することで台板2に着脱自在に取り付けられる。
【0029】
一方、
図2に示す
リレーのジャック盤1の側面図において、例えばリレー10などの機器に接続する側を裏側とし、この裏側を
図4にB-B方向から見た背面図として示す。この
リレーのジャック盤1の裏面には、例えばリレー10などの機器に設けられる端子8と接続する接触片16bが設けられる。また、例えばリレー10などの機器に設けられる案内溝7(
図1参照)と結合する案内管6が設けられる。なお、接触片16bは「接触子」と称される場合もある。
【0030】
リレーのジャック盤1は、端子台ユニット4が予め電線9を配線した状態で台板2に後付けで取り付けられる。すなわち、端子台ユニット4のバリエーション群4a~4f、及び蓋ユニット5のバリエーション群5a,5c~5fのうちから適切な端子台ユニット4及び蓋ユニット5が選択されて台板2に取り付けられる。この配線作業は、端子台ユニット4及び蓋ユニット5を台板2に取り付ける前に、その端子台ユニット4の端子8に予め所定の電線9を配線しておく。このように、端子台ユニット4に電線9を配線した状態で台板2に取り付けることで配線作業を省力化、簡素化することができる。また、既設の台板2を簡易に交換することができる。
【0031】
(端子台ユニットのバリエーション)
図5に、
リレーのジャック盤1に取り付く配線端子台3のバリエーションである端子台ユニット4及び蓋ユニット5の実施例を示す。これらの端子台ユニット4及び蓋ユニット5は、台板2に対してそれぞれのユニットが着脱自在に取り付けられる。
【0032】
まず、端子台ユニット4のバリエーションの実施例について説明する。端子台ユニット4aは、6個の端子8が接続される基本的な配線端子台3であり、例えばリレー10の接点の駆動に用いられ、通称「12ピン」と称される。また、端子台ユニット4bは、2個の端子8が接続される基本的な配線端子台3であり、例えばリレー10のコイルを駆動させるための端子8に用いられ、通称「4ピン」と称される。また、端子台ユニット4c,4d,4e,4fは、それぞれ、5個、4個、3個、2個の端子8が接続される端子台ユニット4aのバリエーションである。
【0033】
次に、蓋ユニット5のバリエーションの実施例について説明する。蓋ユニット5aは、6個の端子8が接続される端子台ユニット4aに対応して蓋が設けられる配線端子台3のバリエーションである。また、蓋ユニット5c,5d,5e,5fは、それぞれ、端子台ユニット4c,4d,4e,4fに対応して蓋が設けられる蓋ユニット5aのバリエーションである。
【0034】
このように、リレーのジャック盤1に用いられる配線端子台3は、使用する端子8に用いる端子台ユニット4と、使用しない端子8に用いる蓋ユニット5とを組み合わせることで標準化することが可能となる。なお、これらの端子台ユニット4及び蓋ユニット5は、上述した端子台ユニット4a~4f、及び蓋ユニット5a
,5c~5fに限らずリレーのジャック盤1に用いられる端子台ユニット4、及び蓋ユニット5であればすべて対象になる。さらに、配線端子台3の配置は、
図5に示す以外の配置、例えば、台板2に対して縦方向の列ではなく横方向の列であっても良い。そして、これらの配線端子台3の配置に適応した端子台ユニット4及び蓋ユニット5のバリエーションが設計されても良い。
【0035】
図6に、
図5の端子台ユニット4及び蓋ユニット5のバリエーションの実施例に基づき、リレーのジャック盤1a,1
bに取り付く端子台ユニット4及び蓋ユニット5の組み合わせの実施例を示す。
【0036】
図6(a)には、6個の端子8が接続される端子台ユニット4aが3台選択され、2個の端子8が接続される端子台ユニット4bが1台選択されたリレーのジャック盤1aを示す。また、
図6(b)には、4個の端子8が接続される端子台ユニット4dが2台選択され、2個の端子8が接続される4bが1台選択されたリレーのジャック盤1bを示す。このリレーのジャック盤1bには、さらに6個の端子8が接続される端子台ユニット4aに対応して蓋が設けられる蓋ユニット5a、及び2個の端子8が接続される端子台ユニット4fに対応して蓋が設けられる蓋ユニット5fが2台選択される
。
【0037】
このように、端子台ユニット4及び蓋ユニット5は、台板2の端子8の配置に適合する端子台ユニット4及び蓋ユニット5のバリエーションのなかから選択されて組み合わされて使用される。
【0038】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさ、及び配置関係については、本発明が理解、実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【符号の説明】
【0039】
1,1a,1b、20 リレーのジャック盤、2 台板、3 配線端子台、4,4a,4b,4c,4d,4e,4f 端子台ユニット、5,5a,5c,5d,5e,5f 蓋ユニット、6 案内管、7 案内溝、8 端子、9 電線、10 リレー、11 電線配線口、12 ロック解除レバー、13 チェックピン挿入口、14 端子台引掛け部、15 端子台引掛け孔、16a,16b 接触片(又は接触子)、17 ナット、18 止めねじ、19 座金。