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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】厚み検知装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20220315BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20220315BHJP
   G07D 7/164 20160101ALI20220315BHJP
   G07D 7/00 20160101ALI20220315BHJP
【FI】
B65H7/02
B65H5/06 D
G07D7/164
G07D7/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018061124
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019172413
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】牟田 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】田淵 義啓
(72)【発明者】
【氏名】辰己 元大
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4819162(JP,B2)
【文献】特開2001-341911(JP,A)
【文献】特開2009-242026(JP,A)
【文献】実開平01-109030(JP,U)
【文献】特開2011-184124(JP,A)
【文献】特開2002-356242(JP,A)
【文献】特開2006-089202(JP,A)
【文献】特開平03-106737(JP,A)
【文献】特開平04-072246(JP,A)
【文献】特開平03-162343(JP,A)
【文献】特開2005-001827(JP,A)
【文献】特開2005-219904(JP,A)
【文献】特開2008-044678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00
B65H 5/00
B65H 43/00
G07D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準ローラと複数の検知ローラの間を搬送される紙葉類の厚みを前記検知ローラの移動量に基づいて検知する厚み検知装置であって、
前記基準ローラに対向する少なくとも1つの前記検知ローラを回転可能に支持する複数の検知ブロックと、
前記複数の検知ブロックを回動可能に支持する支持軸と、
前記複数の検知ブロックを間に挟んで前記支持軸を保持する保持部と、
前記検知ローラを前記基準ローラの方へ付勢するための付勢部材と、
前記基準ローラに対する前記検知ローラの移動量を検知するセンサ部と、
前記保持部の間にあって前記支持軸の振動を抑止する抑止部材と
を備え
前記抑止部材は、前記保持部に固定される固定面と、前記支持軸を保持する支持面との2つの面を接続した形状を有し、
前記保持部に、前記固定面及び前記支持面のそれぞれに対応する2つの面を有する固定部が形成され、
前記抑止部材は、前記支持面の少なくとも一部を前記固定部の一方の面と接触させると共に、前記固定面の少なくとも一部を前記固定部の他方の面と接触させた状態で、前記保持部に固定される
ことを特徴とする厚み検知装置。
【請求項2】
前記抑止部材は、さらに前記支持面及び前記固定面とは異なる面の少なくとも一部を前記保持部と接触させた状態で、前記保持部に固定されることを特徴とする請求項1に記載の厚み検知装置。
【請求項3】
前記異なる面とは、前記支持面の上縁を構成する面であることを特徴とする請求項2に記載の厚み検知装置。
【請求項4】
前記抑止部材は、前記抑止部材の前記支持面に形成された貫通穴に前記支持軸を挿通して支持することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の厚み検知装置。
【請求項5】
基準ローラと複数の検知ローラの間を搬送される紙葉類の厚みを前記検知ローラの移動量に基づいて検知する厚み検知装置であって、
前記基準ローラに対向する少なくとも1つの前記検知ローラを回転可能に支持する複数の検知ブロックと、
前記複数の検知ブロックを回動可能に支持する支持軸と、
前記複数の検知ブロックを間に挟んで前記支持軸を保持する保持部と、
前記検知ローラを前記基準ローラの方へ付勢するための付勢部材と、
前記基準ローラに対する前記検知ローラの移動量を検知するセンサ部と、
前記保持部の間にあって前記支持軸の振動を抑止する抑止部材と
を備え、
締結部材によって前記支持軸を前記抑止部材に固定することを特徴とする厚み検知装置。
【請求項6】
前記締結部材はネジであることを特徴とする請求項に記載の厚み検知装置。
【請求項7】
基準ローラと複数の検知ローラの間を搬送される紙葉類の厚みを前記検知ローラの移動量に基づいて検知する厚み検知装置であって、
前記基準ローラに対向する少なくとも1つの前記検知ローラを回転可能に支持する複数の検知ブロックと、
前記複数の検知ブロックを回動可能に支持する支持軸と、
前記複数の検知ブロックを間に挟んで前記支持軸を保持する保持部と、
前記検知ローラを前記基準ローラの方へ付勢するための付勢部材と、
前記基準ローラに対する前記検知ローラの移動量を検知するセンサ部と、
前記保持部の間にあって前記支持軸の振動を抑止する抑止部材と
を備え、
前記支持軸は複数の軸により構成され、前記抑止部材が2つの前記軸を支持することを特徴とする厚み検知装置。
【請求項8】
前記抑止部材は、前記保持部に固定されていることを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の厚み検知装置。
【請求項9】
前記支持軸は、前記保持部が前記支持軸の端部を保持する位置と、前記抑止部材が前記支持軸の振動を抑止する位置との間で、少なくとも1つの前記検知ブロックを支持することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の厚み検知装置。
【請求項10】
前記抑止部材は、前記支持軸の少なくとも一部を前記抑止部材に接触させて、前記支持軸を支持することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の厚み検知装置。
【請求項11】
前記複数の検知ローラは前記紙葉類の搬送方向と垂直かつ前記紙葉類の表面と平行な方向に並べて配置され、
前記複数の検知ローラの全体の幅は、前記複数の検知ローラが並べて配置された方向の前記紙葉類の長さより大きいことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の厚み検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙葉類の厚みを検知する厚み検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣等の紙葉類の厚みを検知する厚み検知装置が利用されている。例えば、紙幣処理装置内で、テープ等で貼り合わせた変造紙幣を発見するために、厚み検知装置を利用する。特許文献1には、基準ローラ及び検知ローラから成る厚み検知装置が開示されている。基準ローラと検知ローラとは外周面が接触するように対向配置されている。基準ローラの位置は固定されている。検知ローラは、検知ブロックに固定された支持軸によって、回動可能に支持されている。基準ローラと検知ローラの間を紙葉類が通過する際、検知ローラが回動する。厚み検知装置は、回動する検知ローラの変位から紙葉類の厚みを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許4819162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、紙葉類の搬送速度が高速になると、紙葉類が基準ローラと検知ローラの間に突入する際の衝撃で、検知ローラを回動可能に支持する支持軸が振動する場合があった。支持軸が振動すると、検知ローラの変位量を計測するセンサの出力信号が乱れ、厚み検知の精度が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記従来技術による課題に鑑みてなされたものであって、支持軸の振動による影響を抑えて紙葉類の厚みを高精度に検知する厚み検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、基準ローラと複数の検知ローラの間を搬送される紙葉類の厚みを前記検知ローラの移動量に基づいて検知する厚み検知装置であって、前記基準ローラに対向する少なくとも1つの前記検知ローラを回転可能に支持する複数の検知ブロックと、前記複数の検知ブロックを回動可能に支持する支持軸と、前記複数の検知ブロックを間に挟んで前記支持軸の両端部を保持する保持部と、前記検知ローラを前記基準ローラの方へ付勢するための付勢部材と、前記基準ローラに対する前記検知ローラの移動量を検知するセンサ部と、前記保持部の間にあって前記支持軸の振動を抑止する抑止部材とを備え、前記抑止部材は、前記保持部に固定される固定面と、前記支持軸を保持する支持面との2つの面を接続した形状を有し、前記保持部に、前記固定面及び前記支持面のそれぞれに対応する2つの面を有する固定部が形成され、前記抑止部材は、前記支持面の少なくとも一部を前記固定部の一方の面と接触させると共に、前記固定面の少なくとも一部を前記固定部の他方の面と接触させた状態で、前記保持部に固定されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、前記抑止部材は、さらに前記支持面及び前記固定面とは異なる面の少なくとも一部を前記保持部と接触させた状態で、前記保持部に固定されることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記異なる面とは、前記支持面の上縁を構成する面であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記抑止部材は、前記抑止部材の前記支持面に形成された貫通穴に前記支持軸を挿通して支持することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、基準ローラと複数の検知ローラの間を搬送される紙葉類の厚みを前記検知ローラの移動量に基づいて検知する厚み検知装置であって、前記基準ローラに対向する少なくとも1つの前記検知ローラを回転可能に支持する複数の検知ブロックと、前記複数の検知ブロックを回動可能に支持する支持軸と、前記複数の検知ブロックを間に挟んで前記支持軸を保持する保持部と、前記検知ローラを前記基準ローラの方へ付勢するための付勢部材と、前記基準ローラに対する前記検知ローラの移動量を検知するセンサ部と、前記保持部の間にあって前記支持軸の振動を抑止する抑止部材とを備え、締結部材によって前記支持軸を前記抑止部材に固定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記締結部材はネジであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、基準ローラと複数の検知ローラの間を搬送される紙葉類の厚みを前記検知ローラの移動量に基づいて検知する厚み検知装置であって、前記基準ローラに対向する少なくとも1つの前記検知ローラを回転可能に支持する複数の検知ブロックと、前記複数の検知ブロックを回動可能に支持する支持軸と、前記複数の検知ブロックを間に挟んで前記支持軸を保持する保持部と、前記検知ローラを前記基準ローラの方へ付勢するための付勢部材と、前記基準ローラに対する前記検知ローラの移動量を検知するセンサ部と、前記保持部の間にあって前記支持軸の振動を抑止する抑止部材とを備え、前記支持軸は複数の軸により構成され、前記抑止部材が2つの前記軸を支持することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記抑止部材は、前記保持部に固定されていることを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の厚み検知装置。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記支持軸は、前記保持部が前記支持軸の端部を保持する位置と、前記抑止部材が前記支持軸の振動を抑止する位置との間で、少なくとも1つの前記検知ブロックを支持することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記抑止部材は、前記支持軸の少なくとも一部を前記抑止部材に接触させて、前記支持軸を支持することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記複数の検知ローラは前記紙葉類の搬送方向と垂直かつ前記紙葉類の表面と平行な方向に並べて配置され、前記複数の検知ローラの全体の幅は、前記複数の検知ローラが並べて配置された方向の前記紙葉類の長さより大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、搬送される紙葉類が基準ローラと検知ローラの間に突入する際に生ずる支持軸の振動を抑制することができる。これにより、ローラ間を通過する紙葉類の厚みを高精度に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、厚み検知装置によって紙葉類の厚みを検知する方法を説明するための模式図である。
図2図2は、検知ローラ及び永久磁石が取り付けられた検知ブロックの斜視図である。
図3図3は、複数の検知ブロックを取り付けた支持軸の支持方法を示す図である。
図4図4は、支持部材による支持軸の支持方法を説明するための斜視図である。
図5図5は、図4に示す支持部材の形状を示す三面図である。
図6図6は、支持部材の別の例を示す斜視図である。
図7図7は、図6に示す支持部材の形状を示す三面図である。
図8図8は、支持軸を支持する別の方法を示す模式図である。
図9図9は、支持部材による他の支持方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る厚み検知装置の好適な実施形態について詳細に説明する。図1は、厚み検知装置によって紙葉類の厚みを検知する方法を説明するための模式図である。図2は、検知ローラ12及び永久磁石13が取り付けられた検知ブロック10の斜視図である。
【0020】
図1に示すように、厚み検知装置は、位置が固定された基準ローラ60と、基準ローラ60の外周面と外周面を接触させた状態で基準ローラ60に対向配置された複数の検知ローラ12とを含んでいる。厚み検知装置は、基準ローラ60に対する複数の検知ローラ12の位置を検知することにより、紙葉類の厚みを検知する。紙葉類の厚みを検知する範囲は任意に設定可能であるが、本実施形態では、対象となる紙葉類の厚みを全面に亘って検知するため、搬送路を搬送される紙葉類の幅より広い範囲に複数の検知ローラ12が配置されている(図3参照)。
【0021】
基準ローラ60は、支持軸61によって、回転可能に支持されている。基準ローラ60の位置は固定され、搬送路70に沿って搬送される紙葉類100が基準ローラ60と検知ローラ12との間を通過する間も基準ローラ60の位置は変化しない。厚み検知装置は、検知ローラ12と基準ローラ60とが対向接触する位置を基準として、搬送路70に沿って搬送される紙葉類100がローラ間を通過する際の検知ローラ12の移動量から、紙葉類100の厚みを検知する。図1に示すように、紙葉類100が搬送路70を左方向に搬送されるときに、検知ローラ12及び基準ローラが矢印で示すように回転する。厚み検知装置は、基準ローラ60と検知ローラ12との間に挟まれた部分の紙葉類100の厚みを検知する。
【0022】
検知ローラ12は、支持軸11によって、回転可能に支持されている。支持軸11は、金属材料又は樹脂材料から成る検知ブロック10の本体部に固定されている。図2に示すように、検知ブロック10の本体部に形成された貫通穴に、金属材料から成る管状のスリーブ14が挿入され固定されている。スリーブ14の軸方向の長さは検知ブロック10の本体部より長く、スリーブ14の両端面が本体部の外側に露出している。スリーブ14は、支持軸50の軸受部材として機能する。図1に示すように、検知ブロック10は、スリーブ14に支持軸50を通した状態で、回動可能に支持されている。支持軸50の両端は、保持ブロック20に固定されている(図3参照)。図1に示すように、検知ブロック10を支持する支持軸50は、検知ローラ12を支持する支持軸11の位置から、紙葉類100の搬送方向に離れた位置にある。
【0023】
図2に示すように、検知ブロック10の上面、検知ローラ12の上方の位置に、凸部41が形成されている。この凸部41が、図1に示すように、板バネ40(付勢部材)によって下方へ付勢されている。板バネ40は、一端側が保持ブロック20に固定され、他端側が凸部41に接触している。なお、保持ブロック20を下方へ付勢する付勢部材は、板バネ40に限定されず、他の種類のバネを利用する態様であってもよいし、ゴム等を利用する態様であってもよい。
【0024】
検知ローラ12と基準ローラ60との間に紙葉類100がないときは、板バネ40によって付勢された検知ローラ12の外周面が、基準ローラ60の外周面に押しつけられた状態にある。図1に示すように搬送路70を搬送されてきた紙葉類100が、検知ローラ12と基準ローラ60との間に進入すると、検知ローラ12が上方に押し上げられる。このとき、検知ブロック10は、支持軸50を中心として板バネ40を押し上げながら回動する。
【0025】
検知ブロック10の上面、支持軸50の上方の位置に、永久磁石13が設けられている。検知ブロック10が支持軸50を中心に回動するのに伴って永久磁石13の位置が変化する。保持ブロック20の上面、永久磁石13の上方の位置に、ホール素子31を有するセンサ部30が固定されている。センサ部30は、ホール素子31が永久磁石13の上方に位置するよう配置されている。センサ部30は、ホール素子31によって、検知ローラ12に固定された永久磁石13の移動量を検知する。すなわち、センサ部30は、位置が固定された基準ローラ60に対して移動する検知ローラ12の移動量を検知する。
【0026】
検知ローラ12と基準ローラ60との間に紙葉類100が進入して、紙葉類100の厚みの分だけ検知ローラ12が押し上げられる。検知ローラ12が押し上げられるのに応じて検知ブロック10が回動して、永久磁石13の位置が変化する。永久磁石13の位置が変化すると、ホール素子31から出力される信号が変化する。センサ部30は、この信号の変化量に基づいて、紙葉類100によって検知ローラ12が押し上げられた量、すなわち紙葉類100の厚みを検知することができる。紙葉類100が検知ローラ12と基準ローラ60の間を通過した後は、板バネ40によって検知ブロック10が押し下げられ、検知ローラ12の外周面が基準ローラ60の外周面と接触した状態に戻る。
【0027】
図3は、複数の検知ブロック10を取り付けた支持軸50の支持方法を示す図である。図3は、検知ブロック10を図1の右側から見た図を示している。スリーブ14は、軸方向両端が、検知ブロック10の本体部から僅かに外側に出ている。このため、図3に部分拡大図で示したように、隣接する検知ブロック10は、スリーブ14の端面のみで接触するようになっている。
【0028】
図3に示すように、両端が保持ブロック20に固定された支持軸50に沿って、検知ローラ12及び永久磁石13が取り付けられた複数の検知ブロック10が配置される。具体的には、搬送される紙葉類100の幅より広い範囲に複数の検知ローラ12が配置される。すなわち、紙葉類の搬送方向と垂直な搬送路幅方向(支持軸50の軸方向)において、該方向における紙葉類の長さを超える範囲に複数の検知ローラ12が配置されている。1つの検知ブロック10に2つの検知ローラ12が取り付けられている。一又は複数の基準ローラ60は、各検知ローラ12と対向配置されている。保持ブロック20に固定された板バネ40が、支持軸50によって回動可能に支持された各検知ブロック10を付勢する。この結果、各検知ローラ12の外周面が、位置が固定されている基準ローラ60の外周面に接触する。複数の検知ローラ12は、搬送される紙葉類100の表面と平行で、搬送方向と垂直な方向に並べて配置されている。並べて配置された複数の検知ローラ12の全体の幅は、複数の検知ローラ12が並べて配置された方向における紙葉類100の長さより大きい。言い換えれば、複数の検知ローラ12は、配列方向両外側に配置された2つの検知ローラ12の間の距離が、搬送方向と垂直な方向における紙葉類の長さより大きくなるように配置されている。複数の検知ローラ12のうち、紙葉類100が通過する位置の検知ローラ12が押し上げられて検知ブロック10が回動する。センサ部30は、検知ブロック10の回動変位に基づいて紙葉類100の厚みを検知する。
【0029】
例えば、紙葉類100にテープが貼り付けられている場合、テープによって押し上げられる検知ローラ12の回動変位量が、テープがない位置で紙葉類100によって押し上げられる検知ローラ12の回動変位量より大きくなる。厚み検知装置は、検知ブロック10の回動変位量に基づいて、紙葉類100にテープが貼り付けられていることを検知すると共に、回動した検知ブロック10の位置に基づいて、紙葉類100に貼り付けられたテープの位置を特定することができる。
【0030】
保持ブロック20は、支持軸50の両端を保持する保持部として機能する。両端が保持ブロック20に固定された支持軸50に、複数の検知ブロック10が取り付けられている。図3に示すように、支持軸50の軸方向両外側にある2つの検知ブロック10と保持ブロック20との間には、それぞれ圧縮バネ51が取り付けられている。圧縮バネ51は、検知ブロック10のスリーブ14を、両外側から、支持軸50の軸方向に押し付けるスラスト圧を付与している。
【0031】
支持軸50の軸方向略中央の位置に、支持軸50を支持する支持部材80が取り付けられている。保持ブロック20は、複数の検知ブロック10を間に挟んだ状態で支持軸50の両端を保持している。支持部材80は、保持ブロック20が支持軸50を保持する両端の保持位置の間の位置で、保持ブロック20に取り付けられている。図3は、16個の検知ブロック10を支持軸50に取り付けて、検知ブロック10を8個ずつに分ける位置に、支持部材80を取り付けた例を示している。支持部材80は、金属材料から成る板状部材をL字型に折り曲げた形状を有する。L字型の一方の面が、支持軸50の軸方向略中央位置に設けられた保持ブロック20の固定部20aに、ネジ90等の締結部材で固定される。支持部材80は、L字型の他方の面に形成された貫通穴に支持軸50を挿通して支持する。保持ブロック20が支持軸50を保持する位置とは異なる位置で、支持部材80が支持軸50を支持している。支持部材80は、支持軸50が軸方向以外の方向へ移動したり変形したりすることを抑止する抑止部材として機能する。これにより、保持ブロック20のみで支持軸50を保持する場合に比べて、支持軸50の振動を抑えることができる。すなわち、支持部材80は、支持軸50の振動を抑える制振部材としても機能する。
【0032】
支持部材80の構造について説明する。図4は、支持部材80による支持軸50の支持方法を説明するための斜視図である。図5は、図4に示す支持部材80の形状を示す三面図である。図3を正面(前面)から見た図として、図5(b)が正面図を示し、図5(a)が平面図を示し、図5(c)が右側面図を示している。
【0033】
支持部材80は、図5(a)に示すように、例えば厚みが1.5mmの金属板を略90度折り曲げた形状を有する。支持部材80は、保持ブロック20に支持部材80を固定する固定面80aと、支持軸50を支持する支持面80bとが、接続面80cによって接続された形状を有する。接続面80cは、図5(c)に示すように、支持面80bの上縁より低くかつ下縁より高い中間位置にある。また、接続面80cは固定面80aの上縁より低い位置にあり、接続面80cの下縁は固定面80aの下縁と連続している。
【0034】
支持面80bには、支持軸50を支持するための貫通穴81が形成されている。固定面80aには、ネジ90等の締結部材を利用して支持部材80を保持ブロック20の固定部20aに固定するための貫通穴82が形成されている。ネジ90用の貫通穴82は、支持軸50用の貫通穴81より高い位置にある。
【0035】
支持部材80は、図4に示すように、固定面80aの貫通穴82を通したネジ90によって、保持ブロック20の固定部20aの前面に固定される。このとき、図5(a)に示すように、固定面80a内側(図5(a)上側)の面の少なくとも一部が、固定部20aの前面と接触する。支持面80b内側(図5(a)左側)の面の少なくとも一部が、固定部20aの側面と接触する。また、図5(b)及び(c)に示すように、支持面80bの上縁の少なくとも一部が、保持ブロック20の下面と接触する。
【0036】
図4に示すように、保持ブロック20に固定された支持部材80の貫通穴81に支持軸50を挿通して支持する。支持軸50の外径と貫通穴81の内径とのはめあいについては、すきまばめ、中間ばめ、しまりばめのいずれでもよいが、振動の抑制と組立性を両立するため、きつめのすきまばめとすることが望ましい。具体的には、貫通穴81の内径は、支持軸50の外径に比べて数μm~数十μm程度大きくなっている。図3に示したように、保持ブロック20によって両端が固定された支持軸50の略中央の位置が、さらに、保持ブロック20に固定した支持部材80の貫通穴81によって支持される。図1に示したように搬送路70を高速搬送される紙葉類100が、基準ローラ60と検知ローラ12の間に突入した際、この衝撃で、両端が固定された支持軸50に振動が発生する可能性がある。支持軸50の略中央の位置を支持部材80で支持することで、振動の発生を効果的に抑制することができる。また、振動が生じた場合でも、生じた振動を短時間のうちに収束させることができる。
【0037】
支持部材80の形状が、図4及び図5に示した形状に限定されるものではない。図6は、支持部材80の別の例を示す斜視図である。図7は、図6に示す支持部材80の形状を示す三面図である。図7(b)が正面図を示し、図7(a)が平面図を示し、図7(c)が右側面図を示している。このように、ネジ90用の貫通穴82が形成された固定面80aの上縁が、支持軸50用の貫通穴81が形成された支持面80bの上縁と連続する形状であってもよい。
【0038】
支持軸50の支持方法が、図4図7に示す方法に限定されるものではない。図8は、支持軸50を支持する別の方法を示す模式図である。図8(a)に示すように、保持ブロック20で両端を固定保持した支持軸50の複数の位置を、支持部材80によって支持する態様であってもよい。図7に示すように固定部20aの下面と支持部材80の上縁との間に隙間がある場合でも、ネジ90等の締結部材によって保持ブロック20の固定部20aに支持部材80を固定すれば、支持軸50の移動を抑止して振動を抑える効果を得ることができる。
【0039】
図8(b)に示すように、支持軸50を複数に分割して、各支持軸50a、50bの両端を、支持部材80及び保持ブロック20によって支持する態様であってもよい。支持部材80を、支持軸50の軸方向に厚みのある部材とすれば、1つの支持部材80によって2本の支持軸50a、50bを同時に支持することができる。支持軸50を2本に分割する態様に限定されず、3本以上に分割して、それぞれを支持部材80と保持ブロック20、或いは2つの支持部材80によって支持する態様であってもよい。支持軸50を分割した複数の支持軸は、同一軸上に配置されることが好ましいが、支持部材80が支持できれば、各軸の中心をずらして配置する態様であってもよい。
【0040】
図8(c)に示すように、支持軸50に貫通穴を形成し、この貫通穴を挿通したネジ90等の締結部材によって、支持軸50を支持部材80に固定する態様であってもよい。この場合も、複数箇所で、支持軸50を支持部材80に固定する態様であってもよい。
【0041】
プレート状の支持部材80によって支持軸50を支持する方法が、支持部材80に形成した貫通穴による支持に限定されるものではない。具体的には、支持軸50の径方向における少なくとも一方向で支持軸50の変形や移動を抑止して振動を抑える抑止部材として機能することができれば、支持部材80による支持方法は特に限定されない。図9は、支持部材80による他の支持方法を示す模式図である。図9(a)に示すように、支持部材80に、支持軸50の外径に合わせた円弧部分を形成し、この円弧部分に支持軸50の外周の一部を接触させて支持する態様であってもよい。円弧部分は、例えば、支持軸50の外径に沿った1/4の円弧形状とする。
【0042】
図9(b)に示すように、支持部材80に、支持軸50の外径に合わせた円弧を含むU字型の溝を形成して、この溝部分に支持軸50の外周の一部を接触させて支持する態様であってもよい。円弧部分は、例えば、支持軸50の外径に沿った半円形状とする。紙葉類100が検知ローラ12と基準ローラ60の間に突入することによって、支持軸50が図9の左下と右上を結ぶ斜め方向に振動する場合、支持部材80の形状を、この斜め方向、すなわち支持軸50が振動する方向で、支持軸50と接触する形状とする。これにより支持軸50の振動を効果的に抑えることができる。
【0043】
本実施形態では、支持部材80を保持ブロック20に固定する例を示したが、例えば、支持部材80が、保持ブロック20を固定する厚み検知装置の筐体等に固定される態様であってもよい。支持部材80の位置を固定することができれば、支持部材80の固定方法は特に限定されない。
【0044】
本実施形態では、主に、支持部材80が、保持ブロック20によって両端を保持された支持軸50の略中央の位置に設けられる例を示したが、支持部材80の位置は特に限定されない。支持部材80は、保持ブロック20が支持軸50を保持する位置との間に少なくとも1つの検知ブロック10が含まれる位置に配置される。言い換えれば、保持ブロック20が支持軸50の端部を保持する位置と、抑止部材として機能する支持部材80が支持軸50の移動を抑止して振動を抑える位置との間で、支持軸50が少なくとも1つの検知ブロック10を支持するように、支持部材80が配置される。
【0045】
本実施形態では、保持ブロック20とは別に支持部材80を設ける例を示したが、支持部材80を、保持ブロック20と一体成形する態様であってもよい。また、少なくとも1つの方向で支持軸50の変形や移動を抑止して振動を抑えることができれば、支持部材80の構造は特に限定されない。また、支持軸50の振動モードに応じて制振効果が得られる位置であれば、支持部材80を設ける位置も特に限定されない。
【0046】
上述したように、本実施形態に係る厚み検知装置では、検知ローラ12が取り付けられた検知ブロック10を複数個支持する支持軸50を、支持部材80によって支持する。支持部材80は、両端が固定支持された支持軸50を、両端以外の少なくとも1箇所で支持する。支持部材80は、紙葉類100の厚みを検知する際に支持軸50が振動する方向に合わせて、この振動を抑えるように支持する。これにより、支持軸50の振動の発生を抑制し、発生した振動を短時間のうちに収束させることができる。高速搬送される紙葉類100が検知ローラ12と基準ローラ60との間に突入した際の支持軸50の振動を抑制することで、紙葉類100の厚みを高精度に検知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明に係る厚み検知装置は、振動による影響を抑えて紙葉類の厚みを高精度に検知するために有用である。
【符号の説明】
【0048】
10 検知ブロック
11、50、61 支持軸
12 検知ローラ
13 永久磁石
14 スリーブ
20 保持ブロック
30 センサ部
31 ホール素子
40 板バネ
51 圧縮バネ
60 基準ローラ
70 搬送路
80 支持部材
90 ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9