(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】飲料生成用カプセル
(51)【国際特許分類】
A47J 31/06 20060101AFI20220315BHJP
A47J 31/36 20060101ALI20220315BHJP
B65D 85/804 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
A47J31/06 320
A47J31/36 122
B65D85/804 100
(21)【出願番号】P 2019515928
(86)(22)【出願日】2017-09-19
(86)【国際出願番号】 IB2017055660
(87)【国際公開番号】W WO2018055511
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】102016000095975
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514028558
【氏名又は名称】カフィタリー システム エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】CAFFITALY SYSTEM S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ アキュルシ
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/136433(WO,A1)
【文献】特表2015-530142(JP,A)
【文献】国際公開第2015/177591(WO,A2)
【文献】特表2008-510540(JP,A)
【文献】特表2013-540026(JP,A)
【文献】特表2010-521263(JP,A)
【文献】国際公開第2015/121882(WO,A1)
【文献】特表2015-527099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
A47J 31/36
B65D 85/804
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル内部に収容した粉末食品物質(2)に温水を通すことによって飲料を生成することができる、飲料生成用のカプセル(1)であって、
カップ状の収容体(3)であって、第1の端縁(7)と第2の端縁(8)との間に延在する管状側壁(4)と、前記第1の端縁(7)に接続され、前記管状側壁(4)の中心軸を横切って延在する底部(5)と、を備える収容体(3)において、前記底部(5)は分注孔(9)を備えており、前記収容体(3)はその内部に収容チャンバ(6)を画定している、カップ状の収容体(3)と、
前記第2の端縁(8)に固定されて前記収容体(3)の上部を閉鎖する、閉鎖要素(10)と、
前記収容チャンバ(6)内に搭載され、前記粉末食品物質(2)と前記底部(5)との間に位置する、下部フィルタ要素(14)と、
前記収容チャンバ(6)内に搭載され、酸素密閉性をもって前記収容体(3)に固定された、酸素不透過性の可撓性材料シート(19)であって、該可撓性材料シート(19)は、プラスチック材料で形成した膜で構成される第1の層(20
)と、アルミニウム膜で構成される第2の層(21)
とを備え
、前記可撓性材料シート(19)は、
第1のゾーンと、分注ゾーン(26)とを備え、前記第1のゾーンにおいて、前記第1の層(20)と前記第2の層(21)とが相互にシールされており、前記分注ゾーン(26)において、前記第1の層(20)と前記第2の層(21)とが相互に分離されており、前記分注ゾーン(26)は、前記第1のゾーンにより画定された周長で囲繞されており、前記可撓性材料シート(19)は、前記第1の層(20)を前記粉末食品物質(2)と前記第2の層(21)との間に介在させた状態で、前記粉末食品物質(2)と前記分注孔(9)との間に位置する、可撓性材料シート(19)と、を備え、
前記第1の層(20)は
、切目(25)または貫通開口を備え
、前記切目(25)または貫通開
口について、
前記分注ゾーン(26)が、前
記切目(25)または貫通開口を囲繞する
ように配置されて、前記分注ゾーン(26
)において
、前記第1の層(20)の前記粉末食品物質(2)に対向する側にかかる圧力の増加によって前記第2の層(21)が破裂するまで、前記第2の層(21)を
前記底部(5)に向かって膨張させる
ことを特徴とする、
カプセル。
【請求項2】
前記第1のゾーンにおいて、前記第1の層(20)と前記第2の層(21)と
は、接着剤層(22)
により、相互にシールされている、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記可撓性材料シート(19)は、さらに、絡合プラスチック繊維の層(24)を備え、前記第2の層(21)は、前記第1の層(20)と前記絡合プラスチック繊維の層(24)との間に設けられている、請求項1または2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記絡合プラスチック繊維の層(24)は、ポリエステルの織布または不織布で構成される、請求項3に記載のカプセル。
【請求項5】
前記第1の層(20)はポリエチレンで構成される
、請求項
1~4のいずれかに記載のカプセル。
【請求項6】
前記収容体(3)の前記底部(5)は、前記分注孔(9)を囲繞する内側環状ゾーン(11)と、前記内側環状ゾーン(11)を囲繞する中間環状ゾーン(12)と、前記中間環状ゾーン(12)を囲繞する外側環状ゾーン(13)と、を備え、
前記内側環状ゾーン(11)の方が前記中間環状ゾーン(12)よりも前記閉鎖要素(10)から遠く、前記中間環状ゾーン(12)の方が前記外側環状ゾーン(13)よりも前記閉鎖要素(10)から遠く;前記内側環状ゾーン(11)、前記中間環状ゾーン(12)、および前記外側環状ゾーン(13)は、それぞれ、前記中心軸を横切って延在する支持表面を形成しており;前記下部フィルタ要素(14)は前記外側環状ゾーン(13)上に載置され、前記可撓性材料シート(19)は、前記中間環状ゾーン(12)において、前記収容体(3)に固定される
、請求項
1~5のいずれかに記載のカプセル。
【請求項7】
前記可撓性材料シート(19)は、前記下部フィルタ要素(14)と前記分注孔(9)との間に位置する
、請求項
1~6のいずれかに記載のカプセル。
【請求項8】
前記閉鎖要素(10)と前記粉末食品物質(2)との間に位置する上部フィルタ要素(18)をさらに備える
、請求項
1~7のいずれかに記載のカプセル。
【請求項9】
前記上部フィルタ要素(18)は、剛性または半剛性プラスチック要素で構成される、請求項
8に記載のカプセル。
【請求項10】
前記下部フィルタ要素(14)は、剛性または半剛性プラスチック要素で構成される
、請求項
1~9のいずれかに記載のカプセル。
【請求項11】
前記収容体(3)は熱成形により作成され、
前記カプセルは、成型プラスチック材料で構成した分注要素(28)をさらに備え、前記分注要素(28)は、前記分注孔(9)に嵌挿した管状本体(29)であって、前記収容チャンバ(6)を
前記カプセルの外部に接続する飲料用アウトフィード孔(30)を内部に備える管状本体(29)を備える
、請求項
1~10のいずれかに記載のカプセル。
【請求項12】
前記分注要素(28)は、流体密閉性をもって前記分注孔(9)内に搭載される、請求項
11に記載のカプセル。
【請求項13】
前記分注要素(28)は、前記中心軸に対してアンダーカット台座(32)を少なくとも1つ備え、前記分注孔(9)の境界を画する前記収容体(3)の一部が、スナップイン作用で前記アンダーカット台座(32)に挿入される、請求項
11または
12に記載のカプセル。
【請求項14】
前記管状本体(29)は、さらに、前記アウトフィード孔(30)の中心位置にあるガイド要素(33)を備える、請求項
11~
13のいずれかに記載のカプセル。
【請求項15】
前記収容体(3)は熱成形により作成され、前記カプセルは、成型プラスチック材料で構成した分注要素(28)をさらに備え、前記分注要素(28)は、前記分注孔(9)に嵌挿した管状本体(29)であって、前記収容チャンバ(6)を前記カプセルの外部に接続する飲料用アウトフィード孔(30)を内部に備える管状本体(29)を備え、
前記管状本体(29)は、前記内側
環状ゾーン(11)上に載置されて位置する、請求項
6に記載のカプセル。
【請求項16】
前記分注要素(28)は、
前記分注要素(28)が前記下部フィルタ要素(14)に対向する側において、前記アウトフィード孔(30)の入口を囲繞する環状突出端縁(35)をさらに備える、請求項
11~
15のいずれかに記載のカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料生成用カプセルに関するものであり、その内部に収容した粉末食品物質に温水を通すことによって飲料の生成を可能にするカプセルに関するものである。そのような粉末食品物質は、可溶性のタイプであってもよく、(焙煎粉コーヒー等のような)浸出により抽出可能なタイプであってもよい。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明は、特許文献1~4に記載のタイプのカプセルに関する。すなわち、下に置いたカップに飲料を直接分注可能なカプセルに関する。そのようなカプセルはカップ状の収容体を備える。当該カップ状の収容体は、分注孔を備えた底部を有し、上部が閉鎖要素により閉鎖され、当該内部には、粉末食品物質と底部との間に位置するフィルタ要素を少なくとも1つ有する。
【0003】
このタイプのカプセルにおいては、粉末食品物質に対する酸素透過を少なくとも防ぐように、また、カプセルをマシンで使用したときには当該マシンにより上部の閉鎖要素を突刺するだけでカプセル内に水を注入することができるように、カプセルを作成することが通常である。対照的に、カプセル内には、可撓性材料シートで形成した酸素に対する障壁を設けており、カプセル内に水を注入すると当該障壁が膨張しカプセル内の固定された接触要素にぶつかって破れるため、飲料を流出させることができる。特に、下部フィルタ要素は、ピラミッド型スパイクで事実上完全に覆われているため、障壁を構成するアルミニウムシートが膨張すると直ちに当該シートを引き裂くことが可能となる。破れたアルミニウムシートの端縁等がフィルタ要素に詰まるのを防ぎ、ひいてはカプセルから出てくるのを防ぐため(実際、多数のスパイクが存在するため、シートは細断されうる)、先行技術における解決策(ソリューション)によれば、フィルタ要素の周囲に沿って、収容体の内部壁との接触ゾーンにおいてのみ、開口を設けていた。すなわち、ピラミッド型スパイクから比較的遠いゾーンにしか開口を設けていなかった。
【0004】
さらに、すでに示したように、これら先行技術カプセルにおいては、飲料はカプセルから直接カップに分注され、すなわち、マシンのどこにも接触することなく分注される。この目的のため、カプセルの収容体を射出成型により成型し、当該収容体は、外方へ延在して分注孔を囲繞するリングを備え、当該リングが一種の短管となって流出する飲料を案内することで、その下のカップに向かって飲料が正しい方向に流出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第1472156号明細書
【文献】欧州特許第1500358号明細書
【文献】欧州特許第1574452号明細書
【文献】欧州特許第1808382号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この文脈において、本発明の根底をなす主要な技術目的は、上記のカプセルを使用するマシンと同一のタイプのマシンにおいて使用可能な飲料生成用カプセルであって、先行技術カプセルとは別の方法で作成した飲料生成用カプセルを提供することである。
【0007】
特に、本発明の技術的目的は、飲料を生成するカプセルであって、飲料の分注に関して別の開放方法を用いるカプセルを提供することである。
【0008】
本発明の二次的な技術的目的は、収容体を熱形成により作成することが可能な、飲料生成用カプセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
特定した技術的目的および提示した目標は、特許請求の範囲に記載した飲料生成用カプセルにより実質的に達成される。
【0010】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の各図面に示す飲料生成用カプセルのいくつかの好ましい非限定的実施例を参照して行う以下の発明の詳細な説明においてさらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の態様による飲料生成用カプセルであって、その内部構造がよく見えるようにするため粉末食品物質が入っていない、飲料生成用カプセルの軸方向断面図である。
【
図2】本発明の第2の態様による飲料生成用カプセルであって、その内部構造がよく見えるようにするため粉末食品物質が入っていない、飲料生成用カプセルの軸方向断面図である。
【
図3】本発明の第3の態様による飲料生成用カプセルであって、その内部構造がよく見えるようにするため粉末食品物質が入っていない、飲料生成用カプセルの軸方向断面図である。
【
図5】
図4に示すカプセルの収容体のV-V線に沿った側断面図である。
【
図6】
図1~
図3に示すカプセルの上部フィルタ要素の上面図である。
【
図7】
図6に示す上部フィルタ要素のVII-VII線に沿った側断面図である。
【
図8】
図1に示すカプセルの下部フィルタ要素の上面図である。
【
図9】
図8に示す下部フィルタ要素のIX-IX線に沿った側断面図である。
【
図11】
図10に示す下部フィルタ要素のXI-XI線に沿った側断面図である。
【
図12】
図1~
図3に示すカプセルにおける可撓性材料シートの好ましい実施形態の上面図である。
【
図13】
図12に示す可撓性材料シートの4つの分注ゾーンのうちの1つを示す拡大図である。
【
図14】
図13に示す可撓性材料シートを詳細に示す垂直断面図である。
【
図15】
図12に示す可撓性材料シートの分注ゾーン以外のゾーンにおける構造を示す垂直断面図である。
【
図16】
図14に示すものと同様の分注ゾーンにおける可撓性材料シートの代替的な実施形態の垂直断面図である。
【
図18】
図17に示す分注要素のXVII-XVII線に沿った側断面図である。
【
図19】
図3に示すカプセルの分注要素の上面図である。
【
図20】
図18に示す分注要素のXX-XX線に沿った側断面図である。
【
図21】粉末食品物質を充填した
図1のカプセルの軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面において、符号1は全図において本発明により作成したカプセルを示す。
【0013】
先行技術カプセルと同様に、本発明のカプセル1にも任意の粉末食品物質2を入れることができ、粉末食品物質2が可溶性のタイプであるか、または(所定の抽出圧力を常に必要とし、以下に詳述する加圧水を用いた)浸出により抽出可能なタイプであるかにかかわらず、それに温水を通過させることによって飲料を生成することができる。
【0014】
カプセル1は、カップ状の収容体3を備える。カップ状の収容体3には、管状側壁4および底部5を設け、それにより収容チャンバ6をその内部に形成する。管状側壁4は、第1の端縁7と第2の端縁8との間に延在する。底部5は、第1の端縁7に接続し、管状側壁4の中心軸を横切って延在する(中心軸は、カプセル1の中心軸をも構成している)。底部5は、有利にはその中心ゾーンにおいて、分注孔9をさらに備える。多層材料シート等の閉鎖要素10を管状側壁4の第2の端縁8に固定して、収容体3の上部を閉鎖する。この固定は、通常、シールまたは接着により行う。
【0015】
好ましい実施形態において、収容体3の管状側壁4および底部5は、単一部品として作成し、好ましくは、成型プラスチック材料、または、好ましくは熱成形多層膜等の、酸素に対する障壁として機能することのできる材料を用いて作成する。
【0016】
添付の図面に示す好ましい実施形態において、収容体3の底部5は、分注孔9を囲繞する内側環状ゾーン11、内側環状ゾーン11を囲繞する中間環状ゾーン12、および中間環状ゾーン12を囲繞する外側環状ゾーン13を備える。この3つのゾーンは、相互に相対的な段差を設けて配置され、内側環状ゾーン11の方が中間環状ゾーン12よりも閉鎖要素10から遠く、中間環状ゾーン12の方が外側環状ゾーン13よりも閉鎖要素10から遠い。最終的に、内側環状ゾーン11、中間環状ゾーン12、および外側環状ゾーン13は、中心軸を横切って延在する支持面をそれぞれ形成する。これらのそれぞれ異なる支持面は、有利には、中心軸に対して同心である。
【0017】
下部フィルタ要素14が収容チャンバ6内に搭載され、粉末食品物質2と底部5との間に位置し、好ましくは、複数の貫通孔を設けた剛性または半剛性プラスチック要素で構成されるが、必ずしもそれに限定されない。添付の図面において、その2つの実施例バージョンを示すが、各実施例はいずれも放射状の補強用肋材15および中央の隆起16の両方を有する。第1の場合には、
図9において、各肋材15は、主に、下部フィルタ要素14の底部5に面した一方の面上に位置するが、第2の場合においては、
図11に示すように、各肋材15は主にその反対側の面上にある。いずれの場合にも、下部フィルタ要素14は外側環状ゾーン13上に載置され、管状側壁4に作成した成形突起17により適所に保持される(下部フィルタ要素14は、スナップイン方式でカプセル1内に挿入される)。
【0018】
さらに、好ましい実施形態において、カプセル1は、また、閉鎖要素10と粉末食品物質2との間に位置する上部フィルタ要素18を備え、上部フィルタ要素も、有利には、複数の孔および肋材を設けた剛性または半剛性プラスチック要素で構成されるが、他のソリューションを用いてもよい。
【0019】
本発明によるカプセル1も、先行技術カプセルと同様に、酸素不透過性の可撓性材料シート19を備える。酸素不透過性の可撓性材料シート19は収容チャンバ6内に搭載され、酸素密閉性をもって収容体3に固定されて、粉末食品物質2を入れたカプセル1の一部を酸素密閉性にシールする。
【0020】
有利には、可撓性材料シート19は、好ましくはポリエチレンまたはポリエステル等のプラスチック材料製の膜で構成された第1の層20を少なくとも1層、およびアルミニウム膜で構成された第2の層21を1層備え、第1の層20および第2の層21は相互に連結される。可撓性材料シート19も粉末食品物質2と分注孔9との間に位置し、粉末食品物質2と第2の層21との間に第1の層20が介在している。一般に、可撓性材料シート19は、また、第1の層20と第2の層21との間に介在する接着剤層22を備えて、各層が相互に確実に接着されるようにしてもよく、および/または第2の層21の第1の層20に対向する面とは反対側の面に塗布したラッカー層23を備えても良い。上記4つの層を備える実施例を
図16に示す。他のさらに複合的な実施形態において、可撓性材料シート19は、また、絡合プラスチック繊維(interwined plastic fibers)の層24を備えてもよい。絡合プラスチック繊維の層24は、第2の層21を第1の層20と絡合プラスチック繊維の層24との間に介在させたまま、第2の層21の上記ラッカー層23と同じ側に結合する。特に、絡合プラスチック繊維の層24は、有利には、ポリエステルの織布または不織布で構成する。5つの層を有する本実施形態を
図14および
図15に示す。
【0021】
好ましい実施形態において、種々の層の厚みは以下の通りである:
-ポリエチレン膜:10μm±4μm;
-接着剤層22:4μm±2μm;
-アルミニウム膜:7μm±3μm;
-ラッカー層23:4μm±2μm;
-ポリエステルの織布または不織布:11μm±3μm。
【0022】
一般に、アルミニウム層(第2の層21)の厚さは、有利には、その2つの面に作用する圧力の差分が(少なくとも以下の分注ゾーンにおいて)2バール以上になったときに第2の層21が自律的に破断するように選択する。
【0023】
各実施形態によれば、可撓性材料シート19は、下部フィルタ要素14と分注孔9との間(添付の各図面に示す好ましいソリューション)、または粉末食品物質2と下部フィルタ要素14との間(あまり好ましくないソリューション)のいずれかに位置する。好ましい各実施形態において、可撓性材料シート19は、中間環状ゾーン12において、収容体3に固定する。その中心ゾーンのみが内側環状ゾーン11および分注孔9に面している。この場合も、当該固定は、通常、シールまたは接着により行う。
【0024】
本発明の主な発明概念によれば、第1の層20は、(
図12および
図13に示すように)切目25を1以上、または、代案として(図示しないソリューション)、貫通開口を1以上備えることが好ましい。各切目25および各貫通開口はいずれもレーザビームで作成すればよい(そうすれば、第1の層20と第2の層21とを既に連結した後であっても作成が可能となる。レーザビームを適切な出力で用いれば、単にレーザビームを反射するアルミニウムを切断することなくポリエチレンを切断することが可能なためである)。上記の図面において、注目すべきは、切目25をよりはっきり示すためにその厚みを必要以上に大きく示していることである。実際には、好ましい実施形態において、切目25の長さは、有利には、約数ミリメートルであり、好ましくは、1mm~10mmであり、一方、切目25の幅は約0.5mm~1mmである。
【0025】
図12、
図13、
図14、および
図16に模式的に示すように、第1の層20に存在する各切目25または貫通開口は、それぞれ、第1の層20の分注ゾーン26において、および分注ゾーン26内に形成される。各分注ゾーン26の特徴は、各ゾーンにおいて、第1の層20が第2の層21から局所的に取り外されることである(当該目的のためには、例えば、有利には、
図14および
図16における空領域27により示されるように、接着剤層22を局所的に設けないようにすればよい)。実際、このようにすれば、使用に際し、第1の層20の、粉末食品物質2に対向する面において過圧力に達した後、同一圧が分注ゾーン26において第2の層21にも作用し、第2の層21は、分注ゾーン26において、局所的に随意に膨張して、破れるまで底部5に向かって変形する。
【0026】
有利には、各切目25および各分注ゾーンは、すべて、可撓性材料シート19の中央ゾーンに作成する。
【0027】
一方、すでに示した通り、一般に、収容体3は、任意の材料および任意の方法(例えば射出成型)を用いて作成すればよい。本発明の第2の新規な態様によれば、収容体3は、酸素に対する障壁であるプラスチック材料を熱形成することにより作成し、分注孔9はダイカットにより作成し、カプセル1は、さらに、成型プラスチック材料で構成した分注要素28であって、分注孔9に連結した分注要素28も備える。
【0028】
詳細には、分注要素28は、分注孔9に嵌挿されてカプセル1の外側へ向かって突出する管状本体29を備える。管状本体29は、その内部に、飲料用のアウトフィード孔30を備える。アウトフィード孔30により収容チャンバ6が外部に接続される。管状本体29は、有利には、底部5上(特に、図示した各実施形態においては、内側環状ゾーン11上)に載置されるように位置する放射状フランジ31をさらに備える。
【0029】
各実施形態によれば、分注要素28を、流体密閉性または流体非密閉性のいずれかをもって、分注孔9内に設ければよい。
【0030】
さらに、好ましくは、分注要素28は、中心軸に対してアンダーカットシート32を少なくとも1つ備え、その内部に、分注孔9の境界を画する収容体3の一部をスナップイン作用で挿入する。
【0031】
さらに、有利には、管状本体29は、アウトフィード孔30の中央位置に位置するガイド要素33であって、いくつかの支持・センタリングアーム34に支持されるガイド要素33を備えてもよい。好ましくは、ガイド要素33は、テーパ状の下端部(添付の図面においては円錐形)を有し、飲料を中心軸に沿って確実に分注する。
【0032】
さらに、
図19および
図20に示す実施形態において、分注要素28の下部フィルタ要素14に面している側に突出環状端縁35をさらに設ける。突出環状端縁35は、アウトフィード孔30の入口を囲繞し、使用済みカプセルを抽出マシンから取り外す時点でカプセル1内に飲料の残留滴がある場合にはその流出を妨げることができる。
図17および
図18の実施形態においても、また、分注要素28の任意の他の実施形態においても、同様の突出環状端縁35をさらに設けてもよい。
【0033】
カプセル1の動作について、カプセル1をコーヒーマシンに挿入すると、マシンは閉鎖要素10を突刺して、閉鎖要素10を介して加圧水を注入する。水は、カプセル1内に上部フィルタ要素18があれば当該上部フィルタ要素18を通過したのち、粉末食品物質2に到達し粉末食品物質2を湿潤させて、飲料生成プロセスを開始する。すなわち、粉末食品物質2が可溶性である場合には、粉末食品物質2を融解させ、または、粉末食品物質2が非可溶性である場合には、芳香物質を抽出する。
【0034】
作成された飲料は、その後、まだ未使用の状態(intact)の可撓性材料シート19に到達し、そこで止まる。特に、カプセル1内の圧力が上昇した後は特に、飲料は、第1の層20に作成された1以上の貫通孔または開口内に入り込み、各分注ゾーンにおいて第2の層21に到達する。可撓性材料シート19の粉末食品物質2に対向する面上に作用する圧力と反対側の面上に作用する圧力との差分が徐々に確立されると、当該圧力により、存在する1以上の分注ゾーンにおいて第2の層21が底部5に向かって膨張し、第2の層21は、1以上の分注ゾーンにおいて破れるまで膨張し続ける。注目すべきは、第1の層20および第2の層21を構成する各材料の機械的性質が異なるため、圧力の増加に伴って第2の層21は破れるが、第1の層20は実質的に損傷を受けずにいることである。
【0035】
その時点で、飲料はアウトフィード孔30の方へ随意に進むことができる。分注要素28がある場合には、飲料は、特に、分注要素28に到達し、アウトフィード孔30に入り込み、好ましくは、ガイド要素33の長さに沿って、その下のカップに到達する。
【0036】
注目すべきは、飲料は、アウトフィード孔に向かう途中で、さらに下部フィルタ要素14を通過することである。各実施形態によれば、飲料が下部フィルタ要素14を通過するのは、可撓性材料シート19を通過する前であっても通過した後であってもよい。
【0037】
最終的に、分注中に可撓性材料シート19に設けた貫通切目(through cuts)25の横断方向幅を狭く(約0.5mm~1mm)すれば、ポリプロピレンの弾性により、これらの切目25によりカプセル1内の圧力を一定に維持することを担保でき(圧力が増加すると切目は伸延して大きく開口し、圧力が低下すると狭くなる)、そうすることで、特に粉末食品物質2が可溶性ではない場合に、飲料抽出の向上を保証することができる。
【0038】
本発明には重要な利点をもたらす。
【0039】
さらに、実際には、本発明により、先行技術カプセルに代替するカプセルを提供することが可能となった。この代替的なカプセルは、上記の先行技術カプセルを現在使用中のマシンと同一のマシンで使用可能であるが、さらに向上した結果が達成された。
【0040】
第1に、新規な可撓性材料シートを用いたことで、先行技術システムの単なる代替物ではないカプセル開放システムであって、先行技術カプセルを開放する圧力よりも高い圧力で開放させること、および、アルミニウムシートと相互作用する機械的な突刺要素が存在しないため、飲料中にアルミニウム片が誤って放出されてしまうリスクを減少させることがいずれも可能となった。
【0041】
さらに、既に述べたように、可撓性材料シートが備える貫通切目の横断方向幅が狭い好ましい実施形態においては、飲料抽出の向上を担保することが可能である。
【0042】
第2に、好ましい実施形態の場合において、分注要素を追加的に使用することにより、これまで使用されてきた射手成型の本体に代えて、熱成形した収容体を使用することが可能となった。
【0043】
最後に、注目すべきは、本発明は製造が比較的容易であり、本発明の実施にかかるコストもそれほど高くないことである。
【0044】
上記の本発明は、本発明思想の範囲を逸脱しない限りにおいて、いく通りかに変更し改変してもよい。
【0045】
すべての詳細は、他の技術的に等価な要素および使用した材料等で代替してもよく、また、使用する材料、および種々のコンポーネントの形状および寸法は必要に応じて変更してもよい。