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特許7040997主軸アタッチメント方向調整装置および工作機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】主軸アタッチメント方向調整装置および工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 16/10 20060101AFI20220315BHJP
   B23Q 3/12 20060101ALI20220315BHJP
   B23Q 5/04 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
B23Q16/10 A
B23Q3/12 F
B23Q5/04 520Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018092294
(22)【出願日】2018-05-11
(65)【公開番号】P2019195889
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 敬彦
【審査官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-285787(JP,A)
【文献】特開2000-233344(JP,A)
【文献】特開平05-293735(JP,A)
【文献】特開2014-069304(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0071868(KR,A)
【文献】特開昭60-155340(JP,A)
【文献】特開2013-202735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 16/10
B23Q 5/04
B23Q 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸を回転自在に支持する主軸ヘッドと、前記主軸ヘッドに設置された回り止め用の係止ブロックとを有する工作機械に設置され、
シャンク部が前記主軸に接続されかつ係止ピンが前記係止ブロックに係合されたアタッチメントの、前記主軸回りの向きを調整する主軸アタッチメント方向調整装置であって、
前記係止ブロックを支持しかつ前記主軸ヘッドに支持されて前記主軸回りに旋回可能な前記主軸と同心のリング状のブロックホルダと、
前記ブロックホルダを前記主軸回りの任意の位置で前記主軸ヘッドに固定可能なホルダ固定機構と、
前記ブロックホルダが前記主軸と一体に回転するように連結可能な連結機構と、を有し、
前記ホルダ固定機構は、前記ブロックホルダの全周にわたって外向きに形成されたブレードと、前記ブレードをクランプするクランプ機構と、で構成されている主軸アタッチメント方向調整装置。
【請求項2】
前記アタッチメントは、前記係止ピンが前記主軸の軸線方向に変位した際に前記シャンク部の回転を規制するロック機構を有し、
前記連結機構は、前記ブロックホルダを前記主軸の軸線方向に変位させ、前記係止ブロックを介して前記係止ピンを前記主軸の軸線方向に変位させて前記ロック機構で前記シャンク部をロックさせる補助ロック機構を有し、
前記補助ロック機構は、前記主軸の周囲に設置されて前記ブロックホルダを前記主軸回りに旋回可能に支持するホルダベースと、前記ホルダベースを前記主軸ヘッドに対して前記主軸の軸線方向へ変位させるホルダ変位機構と、を有し、
前記ホルダ変位機構は、前記係止ブロックが支持される側に前記ホルダベースを付勢するコイルばねと、前記コイルばねに抗して前記ホルダベースを前記係止ブロックが支持される側と反対側に向けて駆動可能なソレノイドとを有することを特徴とする請求項に記載の主軸アタッチメント方向調整装置。
【請求項3】
前記主軸ヘッドには、前記ホルダベースの外周を囲むホルダケースが設置され、前記ホルダケースには内フランジが形成され、前記主軸ヘッドには前記内フランジに対向する段差が形成されており、
前記ホルダベースは、変位可能な範囲が前記内フランジに当接する位置から前記段差に当接する位置までの間に限られていることを特徴とする請求項2に記載の主軸アタッチメント方向調整装置。
【請求項4】
前記係止ブロックは、前記ブロックホルダから径方向内向きに伸びる支持アームに支持されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の主軸アタッチメント方向調整装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の主軸アタッチメント方向調整装置を有することを特徴とする工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主軸アタッチメント方向調整装置および工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、切削加工分野ではマシニングセンタ等の工作機械が多用されている。
工作機械では、切削工具(ツール)が装着された主軸を高速回転させるとともに、X,Y,Zの3軸駆動系でツールの刃物位置を正確に制御し、ワークに対する高精度の加工を実現している。
工作機械の主軸にツールを装着する際には、主軸の規格に応じたシャンクを有するツールホルダが利用されるほか、加工に応じた加工方向を変化させるなどの目的で、様々なアタッチメントが利用される。
【0003】
通常の工作機械では、主軸は主軸ヘッドに支持されて一定の方向を向いている。従って、主軸に装着されたツールの向きも一定である。しかし、近年の多様な加工要求にあっては、ツールの向きを主軸の回転軸線に対して交差方向、たとえば直角に向けることが求められることがある。
このような要求に応えるものとして、アングルヘッド工具(アングルヘッドアタッチメント)が利用されている(特許文献1参照)。
【0004】
アングルヘッド工具は、円筒状あるいは箱状のケーシングの一端に主軸と接続可能なテーパーシャンクを有する。ケーシングの他端にはテーパーシャンクの回転軸線と交差方向の軸線で回転可能なツールが設置され、ケーシングの内部にはテーパーシャンクの回転をツールに伝達する伝達機構が設置される。さらに、ケーシングには、廻り止め用として、テーパーシャンクを主軸に装着した際に主軸ヘッドと係合する係合機構が設置される。
このようなアングルヘッド工具では、テーパーシャンクを主軸に装着することで、係合機構によりケーシングと主軸ヘッドとが一体化され、この状態で主軸が回転することでテーパーシャンク、伝達機構およびツールが回転し、主軸と交差方向のツールによる切削加工(アングルヘッド加工)を行うことができる。
【0005】
ところで、アングルヘッド工具におけるツールの向き(主軸軸線を中心としたツールの回転軸線の向き)は、ケーシングと主軸ヘッドとの廻り止め用の係合機構により規定される。例えば、主軸とツールとが直角をなすものであれば、ケーシングの主軸軸線回りの角度位置により、ツールの軸線は主軸直交平面内の任意の方向に設定が可能である。
しかし、従来のアングルヘッド工具では、前述した廻り止め用の係合機構により、ケーシングと主軸ヘッドとの係合は基本的に所定の角度位置に限定されていた。基本的な角度位置に対して、手動操作による角度調整が行われることがあるが、これは20度以下の微調整であった。
これに対し、工作機械に設置され、複数の角度位置を選択して自動的に係合可能な割り出し位置決め装置が提案されている(特許文献2参照)。
また、旋回機構を設け、主軸の回転によりツールの向きを変更可能にしたアングルヘッド工具が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
特許文献2の割り出し位置決め装置は、テーパーシャンクの外周の複数位置に、ケーシングと主軸ヘッドとを係合させる廻り止め用の係合機構を有する。そして、係合機構を解除した際にケーシングとテーパーシャンクとが係合される構造とされ、係合機構を解除した状態で主軸を微速で回転させることでケーシングの主軸軸線まわりに回転させ、テーパーシャンクの外周の何れかの係合機構で係合させることで、ツールの向きを複数の角度位置から選択できる。
【0007】
特許文献2の割り出し位置決め装置が、主軸の回転を利用してアングルヘッドの主軸ヘッドに対する取付角度を調整するのに対し、特許文献3のアングルヘッド工具は、アングルヘッド工具自体の主軸ヘッドに対する取付角度は一定としておき、この角度一定の部分に対して回動する部分をアングルヘッド工具に設け、この回転部分を主軸で回転させることでツールの姿勢調整を行えるようにする。これにより、特許文献2のように工作機械の側の廻り止め用の係合機構を簡素化し、複数の係合機構への配管類を解消して主軸ヘッド周辺への張り出しを解消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2004-130423号公報
【文献】特公平3-4339号公報
【文献】特開2011-245616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した特許文献2の構成では、工作機械に割り出し位置決め装置を追加し、主軸の回転を利用してアングルヘッドの向きを変更するとともに、主軸ヘッドの外周に設置された複数の廻り止め用の係合機構のいずれかを選択して位置決めしていた。
このような係合機構の選択により向きを調整していたため、係合機構が設置された角度位置(例えば90度ごと)以外には向きを設定できず、任意の向きに設定することはできなかった。
一方、前述した特許文献3の構成では、工作機械の側には追加機構などが必要ないものの、アングルヘッド工具などのアタッチメントごとに旋回機構を組み込むことが必要になり、既存のアタッチメントが活用できないとともに、旋回機構を組み込むことでアタッチメントの個々のコストが高騰するという問題があった。
このため、通常のアタッチメントをそのまま使用できるとともに、アタッチメントの向きが廻り止め用の係合機構に限定されない主軸アタッチメント方向調整装置が求められていた。
【0010】
本発明の目的は、通常のアタッチメントをそのまま使用でき、主軸の回転を利用してアタッチメントを任意の向きに変更できる主軸アタッチメント方向調整装置および工作機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主軸アタッチメント方向調整装置は、主軸を回転自在に支持する主軸ヘッドと、前記主軸ヘッドに設置された回り止め用の係止ブロックとを有する工作機械に設置され、シャンク部が前記主軸に接続されかつ係止ピンが前記係止ブロックに係合されたアタッチメントの、前記主軸回りの向きを調整する主軸アタッチメント方向調整装置であって、前記係止ブロックを支持しかつ前記主軸ヘッドに支持されて前記主軸回りに旋回可能なブロックホルダと、前記ブロックホルダを前記主軸回りの任意の位置で前記主軸ヘッドに固定可能なホルダ固定機構と、前記ブロックホルダが前記主軸と一体に回転するように連結可能な連結機構と、を有することを特徴とする。
【0012】
このような本発明では、所望のツールを備えたアタッチメントのシャンク部が主軸に接続され、係止ピンが係止ブロックに係合される。ホルダ固定機構によりブロックホルダを主軸ヘッドに固定することで、係止ブロックおよび係止ピンの係合によりアタッチメントの回り止めが行われる。この状態では、主軸の回転がアタッチメントのシャンク部からツールへと伝達され、ワークの加工を行うことができる。
ここで、アタッチメントの主軸回りの向きを変更したい場合、ホルダ固定機構によるブロックホルダの固定を解除し、係止ピンおよび係止ブロックの係合によるアタッチメントの回り止めを解除するとともに、連結機構により、主軸がブロックホルダと一体に(同期して)回転する状態にする。この状態では、主軸の回転がブロックホルダおよび係止ブロックへと伝達され、アタッチメントが主軸と一体に回転する。回転によりアタッチメントが所望の向きに達したら、主軸による回転を停止し、その位置でホルダ固定機構によりブロックホルダを固定する。これにより、主軸の回転を利用してアタッチメントを任意の向きに変更することができる。
この後、連結機構による主軸とブロックホルダとの連結を解除し、主軸によるツールの回転駆動を再開することで、任意の向きに変更したアタッチメントによる加工を行うことができる。
【0013】
このような本発明によれば、主軸回りに旋回可能なブロックホルダにより、回り止め用の係止ブロックを、主軸回りの任意の向きに配置することができる。また、連結機構により主軸とシャンク部とを一体に(同期して)回転可能となり、主軸の回転を利用してアタッチメントの向きを変更できる。そして、ホルダ固定機構でブロックホルダを任意の角度位置で固定することで、アタッチメントの向きを任意の向きとすることができる。
このため、アタッチメントの向きの調整は、主軸の割り出し機能の分解能に基づいて任意に設定でき、特許文献2のような廻り止め用の係合機構に制約されることがない。
そして、本発明のアタッチメントの方向調整装置は、専ら工作機械の主軸ヘッド側に構成されるため、アタッチメント側に特段の加工などは必要がなく、通常のアタッチメントをそのまま利用できる。
以上により、本発明のアタッチメントの方向調整装置においては、通常のアタッチメントをそのまま使用でき、主軸の回転を利用してアタッチメントを任意の向きに変更することができる。
【0014】
本発明の主軸アタッチメント方向調整装置において、前記ブロックホルダは、前記主軸と同心のリング状の部材であり、前記ホルダ固定機構は、前記ブロックホルダの任意の部位をクランプするクランプ機構であることが好ましい。
このような本発明では、ブロックホルダがリング状であり、アタッチメントの向きを主軸回りの全方向から選択することができる。
また、クランプ機構はブロックホルダの任意の部位をクランプするため、ブロックホルダに沿った任意の位置に設置すればよく、占有スペースを抑制できる。
【0015】
本発明の主軸アタッチメント方向調整装置において、前記アタッチメントは、前記係止ピンが前記主軸の軸線方向に変位した際に前記シャンク部の回転を規制するロック機構を有し、前記連結機構は、前記ブロックホルダを前記主軸の軸線方向に変位させ、前記係止ブロックを介して前記係止ピンを前記主軸の軸線方向に変位させて前記ロック機構で前記シャンク部をロックさせる補助ロック機構を有することが好ましい。
【0016】
本発明において、アタッチメントのロック機構としては、前述した特許文献2に開示される構造などが利用できる。すなわち、シャンク部の外周面に形成されたロック溝と、係止ピンと一体に移動するロックレバーとを凹凸嵌合させ、この凹凸嵌合によりシャンク部を係止ピンに対してロックするとともに、係止ピンが係止ブロックで主軸の軸線方向へ押された際に凹凸嵌合が解除され、シャンク部と係止ピンとのロックが解除される構造などが利用できる。
このような本発明によれば、補助ロック機構によりロック機構を作動させ、シャンク部をロックすることにより、主軸とブロックホルダとが、シャンク部、ロック機構、係止ピンおよび係止ブロックを介して、一体に回転するように連結可能である。
従って、アタッチメントを主軸に装着し、ホルダ固定機構を解除した状態で、補助ロック機構によりロック機構を作動させ、この状態で主軸を回転させることでブロックホルダを一体に回転させることができ、主軸の回転によりアタッチメントの向きを変更することができる。
【0017】
本発明の主軸アタッチメント方向調整装置において、前記補助ロック機構は、前記主軸の周囲に設置されて前記ブロックホルダを前記主軸回りに旋回可能に支持するホルダベースと、前記ホルダベースを前記主軸ヘッドに対して前記主軸の軸線方向へ変位させるホルダ変位機構と、を有することが好ましい。
このような本発明では、ホルダ変位機構によりホルダベースを変位させることで、ブロックホルダを介して係止ブロックを係止ピンに対して変位させ、アタッチメントのロック機構のロックおよび解除を切り替えることができる。
また、ホルダベースがブロックホルダを主軸回りに旋回可能に支持するため、アタッチメントの向きの調整のためブロックホルダを主軸回りに回転させる動作に干渉することがなく、簡単な構造で所期の機能を確保することができる。
【0018】
本発明の工作機械は、前述した本発明の主軸アタッチメント方向調整装置を有することを特徴とする。
このような本発明では、前述した本発明の主軸アタッチメント方向調整装置で説明した通りの効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、通常のアタッチメントをそのまま使用でき、主軸の回転を利用してアタッチメントを任意の向きに変更できる主軸アタッチメント方向調整装置および工作機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態のアタッチメントの分離状態を示す断面図。
図2】前記実施形態のアタッチメントの装着状態を示す断面図。
図3】前記実施形態の補助ロック機構の解除状態を示す断面図。
図4】前記実施形態の補助ロック機構のロック状態を示す断面図。
図5】前記実施形態のアタッチメントの方向調整状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、工作機械1は門型マシニングセンタなどであり、主軸10は主軸ヘッド11に下向きに支持され、回転軸線AS回りに回転可能である。
主軸10の先端にはチャック部12が形成され、チャック部12にはアタッチメントであるアングルヘッド20を装着可能である。
【0022】
アングルヘッド20は、主軸10に接続されて回転軸線ASまわりに回転可能なシャンク部21と、シャンク部21を回転自在に支持するケース部22とを有する。ケース部22のシャンク部21と反対側には、回転軸線ASと直交する回転軸線ATに沿って延びるツール部23が回転自在に支持されている。ツール部23とシャンク部21とはケース部22に格納された図示しない伝達機構を介して連結され、主軸10でシャンク部21を回転させるとツール部23が回転される。
【0023】
アングルヘッド20には、ケース部22を主軸ヘッド11に対して回り止めするための係止ピン24を有する。
係止ピン24は、ケース部22からシャンク部21と平行(回転軸線AS方向)に延びている。係止ピン24は、ケース部22に対して回転軸線AS方向へ所定ストローク移動可能に支持されているが、コイルばね25で付勢されて通常はケース部22から離れる側に保持されている。
【0024】
係止ピン24には、シャンク部21に向かって延びるロックレバー26が接続されている。シャンク部21の外周には、周方向の所定位置にロック溝27が形成されている。
係止ピン24がケース部22から離れた側の移動限界にある状態(図1参照)では、ロックレバー26の先端がロック溝27に係合され、シャンク部21はケース部22に対して回転規制される。
係止ピン24がケース部22に近づく側に移動された状態(図2参照)では、ロックレバー26の先端がロック溝27から離脱し、シャンク部21はケース部22に対して回転可能となる。
これらのロックレバー26およびロック溝27により、アングルヘッド20のロック機構28が形成されている。
【0025】
主軸ヘッド11には、アングルヘッド20の回り止め用に、係止ピン24と係合可能な係止ブロック13が設置されている。
係止ブロック13を支持するために、主軸ヘッド11の周囲には、それぞれ主軸10と同心のリング状に形成されたブロックホルダ31、ホルダベース32、ホルダケース33が同心円状に設置されている。係止ブロック13は、支持アーム131を介してブロックホルダ31に接続されている。
【0026】
図3および図4において、ブロックホルダ31は、軸受311を介してホルダベース32に旋回自在に支持されている。ホルダベース32は、主軸ヘッド11の外周面に沿って主軸10の回転軸線AS方向へ変位可能である。ホルダケース33は、ホルダベース32の外周を囲むように配置され、主軸ヘッド11に対して固定されている。
ホルダケース33には内フランジ331が形成され、主軸ヘッド11には段差111が形成されており、ホルダベース32は変位可能な範囲が内フランジ331に当接する位置から段差111に当接する位置までの間に限られている。
【0027】
ブロックホルダ31には、全周にわたって外向きのブレード312が形成され、ホルダベース32の内周面には所定の角度間隔で複数の(例えば90度間隔で4つの)ブレード312を挟持可能なクランプ機構321が設置されている。
クランプ機構321は、例えばソレノイドあるいはエアシリンダなどで駆動され、一対のパッドでブレード312を挟持して拘束可能である。
【0028】
ホルダベース32には、係止ブロック13が支持される側とは反対側に、所定の角度間隔で複数の(例えば90度間隔で4つの)ホルダ変位機構332が設置されている。
ホルダ変位機構332は、ホルダベース32を係止ブロック13が支持される側に付勢するコイルばね333と、このコイルばね333に抗してホルダベース32を係止ブロック13が支持される側と反対側に向けて駆動可能なソレノイド334とを有する。
ソレノイド334に通電していない状態(図3参照)では、ホルダベース32はコイルばね333により、係止ブロック13が支持される側の移動限界(内フランジ331と当接する位置)に保持される。
ソレノイド334に通電した状態(図4参照)では、ホルダベース32はコイルばね333に抗して駆動され、係止ブロック13が支持される側とは反対側の移動限界(段差111に当接する位置)に保持される。
このようなソレノイド334の通電および停止により、ホルダベース32は係止ブロック13が支持される側の移動限界から反対側の移動限界まで、変位量D(図3および図4参照)だけ変位可能である。
【0029】
変位量Dは、前述したアングルヘッド20において、ロック機構28のロックおよび解除に必要な係止ピン24の変位量よりも大きな値とされている。
このため、ホルダ変位機構332によりホルダベース32および係止ブロック13を変位させることで、係止ピン24を変位させてロック機構28のロックおよび解除を切り替えることができる。
【0030】
図2に戻って、ホルダ変位機構332のソレノイド334に通電がないと、ホルダベース32は係止ブロック13が支持される側の移動限界(内フランジ331と当接する位置)に保持される。この状態で、主軸10にアングルヘッド20が装着されると、係止ピン24が係止ブロック13に係合されるとともに、係止ブロック13で押されてロック機構28が解除状態となる。
その結果、アングルヘッド20において、シャンク部21はケース部22および係止ピン24に関わりなく自由に回転可能な状態となり、主軸10の回転を受けてツール部23を回転させることができる。そして、クランプ機構321による係止ブロック13の回り止めされた状態であれば、ツール部23による加工を行うことができる。
【0031】
図5において、ホルダ変位機構332のソレノイド334に通電すると、ホルダベース32は係止ブロック13が支持される側と反対側の移動限界(段差111と当接する位置)に保持される。この状態では、係止ピン24を押していた係止ブロック13が主軸ヘッド11の側へ後退し、係止ピン24の変位によりロック機構28がロック状態となる。
その結果、アングルヘッド20において、シャンク部21は係止ピン24およびケース部22を含むアングルヘッド20の全体と一体に回転可能な状態となり、主軸10の回転によりブロックホルダ31を所望の向きに変更可能な状態となる。
【0032】
具体的には、クランプ機構321による回り止めを解除し、ブロックホルダ31をホルダベース32ないし主軸ヘッド11に対して旋回可能な状態としておく。そして、主軸10を、低速もしくは微小な角度ずつ回転させる。主軸10の回転は、アングルヘッド20のシャンク部21からロック機構28、係止ピン24を経て、係止ブロック13およびブロックホルダ31に伝達され、ブロックホルダ31は主軸10の回りで旋回される。ブロックホルダ31の旋回により、係止ブロック13ないしアングルヘッド20の向きが変更される。
【0033】
アングルヘッド20の向き(ツール部23の向き)が所望の状態になったら、主軸10の回転を停止する。また、クランプ機構321によりブロックホルダ31をクランプして係止ブロック13および係止ピン24によるケース部22の回り止めを再開する。
そして、ホルダ変位機構332のソレノイド334の通電を停止することで、コイルばね333でホルダベース32を係止ブロック13が支持される側の移動限界(内フランジ331と当接する位置)に移動させる(図2の状態)。
これにより、係止ブロック13により係止ピン24が押されてロック機構28のロックが解除され、シャンク部21は再び係止ピン24およびケース部22に対して回転可能な状態となる。
この状態で、主軸10を回転させることで、シャンク部21ないしツール部23が回転し、所望の向きとされたアングルヘッド20によるワークの加工を行うことができる。
【0034】
このように、アングルヘッド20のロック機構28は、アングルヘッド20が主軸10に装着された際に自動的にロック解除されるが、ホルダ変位機構332でホルダベース32を主軸10の回転軸線AS方向に変位させることで、アングルヘッド20が主軸10に装着された状態のままロック機構28をロック状態とすることができる。これらのホルダ変位機構332およびホルダベース32により、補助ロック機構34が構成されている。
【0035】
さらに、補助ロック機構34により、主軸10に装着された状態のアングルヘッド20のロック機構28をロック状態とすることで、アングルヘッド20を経由して主軸10の回転をブロックホルダ31に伝達し、ブロックホルダ31を主軸10の回りに旋回させることができる。このようなアングルヘッド20のロック機構28を利用する補助ロック機構34により、ブロックホルダ31が主軸10と一体に回転するように連結する連結機構35が構成されている。
そして、ブロックホルダ31のブレード312およびこれを挟持可能なクランプ機構321により、ブロックホルダ31のホルダ固定機構36が構成されている。
以上のブロックホルダ31、連結機構35およびホルダ固定機構36により、主軸アタッチメント方向調整装置30が構成されている。
【0036】
このような本実施形態の主軸アタッチメント方向調整装置30によれば、次のような効果を得ることができる。
本実施形態では、ツール部23に所望のツールを備えたアングルヘッド20(アタッチメント)のシャンク部21が主軸10に接続され、係止ピン24が係止ブロック13に係合される。ホルダ固定機構36によりブロックホルダ31を主軸ヘッド11に固定することで、係止ブロック13および係止ピン24の係合によりアングルヘッド20の回り止めが行われる。この状態では、主軸10の回転がアングルヘッド20のシャンク部21からツール部23へと伝達され、ワークの加工を行うことができる。
【0037】
本実施形態において、アングルヘッド20の主軸10回りの向きを変更したい場合、ホルダ固定機構36によるブロックホルダ31の固定を解除し、係止ピン24および係止ブロック13の係合によるアングルヘッド20の回り止めを解除するとともに、連結機構35により、主軸10がブロックホルダ31と一体に(同期して)回転する状態にする。この状態では、主軸10の回転が係止ブロック13およびブロックホルダ31へと伝達され、主軸10およびアングルヘッド20の全体が一体に回転する。回転によりアングルヘッド20が所望の向きに達したら、主軸10による回転を停止し、その位置でホルダ固定機構36によりブロックホルダ31を固定する。これにより、主軸10の回転を利用してアングルヘッド20を任意の向きに変更することができる。
この後、連結機構35による主軸10とブロックホルダ31との連結を解除し、主軸10によるツール部23の回転駆動を再開することで、任意の向きに変更したアングルヘッド20による加工を行うことができる。
【0038】
従って、本実施形態によれば、主軸10回りに旋回可能なブロックホルダ31により、回り止め用の係止ブロック13を、主軸10回りの任意の向きに配置することができる。また、連結機構35により主軸10とシャンク部21を一体に(同期して)回転可能となり、主軸10の回転を利用してアングルヘッド20の向きを変更できる。そして、クランプ機構321でブロックホルダ31を任意の角度位置で固定することで、アングルヘッド20の向きを任意の向きとすることができる。
このため、アングルヘッド20の向きの調整は、主軸10の割り出し機能の分解能に基づいて任意に設定でき、複数の係止ブロック13を選択して向きを変える構成のような廻り止め用の係合機構に制約されることがない。
そして、本発明のアングルヘッド20の方向調整装置は、専ら工作機械の主軸ヘッド側に構成されるため、アングルヘッド20側に特段の加工などは必要がなく、通常のアングルヘッド20をそのまま利用できる。
以上により、本実施形態の主軸アタッチメント方向調整装置30においては、通常のアングルヘッド20をそのまま使用でき、主軸の回転を利用してアングルヘッド20を任意の向きに変更することができる。
【0039】
本実施形態では、ブロックホルダ31を主軸10と同心のリング状の部材とし、その外周のブレード312の任意の部位をクランプ可能なクランプ機構321を設けてホルダ固定機構36を構成した。このため、ブロックホルダ31を任意の向きで主軸ヘッド11に対して固定することができ、アングルヘッド20の向きを主軸10回りの全方向から選択することができる。
また、クランプ機構321は、ブロックホルダ31の任意の部位をクランプすればよいため、ブロックホルダ31に沿った任意の位置に設置すればよく、主軸ヘッド11の周辺における占有スペースを抑制できる。
【0040】
本実施形態では、アングルヘッド20がロック機構28を有し、係止ピン24が主軸10の回転軸線AS方向に変位した際にシャンク部21の回転を規制できることを利用して、連結機構35に補助ロック機構34を設け、ブロックホルダ31を主軸10の回転軸線AS方向に変位させ、係止ブロック13を介して係止ピン24を変位させることで、アングルヘッド20が主軸10に装着された状態でもロック機構28によりシャンク部21をロックできるようにした。
このため、本実施形態の連結機構35では、補助ロック機構34によりロック機構28を作動させ、シャンク部21をロックすることにより、主軸10とブロックホルダ31とが、シャンク部21、ロック機構28、係止ピン24および係止ブロック13を介して、一体に回転するように連結可能である。
従って、アングルヘッド20を主軸10に装着し、ホルダ固定機構36を解除した状態で、補助ロック機構34によりロック機構28を作動させ、この状態で主軸10を回転させることでブロックホルダ31を一体に回転させることができ、主軸10の回転によりアングルヘッド20の向きを変更することができる。
【0041】
本実施形態では、補助ロック機構34として、主軸10の周囲に設置されてブロックホルダ31を主軸10回り(回転軸線AS回り)に旋回可能に支持するホルダベース32と、ホルダベース32を主軸ヘッド11に対して主軸10の回転軸線AS方向へ変位させるホルダ変位機構332とを設けた。
このため、ホルダ変位機構332によりホルダベース32を変位させることで、ブロックホルダ31を介して係止ブロック13を係止ピン24に対して変位させ、アングルヘッド20のロック機構28のロックおよび解除を切り替えることができる。
また、ホルダベース32がブロックホルダ31を主軸10回りに旋回可能に支持するため、アングルヘッド20の向きの調整のためブロックホルダ31を主軸10回りに回転させる動作に干渉することがなく、簡単な構造で所期の機能を確保することができる。
【0042】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前記実施形態では、ブロックホルダ31、ホルダベース32およびホルダケース33をリング状に形成し、同心円状に配置した。しかし、これらは全てをリング状に形成しなくてもよい。例えば、円弧状のブロックホルダ31をリング状のホルダベース32の内側に支持し、全周にわたって旋回させてもよい。一方、リング状のブロックホルダ31を所定角度間隔で配置されたホルダベース32で旋回可能に支持してもよい。
さらに、アングルヘッド20の向きの調整範囲が360度全周に及ぶ必要がない場合、ブロックホルダ31およびホルダベース32はその範囲だけに形成されてもよい。
【0043】
前記実施形態では、補助ロック機構34を、ホルダ変位機構332でホルダベース32を変位させる構成としたが、係止ブロック13を介して係止ピン24を変位させうる他の構造としてもよい。例えば、ブロックホルダ31と係止ブロック13との間に主軸10の回転軸線AS方向に変位する変位機構を設けてもよい。しかし、主軸10回りを旋回するブロックホルダ31に変位機構に至る配線あるいは配管を接続する必要があり、周囲との干渉などに配慮が必要である。従って、前記実施形態のようにホルダ変位機構332を主軸ヘッド11に固定的に設置できる補助ロック機構34とすることが好ましい。
【0044】
前記実施形態では、連結機構35として、アングルヘッド20のロック機構28を利用して、主軸10からシャンク部21、係止ピン24、係止ブロック13およびブロックホルダ31が連結される構成としていた。しかし、連結機構35は、主軸10と係止ブロック13およびブロックホルダ31を一体に回転させる他の構成としてもよい。
例えば、主軸10の端面にロック溝を形成しておき、ブロックホルダ31や係止ブロック13あるいは支持アーム131の一部からロック溝に向けて延びるロックレバーを形成し、ホルダ変位機構332でホルダベース32を変位させることでロックレバーとロック溝とを係合させ、これにより主軸10とブロックホルダ31とを一体に回転可能に連結してもよい。このように主軸10とブロックホルダ31ないし係止ブロック13とを直接連結可能とすれば、アングルヘッド20を経由して主軸10の回転を伝達する必要がなく、アングルヘッド20が主軸10に装着されていない状態でも係止ブロック13の向きを調整できる。ただし、自動工具交換装置を利用する際には、係止ブロック13の主軸10回りの角度位置は所定の着脱位置にある必要がある。
【0045】
前記実施形態において、主軸10に装着されるアタッチメントは、アングルヘッド20に限らず、主軸10回りの向きを変更することが必要になる他の種類のアタッチメントであってもよい。
例えば、前記実施形態のアングルヘッド20では、主軸10の回転軸線と加工方向(ツール部23の回転軸線)とを直交方向へ変化させていたが、60度あるいは45度など他の角度に変更させるものであってもよい。
また、主軸10の回転軸線と加工軸線とを変化させるもののほか、増速アタッチメントなど他の目的を有する様々なアタッチメントに適用することができる。増速アタッチメントは、ツールの回転軸線が主軸10と同じであるが、ツールの回転速度を主軸10の回転速度よりも増速する機能を有する。このような増速アタッチメントは、本発明の主軸アタッチメント方向調整装置30によりツールの回転軸線の向きが変更されることはない。しかし、アタッチメント本体を主軸ヘッド11に回り止めする係止ブロック13および係止ピン24がワークと干渉する場合など、主軸アタッチメント方向調整装置30によりアタッチメント本体の向きを変更することで、係止ブロック13および係止ピン24を別の方向に向けることで、ワークとの干渉を解消することができる。
このように、本発明は、主軸10回りの向きを変更することが必要になる多様なアタッチメントに適用することができ、それぞれにおいて優れた効果を得ることができる。
また、工作機械1は門型マシニングセンタなどであり、主軸10は主軸ヘッド11に下向きに支持されているとしたが、横中ぐり盤など主軸10が水平方向に向けられているものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、主軸アタッチメント方向調整装置および工作機械に利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1…工作機械、10…主軸、11…主軸ヘッド、111…段差、12…チャック部、13…係止ブロック、131…支持アーム、20…アングルヘッド、21…シャンク部、22…ケース部、23…ツール部、24…係止ピン、25…コイルばね、26…ロックレバー、27…ロック溝、28…ロック機構、30…主軸アタッチメント方向調整装置、31…ブロックホルダ、311…軸受、312…ブレード、32…ホルダベース、321…クランプ機構、33…ホルダケース、331…内フランジ、332…ホルダ変位機構、333…コイルばね、334…ソレノイド、34…補助ロック機構、35…連結機構、36…ホルダ固定機構、AS…主軸の回転軸線、AT…ツール部の回転軸線、D…変位量。
図1
図2
図3
図4
図5