(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】サポートリング付き容器のサポートリング検査装置及びサポートリング検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
G01N21/90 A
(21)【出願番号】P 2018060535
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2021-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】高津 勝志
(72)【発明者】
【氏名】岩田 紗代子
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0126060(US,A1)
【文献】特開昭60-003542(JP,A)
【文献】特開2005-308441(JP,A)
【文献】特開2009-121888(JP,A)
【文献】特開2003-114198(JP,A)
【文献】特開2008-249568(JP,A)
【文献】特開2014-228466(JP,A)
【文献】特開2006-313146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状の突出部分であるサポートリングをネック部分に有するサポートリング付き容器のサポートリング検査装置であって、
前記サポートリングの上方から第1の光を照射する第1光源と、
前記サポートリングの側方から第2の光を照射する第2光源と、
前記サポートリングからの前記第1の光の反射光による第1検査画像及び前記第2の光の反射光による第2検査画像を
波長分離又は時分割撮像によって取得するカメラと、
前記第1検査画像及び前記第2検査画像に基づいて前記サポートリングの欠陥を検出する検査部と、
を備えた、サポートリング付き容器のサポートリング検査装置。
【請求項2】
前記第1の光と前記第2の光とは互いに異なる波長を有する、請求項1に記載のサポートリング検査装置。
【請求項3】
前記検査部は、前記第1検査画像と前記第2検査画像とを差分処理した第3検査画像に基づいて前記サポートリングの検査領域を設定する、請求項1又は2に記載のサポートリング検査装置。
【請求項4】
前記検査部は、前記第1検査画像又は前記第1検査画像と前記第2検査画像とを差分処理した第3検査画像に基づいて前記サポートリングの切欠きマーク領域を検出する、請求項1から3のいずれか一項に記載のサポートリング検査装置。
【請求項5】
前記検査部は、前記第1検査画像及び前記第2検査画像について、検出された前記切欠きマーク領域をマスクしてそれ以外の領域について前記サポートリングの欠陥を検出する、請求項4に記載のサポートリング検査装置。
【請求項6】
円環状の突出部分であるサポートリングをネック部分に有するサポートリング付き容器のサポートリング検査方法であって、
前記サポートリングの上方から第1の光を照射するステップと、
前記サポートリングの側方から第2の光を照射するステップと、
前記サポートリングからの前記第1の光の反射光による第1検査画像及び前記第2の光の反射光による第2検査画像を
波長分離又は時分割撮像によって取得するステップと、
前記第1検査画像及び前記第2検査画像に基づいて前記サポートリングの欠陥を検出するステップと、
を含む、サポートリング付き容器のサポートリング検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サポートリング付き容器のサポートリングを検査する検査装置及びサポートリング検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットボトル等の多くの容器では、ネック部分にサポートリング又はネックリングと呼ばれる円環状の突出部分を有する。このサポートリングは、容器の製造段階でネック部分を支持するために用いられる。また、サポートリングには、キャップを閉栓する際の巻締位置確認のための目印となる切欠きマークが設けられることがある。さらに、このサポートリングは、容器を持つ、あるいは、開栓する等の場合に、手に触れる箇所であるので、キズや割れ等の検査を行うことが望ましい。
【0003】
従来、例えば、ネックリングに環状照明100で均一に光を照射して、ネックリングが基準形状を有しているか判定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、サポートリング上方からリングフラット照明で照射して、サポートリングの異常を検出する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、上方からの照明及び撮影でボトルの巻締角度確認マーク及びキャップの巻締角度確認マークを認識し、巻締状態の良否を判定する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-308441号公報
【文献】特開2009-121888号公報
【文献】特許第4217399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術ではサポートリングの破損等の異常は検査できるが、サポートリング上面のキズ等の欠陥が検出できない。また、サポートリング外周に発生するバリ欠陥は、手で触ったときに違和感を生じやすいため、検査することが望ましいが、小さなバリ欠陥を高精度に検出することは難しい。また、サポートリングに存在する切欠きマーク(ネックリングインジケータ)とバリ、キズ等との判別が難しく、検査精度が低下する。
【0006】
そこで、本発明の目的は、バリ、欠け、キズ等の形状欠陥と、上面の黒点、汚れ及び異物等の欠陥とを同時に検出できると共に、切欠きマークも判別でき、高い検査精度を有するサポートリング付き容器のサポートリング検査装置及びサポートリング検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るサポートリング付き容器のサポートリング検査装置は、サポートリング付き容器のサポートリングの上方から第1の光を照射する第1光源と、
前記サポートリングの側方から第2の光を照射する第2光源と、
前記サポートリングからの前記第1の光の反射光による第1検査画像及び前記第2の光の反射光による第2検査画像を取得するカメラと、
前記第1検査画像及び前記第2検査画像に基づいて前記サポートリングの欠陥を検出する検査部と、
を備える。
【0008】
本発明に係るサポートリング付き容器のサポートリング検査方法は、サポートリング付き容器のサポートリングの上方から第1の光を照射するステップと、
前記サポートリングの側方から第2の光を照射するステップと、
前記サポートリングからの前記第1の光の反射光による第1検査画像及び前記第2の光の反射光による第2検査画像を取得するステップと、
前記第1検査画像及び前記第2検査画像に基づいて前記サポートリングの欠陥を検出するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るサポートリング付き容器のサポートリング検査装置及びサポートリング付き容器のサポートリング検査方法によれば、形状欠陥だけでなく、上面の欠陥も検出できると共に、切欠きマークも判別でき、高い検査精度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係るサポートリング付き容器のサポートリング検査装置の構成を示す概略図である。
【
図2A】
図1のサポートリング検査装置の検査部の物理的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図2B】
図1のサポートリング検査装置の検査部の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】サポートリングからの第1の光の反射光及び第2の光の反射光の合成画像の模式図である。
【
図4】サポートリングからの第1の光の反射光による第1検査画像の模式図である。
【
図5】サポートリングからの第2の光の反射光による第2検査画像の模式図である。
【
図6】サポートリングからの第1の光の反射光による第1検査画像と第2の光の反射光による第2検査画像との差分である第3検査画像の模式図である。
【
図7】実施の形態1に係るサポートリング検査方法のフローチャートである。
【
図8】サポートリングからの第1の光の反射光による別例の第1検査画像の模式図である。
【
図9】サポートリングからの第2の光の反射光による別例の第2検査画像の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の態様に係るサポートリング付き容器のサポートリング検査装置は、サポートリング付き容器のサポートリングの上方から第1の光を照射する第1光源と、
前記サポートリングの側方から第2の光を照射する第2光源と、
前記サポートリングからの前記第1の光の反射光による第1検査画像及び前記第2の光の反射光による第2検査画像を取得するカメラと、
前記第1検査画像及び前記第2検査画像に基づいて前記サポートリングの欠陥を検出する検査部と、
を備える。
【0012】
第2の態様に係るサポートリング付き容器のサポートリング検査装置は、上記第1の態様において、前記第1の光と前記第2の光とは互いに異なる波長を有してもよい。
【0013】
第3の態様に係るサポートリング付き容器のサポートリング検査装置は、上記第1又は第2の態様において、前記検査部は、前記第1検査画像と前記第2検査画像とを差分した第3検査画像に基づいて前記サポートリングの検査領域を設定してもよい。
【0014】
第4の態様に係るサポートリング付き容器のサポートリング検査装置は、上記第1から第3のいずれかの態様において、前記検査部は、前記第1検査画像又は前記第1検査画像と前記第2検査画像とを差分処理した第3検査画像に基づいて前記サポートリングの切欠きマーク領域を検出してもよい。
【0015】
第5の態様に係るサポートリング付き容器のサポートリング検査装置は、上記第4の態様において、前記検査部は、前記第1検査画像及び前記第2検査画像について、検出された前記切欠きマーク領域をマスクしてそれ以外の領域について前記サポートリングの欠陥を検出してもよい。
【0016】
第6の態様に係るサポートリング付き容器のサポートリング検査方法は、サポートリング付き容器のサポートリングの上方から第1の光を照射するステップと、
前記サポートリングの側方から第2の光を照射するステップと、
前記サポートリングからの前記第1の光の反射光による第1検査画像及び前記第2の光の反射光による第2検査画像を取得するステップと、
前記第1検査画像及び前記第2検査画像に基づいて前記サポートリングの欠陥を検出するステップと、
を含む。
【0017】
以下、実施の形態に係るサポートリング付き容器のサポートリング検査装置及びサポートリング検査方法について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るサポートリング付き容器10のサポートリング検査装置20の構成を示す概略図である。なお、便宜上、サポートリング付き容器10のサポートリング4に沿った方向をx方向とし、サポートリング4に垂直な方向をy方向とし、紙面に垂直な方向をz方向としている。
このサポートリング検査装置20は、第1光源12と、第2光源14と、カメラ16と、検査部18と、を備える。第1光源12によって、サポートリング付き容器10のサポートリング4の上方から第1の光13(-y方向)を照射する。第2光源14によって、サポートリング4の側方から第2の光15を照射する。カメラ16によって、サポートリング4からの第1の光13の反射光による第1検査画像及び第2の光15の反射光による第2検査画像を取得する。検査部18によって、第1検査画像(
図4、
図8)及び第2検査画像(
図5、
図9)に基づいてサポートリング4の欠陥42~44及び47~48を検出する。
このサポートリング検査装置20によれば、バリ、欠け、異物等の形状欠陥だけでなく、上面のキズ、黒点等の欠陥も検出できると共に、切欠きマークも判別でき、高い検査精度を有する。
【0019】
以下に、このサポートリング付き容器のサポートリング検査装置20を構成する部材について説明する。
【0020】
<サポートリング付き容器>
検査の対象となるサポートリング付き容器10としては、例えば、サポートリングを有するペットボトル等の容器、及び、該容器のプリフォーム等が挙げられる。なお、上記容器としては、例えば飲料用容器を含むが、これに限られない。
【0021】
<プリフォーム>
プリフォーム10は、例えば、ペットボトル等の容器の前駆体であるプリフォームである。このプリフォーム10は、例えば、樹脂材料を射出成形等によって成形される。
図1に示すように、プリフォーム10は、口部1、胴部(側壁)2、底部3、及び、サポートリング4を有する。口部1及びサポートリング4は、その後の高圧流体を吹き込んで延伸する場合にもそのまま維持され、ペットボトル等の口部及びサポートリングとなる。
図3の模式図では、サポートリング4の上面の黒点42、内部又は上面のキズ43、44等が存在している様子を示している。なお、欠陥としては、例えば、バリ47、48、欠け等の形状欠陥と、上面の黒点42、キズ43、44、汚れ、異物等の欠陥とを含む。バリ47、48、欠けキズ等の欠陥は、サポートリング4の側方からの第2の光15の反射光による第2検査画像(
図5、
図9)によって主に検出できる。また、上面の黒点42、汚れ、異物等の欠陥は、サポートリング4の上方からの第1の光13の反射光による第1検査画像(
図4、
図8)によって主に検出できる。なお、サポートリング4の傾斜等の条件によって第1検査画像及び第2検査画像から検出できる欠陥は異なる場合がある。
【0022】
<第1光源>
第1光源12は、プリフォーム10の上方から第1の光13を照射するように配置される。第1光源12は、プリフォーム10の口部1及びサポートリング4を含む上部全体を照射できるフラット形状の光源、例えば、面光源であってもよい。なお、カメラ16をプリフォーム10の上方に配置しているので、プリフォーム10の鉛直上方部分には開口を設けておく。第1光源12のサポートリング4への照射角度は、鉛直方向(
図1のy軸方向)について30度以内であることが好ましい。また、第1光源12には、例えば、ランプ、LED等の通常の光源であれば使用できる。好ましくは拡散光を照射する拡散照明がよい。具体的には、フラット照明(CCS製TH2-150X150RD-CR35:幅162mm×奥行き162mm×高さ15mm)等を用いることができる。このフラット照明12とプリフォーム10の口部1の頂部との間隔d1は約50mmである。また、第1の光13は、例えば、赤色光であってもよい。なお、サポートリング4の上面は僅かな傾斜を有する場合があるため、正反射光成分の強い同軸落射照明よりは、均一な拡散反射光を得られる面照明の方が好ましい。
【0023】
<第2光源>
第2光源14によって、サポートリング4の側方上部から第2の光15を照射する。この第2光源14は、サポートリング4の側方からその全周にわたって照射するので、環状形状を有することが好ましい。第2光源14のサポートリング4への照射角度は、鉛直方向(
図1のy軸方向)について45度以上の角度をなすローアングルであることが好ましい。また、第2光源14には、第1光源と同様に、例えば、ランプ、LED等の通常の光源であれば使用できる。具体的には、リング照明(CCS製LDR2-208BL2-LA:外径φ208mm、内径φ174mm、高さ22mm)等を用いることができる。このリング照明14とプリフォーム10の口部1の頂部との間隔d2は約10mmである。また、第2の光15は、第1の光と異なる波長であればよく、例えば、青色光であってもよい。なお、第1の光13の波長と第2の光15の波長とは互いに入れ替えてもよい。
【0024】
<カメラ>
図3は、サポートリング4からの第1の光13の反射光及び第2の光15の反射光の合成画像の模式図である。
図4は、サポートリング4からの第1の光13の反射光による第1検査画像の模式図である。
図5は、サポートリング4からの第2の光15の反射光による第2検査画像の模式図である。
図6は、サポートリング4からの第1の光13の反射光による第1検査画像と第2の光の反射光による第2検査画像との差分である第3検査画像の模式図である。
図8は、サポートリング4からの第1の光13の反射光による別例の第1検査画像の模式図である。
図9は、サポートリング4からの第2の光の反射光による別例の第2検査画像の模式図である。
カメラ16は、
図1に示すように、サポートリング4に対して第1光源12と同じ上方に配置される。また、カメラ16は、サポートリング4に対して環状形状の第2光源14の中心軸の鉛直上方に配置される。カメラ16によって、サポートリング4からの第1の光13の反射光による第1検査画像(
図3、
図8)と、第2の光15の反射光による第2検査画像(
図4、
図9)とを得る。具体的には、第1の光13の反射光と第2の光15の反射光とを同時に撮像する場合には、第1の光13と第2の光15をサポートリング4に同時に照射して1回の撮像を行い1枚の撮像画像を取得する。得られた撮像画像(
図3)から波長分離によってそれぞれの検査画像を得る。つまり、第1の光13の反射光から第1検査画像(
図3、
図8)を取得し、第2の光15の反射光から第2検査画像(
図4、
図9)を取得する。
カメラ16は、エリアカメラであって、例えば、CCD、CMOS等の撮像素子と、撮像素子を制御する撮像制御手段とを含んでもよい。また、第1の光13の反射光と、第2の光15の反射光とを切り替えてそれぞれ別々のタイミングで撮像してもよい。この場合には、第1の光13と第2の光15とは、同一波長の光であってもよい。
【0025】
<検査部>
図2Aは、
図1のサポートリング検査装置20の検査部18の物理的な構成の一例を示すブロック図である。
図2Bは、
図1のサポートリング検査装置20の検査部18の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
検査部18は、第1光源12、第2光源14及びカメラ16と接続されている。また、検査部18は、第1検査画像及び第2検査画像に基づいてサポートリング4の欠陥を検出するサポートリング欠陥検出部31を有する。このサポートリング欠陥検出部31は、さらに、第1検査画像に基づいてサポートリング4の上面の黒点42、汚れ又は異物を検出する第1検査画像検査部32を含む。また、第2検査画像に基づいてサポートリング4のバリ47,48、欠け及びキズ欠陥のうち少なくとも1種類の欠陥を検出する第2検査画像検査部を含む。
【0026】
また、検査部18は、第1検査画像(
図4)から第2検査画像(
図5)を差分した第3検査画像(
図6)を生成する第3検査画像生成部34を有してもよい。差分は、第1検査画像(
図4)の各画素の輝度値から第2検査画像(
図5)の各画素の輝度値を差し引いてもよい。あるいは、第1検査画像の各画素の輝度値と第2検査画像の各画素の輝度値との差の絶対値を第3検査画像の各画素の輝度値としてもよい。さらに、第3検査画像(
図6)に基づいてサポートリング4の切欠きマーク領域41を検出する切欠きマーク領域検出部35を含んでもよい。切欠きマーク領域検出部35では、あらかじめ切欠きマーク領域41の形状を設定しておき、設定された切欠きマーク領域41の形状とのマッチングによって切欠きマーク領域41を検出してもよい。またさらに、第1検査画像(
図4)及び第2検査画像(
図5)について、検出された切欠きマーク領域41をマスクする切欠きマーク領域マスク部36を含んでもよい。これによって切欠きマーク領域を欠陥として誤認識することを抑制できる。
この検査部18は、例えば、電気回路によって物理的な構成として実現してもよい。あるいは、コンピュータ上で動作するコンピュータソフトウエアによって実現してもよい。コンピュータは、通常の構成要素であるCPU21、ROM、RAM等のメモリ22、ハードディスク等の記憶部23、表示部24、入力部25、インタフェース26等のうち上記動作を実行できる必要最小限の機能を有していればよい。
【0027】
<第1検査画像>
図4及び
図8の第1検査画像は、サポートリング4の上方からの第1の光13の反射光による画像である。この場合、サポートリング4の上方からの第1の光13は、サポートリング4の上面で反射され、その反射光が上方に配置されたカメラ16によって撮像される。第1の光13の反射光による第1検査画像では、サポートリング4の上面の情報が主に得られる。
図4に示すように、サポートリング4及び口部1が反射して反射光によってほぼ白色となっている。また、
図4では、上面の切欠きマーク41と、黒点42と、切れ目45、46が黒い点又は黒い線として現れる。
なお、切欠きマーク41はサポートリング4の上面にある場合が多いので、第1検査画像において、切欠きマーク41が識別できる。この場合、あらかじめ切欠きマーク41の形状はわかっているので、パターンマッチングによって切欠きマーク41を特定できる。
【0028】
<第2検査画像>
図5及び
図9の第2検査画像は、サポートリング4の側方からの第2の光15の反射光による画像である。この場合、サポートリング4の側方からの第2の光15は、サポートリングや口部の側壁面で拡散反射された光が上方に配置されたカメラ16によって撮像される。第2の光15の反射光による第2検査画像では、サポートリング4のバリ47,48、欠け及びキズ等の形状欠陥の情報が得られる。拡散反射光は、サポートリング4の側方から内部に入り、上方に反射された光を含む。このため、
図5では、
図4よりもサポートリング4の上面部分は暗くなる。一方、口部1は、サポートリング4よりさらに上方にあるため、照射角度がより浅く、ローアングルとなり、サポートリング4よりも明るくなっている。このことから、第2検査画像において、サポートリング4と口部1とを区別することができる。また、
図5では、サポートリング4の内部のキズ43,44による反射で明るくなった線状の欠陥が現れている。また、サポートリング4の側方に突出するバリ47、48があると、側方からの第2の光15がバリ47、48で反射された白色の突出部が観測される。
図9では、バリ47、48が、サポートリング4の外縁から突出する白色の突出部として現れている。
なお、切欠きマーク41はサポートリング4の上面にある場合が多いので、第2検査画像では、切欠きマーク41を明瞭に識別できない場合がある。
【0029】
<第3検査画像>
図6の第3検査画像は、
図4の第1検査画像と
図5の第2検査画像とを差分処理した画像である。具体的には、第3検査画像は、第1検査画像(
図4)の輝度から第2検査画像(
図5)の輝度を差し引いて得られる。
図6に示すように、第1検査画像(
図4)と第2検査画像(
図5)との間でその輝度が異なるサポートリング4の上面にあたる領域のみが明るくなっている。そこで、第3検査画像によってサポートリング4の検査領域を特定できる。
また、第3検査画像は、第1検査画像に比べて切欠きマーク41のエッジ部分が強調されており、切欠きマーク41を比較的明瞭に識別できる。この場合、あらかじめ切欠きマーク41の形状はわかっているので、パターンマッチングによって切欠きマーク41を特定できる。そこで、第3検査画像(
図6)に基づいて切欠きマーク41を検出し、第1検査画像及び第2検査画像において、その領域をマスクすることで、切欠きマーク41を欠陥として誤検出することを抑制できる。
なお、サポートリング4の切欠きマーク41の検出は、第1検査画像又は第3検査画像のいずれで行ってもよい。
【0030】
<サポートリングの検査方法>
図7は、実施の形態1に係るサポートリング付き容器10のサポートリング4の検査方法のフローチャートである。
(1)サポートリング付き容器10のサポートリング4の上方から第1光源12によって第1の光13を照射する(S01)。具体的には、サポートリング4の鉛直上方に設けられたフラット形状の第1光源12から第1の光13、例えば赤色光を照射する。
(2)サポートリング4の側方から第2光源14によって第2の光15を照射する(S02)。具体的には、サポートリング4の側方上部に設けられた環状形状の第2光源14から第2の光15、例えば青色光を照射する。
(3)サポートリング4からの第1の光13の反射光による第1検査画像及び第2の光15の反射光による第2検査画像をカメラ16によって取得する(S03)。具体的には、カメラ16において、第1の光13の反射光と第2の光15の反射光とを同時に撮像する場合には、第1の光13の反射光と第2の光15の反射光とを波長分離によってそれぞれの撮像画像を得る。つまり、第1の光13の反射光から第1検査画像を取得し、第2の光15の反射光から第2検査画像を取得する。なお、時分割撮像の場合は、第1の光13の反射光と、第2の光15の反射光とを切り替えてそれぞれ別々のタイミングで撮像して、第1の光13の反射光による第1検査画像及び第2の光15の反射光による第2検査画像を取得する。
(4)第1検査画像及び第2検査画像に基づいてサポートリング4の欠陥を検出する(S04)。具体的には、第1検査画像に基づいてサポートリング4の上面の黒点42又は汚れ、異物欠陥を検出する。また、第2検査画像に基づいてサポートリング4のバリ47,48、欠け及びキズのうち少なくとも1種類の欠陥を検出する。
以上によって、サポートリング付き容器10のサポートリング4の欠陥42~48を検出することができる。
【0031】
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係るサポートリング検査装置及びサポートリング検査方法によれば、バリ、欠け、キズ等の形状欠陥と、上面の黒点、異物、汚れ等の欠陥とを同時に検出できると共に、切欠きマークも判別でき、高い検査精度を有する。
【符号の説明】
【0033】
1 口部
2 胴部(側壁)
3 底部
4 サポートリング
10 サポートリング付き容器(プリフォーム)
12 第1光源
13 第1の光
14 第2光源
15 第2の光
16 カメラ
18 検査部
20 サポートリング検査装置
21 CPU
22 メモリ
23 記憶部
24 表示部
25 入力部
26 インタフェース
31 サポートリング欠陥検出部
32 第1検査画像検査部
33 第2検査画像検査部
34 第3検査画像生成部
35 切欠きマーク領域検出部
36 切欠きマーク領域マスク部
41 切欠きマーク
42 黒点
43 キズ1
44 キズ2
45、46 切れ目(われ目)
47、48 バリ