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特許7041117判定方法、コンピュータ、出力装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】判定方法、コンピュータ、出力装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220315BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20220315BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20220315BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/01 A
G08G1/13
G08G1/09 F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019221961
(22)【出願日】2019-12-09
(62)【分割の表示】P 2015181078の分割
【原出願日】2015-09-14
(65)【公開番号】P2020042859
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2019-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2014266431
(32)【優先日】2014-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】若林 徹
(72)【発明者】
【氏名】中野 稔久
(72)【発明者】
【氏名】南 公男
(72)【発明者】
【氏名】天野 博史
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 宜子
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-154004(JP,A)
【文献】特開2001-331900(JP,A)
【文献】特開2004-333233(JP,A)
【文献】特開2004-078320(JP,A)
【文献】特開2010-247656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実行される判定方法であって、
前記コンピュータは、危険事象が発生した危険地点を示す危険地点情報と、前記危険地点における前記危険事象の発生状況を撮影した画像から交通状況に関わる画像特徴量を抽出した第1の画像とが対応付けられた危険発生情報を1つ以上格納している危険発生情報管理部を備え、
前記判定方法は、
移動体の現在地点を示す現在地点情報と、前記現在地点における前記移動体の周辺状況を撮影した第2の画像とが対応付けられた移動体情報を取得するステップと、
前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報が示す前記現在地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されておらず、且つ、前記現在地点以外の地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されている場合、前記移動体情報に含まれる前記第2の画像と、前記危険発生情報管理部に格納されている1つ以上の前記危険発生情報に含まれる前記第1の画像との類似性に基づいて、前記現在地点に対応する危険度を判定するステップと、を含み、
前記危険発生情報は、さらに、前記危険地点情報と前記第1の画像とに対応付けられた、前記危険事象の深刻度を含み、
前記深刻度は、事故発生の有無又は事故の被害の大きさの度合いであり、
前記判定するステップでは、前記移動体情報に含まれる前記第2の画像と、前記危険発生情報管理部に格納されている1つ以上の前記危険発生情報に含まれる前記第1の画像との類似性を求め、前記類似性と前記第1の画像に対応付けられた前記深刻度とを用いた演算を実行することにより、前記現在地点に対応する前記危険度を判定する
判定方法。
【請求項2】
前記判定するステップでは、前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報が示す前記現在地点に対応する前記危険発生情報と、前記現在地点以外の地点に対応する前記危険発生情報とが前記危険発生情報管理部に格納されている場合、前記移動体情報に含まれる前記第2の画像と、前記現在地点以外の地点に対応する前記危険発生情報に含まれる前記第1
の画像との類似性に基づいて、前記現在地点に対応する前記危険度を判定する
請求項1に記載の判定方法。
【請求項3】
前記判定方法は、さらに、
前記第1の画像に基づいて、前記危険事象が発生した際の前記危険地点における第1の交通状況を解析し、且つ、前記第2の画像に基づいて、前記現在地点における第2の交通状況を解析するステップを含み、
前記判定するステップでは、解析した前記第1の交通状況と前記第2の交通状況との類似性に基づいて、前記現在地点に対応する前記危険度を判定する
請求項1に記載の判定方法。
【請求項4】
前記判定方法は、さらに、
判定した前記現在地点に対応する前記危険度が所定の範囲内である場合に、前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報を前記危険地点情報とし、且つ、前記移動体情報に含まれる前記第2の画像を前記第1の画像とした前記危険発生情報を生成するステップと、
生成した前記危険発生情報を前記危険発生情報管理部に追加するステップと、を含む
請求項1~3のいずれか1項に記載の判定方法。
【請求項5】
前記取得するステップでは、ネットワークを介して、前記移動体に搭載された移動体装置から送信された前記移動体情報を受信し、
前記判定方法は、さらに、
判定した前記現在地点に対応する前記危険度が所定の範囲内である場合に、前記移動体情報を送信した前記移動体装置に前記危険度に関する危険度情報を送信するステップを含む
請求項1~4のいずれか1項に記載の判定方法。
【請求項6】
前記取得するステップでは、ネットワークを介して、前記移動体に搭載された移動体装置から送信された前記移動体情報を受信し、
前記判定方法は、さらに、
判定した前記現在地点に対応する前記危険度が所定の範囲内である場合であって、前記移動体情報を受信してから所定時間内に、別の移動体が前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報が示す前記現在地点を通過すると判断した場合に、前記別の移動体に搭載された移動体装置に前記危険度に関する危険度情報を送信するステップを含む
請求項1~4のいずれか1項に記載の判定方法。
【請求項7】
前記判定方法は、さらに、
判定した前記現在地点に対応する前記危険度と前記現在地点情報とが対応付けられた危険判定情報を危険判定情報管理部に格納するステップを含み、
前記判定するステップでは、前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報が示す前記現在地点に対応する前記危険判定情報が前記危険判定情報管理部に格納されている場合、前記危険判定情報に含まれる前記危険度を使用する
請求項1~6のいずれか1項に記載の判定方法。
【請求項8】
前記移動体情報は、さらに、前記現在地点情報と前記第2の画像とに対応付けられた、前記移動体の走行状況を示すセンサ情報を含み、
前記判定するステップでは、前記移動体情報に含まれる前記第2の画像と、前記危険発生情報管理部に格納されている1つ以上の前記危険発生情報に含まれる前記第1の画像との類似性を求め、前記類似性と前記センサ情報とに基づいて、前記現在地点に対応する前記危険度を判定する
請求項1~7のいずれか1項に記載の判定方法。
【請求項9】
危険事象が発生した危険地点を示す危険地点情報と、前記危険地点における前記危険事象の発生状況を撮影した画像から交通状況に関わる画像特徴量を抽出した第1の画像とが対応付けられた危険発生情報を1つ以上格納している危険発生情報管理部と、
移動体の現在地点を示す現在地点情報と、前記現在地点における前記移動体の周辺状況を撮影した第2の画像とが対応付けられた移動体情報を受信する受信部と、
前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報が示す前記現在地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されておらず、且つ、前記現在地点以外の地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されている場合、前記移動体情報に含まれる前記第2の画像と、前記危険発生情報管理部に格納されている1つ以上の前記危険発生情報に含まれる前記第1の画像との類似性に基づいて、前記現在地点に対応する危険度を判定する判定部と、を備え、
前記危険発生情報は、さらに、前記危険地点情報と前記第1の画像とに対応付けられた、前記危険事象の深刻度を含み、
前記深刻度は、事故発生の有無又は事故の被害の大きさの度合いであり、
前記判定部は、前記移動体情報に含まれる前記第2の画像と、前記危険発生情報管理部に格納されている1つ以上の前記危険発生情報に含まれる前記第1の画像との類似性を求め、前記類似性と前記第1の画像に対応付けられた前記深刻度とを用いた演算を実行することにより、前記現在地点に対応する前記危険度を判定する
コンピュータ。
【請求項10】
判定装置と移動体に搭載された出力装置とを備え、前記移動体が位置する地点に対応する危険度を管理するシステムであって、
前記判定装置は、
危険事象が発生した危険地点を示す危険地点情報と、前記危険地点における前記危険事象の発生状況を撮影した画像から交通状況に関わる画像特徴量を抽出した第1の画像とが対応付けられた危険発生情報を1つ以上格納している危険発生情報管理部と、
前記移動体の現在地点を示す現在地点情報と、前記現在地点における前記移動体の周辺状況を撮影した第2の画像とが対応付けられた移動体情報を受信する第1の受信部と、
前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報が示す前記現在地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されておらず、且つ、前記現在地点以外の地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されている場合、前記移動体情報に含まれる前記第2の画像と、前記危険発生情報管理部に格納されている1つ以上の前記危険発生情報に含まれる前記第1の画像との類似性に基づいて、前記現在地点に対応する前記危険度を判定する判定部と、
前記危険度に関する危険度情報を前記出力装置に送信する第1の送信部と、を備え、
前記出力装置は、
前記移動体情報を前記判定装置に送信する第2の送信部と、
前記判定装置から送信された前記危険度情報を受信する第2の受信部と、
受信した前記危険度情報に基づいて、前記移動体の利用者に対して注意を喚起するための注意喚起情報を出力する出力部と、を備え、
前記危険発生情報は、さらに、前記危険地点情報と前記第1の画像とに対応付けられた、前記危険事象の深刻度を含み、
前記深刻度は、事故発生の有無又は事故の被害の大きさの度合いであり、
前記判定部は、前記移動体情報に含まれる前記第2の画像と、前記危険発生情報管理部に格納されている1つ以上の前記危険発生情報に含まれる前記第1の画像との類似性を求め、前記類似性と前記第1の画像に対応付けられた前記深刻度とを用いた演算を実行することにより、前記現在地点に対応する前記危険度を判定する
システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて用いられる出力装置であって、
移動体の現在地点を示す現在地点情報と、前記現在地点における前記移動体の周辺状況を示す第2の画像とが対応付けられた移動体情報を判定装置に送信する第2の送信部と、
前記判定装置から送信された危険度情報を受信する第2の受信部と、
受信した前記危険度情報に基づいて、前記移動体の利用者に対して注意を喚起するための注意喚起情報を出力する出力部と、を備える
出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険判定方法、危険判定装置、危険出力装置及び危険判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者が移動体(例えば車両等)で移動している際に、事故又はヒヤリハット等の危険事象の発生可能性が高い地点を利用者に対して事前に報知又は警告することにより、危険事象の発生を未然に防止する危険判定システムが知られている。このような危険判定システムでは、移動体の位置、挙動及び運転操作等の検出結果に基づいて、危険事象の発生可能性が高い地点(すなわち危険度が高い地点)を特定し、その特定した地点を地図データと対応付けて記憶している。
【0003】
例えば、特許文献1の危険判定システムでは、移動体に搭載されたカメラ及び位置センサによってそれぞれ取得した移動体周辺の画像とその画像を撮影した位置情報とを解析することにより、登録地点毎の危険事象をデータベースに登録する。利用者が移動体で登録地点を通過する際に、データベースに登録された当該登録地点での危険事象に基づいて当該登録地点に対応する危険度を判定し、利用者に対して危険を報知又は警告する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-154004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の危険判定システムでは、利用者が移動体でデータベースに登録された登録地点以外の地点を通過する際には、当該地点に対応する危険度を判定することができないため、利用者に対して危険を報知又は警告することができない。
【0006】
そこで、本発明は、精度良く危険度を判定することができる危険判定方法、危険判定装置、危険出力装置及び危険判定システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る危険判定方法は、移動体が位置する地点に対応する危険度を管理する危険判定システムに用いられる危険判定方法であって、前記危険判定システムは、危険事象が発生した危険地点を示す危険地点情報と、前記危険地点における前記危険事象の発生状況を示す第1のセンサ情報とが対応付けられた危険発生情報を1つ以上格納している危険発生情報管理部を備え、前記危険判定方法は、前記移動体の現在地点を示す現在地点情報と、前記現在地点における前記移動体の周辺状況を示す第2のセンサ情報とが対応付けられた移動体情報を取得するステップと、前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報が示す前記現在地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されておらず、且つ、前記現在地点以外の地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されている場合、前記移動体情報に含まれる前記第2のセンサ情報と、前記危険発生情報管理部に格納されている1つ以上の前記危険発生情報に含まれる前記第1のセンサ情報との類似性に基づいて、前記現在地点に対応する前記危険度を判定するステップと、を含む。
【0008】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る危険判定方法によれば、精度良く危険度を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る危険判定システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係るサーバ装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る移動体情報の一例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る危険発生情報の一例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る移動体装置の構成を示すブロック図である。
図6】実施の形態1に係る危険判定システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
図7】実施の形態1に係る危険判定システムを適用したサービスの一例を説明するための図である。
図8】実施の形態2に係る危険判定システムの構成を示すブロック図である。
図9】実施の形態2に係るサーバ装置の構成を示すブロック図である。
図10】実施の形態2に係る危険判定情報の一例を示す図である。
図11】実施の形態2に係る危険判定システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一態様に係る危険判定方法は、移動体が位置する地点に対応する危険度を管理する危険判定システムに用いられる危険判定方法であって、前記危険判定システムは、危険事象が発生した危険地点を示す危険地点情報と、前記危険地点における前記危険事象の発生状況を示す第1のセンサ情報とが対応付けられた危険発生情報を1つ以上格納している危険発生情報管理部を備え、前記危険判定方法は、前記移動体の現在地点を示す現在地点情報と、前記現在地点における前記移動体の周辺状況を示す第2のセンサ情報とが対応付けられた移動体情報を取得するステップと、前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報が示す前記現在地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されておらず、且つ、前記現在地点以外の地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されている場合、前記移動体情報に含まれる前記第2のセンサ情報と、前記危険発生情報管理部に格納されている1つ以上の前記危険発生情報に含まれる前記第1のセンサ情報との類似性に基づいて、前記現在地点に対応する前記危険度を判定するステップと、を含む。
【0012】
本態様によれば、移動体情報に含まれる現在地点情報が示す現在地点に対応する危険発生情報が危険発生情報管理部に格納されていない場合であっても、移動体情報に含まれる第2のセンサ情報と、現在地点以外の地点に対応する危険発生情報に含まれる第1のセンサ情報との類似性に基づいて、危険度を判定する。これにより、移動体が危険発生情報管理部に格納されている危険発生情報に対応する危険地点以外の地点を通過する場合であっても、精度良く危険度を判定することができ、例えば移動体の利用者に対して危険を報知又は警告等することができる。
【0013】
例えば、前記判定するステップでは、前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報が示す前記現在地点に対応する前記危険発生情報と、前記現在地点以外の地点に対応する前記危険発生情報とが前記危険発生情報管理部に格納されている場合、前記移動体情報に含まれる前記第2のセンサ情報と、前記現在地点以外の地点に対応する前記危険発生情報に含まれる前記第1のセンサ情報との類似性に基づいて、前記現在地点に対応する前記危険度を判定するように構成してもよい。
【0014】
本態様によれば、現在地点に対応する危険発生情報と現在地点以外の地点に対応する危険発生情報とが危険発生情報管理部に格納されている場合であって、移動体情報に含まれる第2のセンサ情報と、現在地点以外の地点に対応する危険発生情報に含まれる第1のセンサ情報との類似性が例えば最も高い場合には、現在地点以外の地点に対応する危険発生情報を用いて危険度を判定する。これにより、より一層精度良く危険度を判定することができる。
【0015】
例えば、前記危険発生情報は、さらに、前記危険地点情報と前記第1のセンサ情報とに対応付けられた前記危険事象の深刻度を含み、前記判定するステップでは、前記移動体情報に含まれる前記第2のセンサ情報と、前記危険発生情報管理部に格納されている1つ以上の前記危険発生情報に含まれる前記第1のセンサ情報との類似性を求め、前記類似性と前記第1のセンサ情報に対応付けられた前記深刻度とに基づいて、前記現在地点に対応する前記危険度を判定するように構成してもよい。
【0016】
本態様によれば、類似性と第1のセンサ情報に対応付けられた深刻度とに基づいて危険度を判定するので、より一層精度良く危険度を判定することができる。
【0017】
例えば、前記第1のセンサ情報は、前記危険地点における前記危険事象の発生状況を撮影した第1の画像であり、前記第2のセンサ情報は、前記現在地点における前記移動体の周辺状況を撮影した第2の画像であり、前記判定するステップでは、前記第1の画像と前記第2の画像との類似性に基づいて、前記現在地点に対応する前記危険度を判定するように構成してもよい。
【0018】
本態様によれば、第1の画像と第2の画像との類似性が高い場合には、危険事象の発生状況と現在地点における移動体の周辺状況との類似性が高いと推定できる。そのため、第1の画像と第2の画像との類似性に基づいて危険度を判定することにより、精度良く危険度を判定することができる。
【0019】
例えば、前記危険判定方法は、さらに、前記第1の画像に基づいて、前記危険事象が発生した際の前記危険地点における第1の交通状況を解析し、且つ、前記第2の画像に基づいて、前記現在地点における第2の交通状況を解析するステップを含み、前記判定するステップでは、解析した前記第1の交通状況と前記第2の交通状況との類似性に基づいて、前記現在地点に対応する前記危険度を判定するように構成してもよい。
【0020】
本態様によれば、第1の交通状況と第2の交通状況との類似性が高い場合には、現在地点における危険事象の発生可能性が高いと推定できる。そのため、第1の交通状況と第2の交通状況との類似性に基づいて危険度を判定することにより、精度良く危険度を判定することができる。
【0021】
例えば、前記危険判定方法は、さらに、判定した前記現在地点に対応する前記危険度が所定の範囲内である場合に、前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報を前記危険地点情報とし、且つ、前記移動体情報に含まれる前記第2のセンサ情報を前記第1のセンサ情報とした前記危険発生情報を生成するステップと、生成した前記危険発生情報を前記危険発生情報管理部に追加するステップと、を含むように構成してもよい。
【0022】
本態様によれば、危険度が所定の範囲内である場合に、移動体情報を危険発生情報として危険発生情報管理部に追加するので、危険発生情報管理部における危険発生情報の蓄積量を増加させることができる。
【0023】
例えば、前記取得するステップでは、ネットワークを介して、前記移動体に搭載された移動体装置から送信された前記移動体情報を受信し、前記危険判定方法は、さらに、判定した前記現在地点に対応する前記危険度が所定の範囲内である場合に、前記移動体情報を送信した前記移動体装置に前記危険度に関する危険度情報を送信するステップを含むように構成してもよい。
【0024】
本態様によれば、危険度が所定の範囲内である場合に、移動体情報を送信した移動体装置に危険度情報を送信するので、現在地点を通過中の移動体の利用者に対して危険を報知又は警告等することができる。
【0025】
例えば、前記取得するステップでは、ネットワークを介して、前記移動体に搭載された移動体装置から送信された前記移動体情報を受信し、前記危険判定方法は、さらに、判定した前記現在地点に対応する前記危険度が所定の範囲内である場合であって、前記移動体情報を受信してから所定時間内に、別の移動体が前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報が示す前記現在地点を通過すると判断した場合に、前記別の移動体に搭載された移動体装置に前記危険度に関する危険度情報を送信するステップを含むように構成してもよい。
【0026】
本態様によれば、危険度が所定の範囲内である場合に、移動体情報を送信した移動体装置とは別の移動体装置に危険度情報を送信するので、例えば後続車両の利用者に対して危険を報知又は警告等することができる。
【0027】
例えば、前記危険判定方法は、さらに、判定した前記現在地点に対応する前記危険度と前記現在地点情報とが対応付けられた危険判定情報を危険判定情報管理部に格納するステップを含み、前記判定するステップでは、前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報が示す前記現在地点に対応する前記危険判定情報が前記危険判定情報管理部に格納されている場合、前記危険判定情報に含まれる前記危険度を使用するように構成してもよい。
【0028】
本態様によれば、現在地点に対応する危険判定情報が危険判定情報管理部に格納されている場合、危険判定情報に含まれる危険度を使用するので、危険度の判定処理を比較的短時間で行うことができる。
【0029】
例えば、前記移動体情報は、さらに、前記現在地点情報と前記第2のセンサ情報とに対応付けられた、前記移動体の走行状況を示す第3のセンサ情報を含み、前記判定するステップでは、前記移動体情報に含まれる前記第2のセンサ情報と、前記危険発生情報管理部に格納されている1つ以上の前記危険発生情報に含まれる前記第1のセンサ情報との類似性を求め、前記類似性と前記第3のセンサ情報とに基づいて、前記現在地点に対応する前記危険度を判定するように構成してもよい。
【0030】
本態様によれば、類似性と第3のセンサ情報とに基づいて危険度を判定するので、より一層精度良く危険度を判定することができる。
【0031】
また、本発明の一態様に係る危険判定装置は、移動体が位置する地点に対応する危険度を管理する危険判定装置であって、危険事象が発生した危険地点を示す危険地点情報と、前記危険地点における前記危険事象の発生状況を示す第1のセンサ情報とが対応付けられた危険発生情報を1つ以上格納している危険発生情報管理部と、前記移動体の現在地点を示す現在地点情報と、前記現在地点における前記移動体の周辺状況を示す第2のセンサ情報とが対応付けられた移動体情報を受信する受信部と、前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報が示す前記現在地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されておらず、且つ、前記現在地点以外の地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されている場合、前記移動体情報に含まれる前記第2のセンサ情報と、前記危険発生情報管理部に格納されている1つ以上の前記危険発生情報に含まれる前記第1のセンサ情報との類似性に基づいて、前記現在地点に対応する前記危険度を判定する判定部と、を備える。
【0032】
本態様によれば、移動体情報に含まれる現在地点情報が示す現在地点に対応する危険発生情報が危険発生情報管理部に格納されていない場合であっても、移動体情報に含まれる第2のセンサ情報と、現在地点以外の地点に対応する危険発生情報に含まれる第1のセンサ情報との類似性に基づいて、危険度を判定する。これにより、移動体が危険発生情報管理部に格納されている危険発生情報に対応する危険地点以外の地点を通過する場合であっても、精度良く危険度を判定することができ、例えば移動体の利用者に対して危険を報知又は警告等することができる。
【0033】
また、本発明の一態様に係る危険判定システムは、危険判定装置と移動体に搭載された危険出力装置とを備え、前記移動体が位置する地点に対応する危険度を管理する危険判定システムであって、前記危険判定装置は、危険事象が発生した危険地点を示す危険地点情報と、前記危険地点における前記危険事象の発生状況を示す第1のセンサ情報とが対応付けられた危険発生情報を1つ以上格納している危険発生情報管理部と、前記移動体の現在地点を示す現在地点情報と、前記現在地点における前記移動体の周辺状況を示す第2のセンサ情報とが対応付けられた移動体情報を受信する第1の受信部と、前記移動体情報に含まれる前記現在地点情報が示す前記現在地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されておらず、且つ、前記現在地点以外の地点に対応する前記危険発生情報が前記危険発生情報管理部に格納されている場合、前記移動体情報に含まれる前記第2のセンサ情報と、前記危険発生情報管理部に格納されている1つ以上の前記危険発生情報に含まれる前記第1のセンサ情報との類似性に基づいて、前記現在地点に対応する前記危険度を判定する判定部と、前記危険度に関する危険度情報を前記危険出力装置に送信する第1の送信部と、を備え、前記危険出力装置は、前記移動体情報を前記危険判定装置に送信する第2の送信部と、前記危険判定装置から送信された前記危険度情報を受信する第2の受信部と、受信した前記危険度情報に基づいて、前記移動体の利用者に対して注意を喚起するための注意喚起情報を出力する出力部と、を備える。
【0034】
本態様によれば、移動体情報に含まれる現在地点情報が示す現在地点に対応する危険発生情報が危険発生情報管理部に格納されていない場合であっても、移動体情報に含まれる第2のセンサ情報と、現在地点以外の地点に対応する危険発生情報に含まれる第1のセンサ情報との類似性に基づいて、危険度を判定する。これにより、移動体が危険発生情報管理部に格納されている危険発生情報に対応する危険地点以外の地点を通過する場合であっても、精度良く危険度を判定することができ、例えば移動体の利用者に対して危険を報知又は警告等することができる。
【0035】
また、本発明の一態様に係る危険出力装置は、上述した危険判定システムにおいて用いられる危険出力装置であって、移動体の現在地点を示す現在地点情報と、前記現在地点における前記移動体の周辺状況を示す第2のセンサ情報とが対応付けられた移動体情報を危険判定装置に送信する第2の送信部と、前記危険判定装置から送信された危険度情報を受信する第2の受信部と、受信した前記危険度情報に基づいて、前記移動体の利用者に対して注意を喚起するための注意喚起情報を出力する出力部と、を備える。
【0036】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0037】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0038】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0039】
(実施の形態1)
[1-1.危険判定システムの全体構成]
図1を参照しながら、実施の形態1に係る危険判定システム10の全体構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る危険判定システム10の構成を示すブロック図である。
【0040】
図1に示すように、危険判定システム10は、サーバ装置101(危険判定装置の一例)及び複数の移動体装置102(危険出力装置の一例)を備えている。
【0041】
サーバ装置101は、画像データベース103(画像管理部の一例)を備えている。画像データベース103には、1つ以上の危険発生情報が管理(格納)されている。危険発生情報は、危険地点において事故又はヒヤリハット等の危険事象に遭遇した移動体105の周辺状況(すなわち、危険事象の発生状況)を撮影した画像である危険地点画像(第1のセンサ情報及び第1の画像の一例)と、この危険地点画像の撮影日時、撮影位置及び撮影方向(すなわち、危険事象に遭遇した移動体105の進行方向)等の付随情報(危険地点を示す危険地点情報の一例)とが対応付けられたデータである。なお、i)種々のカメラでの画像の撮影方法、ii)撮影日時、撮影位置及び撮影方向等の取得方法、iii)撮影画像のサーバ装置101へのアップロード方法については、一般に開示されている任意の方法で良く、ここではその説明を省略する。
【0042】
複数の移動体装置102の各々は、ネットワーク104を介してサーバ装置101に通信接続されており、対応する移動体105に搭載されている。移動体105は、例えば利用者によって運転される車両である。移動体装置102は、ネットワーク104を介して、移動体情報をサーバ装置101に送信する。移動体情報は、現在地点における移動体105の周辺状況を撮影した画像である現在地点画像(第2のセンサ情報及び第2の画像の一例)と、その現在地点画像に関する付随情報(移動体105の現在地点を示す現在地点情報の一例)とが対応付けられたデータである。
【0043】
サーバ装置101は、受信した現在地点画像とその付随情報とに基づいて、現在地点画像の撮影時点での現在地点における交通状況(第2の交通状況の一例)を解析し、且つ、画像データベース103に管理されている危険地点画像とその付随情報とに基づいて、危険事象が発生した際の危険地点における交通状況(第1の交通状況の一例)を解析する。サーバ装置101は、解析した2つの交通状況の類似性に基づいて現在地点画像の撮影時点で移動体105が置かれている状況の危険度を判定し、判定した危険度に関する危険度情報を移動体装置102へネットワーク104を介して送信する。なお、危険度とは、現在地点画像の撮影時点で移動体105が位置する現在地点において危険事象が発生する可能性を示す指標である。
【0044】
移動体装置102は、受信した危険度情報に基づいて、移動体105(又は移動体装置102)の利用者に対して注意を喚起するための注意喚起情報を出力する。
【0045】
[1-2.サーバ装置の構成]
[1-2-1.サーバ装置の全体構成]
次に、図2図4を参照しながら、サーバ装置101の全体構成について詳細に説明する。図2は、実施の形態1に係るサーバ装置101の構成を示すブロック図である。図3は、実施の形態1に係る移動体情報の一例を示す図である。図4は、実施の形態1に係る危険発生情報の一例を示す図である。
【0046】
図2に示すように、サーバ装置101は、送受信部201(第1の送信部及び第1の受信部の一例)、危険発生情報管理部202、画像解析部203、危険度判定部204及び制御部205を備えている。
【0047】
サーバ装置101は、具体的には図示されていないマイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びハードディスク等で構成される。これらのRAM、ROM及びハードディスクには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサがこのコンピュータプログラムに従って動作することにより、サーバ装置101はその機能を果たす。
【0048】
なお、サーバ装置101の送受信部201、危険発生情報管理部202、画像解析部203、危険度判定部204及び制御部205等の各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されても良いし、1以上の機能ブロック又は各機能ブロックの一部を含むように1チップ化されても良い。ここではLSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI又はウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現しても良い。LSIの製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、LSI内部の回路セルの接続及び設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行っても良い。バイオ技術の適用などが可能性としてありえる。最後に、サーバ装置101の各機能ブロックは、ソフトウェアで実現されても良いし、LSIとソフトウェアとの組み合わせで実現されても良い。また、ソフトウェアは耐タンパ化されていても良い。
【0049】
[1-2-2.送受信部]
送受信部201は、ネットワーク104を介して、移動体装置102から送信された移動体情報を受信する。
【0050】
ここで、図3を参照しながら、送受信部201が受信する移動体情報の一例について説明する。図3の(a)は、移動体情報に含まれる現在地点画像の一例であり、図3の(b)は、移動体情報に含まれる現在地点画像に関する付随情報の一例である。
【0051】
図3の例では、ファイル名が「98765432.jpg」である現在地点画像が、「2014年12月12日12時12分12秒」に撮影され、撮影位置の緯度経度はそれぞれ「+35.682343」、「+139.773533」であり、撮影(進行)方向は「30度」であることを示している。ここで、緯度経度情報は60進数(度分秒)による座標を10進数に変換したものであり、撮影(進行)方向は、北向きを0度、東向きを90度、南向きを180度、西向きを270度とした場合の方角を角度で表現している。
【0052】
また、図3の(a)に示すファイル名が「98765432.jpg」である現在地点画像は、移動体105である自車両が信号有りの交差点を青信号で直進する際に、前方の横断歩道の傍に歩行者が存在し、その横断歩道の直前に先行車両が差し掛かっている状況を撮影したものである。
【0053】
さらに、送受信部201は、ネットワーク104を介して、危険度判定部204(後述する)により判定された危険度に関する危険度情報を移動体装置102に送信する。なお、危険度の判定方法については後で詳述する。
【0054】
[1-2-3.危険発生情報管理部]
危険発生情報管理部202は、上述した画像データベース103を含んでおり、危険発生情報を管理(格納)する。すなわち、危険発生情報管理部202は、危険事象に遭遇した移動体105の周辺状況を撮影した画像である危険地点画像を蓄積し、危険地点画像の撮影日時、撮影位置及び撮影(進行)方向等の付随情報と紐付けて管理する。
【0055】
ここで、図4を参照しながら、危険発生情報管理部202が管理する危険発生情報の一例について説明する。図4の(a)は、危険発生情報に含まれる危険地点画像の一例であり、図4の(b)は、危険発生情報に含まれる危険地点画像に関する付随情報の一例である。
【0056】
図4の例では、ファイル名「00000123.jpg」である危険地点画像が、「2014年12月1日8時30分00秒」に撮影され、撮影位置の緯度経度はそれぞれ「+35.711283」、「+139.704802」であり、撮影(進行)方向は「30度」であることを示している。ここで、緯度経度情報は60進数(度分秒)による座標を10進数に変換したものであり、撮影(進行)方向は、北向きを0度、東向きを90度、南向きを180度、西向きを270度とした場合の方角を角度で表現している。
【0057】
また、図4の(a)に示す各危険地点画像における危険事象について説明する。ファイル名が「00000123.jpg」である危険地点画像における危険事象は、移動体105である自車両が信号無しの交差点を直進する際に、左方から直進車両が飛び出す「出会い頭のヒヤリハット」である。ファイル名が「00445566.jpg」である危険地点画像における危険事象は、移動体105である自車両が信号有りの交差点を青信号で直進する際に、前方の横断歩道を赤信号で横断する歩行者がいたために、その横断歩道に差し掛かった先行車両が急ブレーキを踏む「追突のヒヤリハット」である。ファイル名が「77088099.jpg」である危険地点画像における危険事象は、移動体105である自車両が信号有りの交差点を青信号で右折する際に、対向車両が交差点に接近する前に右折を完了しようと急いだところ、右折先の横断歩道に横断中の歩行者がいる「対向横断者とのヒヤリハット」である。
【0058】
[1-2-4.画像解析部]
画像解析部203は、送受信部201が受信した移動体情報に含まれる現在地点画像に基づいて、現在地点画像の撮影時点での現在地点における交通状況を解析する。また、画像解析部203は、危険発生情報管理部202に格納された危険発生情報に含まれる危険地点画像に基づいて、危険事象が発生した際の危険地点における交通情報を解析する。
【0059】
ここで、交通状況とは、移動体装置102を搭載する移動体105が置かれている道路交通上の状況のことであり、具体的には道路形状を含む場所に関する状況、交通環境及び自車行動等のことである。さらに具体的には、道路形状を含む場所に関する状況とは、例えば交差点、単路(直線)、カーブ及び狭路等のことである。交通環境とは、例えば信号の燈色、標識の有無、歩行者及び対向車両の有無、先行車両の有無、並びに、車間距離等のことである。自車行動とは、例えば直進中、右左折中、停止中、後退中、並びに、走行速度及び加速度等のことである。
【0060】
次に、図3を参照しながら、現在地点画像に基づいて交通状況を解析する方法の一例について説明する。図3の(a)に示すように、送受信部201が例えばファイル名が「98765432.jpg」である現在地点画像を含む移動体情報を受信した場合、画像解析部203は、i)道路形状を含む場所に関する状況については信号有りの交差点であること、ii)交通環境については青信号であること、前方の横断歩道の傍に歩行者が存在すること、及び、その横断歩道の直前に先行車両が差し掛かっていること、iii)自車行動については直進中であることなどを解析する。
【0061】
ここで、現在地点画像に基づいて交通状況を解析する方法の一例について、さらに具体的に説明する。道路形状を含む場所に関する状況については、例えば路面上に描かれている区画線及び道路標示を現在地点画像から画像認識することにより検出可能である。区画線とは、例えば車両の走行レーンを示すための車線境界線等である。道路標示とは、例えば停止線、「止まれ」マーク、横断歩道、横断歩道の存在を示す菱形マーク、直進及び左右転回の矢印、並びに、車線変更の禁止を示すための破線等である。例えばこれらの道路標示が存在する場合には、道路が交差点であることを検出可能である。また、例えばこれらの道路標示が存在せず、且つ、区画線が直線である(又は曲がっている)場合には、道路が単路(又はカーブ)であることを検出可能である。また、例えば隣り合う区画線の間隔によって、道路が狭路であるか否かを検出可能である。
【0062】
さらに、交通環境については、信号、標識、歩行者及び他車両等の対象物の色特徴及び形状特徴を利用して、現在地点画像から画像認識することにより検出可能である。加えて、例えば前照灯と尾灯とを画像認識することにより、他車両が対向車両及び先行車両のいずれであるかを検出可能である。加えて、例えば先行車両のナンバープレート及びナンバープレート上の文字を画像認識することにより、画像中のナンバープレートのサイズと既知の撮影倍率とに基づいて車間距離を検出可能である。
【0063】
さらに、自車行動については、時間的に近接する複数の現在地点画像における、例えば道路及びその周辺の建造物等の動きに注目することにより検出可能である。あるいは、時間的に近接する2個の現在地点画像の撮影位置の変化により検出しても良い。
【0064】
[1-2-5.危険度判定部]
危険度判定部204は、送受信部201が受信した現在地点画像と、危険発生情報管理部202に格納されている危険地点画像との類似性に基づいて、現在地点画像の撮影時点で移動体105が置かれている状況の危険度を判定する。より具体的には、危険度判定部204は、画像解析部203で解析した、現在地点画像の撮影時点での現在地点における交通状況と、危険事象が発生した際の危険地点における交通状況との類似性に基づいて、上述した危険度を判定する。さらに、危険度判定部204は、判定した危険度に関する危険度情報を生成する。
【0065】
次に、図3及び図4を参照しながら、危険度の判定方法の一例について説明する。例えば、危険発生情報管理部202が図4の(a)及び(b)にそれぞれ示す危険地点画像及びその付随情報を管理し、送受信部201が図3の(a)に示すファイル名が「98765432.jpg」である現在地点画像を受信した場合について説明する。この場合、危険度判定部204は、画像解析部203が解析した交通状況に基づいて、i)道路形状を含む場所に関する状況について信号有り交差点であること、ii)交通環境について青信号であること、前方の横断歩道の傍に歩行者が存在すること、及び、その横断歩道の直前に先行車両が差し掛かっていること、iii)自車行動について直進中であることなどを踏まえ、危険発生情報管理部202が管理するファイル名が「00445566.jpg」である危険地点画像と現在地点画像との類似性(類似度)を算出する。算出した類似度が例えば「0.8」である場合には、危険度判定部204は、ファイル名が「98765432.jpg」である現在地点画像の撮影時点で移動体105が置かれている状況の危険度が「0.8」であると判定する。なお、危険度は、例えば「0」から「1」までの点数(0.1刻みの粒度)であり、「0」は危険度が全くないことを、「1」は危険度が最も高いことを示している。
【0066】
ここで、危険地点画像と現在地点画像との類似性を算出する方法の一例について説明する。例えばCBIR(Content-Based Image Retrieval)と呼ばれる画像検索手法等を用いることにより、類似性を算出することができる。このCBIRは、色、物体形状及びテクスチャ(物体の表面の質感及び模様)等の画像特徴量の類似度に基づいて、与えられた画像に類似する画像をデータベースから検出する方法として知られている。このCBIRによれば、画像解析部203で解析した交通状況についての画像特徴量の類似度に基づいて、危険発生情報管理部202を検索することにより、類似性の高い危険地点画像が取得可能となる。
【0067】
また、判定した危険度に関する危険度情報の生成方法の一例について説明する。例えば判定した危険度(上述した危険度の判定方法の一例では「0.8」)をそのまま危険度情報として採用することができるが、危険度情報は、移動体105の利用者(例えば車両のドライバ)に対して注意を喚起するために出力できるものであれば何でも良く、例えば任意の文字情報又は音声等でも良い。なお、危険度を判定する毎にこの危険度情報を逐一生成する必要はなく、予め登録済みの文字情報又は音声等の中から任意の文字情報又は音声等を危険度情報として選択しても良い。ここで、例えば任意の文字情報又は音声等を危険度情報として採用する場合には、移動体105の利用者が危険度を理解できる文字情報又は音声等を採用することが望ましい。
【0068】
[1-2-6.制御部]
制御部205は、上述した送受信部201、危険発生情報管理部202、画像解析部203及び危険度判定部204を管理及び制御することにより、サーバ装置101の機能を実現する。
【0069】
[1-3.移動体装置の構成]
[1-3-1.移動体装置の全体構成]
次に、図5を参照しながら、移動体装置102の全体構成について詳細に説明する。図5は、実施の形態1に係る移動体装置102の構成を示すブロック図である。
【0070】
図5に示すように、移動体装置102は、送受信部501(第2の送信部及び第2の受信部の一例)、入力受付部502、出力部503及び制御部504を備えている。
【0071】
移動体装置102は、具体的には図示されていないマイクロプロセッサ、RAM、ROM及びハードディスク等で構成される。これらのRAM、ROM及びハードディスクには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサがこのコンピュータプログラムに従って動作することにより、移動体装置102はその機能を果たす。
【0072】
なお、送受信部501、入力受付部502、出力部503及び制御部504等の各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されても良いし、1以上の機能ブロック又は各機能ブロックの一部を含むように1チップ化されても良い。ここではLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI又はウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現しても良い。LSIの製造後に、プログラムすることが可能なFPGA、又は、LSI内部の回路セルの接続及び設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行っても良い。バイオ技術の適用などが可能性としてありえる。最後に、移動体装置102の各機能ブロックは、ソフトウェアで実現されても良いし、LSIとソフトウェアとの組み合わせで実現されても良い。また、ソフトウェアは耐タンパ化されていても良い。
【0073】
[1-3-2.送受信部]
送受信部501は、ネットワーク104を介して、入力受付部502が受け付けた移動体情報をサーバ装置101に送信する。
【0074】
また、送受信部501は、ネットワーク104を介して、サーバ装置101から送信された危険度情報を受信する。
【0075】
[1-3-3.入力受付部]
入力受付部502は、移動体情報を入力として受け付ける。より具体的には、入力受付部502は、現在地点において移動体105の周辺状況を撮影した画像である現在地点画像と、その現在地点画像に関する付随情報とを入力として受け付ける。
【0076】
現在地点画像は、例えば車載カメラ、ドライブレコーダ又はスマートフォンのカメラ等で撮影された画像である。なお、i)種々のカメラでの画像の撮影方法、ii)撮影日時、撮影位置及び撮影(進行)方向等の取得方法については、一般に開示されている任意の方法で良く、ここではその説明を省略する。
【0077】
[1-3-4.出力部]
出力部503は、送受信部501が受信した危険度情報に基づいて、移動体105(又は移動体装置102)の利用者に対して注意を喚起するための注意喚起情報を出力する。例えば注意喚起情報が文字情報である場合には、移動体105に搭載されたディスプレイ等(図示せず)へ注意喚起情報を出力することにより、利用者に対して注意を喚起するための文字情報(例えば「追突のヒヤリハットが発生する危険度は0.8です」と記載された文字列)がディスプレイに表示される。また、例えば注意喚起情報が音声である場合には、移動体105に搭載されたスピーカ等(図示せず)へ注意喚起情報を出力することにより、利用者に対して注意を喚起するための音声(例えば「追突のヒヤリハットが発生する危険度は0.8です」と発話した音声)がスピーカから出力される。
【0078】
[1-3-5.制御部]
制御部504は、上述した送受信部501、入力受付部502及び出力部503を管理及び制御することにより、移動体装置102の機能を実現する。
【0079】
[1-4.危険判定システムの動作]
次に、図6を参照しながら、危険判定システム10の動作(危険判定方法)について説明する。図6は、実施の形態1に係る危険判定システム10の動作の流れを示すシーケンス図である。
【0080】
まず、移動体装置102は、入力受付部502で、移動体装置102を搭載する移動体105の周辺状況を撮影した現在地点画像と、その現在地点画像に関する付随情報とを入力として受け付ける(S601)。その後、移動体装置102は、受け付けた現在地点画像と付随情報とを、送受信部501を介してサーバ装置101へ送信する(S602)。
【0081】
サーバ装置101は、現在地点画像と付随情報とを、送受信部201を介して移動体装置102から受信する(S603)。その後、サーバ装置101は、画像解析部203で、受信した現在地点画像と付随情報とに基づいて、現在地点画像の撮影時点での現在地点における交通状況を解析する(S604)。その後、サーバ装置101は、危険度判定部204で、解析した交通状況に基づいて、危険発生情報管理部202が管理する危険地点画像と現在地点画像との類似性から、受信した現在地点画像の撮影時点で移動体105が置かれている状況の危険度を判定し、判定した危険度に関する危険度情報を生成する(S605)。
【0082】
このとき、現在地点(例えば図3の(a)に示すファイル名が「98765432.jpg」である現在地点画像に表された交差点A)に対応する危険地点画像が危険発生情報管理部202で管理されておらず、且つ、現在地点以外の地点(例えば図4の(a)に示すファイル名が「00445566.jpg」である危険地点画像に表された交差点B)に対応する危険地点画像が危険発生情報管理部202で管理されている場合には、危険度判定部204は、現在地点以外の地点(例えば上記交差点B)に対応する危険地点画像と現在地点画像との類似性に基づいて、危険度を判定する。
【0083】
また、現在地点(例えば上記交差点A)に対応する危険地点画像と、現在地点以外の地点(例えば上記交差点B)に対応する危険地点画像とが危険発生情報管理部202で管理されている場合には、危険度判定部204は、現在地点に対応する危険地点画像と現在地点以外の地点に対応する危険地点画像のうち、現在地点画像との類似性が最も高い危険地点画像を検索する。その結果、現在地点以外の地点(例えば上記交差点B)に対応する危険地点画像と現在地点画像との類似性が最も高い場合には、危険度判定部204は、現在地点以外の地点に対応する危険地点画像と現在地点画像との類似性に基づいて危険度を判定する。なお、現在地点に対応する危険地点画像と現在地点画像との類似性が最も高い場合には、危険度判定部204は、現在地点に対応する危険地点画像と現在地点画像との類似性に基づいて危険度を判定してもよい。
【0084】
その後、サーバ装置101は、危険度が所定の範囲内である場合には、生成した危険度情報を、送受信部201を介して移動体装置102へ送信する(S606)。なお、所定の範囲内とは、例えば危険度が予め設定された閾値(例えば「0.5」)を超える場合などである。また、危険度情報の送信先となる移動体装置102は、例えばサーバ装置101が受信した移動体情報の送信元である移動体装置102である。
【0085】
移動体装置102は、サーバ装置101が判定した危険度に関する危険度情報を、送受信部501を介してサーバ装置101から受信する(S607)。その後、移動体装置102は、出力部503で、受信した危険度情報に基づいて、移動体105(又は移動体装置102)の利用者に対して注意を喚起するための注意喚起情報を出力する(S608)。
【0086】
[1-5.危険判定システムの適用例]
次に、図7を参照しながら、実施の形態1に係る危険判定システム10を適用したサービスの一例について説明する。図7は、実施の形態1に係る危険判定システム10を適用したサービスの一例を説明するための図である。
【0087】
図7の(a)に示すグループ700は、例えば企業、団体又は家庭等であり、その規模を問わない。グループ700には、複数の移動体装置102及び通信装置703が存在する。複数の移動体装置102の各々は、インターネットと直接接続可能な機器(例えば、通信モジュール付きのカーナビ、スマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータ等)、あるいは、それ自身ではインターネットと直接接続不可能な機器(例えば、通信モジュールの無いカーナビ等)である。なお、複数の移動体装置102の各々は、それ自身ではインターネットと直接接続不可能な機器である場合、通信装置703を介してインターネットと接続可能となる機器であっても良い。また、グループ700には、複数の移動体装置102を使用するユーザ701が存在する。
【0088】
図7の(a)に示すデータセンタ運営会社710には、上述したサーバ装置101が存在する。サーバ装置101は、インターネットを介して様々な機器と連携する仮想化サーバであり、主に通常のデータベース管理ツール等で扱うことが困難な巨大なデータ(ビッグデータ)等を管理する。データセンタ運営会社710は、データ管理、サーバ装置101の管理、及び、それらを行うデータセンタの運営等を行っている。データセンタ運営会社710が行っている役務については後で詳述する。
【0089】
ここで、データセンタ運営会社710は、データ管理及びサーバ装置101の運営等のみを行っている会社に限らない。図7の(b)に示すように、例えば、複数の移動体装置102のうちの一つの装置を開発・製造している装置メーカが、併せてデータ管理及びサーバ装置101の管理等を行っている場合は、装置メーカがデータセンタ運営会社710に該当する。
【0090】
また、データセンタ運営会社710は一つの会社に限らない。図7の(c)に示すように、例えば、装置メーカと他の管理会社とが共同又は分担してデータ管理及びサーバ装置101の運営等を行っている場合は、両者又はいずれか一方がデータセンタ運営会社710に該当する。
【0091】
図7の(a)に示すサービスプロバイダ720は、サーバ装置721を保有している。サーバ装置721は、その規模は問わず、例えば個人用パーソナルコンピュータ内のメモリ等であってもよい。なお、サービスプロバイダ720がサーバ装置721を保有していない場合もあり得る。
【0092】
次に、図7の(a)を参照しながら、危険判定システム10を適用したサービスにおける情報の流れについて説明する。
【0093】
まず、グループ700の移動体装置102は、移動体装置102を搭載する移動体105(図1参照)の周辺状況を撮影した現在地点画像と、その現在地点画像に関する付随情報とを、データセンタ運営会社710のサーバ装置101に送信する。これにより、サーバ装置101は、移動体装置102から送信された現在地点画像と付随情報とを集積する(図7に示す(A))。なお、現在地点画像と付随情報とは、インターネットを介して複数の移動体装置102自体から直接サーバ装置101に提供されても良い。また、現在地点画像と付随情報とは、複数の移動体装置102から通信装置703を介してサーバ装置101に提供されても良い。
【0094】
次に、データセンタ運営会社710のサーバ装置101は、集積した現在地点画像と付随情報とを一定の単位でサービスプロバイダ720に提供する。ここで、データセンタ運営会社710が提供する情報の単位は、集積した現在地点画像と付随情報とを整理してサービスプロバイダ720に提供することの可能な単位でも良く、あるいは、サービスプロバイダ720が要求した単位でも良い。また、データセンタ運営会社710が提供する情報の単位は一定でなくても良く、状況に応じて提供する情報量が変化しても良い。
【0095】
現在地点画像と付随情報とは、必要に応じてサービスプロバイダ720が保有するサーバ装置721に保存される(図7に示す(B))。その後、サービスプロバイダ720は、現在地点画像と付随情報とを、ユーザに提供するサービスに適合する情報(危険度情報又はそれに基づいて出力される注意喚起情報)に整理し、ユーザに提供する。提供先となるユーザは、複数の移動体装置102を使用するユーザ701でも良く、あるいは、外部のユーザ702でも良い。
【0096】
なお、現在地点画像と付随情報とは、例えば、サービスプロバイダ720から直接ユーザ702(又はユーザ701)へ提供されても良く(図7に示す(E)又は(F))、あるいは、データセンタ運営会社710のサーバ装置101を再度経由してユーザ701に提供されても良い(図7に示す(C)及び(D))。また、データセンタ運営会社710のサーバ装置101は、現在地点画像と付随情報とを、ユーザに提供するサービスに適合する情報に整理し、サービスプロバイダ720に提供しても良い。なお、ユーザ701とユーザ702とは、別のユーザでも同一のユーザでも良い。
【0097】
[1-6.効果]
次に、実施の形態1に係る危険判定システム10により得られる効果について説明する。上述したように、危険度判定部204は、現在地点画像に関する付随情報が示す現在地点(例えば上記交差点A)に対応する危険発生情報が危険発生情報管理部202に格納されていない場合であっても、現在地点以外の地点(例えば上記交差点B)に対応する危険発生情報に含まれる危険地点画像と現在地点画像との類似性に基づいて、危険度を判定する。これにより、移動体105が危険発生情報管理部202で管理されている危険発生情報に対応する危険地点以外の地点(例えば上記交差点A)を通過する場合であっても、精度良く危険度を判定することができ、例えば移動体105の利用者に対して危険を報知又は警告等することができる。
【0098】
[1-7.実施の形態1の変形例]
[1-7-1.変形例1]
サーバ装置101が危険発生情報管理部202で管理する危険地点画像は、撮影された画像そのものである必要はなく、危険度判定部204で現在地点画像との類似度を算出しやすい画像へ加工しても良く、あるいは、そのように加工された1つ以上の危険地点画像を新たに元の危険地点画像と紐付けて管理しても良い。
【0099】
具体的には、例えば道路形状を含む場所に関する状況、交通環境及び自車行動等の交通状況に関わる画像特徴量を浮き立たせた二値化画像へ加工しても良く、あるいは、その二値化画像を元の危険地点画像と紐付けて管理しても良い。
【0100】
さらには、交通状況に関する画像特徴量を、道路形状を含む場所に関する状況、交通環境及び自車行動などの別に応じた複数の二値化画像として元の危険地点画像と紐付けて管理しても良い。この場合、危険度判定部204は、元の危険地点画像と現在地点画像との類似性ではなく、例えば二値化画像に加工された危険地点画像と現在地点画像との類似性を算出することが望ましい。
【0101】
[1-7-2.変形例2]
サーバ装置101が危険発生情報管理部202で管理する危険地点画像の付随情報は、撮影時に取得した値そのものである必要はなく、危険度判定部204で現在地点画像と危険地点画像との類似度を算出する上で意味がある(又は類似度を算出しやすい)粒度へ置き換えても良く、あるいは、その粒度の付随情報を新たに付与しても良い。
【0102】
具体的には、撮影日時について意味がある(又は類似度を算出しやすい)粒度とは、例えば0時から1時間毎に24個の時間帯、午前/午後、月日、曜日、季節、祭日、いわゆるゴトー日(5日、10日、15日、20日、25日、30日)等である。また、撮影位置について意味がある(又は類似度を算出しやすい)粒度とは、例えば地図情報を一律の大きさの矩形状に分割した地域、又は、道路を所定距離毎に分割した道路区間等である。さらに、撮影(進行)方向について意味がある(又は類似度を算出しやすい)粒度とは、例えば東西南北の4方位、さらに北東/南東/北西/南西を加えた8方位、あるいは道路の上り/下り等である。
【0103】
また、サーバ装置101が危険発生情報管理部202で管理する危険地点画像の付随情報は、撮影時点での交通状況に限定される必要はなく、現在地点画像を取得した移動体装置102を搭載する移動体105に関する種々の属性情報を含んでいても良い。この場合、危険度判定部204は、危険地点画像と現在地点画像との類似性ばかりでなく、これら種々の属性情報も含めた類似性を算出することが望ましい。ここで、種々の属性情報とは、例えば移動体105である自車両の重量、排気量及び車種等である。車種とは、例えばセダン、ワゴン又はトラック等である。これらの属性情報は移動体105毎に固定であり、例えば移動体105に応じて移動体装置102に予め設定しておくなどの方法により取得可能である。
【0104】
[1-7-3.変形例3]
サーバ装置101が危険発生情報管理部202で管理する危険地点画像の付随情報は、危険地点画像に映る事故又はヒヤリハット等の危険事象の内容を説明する情報を含んでも良い。さらに、サーバ装置101が危険度判定部204で生成する危険度情報は、危険事象の内容を説明する情報の一部又は全てを含んでいても良い。
【0105】
ここで、図4の(a)を参照しながら、危険事象の内容を説明する情報の一例について説明する。図4の(a)に示すように、ファイル名が「00000123.jpg」である危険地点画像について危険事象の内容を説明する情報は、例えば「出会い頭のヒヤリハット」などである。また、ファイル名が「00445566.jpg」である危険地点画像について危険事象の内容を説明する情報は、例えば「追突のヒヤリハット」などである。また、ファイル名が「77088099.jpg」である危険地点画像について危険事象の内容を説明する情報は、例えば「対向横断者とのヒヤリハット」などである。
【0106】
この場合における危険度情報の生成方法の一例について説明する。例えばサーバ装置101が、送受信部201で図3の(a)に示すファイル名が「98765432.jpg」である現在地点画像を受信し、さらに危険度判定部204で図4の(a)に示すファイル名が「00445566.jpg」である危険地点画像と現在地点画像との類似性に基づいて、危険度が「0.8」であると判定した場合には、危険度判定部204で生成される危険度情報は、例えば「追突のヒヤリハットが発生する危険度は0.8」などである。
【0107】
[1-7-4.変形例4]
サーバ装置101が移動体装置102から受信する現在地点画像の付随情報は、現在地点画像の撮影に関する情報に限定される必要はなく、移動体105に別途搭載されるセンサ類から取得された、移動体105の走行状況を示す種々のセンサ情報(第3のセンサ情報の一例)を含んでいても良い。この場合、危険度判定部204は、危険地点画像と現在地点画像との類似性ばかりでなく、これら種々のセンサ情報も含めた類似性を算出することが望ましい。
【0108】
ここで、種々のセンサ情報とは、例えばGPS(Global Positioning System)等の位置センサ、加速度センサ及びジャイロ等の角速度センサから取得される移動体105の走行速度、加速度及び角速度等である。さらに、センサ情報は、上記のものに限定されず、例えば画像解析部203で交通状況を解析する上で必要となる任意の情報を含むことができる。例えば移動体105が車両である場合には、センサ情報は、ハンドル操作、ブレーキ操作、アクセル操作及びワイパー操作等を含んでいても良く、これらは、例えばCAN(Control Area Network)等の車両内のネットワークから取得可能である。
【0109】
また、サーバ装置101が移動体装置102から受信する現在地点画像の付随情報は、現在地点画像を取得した移動体装置102を搭載する移動体105に関する種々の属性情報を含んでいても良い。この場合、危険度判定部204は、危険地点画像と現在地点画像との類似性ばかりでなく、これら種々の属性情報も含めた類似性を算出することが望ましい。ここで、種々の属性情報とは、例えば移動体105である自車両の重量、排気量及び車種等である。車種とは、例えばセダン、ワゴン又はトラック等である。これらの属性情報は移動体105毎に固定であり、例えば移動体105に応じて移動体装置102に予め設定しておくなどの方法で取得可能である。
【0110】
[1-7-5.変形例5]
サーバ装置101は、画像解析部203における交通状況の解析処理、及び、危険度判定部204における危険地点画像と現在地点画像との類似性の算出処理を、必ずしも個別に順次実施する必要はない。例えば、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる機械学習法等を用いることにより、交通状況の解析処理と類似性の算出処理とを同時並行で実施しても良い。
【0111】
[1-7-6.変形例6]
サーバ装置101は、危険発生情報管理部202において、移動体105が遭遇した危険事象の深刻度も各危険地点画像の付随情報として紐付けて管理してもよい。この場合には、危険度判定部204において、最も類似性が高い危険地点画像と現在地点画像との類似度と、当該危険地点画像と紐付けて管理している深刻度とを例えば乗じることにより、現在地点画像の撮影時点で移動体105が置かれている状況の危険度を判定しても良い。
【0112】
ここで、深刻度は、移動体105が遭遇した危険事象の深刻度合いを、予め決められた基準に基づいて表現したものであれば何でも良い。例えば、深刻度は、事故が起こったか否か、人的被害の大きさ、又は、支払われた保険金額の大きさ等の深刻度合いを、例えば「0」から「1」までの点数(0.1刻みの粒度)等へ変換したものである。なお、深刻度合いは、例えば警察又は運送事業者等が保有する事故又はヒヤリハット等の発生実績情報、あるいは、損保事業者等が保有する事故査定情報等から任意の方法で取得していれば良く、ここではその説明を省略する。
【0113】
[1-7-7.変形例7]
サーバ装置101は、危険度判定部204が判定した危険度が所定の範囲内である場合に、送受信部201が受信した現在地点画像を、危険発生情報管理部202において新たな危険地点画像として蓄積(追加)し、現在地点画像の付随情報と紐付けて管理しても良い。ここで、所定の範囲内とは、例えば予め設定された閾値(例えば「0.5」)を超える場合などである。
【0114】
[1-7-8.変形例8]
サーバ装置101が判定した危険度に関する危険度情報の送信先となる移動体装置102は、サーバ装置101が受信した現在地点画像の送信元である移動体装置102と同じである必要はない。例えば移動体105が車両である場合には、先行車両から送信された現在地点画像に基づいて判定した特定地点に対応する危険度に関する危険度情報を、同じ特定地点を少し遅れて(例えば、移動体情報を受信してから所定時間内に)通過すると判断された後続車両(別の移動体105)に搭載された移動体装置102へ送信してもよい。これにより、後続車両の利用者(ドライバ)に対して注意を喚起することができる。
【0115】
(実施の形態2)
[2-1.危険判定システムの全体構成]
図8を参照しながら、実施の形態2に係る危険判定システム10Aの全体構成について説明する。図8は、実施の形態2に係る危険判定システム10Aの構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0116】
図8に示すように、危険判定システム10Aは、サーバ装置101A及び複数の移動体装置102を備えている。移動体装置102は、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0117】
サーバ装置101Aは、実施の形態1で説明した画像データベース103に加えて、指標データベース106(指標管理部の一例)を備えている。指標データベース106には、過去に発生した事故又はヒヤリハット等の危険事象の危険度に関する危険指標(危険判定情報)が、危険事象の発生日時、発生位置及び発生方向(すなわち、移動体105の進行方向)等の付随情報と紐付けて管理(格納)されている。ここで、危険指標は、例えば警察又は運送事業者等が保有する事故又はヒヤリハット等の発生実績情報、あるいは、損保事業者等が保有する事故査定情報等から任意の方法で予め取得又は算出していれば良く、ここではその説明を省略する。
【0118】
サーバ装置101Aは、移動体装置102から受信した付随情報と、指標データベース106に管理されている危険指標との類似性に基づいて、現在地点画像の撮影時点で移動体105が置かれている状況の危険度である第1の危険度を決定する。さらに、サーバ装置101Aは、決定した第1の危険度に関する第1の危険度情報を、ネットワーク104を介して移動体装置102へ送信する。
【0119】
また、サーバ装置101Aは、移動体装置102から受信した現在地点画像とその付随情報とに基づいて、現在地点画像の撮影時点での交通状況を解析し、画像データベース103に管理されている危険地点画像と現在地点画像との類似性から、現在地点画像の撮影時点で移動体105が置かれている状況の危険度である第2の危険度を判定する。さらに、サーバ装置101Aは、判定した第2の危険度が所定の範囲内である場合に、判定した第2の危険度に関する第2の危険度情報を新たな危険指標として指標データベース106に蓄積(追加)し、現在地点画像の付随情報と紐付けて管理する。ここで、所定の範囲内とは、例えば予め設定された閾値(例えば「0.5」)を超える場合などである。
【0120】
[2-2.サーバ装置の構成]
[2-2-1.サーバ装置の全体構成]
次に、図9を参照しながら、サーバ装置101Aの全体構成について詳細に説明する。図9は、実施の形態2に係るサーバ装置101Aの構成を示すブロック図である。
【0121】
図9に示すように、サーバ装置101Aは、送受信部201、危険発生情報管理部202、画像解析部203、危険度判定部204A及び制御部205Aに加えて、危険判定情報管理部206を備えている。
【0122】
サーバ装置101Aは、具体的には図示されていないマイクロプロセッサ、RAM、ROM及びハードディスク等で構成される。これらのRAM、ROM及びハードディスクにはコンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサがこのコンピュータプログラムに従って動作することにより、サーバ装置101Aはその機能を果たす。
【0123】
なお、サーバ装置101Aの送受信部201、危険発生情報管理部202、画像解析部203、危険度判定部204A、制御部205A及び危険判定情報管理部206等の各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されても良いし、1以上の機能ブロック又は各機能ブロックの一部を含むように1チップ化されても良い。ここではLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI又はウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現しても良い。LSIの製造後に、プログラムすることが可能なFPGAや、LSI内部の回路セルの接続及び設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行っても良い。バイオ技術の適用などが可能性としてありえる。最後に、各機能ブロックは、ソフトウェアで実現されても良いし、LSIとソフトウェアとの組み合わせで実現されても良い。また、ソフトウェアは耐タンパ化されていても良い。
【0124】
[2-2-2.送受信部]
送受信部201は、実施の形態1で説明したものと同様であるが、危険度判定部204Aで決定された第1の危険度に関する第1の危険度情報を移動体装置102に送信する。
【0125】
[2-2-3.危険発生情報管理部]
危険発生情報管理部202は、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0126】
[2-2-4.画像解析部]
画像解析部203は、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0127】
[2-2-5.危険度判定部]
危険度判定部204Aは、送受信部201で受信した現在地点画像に関する付随情報と、危険判定情報管理部206に管理されている危険判定情報との類似性に基づいて、現在地点画像の撮影時点で移動体105が置かれている状況の危険度である第1の危険度を決定し、決定した第1の危険度に関する第1の危険度情報を生成する。なお、第1の危険度情報の生成方法については、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0128】
ここで、第1の危険度の決定方法の一例について説明する。危険判定情報管理部206が例えば後述する図10に示す危険判定情報を管理し、送受信部201が例えば図3の(b)に示すファイル名が「98765432.jpg」である現在地点画像の付随情報を受信したとする。この場合、例えば両者の時間帯が同じ12時台であること、両者の位置(緯度経度)及び進行方向が近接していることなどを踏まえ、危険度判定部204Aは、「2014年12月8日12時00分20秒」に発生した危険事象の危険判定情報と現在地点画像の付随情報との類似性に基づいて、第1の危険度が「0.9」であると決定する。
【0129】
また、危険度判定部204Aは、画像解析部203で解析した交通状況に基づいて、危険発生情報管理部202に管理されている危険地点画像と現在地点画像との類似性から、送受信部201が受信した現在地点画像の撮影時点で移動体105が置かれている状況の危険度である第2の危険度を判定する。さらに、危険度判定部204Aは、判定した第2の危険度に関する第2の危険度情報を生成する。ここで、危険地点画像と現在地点画像との類似性の算出方法、第2の危険度の判定方法、及び、第2の危険度情報の生成方法については、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0130】
[2-2-6.危険判定情報管理部]
危険判定情報管理部206は、上述した指標データベース106を含んでおり、危険判定情報を管理(格納)する。すなわち、危険判定情報管理部206は、過去に発生した事故又はヒヤリハット等の危険事象の危険度に関する危険判定情報を蓄積し、発生日時、発生位置及び発生(進行)方向等の付随情報と紐付けて管理する。
【0131】
ここで、図10を参照しながら、危険判定情報管理部206が管理する危険判定情報の一例について説明する。図10は、実施の形態2に係る危険判定情報の一例を示す図である。
【0132】
図10の例では、「2014年12月1日8時30分00秒」、「2014年12月5日12時45分30秒」、「2014年12月8日12時00分20秒」、「2014年12月10日14時00分45秒」にそれぞれ発生した事故又はヒヤリハット等の危険事象の危険判定情報が、それぞれの発生日時、発生位置及び発生(進行)方向と紐付けて管理されている。例えば「2014年12月1日8時30分00秒」には、緯度経度がそれぞれ「+35.711283」、「+139.704802」の地点を進行方向「30度」で走行中に、危険度が「0.5」である事故又はヒヤリハット等の危険事象が発生したことを示している。
【0133】
なお、緯度経度情報は60進数(度分秒)による座標を10進数に変換したものであり、撮影(進行)方向は北向きを0度、東向きを90度、南向きを180度、西向きを270度とした場合の方角を角度で表現している。危険度は、例えば「0」から「1」までの点数(0.1刻みの粒度)であり、「0」は危険度が全くないことを、「1」は危険度が最も高いことを示している。危険度の表現方法はこの限りでなく、例えば危険度が最も高いことを表す上限値及び粒度(例えば、整数値のみや0.1刻みなど)等は任意に決めて採用することができる。
【0134】
また、危険判定情報管理部206は、危険度判定部204Aが判定した第2の危険度が所定の範囲内である場合に、第2の危険度に関する第2の危険度情報を新たな危険判定情報として蓄積(追加)し、現在地点画像の付随情報と紐付けて管理する。ここで、所定の範囲とは、例えば予め設定された閾値(例えば「0.5」)を超える場合などである。
【0135】
[2-2-7.制御部]
制御部205Aは、上述した送受信部201、危険発生情報管理部202、画像解析部203、危険度判定部204A及び危険判定情報管理部206を管理及び制御することにより、サーバ装置101Aの機能を実現する。
【0136】
[2-3.移動体装置]
移動体装置102は、基本的には、実施の形態1で説明したものと同様である。移動体装置102の送受信部501(図5参照)は、現在地点画像とその付随情報とをサーバ装置101Aへ送信し、サーバ装置101Aからの第1の危険度情報を受信する。また、移動体装置102の出力部503(図5参照)は、受信した第1の危険度情報に基づいて注意喚起情報を出力する。
【0137】
[2-4.危険判定システムの動作]
次に、図11を参照しながら、危険判定システム10Aの動作(危険判定方法)について説明する。図11は、実施の形態2に係る危険判定システム10Aの動作の流れを示すシーケンス図である。
【0138】
移動体装置102は、入力受付部502(図5参照)で、移動体装置102を搭載する移動体105の周辺状況を撮影した現在地点画像と、その現在地点画像に関する付随情報とを入力として受け付ける(S1101)。その後、移動体装置102は、受け付けた現在地点画像と付随情報とを、送受信部501を介してサーバ装置101Aへ送信する(S1102)。
【0139】
サーバ装置101Aは、現在地点画像と付随情報とを、送受信部201を介して移動体装置102から受信する(S1103)。その後、サーバ装置101Aは、受信した現在地点画像に関する付随情報が示す現在地点に対応する危険判定情報が危険判定情報管理部206に管理されている場合、危険度判定部204Aで、危険判定情報と現在地点画像に関する付随情報との類似性に基づいて第1の危険度を決定し、決定した第1の危険度に関する第1の危険度情報を生成する(S1104)。その後、サーバ装置101Aは、第1の危険度が所定範囲内である場合には、生成した第1の危険度情報を、送受信部201を介して移動体装置102へ送信する(S1105)。
【0140】
移動体装置102は、第1の危険度情報を、送受信部501を介してサーバ装置101Aから受信する(S1106)。その後、移動体装置102は、出力部503で、受信した第1の危険度情報に基づいて、移動体105(又は移動体装置102)の利用者に対して注意を喚起するための注意喚起情報を出力する(S1107)。
【0141】
また、サーバ装置101Aは、画像解析部203で、受信した現在地点画像と付随情報とに基づいて、現在地点画像の撮影時点での交通状況を解析する(S1108)。その後、サーバ装置101Aは、危険度判定部204Aで、解析した交通状況に基づいて、危険発生情報管理部202が管理する危険地点画像と現在地点画像との類似性から、受信した現在地点画像の撮影時点で移動体105が置かれている状況の第2の危険度を判定し、判定した第2の危険度に関する第2の危険度情報を生成する(S1109)。その後、サーバ装置101Aは、危険判定情報管理部206で、判定した第2の危険度情報を新たな危険判定情報として蓄積(追加)し、現在地点画像の付随情報と紐付けて管理する(S1110)。
【0142】
[2-5.危険判定システムの適用例]
実施の形態2に係る危険判定システム10Aの適用例は、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0143】
[2-6.効果]
次に、実施の形態2に係る危険判定システム10Aにより得られる効果について説明する。上述したように、危険度判定部204Aは、危険判定情報と現在地点画像に関する付随情報との類似性に基づいて第1の危険度を決定する。この第1の危険度の決定処理は、危険地点画像と現在地点画像との類似性の算出処理に比べて短時間で実行することができるので、移動体装置105において注意喚起情報を迅速に出力することができる。
【0144】
[2-7.実施の形態2の変形例]
[2-7-1.変形例1]
サーバ装置101Aが危険発生情報管理部202で管理する危険地点画像は、撮影された画像そのものである必要はなく、危険度判定部204Aで現在地点画像との類似度を算出しやすい画像へ加工しても良く、あるいは、そのように加工された1つ以上の危険地点画像を新たに元の危険地点画像と紐付けて管理しても良い。
【0145】
具体的には、例えば道路形状を含む場所に関する状況、交通環境及び自車行動等の交通状況に関する画像特徴量を浮き立たせた二値化画像へ加工しても良く、あるいは、その二値化画像を元の危険地点画像と紐付けて管理しても良い。
【0146】
さらには、交通状況に関する画像特徴量を、道路形状を含む場所に関する状況、交通環境及び自車行動等の別に応じた複数の二値化画像として元の危険地点画像と紐付けて管理しても良い。この場合、危険度判定部204Aは、元の危険地点画像と現在地点画像との類似性ではなく、例えば二値化画像に加工された危険地点画像と現在地点画像との類似性を算出することが望ましい。
【0147】
[2-7-2.変形例2]
サーバ装置101Aが危険判定情報管理部206で管理する危険判定情報の付随情報は、予め取得した値そのものである必要はなく、危険度判定部204Aで現在地点画像の付随情報との類似度を算出する上で意味がある(又は類似度を算出しやすい)粒度へ置き換えても良く、あるいは、その粒度の付随情報を新たに付与しても良い。
【0148】
具体的には、発生日時について意味がある(又は類似度を算出しやすい)粒度とは、例えば0時から1時間毎に24の時間帯、午前/午後、月日、曜日、季節、祭日、いわゆるゴトー日(5日、10日、15日、20日、25日、30日)等である。また、発生位置について意味がある(又は類似度を算出しやすい)粒度とは、例えば地図情報を一律の大きさの矩形状に分割した地域、又は、道路を所定距離毎に分割した道路区間等である。さらに、発生(進行)方向について意味がある(又は類似度を算出しやすい)粒度とは、例えば東西南北の4方位、さらに北東/南東/北西/南西を加えた8方位、あるいは道路の上り/下り等である。
【0149】
また、サーバ装置101Aが危険判定情報管理部206で管理する危険判定情報の付随情報は、発生時点での交通状況に限定される必要はなく、その危険事象に遭遇した移動体105に関する種々の属性情報を含んでも良い。種々の属性情報とは、例えば移動体105である自車両の重量、排気量及び車種等である。車種とは、例えばセダン、ワゴン又はトラック等である。これらの属性情報は、例えば警察又は運送事業者等が保有する事故又はヒヤリハット等の発生実績情報、あるいは、損保事業者等が保有する事故査定情報等から任意の方法で取得していれば良く、ここではその説明を省略する。
【0150】
[2-7-3.変形例3]
サーバ装置101Aが危険判定情報管理部206で管理する危険判定情報の付随情報は、過去に発生した事故又はヒヤリハット等の危険事象の内容を説明する情報を含んでも良い。さらに、サーバ装置101Aが危険度判定部204Aで生成する第1の危険度情報は、危険事象の内容を説明する情報の一部又は全てを含んでも良い。
【0151】
ここで、図10を参照しながら、危険事象の内容を説明する情報の一例について説明する。図10に示すように、「2014年12月1日8時30分00秒」に発生した危険事象の内容を説明する情報は、例えば「出会い頭のヒヤリハット」などである。また、「2014年12月5日12時45分30秒」に発生した危険事象の内容を説明する情報は、例えば「追突のヒヤリハット」などである。また、「2014年12月8日12時00分20秒」に発生した危険事象の内容を説明する情報は、例えば「対向車両との右直事故」などである。さらに、「2014年12月10日14時00分45秒」に発生した危険事象の内容を説明する情報は、例えば「対向横断者とのヒヤリハット」などである。
【0152】
この場合における第1の危険度情報の生成方法の一例について説明する。例えばサーバ装置101Aが、送受信部201で図3の(b)に示すファイル名が「98765432.jpg」である現在地点画像の付随情報を受信し、さらに危険度判定部204Aで「2014年12月8日12時00分20秒」に発生した危険事象の危険判定情報との類似性に基づいて、第1の危険度が「0.9」であると決定した場合には、危険度判定部204Aで生成される第1の危険度情報は、例えば「対向車両との右直事故が発生する危険度は0.9」などである。
【0153】
[2-7-4.変形例4]
サーバ装置101Aは、画像解析部203における交通状況の解析処理、及び、危険度判定部204Aにおける危険地点画像と現在地点画像との類似性の算出処理を、必ずしも個別に順次実施する必要はない。例えば、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる機械学習法等を用いることにより、交通状況の解析処理と類似性の算出処理とを同時並行で実施しても良い。
【0154】
[2-7-5.変形例5]
サーバ装置101Aは、危険度判定部204Aが判定した第2の危険度が所定の範囲内である場合に、送受信部201が受信した現在地点画像を、危険発生情報管理部202において新たな危険地点画像として蓄積(追加)し、その付随情報と紐付けて管理しても良い。ここで、所定の範囲内とは、例えば予め設定された閾値(例えば「0.5」)を超える場合などである。
【0155】
[2-7-6.変形例6]
サーバ装置101Aは、危険度判定部204Aが判定した第2の危険度が所定の範囲内である場合に、危険度判定部204Aが第1の危険度を決定する際に参照した危険判定情報を書き換えてもよく、あるいは、危険判定情報管理部206から削除しても良い。ここで、所定の範囲内とは、例えば予め設定された閾値(例えば「0.5」)を下回る場合などである。
【0156】
[2-7-7.変形例7]
サーバ装置101Aが決定した第1の危険度に関する第1の危険度情報の送信先となる移動体装置102は、サーバ装置101Aが受信した現在地点画像の送信元である移動体装置102と同じである必要はない。例えば移動体105が車両である場合には、先行車両から送信された現在地点画像に基づいて決定した特定地点の第1の危険度に関する第1の危険度情報を、同じ特定地点を少し遅れて通過する後続車両に搭載された移動体装置102へ送信してもよい。これにより、後続車両の利用者(ドライバ)に対して注意を喚起することができる。
【0157】
(他の変形例)
以上、一つ又は複数の態様に係る危険判定方法等について、上記実施の形態1及び2に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態1及び2に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態1及び2に施したものや、異なる実施の形態又は変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。例えば、上記実施の形態1及び2をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【0158】
また例えば、上記各実施の形態では、移動体105を車両としたが、車両には、自動車、二輪車、電車又は自転車等が含まれる。また、移動体105は車両に限定されず、例えばスマートフォン又はタブレット等であっても良い。
【0159】
上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしても良い。前記ICカード又は前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカード又は前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカード又は前記モジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしても良い。
【0160】
本発明は、上記に示す方法であるとしても良い。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしても良いし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしても良い。また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしても良い。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしても良い。また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしても良い。また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしても良い。また、前記プログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記プログラム又は前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明に係る危険判定方法は、移動体が位置する地点に対応する危険度を管理する危険判定システム等に有用である。
【符号の説明】
【0162】
10,10A 危険判定システム
101,101A,721 サーバ装置
102 移動体装置
103 画像データベース
104 ネットワーク
105 移動体
106 指標データベース
201,501 送受信部
202 危険発生情報管理部
203 画像解析部
204,204A 危険度判定部
205,205A,504 制御部
206 危険判定情報管理部
502 入力受付部
503 出力部
700 グループ
701,702 ユーザ
703 通信装置
710 データセンタ運営会社
720 サービスプロバイダ
図1
図2
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図11