IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 台湾東電化股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7040896カメラモジュールおよびそれを制御する方法
<>
  • 特許-カメラモジュールおよびそれを制御する方法 図1
  • 特許-カメラモジュールおよびそれを制御する方法 図2A
  • 特許-カメラモジュールおよびそれを制御する方法 図2B
  • 特許-カメラモジュールおよびそれを制御する方法 図3
  • 特許-カメラモジュールおよびそれを制御する方法 図4
  • 特許-カメラモジュールおよびそれを制御する方法 図5
  • 特許-カメラモジュールおよびそれを制御する方法 図6
  • 特許-カメラモジュールおよびそれを制御する方法 図7
  • 特許-カメラモジュールおよびそれを制御する方法 図8
  • 特許-カメラモジュールおよびそれを制御する方法 図9
  • 特許-カメラモジュールおよびそれを制御する方法 図10
  • 特許-カメラモジュールおよびそれを制御する方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】カメラモジュールおよびそれを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20220315BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20220315BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20220315BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20220315BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/04 E
G02B7/08 A
G03B30/00
H04N5/225 700
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017064647
(22)【出願日】2017-03-29
(65)【公開番号】P2017215575
(43)【公開日】2017-12-07
【審査請求日】2019-10-07
(31)【優先権主張番号】62/316,845
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】106105425
(32)【優先日】2017-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】505259022
【氏名又は名称】台湾東電化股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】胡 朝彰
(72)【発明者】
【氏名】范 振賢
(72)【発明者】
【氏名】▲せん▼ 益良
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103576414(CN,A)
【文献】特開2002-207148(JP,A)
【文献】特開2007-058075(JP,A)
【文献】特開平11-337996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/04
G02B 7/08
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースの上に配置されており、光学レンズを保持するように構成されていると共に前記ベースに接続するホルダーと、
イメージセンサと、
前記ベースの下に配置されており、その上に前記イメージセンサが配置される底部と、
形状記憶合金を含むと共に、前記底部および前記ベースに接続する第1のバイアス要素と、
前記第1のバイアス要素と前記底部との接続位置および前記第1のバイアス要素と前記ベースとの接続位置より上に配置されるガイド部材と、を含み、
前記第1のバイアス要素が、前記ガイド部材を経由して前記底部と前記ベースとを接続し、前記底部および前記イメージセンサを前記ベースに対して移動させる、カメラモジュール。
【請求項2】
前記底部および前記イメージセンサを前記ベースに対して直線移動させる複数の第1のバイアス要素をさらに含む請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記ベースが第1の中心軸を有し、前記底部が第2の中心軸を有しており、前記第1のバイアス要素が、前記底部および前記イメージセンサを前記ベースに対して移動させ、これにより前記第2の中心軸が前記第1の中心軸に対して角変位を有するようになる、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記第1のバイアス要素が前記ベースと前記底部との間に位置する、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記底部および前記ベースに接続する第1の弾性要素をさらに含む請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記第1の弾性要素が、前記光学レンズの光学軸に実質的に垂直となっており、かつ外側部、内側部、および中間部を備えており、このうち前記外側部および前記内側部は前記ベースおよび前記底部にそれぞれ固定されており、前記中間部は前記外側部と前記内側部とを連結する、請求項5に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
記ベースは、前記ガイド部材がその中に配置される溝を備えており、
前記第1のバイアス要素は、前記ガイド部材の周囲に延在し、かつU字型構造を有している、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項8】
形状記憶合金を含むと共に、前記ホルダーおよび前記ベースに接続する第2のバイアス要素をさらに含み、
前記第2のバイアス要素は、前記ホルダーおよび前記光学レンズを前記ベースに対して移動させる、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項9】
インサート成形または3D成形回路部品(3D molded interconnect device)技術により前記ベース上に形成された導体をさらに含み、
前記導体は前記第2のバイアス要素に電気的に接続される、請求項8に記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記第2のバイアス要素が第1の部分およびU字型の第2の部分を有し、前記第1の部分は、前記ベースの第1の中心軸に実質的に平行であると共に、前記第2の部分に連結する、請求項に記載のカメラモジュール。
【請求項11】
前記第2のバイアス要素が、前記第1の中心軸に実質的に垂直な第3の部分をさらに有し、かつ前記第2の部分が前記第1の部分と前記第3の部分とを連結し、このうち、前記第2の部分および前記第3の部分は前記第1の部分の対向する側(opposite sides)に位置する、請求項10に記載のカメラモジュール。
【請求項12】
第2の弾性要素をさらに含み、かつ前記ベースが台部および少なくとも1つの突出部をさらに備えており、
前記突出部は、前記台部から前記ホルダーの方へ突出しており、かつ前記第2の弾性要素が前記突出部と前記ホルダーとを接続する、請求項に記載のカメラモジュール。
【請求項13】
請求項1に記載の前記カメラモジュールを制御する方法であって、前記カメラモジュールが、前記ベースと前記底部との間に配置された複数の第1のバイアス要素をさらに含んでおり、前記方法が、
複数の駆動信号を前記第1のバイアス要素にそれぞれ印加して前記底部を移動させ、これにより前記底部の第2の中心軸が前記ベースの第1の中心軸に対して角変位を持つようにする工程、
を含む方法。
【請求項14】
請求項8に記載の前記カメラモジュールを制御する方法であって、前記カメラモジュールが、前記ベースの異なる側に配置された複数の第2のバイアス要素をさらに含んでおり、前記方法が、
複数の駆動信号を前記第2のバイアス要素にそれぞれ印加して前記ホルダーを移動させ、これにより前記光学レンズの光学軸が前記ベースの第1の中心軸に対して角変位を持つようにする工程、
を含む方法。
【請求項15】
第1の中心軸を有するベースと、
前記ベースの上に配置されており、光学レンズを保持するように構成されていると共に前記ベースに接続するホルダーと、
前記ベースの下に配置されており、第2の中心軸を有すると共に、前記ベースの下面に固定される底部と、
前記底部上に配置されたイメージセンサと、
第3の中心軸を有すると共に、前記ベースおよび前記底部を取り囲むフレームと、
形状記憶合金を含むと共に、前記底部および前記フレームに接続する第1のバイアス要素と、
前記第1のバイアス要素と前記底部との接続位置および前記第1のバイアス要素と前記フレームとの接続位置より上に配置されるガイド部材と、を含み、
前記第1のバイアス要素が、前記ガイド部材を経由して前記底部と前記フレームとを接続し、前記第1のバイアス要素が変形すると、前記第1のバイアス要素が、前記底部、前記イメージセンサおよび前記ベースを前記フレームに対して共に移動させ、かつ前記第1の中心軸および前記第2の中心軸が前記第3の中心軸に対して角変位を持つようになる、カメラモジュール。
【請求項16】
前記フレームと前記ベースとの間にギャップが形成されている、請求項15に記載のカメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年4月1日に出願された米国仮特許出願第62/316845号および2017年2月18日に出願された台湾特許出願第106105425号の利益を主張し、それらの全体が参照されることにより本明細書に援用される。
【0002】
本出願は概してカメラモジュールに関し、より詳細には、イメージセンサを移動させるのに用いられるバイアス要素(biasing element)を備えたカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
継続的な技術の発展のおかげで、近年の電子機器(例えばタブレットコンピュータおよびスマートフォン)は通常、写真撮影または動画記録を補助することのできるレンズモジュールを備えている。しかし、使用者が電子機器内のレンズモジュールを振動させてしまうと、画像がぼやけてしまう結果となる。画質を向上するため、耐衝撃性レンズモジュールを設計することがますます重要になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-65140
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の製品の欠点を解決するため、本発明の実施形態は、ベース、ホルダー、イメージセンサ、底部、および第1のバイアス要素(biasing element)を含むカメラモジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来の製品の欠点を解決するため、本発明の実施形態は、ベース、ホルダー、イメージセンサ、底部、および第1のバイアス要素を含むカメラモジュールを提供する。ホルダーは、光学レンズを保持するように構成されていると共に、ベースに接続される。イメージセンサは底部に配置される。第1のバイアス要素は、形状記憶合金を含み、かつ底部およびベースに接続している。このうち、第1のバイアス要素は、底部およびイメージセンサをベースに対して移動させる。
【0007】
いくつかの実施形態において、カメラモジュールは、底部およびイメージセンサをベースに対して直線移動させる複数の第1のバイアス要素をさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、ベースは第1の中心軸を有し、底部は第2の中心軸を有し、第1のバイアス要素が底部およびイメージセンサをベースに対して移動させ、これにより第2の中心軸が第1の中心軸に対して角変位(angular displacement)を有するようになる。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1のバイアス要素は、ベースと底部との間に位置する。
【0010】
いくつかの実施形態において、カメラモジュールは、底部およびベースに接続する第1の弾性部材をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、第1の弾性要素は、光学レンズの光学軸に実質的に垂直となっており、かつ外側部、内側部、および中間部を備える。このうち外側部および内側部はベースおよび底部にそれぞれ固定されており、中間部は、外側部と内側部とを連結する。
【0012】
いくつかの実施形態において、カメラモジュールはガイド部材をさらに含み、ベースは、ガイド部材がその中に設けられる溝を備えている。このうち、第1のバイアス要素は、ガイド部材の周囲に延在し、かつU字型構造を有している。
【0013】
いくつかの実施形態において、カメラモジュールは、形状記憶合金を含むと共に、ホルダーおよびベースに接続する第2のバイアス要素をさらに含む。このうち、第2のバイアス要素は、ホルダーおよび光学レンズをベースに対して移動させる。
【0014】
いくつかの実施形態において、カメラモジュールは、インサート成形または3D成形回路部品(3D molded interconnect device)技術によりベース上に形成された導体をさらに含み、このうち、導体は第2のバイアス要素に電気的に接続される。
【0015】
いくつかの実施形態において、第2のバイアス要素は第1の部分およびU字型の第2の部分を有し、第1の部分は、ベースの第1の中心軸に実質的に平行であると共に、第2の部分に連結する。
【0016】
いくつかの実施形態において、第2のバイアス要素は、第1の中心軸に実質的に垂直な第3の部分をさらに有し、かつ第2の部分が第1の部分と第3の部分とを連結する。このうち、第2の部分および第3の部分は第1の部分の対向する側(opposite sides)に位置する。
【0017】
いくつかの実施形態において、カメラモジュールは、第2の弾性要素をさらに含み、かつベースは台部および少なくとも1つの突出部をさらに備えている。このうち、突出部は、台部からホルダーの方へ突出しており、かつ第2の弾性要素は突出部とホルダーとを接続する。
【0018】
本発明の実施形態は、上記カメラモジュールを制御する方法であって、上記カメラモジュールは、ベースと底部との間に配置された複数の第1のバイアス要素をさらに含んでおり、当該方法が、複数の駆動信号を第1のバイアス要素にそれぞれ印加して底部を移動させ、これにより底部の第2の中心軸がベースの第1の中心軸に対して角変位を持つようにする工程を含む方法を提供する。
【0019】
本発明の実施形態は、上記カメラモジュールを制御する方法であって、上記カメラモジュールは、ベースの異なる側に配置された複数の第2のバイアス要素をさらに含んでおり、当該方法が、複数の駆動信号を第2のバイアス要素にそれぞれ印加してホルダーを移動させ、これにより光学レンズの光学軸がベースの第1の中心軸に対して角変位を持つようにする工程を含む方法を提供する。
【0020】
本発明の別の実施形態は、ベースと、ホルダーと、底部と、イメージセンサと、フレームと、第1のバイアス要素とを含むカメラモジュールを提供する。ベースは第1の中心軸を有し、ホルダーは光学レンズを保持するように構成されていると共に、ベースに接続する。底部は第2の中心軸を有すると共に、ベースの下面に固定される。イメージセンサは底部上に配置され、フレームは第3の中心軸を有すると共に、ベースおよび底部を取り囲む。第1のバイアス要素は、形状記憶合金を含むと共に、底部およびフレームに接続する。第1のバイアス要素が変形すると、第1のバイアス要素は、底部、イメージセンサおよびベースをフレームに対して共に移動させ、かつ第1の中心軸および第1の中心軸が第3の中心軸に対して角変位を有するようになる。
【0021】
いくつかの実施形態において、フレームとベースとの間にはギャップが形成されている。
【発明の効果】
【0022】
カメラモジュールおよびカメラモジュールを制御する方法が提供される。カメラモジュールは、光学レンズを保持するためのホルダーと、ベースと、イメージセンサと、少なくとも1つの第1のバイアス要素とを含む。ホルダーはベース上に配置され、底部はイメージセンサを支えると共に、第1のバイアス要素を介してベースに接続される。第1のバイアス要素の長さの変化が生じると、底部およびイメージセンサは、ベースの第1の中心軸の方向においてベースに対し移動するか、または底部の第2の中心軸が第1の中心軸に対して角変位を持つようになる。よって、底部の姿勢にさまざまな変化を生じさせることにより、光学手振れ補償(optical shaking compensation)が達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
添付の図面を参照にしながら、以下の詳細な説明および実施例を読むことにより、本発明をより十分に理解することができる。
図1図1は、本発明の実施形態によるカメラモジュールの分解図である。
図2A図2Aは、組み立て後の図1におけるカメルモジュールの概略図である(その筐体は省かれている)。
図2B図2Bは、図2Aのカメラモジュールの別の透視概略図である。(その筐体は省かれている)。
図3図3は、図2Bにおける線A-Aの断面図である。
図4図4は、第1の中心軸の方向に沿って直線移動する底部およびイメージセンサの概略図である。
図5図5は、第1の中心軸に対して角変位を有する第2の中心軸の概略図である。
図6図6は、光学軸方向に沿って直線移動するホルダーの概略図である。
図7図7は、第1の中心軸に対して角変位を有する光学軸の概略図である。
図8図8は、本発明の別の実施形態によるカメラモジュールの概略図である。
図9図9は、図8におけるカメラモジュールの底面図である。
図10図10は、図8における線B-Bの断面図である。
図11図11は、回路基板およびイメージセンサに配置された光送受信アセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
カメラモジュールの実施形態の製造と使用について以下詳細に述べる。しかしながら、多種多様な具体的状況において具体化され得る多くの適用可能な発明概念をこれら実施形態が提供するということが、理解されなければならない。述べられる特定の実施形態は単に、実施形態を製造および使用する特定の方式の説明にすぎず、本開示の範囲を限定するものではない。
【0025】
特に別の定義がない限り、本明細書で用いられる全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者に一般に理解されているのと同じ意味を持つ。各用語は、一般に用いられる辞書に定義されているが、特に別の定義がない限り、関連する技術および背景または本開示の文脈に合う意味を持つものであると解釈されなければならなく、理想的な、または過度に型通りの方式で解釈されてはならない、という点が理解される必要がある。
【0026】
図1は、本発明の実施形態によるカメラモジュール1の分解図であり、図2A~2Bは、組み立て後の図1におけるカメラモジュールの概略図であり、その筐体40はが省かれている。カメラモジュール1は、カメラ、タブレットコンピュータ、または携帯電話のような電子機器内に設置されてよく、それは、その中に光学レンズ(図示せず)およびイメージセンサIMが配置されて構成され得る。光学レンズおよびイメージセンサは互いに対して移動可能であり、これによりカメラモジュール1はオートフォーカス(AF)機能および光学式手ぶれ補正(OIS)を備えるようになる。
【0027】
図1および2A~2Bに示されるように、カメラモジュール1は主に、ベース10、底部20、ホルダー30、筐体40、イメージセンサIM、複数の第1の弾性要素S1、複数の第1のバイアス要素W1、複数の第2の弾性要素S2、および複数の第2のバイアス要素W2を含む。底部20は、ベース10の下に配置され、イメージセンサIMを有して構成され得る。ホルダー30は、ベース10上に配置され、光学レンズ(図示せず)を有して構成され得る。イメージセンサIMは、カメラモジュール1外部から光学レンズを通る光を受けるように構成されており、これによりイメージが得られる。ベース10と底部20との間の接続については以下に述べる。ホルダー30とベース10との間の接続については、後述する。
【0028】
ベース10および底部20は第1の中心軸C1および第2の中心軸C2をそれぞれ有する。正常な状態において、第1の中心軸C1は第2の中心軸C2と一致する。第1の弾性要素S1(例えば金属バネ)は、ベース10および底部20に接続し、かつ光学レンズの光学軸Oに実質的に垂直である。具体的には、第1の弾性要素S1の各々は、外側部S11、内側部S12、および中間部S13(図2Bに示される)をそれぞれ備えており、ここで、内側部S12および外側部S11は、ベース10の下面101および底部20の下面201にそれぞれ固定される。中間部S13は、外側部S11および内側部S12と連結しており、これにより底部20がベース10に移動可能に接続されるようになる。
【0029】
第1のバイアス要素W1、例えば形状記憶合金(SMA)を含むワイヤーも、ベース10および底部20に接続され、かつそれらの長さは、外部電源から1つまたはそれ以上の駆動信号(例えば電流)がそれらに印加されることにより変化し得る。例えば、駆動信号が印加されて第1のバイアス要素W1が加熱されると、第1のバイアス要素W1は変形する(例えば、長くなる、または短くなる)。駆動信号の印加が止まると、変形した第1のバイアス要素W1は、それらの元の長さに戻る。換言すると、1つまたはそれ以上の適した駆動信号が印加されることによって、第1のバイアス要素 W1の長さがコントロールされて、底部20の姿勢(posture)を変えることができる。第1のバイアス要素W1は、例えば、チタン-ニッケル(TiNi)合金、チタン-パラジウム(TiPd)合金、チタン-ニッケル-銅(TiNiCu)合金、チタン-ニッケル-パラジウム(TiNiPd)合金、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0030】
図2A~2Bおよび3を参照すると、図3は、図2Bにおける線A-Aの断面図である。図2Aに示されるように、ベース10は実質的に矩形の本体11を有し、4つの溝Rが本体11の上面の4つの異なる側にそれぞれ形成されており、かつ4つのガイド部材G(例えば、円柱のローラー)が溝R内にそれぞれ配置されている。図3に示されるように、第1のバイアス要素W1は、第2の中心軸C2に垂直な方向においてベース10と底部20との間に位置しており、ガイド部材G周囲にそれぞれ設けられ、かつU字型構造を有している。2つの導電ブロックLが第1のバイアス要素W1の各々の両端に電気的に接続しており、かつ導電ブロックLはベース10および底部板20にそれぞれ固定される(例えば、それらは係合手段または接着によりベース10および底部20に固定される)。よって、第1のバイアス要素W1は、ベース10および底部20に接続することができ、外部電源が駆動信号を1つまたは複数の第1のバイアス要素W1に印加して変形させると、底部20の姿勢が調整され得、かつ底部20上に配置されたイメージセンサIMも底部20と共に移動または回転する。
【0031】
複数の導電線(図示せず)がインサート成形または3D成形回路部品(MID)技術によりベース10および底部20上に形成されて、導電ブロックLに電気的に接続することができる、という点に留意すべきである。よって、4つの第1のバイアス要素W1はそれぞれに独立した4つの回路を形成し、これにより駆動信号(例えば電流)が外部電源から導線を介してそれらにそれぞれ供給され得ると共に、第1のバイアス要素W1の長さが変わり底部20の姿勢が調整されて、光学式手ぶれ補正(OIS)が達成され得ることとなる。
【0032】
第1のバイアス要素W1の各々は電気的に独立しており、外部電源に接続するということが理解されなければならない。故に、外部電源により複数の異なる駆動信号が第1のバイアス要素W1にそれぞれ供給され得、第1のバイアス要素W1は、異なるまたは同じ長さの変化を持つようにそれぞれ独立して制御され得るようになる。例えば、第1のバイアス要素W1に駆動信号が印加されると、第1のバイアス要素W1は、異なるまたは同じ長さの変化をもって変形し、これにより第1のバイアス要素W1が、底部20およびイメージセンサIMをベース10の第1の中心軸C1に沿ってベース10に対し直線移動させるか、または底部20の第2の中心軸C2が第1の中心軸 C1に対して角変位を持つように底部20およびイメージセンサIMを移動させることができるようになって、光学式手ぶれ補正が達成され得る。
【0033】
具体的には、図4に示されるように、同じ長さの変化を有するように本体11の4側に配置された第1のバイアス要素W1に駆動信号が印加されると、第1のバイアス要素W1は、底部20およびイメージセンサIMを、第1の中心軸C1および光学軸Oの方向において、ベース10に対して移動させる。異なる長さの変化を有するように第1のバイアス要素W1に駆動信号が印加されると、底部20の第2の中心軸C2は、ベース10の第1の中心軸C1に対して角変位θ1(図5に示される)を有するようになる。言い換えれば、駆動信号を印加すること、および第1のバイアス要素W1の長さの変化を制御することにより、イメージセンサIMが移動するかまたは回転して、カメラモジュール1の振動により生じるずれを補償することができ、これにより画質が向上し得る。
【0034】
さらに、底部20およびベース10は第1の弾性要素S1を介して接続しているため、駆動信号が第1のバイアス要素W1にまだ印加されていないとき、第1の弾性要素S1により、底部20はベース10に対して初期位置に位置し得る。
【0035】
以下に、ベース10とホルダー30間の接続関係について述べる。図1および2を参照されたい。ホルダー30はベース10上に配置され、収容スペース301がホルダー30を貫通しており、これにより光学レンズ(図示せず)をその中に配置することができるようになっている。ベース10は、本体11上に配置される実質的に正方形または矩形構造の台部(stage portion)12、および4つの突出部13をさらに有する。突出部13は台部12の4つの角にそれぞれ配置され、台部12からホルダー30の方へ突出している。ホルダー30は、4つの第1の弾性要素S1(例えば金属バネ)によりベース10の4つの突出部13に接続する。
【0036】
第2のバイアス要素W2(形状記憶合金(SMA)材料を含み得る)もまた、ベース10およびホルダー30に接続する。具体的には、2つの柱状位置決め部材P1およびP2が、ベース10の台部12の各側に配置される。図2Aの下方における第2のバイアス要素W2のように、第2のバイアス要素W2は、位置決め部材P1およびP2に接触すると共に、これらの周囲に延在している。すべての第2のバイアス要素W2は、3つの部分:第1の部分W21、第2の部分W22、および第3の部分W23に分けられ得る。第1の部分W21は第1の中心軸C1に実質的に平行であり、第2の部分W22はU字型構造を有すると共に第1の部分W21に連結している。第3の部分W23は、第1の中心軸C1に実質的に垂直である。このうち、第2の部分W22は第1の部分W21および第3の部分W23と連結し、かつ第2の部分W22および第3の部分W23は第1の部分W21の左側および右側にそれぞれ位置している。第2のバイアス要素W2が位置決め部材P1およびP2の周囲に延在して3つの部分W21、W22、およびW23を形成するため、台部12の各側に配置された第2のバイアス要素W2の長さは増大し得る。よって、第2のバイアス要素W2が変形するとき、より多くの長さの変動量(variation)が生じ得る。さらに、第1の中心軸C1の方向における位置決め部材P1およびP2間の距離のために、第1、第2、および第3の部分W21、W22、およびW23間の短絡が回避され得る。また、図1および3に示されるように、第1のバイアス要素W1および第2のバイアス要素W2は、第1の中心軸C1の方向における異なる位置に位置している。
【0037】
引き続き図2Aを参照すると、インサート成形または3D成形回路部品技術により複数の導体E(例えば導電線)がベース10(ベース10の突出部13)上に形成される。導体Eは第2の弾性要素S2および第2のバイアス要素W2にそれぞれ電気的に接続し、4つの独立した回路を形成する。第1のバイアス要素W1の変形のように、駆動信号(例えば電流)が外部電源から第2のバイアス要素W2に供給され得ると共に、第2のバイアス要素W2の長さが変化してホルダー30の姿勢が調整され得る。第2の弾性要素S2は導電性を有する(例えば金属を含むバネ)ため、第2のバイアス要素W2および導体Eは互いに電気的に接続することができ、よって追加の導線が不要となり、スペースが節約される、という点に留意すべきである。
【0038】
駆動信号が第2のバイアス要素W2に印加されると、第2のバイアス要素W2は変形し、同じまたは異なる長さの変化を有し得るようになる、ということが理解されるべきである。よって、第2のバイアス要素W2は、ホルダー30および光学レンズを光学軸Oの方向においてベース10に対し移動させるか、またはベース10の第1の中心軸C1に対して光学軸Oに角変位を持たせることができ、これにより迅速な光学フォーカスまたは光学式手ぶれ補正(OIS)の機能が達成され得る。図6に示されるように、駆動信号が台部12の4つ側上の第2のバイアス要素W2に印加されたときに、その長さの変化が実質的に同じである場合、第2のバイアス要素W2は、ホルダー30および光学レンズを、光学軸Oの方向において、ベース10に対し移動させることができる。一方、その長さの変化が互いに異なる場合、ホルダー30および光学レンズの光学軸Oは、ベース10の第1の中心軸C1に対して角変位θ2を有し得るようになる(図7に示される)。
【0039】
上述したように、異なる駆動信号を第1のバイアス要素W1および第2のバイアス要素W2に適切に印加することによって、長さの変化量を適度に制御することができ、これにより、(1)底部20およびイメージセンサIMがベース10、ホルダー30および光学レンズに対して移動できるようになる、ならびに(2)ホルダー30および光学レンズがベース10に対して移動できるようになり、よって迅速な光学フォーカスおよび光学式手ぶれ補正が実現される。
【0040】
さらに、別の実施形態では、カメラモジュール1は、1つの第1のバイアス要素W1および1つの第2のバイアス要素W2のみを有し得る。駆動信号が第1のバイアス要素W1に印加されると、第1のバイアス要素W1が変形し、底部20の第2の中心軸C2が、ベース10の第1の中心軸C1に対して角変位θ1だけ角度的に変位する(angularly shifted)ことができるようになり、また駆動信号が第2のバイアス要素W2に印加されると、第2のバイアス要素W2が変形し、光学軸Oが第1の中心軸C1に対して角変位θ2だけ角度的に変位することができるようになる、これによってカメラモジュール1の傾斜角(tilt angle)の補償が達成される。
【0041】
前述の実施形態により、カメラモジュール1を制御する方法が提供される。本方法の重要な1つのステップは、複数の駆動信号を第1のバイアス要素W1にそれぞれ印加して、底部20およびイメージセンサIMを第1の中心軸C1もしくは光学軸Oに沿って移動させるか、または底部20の第2の中心軸C2が第1の中心軸C1に対して角変位θ1を持つように底部20およびイメージセンサIMを移動させることである。さらに、本方法は、複数の駆動信号をそれぞれの第2のバイアス要素W2に印加することを含み、これによりホルダー30および光学レンズが光学軸Oの方向において移動するか、または光学レンズの光学軸Oがベース10の第1の中心軸C1に対して角変位θ2を有するようになる。
【0042】
図8は、本発明の別の実施形態によるカメラモジュール2の概略図である。本実施形態におけるカメラモジュール2と前述の実施形態におけるカメラモジュール1との間の主な違いは、カメラモジュール2のベース10’がベース10とは異なること、およびカメラモジュール2がフレーム50をさらに含んでいることである。このうち 前述の実施形態(図1および2A~2B)に対応する同じ構成要素については、ここでは重ねて詳細に説明しない。
【0043】
図8~10を参照されたい。例えば電子機器のケースに固定されるフレーム50の下面501は、第1の弾性要素S1を介して底部20に接続し、底部20はベース10’の下面101’に固定される。ベース10’および底部20はフレーム50に取り囲まれ、ギャップAPがフレーム50とベース10’との間に形成されている。図10は、図8の線B-Bに沿った断面図であり、第1のバイアス要素W1が、底部20およびフレーム50にそれぞれ固定された導電ブロックLを介し、底部20およびフレーム50に移動可能に接続している。よって、駆動信号が第1のバイアス要素W1に印加されると、ベース10’に固定された底部20(および底部上に配置されたイメージセンサIM)ならびにベース10’上に位置するホルダー30(およびホルダー30に保持された光学レンズ)は、フレーム50の第3の中心軸C3の方向においてフレーム50に対し共に移動するか、または第3の中心軸C3に対して角変位を持つように共に移動し、オートフォーカスまたは光学式手ぶれ補正がなされるようになる。
【0044】
図11は、回路基板FおよびイメージセンサIM上に配置された光送受信アセンブリRCの概略図である。前述の実施形態におけるイメージセンサIMと電子機器内に設けられた回路基板F(例えばフレキシブルプリント回路基板,FPCB)との間で、光送受信アセンブリRCにより光学信号が双方向に送信され得る、という点に留意すべきである。回路基板Fは例えば、ベース10もしくはフレーム50上に設けられるか、または電子機器のケーシングに固定されてよい。光送受信アセンブリRCは、イメージセンサIMおよび回路基板Fにそれぞれ配置された第1の光結合素子RC1および第2の光結合素子RC2を含む。イメージセンサIMにより画像が取得されると、光送受信アセンブリRCは画像情報を光信号の形で回路基板Fに送信することとなり、よって信号送信を達成するために追加の物理的な(physical)導線を設ける必要がなくなるため、スペースがセーブされる。
【0045】
まとめると、カメラモジュールおよびカメラモジュールを制御する方法が提供される。カメラモジュールは、光学レンズを保持するためのホルダーと、ベースと、イメージセンサと、少なくとも1つの第1のバイアス要素とを含む。ホルダーはベース上に配置され、底部はイメージセンサを支えると共に、第1のバイアス要素を介してベースに接続される。第1のバイアス要素の長さの変化が生じると、底部およびイメージセンサは、ベースの第1の中心軸の方向においてベースに対し移動するか、または底部の第2の中心軸が第1の中心軸に対して角変位を持つようになる。よって、底部の姿勢にさまざまな変化を生じさせることにより、光学手振れ補償(optical shaking compensation)が達成され得る。
【0046】
加えて、カメラモジュールは、ベース上に配置されると共に、ベースおよびホルダーに接続する少なくとも1つの第2のバイアス要素をさらに含む。第2のバイアス要素がホルダーをその長さの変化だけ移動させると、ホルダーおよび光学レンズが第1の中心軸に実質的に平行な方向においてベースに対し移動するか、または光学レンズの光学軸が第1の中心軸に対して角変位を有するようになり、これにより光学フォーカスまたは手振れ補償の機能が達成され得る。
【0047】
特許を請求する構成要素を修飾するための特許請求の範囲における順序を示す用語、例えば“第1”、“第2”、“第3”などの使用は、それだけで、1つの特許を請求する構成要素の他に対するいかなる優先度、順位、もしくは順序、または方法の動作が実行される時間的順序をも暗示することはなく、これら用語は、特定の名称を持つ1つの特許を請求する構成要素を、同じ名称を持つ別の構成要素(順序を示す用語の使用は別)と区別すべく単に標識として用いられ、特許を請求する構成要素どうしを区別するものである。
【0048】
本発明に各種変更および変化を加え得るということは、当業者には明らかであろう。基準(standard)および例は単に例示と見なされるよう意図されており、開示された実施形態の真の範囲は以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物により示される。
【符号の説明】
【0049】
1、2…カメラモジュール
10、10’…ベース
101、101’…下面
11…本体
12…台部
13…突出部
20…底部
201…下面
30…ホルダー
301…収容スペース
40…筐体
50…フレーム
501…下面
A-A、B-B…線
AP…ギャップ
C1…第1の中心軸
C2…第2の中心軸
C3…第3の中心軸
E…導体
F…回路基板
G…ガイド部材
IM…イメージセンサ
L…導電ブロック
O…光学軸
P1、P2…位置決め部材
R…溝
RC…光送受信アセンブリ
RC1…第1の光結合素子
RC2…第の光結合素子
S1…第1の弾性要素
S11…外側部
S12…内側部
S13…中間部
S2…第2の弾性要素
W1…第1のバイアス要素
W2…第2のバイアス要素
W21…第1の部分
W22…第2の部分
W23…第3の部分
θ1、θ2…角変位
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11