(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】情報収集システムおよび情報収集装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/052 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
G08G1/052
(21)【出願番号】P 2017249340
(22)【出願日】2017-12-26
【審査請求日】2020-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100143797
【氏名又は名称】宮下 文徳
(74)【代理人】
【識別番号】100176201
【氏名又は名称】小久保 篤史
(74)【代理人】
【識別番号】100138357
【氏名又は名称】矢澤 広伸
(72)【発明者】
【氏名】永崎 信次郎
(72)【発明者】
【氏名】包原 功
(72)【発明者】
【氏名】梅田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英男
(72)【発明者】
【氏名】岡田 強志
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-177722(JP,A)
【文献】特表2010-503102(JP,A)
【文献】特開2015-179333(JP,A)
【文献】特開2000-182186(JP,A)
【文献】登録実用新案第3020426(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の運行指令に基づいて自律移動を行う自律移動体と、サーバ装置と、からなる情報収集システムであって、
前記自律移動体は、
該自律移動体の周囲の車両である周囲車両の運転状況に関する所定の運転情報を取得する運転情報取得手段と、
該自律移動体の周囲を撮影する撮像部を含み、所定の撮像画像を取得する画像取得手段と、
前記運転情報取得手段によって取得された前記運転情報に基づいて、前記周囲車両の交通違反を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記交通違反に関する所定の違反情報を前記サーバ装置に送信する制御手段と、
を有し、
前記サーバ装置は、
前記自律移動体に対して前記運行指令を送信する指令手段と、
前記自律移動体からの前記違反情報を受信し記憶する第一記憶手段と、
を有し、
前記指令手段は、所定の区間における前記違反情報の収集のリクエストに基づいて、前記所定の区間における違反情報の収集を指令する運行指令である取締り運行指令を前記自律移動体に対して指令し、
前記自律移動体は、前記取締り運行指令における前記所定の区間が従前計画されていた前記自律移動体の走行経路に含まれていない場合、走行経路を前記所定の区間を含む走行経路に変更し、
前記制御手段は、
前記所定の区間において前記検出手段によって前記交通違反が検出された場合、前記画像取得手段によって取得された、該交通違反をした違反車両に関する撮像画像と、前記運転情報取得手段によって取得された該違反車両の前記運転情報と、を前記違反情報として前記サーバ装置に送信する、
情報収集システム。
【請求項2】
前記運転情報取得手段は、前記周囲車両の速度を前記運転情報として取得し、
前記検出手段は、前記周囲車両の法定速度に対する速度超過を前記交通違反として検出する、
請求項1に記載の情報収集システム。
【請求項3】
前記運転情報取得手段は、前記自律移動体の側方を通過する複数の通過車両をセンシングすることで、該複数の通過車両間の車間距離を前記運転情報として取得し、
前記検出手段は、前記周囲車両の車間距離不保持を前記交通違反として検出する、
請求項1又は2に記載の情報収集システム。
【請求項4】
前記画像取得手段によって取得される前記違反車両に関する撮像画像は、該違反車両のナンバープレートの撮像画像を含む、
請求項1から3の何れか1項に記載の情報収集システム。
【請求項5】
前記画像取得手段によって取得される前記違反車両に関する撮像画像は、該違反車両の運転者の撮像画像を含む、
請求項1から4の何れか1項に記載の情報収集システム。
【請求項6】
前記自律移動体は、交通に関する所定の啓発を報知する報知手段を、更に有する、
請求項1から5の何れか1項に記載の情報収集システム。
【請求項7】
所定の運行指令に基づいて自律移動を行う自律移動
体に設けられ、該自律移動体の周囲の車両である周囲車両の運転状況に関する所定の運転情報を取得する運転情報取得手段と、
前記自律移動体に設けられた画像取得手段であって、該自律移動体の周囲を撮影する撮像部を含み、所定の撮像画像を取得する画像取得手段と、
前記運転情報取得手段によって取得された前記運転情報に基づいて、前記周囲車両の交通違反を検出する検出手段と、
前記自律移動体に設けられ、前記検出手段によって検出された前記交通違反に関する所定の違反情報を記憶する第二記憶手段と、
前記自律移動体に設けられた制御手段であって、前記検出手段によって前記交通違反が検出された場合、前記画像取得手段によって取得された、該交通違反をした違反車両に関する撮像画像と、前記運転情報取得手段によって取得された該違反車両の前記運転情報と、を前記違反情報として前記第二記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備え、
所定の区間における違反情報の収集を指令する運行指令において、前記所定の区間が従前計画されていた前記自律移動体の走行経路に含まれていない場合、走行経路を前記所定の区間を含む走行経路に変更する運行計画生成部をさらに備え、
前記制御手段は、前記所定の区間において前記検出手段によって前記交通違反が検出された場合、前記撮像画像と前記運転情報とを前記違反情報として前記第二記憶手段に記憶させる、
情報収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体を用いて情報収集を行うシステムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体を用いて地域の監視を行うシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、移動体に搭載された端末を用いて画像を収集し、仮想的な監視網を構築するシステムが記載されている。
また、自律走行を行う移動体を用いてサービスを提供する研究が行われている。例えば、特許文献2には、利用者の要望に応じて自動運転車の配車を行い、貨客の輸送を行う交通システムが記載されている。
特許文献1に記載の移動体として、特許文献2に記載されているような自動運転車を適用することで、より多くの情報を収集可能なシステムが構築できる。
【0003】
また、特許文献3には、車両が、自身の位置情報と車速情報とをサーバに送信し、サーバが、受信したこれら情報と法定速度情報とを比較判断することで、車両の速度違反を判別する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-181239号公報
【文献】特開2015-092320号公報
【文献】特開2004-326492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から、車両の交通違反を自動で検出するシステムが知られている。例えば、車両の速度違反の取締りを希望する道路の沿道に、車両の速度を監視する車速監視装置を設けるシステムが知られている。当該システムでは、道路の沿道に設けられた車速監視装置によって、車両の速度違反を自動で検出することができるが、車速監視装置が設けられていない区間では車両の速度違反を検出することができない。また、特許文献3に記載の技術では、道路の沿道に車速監視装置を設けることなく車両の速度違反を検出することができるが、車両が自身の位置情報と車速情報とをサーバに送信する手段を備えていない場合には、サーバは、該車両の速度違反を判別することができない。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術に基づいて、地域内の画像を予め収集したとしても、該画像から車両の交通違反を取締ることは困難である。このように、車両の交通違反を取締る技術については、未だ改良の余地を残すものである。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、車両の交通違反を好適に取締ることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報収集システムは、自律移動体と、サーバ装置と、からなるシステムである。
具体的には、前記自律移動体は、該自律移動体の周囲の車両である周囲車両の運転状況に関する所定の運転情報を取得する運転情報取得手段と、該自律移動体の周囲を撮影する撮像部を含み、所定の撮像画像を取得する画像取得手段と、前記運転情報取得手段によっ
て取得された前記運転情報に基づいて、前記周囲車両の交通違反を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記交通違反に関する所定の違反情報を前記サーバ装置に送信する制御手段と、を有し、前記サーバ装置は、前記自律移動体に対して前記運行指令を送信する指令手段と、前記自律移動体からの前記違反情報を受信し記憶する第一記憶手段と、を有し、前記制御手段は、前記検出手段によって前記交通違反が検出された場合、前記画像取得手段によって取得された、該交通違反をした違反車両に関する撮像画像と、前記運転情報取得手段によって取得された該違反車両の前記運転情報と、を前記違反情報として前記サーバ装置に送信することを特徴とする。
【0009】
自律移動体は、所定の運行指令に基づいて自律移動を行う移動体である。自律移動体は、自動運転車両であってもよい。運行指令とは、例えば、目的地や移動経路に関する情報、経路上で提供するサービスに関する情報などを含んだ情報である。例えば、自律移動体が、貨客の輸送を行うことを目的としたものである場合、所定の経路によって貨客の輸送を行う指令とすることができる。また、自律移動体が、店舗や施設、設備を移動させることを目的としたものである場合、所定の場所まで走行したのちに施設等を展開し、サービスの提供を行う指令とすることができる。
【0010】
自律移動体は、該自律移動体の周囲の車両(以下、周囲車両)の運転状況に関する所定の情報(以下、運転情報)を取得する運転情報取得手段を有している。自律移動体は、運行指令に基づいて自律移動を行いながら、運転情報取得手段を用いて周囲車両の運転情報を取得することができる。そして、自律移動体は、取得された運転情報に基づいて、周囲車両の交通違反を検出する検出手段を有している。つまり、自律移動体は、運行指令に基づいて自律移動を行いながら、周囲車両の交通違反を検出することができる。そして、自律移動体が、運行指令に基づく所定の経路を走行する場合、自律移動体は、該経路における周囲車両の交通違反を検出することができる。
【0011】
また、自律移動体は、検出された交通違反に関する所定の情報(以下、違反情報)をサーバ装置に送信する制御手段を有している。サーバ装置は、自律移動体に対して運行指令を送信することで自律移動体の管理を行うとともに、自律移動体からの違反情報を受信し記憶する装置である。
ここで、検出された交通違反に基づいて実際に違反車両を取締るためには、違反車両を特定する必要がある。そこで、自律移動体は、該自律移動体が有する画像取得手段によって取得された違反車両に関する撮像画像を、該違反車両の運転情報とともに違反情報としてサーバ装置に送信する。これにより、サーバ装置は、自律移動体によって検出された交通違反の内容を取得するとともに、違反車両を特定することができる。
【0012】
以上の情報収集システムは、複数の自律移動体を含んで構成され得る。また、自律移動体の移動経路は、運行指令によって任意に設定され得る。したがって、本発明に係る情報収集システムによれば、自律移動体を介して交通違反の取締り網を任意に構築することができる。これにより、車両の交通違反を好適に取締ることができる。
【0013】
ここで、上記の交通違反とは、法定速度に対する速度超過である。この場合、前記運転情報取得手段は、前記周囲車両の速度を前記運転情報として取得し、前記検出手段は、前記周囲車両の法定速度に対する速度超過を前記交通違反として検出することができる。
【0014】
また、上記の交通違反とは、車間距離不保持である。この場合、前記運転情報取得手段は、前記自律移動体の側方を通過する複数の通過車両をセンシングすることで、該複数の通過車両間の車間距離を前記運転情報として取得し、前記検出手段は、前記周囲車両の車間距離不保持を前記交通違反として検出することができる。
【0015】
なお、交通違反は、上記に限定されることはなく、本発明に係る情報収集システムによれば、周知の交通違反を好適に取締ることができる。
【0016】
また、本発明に係る情報収集システムにおいて、前記画像取得手段によって取得される前記違反車両に関する撮像画像は、該違反車両のナンバープレートの撮像画像を含んでいてもよい。これによれば、違反車両を確実に特定することができる。また、前記画像取得手段によって取得される前記違反車両に関する撮像画像は、該違反車両の運転者の撮像画像を含んでいてもよい。これによれば、違反車両を運転する違反者を好適に特定することができる。
【0017】
以上に述べた本発明に係る情報収集システムにおいて、前記自律移動体は、交通に関する所定の啓発を報知する報知手段を、更に有していてもよい。これによれば、情報収集システムは、自律移動体を介して該自律移動体の周囲車両に対して、交通違反を防ぐための啓発を行うことができる。その結果、交通違反の発生を抑制することができる。
【0018】
また、本発明は、情報収集装置の側面から捉えることもできる。詳しくは、本発明に係る情報収集装置は、所定の運行指令に基づいて自律移動を行う自律移動体と、前記自律移動体に設けられ、該自律移動体の周囲の車両である周囲車両の運転状況に関する所定の運転情報を取得する運転情報取得手段と、前記自律移動体に設けられた画像取得手段であって、該自律移動体の周囲を撮影する撮像部を含み、所定の撮像画像を取得する画像取得手段と、前記運転情報取得手段によって取得された前記運転情報に基づいて、前記周囲車両の交通違反を検出する検出手段と、前記自律移動体に設けられ、前記検出手段によって検出された前記交通違反に関する所定の違反情報を記憶する第二記憶手段と、前記自律移動体に設けられた制御手段であって、前記検出手段によって前記交通違反が検出された場合、前記画像取得手段によって取得された、該交通違反をした違反車両に関する撮像画像と、前記運転情報取得手段によって取得された該違反車両の前記運転情報と、を前記違反情報として前記第二記憶手段に記憶させる制御手段と、を備える。
【0019】
なお、本発明は、上記手段の少なくとも一部を含む情報収集システムまたは情報収集装置として特定することができる。また、前記情報収集システムや情報収集装置が行う方法として特定することもできる。上記処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、車両の交通違反を好適に取締ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第一の実施形態に係る情報収集システムのシステム概要図である。
【
図2】情報収集システムが有する構成要素の一例を概略的に示したブロック図である。
【
図3】自律走行車両100の外観を示した図である。
【
図4】システムの構成要素間におけるデータの流れを示したフロー図である。
【
図6】第一の実施形態に係る、違反取締り運行を行う自律走行車両100が行う処理のフローチャート図である。
【
図7A】第三の実施形態において車外ディスプレイに出力する映像の第一の例である。
【
図7B】第三の実施形態において車外ディスプレイに出力する映像の第二の例である。
【
図8】第四の実施形態に係る、違反取締り運行を行う自律走行車両100が行う処理のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第一の実施形態)
<システム概要>
第一の実施形態に係る情報収集システムの概要について、
図1を参照しながら説明する。本実施形態に係る情報収集システムは、与えられた指令に基づいて自律走行を行う複数の自律走行車両100A、100B、・・・、100nと、当該指令を発行するサーバ装置200と、を含んで構成される。自律走行車両100は、所定のサービスを提供する自動運転車両であり、サーバ装置200は、複数の自律走行車両100を管理する装置である。以下、複数の自律走行車両を個々に区別しないで総称する場合には、単に自律走行車両100という。
【0023】
自律走行車両100は、個体ごとに異なる機能を持つことができる多目的移動体であり、道路上を自動運転および無人運転可能な車両である。自律走行車両100は、例えば、所定のルートを走行する送迎車、利用者の要請に応じて運行されるオンデマンドタクシー、任意の移動先で営業を行うことができる移動店舗などである。自律走行車両100が、貨客の輸送を目的としたものである場合、所定のルートを運行しながら輸送を行うことができる。また、自律走行車両100が、店舗や施設、設備を移動させることを目的としたものである場合、目的地まで走行したのちに施設等を展開し、営業を行うことができる。また、自律走行車両100は、設備やインフラの監視、防犯対策等のために道路を巡回する車両であってもよい。この場合、所定の巡回経路に従って走行を行うようにしてもよい。自律走行車両100は、Electric Vehicle(EV)パレットとも呼ばれる。
なお、自律走行車両100は、必ずしも無人車両である必要はない。例えば、営業要員や接客要員、保安要員などが搭乗していてもよい。また、自律走行車両100は、必ずしも完全なる自律走行が可能な車両でなくてもよい。例えば、状況に応じて人が運転ないし運転の補助を行う車両であってもよい。
さらに、自律走行車両100は、ユーザからの要求を受け付け、ユーザに反応し、ユーザからの要求に対して所定の処理を実行し、処理結果をユーザに報告する機能を有する。なお、ユーザからの要求のうち、自律走行車両100単独では処理できないものについては、当該要求をサーバ装置200に転送し、サーバ装置200と連携して処理してもよい。
【0024】
サーバ装置200は、自律走行車両100に対して運行を指令する装置である。例えば、自律走行車両100がオンデマンドタクシーである場合、利用者からの要請を受け、迎車に向かう地点および目的地を取得したうえで、付近を走行中の自律走行車両100に対して、「出発地から目的地まで人を輸送する」旨の運行指令を送信する。これにより、自律走行車両100に対して、所定の経路に沿った走行をさせることができる。なお、運行指令は、出発地と目的地を結ぶ走行を指令するものとは限らない。例えば、「所定の地点まで走行して店舗を展開する」,「所定の経路を走行しながら街路の監視を行う」といったものであってもよい。このように、運行指令には、走行以外に自律走行車両100が行うべき動作を含ませてもよい。
【0025】
上述した機能に加え、本実施形態に係る情報収集システムでは、警察機関から取締りリクエストがあった場合に、サーバ装置200が、自律走行車両100を介して、該自律走行車両100の周囲の車両(以下、周囲車両)の交通違反に関する所定の情報(以下、違反情報)を収集する機能を有している。詳しくは、自律走行車両100は、運行指令に基づいて所定の経路を走行しながら、取締りリクエストに基づいて周囲車両の運転状況に関する情報(以下、運転情報)を取得する。そして、自律走行車両100は、取得した運転情報に基づいて周囲車両の交通違反を検出した場合、該違反車両の違反情報をサーバ装置
200に送信する。これにより、警察機関は、情報収集システムによって、所定の経路を走行中の自律走行車両100の周囲車両についての交通違反を監視することができる。
【0026】
<システム構成>
システムの構成要素について、詳しく説明する。
図2は、
図1に示した自律走行車両100およびサーバ装置200の構成の一例を概略的に示したブロック図である。なお、自律走行車両100は複数であってもよい。
【0027】
自律走行車両100は、サーバ装置200から取得した運行指令に従って走行する車両である。具体的には、無線通信を介して取得した運行指令に基づいて走行経路を生成し、車両の周辺をセンシングしながら適切な方法で道路上を走行する。
【0028】
自律走行車両100は、センサ101、位置情報取得部102、制御部103、駆動部104、通信部105、映像出力部106を含んで構成される。自律走行車両100は、不図示のバッテリから供給される電力で動作する。
【0029】
センサ101は、車両周辺のセンシングを行う手段であり、典型的にはステレオカメラ、レーザスキャナ、LIDAR、レーダなどを含んで構成される。センサ101が取得した情報は、制御部103に送信される。
位置情報取得部102は、車両の現在位置を取得する手段であり、典型的にはGPS受信器などを含んで構成される。位置情報取得部102が取得した情報は、制御部103に送信される。
【0030】
制御部103は、センサ101から取得した情報に基づいて、自律走行車両100の制御を行うコンピュータである。制御部103は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
【0031】
制御部103は、機能モジュールとして、運行計画生成部1031、環境検出部1032、走行制御部1033を有している。各機能モジュールは、ROM(Read Only Memory)等の記憶手段に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)(いずれ
も不図示)によって実行することで実現してもよい。
【0032】
運行計画生成部1031は、サーバ装置200から運行指令を取得し、自車両の運行計画を生成する。本実施形態において、運行計画とは、自律走行車両100が走行する経路と、経路の一部または全部において自律走行車両100が行うべき処理を規定したデータである。運行計画に含まれるデータの例として、例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0033】
(1)自車両が走行する経路を道路リンクの集合によって表したデータ
自車両が走行する経路は、例えば、不図示の記憶手段に記憶された地図データを参照し、与えられた出発地と目的地に基づいて自動的に生成してもよい。また、外部のサービスを利用して生成してもよい。
【0034】
(2)経路上の地点において自車両が行うべき処理を表したデータ
自車両が行うべき処理には、例えば、「人を乗降させる」「荷物の積み下ろしを行う」「移動店舗を展開/撤収する」「データの収集を行う」「(後述する車外ディスプレイを用いて)映像を出力する」といったものがあるが、これらに限られない。
運行計画生成部1031が生成した運行計画は、後述する走行制御部1033へ送信される。
【0035】
環境検出部1032は、センサ101が取得したデータに基づいて、車両周辺の環境を検出する。検出の対象は、例えば、車線の数や位置、自車両の周辺に存在する車両の数や位置、自車両の周辺に存在する障害物(例えば歩行者、自転車、構造物、建築物など)の数や位置、道路の構造、道路標識などであるが、これらに限られない。自律的な走行を行うために必要なものであれば、検出の対象はどのようなものであってもよい。
また、環境検出部1032は、検出した物体をトラッキングしてもよい。例えば、1ステップ前に検出した物体の座標と、現在の物体の座標との差分から、当該物体の相対速度を求めてもよい。
環境検出部1032が検出した、環境に関するデータ(以下、環境データ)は、後述する走行制御部1033へ送信される。
【0036】
走行制御部1033は、運行計画生成部1031が生成した運行計画と、環境検出部1032が生成した環境データ、ならびに、位置情報取得部102が取得した自車両の位置情報に基づいて、自車両の走行を制御する。例えば、所定の経路に沿って走行し、かつ、自車両を中心とする所定の安全領域内に障害物が進入しないように自車両を走行させる。車両を自律走行させる方法については、公知の方法を採用することができる。
【0037】
駆動部104は、走行制御部1033が生成した指令に基づいて、自律走行車両100を走行させる手段である。駆動部104は、例えば、車輪を駆動するためのモータやインバータ、ブレーキ、ステアリング機構、二次電池等を含んで構成される。
通信部105は、自律走行車両100をネットワークに接続するための通信手段である。本実施形態では、3GやLTE等の移動体通信サービスを利用して、ネットワーク経由で他の装置(例えばサーバ装置200)と通信を行うことができる。
なお、通信部105は、他の自律走行車両100と車々間通信を行うための通信手段をさらに有していてもよい。
【0038】
映像出力部106は、車体に設けられた車外ディスプレイに映像を出力する手段である。
図3は、自律走行車両100の外観を例示した図である。図示したように、本実施形態では、自律走行車両100は、車体の外側に複数のディスプレイを有しており、任意の映像を出力することができる。車外ディスプレイは、液晶ディスプレイであってもよいし、LEDマトリクス等によって構成されていてもよい。映像出力部106は、運行計画に含まれるデータに基づいて、映像を生成ないし取得し、車外ディスプレイに出力することができる。
【0039】
カメラ107は、自律走行車両100の車体に設けられたカメラであり、例えば、Charged-Coupled Devices(CCD)、Metal-oxide-semiconductor(MOS)あるいはComplementary Metal-Oxide-Semiconductor(CMOS)等のイメージセンサを用いた撮影装置
である。
図3に示したように、本実施形態では、自律走行車両100は、車載されたカメラ107を有しており、画像(静止画または動画)を取得することができる。なお、車体の複数の箇所(例えば、前方、後方、左右側方のそれぞれ)にカメラ107が設けられる。
【0040】
次に、サーバ装置200について説明する。
サーバ装置200は、複数の自律走行車両100の走行位置を管理し、運行指令を送信する装置である。サーバ装置200は、例えば、利用者からタクシー配車のリクエストを受けた場合に、出発地および目的地を取得したうえで、付近を走行中の(タクシーとして機能可能な)自律走行車両100に対して運行指令を送信する。
【0041】
サーバ装置200は、通信部201、制御部202、記憶部203を有して構成される。
通信部201は、通信部105と同様の、ネットワーク経由で自律走行車両100と通信を行うための通信インタフェースである。
【0042】
制御部202は、サーバ装置200の制御を司る手段である。制御部202は、例えば、CPUによって構成される。
制御部202は、機能モジュールとして車両情報管理部2021、運行指令生成部2022、外部サービス提供部2023を有している。各機能モジュールは、ROM等の記憶手段に記憶されたプログラムをCPU(いずれも不図示)によって実行することで実現してもよい。
【0043】
車両情報管理部2021は、管理下にある複数の自律走行車両100を管理する。具体的には、所定の周期ごとに複数の自律走行車両100から位置情報を受信し、日時と関連付けて後述の記憶部203に記憶させる。また、必要に応じて、自律走行車両100の特性に関するデータ(以下、車両情報)を保持および更新する。車両情報は、例えば、自律走行車両100の識別子、用途・種別、待機地点(車庫や営業所)に関する情報、扉タイプ、車体サイズ、積載量、搭乗可能人数、満充電時における走行可能距離、現時点における走行可能距離、現在のステータス(空車、実車、走行中、営業中等)などであるが、これ以外であってもよい。
【0044】
運行指令生成部2022は、自律走行車両100の配車リクエストを外部から受けた場合に、派遣する自律走行車両100を決定し、配車リクエストに応じた運行指令を生成する。配車リクエストには、例えば、以下のようなものがあるが、これ以外であってもよい。
(1)貨客の輸送リクエスト
出発地および目的地、ないし、巡回経路を指定して、貨客の輸送を行うためのリクエストである。
(2)特定の機能を持つ自律走行車両の派遣リクエスト
店舗(例えば、飲食店、販売店、ショーケース等)、事業者の営業拠点(例えば、プライベートオフィス、営業所等)、公共施設(例えば、市役所窓口、図書館、医療拠点等)といった機能を持つ自律走行車両100に対して派遣を依頼するリクエストである。派遣先は、単一の地点であってもよいし、複数の地点であってもよい。派遣先が複数の地点である場合、当該複数の地点でそれぞれサービスを提供するものであってもよい。
(3)道路を巡回するリクエスト
設備やインフラの監視、防犯対策等のために道路を巡回するリクエストである。
【0045】
配車リクエストは、例えば、ネットワーク等を介して利用者から取得する。なお、配車リクエストの送信元は、必ずしも一般の利用者である必要はなく、例えば、自律走行車両100を運行する事業者などであってもよい。
運行指令の送信先となる自律走行車両100は、車両情報管理部2021が取得した各車両の位置情報および車両情報(どのような機能を持つ車両であるか)等に応じて決定される。
【0046】
外部サービス提供部2023は、運行指令を受信して運行中である自律走行車両100に対して、取締りリクエストに基づいた更なる運行指令を送信する。
具体的には、警察機関から送信された取締りリクエストに応じて、自律走行車両100を所定の経路に従って走行させ、周囲車両の違反情報を収集させる。なお、自律走行車両100のこのような運行を以下「違反取締り運行」と称する。この違反取締り運行の詳細な処理については後述する。
【0047】
記憶部203は、情報を記憶する手段であり、RAM、磁気ディスクやフラッシュメモ
リなどの記憶媒体により構成される。
【0048】
<通常時における運行動作>
次に、前述した各構成要素が行う処理について説明する。
図4は、利用者のリクエストに基づいてサーバ装置200が運行指令を生成し、自律走行車両100が運行を開始するまでのデータフローを説明する図である。本例では、
図5に示した道路ネットワークを自律走行車両100が運行する例を挙げて説明を行う。
【0049】
自律走行車両100は、サーバ装置200に対して周期的に位置情報を通知する。例えば、
図5の例の場合、自律走行車両100が、ノードAに位置する旨をサーバ装置200に通知し、車両情報管理部2021が、自律走行車両100とノードAを関連付けて記憶部203に記憶させる。なお、位置情報は、必ずしもノード自体の位置情報でなくてもよい。例えば、ノードやリンクを特定するための情報であってもよい。また、リンクを複数の区間に分割してもよい。また、道路ネットワークは必ずしもノードとリンクによって表されたものでなくてもよい。自律走行車両100が移動した場合、位置情報は都度更新される。
【0050】
利用者が、不図示の通信手段を介してサーバ装置200に対して配車リクエストを送信すると(ステップS11)、サーバ装置200(運行指令生成部2022)が、配車リクエストに応じて運行指令を生成する(ステップS12)。運行指令は、出発地と目的地を指定するものであってもよいし、目的地のみを指定するものであってもよい。また、走行経路を指定するものであってもよい。また、経路上にて行うべき処理や、提供すべきサービスに関する情報を含んでいてもよい。ここでは、ノードBからノードCまで人員の輸送を行うリクエストが発行されたものとする。
【0051】
ステップS13では、運行指令生成部2022が、サービスを提供する自律走行車両100を選択する。例えば、運行指令生成部2022は、記憶された自律走行車両100の位置情報および車両情報を参照し、リクエストされたサービスを提供可能であって、所定の時間以内に利用者の元へ派遣可能な自律走行車両100を決定する。ここでは、
図5に示したノードAに位置する車両が選択されたものとする。これに応じて、サーバ装置200から、対象の自律走行車両100へ運行指令が送信される(ステップS14)。
【0052】
ステップS15では、自律走行車両100(運行計画生成部1031)が、受信した運行指令に基づいて運行計画を生成する。本例の場合、例えば、
図5の実線で示した経路を走行し、ノードBおよびCにて人員を乗車および降車させ、ノードDへ帰還する旨の運行計画を生成する。生成された運行計画は走行制御部1033へ送信され、運行が開始される(ステップS16)。なお、運行中においても、サーバ装置200に対する位置情報の送信は周期的に行われる。
【0053】
なお、ここでは外部(利用者)から送信された配車リクエストに基づいて運行指令を生成する例を挙げたが、運行指令は、必ずしも外部から送信された配車リクエストに基づいて生成されなくてもよい。例えば、サーバ装置200が自律的に運行指令を生成してもよい。また、運行計画の生成は、必ずしも運行指令に基づいたものでなくてもよい。例えば、街路の監視等を行う目的で自律走行車両100を巡回させるような場合、自律走行車両100が、外部からの指示を受けずに運行計画を生成してもよい。また、運行計画の生成はサーバ装置200が行ってもよい。
【0054】
<違反取締り時における運行動作>
次に、警察機関が、サーバ装置200に対して取締りリクエストをした場合におけるシステムの動作について説明する。
まず、警察機関が、ステップS11における配車リクエストの代わりに、サーバ装置200に対して、取締りリクエスト、すなわち違反情報の収集依頼を送信する。当該情報収集依頼には、違反情報を収集する区間(収集区間)に関する情報が含まれている。
【0055】
違反情報の収集依頼を受信したサーバ装置200(外部サービス提供部2023)は、「収集区間における違反情報を取得する」旨の運行指令を生成し、ステップS12およびS13で説明した処理と同様の処理によって、違反取締り運行を行う自律走行車両100を決定する。
本例では、ノードEからノードFまでの区間EFが収集区間である。そして、ノードBに存在する自律走行車両100であって、ノードCにおいて人員を降車させる予定の自律走行車両100が、違反取締り運行を行う自律走行車両100として選択されたものとする。
【0056】
図6は、取締りリクエストを受信した自律走行車両100が行う処理のフローチャート図である。
まず、ステップS21で、取締りリクエストを受諾するか否かを決定する。例えば、自律走行車両100が医療機関向けの車両であり、患者の搬送を行っているなど、緊急度の高い状態にあった場合、取締りリクエストを受諾しないほうがよい場合がある。このような場合、取締りリクエストを受諾しない旨の決定を行ってもよい。また、乗車中の利用者などに対して問い合わせを行い、同意が得られた場合にのみ取締りリクエストを受諾するようにしてもよい。
【0057】
ステップS22では、違反取締り運行計画を生成し、すなわち取締りリクエストに基づいた走行経路を生成し、該走行経路に従って収集区間へ向かって走行する。ここでは、収集区間EFを含んだ走行経路が生成され、自律走行車両100は、該区間EFへ向かって走行する。本例では、
図5の実線で示されるように、ノードBからノードEに向かい、区間EFを走行して、ノードFからノードCに向かう走行経路が生成される。なお、この走行経路は、取締りリクエストを受信する前に、人員輸送のリクエストに基づいて計画されていた自律走行車両100の走行経路と同一となることもある。また、人員輸送のリクエストに基づいて従前計画されていた走行経路が、仮にノードBからノードGおよびノードFを経由してノードCに向かう経路であった場合には、ステップS22の処理によって、ノードBからノードEに向かい、区間EFを走行して、ノードFからノードCに向かう走行経路に変更される。
【0058】
そして、自律走行車両100は、区間EFを走行中、周囲車両の運転情報を取得することによって、周囲車両の交通違反を監視する(ステップS23)。本例では、自律走行車両100は、周囲車両の速度を前記運転情報として取得し、周囲車両の法定速度に対する速度超過を前記交通違反として検出する。
自律走行車両100は、該車両の前方、後方に設けられたセンサ101に含まれるレーダを用いて、該車両の前方および後方を走行する車両の速度を取得することができる。例えば、自律走行車両100は、該車両の前方を走行する車両に対して電波を照射し、反射した電波の周波数から前方を走行する車両の速度を算出する。
または、自律走行車両100は、該車両の前方、後方、左右側方のそれぞれに設けられたセンサ101に含まれるステレオカメラを用いて、周囲車両をトラッキングすることによって、該周囲車両の速度を取得することができる。
なお、本実施形態では、これらに限定する意図はなく、自律走行車両100は、周知の手法を用いて周囲車両の速度を取得することができる。
【0059】
ここで、サーバ装置200から自律走行車両100に送信される取締りリクエストが、上記の速度超過の取締りである場合、区間EFの法定速度に関する情報が該取締りリクエ
ストに含まれる。ただし、取締りリクエストに法定速度に関する情報が含まれていなくてもよく、その場合には、自律走行車両100は、環境検出部1032によって道路標識等を検出することによって、法定速度を取得することができる。
そして、自律走行車両100は、センサ101によって取得した周囲車両の速度と、区間EFの法定速度と、に基づいて、周囲車両の交通違反を検出する。このような交通違反の検出は、環境検出部1032によって行われる。
【0060】
また、検出された交通違反に基づいて実際に違反車両を取締るためには、違反車両を特定する必要がある。
そこで、自律走行車両100は、ステップS24で周囲車両の交通違反を検出した場合、カメラ107を用いて該違反車両に関する画像を取得する(ステップS25)。この画像は、違反車両を特定するために使用される画像であって、該違反車両のナンバープレートの画像を含む。また、これに加えて、該違反車両の運転者の画像を含めることができる。更に、上記画像には、該違反車両の外観画像や該違反車両の周囲環境の画像が含まれてもよい。
【0061】
そして、ステップS26で、自律走行車両100は、違反車両の違反情報をサーバ装置200に送信する。なお、違反情報には、違反車両の速度情報および違反車両に関する画像が含まれる。これにより、サーバ装置200は、自律走行車両100によって検出された交通違反の内容を取得するとともに、違反車両を特定することができる。
そして、違反情報は、サーバ装置200から警察機関に転送される。なお、違反情報を受信した警察機関は、違反者に対して交通違反の内容を後で通知してもよい。または、交通違反の内容から急な取締りを要すると判断される場合には、直ぐに警察官を違反車両に向かわせてもよい。この場合、サーバ装置200は、悪質な交通違反に対して急な取締りを要する旨の情報を付して、違反情報を警察機関に転送することができる。
【0062】
自律走行車両100は、ステップS27で収集区間EFの走行を完了した場合、通常運行に復帰する。
【0063】
以上説明したように、第一の実施形態によると、運行中の自律走行車両100に対して取締りリクエストを与えることで、該車両の周囲車両の交通違反を監視する移動体として機能させることができる。このような移動体を複数台介して交通違反の取締り網を任意に構築することによって、車両の交通違反を好適に取締ることが可能となる。
【0064】
(第二の実施形態)
上述した第一の実施形態は、自律走行車両100の周囲車両の法定速度に対する速度超過を交通違反として検出する例である。これに対して、本実施形態は、周囲車両の車間距離不保持を交通違反として検出する例である。これについて、以下に詳しく説明する。
【0065】
自律走行車両100は、該自律走行車両100の側方を通過する複数の通過車両をセンシングすることで、該複数の通過車両間の車間距離を取得する。そして、自律走行車両100は、必要以上に先行車両との車間距離を詰めている車両、いわゆる煽り運転をしている車両を検出する。
【0066】
ここで、自律走行車両100は、該車両の側方に設けられたセンサ101に含まれるレーダを用いて、該車両の側方を通過する複数の通過車両をセンシングすることができる。例えば、自律走行車両100は、側方に向かって電波を照射し、反射した電波を受信するまでの時間に基づいて、該車両の側方を通過する車両が存在するか否かを判別する。自律走行車両100は、このようなセンシングを走行しながら継続して行うことで、該車両の側方を通過する複数の通過車両をセンシングすることができる。そして、センシングした
データに基づいて、複数の通過車両間の車間距離を取得することができる。
または、自律走行車両100は、該車両の前方、後方、左右側方のそれぞれに設けられたセンサ101に含まれるステレオカメラを用いて、周囲車両をトラッキングすることによって、該車両の側方を通過する複数の通過車両間の車間距離を取得することができる。
なお、本実施形態では、これらに限定する意図はなく、自律走行車両100は、周知の手法を用いて車間距離を取得することができる。
【0067】
そして、自律走行車両100は、第一の実施形態で述べた
図6に示される処理フローを行うことで、違反取締り運行を行うことができる。これにより、車両の交通違反を好適に取締ることが可能となる。
【0068】
(第三の実施形態)
図3に示したように、自律走行車両100は車外ディスプレイを有しており、映像出力部106を介して映像を出力することができる。
そこで、本実施形態では、サーバ装置200が有する運行指令生成部2022が、車外ディスプレイに表示させる映像データを生成ないし取得し、当該映像データを含む運行指令を生成する。そして、自律走行車両100は、映像出力部106を用いて交通に関する所定の啓発を報知しながら走行することができる。
自律走行車両100は、
図7Aに示すように、周囲車両に交通ルールの遵守を促す啓発を報知してもよいし、
図7Bに示すように、該自律走行車両100が違反取締り運行を行っていることを報知してもよい。
【0069】
なお、本実施形態では、映像によって報知を行う例を挙げたが、音声等を併用してもよい。例えば、自律走行車両100が車外スピーカを有している場合、音声によって周辺に報知してもよい。なお、映像データや音声データは、運行指令に含ませてもよいし、自律走行車両100が記憶しているものを利用してもよい。
【0070】
自律走行車両100がこのような報知を行うことで、交通違反の発生を抑制することができる。
【0071】
(第四の実施形態)
上述した第一の実施形態は、自律走行車両100とサーバ装置200とを含んで構成される情報収集システムの例である。これに対して、本実施形態は、自律走行車両100を含んで構成される情報収集装置の例である。これについて、以下に詳しく説明する。
【0072】
本実施形態に係る自律走行車両100は、不図示の記憶部を有している。そして、該記憶部には、運行指令が予め記憶されている。なお、この記憶部は、情報を記憶する手段であり、RAM、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体により構成される。
ここで、運行指令は、予め警察機関によって生成された違反取締り運行の計画であって、例えば、「指定日時において収集区間における違反情報を取得する」旨の運行計画である。
【0073】
図8は、本実施形態において自律走行車両100が行う処理のフローチャート図である。
指定日時において収集区間を走行する自律走行車両100は、収集区間を走行しながら周囲車両の運転情報を取得することによって、周囲車両の交通違反を監視する(ステップS31)。これは、第一の実施形態で述べたステップS23と同一の処理である。
【0074】
そして、自律走行車両100は、ステップS32で周囲車両の交通違反を検出した場合、カメラ107を用いて該違反車両に関する画像を取得する(ステップS33)。これは
、第一の実施形態で述べたステップS25と同一の処理である。
【0075】
そして、ステップS34で、自律走行車両100は、違反車両の違反情報を記憶部に記憶する。なお、違反情報には、違反車両の運転情報および違反車両に関する画像が含まれる。
自律走行車両100は、ステップS35で収集区間の走行が完了するまで、違反取締り運行を継続する。
【0076】
なお、警察機関は、自律走行車両100の記憶部にアクセスし、該記憶部に記憶された違反情報を取得することによって、交通違反を取締ることができる。
【0077】
(変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0078】
例えば、実施形態の説明では、自律走行車両100が周囲車両の交通違反を検出した場合、該自律走行車両100は、該違反車両のナンバープレートの画像(および該違反車両の運転者の画像)を取得するとしたが、このような画像の取得が困難な場合も考え得る。この場合、自律走行車両100は、違反車両の外観画像や違反車両の周囲環境の画像を取得し、これら画像をサーバ装置200に送信してもよい。
サーバ装置200は、自律走行車両100から送信された画像によって違反車両を特定することが可能か否かを判定する。仮に、サーバ装置200によって違反車両を特定することができないと判定された場合であっても、警察機関は、サーバ装置200から提供された画像および該画像が取得された位置情報と、例えば、道路に設置された自動車ナンバー自動読取装置からの情報と、に基づいて、違反車両を特定し得る。
【0079】
また、サーバ装置200は、一台のみの自律走行車両100からの画像では、違反車両を特定することができない場合、複数の自律走行車両100に該違反車両に関する画像を取得させることで、該違反車両を特定するようにしてもよい。この場合、サーバ装置200は、違反車両の画像を取得した自律走行車両100から送信される位置情報に基づいて、該違反車両を取締るその他の自律走行車両100を決定し、該違反車両に向かわせることができる。
【0080】
また、実施形態の説明では、自律走行車両100が有するカメラによって画像を撮像したが、画像の撮像に用いるカメラは車両に固定されたものでなくてもよい。例えば、ドローン等の無人機を用いて画像の撮像を行ってもよい。自律走行車両100は、このための無人機の発着ベースを有していてもよい。
【符号の説明】
【0081】
100・・・自律走行車両
101・・・センサ
102・・・位置情報取得部
103・・・制御部
104・・・駆動部
105,201・・・通信部
106・・・映像出力部
107・・・カメラ
200・・・サーバ装置
202・・・制御部
203・・・記憶部