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特許7040902証明書検証装置、証明書検証方法及び証明書検証プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】証明書検証装置、証明書検証方法及び証明書検証プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 30/244 20220101AFI20220315BHJP
   B42D 25/30 20140101ALI20220315BHJP
【FI】
G06K9/62 610B
B42D25/30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017118945
(22)【出願日】2017-06-16
(65)【公開番号】P2019003504
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】592052416
【氏名又は名称】株式会社 みずほ銀行
(73)【特許権者】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 裕城
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智夫
【審査官】新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-118643(JP,A)
【文献】特開平10-134149(JP,A)
【文献】特開2011-178075(JP,A)
【文献】特開2008-204212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 30/00-30/424
B42D 25/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
証明書の交付地域及び交付期間に関連付けて、証明書に含まれる文字を構成する部分的な形態要素の形状の特徴である登録文字パターンを記録したパターン情報記憶部と、
有効と判定された証明書の交付時期、交付地域に関連付けて、文字パターンを含めた再評価管理レコードを記録する再評価情報記憶部と、
ユーザ端末から、検証対象の証明書の画像を取得する画像取得部と、
前記画像に含まれる文字を認識する文字認識部と、
前記証明書の画像を用いて、使用文字を構成する部分的な形態要素の形状の特徴として使用文字パターンを特定する文字検証部と、
前記画像の文字認識結果に基づいて、前記パターン情報記憶部から、前記証明書の交付地域及び交付時期に関連付けられた登録文字パターンを取得し、前記使用文字パターン及び前記登録文字パターンが一致するか否かを判定して、不一致と判定した場合に前記ユーザ端末に確認画面を出力し、前記確認画面で有効と判定された場合、前記検証対象の証明書の交付地域及び交付時期に関連付けて、前記使用文字パターンを含めた再評価管理レコードを前記再評価情報記憶部に記録し、同じ交付地域に関連付けられた再評価管理レコードのレコード数が、確認判定基準値以上となった場合、注意喚起を出力する判定支援部と、を備える証明書検証装置。
【請求項2】
前記証明書の画像において、複数の検証対象文字を抽出し、
前記検証対象文字毎に文字パターンを特定し、
前記特定した文字パターンの数に基づいて、前記証明書における使用文字パターンを特定することを特徴とする請求項1に記載の証明書検証装置。
【請求項3】
前記証明書の画像において、複数の検証対象文字を抽出し、
前記検証対象文字毎に使用文字パターンを特定し、
前記検証対象文字毎に使用文字パターンと前記登録文字パターンとを比較し、前記比較の結果に基づいて、前記証明書の有効性に関する情報を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の証明書検証装置。
【請求項4】
前記使用文字パターン及び前記登録文字パターンが一致するか否かの判定の結果に基づいて、前記証明書の有効性に関する情報を出力する出力部を更に備えることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の証明書検証装置。
【請求項5】
証明書の交付地域及び交付期間に関連付けて、証明書に含まれる文字を構成する部分的な形態要素の形状の特徴である登録文字パターンを記録したパターン情報記憶部と、
有効と判定された証明書の交付時期、交付地域に関連付けて、文字パターンを含めた再評価管理レコードを記録する再評価情報記憶部と、
ユーザ端末に接続される制御部とを備えた証明書検証装置を用いて、証明書検証を行なうための方法であって、
前記制御部が、
前記ユーザ端末から、検証対象の証明書の画像を取得し、
前記画像に含まれる文字を認識し、
前記証明書の画像を用いて、使用文字を構成する部分的な形態要素の形状の特徴として使用文字パターンを特定し、
前記画像の文字認識結果に基づいて、前記パターン情報記憶部から、前記証明書の交付地域及び交付時期に関連付けられた登録文字パターンを取得し、前記使用文字パターン及び前記登録文字パターンが一致するか否かを判定して、不一致と判定した場合に前記ユーザ端末に確認画面を出力し、前記確認画面で有効と判定された場合、前記検証対象の証明書の交付地域及び交付時期に関連付けて、前記使用文字パターンを含めた再評価管理レコードを前記再評価情報記憶部に記録し、同じ交付地域に関連付けられた再評価管理レコードのレコード数が、確認判定基準値以上となった場合、注意喚起を出力することを特徴とする証明書検証方法。
【請求項6】
証明書の交付地域及び交付期間に関連付けて、証明書に含まれる文字を構成する部分的な形態要素の形状の特徴である登録文字パターンを記録したパターン情報記憶部と、
有効と判定された証明書の交付時期、交付地域に関連付けて、文字パターンを含めた再評価管理レコードを記録する再評価情報記憶部と、
ユーザ端末に接続される制御部とを備えた証明書検証装置を用いて、証明書検証を行なうためのプログラムであって、
前記制御部を、
前記ユーザ端末から、検証対象の証明書の画像を取得する画像取得部、
前記画像に含まれる文字を認識する文字認識部、
前記証明書の画像を用いて、使用文字を構成する部分的な形態要素の形状の特徴として使用文字パターンを特定する文字検証部、
前記画像の文字認識結果に基づいて、前記パターン情報記憶部から、前記証明書の交付地域及び交付時期に関連付けられた登録文字パターンを取得し、前記使用文字パターン及び前記登録文字パターンが一致するか否かを判定して、不一致と判定した場合に前記ユーザ端末に確認画面を出力し、前記確認画面で有効と判定された場合、前記検証対象の証明書の交付地域及び交付時期に関連付けて、前記使用文字パターンを含めた再評価管理レコードを前記再評価情報記憶部に記録し、同じ交付地域に関連付けられた再評価管理レコードのレコード数が、確認判定基準値以上となった場合、注意喚起を出力する判定支援部として機能させることを特徴とする証明書検証プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転免許証等の証明書の真偽の判定を支援するための証明書検証装置、証明書検証方法及び証明書検証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本人確認が必要となる場合、サービス利用者から提示された本人確認資料を確認することがある。この場合、本人確認資料或いはそのコピーの画像データから本人確認資料の真贋判定を行なう技術も検討されている(例えば、特許文献1参照)。この文献に記載された技術では、画像解析部はスキャニングされた本人確認資料或いはそのコピーの画像データにおける文字列や画像のレイアウトに関する解析を行なう。OCRエンジンはその文字列や画像の認識を行なう。真贋判定処理部は、解析結果、認識結果と、本人確認資料に記載された文字や画像のレイアウトに関する真贋判定ロジックテンプレートとを照合して本人確認資料の真贋を判定する。
【0003】
また、紙幣などの紙類に印字された記番号を形成する各文字の文字画像を切り出して、記番号を読み取るための技術も検討されている(例えば、特許文献2参照)。この文献に記載された紙葉類記番号読取システムは、紙葉類画像を利用して紙葉類に付された記番号を読み取る。この場合、紙葉類搬送部によって搬送される紙葉類の紙葉類画像を取得し、紙葉類画像を利用して紙葉類の種類を識別する。紙葉類識別センサ部によって識別された紙葉類の種類に基づいて、記憶部を参照して番号切出条件に基づいて紙葉類画像から記番号各桁の文字画像を切り出し、文字フォント識別情報に基づいて対応するテンプレートデータを利用して各文字画像の文字認識を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-178075号公報
【文献】国際公開第2013/140563号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記各特許文献では、文字画像に基づいて、本人確認資料や紙幣等の媒体の真贋を判定する。しかしながら、特許文献1においては、真贋判定ロジックに基づいて、本人確認資料の印刷を行なう必要がある。また、特許文献2において、紙幣は印刷局において一括して印刷されるが、運転免許証等は複数の地域で印刷され、交付される。この場合には、地域によって、証明書に利用される文字フォントの特徴が異なることがある。そのため、的確に証明書の真偽を判定することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する証明書検証装置は、証明書の交付地域及び交付期間に関連付けて、証明書に含まれる文字の登録文字パターンを記録したパターン情報記憶部と、画像生成部から、検証対象の証明書の画像を取得する画像取得部と、前記画像に含まれる文字を認識する文字認識部と、前記証明書の画像を用いて使用文字パターンを特定する文字検証部と、前記画像の文字認識結果に基づいて、前記パターン情報記憶部から、前記証明書の交付地域及び交付時期に関連付けられた登録文字パターンを取得し、前記使用文字パターン及び前記登録文字パターンが一致するか否かを判定する判定支援部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転免許証等の証明書の真偽について、効率的な判定を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態の証明書検証装置の説明図。
図2】第1の実施形態の記憶部の説明図であって、(a)は辞書記憶部、(b)はパターン情報記憶部、(c)は再評価情報記憶部の説明図。
図3】第1の実施形態の処理手順の説明図。
図4】第1の実施形態の処理手順の説明図。
図5】第2の実施形態の説明図であって、(a)はパターン情報記録部、(b)は処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、図1図4に従って、証明書検証装置、証明書検証方法及び証明書検証プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、証明書としての運転免許証の真偽(有効性)を判定する場合を想定する。ここでは、ネットワークを介して通信を行なうユーザ端末10と検証支援サーバ20とを用いる。
【0010】
ユーザ端末10は、運転免許証を確認する担当者が用いるコンピュータ端末(クライアント端末)である。
このユーザ端末10は、制御部11、入力部12、出力部13、カメラ14を備える。
【0011】
制御部11は、入力部12~カメラ14を制御する処理を実行する。
入力部12は、例えば、キーボードやポインティングデバイスから構成されており、各種情報を入力するための装置である。出力部13は、例えば、ディスプレイ等から構成されており、検証支援サーバ20から取得した各種情報を出力するための装置である。なお、スマートホンやタブレット端末等のユーザ端末10においては、タッチパネルディスプレイを入力部12及び出力部13として機能させるようにしてもよい。
カメラ14は、証明書(本実施形態では、運転免許証)の撮影画像を生成する画像生成手段として機能する。
【0012】
検証支援サーバ20は、証明書の有効性の確認を支援するコンピュータシステム(証明書検証装置)である。この検証支援サーバ20は、制御部21、辞書記憶部22、パターン情報記憶部23、再評価情報記憶部24を備える。
【0013】
制御部21は、制御手段(CPU、RAM、ROM等)を備え、後述する処理(画像取得段階、文字認識段階、文字検証段階、判定段階等の各処理等)を行なう。そのための証明書検証プログラム(アプリケーション)を実行することにより、制御部21は、画像取得部211、文字認識部212、文字検証部213、判定支援部214として機能する。
【0014】
画像取得部211は、カメラ14から撮影画像を取得する処理を実行する。
文字認識部212は、撮影画像に含まれる文字を認識する処理を実行する。
文字検証部213は、文字画像に基づいて、パターンを検証する処理を実行する。
判定支援部214は、証明書の有効性を判定する処理を実行する。この判定支援部214は、検証対象の証明書に含まれるパターンコードの共通性を判定するための共通性判定割合、文字パターンの見直しを提案するための確認判定基準値に関するデータを保持している。更に、この判定支援部214は、証明書の有効性に関する情報を出力する出力部として機能する。
【0015】
図2(a)に示すように、辞書記憶部22には、証明書に含まれる検証対象文字を識別するための辞書管理レコード220が記録される。この辞書管理レコード220は、証明書に用いられる文字の形態に関する特徴が登録された場合に記録される。この辞書管理レコード220には、検証対象文字、形態特徴、パターンコードに関するデータが記録される。
【0016】
検証対象文字データ領域には、検証を行なう文字(テキスト)に関するデータが記録される。
形態特徴データ領域には、検証対象文字の形態に関する特徴に関するデータが記録される。形態における特徴としては、フォント種類や、文字を構成する部分的な形態要素の形状の特徴を用いる。例えば、文字の中に、形態要素(例えば、筆画「点」)が含まれる場合には、他の筆画との距離や配置関係を用いる。また、検証対象文字の縦線部分(例えば、筆画「竪」)の形状(直線や弯曲)や、文字の縦横比率をパターン化して形態特徴として用いる。
【0017】
パターンコードデータ領域には、検証対象文字の形態に関するパターンを特定するための識別子に関するデータが記録される。本実施形態では、複数の検証対象文字に対して、一つの証明書に含まれる可能性がある異なる検証対象文字に対しては、同じパターンコードを付与しておく。
【0018】
図2(b)に示すように、パターン情報記憶部23には、証明書を判定するためのパターン管理レコード230が記録される。このパターン管理レコード230は、証明書に用いられる文字のパターンが登録された場合に記録される。このパターン管理レコード230には、交付期間、交付地域、パターンコード(登録文字パターン)に関するデータが記録される。
【0019】
交付期間データ領域には、証明書が交付された時期(期間)に関するデータが記録される。ここでは、運転免許証が交付された交付時期の範囲を用いる。
交付地域データ領域には、証明書が交付された地域に関するデータが記録される。ここでは、運転免許証を交付した公安委員会の管轄地域を用いる。
【0020】
パターンコードデータ領域には、この交付期間、交付地域において用いられていた文字の形態特徴である登録文字パターンを特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0021】
図2(c)に示すように、再評価情報記憶部24には、登録文字パターンを確認するための再評価管理レコード240が記録される。この再評価管理レコード240は、登録文字パターンに該当しない真正な証明書を検出した場合に記録される。この再評価管理レコード240には、交付時期、交付地域、検証対象文字、パターンコード、代表パターンコードに関するデータが記録される。
【0022】
交付時期データ領域には、登録文字パターンに該当しない真正な証明書が交付された時期に関するデータが記録される。
交付地域データ領域には、この証明書が交付された地域に関するデータが記録される。
【0023】
検証対象文字データ領域には、この証明書に含まれている文字に関するデータが記録される。
パターンコードデータ領域には、この検証対象文字の形態に関するパターンを特定するための識別子に関するデータが記録される。
代表パターンコードデータ領域には、この証明書に含まれる検証対象文字のパターンコードにおいて、共通性判定割合以上のパターンコードに関するデータが記録される。
【0024】
(証明書検証処理)
次に、図3図4を用いて、証明書検証処理の処理手順を説明する。
まず、検証支援サーバ20の制御部21は、証明書画像の取得処理を実行する(ステップS1-1)。具体的には、担当者は、真偽(有効性)を確認したい運転免許証(検証対象の運転免許証)を、カメラ14を用いて撮影する。この場合、制御部21の画像取得部211は、カメラ14から撮影画像を取得する。
【0025】
次に、検証支援サーバ20の制御部21は、証明書画像に含まれる文字の特定処理を実行する(ステップS1-2)。具体的には、制御部21の文字認識部212は、運転免許証の撮影画像に含まれる文字画像領域を特定し、文字画像領域毎に文字認識を行なう。そして、文字認識部212は、パターン認識により、運転免許証に印字された文字を特定する。ここでは、運転免許証項目として、氏名、住所、番号、公安委員会名、有効期限の表示、免許証区分(グリーン、ブルー、ゴールド(優良運転者免許証))等を特定する。
【0026】
次に、検証支援サーバ20の制御部21は、検証対象文字の特定処理を実行する(ステップS1-3)。具体的には、制御部21の文字検証部213は、認識文字群の中で、検証対象文字を特定する。認識文字群に複数の検証対象文字が含まれる場合には、すべての検証対象文字を特定する。本実施形態では、有効期限の表示文字を構成する文字を検証対象文字として特定する。
【0027】
次に、検証支援サーバ20の制御部21は、特定した各検証対象文字について、検証対象文字の使用文字パターンの特定処理を実行する(ステップS1-4)。ここでは、真偽(有効性)を判定する運転免許証に使用されている文字の形態特徴である使用文字パターンを特定する。具体的には、制御部21の文字検証部213は、運転免許証画像から抽出した検証対象文字の文字画像を切り出す。そして、文字検証部213は、辞書記憶部22を用いて、辞書管理レコード220に記録された検証対象文字の形態特徴と、切り出した文字画像とを比較し、形態特徴が最も近いパターンコードを特定する。そして、文字検証部213は、特定したパターンコードをメモリに検証対象文字に関連付けて仮記憶する。
【0028】
図4に示すように、運転免許証500の有効期限の表示文字501の「平成30年まで有効」については、文字「平」~「効」を、それぞれ検証対象文字群として特定する。そして、すべての検証対象文字についてのパターンコードの特定を終了するまで繰り返す。ここでは、文字「平」~「効」に対応して、「A」~「C」のパターンコード502を特定する。
【0029】
次に、検証支援サーバ20の制御部21は、パターンコードは共通かどうかについての判定処理を実行する(ステップS1-5)。具体的には、制御部21の判定支援部214は、メモリに仮記憶されたすべての検証対象文字のパターンコードを抽出する。そして、判定支援部214は、各検証対象文字のパターンコードが共通性判定割合以上で一致する場合には、パターンコードは共通していると判定する。図4に示すパターンコード502においては、「A」が1個、「B」が2個、「C」が6個であり、60%(共通性判定割合)以上が「C」であるため、パターンコードは共通と判定する。そして、共通性判定割合以上のパターンコード(ここでは「C」)を、代表パターンコードとして特定する。
【0030】
共通性判定割合以上のパターンコードで構成され、パターンコードが共通すると判定した場合(ステップS1-5において「YES」の場合)、検証支援サーバ20の制御部21は、交付時期、交付地域の特定処理を実行する(ステップS1-6)。具体的には、制御部21の判定支援部214は、検証対象の運転免許証の公安委員会名に基づいて、交付地域を特定する。
【0031】
次に、検証支援サーバ20の制御部21は、交付時期、交付地域の登録文字パターンの特定処理を実行する(ステップS1-7)。具体的には、制御部21の判定支援部214は、運転免許証項目から、交付時期、交付地域を特定する。そして、判定支援部214は、パターン情報記憶部23から、交付時期及び交付地域が含まれるパターン管理レコード230を取得する。そして、パターン管理レコード230に記録されているパターンコードを登録文字パターンとして特定する。
【0032】
図4に示すように、運転免許証の場合には、有効期限の表示、免許証区分に応じた有効期間に基づいて、交付時期504を算出する。更に、公安委員会名に基づいて、交付地域505を特定する。
【0033】
次に、検証支援サーバ20の制御部21は、登録文字パターンと一致するかどうかについての判定処理を実行する(ステップS1-8)。具体的には、制御部21の判定支援部214は、代表パターンコードと、パターン情報記憶部23から取得したパターン管理レコード230に記録されているパターンコードとを比較する。
【0034】
登録文字パターンと一致と判定した場合(ステップS1-8において「YES」の場合)、検証支援サーバ20の制御部21は、有効判定結果の出力処理を実行する(ステップS1-9)。具体的には、制御部21の判定支援部214は、検証対象の運転免許証は有効(真正)と判定し、判定結果をユーザ端末10のディスプレイに出力する。
【0035】
一方、各パターンコードの割合が共通性判定割合未満で、パターンコードが共通しないと判定した場合や、登録文字パターンと不一致と判定した場合(ステップS1-5,S1-8において「NO」の場合)、検証支援サーバ20の制御部21は、確認画面の出力処理を実行する(ステップS1-10)。具体的には、制御部21の判定支援部214は、ユーザ端末10のディスプレイに確認画面を出力する。この確認画面においては、検証対象の運転免許証の精査を促すメッセージが含まれる。更に、確認画面には、確認結果を入力するための選択ボタン(真正又は偽造)が含まれる。
【0036】
次に、検証支援サーバ20の制御部21は、有効かどうかについての判定処理を実行する(ステップS1-11)。具体的には、担当者によってユーザ端末10の確認画面に確認結果が入力された場合、制御部21の判定支援部214は、入力された確認結果に基づいて、真偽を判定する。
【0037】
真正の選択ボタンが選択され、有効と判定した場合(ステップS1-11において「YES」の場合)、検証支援サーバ20の制御部21は、変更情報の蓄積処理を実行する(ステップS1-12)。具体的には、制御部21の判定支援部214は、有効と判定された運転免許証の交付時期、交付地域に関連付けて、検証対象文字毎のパターンコード、代表パターンコードを含めた再評価管理レコード240を再評価情報記憶部24に記録する。
【0038】
一方、有効でないと判定された場合(ステップS1-11において「NO」の場合)、検証支援サーバ20の制御部21は、変更情報の蓄積処理(ステップS1-12)をスキップして処理を終了する。
【0039】
なお、同じ交付地域に関連付けられた再評価管理レコード240のレコード数が、確認判定基準値以上となった場合、バッチ処理により、辞書記憶部22、パターン情報記憶部23の見直しを行なう。具体的には、検証支援サーバ20の制御部21の判定支援部214は、再評価情報記憶部24において、同じ交付地域の再評価管理レコード240のレコード数が、確認判定基準値に達した場合、ユーザ端末10の出力部13に注意喚起メッセージを出力する。この場合、判定支援部214は、再評価管理レコード240に記録された交付時期に基づいて交付期間を特定する。そして、注意喚起メッセージにおいて、交付期間、交付地域に対して、代表パターンコードを記録した新たなパターン管理レコード230の登録を提案する。ユーザ端末10において、この提案の承認入力が行われた場合、判定支援部214は、交付期間、交付地域、代表パターンコードを記録した新たなパターン管理レコード230を生成し、パターン情報記憶部23に記録する。
【0040】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1-1)本実施形態では、辞書記憶部22には、証明書に含まれる検証対象文字を識別するための辞書管理レコード220が記録される。この辞書管理レコード220には、検証対象文字、形態特徴、パターンコードに関するデータが記録される。この辞書記憶部22においては、検証対象文字の形態特徴に関連付けて、パターンコードが記録されている。この場合、複数の検証対象文字に対して、一つの証明書に含まれる可能性がある検証対象文字については、共通したパターンコードを付与しておく。これにより、一つの証明書に含まれる複数の検証対象文字に含まれるパターンコードに基づいて、証明書の有効性判定を支援することができる。
【0041】
(1-2)本実施形態では、パターン情報記憶部23には、証明書を判定するためのパターン管理レコード230が記録される。このパターン管理レコード230には、交付期間、交付地域、パターンコードに関するデータが記録される。これにより、交付時期及び交付地域に応じて、証明書に用いられている文字形態に基づいて、証明書の有効性判定を支援することができる。
【0042】
(1-3)本実施形態では、検証支援サーバ20の制御部21は、特定した各検証対象文字の使用文字パターンの特定処理(ステップS1-4)、パターンコードは共通かどうかについての判定処理(ステップS1-5)を実行する。パターンコードが共通しないと判定した場合(ステップS1-5において「NO」の場合)、検証支援サーバ20の制御部21は、確認画面の出力処理を実行する(ステップS1-10)。これにより、各検証対象文字の文字形態のばらつきに基づいて、証明書の有効性判定を支援することができる。すなわち、パターンコードのばらつきが大きい場合には、有効でない可能性を検知することができる。
【0043】
(1-4)本実施形態では、検証支援サーバ20の制御部21は、交付時期、交付地域についての登録文字パターンの特定処理(ステップS1-7)、登録文字パターンと一致するかどうかについての判定処理(ステップS1-8)を実行する。これにより、証明書の確認実績に基づいて、証明書の有効性判定を支援することができる。
【0044】
(1-5)本実施形態では、真正の選択ボタンが選択され、有効と判定した場合(ステップS1-11において「YES」の場合)、検証支援サーバ20の制御部21は、変更情報の蓄積処理を実行する(ステップS1-12)。これにより、証明書において新たなパターンコードの文字が利用されている場合にも、変更情報を利用して、登録文字パターンの更新を促すことができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、図5を用いて、第2の実施形態を説明する。上記第1の実施形態においては、辞書記憶部22を用いて、検証対象文字の形態特徴により、パターンコードを特定し、このパターンコードの共通性や登録文字パターンとの一致に基づいて、有効性を判定する。有効性の判定方法は、これに限定されるものではない。第2の実施形態においては、検証対象文字毎の形態特徴に基づいて、有効性を判定する。第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の部分については、詳細な説明を省略する。
【0046】
この場合には、判定支援部214に、検証対象文字群について、登録文字パターンの文字形態との一致状況を判定するための一致基準値に関するデータを保持させておく。
更に、図5(a)に示すように、パターン情報記憶部23のパターン管理レコード231には、交付期間、交付地域、検証対象文字、形態特徴に関するデータが記録される。
【0047】
交付期間データ領域には、証明書が交付された時期(範囲)に関するデータが記録される。
交付地域データ領域には、証明書が交付された地域に関するデータが記録される。
検証対象文字データ領域には、検証を行なう文字(テキスト)に関するデータが記録される。
形態特徴データ領域には、検証対象文字の形態に関わる特徴に関するデータが記録される。
【0048】
次に、図5(b)を用いて、証明書検証処理の処理手順を説明する。
まず、検証支援サーバ20の制御部21は、ステップS1-1~S1-3と同様に、証明書画像の取得処理(ステップS2-1)、証明書画像に含まれる文字の特定処理(ステップS1-2)、検証対象文字の特定処理(ステップS1-3)を実行する。
【0049】
次に、検証支援サーバ20の制御部21は、ステップS1-6,S1-7と同様に、交付時期、交付地域の特定処理(ステップS2-4)、交付時期、交付地域の登録文字パターンの特定処理(ステップS2-5)を実行する。具体的には、制御部21の判定支援部214は、パターン情報記憶部23から、検証対象の運転免許証の交付時期及び交付地域に対応する交付期間及び交付地域が記録されたパターン管理レコード230を取得する。
【0050】
次に、検証支援サーバ20の制御部21は、検証対象文字を順次、処理対象として特定し、以下の処理を繰り返す。
ここでは、検証支援サーバ20の制御部21は、検証対象文字の形態特徴の特定処理を実行する(ステップS2-6)。具体的には、制御部21の文字検証部213は、取得したパターン管理レコード230において、検証対象文字の形態特徴を取得する。
【0051】
次に、検証支援サーバ20の制御部21は、登録文字パターンとの比較処理を実行する(ステップS2-7)。具体的には、制御部21の文字検証部213は、運転免許証画像から抽出した検証対象文字の文字画像を切り出す。そして、文字検証部213は、この文字画像の形態(使用文字パターン)が、パターン管理レコード230から取得した形態特徴を備えるかどうかを判定し、一致又は不一致を判定する。そして、文字検証部213は、処理対象の検証対象文字の判定結果をメモリに仮記録する。
検証支援サーバ20の制御部21は、すべての検証対象文字について、以上の処理を終了するまで繰り返す。
【0052】
次に、検証支援サーバ20の制御部21は、一致率が基準値以上かどうかについての判定処理を実行する(ステップS2-8)。具体的には、制御部21の判定支援部214は、メモリに仮記憶された判定結果において、一致の判定結果の割合(一致率)を算出する。そして、判定支援部214は、算出した一致率と一致基準値とを比較する。
【0053】
一致率が一致基準値以上と判定した場合(ステップS1-8において「YES」の場合)、検証支援サーバ20の制御部21は、ステップS1-9と同様に、有効判定結果の出力処理を実行する(ステップS2-9)。
【0054】
一方、一致率が一致基準値に達していないと判定した場合(ステップS2-8において「NO」の場合)、検証支援サーバ20の制御部21は、ステップS1-10~S1-12と同様に、確認画面の出力処理(ステップS2-10)~変更情報の蓄積処理(ステップS2-12)を実行する。この変更情報の蓄積処理(ステップS2-12)においては、再評価情報記憶部24に、この運転免許証の交付時期、交付地域、検証対象文字、形態特徴を記録しておく。
【0055】
そして、同じ交付地域に関連付けられた再評価管理レコード240のレコード数が、確認判定基準値以上となった場合、バッチ処理により、パターン情報記憶部23の見直しを行なう。具体的には、検証支援サーバ20の制御部21の判定支援部214は、再評価情報記憶部24において、同じ交付地域の再評価管理レコード240のレコード数が、見直し基準値に達した場合、ユーザ端末10の出力部13に注意喚起メッセージを出力する。この場合、判定支援部214は、再評価管理レコード240に記録された交付時期に基づいて交付期間を特定する。そして、注意喚起メッセージにおいて、交付期間、交付地域、形態特徴を記録した新たなパターン管理レコード231の登録を提案する。ユーザ端末10において、この提案の承認入力が行われた場合、判定支援部214は、交付期間、交付地域、検証対象文字、形態特徴を記録した新たなパターン管理レコード231を生成し、パターン情報記憶部23に記録する。
【0056】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(2-1)本実施形態では、パターン情報記憶部23のパターン管理レコード231には、交付期間、交付地域、検証対象文字、形態特徴に関するデータが記録される。そして、検証支援サーバ20の制御部21は、登録文字パターンとの比較処理(ステップS2-7)、一致率が基準値以上かどうかについての判定処理(ステップS2-8)を実行する。
【0057】
また、上記各実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
・上記各実施形態では、証明書として運転免許証に適用したが、適用対象はこれに限定されるものではない。例えば、各地域の自治体によって交付される証明書に適用することも可能である。
・上記各実施形態では、ネットワークを介して通信を行なうユーザ端末10と検証支援サーバ20とを用いる。ハードウェア構成はこれに限定されるものではない。例えば、一つのハードウェア(カメラ14を備えたユーザ端末10)において、文字認識部212~判定支援部214の処理を行なうようにしてもよい。
【0058】
・上記各実施形態では、運転免許証に含まれる各項目の文字を検証対象文字として利用する。検証対象文字は、これらに限定されるものではない。
・上記各実施形態では、ユーザ端末10が備えるカメラ14を用いて、証明書画像を取得する。証明書画像を取得できれば、画像の取得方法は、カメラ14を用いる場合に限定されるものではない。例えば、コンピュータ端末に接続されたスキャナを用いることも可能である。
【0059】
・上記各実施形態では、検証対象文字に対して形態特徴を記録する。この場合、検証対象文字に対して、複数の形態特徴を設定してもよい。例えば、一つの検証対象文字を構成する複数の筆画や、全体形状についての形態特徴を設定し、同じ証明書に含まれる検証対象文字の形態特徴に対して、同じパターンコードを付与する。
【0060】
・上記第1の実施形態では、辞書記憶部22において、検証対象文字、パターンコードに対して、形態特徴を関連付けて記録する。上記第2の実施形態では、パターン情報記憶部23において、交付期間、交付地域、検証対象文字に対して形態特徴を関連付けて記録する。ここで、辞書記憶部22、パターン情報記憶部23において、パターンコードを、更に、画像生成手段(カメラ14)の解像度に関連付けて記録するようにしてもよい。この場合、証明書画像の取得時に、撮影に用いたカメラ14の解像度に関する情報も合わせて取得する。そして、解像度に対応する形態特徴に基づいて、パターンコードを特定する。解像度によって、文字の形態が変わる可能性があるが、この解像度を考慮して、的確に有効性を判定することができる。
【0061】
・上記第1の実施形態では、共通性判定割合以上のパターンコードを、代表パターンコードとして特定する。この場合、検証対象の証明書を代表するパターンコードを特定できれば、共通性判定割合を用いる方法に限定されない。例えば、最も多いパターンコードを、代表パターンコードとして特定してもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…ユーザ端末、11…制御部、12…入力部、13…出力部、14…カメラ、20…検証支援サーバ、21…制御部、211…画像取得部、212…文字認識部、213…文字検証部、214…判定支援部、22…辞書記憶部、23…パターン情報記憶部、24…再評価情報記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5