IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧 ▶ 学校法人立命館の特許一覧

<>
  • 特許-ポンチング装置 図1
  • 特許-ポンチング装置 図2
  • 特許-ポンチング装置 図3
  • 特許-ポンチング装置 図4
  • 特許-ポンチング装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】ポンチング装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/02 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
G01N3/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017229937
(22)【出願日】2017-11-30
(65)【公開番号】P2019100786
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 公亮
(72)【発明者】
【氏名】坂根 政男
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆基
(72)【発明者】
【氏名】小川 文男
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-162127(JP,A)
【文献】特開平09-089757(JP,A)
【文献】特開昭54-018374(JP,A)
【文献】特開平11-188500(JP,A)
【文献】特開2001-074892(JP,A)
【文献】特開昭62-137539(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0026635(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔対象物の上に配置されポンチを挿入可能な貫通孔を備えたポンチ位置決め治具と、
該ポンチ位置決め治具の上に前記貫通孔を内包するように配置されるガイド筒と、
該ガイド筒の上方から内部に落下される錘と、を備え、
前記ガイド筒は、前記ポンチの姿勢を調整する姿勢調整手段を備える、
ことを特徴とするポンチング装置。
【請求項2】
前記ガイド筒は、前記錘の落下高さを設定するストッパを備える、請求項1に記載のポンチング装置。
【請求項3】
前記ガイド筒は、側面に延伸方向に沿って配置され、前記ストッパを挿通可能な複数の挿通孔を備える、請求項2に記載のポンチング装置。
【請求項4】
前記ガイド筒は、側面に前記ポンチを視認可能な開口部を備える、請求項1に記載のポンチング装置。
【請求項5】
前記穿孔対象物は、疲労試験用の試験片である、請求項1に記載のポンチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンチング装置に関し、特に、穴径の均一化を図るためのポンチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料の疲労特性に及ぼす多軸負荷の影響を把握するために、単軸負荷と多軸負荷の疲労試験を実施し、それらの結果を比較する必要がある。多軸強度研究に用いられる試験手法には複数の手法があり、試験片の形状や試験手法により実現できる多軸状態が異なる。この中で、薄肉円筒試験片を用いた引張・圧縮と繰返し捩りを負荷する試験は、最も多く採用されている方法である。
【0003】
この薄肉円筒試験片を用いた試験手法では、試験片の板厚を薄くすることで、標点部の応力やひずみの勾配が小さくなり、高精度な試験を実施することができる。円筒型試験片でのひずみ計測方法としては、レバー式の伸び計がよく用いられる。レバー式の伸び計の取り付けには、捩り負荷による伸び計の先端のずれを防ぐ必要があるため、試験片の表面にくぼみを形成することがある。
【0004】
しかしながら、ポンチでくぼみを形成する場合には、試験片の板厚が薄いため、試験片を破損させるおそれがある。そこで、特許文献1に記載された発明では、試験片の中空部に中子を挿入し、ポンチを挿入するための貫通孔が形成された上蓋を有する治具を使用して試験片にくぼみを形成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-099830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、上蓋の貫通孔に挿入されたポンチを作業者がハンマー等の工具を用いて叩くことによりくぼみを形成している。したがって、作業者の力加減や習熟度等により、くぼみの穴径にばらつきが生じるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、作業者の力加減や習熟度等に関係なく穴径の均一化を図ることができる、ポンチング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、穿孔対象物の上に配置されポンチを挿入可能な貫通孔を備えたポンチ位置決め治具と、該ポンチ位置決め治具の上に前記貫通孔を内包するように配置されるガイド筒と、該ガイド筒の上方から内部に落下される錘と、を備え、前記ガイド筒は、前記ポンチの姿勢を調整する姿勢調整手段を備える、ことを特徴とするポンチング装置が提供される。
【0009】
前記ガイド筒は、前記錘の落下高さを設定するストッパを備えていてもよい。また、前記ガイド筒は、側面に延伸方向に沿って配置され、前記ストッパを挿通可能な複数の挿通孔を備えていてもよい。
【0010】
た、前記ガイド筒は、側面に前記ポンチを視認可能な開口部を備えていてもよい。
【0011】
前記穿孔対象物は、例えば、疲労試験用の試験片である。
【発明の効果】
【0015】
上述した本発明に係るポンチング装置によれば、ポンチ位置決め治具に設置したポンチの上方から錘を自由落下させることにより、ポンチに衝撃を与えて穿孔対象物にくぼみや貫通孔を形成することができる。したがって、錘の重量や落下高さを調整することにより、誰が操作しても所定の荷重をポンチに付加することができ、作業者の力加減や習熟度等に関係なく穴径の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るポンチング装置を示す断面図である。
図2】ポンチ位置決め治具を示す図であり、(a)は平面図、(b)は図2(a)におけるB矢視図、である。
図3】ガイド筒を示す図であり、(a)は側面図、(b)は図3(a)におけるB-B線断面図、(c)は図3(a)におけるC-C線断面図、である。
図4】ガイド筒の変形例を示す断面図であり、(a)は第一変形例、(b)は第二変形例、を示している。
図5】本発明の一実施形態に係るポンチング方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図1図5を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の一実施形態に係るポンチング装置を示す断面図である。図2は、ポンチ位置決め治具を示す図であり、(a)は平面図、(b)は図2(a)におけるB矢視図、である。図3は、ガイド筒を示す図であり、(a)は側面図、(b)は図3(a)におけるB-B線断面図、(c)は図3(a)におけるC-C線断面図、である。
【0018】
本発明の一実施形態に係るポンチング装置1は、図1に示したように、穿孔対象物Mの上に配置されポンチPを挿入可能な貫通孔21を備えたポンチ位置決め治具2と、ポンチ位置決め治具2の上に貫通孔21を内包するように配置されるガイド筒3と、ガイド筒3の上方から内部に落下される錘4と、を備えている。
【0019】
穿孔対象物Mは、例えば、疲労試験用の薄肉円筒試験片である。かかる試験片は、中間部に配置された薄肉円筒部と、薄肉円筒部の両側に配置された円形のフランジ部と、を備えている。この薄肉円筒試験片では、薄肉円筒部の表面に伸び計の先端を配置するくぼみが形成される。
【0020】
なお、穿孔対象物Mは、薄肉円筒試験片に限定されるものではなく、表面にくぼみ(穴)や貫通孔を形成したい部品の全てを含むものである。例えば、穿孔対象物Mは、平板形状の部品であってもよいし、複雑な三次元形状を有する部品であってもよい。また、本明細書において、「穿孔」とは、くぼみ(穴)及び貫通孔の両方を含むものとする。
【0021】
ポンチング装置1は、図1に示したように、床面に配置されたポンチ台5の上に載置される。ポンチ台5は、ポンチング時における衝撃を吸収する部品であり、樹脂製であってもよいし金属製であってもよい。なお、ポンチ台5は、必要に応じて省略することができる。
【0022】
穿孔対象物Mは、図2(a)及び図2(b)に示したように、ポンチ台5上に配置された台座6に配置される。台座6は、穿孔対象物Mを位置決めする部品である。本実施形態では、穿孔対象物Mは円形状の外形を有しているため、台座6は穿孔対象物Mの転動を防止するためのV字形状の溝61を有している。台座6は、穿孔対象物Mの形状によって任意に変更可能である。例えば、台座6は、穿孔対象物Mの外形の全体を収容する凹部を有していてもよいし、ブラケット等の別の部品を用いて穿孔対象物Mを台座6に固定するようにしてもよい。
【0023】
ポンチ位置決め治具2は、例えば、図2(a)及び図2(b)に示したように、台座6に載置された穿孔対象物Mの上に配置される天板部22と、天板部22を支持する複数の脚部23と、を有している。脚部23は、例えば、ポンチ台5上に配置される四本の柱状部材によって構成される。脚部23は、ポンチ位置決め治具2と台座6との相対移動を抑制するために、ボルト等の締結具によって台座6に固定されていてもよい。
【0024】
天板部22には、ポンチPを挿入可能な径を有する貫通孔21が形成されている。天板部22は、例えば、ボルト等の締結具によって脚部23に固定される。このとき、天板部22は、穿孔対象物Mに当接した状態であってもよいし、離間した状態であってもよい。また、天板部22には、ガイド筒3の位置決めを行う凹部や凸部が形成されていてもよい。なお、天板部22及び脚部23は一体に形成されていてもよい。
【0025】
貫通孔21は、台座6に穿孔対象物Mを載置し、脚部23を台座6に固定し、天板部22を脚部23に固定した状態で、穿孔対象物Mにくぼみ(穴)を形成したい箇所の鉛直線上に形成される。複数のくぼみ(穴)を形成する場合には、天板部22に複数の貫通孔21が形成されていてもよい。
【0026】
ポンチPは、例えば、先端が尖った又は丸みを帯びた棒状の工具である。ポンチPは、形成したいくぼみ(穴)や貫通孔の形状に応じて任意に選択することができる。また、一般に、ポンチPは、穿孔対象物Mよりも硬い材料により構成されているものを選択する。
【0027】
また、ポンチPは、ポンチ位置決め治具2の貫通孔21に先端を挿入し、先端が穿孔対象物Mに当接した状態で起立した姿勢を維持できる形状を有している。例えば、穿孔対象物Mと天板部22とが離れている場合には、ポンチPは重心が高い形状であってもよいが、穿孔対象物Mと天板部22とが近い場合(例えば、当接している場合)には、ポンチPは重心が低い形状であることが好ましい。
【0028】
ガイド筒3は、例えば、図3(a)~図3(c)に示したように、略円筒形状を有する部品である。ガイド筒3は、ポンチ位置決め治具2の貫通孔21にポンチPを挿入した状態でポンチPの上から被せられ、ポンチP(すなわち、貫通孔21)を内包した状態でポンチ位置決め治具2の上に配置される。また、ガイド筒3は、ポンチ位置決め治具2の上面に載置したときに自立可能に構成されていてもよい。
【0029】
なお、ガイド筒3は、ポンチ位置決め治具2の上面にボルト等の締結具を用いて固定するようにしてもよい。また、ガイド筒3は、外周が円形状に限定されるものではなく、矩形形状や楕円形状等であってもよい。また、ガイド筒3は、樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。
【0030】
ガイド筒3は、例えば、図1に示したように、ポンチPの姿勢を調整する姿勢調整手段31を備えていてもよい。姿勢調整手段31は、例えば、ガイド筒3の側面に形成されたネジ孔31aと、ネジ孔31aに挿通され螺合される三本のボルト31bと、により構成される。
【0031】
ポンチ位置決め治具2の貫通孔21の径は、ポンチPの径よりも大きく形成されているため、ポンチPを貫通孔21に挿入したときにポンチPが僅かに傾くことがあり得る。この場合、ポンチPの先端がくぼみ(穴)を形成したい位置から僅かにずれてしまうことが予想される。そこで、本実施形態では、ポンチPの上部にボルト31bの先端を当接させ、ポンチPを略鉛直方向に沿うように姿勢を調整し、ポンチPのずれを低減するようにしている。
【0032】
姿勢調整手段31は、ポンチPの上端(後端)の水平方向の位置決めをする手段であることから、ポンチPの側面の少なくとも三箇所に当接してポンチPを拘束することができるように構成される。例えば、図3(c)に示したように、ネジ孔31aは、ガイド筒3の側面に中心角120度の間隔で均等に形成される。
【0033】
また、本実施形態では、ポンチPに当接させる手段としてボルト31bを使用しているが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、姿勢調整手段31は、電動シリンダやエアシリンダ等の伸縮可能なロッドを有するものであってもよいし、単なる貫通孔に挿入可能なピンであってもよい。ただし、姿勢調整手段31は、ポンチPに錘4を落下する際に干渉しないこと及びポンチPの鉛直方向の移動を阻害しないことが必要である。
【0034】
また、ガイド筒3は、側面にポンチPを視認可能な開口部32を備えていてもよい。開口部32は、姿勢調整手段31によりポンチPの姿勢を調整する際に使用する覗き窓である。開口部32は、ポンチPを視認可能な大きさであれば、矩形形状であってもよいし、円形状であってもよいし、長孔形状であってもよい。
【0035】
なお、姿勢調整手段31がない場合や、センサやカメラ等を用いてポンチPの姿勢を把握することができる場合には、開口部32を省略するようにしてもよい。
【0036】
また、ガイド筒3は、錘4の落下高さを設定するストッパ33と、側面に延伸方向に沿って配置されストッパ33を挿通可能な複数の挿通孔34と、を備えていてもよい。ストッパ33は、例えば、挿通孔34に挿通可能なピンである。なお、図1では、説明の便宜上、ストッパ33を挿入する向きを水平面内で90度だけ偏向した状態を図示している。
【0037】
図1では、ストッパ33をガイド筒3の対峙する側面の両方に貫通させて両端支持させているが、錘4が軽量な場合には、ガイド筒3の片方の側面のみに貫通させて片持ち支持状態となるようにストッパ33を配置してもよい。ストッパ33を両端支持する場合には、挿通孔34は対峙する側面の同じ高さに同じ数だけ形成し、ストッパ33を片持ち支持する場合には、挿通孔34は側面の片側にのみ形成すればよい。
【0038】
図3(a)に示したように、挿通孔34は、ガイド筒3の延伸方向に所定の間隔(例えば、10mm間隔)で離れている。したがって、ストッパ33を挿入する位置に応じて、錘4の落下高さを任意に調整することができる。
【0039】
また、挿通孔34の形状は、ストッパ33の形状に合わせて形成されるものであり、例えば、ストッパ33がピン形状の場合には挿通孔34は丸孔形状であってもよいし、ストッパ33が平板形状の場合には挿通孔34はスリット形状であってもよい。
【0040】
なお、錘4の落下高さを設定する構成は、ストッパ33及び挿通孔34の組み合わせに限定されるものではなく、錘4の位置を一時的に保持し、ポンチング時に錘4を落下させることができれば他の構成であってもよい。
【0041】
例えば、錘4の落下高さは、ガイド筒3の高さによって調整するようにしてもよい。ここで、図4は、ガイド筒の変形例を示す断面図であり、(a)は第一変形例、(b)は第二変形例、を示している。
【0042】
図4(a)に示した第一変形例は、ガイド筒3の高さHaを図1に示したガイド筒3よりも高くしたものである。また、図4(b)に示した第二変形例は、ガイド筒3の高さHbを図1に示したガイド筒3よりも低くしたものである。
【0043】
このように、錘4の落下高さをガイド筒3の高さによって調整した場合には、例えば、ストッパ33及び挿通孔34を省略し、手動によって錘4をガイド筒3の内部に挿入して落下させるようにしてもよい。
【0044】
錘4は、ガイド筒3の内部に挿入され自由落下される部品である。図1に示したように、ガイド筒3にストッパ33を挿通した状態で錘4はガイド筒3の内部に配置される。その後、ストッパ33を挿通孔34から引き抜くことにより、錘4をガイド筒3内で落下させる。錘4は、ガイド筒3に挿通可能な形状を有しており、例えば、円柱形状や直方体形状を有している。
【0045】
錘4の重量は、穿孔対象物Mの硬さ、穿孔したいくぼみ(穴)の深さ、落下高さ等の条件によって任意に設定可能である。例えば、穿孔対象物Mが薄肉円筒試験片である場合において、錘4の落下高さが100~300mm程度の場合には、錘4は、100~300g程度の重さで十分である。
【0046】
上述した実施形態において、穿孔対象物Mに所定のくぼみ(穴)を形成するには、ポンチPに与える荷重を予め設定しておく必要がある。すなわち、錘4を自由落下させてポンチPに衝突させた際に、所定のくぼみ(穴)を形成可能な荷重をポンチPに付加することができるように、錘4の重量及び落下高さを設定する。
【0047】
例えば、穿孔対象物Mが疲労試験用の試験片である場合には、その材料特性が不明確な場合が多いことから、データ取得用の試験片を作成し、錘4の重量及び落下高さと形成される穴径との相関関係を予め求めておくようにするとよい。
【0048】
次に、上述したポンチング装置1を用いたポンチング方法について説明する。ここで、図5は、本発明の一実施形態に係るポンチング方法を示すフロー図である。
【0049】
本発明の一実施形態に係るポンチング方法は、台座6に穿孔対象物Mを配置する対象物配置工程S1と、穿孔対象物Mの上にポンチPを挿入可能な貫通孔21を備えたポンチ位置決め治具2を配置する治具設置工程S2と、貫通孔21にポンチPを挿入するポンチ設置工程S3と、ポンチ位置決め治具2の上にポンチPを内包するようにガイド筒3を配置するガイド筒設置工程S4と、ポンチPの姿勢を調整する姿勢調整工程S5と、錘4の重量及び落下高さを設定する錘調整工程S6と、ガイド筒3の上方から内部に錘4を落下させる錘落下工程S7と、を備えている。
【0050】
対象物配置工程S1は、穿孔対象物Mの位置決めを行う工程である。具体的には、ポンチ台5の上に配置された台座6に穿孔対象物Mをポンチング時に動かないように載置又は固定する。
【0051】
治具設置工程S2は、ポンチ位置決め治具2を台座6に配置する工程である。具体的には、脚部23を台座6に固定し、天板部22を脚部23に固定する。このとき、天板部22に形成された貫通孔21が、穿孔対象物Mのくぼみ(穴)を形成したい箇所の鉛直線上に配置されるように天板部22を固定する。
【0052】
ポンチ設置工程S3は、ポンチ位置決め治具2にポンチPを配置する工程である。具体的には、ポンチPの先端を貫通孔21に挿入し、ポンチPの先端を穿孔対象物Mのくぼみ(穴)を形成したい箇所に当接させる。
【0053】
ガイド筒設置工程S4は、ポンチPを囲うようにガイド筒3を配置する工程である。具体的には、ガイド筒3の内部にポンチPが位置するように、ガイド筒3の下端を天板部22の上面に当接させて立たせる。
【0054】
姿勢調整工程S5は、姿勢調整手段31によりポンチPの傾きを修正する工程である。具体的には、ガイド筒3の側面に形成されたネジ孔31aにボルト31bを挿入し、螺合させながらボルト31bの先端をポンチPに当接させ、ポンチPの姿勢を調整する。
【0055】
錘調整工程S6は、所定の穴径を有するくぼみ(穴)を形成する際に必要な荷重をポンチPに付加するための錘4の重量及び落下高さを設定する工程である。具体的には、穿孔対象物Mの種類と錘4の重量及び落下高さと穿孔される穴径との相関関係を予め求めておき、そのデータに基づいて錘4の重量及び落下高さを選択する。そして、設定した落下高さに合わせて、例えば、ストッパ33をガイド筒3の側面に形成された挿通孔34に挿通し、錘4をガイド筒3の内部に配置し、ストッパ33に一時的に係止させる。
【0056】
錘落下工程S7は、例えば、ストッパ33を挿通孔34から引き抜いて、錘4を自由落下(自然落下)させる工程である。このように、錘4をガイド筒3内で落下させると、錘4はポンチPの上端に衝突し、所定の荷重がポンチPに付加され、ポンチPの先端が穿孔対象物Mの表面に食い込み、所定の穴径のくぼみ(穴)が形成される。
【0057】
なお、本実施形態に係るポンチング方法では、図1に示した実施形態に係るポンチング装置1に基づいて説明しているが、例えば、図4(a)及び図4(b)に示した変形例にも適用され得る。これらの変形例では、錘調整工程S6において、ガイド筒3の高さを変更することによって錘4の落下高さを設定する。また、錘落下工程S7では、作業者が錘4を手で掴んでガイド筒3内に移動させ、手を離すことによって落下させるようにしてもよい。
【0058】
上述した本実施形態に係るポンチング装置1を用いたポンチング方法によれば、ポンチ位置決め治具2に設置したポンチPの上方から錘4を自由落下させることにより、ポンチPに衝撃を与えて穿孔対象物Mにくぼみ(穴)や貫通孔を形成することができる。したがって、錘4の重量や落下高さを調整することにより、誰が操作しても所定の荷重をポンチPに付加することができ、作業者の力加減や習熟度等に関係なく穴径の均一化を図ることができる。
【0059】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0060】
1 ポンチング装置
2 ポンチ位置決め治具
3 ガイド筒
4 錘
5 ポンチ台
6 台座
21 貫通孔
22 天板部
23 脚部
31 姿勢調整手段
31a ネジ孔
31b ボルト
32 開口部
33 ストッパ
34 挿通孔
61 溝
M 穿孔対象物
P ポンチ
S1 対象物配置工程
S2 位置決め治具設置工程
S3 ポンチ設置工程
S4 ガイド筒設置工程
S5 姿勢調整工程
S6 錘調整工程
S7 錘落下工程

図1
図2
図3
図4
図5