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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/00 20120101AFI20220315BHJP
【FI】
G06Q40/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019047515
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2020149484
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2019-03-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598049322
【氏名又は名称】株式会社三菱UFJ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 恵子
(72)【発明者】
【氏名】谷茶 和人
【審査官】岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-143928(JP,A)
【文献】特開2018-077643(JP,A)
【文献】特開2014-186494(JP,A)
【文献】特開2015-148936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユーザによって請求された、マルチヘッダ形式の発生記録請求ファイルを、複数の債務者を管理する複数の第2ユーザにそれぞれ割り当てられた異なる第1口座を含むヘッダレコード毎に分割する分割部を有し、
各々の前記ヘッダレコードは、前記第1ユーザの利用者番号と、前記複数の債務者に対して指定された前記第1口座の各々の情報と、を含む情報処理装置。
【請求項2】
各々の前記第1口座は、複数の前記第2ユーザのそれぞれに一対一で対応する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
分割された前記発生記録請求ファイルの各々は、1つの前記ヘッダレコードと、それぞれ異なる前記債務者の情報を有する複数のデータレコードとを含む、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
分割された前記発生記録請求ファイルを電子債権記録機関システムに送信する送信部をさらに有する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記電子債権記録機関システムからの通知を受信する受信部と、
前記通知に基づいて、分割された前記発生記録請求ファイルの各々に含まれる複数の前記データレコードの各々に関連する前記債務者の第2口座から、分割された前記発生記録請求ファイルの各々に含まれる1つの前記ヘッダレコードに関連する前記第1口座の情報に基づいて、前記第1ユーザの第3口座への入金を行う実行部と、
をさらに有する請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1口座として、可変的に前記第2ユーザに関連付けられた仮想口座を設定する口座設定部をさらに有する、請求項1乃至5のいずれか一に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1ユーザ以外のユーザが、前記第1口座にアクセスする権限を管理する管理部をさらに有する、請求項1乃至6のいずれか一に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1ユーザは、金融機関の本社であり、
前記第2ユーザは、前記金融機関の支社であり、
前記支社が、分割された前記発生記録請求ファイルのうち、前記支社に割り当てられた前記第1口座にアクセスする権限を管理する管理部をさらに有する、請求項1乃至6のいずれか一に記載の情報処理装置。
【請求項9】
第1ユーザによって請求された、マルチヘッダ形式の発生記録請求ファイルを、複数の債務者を管理する複数の第2ユーザにそれぞれ割り当てられた異なる第1口座を含むヘッダレコード毎に分割することをコンピュータに実行させるプログラムであって、
各々の前記ヘッダレコードは、前記第1ユーザの利用者番号と、前記複数の債務者に対して指定された前記第1口座の各々の情報と、を含むプログラム。
【請求項10】
分割された前記発生記録請求ファイルを電子債権記録機関システムに送信することをコンピュータに実行させる請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記電子債権記録機関システムからの通知に基づき、分割された前記発生記録請求ファイルの各々に含まれる複数のデータレコードの各々に関連する前記債務者の第2口座から、分割された前記発生記録請求ファイルの各々に含まれる1つの前記ヘッダレコードに関連する前記第1口座の情報に基づいて、前記第1ユーザの第3口座への入金を行うことをコンピュータに実行させる請求項10に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置及びプログラムに関する。特に、本発明は、電子記録債権処理に用いられる情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の紙媒体による債権に代わり、電子債権記録機関の記録原簿への電子記録をその発生及び譲渡等の要件とする電子記録債権が普及している。電子記録債権では、取引によって電子記録債権が発生したことを電子債権記録機関に知らせ、記録原簿に記録することによって債権が発生する。電子記録債権として、全国銀行協会が提供する電子債権記録機関(以下、「でんさいネット(登録商標)」という)で用いられる電子記録債権(以下、「でんさい」という)が普及している。
【0003】
でんさいネットにおいて、債務者がでんさいの発生記録請求を行う債務者請求方式と、債権者が「でんさい」の発生記録請求を行う債権者請求方式とがある。債権者請求方式の場合、請求を行う債権者及び対象となる債務者などの情報を債権者が特定して取引先の銀行に債権回収の要求を行い、当該銀行がでんさいネットに対して発生記録請求を行う。この際、でんさいネットに発生記録請求を行う際のフォーマットに規制があるため、でんさいネットの標準フォーマットに準じた形式で発生記録請求を行う必要がある。具体的には、でんさいネットでは、1つの発生記録請求ファイルについて1つのヘッダレコードが指定された形式(シングルヘッダ形式)で発生記録請求を行うことが要求されており、1つのファイルについて複数のヘッダレコードが指定された形式(マルチヘッダ形式)で発生記録請求を行うことはできない。
【0004】
一方で、債権者が発生記録請求を行う形式がシングルヘッダ形式に限定されると、債権者の作業負担が増し、作業効率が低下するという問題があった。そこで、債権者がマルチヘッダ形式で入力した発生記録請求ファイルをシングルヘッダ形式のファイルに分割してでんさいネットに送信する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-143928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の電子記録債権処理システムでは、決済口座情報が債務者ごとに固有に割り当てられているため、債権者の代表(例えば、債権者の本社)が一括して全ての債務者を管理しなければならなかった。債務者の管理責任が本社に集中すると、本社における作業負担が増加するため、従来のシステムでは作業の効率化が著しく低下するという問題が生じていた。
【0007】
本発明の一実施形態は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、債務者の管理責任が一部の機関に集中することを抑制し、作業効率の著しい低下を抑制することができるシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態にかかる情報処理装置は、第1ユーザによって請求された、マルチヘッダ形式の発生記録請求ファイルを、ヘッダレコード毎に分割する分割部を有し、各々の前記ヘッダレコードは、債務者とは異なる複数の第2ユーザに割り当てられた異なる第1口座の各々の情報を含む。
【0009】
各々の前記第1口座は、複数の前記第2ユーザのそれぞれに一対一で対応してもよい。
【0010】
分割された前記発生記録請求ファイルの各々は、1つの前記ヘッダレコードと、それぞれ異なる前記債務者の情報を有する複数のデータレコードとを含んでもよい。
【0011】
分割された前記発生記録請求ファイルを電子債権記録機関システムに送信する送信部をさらに有してもよい。
【0012】
前記電子債権記録機関システムからの通知を受信する受信部と、前記通知に基づいて、分割された前記発生記録請求ファイルの各々に含まれる複数の前記データレコードの各々に関連する前記債務者の第2口座から、分割された前記発生記録請求ファイルの各々に含まれる1つの前記ヘッダレコードに関連する前記第1口座の情報に基づいて、前記第1ユーザの第3口座への入金を行う実行部と、をさらに有してもよい。
【0013】
前記第1口座として、可変的に前記第2ユーザに関連付けられた仮想口座を設定する口座設定部をさらに有してもよい。
【0014】
前記第1ユーザ以外のユーザが、前記第1口座にアクセスする権限を管理する管理部をさらに有してもよい。
【0015】
前記第1ユーザは、金融機関の本社であり、前記第2ユーザは、前記金融機関の支社であり、前記支社が、分割された前記発生記録請求ファイルのうち、前記支社に割り当てられた前記第1口座にアクセスする権限を管理する管理部をさらに有してもよい。
【0016】
本発明の一実施形態にかかるプログラムは、第1ユーザによって請求された、マルチヘッダ形式の発生記録請求ファイルを、ヘッダレコード毎に分割することをコンピュータに実行させるプログラムであって、各々の前記ヘッダレコードは、債務者とは異なる複数の第2ユーザに割り当てられた異なる第1口座の各々の情報を含む。
【0017】
分割された前記発生記録請求ファイルを電子債権記録機関システムに送信することをコンピュータに実行させてもよい。
【0018】
前記電子債権記録機関システムからの通知に基づき、分割された前記発生記録請求ファイルの各々に含まれる複数のデータレコードの各々に関連する前記債務者の第2口座から、分割された前記発生記録請求ファイルの各々に含まれる1つの前記ヘッダレコードに関連する前記第1口座の情報に基づいて、前記第1ユーザの第3口座への入金を行うことをコンピュータに実行させてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態によれば、債務者の管理責任が一部の機関に集中することを抑制し、作業効率の著しい低下を抑制することができるシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理に用いられるシステムの概要を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムの特徴を説明するための概念図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムに用いられるサーバのハードウェア構成を示す概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムにおいて銀行のサーバの機能構成を示す概略図である。
図5】本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムにおいて、でんさいの発生及び決済の動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムにおいて、債権者によって作成されたマルチヘッダ形式の発生記録請求ファイルの一例を示す図である。
図7図6に示す発生記録請求ファイルがシングルヘッダ形式に分割されたファイルの一例を示す図である。
図8】発生記録請求ファイルのヘッダレコードの内容を示す図である。
図9】発生記録請求ファイルのデータレコードの内容を示す図である。
図10】発生記録請求ファイルのトレーラレコードの内容を示す図である。
図11】発生記録請求ファイルのエンドレコードの内容を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムで用いられる発生記録請求ファイルの一例を示す図である。
図13】本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムにおけるアクセス権限の一例を示す図である。
図14】本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムにおける送金フローの一例を示す図である。
図15】本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムの特徴を説明するための概念図である。
図16】本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムにおけるアクセス権限の一例を示す図である。
図17】本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムの特徴を説明するための概念図である。
図18】本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムにおけるアクセス権限の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態における電子記録債権処理システム、並びに、当該システムに用いられる銀行のサーバ、当該システムの動作フロー、及び発生記録請求ファイルの形式について説明する。但し、本発明の一実施形態における電子記録債権処理システムは多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号又は同一の符号の後にアルファベットを付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
以下の実施形態では、電子記録債権処理システムに用いられる電子債権記録機関としてでんさいネットを例示し、当該電子債権記録機関において用いられる電子記録債権として「でんさい」を例示するが、この構成に限定されない。例えば、本発明の実施形態は、でんさいネット以外の電子債権記録機関や、「でんさい」以外の電子記録債権が用いられる電子記録債権処理システムに適用することもできる。また、特に技術的な矛盾が生じない限り、異なる実施形態間の技術を組み合わせることができる。
【0023】
〈第1実施形態〉
図1図14を用いて、本発明の第1実施形態に係る電子記録債権処理システム10、並びに、電子記録債権処理システム10の一部を構成する銀行サーバ100、でんさいネットサーバ200、第1ユーザ300、第2ユーザ400、及び債務者500について説明する。なお、以下の実施形態において、第1ユーザ300は債権者の本社であり、第2ユーザ400は債権者の支社である構成を例示する。ただし、本実施形態は上記の構成に限定されない。
【0024】
[電子記録債権処理システム10の概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理に用いられるシステムの概要を示す図である。図1に示すように、本発明に係る電子記録債権処理システム10は、銀行サーバ100、でんさいネットサーバ200、第1ユーザ300、第2ユーザ400、及び債務者500を有する。銀行サーバ100及びでんさいネットサーバ200は情報処理装置である。第1ユーザ300、第2ユーザ400、及び債務者500は通信端末である。
【0025】
銀行サーバ100は、第1ネットワーク600を介して第1ユーザ300、第2ユーザ400、及び債務者500と通信可能に接続されている。でんさいネットサーバ200は、第2ネットワーク610を介して銀行サーバ100と通信可能に接続されている。銀行サーバ100はデータベース101に接続されている。でんさいネットサーバ200はデータベース201に接続されている。
【0026】
本実施形態において、銀行サーバ100は、電子記録債権処理システム10の基本的な機能、つまり、第1ユーザ300によって作成された発生記録請求ファイルの形式をでんさいネットサーバ200の標準フォーマットに準じた形式に変換する機能を備えている。詳細は後述するが、第1ユーザ300によって作成された発生記録請求ファイルの形式は、複数のヘッダレコードを含んだマルチヘッダ形式である(図6参照)。各々のヘッダレコードには、第2ユーザ400毎に割り当てられた口座情報(第1口座)が含まれている。各々のヘッダレコードに含まれる当該口座情報は、ヘッダレコード毎に異なる。なお、発生記録請求ファイルには、各々のヘッダレコードに対応するデータレコードが含まれている。当該データレコードには、債務者500の情報が含まれている。
【0027】
銀行サーバ100は、上記のように、複数のヘッダレコードを含む発生記録請求ファイルを、ヘッダレコード毎に分割することで、当該発生記録請求ファイルの形式をでんさいネットサーバ200の標準フォーマットに準じたシングルヘッダ形式に変換する。そして、銀行サーバ100は、分割された発生記録請求ファイルをでんさいネットサーバ200に送信する。
【0028】
でんさいネットサーバ200は、シングルヘッダ形式に変換された発生記録請求ファイルを銀行サーバ100から受信し、当該ファイルに記載された発生記録請求の内容に応じて、銀行サーバ100を介して債務者500に発生記録請求の通知を行う。また、でんさいネットサーバ200は、当該発生記録請求に対する債務者500の諾否に関する情報を債務者500から受信し、銀行サーバ100を介して第1ユーザ300及び第2ユーザ400に当該諾否の結果を通知する。
【0029】
本実施形態において、第1ユーザ300及び第2ユーザ400は債権者である。第1ユーザ300は本社としての位置付けにあるユーザである。第2ユーザ400は、当該本社に対して支社としての位置付けにあるユーザである。換言すると、第1ユーザ300は第2ユーザ400を管理するユーザであり、第2ユーザ400は債務者500を管理するユーザである。債務者500は、第1ユーザ300に対して支払い義務を有する者である。
【0030】
なお、本実施形態では、第1ユーザ300が本社であり、第2ユーザ400が支社である構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、第1ユーザ300は、少なくとも債務者500に対する債権者であればよい。又は、第1ユーザ300及び第2ユーザ400がそれぞれ債権者の従業員(債権回収業務の担当者)であってもよい。例えば、第1ユーザ300が統括担当者であり、第2ユーザ400が各債務者500に対する営業担当であってもよい。また、第2ユーザ400は、債務者500を管理する役割を有するユーザであればよく、債務者でなくてもよい。
【0031】
データベース101は、第1ユーザ300及び債務者500のでんさいネットの利用者番号、金融機関コード、支店コード、預金種目、預金口座、及び仮想口座番号を、それぞれ関連付けて保存している。データベース101が第2ユーザ400の上記項目の情報を保存していてもよい。また、データベース101は、第2ユーザ400の利用者番号と第2ユーザ400が閲覧可能な仮想口座番号とを互いに関連付けて保存している。
【0032】
データベース201は、第1ユーザ300がでんさいネットサーバ200に対して行った「でんさい」の発生及び譲渡等の各種記録請求の結果を保存している。
【0033】
図1では、データベース101が銀行サーバ100に直接接続された構成、及びデータベース201がでんさいネットサーバ200に直接接続された構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、データベース101、201が直接第2ネットワーク610に接続され、銀行サーバ100とデータベース101との間のデータの送受信、及びでんさいネットサーバ200とデータベース201との間のデータの送受信が第2ネットワーク610を介して行われていてもよい。
【0034】
第1ネットワーク600は、一般的なWorld Wide Web(WWW)サービスによって提供されるインターネット、WAN(Wide Area Network)、又は社内LANなどのLAN(Local Area Network)である。第1ユーザ300、第2ユーザ400、及び債務者500は、第1ネットワーク600を介して銀行サーバ100と通信する。
【0035】
第2ネットワーク610は、第1ネットワーク600とは異なり、銀行サーバ100及びでんさいネットサーバ200の専用のネットワークである。つまり、第2ネットワーク610は、第1ユーザ300、第2ユーザ400、及び債務者500がアクセスすることができないネットワークである。したがって、でんさいネットサーバ200と第1ユーザ300、第2ユーザ400、及び債務者500との通信は、全て銀行サーバ100を介して行われる。
【0036】
なお、銀行サーバ100とでんさいネットサーバ200との通信においてセキュリティが確保されていれば、両者が第1ネットワーク600を介して接続されていてもよい。ただし、このような場合であっても、第1ユーザ300、第2ユーザ400、及び債務者500は、銀行サーバ100を介してでんさいネットサーバ200と通信する。
【0037】
また、図1では、第1ユーザ300、第2ユーザ400、及び債務者500のそれぞれが同一の銀行サーバ100と通信をする構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、第1ユーザ300、第2ユーザ400、及び債務者500のそれぞれが異なる銀行サーバと通信を行ってもよい。
【0038】
上記の情報処理装置は、1つのコンピュータによってその機能が実現されてもよく、複数のコンピュータが協働することでその機能が実現されてもよい。上記の通信端末は、モバイル用の通信端末であってもよく、据え置き型の通信端末であってもよい。
【0039】
図2は、本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムの特徴を説明するための概念図である。図2に示すように、第1ユーザ300は第3口座301を有する。なお本実施形態では、第3口座301は、銀行サーバ100が管理する実態のある口座(実口座)である。銀行サーバ100は複数の第1口座401(401A、401B、・・・、401Z)を有している。複数の第1口座401は第3口座301に関連付けられている。
【0040】
複数の第1口座401には、それぞれ異なる口座番号が付与されている。具体的には、第1口座401A、401B、・・・、401Zの口座番号には、それぞれ「9999001」、「9999002」、・・・、「9999026」の口座番号が付与されている。第1口座401のそれぞれの口座番号は、各第2ユーザ400(400A、400B、・・・、400Z)に対して割り当てられている。つまり、第1口座401と第2ユーザ400とは一対一で対応している。換言すると、第1口座401は第2ユーザ400に対して固有の情報を有している。したがって、第1口座401を特定することで、特定された第1口座401に関連付けられた第2ユーザ400を特定することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、第1口座401は、第2ユーザ400の実口座ではなく、第3口座301及び第2ユーザ400に関連付けられた仮想口座であって、第2ユーザ400を特定可能な仮想口座である。
【0042】
第2ユーザ400の各々は、複数の第1口座401のうち自らに関連付けられた第1口座401にアクセスする権限を有する。換言すると、第1ユーザ300以外のユーザが、第1口座401にアクセスする権限を有する。当該アクセスする権限は、例えば、第2ユーザ400が第1口座401を閲覧する権限又は操作する権限である。当該操作する権限には、例えば、でんさいの譲渡を実行する権限が含まれる。第2ユーザ400が第1口座401を閲覧する権限を有するということは、例えば、第2ユーザ400Aが、少なくとも第1口座401Aの情報を見ることができることを意味する。なお、本実施形態では、第2ユーザ400が、複数の第1口座401のうち当該第2ユーザ400に関連付けられた第1口座401のみを閲覧する権限を有する。つまり、第2ユーザ400Aは、第1口座401Aの情報を見ることができるが、他の第1口座401B、・・・、401Zの情報を見ることはできない。
【0043】
銀行サーバ100は、第1口座401A、第1口座401B、・・・、第1口座401Zの各々がヘッダレコードに含まれた発生記録請求ファイルであって、複数のシングルヘッダ形式の発生記録請求ファイルをでんさいネットサーバ200に送信する。当該発生記録請求ファイルにおいて、債務者500A~500Cに対して指定された口座番号は第1口座401Aであり、債務者500D~500Fに対して指定された口座番号は第1口座401Bであり、債務者500X~500Zに対して指定された口座番号は第1口座401Zである。なお、債務者500A~500Cは、第2ユーザ400Aによって管理される債務者である。債務者500D~500Fは、第2ユーザ400Bによって管理される債務者である。債務者500X~500Zは、第2ユーザ400Zによって管理される債務者である。換言すると、例えば債務者500A~500Cは、第2ユーザ400Aと直接取引がある債務者である。
【0044】
でんさいネットサーバ200が各債務者500から応諾を示す情報を受信すると、「でんさい」が発生し、支払期日になると「でんさい」の決済が実行される。この「でんさい」の決済に応じて、債務者500A~500Cの口座(第2口座)から第1口座401Aを介して第3口座301に、「でんさい」に基づく入金が行われる。同様に、債務者500D~500Fの口座(第2口座)から第1口座401Bを介して第3口座301に、「でんさい」に基づく入金が行われる。同様に、債務者500X~500Zの口座(第2口座)から第1口座401Zを介して第3口座301に、「でんさい」に基づく入金が行われる。
【0045】
詳細は後述するが、本実施形態では、第1口座401が仮想口座であるため、債務者500の口座(第2口座)から、第1口座401の情報に基づいて、第3口座301に入金される。つまり、「でんさい」の決済は、債務者500の第2口座から、第2ユーザ400の実口座を経ることなく、第3口座301に入金される口座間送金決済である。
【0046】
[銀行サーバ100のハードウェア構成]
本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムに用いられる銀行サーバのハードウェア構成を示す概略図である。図3に示すように、銀行サーバ100は、サーバ制御部103、サーバ記憶部105、およびサーバ通信部107を有する。なお、これらの機能部は図3に示す位置に設けられた構成に限定されず、情報処理装置のどこに設けられていてもよい。
【0047】
サーバ制御部103は、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)、当該CPUに接続されたレジスタやメモリなどの記憶装置を含む。サーバ制御部103は、メモリに一時的に記憶されたプログラムをCPUによって実行し、第1ユーザ300、第2ユーザ400、及び債務者500からの各種要請信号に応じて演算処理を行い、これらの通信端末に電子記録債権処理システム10のサービスを提供する。
【0048】
サーバ記憶部105は大容量のデータを記憶することができる記憶装置である。サーバ記憶部105には、演算処理に必要なプログラム及びコンテンツデータなどが記憶されている。サーバ記憶部105に記憶されているプログラムは、サーバ制御部103によって読み出しされ、サーバ制御部103の記憶装置に一時的に記憶される。サーバ記憶部105はハードディスクであってもよく、揮発性または不揮発性のメモリであってもよい。なお、上記のサーバ記憶部105に記憶される情報は、サーバ記憶部105の代わりにデータベース101に記憶されてもよい。
【0049】
サーバ通信部107は、外部機器に対してデータを送受信可能に接続することができる制御装置であり、それぞれ第1ネットワーク600及び第2ネットワーク610に対するデータの送受信を制御する。
【0050】
[銀行サーバ100の機能構成]
図4は、本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムにおいて銀行のサーバの機能構成を示す概略図である。図4に示すように、銀行サーバ100は、分割部110、受信部120、送信部130、実行部140、口座設定部150、管理部160、及び通知部170を有する。これらの機能部は、例えばバスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0051】
分割部110は、マルチヘッダ形式の発生記録請求ファイルをシングルヘッダ形式の発生記録請求ファイルに分割する。第1ユーザ300から送られてくるマルチヘッダ形式の発生記録請求ファイルは、複数のヘッダレコードを含んでいる。分割部110は、マルチヘッダ形式の発生記録請求ファイルをデータ解析し、ヘッダレコード、データレコード、トレーラレコード、及びエンドレコードを抽出する。詳細は後述するが、ヘッダレコードとトレーラレコードとは一対一で対応しているため、マルチヘッダ形式の発生記録請求ファイルには、ヘッダレコード及びトレーラレコードの対が複数存在する。分割部110は、対となるヘッダレコード及びトレーラレコード、並びに、これらのレコードの間のデータレコードを抽出し、当該トレーラレコードの後にエンドレコードを追加することで、新たにシングルヘッダ形式の発生記録請求ファイルを生成する。この動作を順次繰り返すことで、発生記録請求ファイルをマルチヘッダ形式からシングルヘッダ形式に変換する。
【0052】
受信部120は、発生記録請求ファイル受信部121及び応諾結果受信部123を有する。発生記録請求ファイル受信部121は、第1ユーザ300によって送信された発生記録請求ファイルを受信する。上記のように、発生記録請求ファイル受信部121が受信する発生記録請求ファイルは、マルチヘッダ形式の発生記録請求ファイルである。応諾結果受信部123は、でんさいネットサーバ200によって通知された債務者500の応諾を示す情報を受信する。
【0053】
送信部130は、発生記録請求ファイル送信部131及びユーザインターフェース(UIF)送信部133を有する。発生記録請求ファイル送信部131は、発生記録請求ファイル受信部121によって受信され、分割部110によって分割された発生記録請求ファイルをでんさいネットサーバ200に送信する。UIF送信部133は、第1ユーザ300が発生記録請求ファイルを登録可能なUIFを第1ユーザ300に送信する。また、UIF送信部133は、債務者500の応諾結果、及び「でんさい」の支払い(債務者500と第1ユーザ300との間の実口座間の入金処理)の実行が完了した旨の通知を、第1ユーザ300及び第2ユーザ400が視認可能なUIFとしてこれらのユーザに送信する。
【0054】
実行部140は、発生記録請求及び債務者500の応諾によって発生し、記録原簿に記録された「でんさい」の支払期日になると、「でんさい」の決済を実行する。具体的には、「でんさい」として記録された情報に基づいて、上記の実口座間の入金処理を行う。
【0055】
口座設定部150は、第1口座401として、第2ユーザ400に関連付けられた仮想口座を設定する。仮想口座とは、第2ユーザ400に対して固定的に割り当てられた口座ではなく、第2ユーザ400に対して可変的に割り当てられた口座である。つまり、取引の度に、第2ユーザ400に対して割り当てられた仮想口座は異なり得る。ただし、仮想口座は第2ユーザ400に対して固定的に割り当てられてもよい。
【0056】
管理部160は、第2ユーザ400の第1口座401へのアクセス権限を管理する。本実施形態では、複数の第1口座401が設定されており、各々の第1口座401に対して異なる第2ユーザ400が関連付けられている。そして、第2ユーザ400は自らに関連付けられた第1口座401のみにアクセスする権限を有している。各第1口座401に対するアクセス権限は、各第2ユーザ400に対して予め設定されている。第2ユーザ400が第1口座401にアクセスすることを要求した場合に、管理部160は、当該第2ユーザ400が当該第1口座401に対してアクセス権限を有するユーザか否かを判断する。
【0057】
なお、本実施形態では、第2ユーザ400が自らに関連付けられた第1口座401のみにアクセスする権限を有する構成を例示したが、この構成に限定されない。つまり、第1口座401と第2ユーザ400とは一対一で関連付けられていなくてもよい。例えば、1つの第1口座401に対して複数の第2ユーザ400がアクセス権限を有していてもよい。具体的な例を挙げると、ある都市に拠点を有する支店である第2ユーザ400Aに対して第1口座401Aが関連付けられている場合、当該都市の近隣に拠点を有する支店である第2ユーザ400Bであって、第1口座401Aではなく第1口座401Bが関連付けられている第2ユーザ400Bが、当該第1口座401Aにアクセスする権限を有していてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、第1口座401にアクセスする権限を有する第2ユーザ400が債権者の支社である構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、債権者である第1ユーザ300から業務委託を受けて、債務者500から債権回収をする責務を負うユーザが、第1口座401にアクセスする権限を有していてもよい。
【0059】
通知部170は、でんさい発生通知部171及び実行完了通知部173を有する。でんさい発生通知部171は、債務者500の応諾によって「でんさい」が発生し、当該「でんさい」が記録原簿に記録されたことを第1ユーザ300及び第2ユーザ400に通知する。でんさい発生通知部171は、第1ユーザ300及び第2ユーザ400が銀行サーバ100にアクセスしたときに、これらのユーザに対して上記の内容を参照可能に提供することで通知する。実行完了通知部173は、「でんさい」の決済が実行されたことを、上記と同様の方法で第1ユーザ300及び第2ユーザ400に通知する。なお、これらの通知は、上記の方法に限定されず、例えばプッシュ通知などの方法によって通知されてもよい。
【0060】
通知部170は、上記の通知の他に、発生記録請求が銀行サーバ100からでんさいネットサーバ200に送信され、でんさいネットサーバ200において仮登録された場合、又は、支払期日の数日前(例えば2営業日前)になった場合に、これらの事項を第1ユーザ300及び第2ユーザ400に通知する。
【0061】
なお、本実施形態では、1つの銀行サーバ100に上記の全ての機能部が含まれる構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、これらの機能部が異なるサーバに設けられ、これらのサーバが協働することで電子記録債権処理システム10の機能が実現されてもよい。
【0062】
[電子記録債権処理システム10の動作]
図5を用いて、電子記録債権処理システム10の動作について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムにおいて、でんさいの発生及び支払いの動作を示すフローチャートである。以下のフローチャートは、上記で説明した、銀行サーバ100の各機能部によって実現される。
【0063】
まず、債権者の支社である第2ユーザ400が債権者の本社である第1ユーザ300に対して債権回収を要求する(ステップS721)。ステップS721の債権回収要求において、第2ユーザ400は、第2ユーザ400が管理する債務者500に対して債権回収要求を行う。図2を参照して説明すると、第2ユーザ400Aは、債務者500A~Cに対して債権回収要求を行う。
【0064】
第1ユーザ300は、第2ユーザ400から債権回収要求を受信すると、発生記録請求ファイルを作成し、銀行サーバ100に対して発生記録請求ファイルを送信する(ステップS701)。このとき、第1ユーザ300から銀行サーバ100に送信される発生記録請求ファイルは、例えば図6に示すようなマルチヘッダ形式の発生記録請求ファイル210である。
【0065】
図6では、図2に示した第2ユーザ400Aが債務者500A~Bに対して債権回収を要求し、第2ユーザ400Bが債務者500D~Fに対して債権回収を要求し、第2ユーザ400Zが債務者Zに対して債権回収を要求した場合の発生記録請求ファイルについて説明する。図6に示すように、発生記録請求ファイルには、ヘッダレコード及びトレーラレコードの対が複数設けられている。対をなすヘッダレコードとトレーラレコードとの間にデータレコードが設けられている。データレコードは複数であってもよく、単数であってもよい。各データレコードには、データレコードに対応するヘッダレコードに含まれる第1口座401に関連付けられた債務者500の情報が含まれている。
【0066】
銀行サーバ100は、ステップS701で送信された発生記録請求ファイルを受信し、マルチヘッダ形式からシングルヘッダ形式に分割する(ステップS741)。具体的には、銀行サーバ100の分割部110によって上記の分割処理が行われ、図6に示すマルチヘッダ形式から図7に示すような複数のシングルヘッダ形式の発生記録請求ファイル220(220A、220B、・・・、220Z)が生成される。図7に示すように、各々のシングルヘッダ形式の発生記録請求ファイルは、発生記録請求ファイル220A、220Bのように、複数のデータレコードを含むマルチデータ形式のファイルであってもよく、発生記録請求ファイル220Cのようにシングルデータ形式のファイルであってもよい。発生記録請求ファイルがマルチデータ形式である場合、分割された発生記録請求ファイル220Aは、1つのヘッダレコードと、それぞれ異なる債務者500A、500Bの情報を有する複数のデータレコード1-1及び1-2)と、を含む。
【0067】
銀行サーバ100は、ステップS741で分割されたシングルヘッダ形式の発生記録請求ファイルをでんさいネットサーバ200に送信する(ステップS743)。
【0068】
でんさいネットサーバ200は、発生記録請求ファイルを受信すると、当該ファイルに記載された内容に基づいて債務者500へ通知し、債務者500の諾否確認を行う(ステップS761)。当該諾否確認に対して債務者500が応諾する意思を示すと(ステップS781)、でんさいネットサーバ200は「でんさい」を発生する(ステップS763)。でんさいネットサーバ200は、債権金額、支払期日、債権者情報、及び債務者情報を含む「でんさい」を記録原簿に記録する(ステップS765)。「でんさい」が発生し、記録原簿への記録が完了すると、でんさいネットサーバ200はこれらの処理が完了したことを銀行サーバ100に通知する(ステップS767)。
【0069】
銀行サーバ100は、ステップS767の通知を受けると、当該通知の内容を第1ユーザ300及び第2ユーザ400に対して通知する(ステップS745)。上記のように、この通知は、第1ユーザ300及び第2ユーザ400が銀行サーバ100にアクセスしたときに、これらのユーザに対して上記の内容を参照可能に提供することで行われる。
【0070】
銀行サーバ100は、支払期日になると「でんさい」の決済処理を実行する(ステップS747)。そして、当該決済処理が完了すると、決済処理が完了したことを第1ユーザ300及び第2ユーザ400に対して通知する(ステップS749)。ステップS749の通知も、ステップS745の通知と同様の方法で行われる。
【0071】
図5に示す動作フローにおいて、第2ユーザ400は、ステップS721で債権回収要求を第1ユーザ300に送信した後、銀行サーバ100にアクセスして、第2ユーザ400にアクセス権限が付与された第1口座401の入出金履歴を閲覧することができる。第2ユーザ400によって第1口座401の入出金履歴の閲覧が可能になるタイミングは、ステップS721の後、第1ユーザ300において債権回収要求に対する承認が行われた後であってもよく、ステップS701の発生記録請求を行った後であってもよい。
【0072】
[発生記録請求ファイルのデータ構成]
図8図11を用いて、発生記録請求ファイルのデータ構成について説明する。また、図12を用いて、発生記録請求ファイルの具体的な例について説明する。下記のデータ構成の説明において、各項目は「項番」の順に並んでいる。「項目名」は各項目の値が意味するものを示す。「桁数」のNは、値が半角数字で構成されることを意味する。「桁数」のCは、値が半角文字(カナ、数字、英大文字、記号)で構成されることを意味する。「桁数」のN又はCの後の括弧内の数字は、各項目における値の桁数を意味する。「備考」は、各項目の値の意味を示す。
【0073】
図8は、発生記録請求ファイルのヘッダレコードの内容を示す図である。図8に示すように、ヘッダレコードは、データ区分、種別コード、文字コード区分、記録請求日、請求者_利用者番号、請求者名、取引銀行番号、取引銀行名、取引支店番号、取引支店名、預金種目、口座番号、及びダミーを有する。データ区分の値、つまりレコードの先頭の値が「1」であるとき、そのレコードがヘッダレコードであることを意味する。また、種別コードの値、つまりレコードの2番目及び3番目の値が「12」であるとき、そのレコードが債権者請求方式であることを意味する。
【0074】
図9は、発生記録請求ファイルのデータレコードの内容を示す図である。図9に示すように、データレコードは、データ区分、取引相手_利用者番号、取引相手_銀行番号、取引相手_銀行名、取引相手_支店番号、取引相手_支店名、取引相手_預金種目、取引相手_口座番号、債権金額、支払期日、譲渡制限有無フラグ、記録番号、保証随伴グラフ、依頼人Ref.No.、及びダミーを有する。データ区分の値が「2」であるとき、そのレコードがデータレコードであることを意味する。
【0075】
図10は、発生記録請求ファイルのトレーラレコードの内容を示す図である。図10に示すように、トレーラレコードは、データ区分、合計件数、合計金額、及びダミーを有する。データ区分の値が「8」であるとき、そのレコードがデータレコードであることを意味する。
【0076】
図11は、発生記録請求ファイルのエンドレコードの内容を示す図である。図11に示すように、エンドレコードは、データ区分及びダミーを有する。データ区分の値が「9」であるとき、そのレコードがデータレコードであることを意味する。
【0077】
図12は、本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムで用いられる発生記録請求ファイルの一例を示す図である。図12において、発生記録請求ファイル800の左側に行番号801が付されている。発生記録請求ファイル800の1行目には「11202018093000008X9Y2・・・9999001」という値が記載されている。図8を参照すると、1列目の値が「1」なので、1行目のレコードはヘッダレコードである。1行目のレコードと同様に4行目及び7行目のレコードもヘッダレコードである。1、4、及び7行目の2~3列目の値が「12」なので、発生記録請求ファイル800は債権者請求方式の請求ファイルである。このように、1、4、及び7行目のレコードと図8とを対比することで、ヘッダレコード情報810が特定される。ヘッダレコード情報810に示すように、ヘッダレコードには、図2の第1口座の番号に相当する仮想口座番号などの債権者情報が含まれている。なお、仮想口座番号811、814、及び817は、それぞれ1、4、及び7行目のレコードに含まれる仮想口座番号を示す。
【0078】
発生記録請求ファイル800の2行目には「2A1B2C3D4E0001・・・」という値が記載されている。図9を参照すると、1列目の値が「2」なので、2行目のレコードはデータレコードである。2行目のレコードと同様に5行目及び8行目のレコードもデータレコードである。2、5、及び8行目のレコードと図9とを対比することで、データレコード情報820が特定される。データレコード情報820に示すように、データレコードには、債務者500の口座番号(預金口座番号)などの債務者情報が含まれている。なお、債務者情報822、825、及び828は、それぞれ2、5、及び8行目のレコードに含まれる債務者情報を示す。
【0079】
上記と同様に考えると、3、6、及び9行目はトレーラレコードであり、10行目はエンドレコードである。
【0080】
上記のように、図12に示す発生記録請求ファイル800の形式は、複数のヘッダレコードが含まれたマルチヘッダ形式である。マルチヘッダ形式をシングルヘッダ形式に分割するためには、まず1列目の値が「1」であるヘッダレコードを検出し、当該ヘッダレコードに対応して1列目の値が「8」であるトレーラレコードを検出する。対をなすヘッダレコード及びトレーラレコード、並びに、これらのレコードの間にあるデータレコードを抽出し、トレーラレコードの後にエンドレコードを追加することで新たなファイルを構成する。この動作を繰り返すことで、マルチヘッダ形式が複数のシングルヘッダ形式に分割される。
【0081】
[第1口座401へのアクセス権限]
図13を用いて、第1ユーザ300及び第2ユーザ400に対して付与された、第1口座401へのアクセス権限について説明する。図13は、本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムにおけるアクセス権限の一例を示す図である。図13に示すように、第1ユーザ300に対しては、全ての第1口座401へのアクセス権限が付与されている。第2ユーザ400Aに対しては、第2ユーザ400Aに割り当てられた第1口座401A「9999001」へのアクセス権限が付与されている。同様に、第2ユーザ400B、400Zの各々に対しては、それぞれに割り当てられた第1口座401B「9999002」、401Z「9999026」の各々へのアクセス権限が付与されている。図13では、1つの第2ユーザ400に対して1つの第1口座401へのアクセス権限が付与されて構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、1つの第2ユーザ400に対して複数の第1口座401へのアクセス権限が付与されていてもよい。つまり、第2ユーザ400に対して、自らに割り当てられた第1口座401以外の第1口座401へのアクセス権限が付与されていてもよい。
【0082】
[債務者500からの送金フロー]
図14を用いて、債務者500の口座から第1ユーザ300の口座への送金の流れについて説明する。図14は、本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムにおける送金フローの一例を示す図である。図14に示すように、債務者500がでんさいネットサーバ200からの通知に対して応諾を示す旨の返答をすると、債務者500の第2口座501から、第1ユーザ300の第3口座301への送金が行われる。ここで、第2口座501及び第3口座301はそれぞれ実口座である。
【0083】
銀行サーバ100からでんさいネットサーバ200に送信される発生記録請求ファイル800では、債務者500の振込先として第1口座401が指定されている。しかし、本実施形態では第1口座401は仮想口座であるので、実際には債務者500の実口座である第2口座501から第1口座401への送金は行われず、第1口座401の情報に基づいて第2口座501から第3口座301への送金が行われる。なお、各々の送金に付与された電文には、第1口座401の情報が含まれているので、第1ユーザ300は第3口座301への送金に付与された電文に基づいて、どの債務者500からどの第1口座401を経由して送金されたものかを特定することができる。
【0084】
以上のように、本実施形態に係る電子記録債権処理システム10によると、債務者500毎ではなく、第2ユーザ400毎に第1口座401が割り当てられており、第2ユーザ400に対して第1口座401へのアクセス権限が付与されていることで、債務者500の管理責任が第1ユーザ300に集中することを抑制することができる。そのため、第1ユーザ300の作業効率の著しい低下を抑制することができる。
【0085】
〈第2実施形態〉
図15及び図16を用いて、本発明の第2実施形態に係る電子記録債権処理システム20について説明する。図15及び図16に示す電子記録債権処理システム20は、図1図14に示す電子記録債権処理システム10と類似しているが、電子記録債権処理システム20における各第2ユーザ420(420A、420B、・・・、420Z)に付与された第1口座421(421A、421B、・・・、421Z)へのアクセス権限が、電子記録債権処理システム10におけるアクセス権限と相違する。以下の実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、両者の相違点について説明する。
【0086】
図15は、本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムの特徴を説明するための概念図である。図16は、本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムにおけるアクセス権限の一例を示す図である。図15及び図16に示すように、第1口座421Aは第2ユーザ420Aに対して割り当てられた口座である。同様に、第1口座421Bは第2ユーザ420Bに対して割り当てられた口座である。第1実施形態では、各々の第2ユーザ400は、自らに割り当てられた第1口座401だけにアクセスする権限を有していた。一方、第2実施形態では、各々の第2ユーザ420は、自らに割り当てられた第1口座421だけでなく、他の第2ユーザ420に対して割り当てられた第1口座421へのアクセス権限を有している。具体的には、第2ユーザ420Aは、第2ユーザ420Aに対して割り当てられた第1口座421Aだけでなく、他の第2ユーザ420Bに対して割り当てられた第1口座421Bへのアクセス権限を有している。
【0087】
なお、上記のアクセス権限は、例えば複数の第2ユーザ420間の距離や、それぞれの第2ユーザ420が管理する債務者500に基づいて自動的に設定されてもよい。具体的には、ある第2ユーザ420Aとの距離が近い順に、上位数件の他の第2ユーザ420(例えば420B)に対して、第2ユーザ420Aに割り当てられた第1口座421Aへのアクセス権限を自動的に設定してもよい。又は、第2ユーザ420Aが管理する債務者500と同一の(若しくは、同一の社名又は屋号の)債務者500を管理する他の第2ユーザ420(例えば420B)に対して、第2ユーザ420Aに割り当てられた第1口座421Aへのアクセス権限を自動的に設定してもよい。
【0088】
例えば、第2ユーザ420Aが横浜支社であり、第2ユーザ420Bが川崎支社である場合、同じ神奈川県内の支社間で情報を共有することができる。又は、同じ神奈川県内で近隣の支社間で情報を共有することができる。例えば、横浜支社(第2ユーザ420A)及び川崎支社(第2ユーザ420B)は、互いに割り当てられた第1口座421A、421Bへのアクセス権限を有するが、神奈川県内であってもこれらの支社の近隣ではない小田原支社(第2ユーザ420Z)に割り当てられた第1口座421Zへのアクセス権限を有しないようにしてもよい。
【0089】
第2ユーザ420Aに割り当てられた第1口座421Aへのアクセス権限と、他の第2ユーザ420Bに対して割り当てられた第1口座421Bへのアクセス権限とが、異なる種類のアクセス権限であってもよい。例えば、第2ユーザ420Aが、第1口座421Aを閲覧する権限及び操作する権限を有するのに対して、第2ユーザ420Bが、第1口座421Aを閲覧する権限だけを有し、第1口座421Aを操作する権限を有しなくてもよい。
【0090】
以上のように、本実施形態に係る電子記録債権処理システム20によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1口座421に対して複数の第2ユーザ420がアクセス権限を有していることで、例えば第2ユーザ420Aが機能停止に陥った場合であっても、他の第2ユーザ420Bが第2ユーザ420Aの機能を補助するなど、フレキシブルな体制をとることができる。
【0091】
なお、第2実施形態では、第2ユーザ420が支社である構成を例示したが、第2ユーザ420が債権者の従業員であってもよい。つまり、第2ユーザ420が各債務者500に対する営業担当であってもよい。
【0092】
〈第3実施形態〉
図17及び図18を用いて、本発明の第3実施形態に係る電子記録債権処理システム30について説明する。図17及び図18に示す電子記録債権処理システム30は、図1図14に示す電子記録債権処理システム10と類似しているが、電子記録債権処理システム30では、第1口座401へのアクセス権限が第2ユーザ400だけでなく、第3ユーザ450にも付与されている点において、電子記録債権処理システム10と相違する。以下の実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、両者の相違点について説明する。
【0093】
図17は、本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムの特徴を説明するための概念図である。図18は、本発明の一実施形態に係る電子記録債権処理システムにおけるアクセス権限の一例を示す図である。図17及び図18に示すように、第3ユーザ450Aは、第2ユーザ400Aに対して割り当てられた第1口座401A、及び第2ユーザ400Bに対して割れ当てられた第1口座401Bへのアクセス権限を有する。
【0094】
なお、上記の第3ユーザ450Aのアクセス権限は、予め第3ユーザ450Aに設定された条件を満たす第2ユーザ400に対して、自動的に設定されてもよい。例えば、以下に示すように、第3ユーザ450Aには、ある特定のエリアに存在する第2ユーザ400に割り当てられた第1口座401へのアクセス権限が自動的に設定されてもよい。
【0095】
例えば、第2ユーザ400Aが横浜支社であり、第2ユーザ400Bが川崎支社である場合、第3ユーザ450Aは神奈川支社とすることができる。また、第2ユーザ400Zが水戸支社である場合、第3ユーザ450Zは茨城支社とすることができる。つまり、神奈川支社(第3ユーザ450A)は、横浜支社(第2ユーザ400A)、川崎支社(第2ユーザ400B)、その他の神奈川県内の支社の各々の第1口座401A、401B等へのアクセス権限を有する。一方、神奈川支社(第3ユーザ450A)は、神奈川県外の水戸支社(第2ユーザ400Z)の第1口座401Zへのアクセス権限を有しない。
【0096】
第2ユーザ400Aに対する第1口座401Aへのアクセス権限と、第3ユーザ450Aに対する第1口座401Aへのアクセス権限とが、異なる種類のアクセス権限であってもよい。例えば、第2ユーザ400Aが、第1口座401Aを閲覧する権限及び操作する権限を有するのに対して、第3ユーザ450Aが、第1口座401Aを閲覧する権限だけを有し、第1口座401Aを操作する権限を有しなくてもよい。
【0097】
以上のように、本実施形態に係る電子記録債権処理システム30によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1口座401に対して第3ユーザ450がアクセス権限を有していることで、例えば第2ユーザ400Aが機能停止に陥った場合であっても、第3ユーザ450が第2ユーザ400Aの機能を補助するなど、フレキシブルな体制をとることができる。
【0098】
なお、第3実施形態では、第2ユーザ400及び第3ユーザ450が支社である構成を例示したが、第2ユーザ400及び第3ユーザ450が債権者の従業員であってもよい。つまり、第3ユーザ450が統括担当者であり、第2ユーザ400が各債務者500に対する営業担当であってもよい。
【0099】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の電子記録債権処理システムを基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0100】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0101】
10:電子記録債権処理システム、 100:銀行サーバ、 101:データベース、 103:サーバ制御部、 105:サーバ記憶部、 107:サーバ通信部、 110:分割部、 120:受信部、 121:発生記録請求ファイル受信部、 123:応諾結果受信部、 130:送信部、 131:発生記録請求ファイル送信部、 133:UIF送信部、 140:実行部、 150:口座設定部、 160:管理部、 170:通知部、 171:でんさい発生通知部、 173:実行完了通知部、 200:でんさいネットサーバ、 201:データベース、 210:発生記録請求ファイル、 220A~Z:発生記録請求ファイル、 300:第1ユーザ、 301:第3口座、 400、420:第2ユーザ、 401、421:第1口座、 450:第3ユーザ、 500:債務者、 501:第2口座、 600:第1ネットワーク、 610:第2ネットワーク、 800:発生記録請求ファイル、 810:ヘッダレコード情報、 820:データレコード情報、 822:債務者情報、 825:債務者情報
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