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特許7041062触媒床、及び酸化窒素を減少させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】触媒床、及び酸化窒素を減少させるための方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20220315BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20220315BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
B01J35/04 331Z
B01J35/04 331A
B01J35/04 ZAB
B01D53/94 222
B01D53/86 222
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2018532562
(86)(22)【出願日】2016-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 US2016067651
(87)【国際公開番号】W WO2017112615
(87)【国際公開日】2017-06-29
【審査請求日】2019-12-13
(31)【優先権主張番号】62/270,859
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002105
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリンク,ワッシム
(72)【発明者】
【氏名】スオン,グイード
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ウェンジョン
(72)【発明者】
【氏名】クレムト,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヒメルファーブ,パウル・ベンヤマン
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-031971(JP,A)
【文献】特開昭57-174145(JP,A)
【文献】特開平05-154352(JP,A)
【文献】特開2014-039925(JP,A)
【文献】特表2019-508221(JP,A)
【文献】特表2019-505372(JP,A)
【文献】特開2006-212515(JP,A)
【文献】特開2006-205091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00ー38/74
B01D 53/73
B01D 53/86-53/90
B01D 53/94ー53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のNO還元触媒を含むセラミックまたは金属発泡体を含み、NO還元触媒が1つ以上の金属化合物を含み、当該NO還元触媒が多くとも100nmの直径を有する細孔中に存在する細孔体積が90%超であるバイモーダル細孔分布を有し、および窒素吸着によって測定される表面積が70m/g~150m/gである、触媒床。
【請求項2】
前記セラミックまたは金属発泡体が、少なくとも60%の空隙を有する、請求項1に記載の触媒床。
【請求項3】
前記セラミックまたは金属発泡体が、少なくとも70%の空隙を有する、請求項1に記載の触媒床。
【請求項4】
前記セラミックまたは金属発泡体が、少なくとも80%の空隙を有する、請求項1に記載の触媒床。
【請求項5】
前記セラミックまたは金属発泡体が、相互接続した内部屈曲細孔構造を有する、請求項1~4のいずれかに記載の触媒床。
【請求項6】
1.0より大きい屈曲度を有する前記触媒床を通る流路を含む、請求項1~5のいずれかに記載の触媒床。
【請求項7】
前記触媒床が、1センチメートル当たり1.97~19.67個の細孔を有する、請求項1~6のいずれかに記載の触媒床。
【請求項8】
前記触媒床が、1センチメートル当たり3.94~11.81個の細孔を有する、請求項1~6のいずれかに記載の触媒床。
【請求項9】
前記セラミック発泡体が、コージェライト、酸化チタン、またはアルミナを含む、請求項1~8のいずれかに記載の触媒床。
【請求項10】
前記金属発泡体が、ニッケル、鉄、またはこれらの合金を含む、請求項1~8のいずれかに記載の触媒床。
【請求項11】
前記1つ以上の金属化合物が、バナジウム、モリブデン、タングステン、またはこれらの混合物を含む、請求項1~10のいずれかに記載の触媒床。
【請求項12】
前記触媒床が、バインダー材料をさらに含む、請求項1~11のいずれかに記載の触媒床。
【請求項13】
含塵ガス流中のNOの濃度を減少させるための方法であって、
a.NOを含有する第1のガス流を接触ゾーンの中に通過させることと、
b.前記第1のガス流を、触媒床を通る1つ以上の流路を有する触媒床と接触させることであって、当該触媒床が減少したNO濃度を有する第2のガス流を生成するように構成されたNO還元触媒を含むセラミックまたは金属発泡体触媒を含み、かつNO還元触媒が多くとも100nmの直径を有する細孔中に存在する細孔体積が90%超であるバイモーダル細孔分布を有し、
c.前記接触ゾーンから外へ前記第2のガス流を通過させることと、を含み、
前記第1のガス流が、少なくとも5mg/Nmの塵濃度を有し、前記触媒床の圧力降下が、同じ条件下で測定された、塵蓄積による前記触媒床の初期圧力降下と比較して、300%以下増加する、方法。
【請求項14】
前記第1のガス流が、少なくとも10mg/Nmの塵濃度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記発泡体の触媒床の圧力降下が、同じ条件下で測定された、塵蓄積による前記発泡体の触媒床の初期圧力降下と比較して、200%以下増加する、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のガス流が、前記第1のガス流中に存在する前記NOの多くとも40%を含有する、請求項13~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記第2のガス流が、前記第1のガス流中に存在する前記NOの多くとも25%を含有する、請求項13~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記第2のガス流が、前記第1のガス流中に存在する前記NOの多くとも5%を含有する、請求項13~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記第2のガス流が、前記第1のガス流中に存在する前記NOの多くとも1%を含有する、請求項13~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記接触が、100~250℃の範囲内の温度で生じる、請求項13~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記接触が、140~220℃の範囲内の温度で生じる、請求項13~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記触媒床が、1センチメートル当たり1.97~19.67個の範囲内の細孔を有する、請求項13~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記触媒床が、1センチメートル当たり3.94~11.81個の範囲内の細孔を有する、請求項13~21のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記セラミックまたは金属発泡体が、少なくとも60%の空隙を有する、請求項13~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記セラミックまたは金属発泡体が、少なくとも70%の空隙を有する、請求項13~23のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記セラミックまたは金属発泡体が、少なくとも80%の空隙を有する、請求項13~23のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記セラミックまたは金属発泡体が、相互接続した内部屈曲細孔構造を有する、請求項13~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記触媒床が、1.0より大きい屈曲度を有する触媒床を通る流路を含む、請求項13~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記セラミック発泡体が、コージェライト、酸化チタン、またはアルミナを含む、請求項13~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記金属発泡体が、ニッケル、鉄、またはこれらの合金を含む、請求項13~29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記NO還元触媒が、バナジウム、モリブデン、タングステン、またはこれらの混合物を含む、請求項13~30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記触媒床が、バインダー材料をさらに含む、請求項13~31のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2015年12月22日に出願された、米国仮特許出願第62/270859号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、1つ以上のNO還元触媒を含むセラミックまたは金属発泡体を含む触媒床、及びガス流中のNO濃度を減少させるための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
窒素酸化物は、硝酸などの化学物質の製造、または空気中での燃焼工程を含む、多くの工業工程における一般の副産物及び/または望ましい中間体である。式NO及びNO2の酸化窒素は、典型的には、まとめてNOと称される。NOは、大型の汚染物質であり、それらが生成される工程からの排ガス流中のNOの減少のために、かなりの努力がなされている。ガス流からのNOの除去のための工程は、一般に、当該技術分野においてDeNO工程と称され、その中で使用される触媒は、DeNO触媒と称される。
【0004】
先行技術は、処理されるべきNOを含有するガス流中の塵が触媒上に捕捉され、清浄するかまたは別の手段によって触媒から除去される工程を説明している。例えば、米国特許第4044102号は、煙道ガス流中の酸化窒素及び塵の減少に有効である反応器について説明している。触媒は、移動床中に排出され、そのために、ガスと接触し、塵を同伴する。次いで、触媒は出口を通過し、そこで再生されて、塵が除去される。該特許は、塵が触媒床の表面上及び触媒粒子間の間隔に蓄積するのを防ぐために、塵が、好ましくは、NOの除去前に、ガスから除去されることが教示されている。
【0005】
別例として、米国特許第5413699号は、塵及びNOを含有するガスが触媒床を流体化するのに十分な速度で触媒床を通過する反応器について説明している。触媒上に沈着した粒子状物質は、deNO触媒の汚れを防ぐために流体化によって引き離されるか、または浄化される。該特許は、10~50mg/Nmの塵負荷が高すぎて、市販のdeNO触媒の長い耐用年数を可能にしないことが教示されている。
【0006】
加えて、多くの特許及び公開された出願は、ディーゼルエンジンの排ガスを処理するためのセラミック発泡体の使用に関する。例えば、米国特許第5536477号は、排出ガス流中に存在する実質的にはすべての煤煙を捕捉する能力を有するセラミック発泡体フィルタについて説明している。
【0007】
固定床触媒系は、それらの卓越した活性により、より低い温度で工程の流れからNOxの除去を提供することができるが、それらはまた、ガス流中の粒子状物質の大部分を捕捉する傾向があり、そのため、急速な圧力降下の増加が認められる。一方、ハチの巣状の触媒系は、粒子状物質が容易に通過するのを可能にするが、はるかに低い活性を有し、したがって、はるかに高い温度の操作を必要とする。同時に、塵の大部分が触媒床を通過することができるが、触媒上で捕捉されることなく、低温で粒子状物質を含有するガス流から効率的なNOxの除去を可能にする、触媒及び工程を提供することが、好ましくあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第4044102号明細書
【文献】米国特許第5413699号明細書
【文献】米国特許第5536477号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明は、1つ以上のNO還元触媒を含むセラミックまたは金属発泡体を含む触媒床を提供する。
【0010】
本発明はまた、含塵ガス流中のNOの濃度を減少させるための方法であって、a)NOを含有する第1のガス流を接触ゾーンの中に通過させることと、b)第1のガス流を、触媒床を通る1つ以上の流路を有するセラミックまたは金属発泡体の触媒床であって、セラミックまたは金属発泡体がNO還元触媒を含む、セラミックまたは金属発泡体の触媒床と接触させて、減少したNO濃度を有する第2のガス流を生成することと、c)接触ゾーンから外へ第2のガス流を通過させることと、を含み、第1のガス流が、少なくとも5mg/Nmの塵濃度を有し、発泡体の触媒床の圧力降下が、同じ条件下で測定された、塵蓄積による発泡体の触媒床の初期圧力降下と比較して、300%以下増加する、方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の結果を示す。
図2】実施例2の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のセラミックまたは金属発泡体の触媒床は、ガスを処理して、NOを減少させつつ、ガス流中の塵が、通過することを可能にする。この触媒は、コンビナートからの排ガスを処理するのに有用である。自動車エンジンの排気制御での使用について説明されているセラミック発泡体は、煤煙及び粒子状物質を捕捉するために1インチ毎に高い細孔を有する。本発明の発泡体は、1インチ毎により低い細孔を有する。本明細書で使用される、「塵」という用語は、ガス流が通過する際に、触媒床上に後に残る可能性があり得る任意の小さな粒子状物質を含む。
【0013】
本発明の発泡体は、排ガスを処理して、NOを除去しつつ、塵が、触媒床を塞ぐことなく通過することができる。本発明の触媒床は、特に、工業工程からの排ガス及び固定タービンを処理するのに有用である。
【0014】
触媒床は、ガス流中のかなりの量の塵が、触媒床を通過し、第2のガス流により排出されるように設計されている。先行技術は、触媒上の塵を捕捉することを教示し、触媒から塵を除去するための多くの方法を提供する。本発明では、かなりの量の塵が、触媒上に捕捉されず、そのため、触媒床により長い耐用年数を与え、頻繁な除塵、触媒の流体化、または他の複雑な操作の必要がなくなる。
【0015】
セラミック発泡体は、十分な力を提供することができ、NO還元触媒に好適な担体を提供する任意のセラミック材料を含んでもよい。セラミック発泡体は、好ましくは、コージェライト、酸化チタン、アルミナ、またはこれらの混合物を含む。
【0016】
金属発泡体は、同様に、十分な力を提供することができ、NO還元触媒に好適な担体でもある任意の金属材料を含んでもよい。金属発泡体は、好ましくは、ニッケル、鉄、アルミニウム、クロム、またはこれらの合金を含む。
【0017】
一実施形態では、セラミック発泡体は、発泡ポリマー、例えば、ポリウレタンの細孔を、水性スラリーのセラミック、例えば、Al2O3、ZrO2で充填することによって作製され得る。スラリーは、適切な量の湿潤剤、分散安定剤、及び粘度調整剤とともに、水中に直径0.1~10μmの粒子を含有し得る。湿式発泡体を、1000℃超の温度の空気中で乾燥させて、か焼する。ポリマーは、蒸発するか、または燃焼し、セラミック粒子は、焼結する。別の実施形態では、スラリーの粘度は、増粘剤を添加することによって増加し得る。本方法は、J.T.Richardson,Properties of ceramic foam catalyst supports:pressure drop,Applied Catalysis A:General 204(2000)19-32においてさらに説明されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
一実施形態では、金属発泡体は、ニッケルまたは鉄発泡体を、高温安定性合金に変換する粉末冶金プロセスによって作製され得る。このプロセスでは、ニッケルまたは鉄発泡体を、連続的に巻き戻して、まず、スプレー技術を用いてバインダー溶液でコーティングし、次いで、高合金化粉末でコーティングする。その後、この発泡体を、所望のサイズのシートに切断する。本方法は、G.Walther et al,A New PM Process for Manufacturing of Alloyed Foams for High Temperature Applications,PM 2010 World Congress-Foams and Porous Materialsにおいてさらに説明されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
発泡体は、空隙を少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、及びより好ましくは少なくとも80%有する。空隙は、開口している構造の体積を、構造物(開口部及びセラミックまたは金属)の全体積で除算して、100を乗算したものと定義される。
【0020】
セラミック及び金属発泡体は、相互接続した内部屈曲細孔構造を有する。これはまた、網状構造を有するとも称され得る。この構造は、ハチの巣状のチャネル内部の層流と比較して、触媒との改善された接触をもたらす乱流である、発泡体を通るガスの流れをもたらす。
【0021】
セラミックまたは金属発泡体の屈曲度は、好ましくは1.0より大きく、より好ましくは1.5より大きく、最も好ましくは2.0より大きい。屈曲度は、セラミックまたは金属発泡体を通るガスによって得られた流路の長さを、セラミックまたは金属発泡体の入口から出口までの最短の直線経路の長さによって割った比として計算され得る。直線チャネル経路は、1.0の屈曲度を有する。
【0022】
セラミックまたは金属発泡体は、1インチ当たり約5~約50個の細孔、好ましくは1インチ当たり約10~約30個の細孔を有する。発泡体の1インチ当たり細孔は、塵が触媒床を通過することを可能にする発泡体の能力に影響を及ぼす。
【0023】
一実施形態では、金属発泡体は、0.4~0.75g/cm3の範囲内の密度を有する。これは、これらのガスを処理するために使用することができる軽量の発泡体を提供する。
【0024】
任意のNO還元触媒は、本発明のプロセス、例えば、米国特許第6419889号に記載されるものに好適に使用され得る。米国特許第6419889号の例示的な触媒は、チタニア担体と、バナジウム、モリブデン、及びタングステンからなる群から選択される1つ以上の金属化合物とを含む。一実施形態では、NO還元触媒は、チタニア触媒上のバナジウムである。別の実施形態では、NOx還元触媒は、チタニア触媒上のバナジウム及びタングステンである。
【0025】
他の好適な触媒には、アルミニウム、銅、鉄、コバルト、スズ、クロム、ニッケル、マンガン、チタン、銀、白金、ロジウム、パラジウム、またはこれらの混合物などの金属の酸化物が含まれる。金属酸化物は、任意の従来の担体または他の材料、例えば、アルミナ、シリコン-アルミナ、マグネシア-アルミナ、チタニア、アルミナ、酸化カルシウム-アルミナ、酸化クロム-アルミナ、またはシリカ-酸化クロム-アルミナ上に支持され得る。
【0026】
加えて、銅または鉄を含有するゼオライト触媒は、NO還元のために使用され得る。ある好ましい例は、鉄交換ゼオライトベータである。ゼオライト触媒は、白金、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、ロジウム、またはこれらの混合物などの他の金属を含み得る。
【0027】
触媒は、約70m/g~約150m/gの窒素吸着によって測定される表面積を有し得る。触媒は、多くとも約100nmの直径を有する細孔中に存在する細孔体積が90%超であるバイモーダル細孔分布を有し得、細孔体積は、約1nm~約104nmの直径を有する細孔中に存在する細孔体積であると考えられる。
【0028】
触媒は、担体を乾燥及びか焼した後、または押し出した後、担体を乾燥させ、か焼した後、金属化合物(複数可)を有する担体を含浸するまたは沈着させることによって作製され得る。含浸は、担体を金属化合物(複数可)の水溶液と接触させることによって行われ得る。一実施形態では、金属シュウ酸溶液は、含浸のために使用することができる。触媒はまた、金属化合物とともに担体を共磨砕して、固体混合物を形成することによっても作製され得る。これらの方法に従って形成された触媒は、セラミックまたは金属発泡体上にコーティングすることによって塗布される前に、スラリー中のある特定の粒子サイズ分布に粉砕または磨砕され得る。
【0029】
触媒を発泡体に添加するための別の方法は、担体の細孔体積含浸、次いで、発泡体上の含浸担体を沈着させることによる触媒の沈着である。さらなる方法は、金属、例えば、チタン及びバナジウムのウォッシュコートスラリーを作製することと、発泡体上にそれを沈着させることと、を含む。
【0030】
NO還元触媒はまた、支持体、及び/またはセラミックまたは金属発泡体に、触媒を結合するのに役立つバインダー材料を含んでもよい。
【0031】
粒子状物質を含有するガス流中のNOの濃度を減少させるための方法は、NOを含有する第1のガス流を接触ゾーンの中に通過させることを含む。ガス流は、発電所、熱分解炉、焼却炉、冶金工場、肥料工場、及び化学工場を含む、多くの源に由来し得る。ガス流は、かなりのレベルの塵を含む。
【0032】
ガス流は、少なくとも5mg/Nmの塵を含む。本発明の方法は、少なくとも10mg/Nmの塵でガス流を処理することができる。本方法は、少なくとも20mg/Nmの塵、好ましくは少なくとも30mg/Nmの塵、より好ましくは少なくとも70mg/Nmの塵でガス流を処理することが可能である。
【0033】
ガス流を、セラミックまたは金属発泡体の触媒床で接触させ、触媒床は、第2のガス流を生成するために、NO還元触媒を含む。触媒床は、ガス流とNO還元触媒との間の接触を可能にする触媒床を通る1つ以上の流路を有する。
【0034】
ガス流中のNOの減少は、0kPa~1200kPaの範囲内の圧力及び100℃~400℃の範囲内の温度で生じ得る。温度は、好ましくは100℃~350℃、より好ましくは100℃~250℃、及び最も好ましくは140℃~220℃の範囲内である。
【0035】
多くの触媒は、NOの高変換を達成するために、より高い温度を必要とする。上記の温度で高い活性及び選択性を有する触媒を使用することが好ましく、そのため、より低い温度が使用され得る。接触条件下で、NO還元触媒は、化学変換によって、少なくともNOの大部分を除去し得る。第2のガス流は、供給ガス流中に存在するNOの多くとも40%を含有する。この第2のガス流は、第1のガス流中に存在するNOの多くとも25%、好ましくは第1のガス流中に存在するNOの多くとも5%、より好ましくは第1のガス流中に存在するNOの多くとも1%を含有する。
【0036】
第2のガス流は、触媒床に供給された第1のガス流中に存在した塵を少なくとも50%含有する。第2のガス流は、好ましくは、第1のガス流中に存在した塵を少なくとも60%、及びより好ましくは第1のガス流中に存在した塵を少なくとも80%含む。セラミックまたは金属発泡体にわたる圧力降下は、高レベルの塵を含むガス流が発泡体を一定期間中通過した後でさえ、大幅に増加しない。発泡体触媒にわたる圧力降下は、操作の過程にわたって増加し得るが、deNOx系の操作に影響を及ぼすほど大幅には増加し得ない。発泡体の触媒床の圧力降下は、ガス流が少なくとも5mg/Nm3の塵を含有する条件下で、操作の過程にわたって、同じ条件下で測定された、初期圧力降下と比較して、300%以下増加する。好ましくは、発泡体の触媒床の圧力降下は、操作の過程にわたって、初期圧力降下と比較して、200%以下増加する。圧力降下は、一部の塵が発泡体の触媒床に蓄積する結果として増加する。
【実施例
【0037】
実施例1
この実施例では、deNOx触媒ペレットの固定触媒床(A)及びセラミック発泡体deNOx触媒の固定触媒床(B)は、触媒床を通る高い塵負荷を有するガス流を通過させる効果を決定するために試験された。触媒ペレットは、3.2mmの三葉状ペレットであった。セラミック発泡体deNOx触媒は、1インチ当たり18個の細孔を有した。試験は、塵濾過研究室において行われ、触媒床を通して70mg/Nmの濃度で塵を含有する空気を通過させることを含んだ。塵の平均粒径は、1ミクロンであった。同じ粒子及び濃度が、2つのタイプの触媒床を比較するために使用された。周囲温度及び圧力で触媒床にわたる圧力降下が、測定された。塵を含有する空気流が触媒床を通過した間の分単位の時間の関数として、背圧をプロットする、この試験の結果を図1に示す。
【0038】
図から分かるように、セラミック発泡体触媒は、初めに、触媒ペレットよりも低い背圧を有した。さらに、塵が触媒床を通過した際に、セラミック発泡体の背圧は、わずかに増加し、一方、ペレット触媒の背圧は、システム設計での最大圧力まで急増した。この時点で、触媒ペレットは、続けて使用し得る前に、清浄しなければならなかった。
【0039】
背圧を測定することに加えて、セラミック発泡体の触媒床を通過した塵の量が、測定された。初めに、試験を開始したときに、セラミック発泡体に入る塵の60%が、触媒床を通過した。気流が、セラミック発泡体の触媒床を所定の時間通過した後、この発泡体を通過する塵の量は、64%であると決定された。この実施例は、セラミック発泡体の触媒床が高い塵条件下で操作され得、触媒ペレットが高い塵条件下で効率的に操作され得ないことを示す。
【0040】
実施例2
この実施例では、3つの触媒が、NOx変換のためのそれらの活性を決定するために試験された。第1の試験(C)は、1インチ当たり30個の細孔を有するセラミック発泡体触媒を使用した。第2の試験(D)は、1インチ当たり18個の細孔を有するセラミック発泡体触媒を使用した。第3の試験(E)は、3.2mmの三葉状触媒ペレットを使用した。試験は、3つすべての試験において同じ体積の触媒負荷を有する固定床反応器において行われた。3つすべての試験における空間速度は、一定の22,000hr-1で維持され、試験は、周囲温度で行われた。入口ガス組成は、300ppm NH3、200ppm NO、10% H2O、7.5% O2であり、残りが窒素であった。触媒床前及びその後のNOの濃度は、FTIR装置を用いて別々にモニタリングされた。実施例の結果を図2に示す。図から分かるように、セラミック発泡体は、触媒ペレットに対して同等の活性を有し、より高い温度で触媒ペレットよりも高い活性を有した。
【0041】
これらの実施例は、セラミック発泡体触媒が、ガス流中のNOxのレベルを効果的に減少させるために使用することができ、さらに、セラミック発泡体の触媒床が、高い塵条件下で使用することができることを示す。
図1
図2