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特許7041007連続ベルトコンベアのゴムベルト支持用ローラユニット
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  • 特許-連続ベルトコンベアのゴムベルト支持用ローラユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】連続ベルトコンベアのゴムベルト支持用ローラユニット
(51)【国際特許分類】
   E21F 13/08 20060101AFI20220315BHJP
   E21D 9/12 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
E21F13/08
E21D9/12 B
E21D9/12 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018105013
(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2019210624
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(73)【特許権者】
【識別番号】594145297
【氏名又は名称】タグチ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 廉樹
(72)【発明者】
【氏名】田口 一生
(72)【発明者】
【氏名】永元 太
(72)【発明者】
【氏名】井上 正広
(72)【発明者】
【氏名】小室 仁弘
(72)【発明者】
【氏名】石坂 仁
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-101454(JP,A)
【文献】特開2016-023494(JP,A)
【文献】特開平09-305828(JP,A)
【文献】実開昭55-085194(JP,U)
【文献】特開2018-043829(JP,A)
【文献】特開平11-208853(JP,A)
【文献】特開2002-114351(JP,A)
【文献】特開2017-190664(JP,A)
【文献】特開平11-029211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21F 13/08
E21D 9/12
B65G 41/00
B65G 15/00
B65G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内において切羽の掘削により生じた掘削ずりをテールピース台車から坑口へ搬出する連続ベルトコンベアのゴムベルトを支持するゴムベルト支持用ローラユニットであって、
前記ゴムベルト支持用ローラユニットは、フレームと、掘削ずりを前記テールピース台車から坑口へ搬出する前記ゴムベルトのキャリア部を支持する単一のキャリアローラと、坑口から前記テールピース台車に戻る前記ゴムベルトのリターン部を支持する単一のリターンローラとを含んで構成され、
前記フレームは細長形状を呈し、その長手方向の一端に、トンネル壁面に設けられたトンネル側結合部に係脱可能に結合されるフレーム側外結合部が設けられると共に、その長手方向の他端に、天井から吊り下げられたロッドの下端が係脱可能に結合されるフレーム側内結合部が設けられ、
前記キャリアローラは前記リターンローラの上方箇所に配置され、前記キャリアローラと前記リターンローラはそれぞれ前記フレームで回転可能に支持され、
前記フレーム側外結合部寄りに位置する前記フレームの箇所に、前記キャリアローラの下方で前記リターンローラの上方への前記リターン部の挿脱を可能とした装脱部が設けられている、
ことを特徴とする連続ベルトコンベアのゴムベルト支持用ローラユニット。
【請求項2】
前記フレームは、前記リターンローラを回転可能に支持する下部フレームと、前記リターンローラの上方で前記キャリアローラを回転可能に支持する上部フレームと、それら下部フレームと上部フレームとを連結する一対の脚部とを含んで構成され、
前記下部フレームは細長形状を呈し、その長手方向の一端に前記フレーム側外結合部が設けられると共に、その長手方向の他端に前記フレーム側内結合部が設けられ、
前記一対の脚部は、前記リターンローラの長手方向の両側で上下方向に延在し前記下部フレームと前記上部フレームとを連結しており、
前記一対の脚部のうち前記フレーム側外結合部寄りに位置する脚部は、その長手方向の一端が前記上部フレームまたは前記下部フレームの一方に回転可能に支持されると共に、その長手方向の他端が前記上部フレームまたは前記下部フレームの他方に係脱可能に結合され、前記装脱部を構成している、
ことを特徴とする請求項1記載の連続ベルトコンベアのゴムベルト支持用ローラユニット。
【請求項3】
前記リターンローラは、前記下部フレームの長手方向の中央で支持され、
前記上部フレームは、前記下部フレームよりも短い長さを有し、前記下部フレームの長手方向の中央の上方に配置されている、
ことを特徴とする請求項2記載の連続ベルトコンベアのゴムベルト支持用ローラユニット。
【請求項4】
前記キャリアローラは、前記上部フレームの長手方向の中央に水平に配置された中央ローラと、前記中央ローラの両側に配置され前記中央ローラから離れるにつれて上昇する傾斜の側部ローラとで構成されている、
ことを特徴とする請求項2または3記載の連続ベルトコンベアのゴムベルト支持用ローラユニット。
【請求項5】
前記トンネル側結合部は、アンカーボルトを介してトンネル壁面に取着され、
前記フレーム側外結合部は、前記トンネル側結合部に対してボルトを介して係脱可能に結合される、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の連続ベルトコンベアのゴムベルト支持用ローラユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトンネル内において切羽の掘削により生じた掘削ずりを坑口へ搬出する連続ベルトコンベアのゴムベルトを支持するゴムベルト支持用ローラユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル工事において、切羽の掘削によって発生した掘削ずりを連続ベルトコンベアにより抗口へ搬送する場合、トンネルの幅方向の一方の側部に、切羽から坑口に向かってクラッシャ、テールピース台車をそれらの順に配置し、テールピース台車から抗口に向かって連続ベルトコンベアを延在させる。
切羽で発生した掘削ずりはホイールローダによってクラッシャに投入され、クラッシャで破砕された掘削ずりはクラッシャから連続ベルトコンベアに積載される。
連続ベルトコンベアに積載されたズリは連続ベルトコンベアによってテールピース台車から抗口に向けて搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-190664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トンネル工事においては掘削作業による切羽の前進に対応してテールピース台車を前進させる必要があり、そのため、テールピース台車の前進に応じて連続ベルトコンベアを前方に延伸させる必要がある。
連続ベルトコンベアは、ゴムベルトと、ゴムベルトを支持するゴムベルト支持用ローラと、ゴムベルト支持用ローラを回転可能に支持するフレームとを含んで構成されており、フレームは例えば3m程度の長さを呈している。
連続ベルトコンベアの延伸作業に際しては、例えば3m単位のフレームを継ぎ足すことから、大掛かりな作業が必要となり、1日程度の作業時間を要しており、トンネル掘進作業の効率を高める上で改善の余地がある。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであり、その目的は、トンネル掘進作業の効率を高める上で有利な連続ベルトコンベアのゴムベルト支持用ローラユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、トンネル内において切羽の掘削により生じた掘削ずりをテールピース台車から坑口へ搬出する連続ベルトコンベアのゴムベルトを支持するゴムベルト支持用ローラユニットであって、前記ゴムベルト支持用ローラユニットは、フレームと、掘削ずりを前記テールピース台車から坑口へ搬出する前記ゴムベルトのキャリア部を支持する単一のキャリアローラと、坑口から前記テールピース台車に戻る前記ゴムベルトのリターン部を支持する単一のリターンローラとを含んで構成され、前記フレームは細長形状を呈し、その長手方向の一端に、トンネル壁面に設けられたトンネル側結合部に係脱可能に結合されるフレーム側外結合部が設けられると共に、その長手方向の他端に、天井から吊り下げられたロッドの下端が係脱可能に結合されるフレーム側内結合部が設けられ、前記キャリアローラは前記リターンローラの上方箇所に配置され、前記キャリアローラと前記リターンローラはそれぞれ前記フレームで回転可能に支持され、前記フレーム側外結合部寄りに位置する前記フレームの箇所に、前記キャリアローラの下方で前記リターンローラの上方への前記リターン部の挿脱を可能とした装脱部が設けられていることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記フレームは、前記リターンローラを回転可能に支持する下部フレームと、前記リターンローラの上方で前記キャリアローラを回転可能に支持する上部フレームと、それら下部フレームと上部フレームとを連結する一対の脚部とを含んで構成され、前記下部フレームは細長形状を呈し、その長手方向の一端に前記フレーム側外結合部が設けられると共に、その長手方向の他端に前記フレーム側内結合部が設けられ、前記一対の脚部は、前記リターンローラの長手方向の両側で上下方向に延在し前記下部フレームと前記上部フレームとを連結しており、前記一対の脚部のうち前記フレーム側外結合部寄りに位置する脚部は、その長手方向の一端が前記上部フレームまたは前記下部フレームの一方に回転可能に支持されると共に、その長手方向の他端が前記上部フレームまたは前記下部フレームの他方に係脱可能に結合され、前記装脱部を構成していることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記リターンローラは、前記下部フレームの長手方向の中央で支持され、前記上部フレームは、前記下部フレームよりも短い長さを有し、前記下部フレームの長手方向の中央の上方に配置されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記キャリアローラは、前記上部フレームの長手方向の中央に水平に配置された中央ローラと、前記中央ローラの両側に配置され前記中央ローラから離れるにつれて上昇する傾斜の側部ローラとで構成されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記トンネル側結合部は、アンカーボルトを介してトンネル壁面に取着され、前記フレーム側外結合部は、前記トンネル側結合部に対してボルトを介して係脱可能に結合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、互いに切り離された複数のローラユニットを設けたので、テールピース台車による連続ベルトコンベアの延伸時、ローラユニットを連続ベルトコンベアの延伸長さに応じた個数で設置し、撤去していけばよく、連続ベルトコンベアの延伸作業を円滑に行なう上で有利となり、トンネル掘進作業の効率を高める上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、ローラユニットの設置、撤去作業を簡単に行なえ、トンネル掘進作業の効率を高める上で有利となる。
請求項3記載の発明によれば、ローラユニットの構造の簡単化、軽量化を図る上で有利となる。
請求項4記載の発明によれば、連続ベルトコンベアによって掘削ずりを円滑に搬送する上で有利となる。
請求項5記載の発明によれば、ローラユニットの設置、撤去作業を簡単に行なえ、トンネル掘進作業の効率を高める上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態の連続ベルトコンベアのゴムベルト支持用ローラユニットを用いてトンネル内における掘削ずりの排出を行なう場合のトンネル坑内を示す斜視図である。
図2】トンネルをその長手方向と直交する平面で破断した断面図である。
図3】連続ベルトコンベアのゴムベルト支持用ローラユニットの斜視図である。
図4】連続ベルトコンベアのゴムベルト支持用ローラユニットのフレーム側外結合部とトンネル側結合部との結合状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、トンネル10の幅方向の一側に、切羽から坑口に向かってクラッシャ12、テールピース台車14、カテナリー台車16がそれらの順に配置されている。
切羽で掘削された掘削ずりは、ホイールローダ18などの作業車両によりクラッシャ12に運搬され、掘削ずりはクラッシャ12の破砕部で破砕され、クラッシャコンベア1202によりテールピース台車14に向けて搬送される。
【0009】
トンネル10の幅方向の一側に、切羽で掘削された掘削ずりを搬送する連続ベルトコンベア20がテールピース台車14からカテナリー台車16を経て抗口にわたって延在している。
連続ベルトコンベア20は、ゴムベルト22、キャリアローラ、リターンローラを含んで構成されている。
ゴムベルト22は坑口に向かって走行するキャリア部22Aと、キャリア部22Aの下方でテールピース台車に向かって走行するリターン部22Bとを有している。
キャリアローラはキャリア部22Aを案内するもので、水平に配置された中央ローラと、中央ローラの両側に配置され中央ローラから離れるにつれて上昇する傾斜の側部ローラとで構成され、キャリア部22Aは幅方向の中央部が窪み、掘削ずりが円滑に搬送されるように図られている。
【0010】
図1に示すように、テールピース台車14は自走式で、テールピース台車14にはゴムベルト22のリターン部22Bをキャリア部22Aに折り返すテールピース部が設けられている。
テールピース台車14に設けられる連続ベルトコンベア20のキャリア部22Aは、テールピース部から抗口に向かうにつれて上昇する傾斜の傾斜部2202と、傾斜部2202に続く水平部2204とを有している。
テールピース台車14に設けられる連続ベルトコンベア20のキャリア部22Aの下部にはホッパ1402が設けられ、クラッシャコンベア1202により搬送された掘削ずりはホッパ1402に投入され、キャリア部22Aにより抗口側に搬送される。
【0011】
カテナリー台車16はテールピース台車14よりも坑口側に離れた箇所に配置され、車輪1602により走行可能である。
カテナリー台車16に設けられる連続ベルトコンベア20の箇所は、テールピース台車14と同様に、ゴムベルト22に加え、キャリアローラ、リターンローラを含んで構成されている。
カテナリー台車16に設けられる連続ベルトコンベア20の箇所は、テールピース台車14寄りのカテナリー台車16箇所が、テールピース台車14に設けられた傾斜部2202の上端と同じ高さで水平に延在する水平部2210で構成されている。
また、水平部2210の坑口側の端部に続く連続ベルトコンベア20の箇所は、抗口に向かうにつれて下降する傾斜の傾斜部2212で構成されている。
また、カテナリー台車16に設けられる連続ベルトコンベア20の箇所は、坑口側のカテナリー台車16の端部において、傾斜部2212の下端に続きトンネル床面10Aの近傍で水平に延在する水平部2214で構成されている。
なお、カテナリー台車16と坑口との間では、連続ベルトコンベア20はトンネル床面10Aの近傍でトンネル床面10A上で支持されて水平方向に延在している。
【0012】
テールピース台車14とカテナリー台車16との距離は、本実施の形態では50mから300mであり、連続ベルトコンベア20は、テールピース台車14とカテナリー台車16との間で、トンネル壁面10Bに支持され互いに切り離された複数のローラユニット24により直線状に延在している。
図2図3に示すように、ローラユニット24は、フレーム26と、フレーム26に回転可能に支持された単一のリターンローラ28と、リターンローラ28の上方でフレーム26に回転可能に支持された単一のキャリアローラ30とを含んで構成されている。
フレーム26は、下部フレーム32と、上部フレーム34と、それら下部フレーム32と上部フレーム34とを連結する一対の脚部36とを含んで構成されている。
【0013】
下部フレーム32は細長形状を呈し、その長手方向の中央部で支持片3202を介して単一のリターンローラ28を回転可能に支持している。
リターンローラ28の軸心は下部フレーム32の長手方向に延在し、リターンローラ28は、下部フレーム32の幅方向の中央部に配置されている。
下部フレーム32の長手方向の一端にフレーム側外結合部38が設けられ、その長手方向の他端にフレーム側内結合部40が設けられている。
図4に示すように、フレーム側外結合部38は、トンネル壁面10Bに設けられたトンネル側結合部42に係脱可能に結合される箇所である。
トンネル側結合部42は、アンカーボルトを介してトンネル壁面10Bに取着された取り付けプレート4202と、取り付けプレート4202に取着されそれぞれボルト挿通孔4204Aを有する一対のアングル材4204を有している。
フレーム側外結合部38は、一対のアングル材4204のボルト挿通孔4204Aに対応する雌ねじ3802Aを有する結合板部3802を有し、一対のアングル材4204を挿通したボルトN1が雌ねじ3802Aに螺合されることでフレーム側外結合部38とトンネル側結合部42が係脱可能に結合される。
図2図3に示すように、フレーム側内結合部40は、天井から吊り下げられたロッド44の下端が係脱可能に結合される箇所である。
本実施の形態では、フレーム側内結合部40は、下部フレーム32から突設されたロッド4602の先端に形成された右ねじと、天井から吊り下げられたロッド44の下端に形成された左ねじと、それら右ねじ、左ねじに対応する雌ねじが内周部両端に形成された円筒部4604とからなるターンバックル機構で構成されている。
このようなトンネル側結合部42、ロッド44を介してローラユニット24は、トンネル床面10Aから下部フレーム32の下面までの高さHが5.5m以上の寸法となるようにトンネル10内の幅方向の一側に寄せてトンネル10内の上部に水平に配置されている。
なお、図1図2において、符号19は作業車両としてのドリルジャンボを示す。
【0014】
上部フレーム34は、下部フレーム32よりも短い長さを有し、下部フレーム32の長手方向の中央の上方に配置されている。
上部フレーム34には、単一のキャリアローラ30が回転可能に支持されている。
単一のキャリアローラ30は、テールピース台車14と同様に、支持片により水平に配置された中央ローラ3002と、中央ローラ3002の両側で支持片3402、3404で支持され中央ローラ3002から離れるにつれて上昇する傾斜の側部ローラ3004とで構成され、キャリア部22Aは幅方向の中央部が窪み、掘削ずりが円滑に搬送されるように図られている。
【0015】
一対の脚部36は、リターンローラ28の長手方向の両側で上下方向に延在し下部フレーム32と上部フレーム34とを連結している。
一対の脚部36のうちトンネル側結合部42側の脚部36は、その上部が上部フレーム34に回転可能に支持され、下端が下部フレーム32に係脱可能に結合されている。すなわち、トンネル側結合部42側の脚部36の下端にはボルト挿通孔が形成され、このボルト挿通孔に挿通されたボルトが下部フレーム32の雌ねじに螺合することで、脚部36の下端が下部フレーム32に係脱可能に結合されている。
したがって、一対の脚部36のうちトンネル側結合部42側の脚部36は開閉可能であり、一対の脚部36のうちトンネル側結合部42側の脚部36により、キャリアローラ30の下方でリターンローラ28の上方にゴムベルト22のリターン部22Bの挿脱を可能とした装脱部37が構成されている。
なお、装脱部37の構造には、従来公知の様々な開閉構造が適用可能であるが、上記のように構成すると、構造の簡単化、軽量化を図る上で有利となる。
【0016】
したがって、テールピース台車14により連続ベルトコンベア20を延伸する場合には、テールピース台車14の坑口側の連続ベルトコンベア20の箇所において、トンネル側結合部42の脚部36の下端を上方に揺動させ、ゴムベルト22のリターン部22Bが装脱部37から下部フレーム32と上部フレーム34との間に挿入され、ゴムベルト22のキャリア部22Aがキャリアローラ30の上に位置するように、ローラユニット24をトンネル壁面10Bに向けて水平に移動させ、移動後、トンネル側結合部42側の脚部36の下端を下部フレーム32に結合し、トンネル側結合部42とフレーム側外結合部38とを結合すると共にフレーム側内結合部40をロッド44に結合してロッド44により吊り下げ、ローラユニット24を取り付ける作業が行われる。
また、カテナリー台車16の切羽側の連続ベルトコンベア20の箇所において、すでにトンネル側結合部42に取り付けられたローラユニット24のフレーム側外結合部38を取り外すと共にフレーム側内結合部40からロッド44を取り外し、トンネル側結合部42側の脚部36の下端を上方に揺動させておき、ローラユニット24をトンネル壁面10Bから離れる方向に水平に移動させる。これによりゴムベルト22のリターン部22Bは装脱部37から取り出され、ローラユニット24の取り外し作業が終了する。
【0017】
本実施の形態によれば、互いに切り離された複数のローラユニット24を設けたので、テールピース台車14による連続ベルトコンベア20の延伸時、テールピース台車14の坑口側の連続ベルトコンベア20の箇所において、ローラユニット24を連続ベルトコンベア20の延伸長さに応じた個数で設置し、また、カテナリー台車16の切羽側の連続ベルトコンベア20の箇所において、ローラユニット24を撤去していけばよく、連続ベルトコンベア20の延伸作業を円滑に行なう上で有利となり、トンネル掘進作業の効率を高める上で有利となる。
すなわち、従来は、テールピース台車14の前進に応じて連続ベルトコンベア20のフレーム、例えば、3m単位のフレームを継ぎ足していく作業が必要であった。そのため、連続ベルトコンベア20のゴムベルト22の延伸を行なうために連続ベルトコンベア20のフレームを継ぎ足すための油圧装置を含んだ延伸用装置、連続ベルトコンベア20のフレームの継ぎ足しに伴ってゴムベルト22を緊張させる油圧装置を含んだ緊張装置を利用してフレームを継ぎ足す大掛かりな作業が行なわれ、1日程度かかってしまう。
そのため、従来は、1週間(あるいは2週間)に1回テールピース台車14を前進させ、連続ベルトコンベア20を延伸させており、その都度、連続ベルトコンベア20を停止させフレームの継ぎ足しの大掛かりな作業を行なっている。
一方、切羽は掘削作業に伴い毎日前進していく。
テールピース台車14の前進は1、2週間毎に一度程度に制約されているため、クラッシャ12は、テールピース台車14の前方に隣接した位置に留まらなくてはならず、切羽からの掘削ずりをクラッシャ12に運搬するホイールローダ18の走行距離が日々長くなる不利がある。
これに対して、本発明は互いに切り離された複数のローラユニット24を用いるため、連続ベルトコンベア20の延伸作業が、従来のようにフレーム長さ単位に制約されず、例えば、30分程度の作業時間で1m単位で延伸できるため、連続ベルトコンベア20を1日1回延伸でき、その都度、テールピース台車14とクラッシャ12とを前進できる。
そのため、クラッシャ12と切羽との距離を従来よりも短縮でき、ホイールローダ18の走行距離が長くなることを抑制し走行距離を一定に保て、ホイールローダ18による切羽からの掘削ずりの運搬効率を高める上で有利となる。
また、従来は、連続ベルトコンベア20の傾斜をフレームの長さ単位、例えば3m単位でしか設定できないことから連続ベルトコンベア20の傾斜に関する設計の自由度が制約される不利がある。
これに対して、本実施の形態では、ローラユニット24が互いに切り離されているため、連続ベルトコンベア20の傾斜をローラユニット24単位で自由に設定できるため、連続ベルトコンベア20の傾斜に関する設計の自由度を確保する上で有利となる。
【符号の説明】
【0018】
10 トンネル
10B トンネル壁面
14 テールピース台車
20 連続ベルトコンベア
22 ゴムベルト
22A キャリア部
22B リターン部
24 ローラユニット
26 フレーム
28 リターンローラ
30 キャリアローラ
3002 中央ローラ
3004 側部ローラ
32 下部フレーム
34 上部フレーム
36 脚部
37 装脱部
38 フレーム側外結合部
40 フレーム側内結合部
42 トンネル側結合部
44 ロッド
N1 ボルト
図1
図2
図3
図4