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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F26B 5/08 20060101AFI20220315BHJP
   F26B 21/00 20060101ALI20220315BHJP
   F16H 7/02 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
F26B5/08
F26B21/00 Z
F16H7/02 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018118750
(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2019219135
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】國友 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川森 巧曜
(72)【発明者】
【氏名】光江 豊彰
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-001703(JP,A)
【文献】特開2002-267360(JP,A)
【文献】特開平11-165140(JP,A)
【文献】実開平04-010846(JP,U)
【文献】特開平01-255227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 5/08
F26B 21/00
F16H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を乾燥する乾燥機であって、
回転可能な中空円筒状の回転軸と、
前記回転軸の内側に軸受を介して支持され、回転しない中心軸であって、中心軸に沿って延びる内側ブロー通路を内部に有する中心軸と、
前記回転軸の第一端に固定された回転プレートと、
前記中心軸から前記回転軸の前記第一端側に沿って延びる内側固定ノズルと、
前記回転プレートに設けられ、前記対象物を固定するジグと、
前記回転軸を回転する駆動モータと、
前記内側ブロー通路と接続するブロアーと、
を有し、
前記内側固定ノズルは、
前記回転軸に沿って延び、一端が閉じた中空パイプ状のボディであって、前記回転軸に沿って延びるスリットを有するボディ、
を有する乾燥機。
【請求項2】
前記スリットは、前記中心軸に固定される基端部から、先端面の前記中心軸まで回り込むように延びる、請求項に記載の乾燥機。
【請求項3】
前記回転軸は、200~500rpmの回転速度で回転する、請求項1又は2に記載の乾燥機。
【請求項4】
前記回転プレート、前記対象物及び前記ジグを回転させた閉領域の外側に、前記対象物に向かう外側ブローノズルと、
を更に有する、請求項1~のいずれかに記載の乾燥機。
【請求項5】
前記回転プレートは、前記対象物が前記回転プレートに装着されたときに、前記対象物のブロー対象箇所が前記回転プレートから露出する開口部を有し、
前記ブロアーと接続し、前記開口部を通して前記ブロー対象箇所をブローする背面ブローノズルを更に有する、
請求項1~のいずれかに記載の乾燥機。
【請求項6】
前記モータに設けられた駆動歯付プーリと、
前記回転軸に設けられた従動歯付プーリと、
前記駆動歯付プーリと前記従動歯付プーリとの間に張られた無端歯付ベルトと、を更に有し、
前記モータはサーボモータである、
請求項1~のいずれかに記載の乾燥機。
【請求項7】
前記第一端とは異なる前記回転軸の第二端の外面に摺動するように固定されたハウジングと、
圧縮空気源と、
前記ハウジングと前記回転軸との間で円周方向に延びる円環通路と、
前記円環通路と前記圧縮空気源とを接続する第1通路と、
前記回転軸の内部で軸方向に延びる第2通路であって、前記円環通路と接続し、前記第一端側が開口する第2通路と、
を更に有し、
前記ジグは、エアシリンダを含むクランプ及び前記第2通路と前記エアシリンダとを接続する第3通路を有する、
請求項1~のいずれかに記載の乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
製品を回転テーブルに挟持し、回転テーブルの回転と共に製品に熱風を吹き付けて乾燥させる遠心脱水機が提案されている(実開平4-45586号公報)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
椀状のワークの内側を回転テーブル側に向けて固定して乾燥度を上げる乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の対象物を乾燥する乾燥機は、
回転可能な中空円筒状の回転軸と、
前記回転軸の内側に軸受を介して支持され、回転しない中心軸であって、中心軸に沿って延びる内側ブロー通路を内部に有する中心軸と、
前記回転軸の第一端に固定された回転プレートと、
前記中心軸から前記回転軸の前記第一端側に沿って延びる内側固定ノズルと、
前記回転プレートに設けられ、前記対象物を固定するジグと、
前記回転軸を回転する駆動モータと、
前記内側ブロー通路と接続するブロアーと、
を有する。
【0005】
本発明の乾燥機は、主として、洗浄後の乾燥対象物(以下、単に「対象物」という。)を乾燥する目的で使用される。対象物は機械部品である。対象物は主として、自動車用のケーストランスアクスル、ハウジングトランスアクスル、オイルポンプカバー等の椀状のものである。乾燥機は、遠心力により対象物の表面に残留した洗浄液を振り払う。更に乾燥機は、ブローノズルから噴出する空気により対象物から洗浄液を吹き飛ばす。洗浄液は主として水系洗浄液であるが、洗浄液一般に適用できる。
椀状の対象物を片持ち軸の回転プレートに装着するときに、対象物を伏せて内側を軸側に向けると回転物の重心が片持ち軸に近づくため、安定する。しかし、椀状の対象物を、内側を向けるように回転プレートに装着すると、内面側の洗浄液が振り払いにくい。本発明は、回転プレートの内側にブローノズルを設ける。
【0006】
中空円筒状の回転軸の内側に中心軸が貫通する。回転軸は、垂直方向、水平方向の他、垂直から斜めに傾斜した方向に設けても良い。中心軸は、回転軸に軸受を介して支持される。回転軸は、外側と内側から支持される。回転プレートは、回転軸の第1方向側の第一端に固定される。内側固定ノズルは、中心軸の第一端に固定される。内側固定ノズルは、回転プレートから対象物側に突出して固定される。対象物はジグによって回転プレートに固定される。回転軸が回転すると、対象物が回転する。対象物に残留している洗浄液は遠心力により振り払われる。さらに、内側固定ノズルは、対象物に向かって乾燥空気を吹き付ける。対象物の内面は、乾燥空気により吹き飛ばされる。内側からのブローと遠心力により、対象物の乾燥が促進する。
【0007】
内側固定ノズルは、望ましくはスリットノズルである。スリットは、半径方向に向けて開口する。スリットは回転軸の軸方向に長く伸びる。内側固定ノズルからカーテン状の乾燥空気が噴出される。このため、乾燥むらが少なくなる。好ましくは、スリットは内側固定ノズルの先端部の中央部まで回り込むように延びる。スリットが先端部中央まで延びれば、内側固定ノズルは対象物の底面までをブローできる。
なお、内側固定ノズルは、固定パイプと、固定パイプに配置された複数のノズルで構成してもよい。この場合、望ましくは、複数のノズルは隙間がほとんどない状態で回転軸の軸方向に並べられる。
【0008】
ジグは、回転プレートに設けられる。ジグは、クランプ、着座ピン及び/又は位置決めピンを含む。クランプは、好ましくはシリンダを用いたクランプである。シリンダはエアシリンダが好ましい。この場合、シリンダを駆動する流体は、回転軸を通して供給される。回転軸の第二端に流体継手が設けられる。流体継手は、ハウジング、円環通路、第1通路及び第2通路を含む。第1通路は円環通路と流体圧発生源とを接続する。第2通路は回転軸の内部に設けられる。第2通路は円環通路とシリンダとを接続する。
【0009】
好ましくは、乾燥機は外側ブローパイプを有する。外側ブローパイプは対象物の回転軸を含む平面である設置平面上に配置される。外側ブローノズルは、対象物、ジグ及び回転プレートが回転しても干渉しないように配置される。外側ブローパイプは、対象物の表面に沿って配置される。外側ブローパイプは、架台等に固定される。外側ブローパイプは、半径方向内側に延びても良い。このとき、外側ブローパイプは、半径方向の外側から内側に向けて延びる。外側ブローパイプは回転中心まで延びてよい。外側ブローノズルは対象物の外面をブローする。好ましくは、外側ブローノズルは、対象物の外表面の全面をブローする。好ましくは、外側ブローノズルは対象物の回転軸を含む平面である設置平面上に配置される。外側ブローノズルは外側ブローパイプに設けられてもよい。外側ブローノズルは回転する対象物、ジグ及び回転プレートの設置平面による断面の外表面の外側に配置される。外側ブローノズルは乾燥空気を噴出する。
【0010】
好ましくは、回転プレートは第2方向側から見て対象物を露出させる開口部を持つ。つまり、回転プレートの対象物が固定された面の反対面からみると、対象物の一部が回転プレートから露出している。典型的には、回転プレートは、回転軸から細い棒状の数枚の平板が放射状に広がる星形である。回転軸から延びる平板の先端部にクランプ、着座ピン及び/又は位置決めピンが設けられる。
【0011】
好ましくは、乾燥機は背面ブローノズルを持つ。背面ブローノズルは、回転プレートの第2方向側に設けられる。背面ブローノズルは、開口部を通して対象物をブローする。背面ブローノズルは、対象物の内側の周辺部分をブローする。より好ましくは、背面ブローノズルは、対象物のブロー対象箇所の回転軌跡上を狙うように配置される。ここでブロー対象箇所とは、洗浄液が溜まりやすく、ブローすることが望ましい箇所をいう。例えば、ブロー対象箇所は、雌ねじ、油穴、ピン穴又は溝である。
【0012】
上述の乾燥機の使用方法を説明する。まず、対象物をジグに装着する。方向切替弁を切り替える。クランプが対象物を回転プレートに固定する。駆動モータが回転軸を回転する。対象物の表面に付着した洗浄液は、遠心力によって移動し、対象物から離れる。ブロアーが乾燥空気を掃き出す。ブロアーが吐き出した乾燥空気は、内側固定ノズルから噴出する。内側固定ノズルから対象物に吹き付けられた乾燥空気によって、対象物の内側表面に付着した洗浄液は吹き飛ばされる。内側固定ノズルからのブローは対象物の乾燥を促進する。乾燥空気は外側ブローノズルからも噴出する。対象物の外側表面に付着した洗浄液は外側ブローノズルから噴出した空気によって吹き飛ばされる。外側ブローノズルからのブローは対象物の乾燥を促進する。ブロアーは乾燥空気を背面ブローノズルに供給する。圧縮空気源を含んでも良い。圧縮空気源は圧縮空気を背面ブローノズルに供給しても良い。背面ブローノズルは乾燥空気を対象物の内面に向けて噴出する。噴出された乾燥空気は、回転プレートの開口部を通って対象物のブロー対象箇所に到達する。ブロー対象箇所に付着した洗浄液は背面ブローノズルから噴出する乾燥空気により吹き飛ばされる。背面ブローノズルからのブローは対象物の乾燥を促進する。内側固定ノズルは噴射を停止する。外側ブローノズルは噴射を停止する。背面ブローノズルも噴射を停止する。駆動モータは回転を停止する。駆動モータは特定の位相で回転プレートを停止できる。方向切替弁は流路を切り替える。クランプは対象物を解放する。
【0013】
ブローノズルから噴出する空気は、ブロアーから供給されるため、圧縮空気を利用する場合に比較すると消費電力が少ない。
なお、背面ブローノズルは圧縮空気源と接続しても良い。この場合、背面ブローノズルは圧縮空気を噴出する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の乾燥機によれば、椀状のワークを椀の内側を回転プレートに向けて設置したときに、乾燥度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の乾燥機の斜視図
図2図1のII面による断面図
図3】実施形態の乾燥機のノズル
図4】乾燥機のノズルの変形例
図5図2のV-V線断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照して実施形態の乾燥機10を説明する。乾燥機10は、回転軸15、中心軸11、回転プレート31、内側固定ノズル(以下、単に「ノズル39」という。)、内側ブロー通路(以下、「通路12」という。)、ジグ30、駆動モータ(以下、単に「モータ29」という。)及びブロアー32を有する。好ましくは、乾燥機10は、ブローパイプ(以下、単に「パイプ53」という。)、外側ブローノズル(以下、単に「ノズル55」という。)、背面ブローパイプ(以下、単に「パイプ57」という。)、背面ブローノズル(以下、単に「ノズル59」という。)、ハウジング19、ベースプレート21、駆動歯付プーリ(以下、単に「プーリ25」という。)従動歯付プーリ(以下、単に「プーリ23」という。)、無端歯付ベルト(以下、単に「ベルト27」という。)、圧縮空気源(以下、「空気源42」という。)、方向切替弁(以下、単に「弁49」という。)及びハウジング43を有する。
図2において中心軸11は上下方向に延びる。以下、本実施形態では中心軸11が鉛直方向に延びる例を説明するが、これに限定されず、中心軸11が如何なる方向に延びて配置されてもよい。例えば、中心軸11が水平方向に延びるように乾燥機10が横向きに配置されてもよい。以下、説明の便宜上、図2の上方向を「第1方向」、図2の下方向を「第2方向」とする。
【0017】
対象物5は、回転プレート31に固定される。回転プレート31は、対象物5と共に回転し、対象物5に付着した洗浄液等を遠心力で振り払う。ノズル39は対象物5の内側から乾燥空気を吹き付ける。ノズル55は対象物5の外側から乾燥空気を吹き付ける。このように、乾燥機10は対象物5を乾燥する。
【0018】
ベースプレート21は、架台(不図示)等に固定される。ベースプレート21は、円筒部21aを有する。ハウジング19は、中空円筒状である。ハウジング19は円筒部21aに嵌合される。ハウジング19は、中心軸11と同軸に固定される。ハウジング19の両端部に軸受17が挿入される。2つの軸受17は、離間して設けられる。軸受17の外部にシール171を設けても良い。軸受17はシール付き軸受でもよい。回転軸15は、軸受17により支持される。回転軸15は、ハウジング19を貫通する。回転軸15は中空円筒状である。回転軸15は中心軸11と同軸上に設けられる。回転軸15の一方(図2の上方)に回転プレート31が固定される。回転軸15の両端部の内側に、軸受13が設けられる。2つの軸受13は離間している。軸受13の外部にシール131を設けても良い。軸受13はシール付き軸受でもよい。軸受13の内部に更に中心軸11が設けられる。中心軸11は、回転しないように固定される。中心軸11は、ベースプレート21に固定されても良い。回転軸15は、中心軸11とハウジング19の間に、軸受17および軸受13を介して回転可能に保持される。回転プレート31は回転軸15と一体に回転する。中心軸11は内部に通路12を有する。通路12は中心軸11の中心軸に沿って延びる。通路12は中心軸11の両端部に開口する。ノズル39は、中心軸の第一端(図2の上方)に設けられる。通路12の他方(図2の下方)は、通路65を介してブロアー32と接続される。
【0019】
軸受13、軸受17は、例えば、ラジアル軸受である。軸受13、軸受17は、スラスト軸受でも良い。
【0020】
ブロアー32は乾燥空気を掃き出す。ブロアー32が吐き出した乾燥空気は、ノズル39およびノズル55から対象物5に向けて噴出する。
【0021】
好ましくは、モータ29は、サーボモータ、永久磁石同期モータ等の同期モータである。
【0022】
回転軸15には、プーリ23が設けられる。プーリ23は、好ましくはハウジング19の下方側(第2方向側)に設けられる。モータ29の出力軸には、プーリ25が設けられる。プーリ23とプーリ25の間にベルト27が張られる。プーリ23、25及びベルト27のベルト機構は、モータ29の回転速度を減速する。回転軸15の回転速度は、200~500rpm(両端含む)が望ましい。回転速度が200rpm以上となれば、遠心力によって対象物5に付着した洗浄液の離脱が促進される。他方、500rpmまでの範囲が製作しやすい。
【0023】
なお、プーリ23、プーリ25及びベルト27に替えて、歯車機構を設けても良い。歯車機構は、例えば、はすば歯車機構、やまば歯車機構、平歯車機構である。
【0024】
ジグ30は、クランプ33を有する。ジグ30は、着座ピン36及び位置決めピン(不図示)を有しても良い。ジグ30は対象物5を回転プレート31に固定する。着座ピン36は、対象物5を回転プレート31から離間した位置に支える。ジグ30は、複数の着座ピン36を有する。クランプ33は、シリンダ34及びクランプアーム(以下、単に「アーム35」という。)を有する。アーム35は、シリンダ34によって開閉する。図では、シリンダ34のピストン軸に直接アーム35を設けたが、シリンダ34とアーム35の間にリンクを設けてもよい。アーム35は、クランプ位置において対象物5を押さえ込み、アンクランプ位置において対象物5を解放する。シリンダ34は、例えば、エアシリンダ等の流体シリンダである。
【0025】
次にシリンダ34への圧縮空気の通路について説明する。ここでは、シリンダ34が複動シリンダであることを前提として説明する。
弁49は、例えば、4ポート方向切替弁である。弁49は、例えば、電磁弁である。空気源42は、例えば、コンプレッサー又はコンプレッサーからの供給口である。空気源42は弁49の供給口と接続する。弁49は、供給された圧縮空気を通路63A及び通路63Bのいずれか一方に供給する。弁49は、通路63A及び通路63Bの他方を大気へ開放する。
回転軸15の第二端(図2の下方)に流体回転接手(以下、単に「流体継手48」という。)が設けられる。流体接手48は、ハウジング43、回転軸15、円環通路44、シール45、第1通路及び第2通路で構成される。第1通路及び第2通路は、円環通路44と同数設けられる。第1通路(以下、単に「通路63A」、「通路63B」という。)と第2通路(以下、「通路46A」,「通路46B」という。)は、円環通路を介してそれぞれ接続する。図2では3つの円環通路44が示されている。なお、説明の便宜上、図2では2つの第2通路46A、46Bしか示されていないが、3つ目の第2通路は図示を省略している。
ハウジング43は、回転軸15の第二端に設けられる。ハウジング43は中空円筒状である。ハウジング43は円筒面である内面43aを持つ。内面43aは回転軸の外面15aと回転方向に摺動する。ハウジング43は、中心軸11又はベースプレート21に固定される。ハウジング43は、回転しない。内面43aに円環通路44、シール45が設けられる。円環通路44は、円周方向に全周に延びる。内面43aには、1つ又は複数(図2では3つ)の円環通路44が設けられる。複数の円環通路44は、軸方向に並べて設けられる。各円環通路44は、シール45により封止される。なお、円環通路44は、内面43aと共に、又はハウジング43に替えて、外面15aに設けても良い。
ハウジング43に、通路63A、63Bが設けられる。通路63A、63Bは弁49のポート49A,49Bにそれぞれ接続する。通路63A,63Bはそれぞれ円環通路44に接続する。
回転軸15は内部に、通路46A,通路46Bを有する。通路46A,46Bは回転軸15の軸方向に延びる。回転軸15は、複数の通路46A,46B等を有する。このとき、各通路46A,46B等は、円周方向において異なる位置に形成される。
通路46A,46Bの端部は、第3通路(以下、単に「通路47A」,「通路47B」という。)と接続する。通路47A,47Bはそれぞれシリンダのポート34A,34Bと接続する。
【0026】
なお、シリンダ34は、単動シリンダでも良い。このとき、回転軸15は通路46Bを有さなくてもよい。通路46A、46Bの上方側(第1方向側)は、それぞれ円環通路44に向けて回転軸15の外面に開口する。
【0027】
乾燥機10は、着座センサ51を有しても良い。この場合、着座ピン36は、対象物5と接触する位置に着座ノズル(不図示)を有する。着座センサ51は、通路50を介して空気源42と接続する。着座センサ51は、流体継手48を介して、着座ピン36と接続する。着座センサ51は、着座ピン36から圧縮空気を噴出する。対象物5が着座ピン36に密着したときに、圧縮空気の噴出が停止し、背圧が上昇する。着座センサ51は、背圧上昇により着座を検出する。
【0028】
パイプ53は、対象物5の側面に配置される。パイプ53は対象物5の回転軸を含む平面である設置平面II上に配置される。パイプ53は、回転する対象物5、ジグ30及び回転プレート31の設置平面IIによる断面の外表面の外側に配置される。パイプ53は、対象物5の端面側に延びるように折れ曲がっても良い。このとき、パイプ53は、中心軸11から半径方向に延びる。パイプ53は、中心軸11の軸中心付近まで延びる。パイプ53は、ノズル55を有する。望ましくは、パイプ53は、対象物5の稜線に沿って複数のノズル55を有する。好ましくは、ノズル55は、対象物5の全面をブローする。ノズル55は、例えば、パイプ状のノズルである。ノズル55は対象物5の外面に向けて配置される。ノズル55は回転する対象物5、ジグ30及び回転プレート31の設置平面IIによる断面の外表面の外側に配置される。パイプ53及びノズル55は、回転プレート31、ジグ30及び対象物5が回転するときに占める閉領域の外部に配置される。パイプ53は、ベースプレート、架台等に固定される。パイプ53はブロアー32と接続する。ノズル55はブロアー32が吐き出した乾燥空気を対象物5に向けて噴出する。
なお、対象物5の外面の一部に洗浄液が残留しやすい箇所がある場合、残留しやすい箇所に向けてブローノズルを別途設けても良い。別途設けるブローノズルは圧縮空気を噴出しても良い。
【0029】
図3に示すように、本実施形態のノズル39はボディ38、通路40及びスリット41を有する。ボディ38は円筒である。通路40は、ボディ38の内部に軸方向に延びる。通路40は、一端が開口し、他端は先端に達しない。スリット41は、ボディ38の中心軸を通る平面上に、ボディ38の軸方向に延びる。スリット41は、ボディ38の中央部に設けられる。スリット41の長さは、ボディ38の長さの60~90%である。スリット41は、非常に狭い幅を有する。図2に示すように、通路40は通路12と接続する。好ましくは、通路40は通路12と同一の内径を持つ。
【0030】
図4は、ノズル39の変形例であるノズル139を示す。ボディ138の先端部は半球形状である。通路140の末端も同様に半球形状である。スリット141の先端部は、ボディ138の先端部まで回り込み、ボディ138の中心軸まで達する。スリット141は、ボディ138の中心軸を超えて延びても良い。なお、図3のボディ138の先端は平面でも良い。
【0031】
図1図2に示すように、パイプ57及びノズル59は回転プレート31の下方(第二方向側)に設けられる。ノズル59は、回転プレート31に対して対象物5と反対側に配置される。ノズル59は、対象物5に向けて配置される。ノズル59は、乾燥空気を対象物5に向けて噴出する。パイプ57とブロアー32は、通路58で接続される。なお、通路58は、パイプ57と空気源42を接続しても良い。
【0032】
図5は、図2のV-V線を上から見た断面図である。図5に示すように、好ましくは、回転プレート31は下方(第2方向側)から見て対象物5を露出させる開口部71を有する。つまり、回転プレート31の対象物5が固定された面の反対面からみると、対象物5の一部が回転プレート31から露出する。対象物5を回転プレート31の下方(第2方向側)から見て回転プレート31から露出する部分を開口部71とする。典型的には、回転プレート31は、回転軸15から細い棒状の数枚の平板が放射状に広がる星形である。図では、回転プレート31は、三角形の板の各頂点から棒状に板が伸びたY字状である。中央の三角形の中央が円形にくり抜かれる。中央のくり抜き部に回転軸15が固定される。回転軸15から延びる平板の先端部にクランプ33、着座ピン36及び/又は位置決めピン(不図示)が設けられる。
本実施形態のジグ30は、外周の3か所にシリンダ34および着座ピン36を有する。そのため、回転プレート31はY字状である。回転プレート31に椀状の対象物5を固定した、下方(第2方向側)から見ると、対象物5の内面の一部は回転プレート31から露出する。
対象物5は、その内側にブロー対象箇所(以下、単に「箇所73」という。)を有する。箇所73は、洗浄液等が残留しやすい部位である。箇所73は、例えば雌ねじ73a、油穴73b、合わせ面73c、貫通孔73d、ピン穴73e等である。対象物5が回転プレート31に固定されると、下方(第2方向側)から見て、開口部71は箇所73を露出させる。
回転プレート31に固定された対象物5が回転するときに、箇所73が通過する閉領域を軌跡75とする。ノズル59は、軌跡75に対向するように配置される。ノズル59は、回転する対象物5の箇所73を狙うように設置される。
【符号の説明】
【0033】
5 対象物(乾燥対象物)
10 乾燥機
11 中心軸
15 回転軸
29 モータ
31 回転プレート
32 ブロアー
33 クランプ
39 ノズル(内側固定ノズル)
55 ノズル(外側ブローノズル)
図1
図2
図3
図4
図5