(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】光送信機、光受信機及び光リンク
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220315BHJP
H04B 10/80 20130101ALI20220315BHJP
H04B 10/2581 20130101ALI20220315BHJP
【FI】
A61B1/00 681
H04B10/80 160
H04B10/2581
(21)【出願番号】P 2018566584
(86)(22)【出願日】2017-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2017064855
(87)【国際公開番号】W WO2017220454
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-12
(32)【優先日】2016-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ワイブランズ クラス コーネリス ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ルカッセン ゲラルドス ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】バン ダー マーク マルティヌス ベルナルドゥス
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-022643(JP,A)
【文献】特開2005-354553(JP,A)
【文献】特開平11-289317(JP,A)
【文献】特開平01-028873(JP,A)
【文献】特開2004-297630(JP,A)
【文献】特開2006-050359(JP,A)
【文献】特開2006-215084(JP,A)
【文献】特開2005-070189(JP,A)
【文献】特開2013-046230(JP,A)
【文献】特開昭58-005044(JP,A)
【文献】特表2015-536195(JP,A)
【文献】特開2014-170113(JP,A)
【文献】特開平08-138185(JP,A)
【文献】特開昭62-128230(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0110148(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24-23/26
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子デバイスと、前記光電子デバイスに接続された回路要素とを有する光変換器回路であって、前記光電子デバイスが、個々の光電子セグメントを複数有する、光変換器回路と、
第1の端部において前記光電子デバイスに光学的に接続され、前記光電子デバイスから離れる光を送信する、単一の光ファイバーを有する細長い光ガイドであって、前記個々の光電子セグメントは、前記光電子セグメントによって放射される光ビームが異なる角度の下で前記光ファイバーに入力されるように、前記光ファイバーの前記第1の端部に対して異なる位置を有する、光ガイドとを備え、
前記光電子デバイスは、前記光電子セグメントのうちの少なくともいくつかで前記回路要素から複数のデータストリームを受信し、前記光電子セグメントのうちの前記少なくともいくつかによって放射される光ビームを介して、前記複数のデータストリームを空間的に多様なデータストリームとして前記光ガイドに光学的に送
り、
前記光電子デバイスが更に、前記光ガイドを通して光エネルギーを受信し、前記光エネルギーを電気エネルギーに変換する、光送信機。
【請求項2】
前記光変換器回路の前記回路要素が、元の単一のデータストリームを複数の別個のデータストリームにスプリットするデータストリームスプリッタを有し、前記別個のデータストリームの各々が、前記光電子セグメントのうちの前記少なくともいくつかのうちの1つに入力され、前記回路要素が更に、前記データストリームスプリッタの出力部において及び前記光電子デバイスの前記光電子セグメントのうちの前記少なくともいくつかの入力部において変調器を有し、前記変調器が、前記光電子セグメントのうちの前記少なくともいくつかで前記別個のデータストリームを変調する、請求項1に記載の光送信機。
【請求項3】
前記データストリームスプリッタが更に、前記別個のデータストリームの各々にプリアンブルを追加する、請求項
2に記載の光送信機。
【請求項4】
別個のデータストリームが入力される、前記光電子デバイスの前記光電子セグメントのうちの前記少なくともいくつかが、光放射の異なる中心波長を有する、請求項1に記載の光送信機。
【請求項5】
前記光電子デバイスの前記光電子セグメントのうちの少なくともいくつかが直列に接続されている、請求項1に記載の光送信機。
【請求項6】
前記光電子デバイスが、前記複数の個々の光電子セグメントを形成する複数の光ダイオードセグメントにセグメント化された発光ダイオードである、請求項1に記載の光送信機。
【請求項7】
前記複数の個々の光電子セグメントが単一の発光ダイオードである、請求項1に記載の光送信機。
【請求項8】
前記光電子デバイスから放射される光を前記光ガイドに光学的に入力するための、前記光電子デバイスと前記光ガイドとの間に配置された屈折率分布型(GRIN)レンズを更に備える、請求項1に記載の光送信機。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の光送信機と、
異なる伝搬角度の下で伝搬し、光ガイドから複数のデータストリームを搬送する、複数の光ビームを光学的に受信する複数の光検出器セグメントを有する光検出器構成部と、前記光検出器構成部に関連して、前記光検出器構成部から複数のデータストリームを抽出する、処理ユニットと
、を含む光受信機と、
を備える、光
リンク。
【請求項10】
前記処理ユニットが更に、抽出された前記複数のデータストリームを単一のデータストリームに合成する、請求項
9に記載の光
リンク。
【請求項11】
前記処理ユニットが、光検出器又は前記光検出器セグメントにわたる最大比合成を使用することによって、前記光検出器構成部から前記複数のデータストリームを抽出する、請求項
9に記載の光
リンク。
【請求項12】
光プローブ
を備え、、前記光変換器回路が、前記光プローブの遠位端部分中に組み込まれる、
請求項9から11のいずれか一項に記載の光
リンク。
【請求項13】
前記光受信機を含む光コンソール
を備える、請求項9から12のいずれか一項に記載の光リンク。
【請求項14】
前記光コンソールが光源を更に備える、請求項
13に記載の光
リンク。
【請求項15】
個々の光電子セグメントを複数有する光電子デバイス
及び前記光電子デバイスに接続された回路要
素を有する光変換器回路を
含む光送信機と、複数の光ビームを光学的に受信する複数の光検出器セグメントを有する光検出器構成部を含む光受信機と、を備える光リンクの作動方法であって、
前記光送信機が、前記光電子セグメントのうちの少なくともいくつかに複数のデータストリームを供給するステップと、
前記光送信機が、前記光電子セグメントのうちの前記少なくともいくつかから、異なる角度の下で光ガイドの単一のファイバーに光を放射することによって、前記複数のデータストリームを空間的に多様なデータストリームとして光学的に送るステップと、
前記光送信機が、前記光ガイドを通して光エネルギーを受信し、前記光エネルギーを電気エネルギーに変換するステップと、
前記光受信機が、前記光検出器構成部で前記光ガイドを通して前記光電子デバイスから前記複数のデータストリームを受信するステップと、
前記光受信機が、前記光検出器構成部から前記複数のデータストリームを抽出するステップと
を有する、光リンク
の作動方法。
【請求項16】
コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されたとき、請求項
15に記載の
光リンクの作動方法の前記ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信機、光受信機及び光リンク並びに光リンクを動作させる方法に関する。光リンクは、リモート電子デバイスにエネルギーを光学的に供給するために、及び/又はリモート電子デバイスとの間でのデータ送信のために使用される。
【背景技術】
【0002】
光送信機及び光受信機を有する光リンクは、特に電力配信及び/又はデータ送信経路のサイズ制限により、電気ワイヤを介した電力配信及び/又はデータ送信が問題になる適用例において有用である。本発明は、医療適用例における使用に限定されないが、本発明は、医療適用例に関して本明細書で説明される。
【0003】
従来の外科処置の代わりに最小限に侵襲的な介入を使用する明確な及び進行中の傾向がある。低減された外傷、より短い病院滞在及び低減された費用は、最小限に侵襲的な技法の採用の最も重要な推進要因である。医療器具の更なる革新を可能にするために、したがって、より高度な及びより困難な最小限に侵襲的な介入を可能にするために、カテーテル及びガイドワイヤのような器具中に体内撮像及び生理的測定のための小型センサーを組み込む必要がある。
【0004】
撮像、検知、増感、更にはアブレーションのための医療カテーテル又はガイドワイヤなど、長く、細いデバイスの先端へのデータ及び電力配信は、難しいことがある。それに加えて、遠位端から近位端への高データレート戻りチャネルを含めることは、なお一層問題がある。これは、いくつかの理由に起因する。
【0005】
第1に、ガイドワイヤ又はカテーテルの長い長さと組み合わせられた、医療介入のために必要な小さい横断面(すなわち小さい直径)の組合せが、そのような器具中に組み込まれ得る電気ワイヤの総数を厳しく限定する。
【0006】
第2に、複数の電気ワイヤの組込みは器具のフレキシビリティを損なうが、フレキシビリティは、このタイプの器具の重要な性質である。
【0007】
第3に、たとえば、先端における超音波トランスデューサのために、又は高感度測定のために必要とされるなど、高データレートの場合、しばしば、シングルコアワイヤと比較して更により多くの空間を必要とする同軸ケーブルを必要とする。
【0008】
第4に、電気ワイヤをもつ器具は、一般に、接続された電子機器における電磁干渉につながり、また、場合によっては組織加熱につながる、電気配線中の/の共鳴により、磁気共鳴撮像の使用に適合しない。また更に、細い電気ケーブルは、一般に、カテーテルの遠位端における使用のための比較的高い電力量をサポートすることができない。
【0009】
また、それらの使い捨て使用のために、カテーテル及びガイドワイヤは、比較的単純な及びコスト効果的な方法で製造されなければならない。
【0010】
Sakaguchiらによる「19-core fiber transmission of 19x100x172-Gb/s SDM-WDM-PDM-QPSK signals at 305Tb/s」、Optical Fiber Communication Conference and Exposition、2012 and the National Fiber Optical Engineers Conference、IEE、2012年3月4日、1~3ページは、19のレコード空間分割多重化チャネル数へのアップスケールを可能にするマルチコアファイバーと組み合わせられた自由空間結合システムに関して報告する。
【0011】
Sleifferらによる「Mode-division-multiplexed 3x112-Gb/s DP-QPSK transmission over 80-km few-mode fiber with inline MM-EDFA and Blind DSP」、2012年、38th European Conference and Exhibition on Optical Communications、2012年9月16日、1~3ページは、ブラインド6×6MIMOデジタル信号処理を使用する、マルチモードEDFAを用いた及び用いない、最高80kmの3×112Gb/s DP-QPSKモード分割多重化信号の送信について説明する。
【0012】
Roland Ryfらによる「Mode-Division Multiplexing Over 96 km of Few-Mode Fiber Using Coherent 6 x 6 MIMO Processing」、Journal of Lightwave Technology, IEEE Service Center, New York,US, vol.30, no.4, 2012年2月1日、521~531ページは、各々が96km超の低差動群遅延少数モードファイバーにわたって40Gb/s直角位相シフトキーチャネルを搬送する、6つの空間及び偏波モードの同時送信について説明する。US5,963 349Aは、単一マルチモードファイバーを使用する光波長分割多重化双方向データリンクを開示する。
【0013】
WO2014/072891A1は、光変換器回路及び1つ又は複数の電子デバイスに電力供給するために光エネルギーを電気エネルギーに変換する発光ダイオード(LED)の形態の光電子デバイスを有するリモート遠位光電子変換器へ、光エネルギーが光ガイドを通って送信される、当該光ガイドを備える光リンクについて説明する。一方では、この知られている光リンクは、光電子デバイスが、必要な電力出力を達成するのに必要な大きい表面積を有するので、超音波カテーテルを作動させるための十分な電力配信能力を提供するのに有効である。他方では、光電子デバイスの大きい表面積は、データ送信の帯域幅、したがって、データレートを限定する。この理由で、そこでは、遠位端から近位端への戻り経路中でのデータ送信のために別個の光電子デバイスを使用することが更に提案されている。しかしながら、データ送信のための別個の光電子デバイスとエネルギーハーベスティングのための別個の光電子デバイスとが、光リンクを使用する介入器具の電子部分と光部分の両方に著しい複雑さを追加する。
【0014】
したがって、十分な電力出力を達成する能力を保持するが、戻り経路中の帯域幅及びデータレートを増加させる、改善された光送信機、光受信機及び光リンクが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、高いデータレートをもつデータを送信しながら、1つ又は複数の電子デバイスに電力供給するのに十分な電力出力を達成する能力を維持することが可能である、光送信機及び光受信機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様では、
- 光電子デバイスと、光電子デバイスに接続された回路要素とを有する光変換器回路であって、光電子デバイスが、個々の光電子セグメントを複数有する、光変換器回路と、
- 第1の端部において光電子デバイスに光学的に接続され、光電子デバイスから離れる光を送信するように設定された、単一の光ファイバーを有する細長い光ガイドであって、個々の光電子セグメントは、光電子セグメントによって放射される光ビームが異なる角度の下で光ファイバーに入力されるように、光ファイバーの第1の端部に対して異なる位置を有する、光ガイドとを備え、
- 光電子デバイスは、光電子セグメントのうちの少なくともいくつかで回路要素から複数のデータストリームを受信し、光電子セグメントのうちの少なくともいくつかによって放射される光ビームを介して、複数のデータストリームを空間的に多様なデータストリームとして細長い光ガイドに光学的に送るように設定された、光送信機が提供される。
【0017】
本発明による光送信機は、したがって、個々の光電子セグメントを複数有する光電子デバイスを使用する。個々の光電子セグメントは、単一のセグメント化された発光ダイオード(LED)のセグメントであるか、又は光電子デバイスをともに形成する単一のLEDである。複数の個々の光電子セグメントを有する光電子デバイスを使用することは、いくつかの利点を有する。広い表面積の光電子デバイスは、高いキャパシタンスを有し、これは、帯域幅、したがって、データレートを限定する。複数の個々のセグメントを有する光電子デバイスを使用するとき、セグメントの各々は、低減された表面積を有し、したがって、低減されたキャパシタンスを有する。したがって、光電子デバイスの単一のセグメントは、より大きい帯域幅及びより高いデータレートを用いてデータを送信することができる。
【0018】
本発明によれば、光電子デバイスのセグメントのうちの少なくともいくつかが、光電子デバイスから受信機への戻り経路中でのデータ送信のために使用される。したがって、これらのセグメントの各々は、単一のデータ送信チャネルを形成する。それにより、空間分割多重化によってデータレートを増加させることが可能である。本明細書で説明されるように、光電子デバイスは、セグメントのうちの少なくともいくつか又はすべてで複数の別個のデータストリームを空間的に変調することによって、特に空間分割多重化に好適である。この場合、少なくともいくつかのセグメントの各々又はすべてのセグメントの各々が、データストリームを送信するために、それぞれのデータストリームで変調された光信号を異なる角度の下で光ガイドの光ファイバーに送ることができる。そのような角度ダイバーシティは、単一のデータストリームが受信機上で区別され得るように、少なくとも数メートルにわたって光ファイバー中で維持される。
【0019】
光電子デバイスは、複数のデータストリームを空間的に多様なデータストリームとして送るように設定される。複数のデータストリームは、光電子デバイスのセグメント上に空間的に変調され、セグメントは、次いで、データストリームを、光ガイド、たとえば光ファイバーを通して受信機に送る。したがって、空間多重化を使用するWiFi802.11n/802.11ac規格において使用される技法と同様の空間分割多重化が達成される。
【0020】
複数のデータストリームは、複数の異なるデータソースから、たとえば複数の測定デバイスから、又は複数のデータストリームにスプリットされた後に単一のデータソースから来る。
【0021】
本発明による光送信機の光ガイドは、シングルコア又はマルチプルコア光ファイバーである光ファイバーを有する。シングルコア光ファイバーの場合、光ファイバーは、好ましくはマルチモード光ファイバーである。
【0022】
複数の個々のセグメントを有する光電子デバイスを使用することは、上記で説明された従来技術において提案されるような、エネルギーハーベスティング及びデータ送信のための別個の光変換器と比較して、あまり複雑でなく、よりコスト効果的であるという、更なる利点を有する。すなわち、複数の個々の光電子セグメントを有する光電子デバイスは、高いレートをもつデータ送信のために及びエネルギーハーベスティングのために使用され得る。
【0023】
特に、好ましい実施形態において提供されるように、光電子デバイスのセグメントのうちの少なくともいくつかが直列に接続される場合、1つ又は複数の電子デバイス及び/又は光変換器回路に電力供給するために十分な高い電力出力が得られ得る。
【0024】
本発明による光送信機は、光電子デバイスのセグメントのうちの少なくともいくつかは、エネルギーハーベスティングのために、すなわち光エネルギーを電気エネルギーに変換するために使用され、セグメントのうちの少なくともいくつかの他のもの又は少なくともいくつかの同じものは、戻り経路中でのデータ送信のために使用されるように設定される。ここでも、大きい帯域幅及び高いデータレートの利点は、単一のセグメントの低減された表面積により得られる。
【0025】
したがって、光電子デバイスは、更に好ましくは、光ガイドを通して光エネルギーを受信し、光エネルギーを電気エネルギーに変換するように設定される。
【0026】
この実施形態では、本発明による光送信機は、同時に、電子変換器回路及び/又は他の電子デバイスに十分な電気エネルギーを供給するための高いデータレート及び電力連続性をもつ光出力を提供する。
【0027】
上述の実施形態の別の利益があり、これによれば、光電子デバイスは、入射光からエネルギーをハーベスティングし、戻り経路中でデータを送信するように設定される。特に、光誘起エレクトロルミネッセンスが使用される場合、エネルギーが受信され、同時にデータが返送され得る。
【0028】
上述の実施形態の更なる利点は、光電子デバイスのセグメントが戻り経路中で差動シグナリングのために使用されることである。差動シグナリングは、第1の変調に従ってセグメントを変調することと、第1の変調の逆である第2の変調を用いて、異なる(1つ又は複数の)角度の下で光ガイドに(その)それらの光を送る、1つ又は複数の他のセグメントを変調することとを意味する。利点は、光電子デバイスのより一定の総電力消費量及び光検出器構成部側におけるよりロバストな復調である。
【0029】
更に好ましくは、光変換器回路の回路要素は、元の単一のデータストリームを複数の別個のデータストリームにスプリットするように設定されたデータストリームスプリッタを有し、別個のデータストリームの各々が、光電子セグメントのうちの少なくともいくつかのうちの1つに入力され、回路要素は、更に好ましくは、データストリームスプリッタの出力部において及び光電子セグメントのうちの少なくともいくつかの入力部において変調器を有し、変調器は、光電子デバイスの光電子セグメントのうちの少なくともいくつかの上に別個のデータストリームを変調し、特に空間的に変調するように設定される。
【0030】
このようにして、元の単一のデータストリームは、複数の単一のデータストリームに分解され、複数の単一のデータストリームは、次いで、光電子デバイスのセグメントで変調され得る。変調器は、元の連続データストリームから分解された単一のデータストリームを単一のセグメントで変調し、したがって、光電子デバイスでの別個のデータストリームの空間変調を可能にする。
【0031】
更に有利なことに、データストリームスプリッタは、更に、受信機によって受信されたとき、空間的に多様なデータストリームの認識を可能にするために、別個のデータストリームの各々にプリアンブルを追加するように設定される。
【0032】
この実施形態では、光電子デバイスのセグメントのうちの少なくともいくつか又はすべては、認識可能であるプリアンブルを使用してデータストリームを送る。後で説明されるが、複数の光検出器セグメントを有する光検出器構成部を有する受信機において、最大信号が各プリアンブルについて達成されるような、プリアンブルに対する複数の光検出器セグメント間の相関、及び他の光検出器セグメントの信号の抑圧が実行される。これは、認識される必要がある異なるデータストリームを与えることになる。その場合、特定のセグメントのデータストリームを再構築するために実際のデータが送られているときに同じ相関が使用される。したがって、多重化は、光が送られる角度が、少しだけ又はファイバーの長さを超えずに変化するので、セグメントが、異なる角度の下でそれらの光を送ることと、次いで、光検出器セグメントからそれらを再構築することとに基づく。
【0033】
更なる実施形態では、別個のデータストリームが入力される、送信機の光電子デバイスのセグメントのうちの少なくともいくつかが、光放射の異なる中心波長を有する。この実施形態は、光電子デバイス側での波長ベースの多重化と、受信機側における波長ベースの多重分離とを可能にする。したがって、波長多重化/多重分離は、好ましくは、前述の空間分割多重化と組み合わせられる。
【0034】
すでに上述したように、光電子セグメントのうちの少なくともいくつかが、好ましくは、直列に接続される。更に好ましくは、光電子セグメントのすべてが直列に接続される。光電子セグメントの直列接続は、入って来る光エネルギーを電気エネルギーに変換するとき、高電圧出力を提供するという利点を有する。
【0035】
更に好ましくは、光電子デバイスは、複数の光ダイオードセグメントにセグメント化された発光ダイオードである。この実施形態では、LEDは、複数の単一マイクロLEDにスプリットされ、各マイクロLEDは、従来のLEDと比較して低減された表面積を有する。セグメント化されたLEDを使用することは、本発明において使用するために極めてコスト効果的である。光電子デバイスが、複数の単一光電子デバイス、たとえば光ファイバーの光入口端部に関して異なる位置において構成された複数の単一LEDによって形成されることも可能である。
【0036】
本発明による光送信機は、更に好ましくは、光電子デバイスから放射される光を光ガイドに光学的に入力するための、及びその逆のための、光電子デバイスと光ガイドとの間に配置された屈折率分布型(GRIN)レンズを備える。
【0037】
GRINレンズは、有利には、光ガイドを通って伝搬する光を光電子デバイス上にコリメートし、それにより、光電子デバイスのセグメントのうちの少なくともいくつか又はすべてへの一様な電力分配を保証し、これは、光送信機がエネルギーハーベスティングのためにも使用されるとき、高電圧出力のために有用である。更に、GRINレンズは、光電子デバイスによって放射された光をデータ送信のために光ガイドに入力する。特に、光ガイドがシングルコアファイバーであるとき、GRINレンズは、光電子デバイスによって放射された光をファイバーコアに投影する。GRINレンズは、好ましくは、たとえば0.2よりも高い、又は0.3よりも高い、又は0.4よりも高い、又は0.5よりも高い、又は0.6よりも高い、又は0.7よりも高い、高い開口数(NA)を有する。更に、GRINレンズに隣接する光ガイドの光入口端部/出力端部の開口数は、GRINレンズの開口数に一致する。GRINレンズは、それが小さくロバストな実装を可能にするので好ましいが、光ガイドの光ファイバーは、従来のレンズによって、更には光電子デバイスに対して光ファイバーを正確に位置付けることによってレンズなしに、光電子デバイスに結合され得ることを理解されたい。
【0038】
本発明の第2の態様では、
- 異なる伝搬角度の下で伝搬し、光ガイドから複数のデータストリームを搬送する、複数の光ビームを光学的に受信するように構成された複数の光検出器セグメントを有する光検出器構成部と、
- 光検出器構成部に関連して、光検出器構成部から複数のデータストリームを抽出するように設定された、処理ユニットと
を備える、光受信機が提供される。
【0039】
本発明による光受信機の光検出器構成部は、特に本発明による光送信機の光電子デバイスによって送られるような、データストリームを光学的に受信するように設定された複数の光検出器セグメントを有する。本発明による光受信機の処理ユニットは、更なる分析のために光検出器構成部から1つ又は複数のデータストリームを抽出するように設定される。
【0040】
複数のデータストリームが光検出器構成部によって受信される場合、処理ユニットは、更に好ましくは、複数の抽出されたデータストリームを単一のデータストリームに合成するように設定され、したがって、処理ユニットは、光検出器構成部から抽出されるデータストリームを多重化するように設定される。
【0041】
処理ユニットは、好ましくは、光検出器セグメントにわたる最大比合成を使用することによって、光検出器構成部からデータストリームを抽出するように設定される。
【0042】
最大比合成は、複数の受信されたデータストリームを単一の連続データストリームに合成するための一般的な技法であり、有利には、本発明では、複数の光検出器から別個のデータストリームを抽出し、それらを単一の高いレートのデータストリームに合成するために使用され得る。
【0043】
本発明の第3の態様では、第1の態様による光送信機と、第2の態様による光受信機とを備える、光リンクが提供される。
【0044】
第4の態様によれば、第2の態様による光受信機を備える、光コンソールが提供される。
【0045】
本発明による光コンソールは、好ましくは、送信のための光ビームを光ガイドを通して送信機の光電子デバイスに放射するように設定された光源を備える。そのような光源は、VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)、又は高い光エネルギーをもつ光を放射するのに好適な任意の他の光源である。光源の光放射はまた、制御データを、光ガイドを通して、変換器回路及び/又はそれを制御するための1つ又は複数の電子デバイスに送信するために変調される。エネルギーハーベスティング及び制御データ送信が必要とされない場合、光源は省略され得る。
【0046】
本発明の第5の態様では、第1の態様による光送信機を備える、光プローブであって、光変換器回路が、光プローブの遠位端部分中に組み込まれる、光プローブが提供される。好ましくは、光プローブの近位端は、第2の態様による受信機の光検出器構成部に接続可能である。
【0047】
光プローブは、たとえばカテーテル又はガイドワイヤである。
【0048】
本発明による光送信機の利点は、本発明による光プローブにも当てはまる。光プローブは、本発明による光送信機と同様の及び/又は同等の好ましい実施形態を有する。
【0049】
本発明の第6の態様では、
- 光電子デバイスと、光電子デバイスに接続された回路要素とを有する光変換器回路を提供するステップであって、光電子デバイスが、個々の光電子セグメントを複数有する、提供するステップと、
- 光電子セグメントのうちの少なくともいくつかに複数のデータストリームを供給するステップと、光電子セグメントのうちの少なくともいくつかから、異なる角度の下で光ガイドの単一のファイバーに光を放射することによって、複数のデータストリームを空間的に多様なデータストリームとして光学的に送るステップと、
- 複数の光検出器を有する光検出器構成部で光ガイドを通して光電子デバイスから複数のデータストリームを受信するステップと、
- 光検出器構成部から複数のデータストリームを抽出するステップと
を有する、光リンクを動作させる方法が提供される。
【0050】
クレームされる方法は、クレームされる光リンクと、上記で説明されたものと、及び従属請求項において定義されるものと、同様の及び/又は同等の好ましい実施形態を有することを理解されよう。
【0051】
本発明の第7の態様では、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されたとき、第6の態様による方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を備える、コンピュータプログラムが提供される。
【0052】
クレームされる方法は、クレームされるデバイスと、及び従属請求項において定義されるものと、同様の及び/又は同等の好ましい実施形態を有することが理解されよう。
【0053】
本発明のこれら及び他の態様は、以下で説明される(1つ又は複数の)実施形態から明らかになり、それらに関して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本発明による光送信機、光受信機、光リンク、光プローブ及びコンソールの概略的な実施形態を示す図である。
【
図2】
図1中の光送信機の詳細の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、光送信機11と光受信機15とを備える、一般的な参照番号10で標示された光リンクを示す。
図1には更に、受信機15と光源12とを備えるコンソール13が示されている。
【0056】
光源12は、光エネルギーを有する光を放射することが可能である。光源12は、好ましくはVCSELである。VCSELによって放射された光は、制御データを送信するために変調される。光源の光はまた、後で説明されるように、エネルギーハーベスティングのために使用される。制御データ送信及びエネルギーハーベスティングが必要とされない場合、光源は省略され得る。
【0057】
光リンク10は、更に、単一の光ファイバーを有する光ガイド14を備える。光ファイバーは、シングルコアマルチモード光ファイバーであり得るが、マルチプルコア光ファイバーでもあり得る。光ガイド14の少なくとも一部は、光送信機11の一部である。
【0058】
光送信機11は、更に、光変換器回路16を備える。光変換器回路16は、光電子デバイス18と回路要素20とを備える。回路要素20は、たとえば光電子デバイス18からの電力抽出及び制御データ抽出のための、電子機器22を備える。電子機器22は、したがって、光電子デバイス18に電気的に接続される。回路要素20は、更に、データストリームスプリッタ24と、データストリームスプリッタ24の出力部と光電子デバイス18の入力部との間に1つ又は複数の変調器26とを備える。変調器26は、したがって、データストリームスプリッタ24と光電子デバイス18とに電気的に接続される。
【0059】
光受信機15は、光を検出し、光を電気信号に変換するように設定された光検出器構成部28を備える。光検出器構成部28に電気的に接続された処理ユニット30は、1つ又は複数の復調器32と、データストリームコンバイナ34とを備える。
【0060】
光リンク10は、更に、ダイクロイックミラーとして設定される光ビームスプリッタ36を備える。光ビームスプリッタ36は、一方では、光源12と光電子デバイス18との間の、他方では、光電子デバイス18と光検出器構成部28との間の、光ガイド14の光路中に配置される。ここでも、エネルギーハーベスティング及び制御データ送信が必要とされない場合、ビームスプリッタ36は省略され得、光検出器構成部28は、
図1において光源12が位置する位置において構成され得る。
【0061】
光送信機11は、更に、光ガイド14の第1の端部40と光電子デバイス18との間に配置された第1のGRINレンズ38を備える。GRINレンズ38は、好ましくは、高いNA、特にNA>0.3を有する。
【0062】
光受信機15は、光ガイド14の第2の端部44と光検出器構成部28との間に配置された第2のGRINレンズ42を有する。GRINレンズ42は、NA>0.2である、高いNAを有する。
【0063】
光電子デバイス18は、
図1中の文字aからiで標示された複数の個々の光電子セグメント18a~18iを有する。特に、光電子デバイス18は、セグメント化された発光ダイオード(LED)であり、セグメント18a~18iは、各々、単一マイクロLEDを形成し、LEDセグメント18a~18iの各々は、光を電気信号に変換し、電気信号を光に変換するように設定される。言い換えれば、セグメント18a~18iの各々は、それ自体によってLEDとして機能する。他の実施形態では、光電子デバイス18は、複数の単一LEDを備え、各LEDは、光電子デバイス18のセグメントを形成する。変換器回路16は、セグメント18a~18iの各々を駆動するための複数の電子回路を備えることを理解されたい。1つのセグメントのための電子回路の一例が、後で説明される
図2に示されている。
【0064】
セグメント18a~18iのサブセット又はいくつかのセグメント18a~18i或いはすべてのセグメント18a~18iが、互いと直列に接続される。
【0065】
光送信機11、特に光電子デバイス18及び回路要素20は、カテーテル又はガイドワイヤ或いは任意の他の介入器具である、光プローブ46に組み込まれ得る。特に、光変換器回路16は、光プローブ46の遠位先端部分48に組み込まれる。光プローブ46は、遠位先端部分48中に、1つ又は複数の追加の電子デバイス(図示せず)、たとえば超音波トランスデューサ、カメラ、測定デバイスを有する。これらのデバイスは、後でより詳細に説明されるように、一般に、送信機11によって受信機15に送られるべきであるデータストリームを提供する。GRINレンズ38、及びGRINレンズ38から光ビームスプリッタ36までの光ガイド14の一部も、遠位先端部分48から延びる光プローブ46の部分50中で光プローブ46に組み込まれる。
【0066】
以下では、光リンク10及びそれを動作させる方法が更に説明される。
【0067】
光リンク10の1つの機能は、光が光源12から光変換器回路16に送信されるという点で、電源機能であり、送信機11の光電子デバイス18は、光変換器回路16の構成要素に電力供給するために、及び/又はプローブ46の遠位先端部分48中の任意の他の電子デバイスに電力供給するために、光によって伝達された光エネルギーを電気エネルギーに変換する。
図1では、光源12から放射された光が、矢印52を用いて示されている。この光は、光ガイド14を通して、光ビームスプリッタ36を通して、更に光ガイド14を通して誘導され、次いで、GRINレンズ38を通過する。GRINレンズ38は、光源12からの光を光電子デバイス18のセグメント18a~18iのうちのいくつか又はすべての上にコリメートする。セグメント18a~18iの各々又はセグメント18a~18iのうちの少なくともいくつかが、光エネルギーを電気エネルギーに変換し、電気エネルギーは、光変換器回路16の構成要素のいずれか又はプローブ46の遠位部分中の(1つ又は複数の)他のデバイスへの電源としての更なる使用のために、電子機器22のキャパシタ(図示せず)に蓄積される。特に、セグメント18a~18iが直列に接続されるか、又はセグメント18a~18iのうちの少なくともいくつかが直列に接続されるとき、光エネルギーの、電気エネルギーへの変換の後の出力電圧は高くなり得る。高い電圧は、プローブ46の特定の超音波使用にとって有利である。III/V LEDが光電子デバイスの単一のセグメントとして使用される場合、単一のセグメントは、たとえば変換器回路16の電子機器に十分な電圧を提供する。
【0068】
光電子デバイス18を、エネルギー変換器として、又は言い換えれば光電池として使用するとき、光源12によって放射される光の波長は、光電子デバイス18のセグメント18a~18iの光放射の中心波長よりも短いべきである。
【0069】
光リンク10の更なる機能は、光ガイド14を通した、光変換器回路16及び/又は遠位先端部分48中の他の電子デバイスへの制御データ送信である。この目的で、光源12の光放射は、光源12から光電子デバイス18に放射される光によって送信される制御データで変調され、変調された光の、電気信号への変換の後に、制御データは電子機器22によって抽出され得る。このようにして送信された制御データは、上述のように、光変換器回路16を制御するために、及び/又は遠位先端部分48中の1つ又は複数の電子デバイスを制御するために使用され得る。
【0070】
光リンク10、特に光送信機11の更なる及び有利な機能は、光プローブ46の遠位先端部分48から光ガイド14を通してデータを光学的に送信することである。複数の個々のセグメント18a~18iをもつ、送信機11の光電子デバイス18の設定により、光電子デバイス18は、「戻り経路中で」としても示される、逆方向において、すなわち光電子デバイス18から光ガイド14を通して受信機15の光検出器構成部28にデータを光学的に送るのに特に適している。特に、複数の個々のセグメントを有する光電子デバイス18の設定により、光電子デバイス18は、以下で説明されるように、複数の空間的に多様なデータストリームを送るのに特に適している。更に、複数の小さい表面積のセグメントとしての光電子デバイス18の設定は、セグメント18a~18iの各々のキャパシタンスが、大きい表面積の光電子デバイスと比較して低下させられるという利点を有する。低いキャパシタンスが、データ送信におけるより大きい帯域幅及びより高いデータレートを可能にする。
【0071】
単一のデータストリームが、矢印54によって示されるように、データストリームスプリッタ24に入力される。入って来るデータストリームは、たとえば、プローブ46の遠位先端部分48中の電子デバイスから、たとえば超音波画像をキャプチャするための超音波トランスデューサから、カメラなどから来る。データストリームスプリッタ24は、入って来るデータストリームを複数の別個のデータストリームにスプリットし、言い換えれば入って来るデータストリームを複数の別個のデータストリームに分解する。次いで、別個のデータストリームは、別個のデータストリームを光電子デバイス18のセグメント18a~18i上に空間的に変調するための変調器26に入力される。セグメント18a~18iのうちの少なくともいくつか又はすべてが、戻り経路中でのデータ送信のために使用され、したがって、セグメント18a~18iのうちの少なくともいくつか又はすべてが、対応する変調器26に接続される。
【0072】
光電子デバイス18の各単一のセグメント18a~18iは、光ガイド14の光ファイバーの隣接端部に関して各異なる位置を有する。これは、セグメント18a~18iが、異なる角度の下で光ファイバーにデータストリームを搬送する、それらのそれぞれの光ビームを放射することを意味する。各セグメント18a~18iは、その光を、他のセグメント18a~18iの光放射の他のすべての角度とは異なる角度において光ファイバーに放射する。しかしながら、セグメント18a~18iの第1のサブセットが同じ角度においてファイバーに光を放射することも可能である。この場合、このサブセットのセグメントは、好ましくは、単一のデータストリームを送るために使用される。別のデータストリームを送るために、第1のサブセットとは異なる角度においてファイバーに光を放射する別のサブセットが使用される。データストリームを空間多重化することによって、データレートは著しく増加させられる。
【0073】
変調器26は、セグメント18a~18iのうちのどれが戻り経路中でのデータ送信のために使用されるかに応じて、光電子デバイス18のセグメント18a~18iのうちの少なくともいくつか又はすべてに別個のデータストリームを入力する。
【0074】
セグメント18a~18iの行列又はアレイ構成として設定され得る、複数のセグメント18a~18iを有する光電子デバイス18の設定により、変調器26から来る別個のデータストリームが、前述のように、セグメント18a~18i又はセグメントの対応するサブセット上に空間的に変調される。
【0075】
したがって、本明細書で説明される光電子デバイス18は、データストリームの空間分割多重化を可能にし、これは、元の単一の連続データストリームに基づく。しかしながら、別個のデータストリームが、複数の異なるデータソースから、たとえば複数の電子デバイスから来ることも考えられる。
【0076】
図2は、光電子デバイス18のセグメント18aのための電子回路の実施形態を示す。前述のように、セグメント18a~18iの各々は、それ自体マイクロLEDを形成する。
図2は、変調器26が光放射(矢印56)をデータで変調する回路を示す。光電子デバイス18のセグメントの光放射の変調は、セグメントの負荷をピンチする(pinch)ことによって実行される。セグメントの光放射は、たとえば、データビット「0」の場合はダブルフラッシュにあり、データビット「1」の場合はシングルフラッシュにある。実際には、より単純な変調方式が使用され得、セグメントによって放射された光の量の減少が「0」を示し、セグメントによって放射された光の増加が「1」を示し、又はその逆も同様であり、これは、より高いデータレートを可能にする。更に、「0」又は「1」ビットの長いシーケンスがないが、代わりに経時的な平衡負荷があるように、データを修正することによって、何らかの種類の「白色化」方式が採用され得る。
【0077】
セグメント18a~18i又はセグメント18a~18iのサブセットは、矢印58を用いて示されるように、空間的に多重化されたデータストリームをGRINレンズ38を通して光ガイド14に光学的に送る。異なるセグメント18a~18iの光信号は、別個のデータストリームが、光ガイド14を通して空間的に多重化されたデータストリームとして送信されるように、異なる角度の下で、すなわち角度ダイバーシティを用いて、GRINレンズ38及び光ガイド14、特に光ファイバーのコアに入る。光ビームスプリッタ36において、データストリームを搬送する光が、光検出器構成部28に向けられる。
【0078】
光検出器構成部28は、
図1中の文字a~iで標示された複数の光検出器セグメント28a~28iを有し、光検出器構成部28の光検出器セグメントの数は、光電子デバイス18のセグメント18a~18iの数と同じである。GRINレンズ42は、光電子デバイス18のセグメント18a~18iから来る光信号を光検出器構成部28の光検出器セグメント28a~28i上に一様にコリメートする。原則として、すべてのセグメント28a~28iが、光電子デバイス18から光信号を受信するために使用される。光ガイド14を通して特定の角度の下で光を送るとき、これは、固有モードに対応する。異なるモードは、ファイバー中で異なる遅延を有し、より高次の及びより低次のモードへの何らかの漏洩がある。受信された信号を相関させることによって、個々のモード遅延を再構築することができ、したがって、元の信号の最良の再構築を有するようにすべての光検出器セグメント28a~28iからの信号を有利に組み合わせることができる。これは、差動シグナリングの概念が適用される場合、更に改善され得、このことは、以下で更に説明される。
【0079】
光検出器構成部28の光検出器セグメント28a~28iは、光電子デバイス18から送られた空間的に多重化されたデータストリームをもつ光ビームを光学的に受信し、光信号を電気信号に変換する。
【0080】
光電子デバイス18のセグメント18a~18iのように、光検出器構成部28の光検出器セグメント28a~28iは、行列又はアレイで構成される。
【0081】
光信号が光検出器構成部28によって受信されるとき、空間多重化は、光電子デバイス18のセグメント18a~18iによって放射された光信号が、光検出器構成部28までのそれらの異なる伝搬角度を維持するので、依然として維持される。
【0082】
光検出器構成部28、すなわちそれのセグメント28a~28iにおける受信された空間的に多様なデータストリームの認識を可能にするために、データストリームスプリッタ24は、入って来るデータストリームを別個のデータストリームにスプリットするだけでなく、また、別個のデータストリームの各々にプリアンブルを追加する。ここで、いくつかのオプションが可能である。あるオプションは、個々のデータストリームのために異なる擬似ランダムプリアンブルを使用することである。別のオプションは、時間的に多重化し、個々に各チャネルにおいて同じプリアンブルを使用することである。プリアンブルからチャネル特性を学習した後に、これらの特性は、実際のデータを復号するために、データ送信(パケット)の持続時間の間使用される。
【0083】
処理ユニット30は、単一の光検出器セグメント28a~28iからの光検出器信号から別個のデータストリームを抽出するとき、これらのプリアンブルを使用する。これは、各データストリームのプリアンブルを使用する最大比合成の技法によって有利に行われ得る。最大信号が各プリアンブルについて達成されるような、プリアンブルに対する光検出器28a~28iの間の相関、並びに光検出器構成部28の他のセグメント28a~28iの信号の抑圧が実行される。相関は、ある時間的瞬間における単純な相関であり得るが、時間遅延を考慮に入れ、最高相関を与える時間遅延を探索する相関でもあり得る。
【0084】
次いで、復調器32は、光検出器信号からの抽出されたデータストリームを復調し、データストリームコンバイナ34は、別個のデータストリームを単一の連続データストリームに合成し、すなわち多重分離する。この合成されたデータストリームは、次いで、更なる処理のために、たとえばこのデータストリームに基づく画像の可視化のために、矢印60に従って出力される。
【0085】
データストリームの空間多重化及び光電子デバイス18から光検出器構成部28へのデータストリームの空間的に多重化された送信に加えて、波長に基づいて、データストリームスプリッタから出力されたデータストリームを多重化することも想定され得る。この目的で、光電子デバイス18の単一のセグメント18a~18iは、セグメントアレイ又は行列にわたって変動する光放射の中心波長を有する。
【0086】
更に、光リンク10の主要な利点のうちの1つは、光電子デバイス18によるエネルギーハーベスティング及びデータ送信が、同時に実行され得、すなわち、光エネルギーが電気エネルギーに連続的に変換され、同時に、複数の空間データストリームが光電子デバイスから返送され得ることである。
【0087】
更に、この点について、光リンク10は、光誘起エレクトロルミネッセンスを使用するように有利に設定される。
【0088】
光誘起エレクトロルミネッセンスの場合、光源12から光電子デバイス18によって受信された光は、セグメント18a~18iによって受信された情報を、ハーベスティングされたエネルギーから抽出され得るコモンモード信号として送るために変調される。
【0089】
概して、光誘起エレクトロルミネッセンス(PEL)は、LEDが、それのリード線が、LEDがLEDのバンドギャップよりも高い電圧を堆積するのに十分高い抵抗に接続される間、光で照明されるときに生じるタイプの、ルミネッセンスである。結果として、LEDは、従来のエレクトロルミネッセンスにおいてLEDが行うように、光を伝導及び放射することを開始する。したがって、LEDに入る光は、LEDにおける電圧を誘起し、その電圧は、LEDを通る電流を誘起し、その電流は、LEDによる光放射を誘起する。効率的なLEDの場合、これは、電流源なしに強い光放射を提供し、LEDの負荷の変動は、PEL出力レベルを変調する。
【0090】
更にこの点について、同時のエネルギーハーベスティングのそれらの能力に関して、光電子デバイス18のセグメント18a~18iのうちの少なくともいくつか又はすべてが、戻り経路中での差動シグナリングのために使用される。これは、以下で説明される。
【0091】
単一のLEDの場合、照明されたLED上の負荷を変調することによってPELが生成され、LEDは、LEDによって受信された入射光とは異なる波長において光を戻す。戻される光の量は、LED上の負荷に依存し、すなわち、より少ない電流が引き出される場合、電圧は上がり、LEDはより多くの光を放射する。負荷の変動は、LEDによって放射される光の量を変更する。しかしながら、デバイスのために総負荷を一定に保つことが望ましい。これは、差動シグナリングによって、複数のセグメント18a~18iを有する光電子デバイス18を用いて達成され得る。
【0092】
光電子デバイス18は、複数のセグメント18a~18iを有する。セグメント18a~18iは、エネルギーハーベスティングと同時の戻り経路中でのシグナリングとのために使用される。ある電力消費量において、セグメントは、セグメント上のある負荷(たとえば、50%の負荷)である、ある動作点にある。通常、単一のデータ送信チャネルのための信号を送るとき、セグメントによって放射される光の量は、バイナリの場合、値「1」の場合は増加され、値「0」の場合は減少される。PELでは、これは、個々のセグメント上の負荷を変更することによって行われる。したがって、信号を送るとき、電力消費量は、「1」を送るとき、増加されており、「0」を送るとき、減少されている。個々のセグメント18a~18iは、互いと相関していないので、同時発生的にすべてのチャネルが同時に「1」又は「0」を送る場合、総電力消費量の大きい変動があり得る。
【0093】
差動シグナリングでは、総電力消費量が一定のままであるように、セグメント18a~18iのうちのいくつかが相関様式で変調される。(「0」及び「1」を送る)単純なバイナリ変調の場合、これは、たとえばセグメント18a~18iのうちの2つが逆位相で変調され、すなわち一方が「1」で変調される場合、他方は「0」で変調され、その逆も同様であることを意味する。
【0094】
一例として、たとえば、各々が、異なる角度においてそれの光ビームを光ガイド14の光ファイバーに放射し、各々が、個々のデータ送信チャネル(C1、C2、C3、C4)を形成する、セグメント18a、18b、18c、18dについて考える。差動シグナリングによれば、「1」がチャネルC3上で送信され、たとえば、同じく「0」がチャネルC4上で送信される場合、これによりC3とC4とが逆位相で送信した結果、総電力消費量は同じままとなり、更なる利点は、データストリームが異なる角度の下で及び逆位相で送られ、検出器構成28におけるよりロバストな復調をもたらすことである。更に、「1」がチャネルC2上で送信される場合、「0」はチャネルC1上で送信される、などである。セグメントが逆位相でペアとして変調されるので、総負荷は、負荷がより少ないあるセグメントは負荷がより多い別のセグメントによって補償されるので、すべてのセグメントにわたって一定のままである。
【0095】
光ガイド14の光ファイバーでは、これは、ある角度の下で光の量の増加を生じ、別の角度の下で光の量の減少を生じる。これはまた、検出器構成28中で「1」及び「0」を確実に検出するために、あるチャネル中の光の増加及び別のチャネル中の光の減少を「探す」ことができるので、データストリームのよりロバストな送信につながる。全体で、本明細書で開示される差動シグナリングは、一定の負荷において一定の電力消費量を有する能力と戻り経路中でのデータ送信のロバストネスとの両方を改善する。
【0096】
セグメント18a~18iのうちの2つが逆位相でペアリングされ、変調される、バイナリ変調の単純な場合について、差動シグナリングの一例が上記で与えられたが、差動シグナリングの概念は、多値変調の場合にも採用され得る。上記の例に関する一例として、100%の出力(50%の負荷)をもつチャネルC3(セグメント18c)上で「1」を送ること、及びセグメント18b(チャネルC2)及び18d(チャネルC4)の出力を50%から25%に、各場合において(2*-25%=-50%の負荷)にすることが、多値変調において行われ得る。この場合も、ここで、複数のチャネルにわたって相関させることによって、データ送信のロバストネスの増加とともに一定の負荷が得られる。これは、ロバストネスを増加させるために複数のチャネルにわたって信号を拡散することを可能にする。
【0097】
本発明は、図面及び上記の説明において、詳細に示され、説明されてきたが、そのような例示及び説明は、例示的(illustrative)又は例示的(exemplary)と見なされるべきであり、限定的でなく、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他の変形形態が、クレームされる本発明を実施する際に当業者によって、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の検討により理解され、実施され得る。
【0098】
特許請求の範囲において、「備える、有する、含む(comprising)」という単語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。単一の要素又は他のユニットは、本特許請求の範囲において列挙されるいくつかの項目の機能を遂行し得る。いくつかの方策が、相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの方策の組合せが有利には使用され得ないことを示しているわけではない。
【0099】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又はそれの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体など、好適な媒体上に記憶/配信されるが、インターネット或いは他のワイヤード又はワイヤレス電気通信システムを介してなど、他の形態でも配信される。
【0100】
特許請求の範囲中のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。