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特許7041135改善されたディッシングおよびパターン選択性を有する酸化物および窒化物選択性のCMP組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】改善されたディッシングおよびパターン選択性を有する酸化物および窒化物選択性のCMP組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220315BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20220315BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20220315BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
C09K3/14 550Z
C09K3/14 550D
C09G1/02
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019519673
(86)(22)【出願日】2017-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-09
(86)【国際出願番号】 US2017056809
(87)【国際公開番号】W WO2018075409
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】62/409,247
(32)【優先日】2016-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】シーエムシー マテリアルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】スディープ パリッカーラ カティアトア
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ハミルトン
(72)【発明者】
【氏名】ケビン ピー.ドッカリー
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0168421(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0102012(US,A1)
【文献】特開2005-117046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
C09K 3/14
C09G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械ポリッシング加工用組成物であって、
(a)湿式法セリア研磨剤と、
(b)ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸であって、3,4-ジヒドロキシ安息香酸または3,5-ジヒドロキシ安息香酸である前記ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸と、
(c)任意選択で、式(I)のイオン性ポリマーであって、
【化1】
式中、XおよびXは、独立して、水素、-OH、および-COOHから選択され、かつXおよびXのうちの少なくとも一方は-COOHであり、
およびZは、独立して、OまたはSであり、
、R、R、およびRは、独立して、水素、C~Cアルキル、およびC~C10アリールから選択され、
nは3~500の整数である、イオン性ポリマーと、
(d)水と、を含み、
前記ポリッシング加工用組成物が、約1~約4.5のpHを有する、組成物。
【請求項2】
前記湿式法セリア研磨剤が、前記ポリッシング加工用組成物の約0.05質量%~約1質量%の量で存在する、請求項1に記載のポリッシング加工用組成物。
【請求項3】
およびXがともに-COOHである、請求項1に記載のポリッシング加工用組成物。
【請求項4】
およびZがともにOであり、かつR、R、R、およびRが水素である、請求項に記載のポリッシング加工用組成物。
【請求項5】
前記イオン性ポリマーが、約500ダルトン~約10,000ダルトンの分子量を有し、nが8~500の整数である、請求項1に記載のポリッシング加工用組成物。
【請求項6】
前記イオン性ポリマーが、前記ポリッシング加工用組成物の約0.01質量%~約0.5質量%の量で存在する、請求項1に記載のポリッシング加工用組成物。
【請求項7】
前記ポリッシング加工用組成物がポリビニルアルコールをさらに含み、前記ポリビニルアルコールが、約20,000ダルトン~約200,000ダルトンの分子量を有する分岐ポリビニルアルコールである、請求項1に記載のポリッシング加工用組成物。
【請求項8】
前記ポリッシング加工用組成物がポリエチレングリコールをさらに含む、請求項1に記載のポリッシング加工用組成物。
【請求項9】
基板を化学機械的にポリッシング加工する方法であって、
(i)基板を用意することと、
(ii)ポリッシング加工用パッドを用意することと、
(iii)化学機械ポリッシング加工用組成物を用意することであって、前記化学機械ポリッシング加工用組成物が、
(a)湿式法セリア研磨剤と、
(b)ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸であって、3,4-ジヒドロキシ安息香酸または3,5-ジヒドロキシ安息香酸である前記ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸と、
(c)式(I)のイオン性ポリマーであって、
【化2】
式中、XおよびXは、独立して、水素、-OH、および-COOHから選択され、
およびZは、独立して、OまたはSであり、
、R、R、およびRは、独立して、水素、C~Cアルキル、およびC~C10アリールから選択され、
nは3~500の整数である、イオン性ポリマーと、
(d)水と、を含み、
前記ポリッシング加工用組成物が、約1~約4.5のpHを有する、化学機械ポリッシング加工用組成物を用意することと、
(iv)前記基板を前記ポリッシング加工用パッドおよび前記ポリッシング加工用組成物と接触させることと、
(v)前記ポリッシング加工用パッドおよび前記化学機械ポリッシング加工用組成物を前記基板に対して移動させて、前記基板の少なくとも一部を研磨して、前記基板をポリッシング加工することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記湿式法セリア研磨剤が、前記ポリッシング加工用組成物の約0.05質量%~約1質量%の量で存在する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
およびXがともに-COOHである、請求項に記載の方法。
【請求項12】
およびZがともにOであり、かつR、R、R、およびRが水素である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記イオン性ポリマーが、約500ダルトン~約10,000ダルトンの分子量を有し、nが8~500の整数である、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記イオン性ポリマーが、前記ポリッシング加工用組成物の約0.01質量%~約0.5質量%の量で存在する、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリッシング加工用組成物がポリビニルアルコールをさらに含み、前記ポリビニルアルコールが、約20,000ダルトン~約200,000ダルトンの分子量を有する分岐ポリビニルアルコールである、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリッシング加工用組成物がポリエチレングリコールをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記基板が酸化ケイ素を含み、前記酸化ケイ素の少なくとも一部を研磨して、前記基板をポリッシング加工する、請求項に記載の方法。
【請求項18】
前記基板が窒化ケイ素をさらに含み、前記窒化ケイ素の少なくとも一部を研磨して、前記基板をポリッシング加工する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基板がポリシリコンをさらに含み、前記ポリシリコンの少なくとも一部を研磨して、前記基板をポリッシング加工する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
化学機械ポリッシング加工用組成物であって、
(a)湿式法セリア研磨剤と、
(b)ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸であって、3,4-ジヒドロキシ安息香酸または3,5-ジヒドロキシ安息香酸である前記ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸と、
(c)水と、を含み、
前記ポリッシング加工用組成物が、約1~約4.5のpHを有する、組成物。
【請求項21】
ポリエチレングリコールまたはポリビニルアルコールの群から選択される1つ以上の非イオン性ポリマーをさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
基板を化学機械的にポリッシング加工する方法であって、
(i)基板を用意することと、
(ii)ポリッシング加工用パッドを用意することと、
(iii)請求項20に記載の化学機械ポリッシング加工用組成物を用意することと、
(iv)前記基板を前記ポリッシング加工用パッドおよび前記ポリッシング加工用組成物と接触させることと、
(v)前記ポリッシング加工用パッドおよび前記化学機械ポリッシング加工用組成物を前記基板に対して移動させて、前記基板の少なくとも一部を研磨して、前記基板をポリッシング加工することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
基板の表面を平坦化またはポリッシング加工するための組成物および方法は、当該技術分野において周知である。ポリッシング加工用組成物(ポリッシング加工用スラリーとしても知られる)は、典型的には、他の化学成分と共に液体担体中に研磨材料を含有し、表面にポリッシング加工用組成物で飽和された回転するポリッシング加工用パッドを接触させることによって表面に適用される。典型的な研磨材料には、二酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、および酸化スズが含まれる。ポリッシング加工用組成物は典型的にはポリッシング加工用パッド(例えば研磨布またはディスク)と組み合わせて使用される。ポリッシング加工用組成物中に懸濁する代わりに、またはそれに加えて、研磨材料をポリッシング加工用パッドに組み込んでもよい。
【0002】
半導体装置の素子を分離する方法として、シリコン基板上に窒化ケイ素層を形成し、エッチングまたはフォトリソグラフィによってシャロートレンチを形成し、誘電体層(例えば、酸化物)がトレンチを埋めるために堆積される。シャロートレンチアイソレーション(Shallow Trench Isolation)(STI)プロセスに大きな注目が集まっている。このようにして形成されたトレンチまたはラインの深さの変動のために、すべてのトレンチの完全な充填を確実にするために基板の上に過剰の誘電体材料を堆積させることが通常必要である。次に、過剰な誘電体材料は、通常、化学機械平坦化プロセスによって除去されて、窒化ケイ素層が露出される。窒化ケイ素層が露出されると、化学機械ポリッシング加工用組成物に露出される基板の最大面積は窒化ケイ素を含み、それは次に高度に平坦で均一な表面を達成するためにポリッシング加工されなければならない。
【0003】
一般に、過去の実施では、窒化ケイ素ポリッシング加工よりも酸化物ポリッシング加工に対する選択性を強調することであった。したがって、窒化ケイ素層の露出時に全体のポリッシング加工速度が低下するので、窒化ケイ素層は化学機械平坦化プロセス中に停止層として機能している。現在の多くのスラリーは、適度な酸化物速度および適度な選択性を提供し、それらの有用性を制限している。例えば、低~中程度のポリッシング加工速度はスループットを制限する可能性があり、一方、低~中程度の酸化物/窒化物選択性は、現在のスラリー技術の有用性を、より厚い窒化ケイ素コーティングを有するより大きな構造に制限する。
【0004】
最近では、ポリシリコンポリッシング加工よりも酸化物ポリッシング加工に対する選択性も強調されている。例えば、一連のBRIJ(商標)およびポリエチレンオキシド界面活性剤、ならびに15のHLBを有するエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシドトリブロックコポリマーであるPLURONIC(商標)L-64の添加が、ポリシリコンへの酸化物のポリッシング加工の選択性を高めるために意図されている(Lee et al.,Effects of Nonionic Surfactants on Oxide-to-Polysilicon Selectivity during Chemical Mechanical Polishing,J.Electrochem.Soc.、149(8):G477~G481(2002)を参照されたい)。また、米国特許第6,626,968号は、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル、ポリプロパン酸、ポリアクリル酸、およびポリエーテルグリコールビス(エーテル)から選択される親水性および疎水性官能基を有するポリマー添加剤の使用によりポリシリコンに対する酸化ケイ素のポリッシング加工選択性が改善され得ることを開示する。
【0005】
STI基板は通常、従来のポリッシング加工媒体および研磨剤含有ポリッシング加工用組成物を使用してポリッシング加工される。しかしながら、従来のポリッシング加工媒体および研磨剤含有ポリッシング加工用組成物を用いたSTI基板のポリッシング加工は、基板表面の過剰ポリッシング加工またはSTIフィーチャにおける凹部の形成および基板表面上のマイクロスクラッチなどの他のトポグラフィ欠陥をもたらすことが観察されている。STIフィーチャにおいて過剰ポリッシング加工して凹部を形成するこの現象は、ディッシングと呼ばれる。基板フィーチャのディッシングは、トランジスタとトランジスタ構成要素との互いの分離の失敗を引き起こし、それによる短絡をもたらすことによってデバイス製造に悪影響を及ぼし得るので、ディッシングは望ましくない。さらに、基板を過剰ポリッシング加工すると、酸化物の損失およびその下層にある酸化物の露出にポリッシング加工または化学的活性による損傷をもたらす可能性があり、これはデバイスの品質および性能に悪影響を及ぼす。
【0006】
したがって、酸化ケイ素、窒化ケイ素、およびポリシリコンの望ましい選択性を提供することができ、かつ好適な除去速度、低い欠陥率、および好適なディッシング性能を有するポリッシング加工用組成物および方法に対する必要性が、該当技術分野において依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(a)湿式法セリア研磨剤と、(b)ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸と、(c)任意選択で、式(I)のイオン性ポリマーであって、
【化1】
式中、XおよびXは、独立して、水素、-OH、および-COOHから選択され、かつXおよびXのうちの少なくとも一方は-COOHであり、ZおよびZは、独立して、OまたはSであり、R、R、R、およびRは、独立して、水素、C~CアルキルおよびC~C10アリールから選択され、ならびにnは3~500の整数である、イオン性ポリマーと、(d)水と、を含み、ポリッシング加工用組成物が、約1~約4.5のpHを有する、化学機械ポリッシング加工用組成物を提供する。
【0008】
本発明はまた、基板を化学機械的にポリッシング加工する方法であって、(i)基板を用意することと、(ii)ポリッシング加工用パッドを用意することと、(iii)化学機械ポリッシング加工用組成物を用意することであって、化学機械ポリッシング加工用組成物が、(a)湿式法セリア研磨剤と、(b)ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸と、(c)式(I)のイオン性ポリマーであって、
【化2】
式中、XおよびXは、独立して、水素、-OH、および-COOHから選択され、ZおよびZは、独立して、OまたはSであり、R、R、R、およびRは、独立して、水素、C~Cアルキル、およびC~C10アリールから選択され、ならびにnは3~500の整数である、イオン性ポリマーと、(d)水と、を含み、ポリッシング加工用組成物が、約1~約4.5のpHを有する、化学機械ポリッシング加工用組成物を用意することと、(iv)基板をポリッシング加工用パッドおよび化学機械ポリッシング加工用組成物と接触させることと、(v)ポリッシング加工用パッドおよび化学機械ポリッシング加工用組成物を基板に対して移動させて、基板の少なくとも一部を研磨して、基板をポリッシング加工することと、を含む、方法を提供する。
【0009】
本発明はさらに、(a)湿式法セリア研磨剤と、(b)ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸と、(c)水と、を含み、ポリッシング加工用組成物は約1~約4.5のpHを有する、化学機械ポリッシング加工用組成物を提供する。
【0010】
本発明はさらに、基板を化学機械的にポリッシング加工する方法であって、(i)基板を用意することと、(ii)ポリッシング加工用パッドを用意することと、(iii)化学機械ポリッシング加工用組成物であって、(a)湿式法セリア研磨剤と、(b)ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸と、(c)水と、を含み、ポリッシング加工用組成物は約1~約4.5のpHを有する、化学機械ポリッシング加工用組成物を用意することと、(iv)基板をポリッシング加工用パッドおよびポリッシング加工用組成物と接触させることと、(v)ポリッシング加工用パッドおよび化学機械ポリッシング加工用組成物を基板に対して移動させて、基板の少なくとも一部を研磨して、基板をポリッシング加工することと、を含む、方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】45℃で貯蔵中の例示的なポリッシング加工用組成物の経時的ゼータ電位をグラフで示す。
図2】45℃で貯蔵中の例示的なポリッシング加工用組成物の経時的な湿式法セリアの粒径をグラフで示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、(a)湿式法セリア研磨剤、および(b)ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる化学機械ポリッシング加工用組成物を提供する。
【0013】
一実施形態では、本発明はさらに、式(I)のイオン性ポリマーであって、
【化3】
式中、XおよびXは、独立して、水素、-OH、および-COOHから選択され、かつXおよびXのうちの少なくとも一方は-COOHであり、ZおよびZは、独立して、OまたはSであり、R、R、R、およびRは、独立して、水素、C~CアルキルおよびC~C10アリールから選択され、ならびにnは3~500の整数である、イオン性ポリマーと、(d)水と、をさらに含み、ポリッシング加工用組成物が、約1~約4.5のpHを有する。
【0014】
本発明の別の実施形態では、本発明は、(a)湿式法セリア研磨剤と、(b)ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸と、(c)非イオン性ポリマーとを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる化学機械ポリッシング加工用組成物を提供する。
【0015】
非イオン性ポリマーは、当業者に既知の任意の水溶性ポリマーであり得る。非イオン性ポリマーは、単独で、または他の非イオン性ポリマーと組み合わせて、任意の好適な濃度で使用することができる。本発明に有用な非イオン性ポリマーの具体例としては、ポリエチレングリコールおよび分岐ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコールが挙げられる。
【0016】
化学機械ポリッシング加工用組成物は、セリア研磨剤を含む。当該技術分野において既知であるように、セリアは、希土類金属セリウムの酸化物であり、酸化第二セリウム、酸化セリウム(例えば、酸化セリウム(IV))、または二酸化セリウムとして既知である。酸化セリウム(IV)(CeOを)は、シュウ酸セリウムまたは水酸化セリウムをか焼することにより形成することができる。セリウムはまた、例えばCeなどの酸化セリウム(III)も形成する。セリア研磨剤は、セリアのこれらの酸化物または他の酸化物のうちのいずれか1つ以上であり得る。
【0017】
セリア研磨剤は、任意の好適な種類のものあり得る。好ましくは、セリア研磨剤は湿式法セリア研磨剤である。本明細書で使用される場合、「湿式法」セリアは、(例えば、ヒュームドまたは発熱性セリアとは対照的に)沈殿、縮重合、または同様のプロセスによって調製されるセリアを指す。湿式法セリア研磨剤を含む本発明のポリッシング加工用組成物は、本発明の方法に従って基板をポリッシング加工するために使用されたときに低い欠陥性を示すことが見出された。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、湿式法セリアは球状セリア粒子および/またはより小さい凝集体セリア粒子を含み、それによって本発明の方法で使用した場合に低い基板欠陥品率をもたらすと考えられる。例示的な湿式法セリアは、Rhodiaから市販されているHC-60(商標)セリアである。
【0018】
セリア粒子は、任意の好適な平均サイズ(すなわち、平均粒子直径)を有することができる。粒子の粒径は、粒子を包含する最小の球の直径である。セリア粒子の平均粒径が小さすぎる場合、ポリッシング加工用組成物は、十分な除去速度を示さない可能性がある。対照的に、セリア粒子の平均粒径が大きすぎる場合、ポリッシング加工用組成物は、例えば、悪い基板欠陥品率などの望ましくないポリッシング加工性能を示す可能性がある。したがって、セリア粒子は、約10nm以上、例えば約15nm以上、約20nm以上、約25nm以上、約30nm以上、約35nm以上、約40nm以上、約45nm以上、または約50nm以上の平均粒径を有することができる。あるいは、または加えて、セリアは、約1,000nm以下、例えば約750nm以下、約500nm以下、約250nm以下、約150nm以下、約100nm以下、約75nm以下、または約50nm以下の平均粒径を有することができる。したがって、セリアは、上記の終点のいずれか2つによって境界が定められた平均粒径を有することができる。例えば、セリア粒子は、約10nm~約1,000nm、約10nm~約750nm、約15nm~約500nm、約20nm~約250nm、約20nm~約150nm、約25nm~約150nm、約25nm~約100nm、または約50nm~約150nm、または約50nm~約100nmの平均粒径を有することができる。非球形セリア粒子については、粒径は、粒子を包含する最小球の直径である。セリアの粒径は、任意の好適な技術を用いて、例えばレーザ回折技術を用いて測定することができる。好適な粒径測定機器は、例えば、Horiba Scientific((株)堀場製作所、日本)から入手可能である。
【0019】
セリア粒子は、本発明のポリッシング加工用組成物においてコロイド的に安定であることが好ましい。コロイドという用語は、液体担体(例えば、水)中のセリア粒子の懸濁を指す。コロイド安定性とは、その懸濁液を時間にわたって維持することを指す。本発明に関して、研磨剤を100mLのメスシリンダーに入れ、2時間にわたって無撹拌で放置した際、メスシリンダー下部の50mL中の粒子濃度(g/mL換算で[B])とメスシリンダー上部の50mL中の粒子濃度(g/mL換算で[T])との間の差を、研磨剤組成物中の粒子の初期濃度(g/mL換算で[C])で割った値が、0.5以下(すなわち、{[B]-[T]}/[C]≦0.5)の場合、研磨剤は、コロイド安定性と考えられる。より好ましくは[B]-[T]/[C]の値は、0.3以下であり、最も好ましくは0.1以下である。
【0020】
ポリッシング加工用組成物は、任意の好適な濃度のセリア研磨剤を含むことができる。本発明のポリッシング加工用組成物のセリア研磨剤が少なすぎる場合、組成物は、十分な除去速度を示さない可能性がある。これに対して、ポリッシング加工用組成物のセリア研磨剤が多すぎる場合、組成物は、望ましくないポリッシング加工性能を示す可能性があり、費用対効果がよくない可能性があり、かつ/または安定性に欠ける可能性がある。ポリッシング加工用組成物は、約10質量%以下のセリア、例えば約9質量%以下、約8質量%以下、約7質量%以下、約6質量%以下、約5質量%以下、約4質量%以下、約3質量%以下、約2質量%以下、約1質量%以下、約0.9質量%以下、約0.8質量%約0.7質量%以下、約0.6質量%以下、または約0.5質量%以下を含むことができる。あるいは、または加えて、ポリッシング加工用組成物は、約0.1質量%以上のセリア、例えば約0.2質量%以上、約0.3質量%以上、約0.4質量%以上、約0.5質量%以上、または約1質量%以上のセリアを含むことができる。したがって、ポリッシング加工用組成物は、上記の終点のいずれか2つによって境界が定められた濃度のセリアを含むことができる。例えば、ポリッシング加工用組成物は、約0.1質量%~約10質量%のセリア、例えば、約0.1質量%~約9質量%のセリア、約0.1質量%~約8質量%のセリア、約0.1質量%~約7質量%のセリア、約0.1質量%~約6質量%のセリア、約0.1質量%~約5質量%のセリア、約0.1質量%~約4質量%のセリア、約0.1質量%~約3質量%のセリア、約0.1質量%~約2質量%のセリア、約0.1質量%~約1質量%のセリア、約0.2質量%~約2質量%のセリア、約0.2質量%~約1質量%のセリア、または約0.3質量%~約0.5質量%のセリアを含むことができる。一実施形態では、ポリッシング加工用組成物は、使用点で、約0.2質量%~約0.6質量%のセリア、例えば、0.3質量%~約0.5質量%のセリアまたは約0.4質量%のセリアを含む。別の実施形態では、ポリッシング加工用組成物は、濃縮物として、約2質量%~約3質量%のセリア、例えば約2.2質量%~約2.8質量%のセリア、約2.3質量%~約2.6質量%のセリア、または約2.4質量%のセリアを含む。
【0021】
化学機械ポリッシング加工用組成物は、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸を含む。ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸は、任意の好適なポリヒドロキシ芳香族カルボン酸であり得る。典型的には、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸はジヒドロキシ芳香族カルボン酸である。好適なポリヒドロキシ芳香族カルボン酸の非限定的な例としては、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、および2,3-ジヒドロキシ安息香酸が挙げられる。好ましくは、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸は、3,4-ジヒドロキシ安息香酸または3,5-ジヒドロキシ安息香酸である。
【0022】
ポリッシング加工用組成物は、使用点で任意の好適な濃度のポリヒドロキシ芳香族カルボン酸を含む。ポリッシング加工用組成物は、約1ppm以上のポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、例えば約5ppm以上、約10ppm以上、約15ppm以上、約20ppm以上、約25ppm以上、約30ppm以上、約35ppm以上、約40ppm以上、約45ppm以上、または約50ppm以上のポリヒドロキシ芳香族カルボン酸を含むことができる。あるいは、または加えて、ポリッシング加工用組成物は、約500ppm以下のポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、例えば約450ppm以下、約400ppm以下、約350ppm以下、約300ppm以下、約250ppm以下、または約200ppm以下のポリヒドロキシ芳香族カルボン酸を含むことができる。したがって、ポリッシング加工用組成物は、上記の終点のいずれか2つによって境界が定められた量のポリヒドロキシ芳香族カルボン酸を含むことができる。例えば、ポリッシング加工用組成物は、約1ppm~約500ppm、約10ppm~約500ppm、約20ppm~約500ppm、約50ppm~約500ppm、約50ppm~約450ppm、約50ppm~約400ppm、約50ppm~約350ppm、約50ppm~約300ppm、約50ppm~約250ppm、または約50ppm~約200ppmを含むことができる。
【0023】
化学機械ポリッシング加工用組成物は、本明細書に記載の式Iのイオン性ポリマーを含む。
【0024】
特定の実施形態では、イオン性ポリマーは、式中、XおよびXがともに-COOHである式Iのイオン性ポリマーである。特定の実施形態では、イオン性ポリマーは、式中、ZおよびZがともにOであり、かつR、R、R、およびRのそれぞれが水素である、式Iのイオン性ポリマーである。特定の好ましい実施形態では、イオン性ポリマーは式中、XおよびXはともに-COOHであり、ZおよびZはともにOであり、かつR、R、R、およびRのそれぞれが水素である、式Iのイオン性ポリマーである。
【0025】
イオン性ポリマーは任意の好適な平均分子量を有することができる。イオン性ポリマーは、約250g/mol以上、例えば、約300g/mol以上、約400g/mol以上、約500g/mol以上、約600g/mol、約750g/mol以上、約1,000g/mol以上、約1,500g/mol以上、約2,000g/mol以上、約2,500g/mol以上、約3,000g/mol以上、約3,500g/mol以上、約4,000g/mol以上、約4,500g/mol以上、約5,000g/mol以上、約5,500g/mol以上、約6,000g/mol以上、約6,500g/mol以上、約7,000g/mol以上、または約7500g/mol以上の平均分子量を有することができる。あるいは、または加えて、イオン性ポリマーは、約15,000g/mol以下、例えば約14,000g/mol以下、約13,000g/mol以下、約12,000g/mol以下、約11,000g/mol以下、約10,000g/mol以下、約9,000g/mol以下、約8,000g/mol以下、約7,500g/mol以下、約7,000g/mol以下、6,500g/mol以下、約6,000g/mol以下、約5,500g/mol以下、約5,000g/mol以下、約4,500g/mol以下、約4,000g/mol以下、約3,500g/mol以下、約3,000g/mol以下、約2,500g/mol以下、または約2,000g/mol以下の平均分子量を有することができる。したがって、イオン性ポリマーは、上記の終点のいずれか2つによって境界付けられた平均分子量を有することができる。例えば、イオン性ポリマーは、約250g/mol~例えば、約15,000g/mol、約250g/mol~約14,000g/mol、約250g/mol~約13,000g/mol、約250g/mol~約12,000g/mol、約250g/mol~約11,000g/mol、約250g/mol~約10,000g/mol、約400g/mol~約10,000g/mol、400g/mol~約8,000g/mol、約400g/mol~約6,000g/mol、約400g/mol~約4,000g/mol、または約400g/mol~約2,000g/molの平均分子量を有することができる。
【0026】
ポリッシング加工用組成物は、使用点で任意の好適な量のイオン性ポリマーを含む。ポリッシング加工用組成物は、使用点で、約0.001質量%以上のイオン性ポリマー、例えば約0.005質量%以上、約0.01質量%以上、約0.025質量%以上、約0.05質量%以上、約0.075質量%以上、または約0.1質量%以上のイオン性ポリマーを含むことができる。あるいは、または加えて、ポリッシング加工用組成物は、使用点で、約1質量%以下のイオン性ポリマー、例えば、約0.9質量%以下、約0.8質量%以下、約0.7質量%以下、約0.6質量%以下、約0.5質量%以下、約0.4質量%以下、または約0.3質量%以下のイオン性ポリマーを含むことができる。したがって、ポリッシング加工用組成物は、上記の終点のいずれか2つによって境界が定められた量のイオン性ポリマーを含むことができる。例えば、ポリッシング加工用組成物は、使用点で約0.001質量%~約1質量%のイオン性ポリマー、約0.01質量%~約0.9質量%、約0.025質量%~約0.8質量%、約0.05質量%~約0.7質量%、または約0.1質量%~約0.5質量%のイオン性ポリマーを含むことができる。
【0027】
化学機械ポリッシング加工用組成物は、任意選択で1つ以上のポリビニルアルコールを含む。ポリビニルアルコールは、任意の好適なポリビニルアルコールであってよく、かつ直鎖状または分岐状ポリビニルアルコールであり得る。好適な分岐ポリビニルアルコールの非限定的な例は、日本合成化学、日本から入手可能なOKS-1009(商標)およびOKS-1083(商標)製品などのNichigo Gポリマーである。
【0028】
ポリビニルアルコールは任意の好適な加水分解度を有することができる。加水分解度は、遊離ヒドロキシル基とアセチル化ヒドロキシル基の合計と比較した、ポリビニルアルコール上に存在する遊離ヒドロキシル基の量を指す。好ましくは、ポリビニルアルコールは、約90%以上、例えば約92%以上、約94%以上、約96%以上、約98%以上、または約99%以上の加水分解度を有する。
【0029】
ポリビニルアルコールは任意の平均好適分子量を有することができる。例えば、ポリビニルアルコールは、約250g/mol以上、例えば、約300g/mol以上、約400g/mol以上、約500g/mol以上、約600g/mol以上、約750g/mol以上、約1,000g/mol以上、約2,000g/mol以上、約3,000g/mol以上、約4,000g/mol以上、約5,000g/mol以上、約7,500g/mol以上、約10,000g/mol以上、約15,000g/mol以上、約20,000g/mol以上、約25,000g/mol以上、約30,000g/mol以上、約50,000g/mol以上、または約75,000g/mol以上の平均分子量を有することができる。あるいは、または加えて、ポリビニルアルコールは、約250,000g/mol以下、例えば約200,000g/mol以下、約180,000g/mol以下、約150,000g/mol以下、約100,000g/mol以下、約90,000g/mol以下、約85,000g/mol以下、約80,000g/mol以下、約75,000g/mol以下、約50,000g/mol以下、約45,000g/mol以下、約40,000g/mol以下、約35,000g/mol以下、約30,000g/mol以下、約25,000g/mol以下、約20,000g/mol以下、約15,000g/mol以下、約12,500g/mol以下、または約10,000g/mol以下の平均分子量を有することができる。したがって、ポリビニルアルコールは、上記の終点のいずれか2つによって境界付けられた平均分子量を有することができる。例えば、ポリビニルアルコールは、約250g/mol~約250,000g/mol、例えば、約250g/mol~約200,000g/mol、約250g/mol~約180,000g/mol、約250g/mol~約150,000g/mol、約250g/mol~約100,000g/mol、約250g/mol~約75,000g/mol、約250g/mol~約50,000g/mol、250g/mol~約25,000g/mol、約250g/mol~約10,000g/mol、約10,000g/mol~約100,000g/mol、約10,000g/mol~約75,000g/mol、約10,000g/mol~約50,000g/mol、約10,000g/mol~約40,000g/mol、約50,000g/mol~約100,000g/mol、約75,000g/mol~約100,000g/mol、約25,000g/mol~約200,000g/mol、または約50,000g/mol~約180,000g/molなどの平均分子量を有することができる。
【0030】
ポリッシング加工用組成物は、使用点で任意の好適な量のポリビニルアルコールを含む。ポリッシング加工用組成物は、使用点で、約0.001質量%以上のポリビニルアルコールを、例えば約0.005質量%以上、約0.01質量%以上、約0.025質量%以上、約0.05質量%以上、約0.075質量%以上、または約0.1質量%以上のポリビニルアルコールを含むことができる。あるいは、または加えて、ポリッシング加工用組成物は、使用点で、約1質量%以下のポリビニルアルコールを、例えば約0.9質量%以下、約0.8質量%以下、約0.7質量%、約0.6質量%以下、約0.5質量%以下、約0.4質量%以下、または約0.3質量%以下のポリビニルアルコールを含むことができる。したがって、ポリッシング加工用組成物は、上記の終点のいずれか2つによって境界が定められた量のポリビニルアルコールを含むことができる。例えば、ポリッシング加工用組成物は、使用点で、約0.001質量%~約1質量%のポリビニルアルコール、約0.01質量%~約0.9質量%、例えば約0.025質量%~約0.8質量%、約0.05質量%~約0.7質量%、または約0.1質量%~約0.5質量%のポリビニルアルコールを含むことができる。
【0031】
ポリッシング加工用組成物は任意選択で1つ以上のポリエチレングリコールを含む。ポリエチレングリコールは、任意の好適なポリエチレングリコールであり得る。ポリエチレングリコールは、構造:H-[OCHCH-OHを有し、式中、nは2~約500の整数である。ポリエチレングリコールは任意の好適な分子量を有することができ、例えば、ポリエチレングリコールは約100g/mol~約20,000g/molの分子量を有することができる。
【0032】
ポリッシング加工用組成物は、使用点で任意の好適な濃度のポリエチレングリコールを含むことができる。ポリッシング加工用組成物は、使用点で約1ppm以上のポリエチレングリコール、例えば約5ppm以上、約10ppm以上、約15ppm以上、約20ppm以上、約25ppm以上、約30ppm以上、約35ppm以上、約40ppm以上、約45ppm以上、または約50ppm以上のポリエチレングリコールを含むことができる。あるいは、または加えて、ポリッシング加工用組成物は、使用点で約1000ppm以下のポリエチレングリコール、例えば約900ppm以下、約800ppm以下、約700ppm以下、約600ppm以下、または約500ppm以下のポリエチレングリコールを含むことができる。したがって、ポリッシング加工用組成物は、使用点で、上記の終点のいずれか2つによって境界が定められた量のポリエチレングリコールを含むことができる。例えば、ポリッシング加工用組成物は、使用点で、約1ppm~約1000ppmのポリエチレングリコール、例えば約10ppm~約900ppm、約20ppm~約800ppm、約50ppm~約700ppm、約50ppm~約600ppm、または約50ppm~約500ppmなどのポリエチレングリコールを含むことができる。
【0033】
化学機械ポリッシング加工用組成物は、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールとは異なる1つ以上の非イオン性ポリマーを任意選択で含む。本発明の一実施形態によれば、ポリッシング加工用組成物は、ポリアルキレングリコール、ポリエーテルアミン、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、シロキサンポリアルキレンオキシドコポリマー、疎水変性ポリアクリレートコポリマー、親水性非イオン性ポリマー、多糖類、およびこれらの混合物から選択される1つ以上の非イオン性ポリマーを含む。非イオン性ポリマーは、好ましくは水溶性であり、かつポリッシング加工用組成物の他の成分と相溶性である。いくつかの実施形態において、非イオン性ポリマーは界面活性剤および/または湿潤剤として機能する。
【0034】
化学機械ポリッシング加工用組成物は、ポリッシング加工用組成物のpHを調整することができる(すなわち調整する)1つ以上の化合物(すなわちpH調整化合物)を含むことができる。ポリッシング加工用組成物のpHは、ポリッシング加工用組成物のpHを調整することができる任意の好適な化合物を用いて調整することができる。pH調整化合物は、水溶性でポリッシング加工用組成物の他の成分と相溶性であることが望ましい。典型的には。化学機械ポリッシング加工用組成物は、使用点で、約1~約7のpHを有する。好ましくは、化学機械ポリッシング加工用組成物は、使用点で、約1~約4.5、例えば約2~約4または約3~4のpHを有する。
【0035】
式(I)のイオン性ポリマーは本質的に酸性である。結果として、本発明のポリッシング加工用組成物は緩衝能力を提供するように配合することができる。典型的には、ポリッシング加工用組成物の緩衝は、ポリッシング加工用組成物のpH値をイオン性ポリマーのpKa値またはpKa値の範囲内の値に調整するために塩基性化合物を添加することによって達成することができる。緩衝能力を提供するためにpH値を調整するために任意の好適な塩基性化合物を使用することができる。好適な塩基性化合物の非限定的な例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、およびトリエタノールアミンなどの有機アミンが含まれる。
【0036】
他の実施形態では、ポリッシング加工用組成物は、pHを調整することができ、ポリッシング加工用組成物の酸性pHを別々に緩衝することができるイオン性ポリマー以外の化合物を含むことが望ましい。したがって、これらの実施形態では、ポリッシング加工用組成物のpHは、7.0未満(例えば、6.5±0.5、6.0±0.5、5.5±0.5、5.0±0.5、4.5±0.5、4.0±0.5、3.5±0.5、3.0±0.5、2.5±0.5、2.0±0.5、1.5±0.5、または1.0±0.5)であることが望ましい。典型的には、これらの実施形態におけるポリッシング加工用組成物のpHは、使用点で約1~約4.5である。したがって、ポリッシング加工用組成物のpHを調整することができる化合物は、25℃で測定したときに約3~約7のpKaを有する少なくとも1つのイオン性基を典型的に有する。
【0037】
pHを調整および緩衝することができる化合物は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、カルボン酸、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、ホウ酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0038】
化学機械ポリッシング加工用組成物は、任意選択で1つ以上の添加剤をさらに含む。例示的な添加剤としては、コンディショナー、酸(例えば、スルホン酸)、錯化剤(例えば、アニオン性ポリマー錯化剤)、キレート剤、殺生物剤、スケール抑制剤、分散剤などが挙げられる。
【0039】
殺生物剤は、存在する場合、任意の好適な殺生物剤であり得、任意の好適な量でポリッシング加工用組成物中に存在し得る。好適な殺生物剤はイソチアゾリノン殺生物剤である。ポリッシング加工用組成物中に使用される殺生物剤の量は、典型的には約1~約50ppm、好ましくは約10~約20ppmである。
【0040】
ポリッシング加工用組成物を水に溶解したとき、酸、塩基、または塩であるポリッシング加工用組成物の任意の成分(例えば、イオン性ポリマー、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、塩基、および/またはアルカリ金属炭酸塩など)は、カチオンおよびアニオンとして解離形態で存在することができると理解されよう。本明細書に列挙されるようなポリッシング加工用組成物中に存在するそのような化合物の量は、ポリッシング加工用組成物の調製に使用される解離していない化合物の質量を指すと理解されよう。
【0041】
別の実施形態では、本発明は、(a)湿式法セリア研磨剤と、(b)ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸と、(c)水と、を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる化学機械ポリッシング加工用組成物を提供し、このポリッシング加工用組成物は、約1~約4.5のpHを有する。湿式法セリアおよびポリヒドロキシ芳香族カルボン酸は本明細書に記載のとおりであり得る。
【0042】
ポリッシング加工用組成物は、その多くが当業者には既知である任意の好適な技術によって調製することができる。ポリッシング加工用組成物は、バッチプロセスまたは連続プロセスで調製することができる。一般に、ポリッシング加工用組成物はポリッシング加工用組成物の成分を組み合わせることによって調製される。本明細書で使用される「成分」という用語は、個々の配合成分(例えば、セリア研磨剤、イオン性ポリマー、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、任意選択のポリビニルアルコール、任意選択のポリエチレングリコール、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤)、ならびに配合成分の任意選択の組み合わせ(例えば、セリア研磨剤、イオン性ポリマー、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、任意選択のポリビニルアルコール、任意選択のポリエチレングリコール、任意のpH調整剤など)を含む。
【0043】
例えば、ポリッシング加工用組成物は、(i)液体担体の全部または一部を用意することと、(ii)セリア研磨剤、イオン性ポリマー、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、任意選択のポリビニルアルコール、任意選択のポリエチレングリコール、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤を、このような分散液を調製するための任意好適な手段を使用して、分散することと、(iii)必要に応じて分散液のpHを調整することと、(iv)好適な量のいずれかの他の任意選択の成分および/または添加剤を混合物に任意選択で添加することと、によって調製できる。
【0044】
あるいは、ポリッシング加工用組成物は、(i)酸化セリウムスラリー中の1つ以上の成分(例えば、液体担体、イオン性ポリマー、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、任意選択のポリビニルアルコール、任意選択のポリエチレングリコール、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤)を用意することと、(ii)添加剤溶液中の1つ以上の成分(例えば、液体担体、イオン性ポリマー、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、任意選択のポリビニルアルコール、任意選択のポリエチレングリコール、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤)を用意することと、(iii)酸化セリウムスラリーと添加剤溶液とを混合して混合物を形成することと、(iv)任意選択で、好適な量のいずれかの他の任意選択の添加剤を混合物に添加することと、(v)必要に応じて混合物のpHを調整することと、によって調製できる。
【0045】
ポリッシング加工用組成物は、セリア研磨剤、イオン性ポリマー、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、任意選択のポリビニルアルコール、任意選択のポリエチレングリコール、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤、ならびに水を含む1パッケージ系として供給することができる。あるいは、本発明のポリッシング加工用組成物は、酸化セリウムスラリーと添加剤溶液とを含む2パッケージ系として供給され、ここで、セリア系酸化物スラリーは、セリア研磨剤、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、任意選択のポリビニルアルコール、任意選択のポリエチレングリコール、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤、ならびに水、から本質的になるか、またはからなり、かつここで、添加剤溶液は、イオン性ポリマー、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、任意選択のポリビニルアルコール、任意選択のポリエチレングリコール、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤、から本質的になるか、またはからなる。2パッケージ系は、2つのパッケージ、すなわち酸化セリウムスラリーおよび添加剤溶液の混合比を変えることによって、基板全体の平坦化特性およびポリッシング加工速度を調整することを可能にする。
【0046】
このような2パッケージポリッシング加工系を利用するために、様々な方法が使用され得る。例えば、酸化セリウムスラリーおよび添加剤溶液は、供給配管の出口で接合され接続される異なる管によってポリッシング加工テーブルに供給することができる。酸化セリウムスラリーおよび添加剤溶液は、ポリッシング加工の少し前または直前に混合することができ、またはポリッシング加工テーブル上に同時に供給することができる。その上、2つのパッケージを混合する場合、必要に応じて脱イオン水を添加して、ポリッシング加工用組成物および得られる基板ポリッシング加工特性を調整することができる。
【0047】
同様に、3つ、4つ、またはそれ以上のパッケージ系を本発明に関して利用することができ、ここで複数の容器のそれぞれは本発明の化学機械ポリッシング加工用組成物の異なる成分、1つ以上の任意選択の成分、および/または1つ以上の異なる濃度の同じ成分を含有する。
【0048】
使用点または使用点付近でポリッシング加工用組成物を製造するために2つ以上の貯蔵装置に含まれる成分を混合するためには、貯蔵装置は、典型的には、各貯蔵装置からポリッシング加工用組成物の使用点(例えば、プラテン、研磨パッド、または基板表面)に至る1つ以上の流れラインを備えている。本明細書で使用される場合、用語「使用点」は、ポリッシング加工用組成物が基板表面(例えば、ポリッシング加工用パッドまたは基板表面自体)に塗布される時点を指す。用語「流れライン」とは、個々の貯蔵容器からその中に貯蔵されている成分の使用点までの流路を意味する。流れラインはそれぞれ使用点に直接導くことができ、あるいは2つ以上の流れラインを任意の時点で使用点に導く単一の流れラインに組み合わせることができる。さらに、任意の流れライン(例えば、個々の流れラインまたは組み合わせた流れライン)は、成分の使用点に到達する前に、最初に1つ以上の他の装置(例えば、ポンピング装置、測定装置、混合装置など)につながることができる。
【0049】
ポリッシング加工用組成物の成分は、独立して使用点に送達することができ(例えば、成分は、ポリッシング加工プロセス中に成分が混合されるとすぐ、基板表面に供給される)、または1つ以上の成分は、使用点への送達前、例えば使用点への送達の少し前または直前に組み合わせることができる。成分がプラテン上に混合形態で添加される前約5分以内に、例えば、混合形態でプラテン上に添加される前約4分以内、約3分以内、約2分以内、約1分以内、約45秒以内、約30秒以内、約10秒以内に組み合わされる場合、または使用点での成分の送達と同時に行われる場合、成分は、「使用点への送達直前」に組み合わされる(例えば、成分はディスペンサーで組み合わされる)。成分が使用点から5m以内、例えば使用点から1m以内、またさらには使用点から10cm以内(例えば、使用点から1cm以内)で組み合わされる場合、成分はまた「使用点への送達直前」に組み合わされる。
【0050】
ポリッシング加工用組成物の2つ以上の成分が使用点に達する前に組み合わされる場合、これらの成分は、流れラインで組み合わされ、混合装置を使用せずに使用点に送達され得る。あるいは、2つ以上の成分の組み合わせを容易にするために、1つ以上の流れラインを混合装置に導くことができる。任意の好適な混合装置を使用することができる。例えば、混合装置は、それを通って2つ以上の成分が流れるノズルまたはジェット(例えば、高圧ノズルまたはジェット)であり得る。あるいは、混合装置は、ポリッシング加工スラリーの2つ以上の成分がミキサーに導入される1つ以上の入口と、混合された成分がミキサーを出て直接または装置の他の要素を介して(例えば1つ以上の流れラインを介して)使用場所に供給される少なくとも1つの出口とを含む容器型混合装置であり得る。さらに、混合装置は2つ以上のチャンバを含むことができ、各チャンバは少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有し、ここで2つ以上の成分が各チャンバ中で組み合わされる。容器型混合装置が使用される場合、混合装置は好ましくは成分の組み合わせをさらに容易にするための混合機構を含む。混合機構は当技術分野において一般的に知られており、スターラー、ブレンダー、アジテーター、パドルバッフル、ガススパージャーシステム、バイブレーターなどを含む。
【0051】
本発明のポリッシング加工用組成物はまた、使用前に適切な量の水で希釈されることが意図される濃縮物として提供することもできる。このような実施形態では、ポリッシング加工用組成物濃縮物は、適切な量の水で濃縮物を希釈すると、ポリッシング加工用組成物の各成分が、上に列挙された各成分の適切な範囲内の量でポリッシング加工用組成物中に存在するようになる量で、ポリッシング加工用組成物の成分を含む。例えば、セリア研磨剤、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、任意選択のポリビニルアルコール、任意選択のポリエチレングリコール、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤はそれぞれ、上記に列挙された各成分の濃度よりも約2倍(例えば、約3倍、約4倍、または約5倍)を超える量で存在することができ、その結果、濃縮物が等量の水(例えば、それぞれ2等量の水、3等量の水、4等量の水、または5等量の水)で希釈されると、各成分は、各成分について上記の範囲内の量でポリッシング加工用組成物中に存在するようになる。その上、当業者には理解されるように、濃縮物は、セリア研磨剤、ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、任意選択のポリビニルアルコール、任意選択のポリエチレングリコール、任意選択のpH調整剤、および/またはいずれかの任意選択の添加剤が少なくとも部分的にまたは完全に濃縮物中に溶解することを確実にするために、最終ポリッシング加工用組成物中に存在する水の適切な部分を含有することができる。
【0052】
本発明はまた、(i)基板を本明細書に記載のポリッシング加工用パッドおよび化学機械ポリッシング加工用組成物と接触させることと、(ii)化学機械ポリッシング加工用組成物を間にして基板に対してポリッシング加工用パッドを移動させることと、(iii)基板の少なくとも一部を研磨して基板をポリッシング加工することと、を含む、基板の化学機械ポリッシング加工方法を提供する。
【0053】
化学機械ポリッシング加工用組成物は、任意の好適な基板をポリッシング加工するために使用することができ、低誘電材料からなる少なくとも1つの層(典型的には表面層)を含む基板をポリッシング加工するのに特に有用である。好適な基板には、半導体産業で使用されるウエハが含まれる。ウエハは、典型的には、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属複合材料、金属合金、低誘電材料、またはそれらの組み合わせを含むかまたはそれらからなる。本発明の方法は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、および/またはポリシリコン、例えば前述の材料のうちのいずれか1つ、2つ、または特に3つすべてを含む基板をポリッシング加工するのに特に有用である。
【0054】
特定の実施形態において、基板は、酸化ケイ素および/または窒化ケイ素と組み合わせるポリシリコンを含む。ポリシリコンは、任意の好適なポリシリコンとすることができ、その多くは当技術分野において知られている。ポリシリコンは任意の好適な相を有することができ、非晶質、結晶質、またはそれらの組み合わせとすることができる。酸化ケイ素も同様に、任意の好適な酸化ケイ素とすることができ、その多くは当技術分野において既知である。好適な種類の酸化ケイ素としては、TEOS、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)、PETEOS、熱酸化物、アンドープケイ酸塩ガラス、およびHDP酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本発明の化学機械ポリッシング加工用組成物は、望ましくは、本発明の方法に従って酸化ケイ素を含む基板をポリッシング加工するときに高い除去速度を示す。例えば、高密度プラズマ(HDP)酸化物および/またはプラズマ増強テトラエチルオルトシリケート(PETEOS)および/またはテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を含むシリコンウエハを本発明の一実施形態に従ってポリッシング加工するとき、ポリッシング加工用組成物は望ましくは約500Å/分以上、例えば約700Å/分以上、約1,000Å/分以上、約1,250Å/分以上、約1,500Å/分以上、約1,750Å/分以上、約2,000Å/分以上、約2,500Å/分以上、約3,000Å/分以上、または約3,500Å/分以上の酸化ケイ素の除去速度を示す。一実施形態では、酸化ケイ素の除去速度は、約4,000Å/分以上、例えば、約4,500Å/分以上、または約5,000Å/分以上であり得る。
【0056】
本発明の化学機械ポリッシング加工用組成物は、望ましくは、本発明の方法に従って窒化ケイ素を含む基板をポリッシング加工するときに低い除去速度を示す。例えば、本発明の一実施形態に従って窒化ケイ素を含むシリコンウエハをポリッシング加工するとき、ポリッシング加工用組成物は、望ましくは約250Å/分以下、例えば約200Å/分以下、約150Å/分以下、約100Å/分以下、約75Å/分以下、約50Å/分以下、または約25Å/分以下の窒化ケイ素の除去速度を示す。
【0057】
本発明の化学機械ポリッシング加工用組成物は、望ましくは、本発明の方法に従ってポリシリコンを含む基板をポリッシング加工するとき、低い除去速度を示す。例えば、本発明の実施形態に従ってポリシリコンを含むシリコンウエハをポリッシング加工するとき、ポリッシング加工用組成物は、望ましくは、約1,000Å/分以下、例えば、約750Å/分以下、約500Å/分以下、約250Å/分以下、約100Å/分以下、約50Å/分以下、約25Å/分以下、約10Å/分以下、または約5Å/分以下の、ポリシリコンの除去速度を示す。
【0058】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、窒化ケイ素上に積層された酸化ケイ素を含むパターン化基板上の酸化ケイ素のポリッシング加工が進行すると、ポリッシング加工が進行するにつれて酸化ケイ素の表面はより塩基性になると考えられる。ポリッシング加工用組成物のセリア粒子は、典型的には、ポリッシング加工用組成物のpHで正味の正電荷を有する。酸化ケイ素表面がより塩基性になるにつれて、酸化ケイ素表面近くに存在するポリヒドロキシカルボン酸は少なくとも部分的に脱プロトン化され、ポリッシング加工が進行するにつれて正味の負電荷を発生する。次いで、負に帯電したポリヒドロキシカルボン酸分子がセリア粒子と会合し、それによってセリア粒子のポリッシング加工作用が低下する。したがって、基板が平坦性に近づくにつれて、すなわち窒化ケイ素が露出され、酸化ケイ素がパターン化されたフューチャ内に残ると、残りの酸化ケイ素は過剰ポリッシング加工から保護され、したがってディッシングから保護される。
【0059】
本発明の化学機械ポリッシング加工用組成物および方法は、化学機械ポリッシング加工器具と共に使用するのに特に適している。典型的には、器具は、使用時に動いており、軌道、直線、または円運動から生じる速度を有するプラテンと、プラテンと接触し、動いているときにプラテンと共に動くポリッシング加工用パッドと、ポリッシング加工用パッドの表面に対して基板を接触させて移動させることによってポリッシング加工される基板を保持するキャリアと、を含む。基板のポリッシング加工は、基板をポリッシング加工用パッドおよび本発明のポリッシング加工用組成物と接触させて配置し、次いでポリッシング加工用パッドを基板に対して移動させて、基板の少なくとも一部を研磨して基板をポリッシング加工することによって行われる。
【0060】
基板は、任意の好適なポリッシング加工用パッド(例えば、ポリッシング加工面)を用いて化学機械ポリッシング加工用組成物でポリッシング加工することができる。好適なポリッシング加工用パッドとしては、例えば、織布および不織布ポリッシング加工用パッドが挙げられる。さらに、好適なポリッシング加工用パッドは、様々な密度、硬度、厚さ、圧縮性、圧縮時に反発する能力、および圧縮弾性率の任意の適切なポリマーを含むことができる。好適なポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの共形生成物、およびそれらの混合物が挙げられる。軟質ポリウレタンポリッシング加工用パッドは、本発明のポリッシング加工方法と組み合わせて特に有用である。典型的なパッドとしては、SURFIN(商標)000、SURFIN(商標)SSW1、SPM3100(例えば、Eminess Technologiesから市販されている)、POLITEX(商標)、およびFujibo POLYPAS(商標)27が挙げられるがこれらに限定されない。特に好ましいポリッシング加工用パッドは、Cabot Microelectronicsから市販されているEPIC(商標)D100パッドである。別の好ましいポリッシング加工用パッドは、Dow、Incから入手可能なIC1010パッドである。
【0061】
望ましくは、化学機械ポリッシング加工装置は、その場でのポリッシング加工終点検出システムをさらに含み、その多くは当技術分野において既知である。ポリッシング加工されている基板の表面から反射された光または他の放射を分析することによってポリッシング加工プロセスを検査および監視するための技術は当技術分野で知られている。そのような方法は、例えば、米国特許第5196353号において、米国特許第5433651号、米国特許第5609511号、米国特許第5643046号、米国特許第5658183号、米国特許第5730642号、米国特許第5838447号、米国特許第5872633号、米国特許第5893796号、米国特許第5949927号、および米国特許第5964643号に記載されている。望ましくは、ポリッシング加工されている基板に関するポリッシング加工プロセスの進行の検査または監視は、ポリッシング加工終点の決定、すなわち特定の基板に関してポリッシング加工プロセスの終了時の決定を可能にする。
【実施例
【0062】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、もちろん、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0063】
以下の実施例において、基板、シリコン上にコーティングされたTEOS酸化ケイ素(テトラエトキシシランから調製された)、シリコン上にコーティングされたHDP(高密度プラズマ)酸化ケイ素、シリコン上にコーティングされたポリシリコン、およびシリコン上にコーティングされた窒化ケイ素、ならびにSilyb Inc.から得られるパターン化されたウエハを、MIRRA(商標)(Applied Materials,Inc.)またはREFLEXION(商標)(Applied Materials,Inc.)ツールのいずれかを使用してポリッシング加工した。パターン化されたウエハは、酸化ケイ素コートされた基板上に100μmの窒化ケイ素フィーチャを含んでいた。IC1010(商標)ポリッシング加工用パッド(Dow Chemical)をすべての組成物について同一のポリッシング加工パラメータで使用した。ポリッシング加工パラメータは以下のとおりである:IC1010(商標)パッド、20.68kPa(3psi)のダウンフォース、85rpmのヘッドスピード、100rpmのプラテン速度、150mL/分の総流量。分光エリプソメトリーを使用してフィルム厚を測定し、初期厚から最終厚を差し引くことによって除去速度を計算した。
【0064】
実施例1
この実施例は、本発明によるポリエチレングリコールジカルボン酸および3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含むポリッシング加工用組成物によって示される窒化物損失およびディッシングの減少を実証する。
【0065】
酸化ケイ素コーティングされた基板上の100μm窒化ケイ素フィーチャを含む3つの別々のパターン化基板を、3つの異なるポリッシング加工用組成物、すなわちポリッシング加工用組成物1A~1Cでポリッシング加工した。各ポリッシング加工用組成物1A~1Cは、pH3.6の水中に0.2質量%の湿式法セリアを含んでいた。ポリッシング加工用組成物1Aはまた、100ppmのポリエチレングリコールジカルボン酸および250ppmの3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含んでいた。ポリッシング加工用組成物1Bはまた、300ppmのポリエチレングリコールジカルボン酸および100ppmの3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含んでいた。ポリッシング加工用組成物1Cはまた、ポリエチレングリコールジカルボン酸を含有していなかったが、3,5-ジヒドロキシ安息香酸を450ppm含有していた。終点(EP)プラス40%までポリッシング加工を行った。終点はSiN層を露出させる時間であった。
【0066】
ポリッシング加工後、100μm×100μmのフィーチャにおける窒化ケイ素の損失およびディッシング(トレンチ内のディッシング)を測定した。結果を表1に記載する。
【表1】
【0067】
表1に示す結果から明らかなように、100ppmのポリエチレングリコールジカルボン酸および250ppmの3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含有するポリッシング加工用組成物1A、ならびに300ppmのポリエチレングリコールおよび100ppmの3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含有するポリッシング加工用組成物1Bは、非常に低いSiN損失を示した。400ppmの3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含有するがポリエチレングリコールジカルボン酸を含有しないポリッシング加工用組成物1Cは、ポリッシング加工用組成物1Bによって示されるディッシングの約76%を示した。
【0068】
実施例2
この実施例は、本発明による3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含むポリッシング加工用組成物によって示される改善されたSiO除去速度を実証する。
【0069】
TEOSまたはHDP(高密度プラズマ酸化ケイ素)のブランケット層を含む別々の基板を、2つの異なるポリッシング加工用組成物、ポリッシング加工用組成物2Aおよび2Bでポリッシング加工した。ポリッシング加工用組成物2A(比較例)は、pH3.6で水中に0.2質量%の湿式法セリア、ポリエチレングリコールジカルボン酸、およびポリビニルアルコールを含んでいた。ポリッシング加工用組成物2B(本発明)は、ポリッシング加工用組成物2Aのすべての成分を、ポリッシング加工用組成物2Aに含まれる量と同じ量で含み、さらに3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含む。
【0070】
ポリッシング加工後、除去速度を測定し、結果を表2に示した。
【表2】
【0071】
表2に示す結果から明らかなように、3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含むポリッシング加工用組成物2Bは、ポリッシング加工用組成物2Aによって示される除去速度の約115%であるTEOSおよびHDP両方の除去速度を示した。
【0072】
実施例3
この実施例は、本発明による3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含むポリッシング加工用組成物によって示される窒化物損失およびディッシングの減少を実証する。
【0073】
実施例2に記載したように、酸化ケイ素コーティングされた基板上の100μm窒化ケイ素フィーチャを含む別々のパターン化基板を2つの異なるポリッシング加工用組成物、すなわちポリッシング加工用組成物2Aおよび2Bでポリッシング加工した。
【0074】
SiN層を露出させた後、基板を53秒間~終点まで+16秒間ポリッシング加工した。ポリッシング加工後、100μm×100μmのフィーチャにおける窒化ケイ素の損失およびディッシング(トレンチ内のディッシング)を測定した。結果を表3に記載する。
【表3】
【0075】
表3に示す結果から明らかなように、ポリッシング加工2B中の3,5-ジヒドロキシ安息香酸の存在は、3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含まないポリッシング加工用組成物2Aによって示されたSiN損失およびディッシングのそれぞれ約48%および65%のSiN損失およびディッシングとなった。
【0076】
実施例4
この実施例は、本発明によるセリア、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、ポリエチレングリコールおよびポリビニルアルコールを含むポリッシング加工用組成物によって示される窒化物損失およびディッシングの減少を実証する。
【0077】
酸化ケイ素コーティングされた基板上の100×100μm窒化ケイ素フィーチャを含む別々のパターン化基板を、3つの異なるポリッシング加工時間、組成物3Aでポリッシング加工した。ポリッシング加工用組成物3Aは、0.2%のセリア、60ppmのポリエチレングリコール、1200ppmのポリビニルアルコールおよび60ppmの3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含有していた。ポリッシング加工は、終点(EP)プラス10%、20%および30%の過ポリッシング加工まで実施し、終点はSiN層を露出する時間であった。
【0078】
ポリッシング加工後、100μm×100μmのフィーチャにおける窒化ケイ素の損失およびディッシング(トレンチ内のディッシング)を測定した。結果を表4に記載する。
【表4】
【0079】
表4に示す結果から明らかなように、セリアを含むポリッシング加工用組成物中の3,5-ジヒドロキシ安息香酸、ポリエチレングリコールおよびポリビニルアルコールの存在は、先の実施例と比較して非常に低いSiN損失およびディッシングをもたらした。
【0080】
実施例5
この実施例は、本発明による3,4-ジヒドロキシ安息香酸または3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含むポリッシング加工用組成物によって示される除去速度を比較する。
【0081】
TEOS、HDP、およびSiNのブランケット層を含む別々の基板を2つの異なるポリッシング加工用組成物、すなわちポリッシング加工用組成物4Aおよび4Bでポリッシング加工した。ポリッシング加工用組成物4Aおよび4Bのそれぞれは、pH3.6で水中に0.2質量%の湿式法セリア、ポリエチレングリコールジカルボン酸、およびポリビニルアルコールを含んでいた。ポリッシング加工用組成物4Aはさらに3,4-ジヒドロキシ安息香酸を含んでいた。ポリッシング加工用組成物4Bはさらに3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含んでいた。
【0082】
ポリッシング加工後、除去速度を決定し、結果をテーブル4に示す。
【表5】
【0083】
テーブル4に示される結果から明らかなように、ポリッシング加工用組成物4Bは、ポリッシング加工用組成物4Aと比較して、TEOSとHDPの両方について約4倍高い除去速度、およびSiNについて約1.4倍高い除去速度を示した。ポリッシング加工用組成物4Aおよび4Bの両方は、低いSiN除去速度を示しながら許容可能なTEOSおよびHDP除去速度を提供した。
【0084】
実施例6
この実施例は、本発明による3,4-ジヒドロキシ安息香酸または3,5-ジヒドロキシ安息香酸を含むポリッシング加工用組成物によって示される時間の関数としての除去速度を比較する。
【0085】
実施例5に記載したように、酸化ケイ素コーティングされた基板上の100μm窒化ケイ素フィーチャを含む別々のパターン化基板を2つの異なるポリッシング加工用組成物、すなわちポリッシング加工用組成物4Aおよび4Bでポリッシング加工した。
【0086】
基板を45秒間および60秒間ポリッシング加工した。ポリッシング加工後、100μm×100μmのフィーチャで除去された酸化物(トレンチ内の酸化物)を測定した。結果をテーブル5に記載する。
【表6】
【0087】
テーブル5に示す結果から明らかなように、ポリッシング加工用組成物4Aを用いたポリッシング加工時間の15秒の増加は、SiO除去の約7%の増加をもたらした。ポリッシング加工用組成物4Bを用いたポリッシング加工時間の30秒から45秒への15秒の増加は、SiO除去において約26%の増加をもたらした。45秒間ポリッシング加工した後に除去されたSiOの量は、ポリッシング加工用組成物4Bについては、ポリッシング加工用組成物4Aと比較して約2.1倍大きかった。
【0088】
実施例7
この実施例は、本発明の実施形態による、例示的な濃縮ポリッシング加工用組成物の安定性を実証する。
【0089】
1.2質量%の湿式法セリア、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、ポリエチレングリコールジカルボン酸、およびポリビニルアルコールを含むポリッシング加工用組成物を45℃で50日間貯蔵した。試料を定期的にサンプリングし、ゼータ電位と粒径を測定した。結果を図1および図2にグラフで示す。
【0090】
図1および図2に示す結果から明らかなように、50日間の貯蔵期間中、ゼータ電位は約23~26mVで安定したままであり、粒径は110~125nmで安定したままであった。
【0091】
本明細書に引用された刊行物、特許出願および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が個々にかつ具体的に参照により組み入れられることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0092】
(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)本発明を説明する文脈における「a」および「an」および「the」および「少なくとも1つの(at least one)」という用語および同様の指示対象の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「少なくとも1つの」という用語に続く1つ以上の項目の列挙(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、列挙された項目(AまたはB)から選択される1つの項目、または列挙された項目(AおよびB)の2つ以上の任意の組み合わせを意味すると解釈されるべきである。「備える」、「有する」、「含む」および「含有する」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むがこれらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、範囲内にある各別個の値を個々に参照する簡略方法として有用であることを単に意図しており、それぞれの別個の値は本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書中に記載されるすべての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書において提供される任意のおよびすべての例、または例示的な用語(例えば、「~など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、別段の主張がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、本発明の実施に必須であると主張されていない任意の要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0093】
本発明を行うために本発明者らに既知の最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載される。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読むことにより当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適切に使用することを期待しており、本発明者らは本発明が本明細書に具体的に記載されたものとは別の方法で実行されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、添付の特許請求の範囲に列挙された主題のすべての変形および同等物を含む。その上、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、それらのすべての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせが本発明に包含される。
図1
図2