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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】熱管理手段を有する型締めユニット
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/66 20060101AFI20220315BHJP
   B29C 45/72 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
B29C45/66
B29C45/72
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019520005
(86)(22)【出願日】2017-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2017076248
(87)【国際公開番号】W WO2018069529
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-08-11
(31)【優先権主張番号】102016119581.2
(32)【優先日】2016-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510332006
【氏名又は名称】アールブルク ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ブレッシャー、ライナー
(72)【発明者】
【氏名】クレッツ、マルツィン
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-540620(JP,A)
【文献】特開2008-298254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84,
F16H 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックおよび他の可塑化可能な物質を加工するための射出成形機における射出成形型のための型締めユニット(100)であって、
・少なくとも1つの第1の型支持体(50)と、
・少なくとも1つの、前記第1の型支持体に対して相対的に可動の型支持体(52)であって、前記第1の型支持体(50)と共に、両型支持体間に射出成形型を収容するための型締め空間(R)を形成する、可動の型支持体(52)と、
・前記第1の型支持体(50)に向かう前記可動の型支持体(52)の運動および前記第1の型支持体(50)から離れる前記可動の型支持体(52)の運動に基づく前記射出成形型の周期的な開閉のための少なくとも1つの電気機械式の閉鎖機構(M)のための少なくとも1つの支持要素(54)と、を備え、
・前記閉鎖機構(M)は、少なくとも1つのスピンドルユニット(10)によって操作され、該スピンドルユニット(10)は、少なくとも1つのスピンドル(12)と、該スピンドル(12)と協働しかつ軸受ユニット(30)に取り付けられる少なくとも1つのスピンドルナット(14)と、軸受要素(16)に取り付けられる少なくとも1つのモータ(18)とを有し、
・さらに、前記スピンドルユニット(10)から熱を排出するための冷却要素(36,32)を有する冷却手段を備え、該冷却要素(36,32)は少なくとも前記軸受ユニット(30)および/または前記軸受要素(16)を、前記スピンドル(12)、次に、前記スピンドルナット(14)が配されている冷却ルートによって、貫通するよう構成され、
前記スピンドル(12)はその中心に少なくとも1つの孔(24)を有し、該孔(24)内には、少なくとも1つのランス(20)を介して、前記スピンドルナット(14)と前記スピンドル(12)との間の接触個所の領域に冷却媒体および/または潤滑媒体が案内された、
型締めユニット(100)において、
前記冷却ルートは、前記ランス(20)を介して前記スピンドル(12)を、次に、前記冷却要素(36)を介して前記スピンドルナット(14)を、最後に、前記モータ(18)を冷却するための直列回路として構成されること、
を特徴とする型締めユニット。
【請求項2】
前記軸受要素(16)は、前記支持要素(54)と共に、軸受空間(26)を包囲しており、該軸受空間(26)には、前記軸受ユニット(30)が配置され、かつ、前記冷却媒体および/または潤滑媒体が充填されること、
を特徴とする請求項1に記載の型締めユニット。
【請求項3】
前記軸受空間(26)は、潤滑剤を冷却するための冷却要素(36,32)が設けられている閉鎖された軸受空間であること、
を特徴とする請求項2に記載の型締めユニット。
【請求項4】
スピンドル(12)、スピンドルナット(14)、モータ(18)の、並びに前記軸受ユニット(30)及び前記軸受要素(16)を含む複数の要素の少なくとも1つについての、冷却手段は、並列回路または直列回路による冷却ルートとして構成されること、
を特徴とする請求項1から3の何れかに記載の型締めユニット。
【請求項5】
前記冷却ルートは、損失出力が最も大きい要素に最も冷たい冷却媒体および/または潤滑媒体が供給されるよう、構成されること、
を特徴とする請求項4に記載の型締めユニット。
【請求項6】
前記冷却ルートは、前記スピンドルユニットの内側から外側へ向かう複数の要素の直列回路として構成されること、
を特徴とする請求項4又は5に記載の型締めユニット。
【請求項7】
前記スピンドル(12)は前記冷却ルートの第1の部分であること、
を特徴とする請求項4~6の何れかに記載の型締めユニット。
【請求項8】
前記スピンドル(12)および前記軸受ユニット(30)は空間的に分離されていること、
を特徴とする請求項1からの何れかに記載の型締めユニット。
【請求項9】
前記モータ(18)は、さらなる温度上昇時にさらなる熱的過負荷から保護するためにスイッチオフを行う一体化された熱的過負荷保護部を有すること、
を特徴とする請求項1からの何れかに記載の型締めユニット。
【請求項10】
前記軸受ユニット(30)はアキシャル自動調心ころ軸受として構成されること、
を特徴とする請求項1からの何れかに記載の型締めユニット。
【請求項11】
前記軸受ユニット(30)は、同時に、少なくとも前記冷却媒体および/または潤滑媒体の送りを支援する送り手段として構成されること、
を特徴とする請求項1から10の何れかに記載の型締めユニット。
【請求項12】
前記スピンドルユニット(10)は、前記冷却媒体および/または潤滑媒体を用いて、目標を定めて温度調節可能であること、
を特徴とする請求項1から11の何れかに記載の型締めユニット。
【請求項13】
前記スピンドルユニット(10)は、遊星ローラねじ駆動機構として構成されること、
を特徴とする請求項1から12の何れかに記載の型締めユニット。
【請求項14】
前記軸受要素(16)は、別体の要素として構成されており、前記支持要素(54)に一体化されていないこと、
を特徴とする請求項1から13の何れかに記載の型締めユニット。
【請求項15】
前記支持要素(54)は、付加的なラジアル軸受支持手段(62)を有すること、
を特徴とする請求項1から14の何れかに記載の型締めユニット。
【請求項16】
前記スピンドルナット(14)および/または前記軸受空間(26)は、少なくとも1つの冷却コイル(36)を有すること、
を特徴とする請求項2から15の何れかに記載の型締めユニット。
【請求項17】
前記潤滑媒体および/または冷却媒体によって冷却される軸受空間(26)が設けられており、該軸受空間(26)内には、前記スピンドルユニット(10)の協働する部分のための潤滑剤が収容されること、
を特徴とする請求項1から16の何れかに記載の型締めユニット。
【請求項18】
前記潤滑剤は、前記スピンドルユニットの前記部分との協働作用の際に行われる前記軸受ユニット(30)の運動によって、前記軸受空間(26)内で循環可能であること、
を特徴とする請求項17に記載の型締めユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2016年10月13日に提出されたドイツ特許出願第10 2016 119 581.2号を参照しかつその優先権を主張するものであり、該出願の開示内容全体もこの引用を以って完全に本願の対象をなすものとする。
【0002】
本発明は、請求項1の上位概念に応じた、例えばセラミック物質または粉末状物質のようなプラスチックおよび他の可塑化可能な物質を加工するための射出成形機における射出成形型のための型締めユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
熱ないし出力排出のための冷却コンセプト(冷却技術)を用いる射出成形機ないし射出成形機のための型締めユニットについては種々の技術が知られている。冷却コンセプトの必要性は、個別要素の熱膨張に起因する摩擦増大によって惹起される熱としてシステムにもたらされる大きな効率損失よって生じ、増大される摩耗および熱的な過負荷から各要素を保護することを目的としている。
【0004】
DE 10 2008 051 285 B3(特許文献1)からは、スピンドル駆動装置の軸受部位および/または軸受部位に割り当てられた冷却板の直接的冷却手段を有する型締めユニットが知られている。軸受部位および/または軸受部位に割り当てられた冷却板を冷却ダクトが貫通通過するため、直接的な冷却によって、スピンドルシステムの寿命はより長くなり、軸受の寿命もより長くなる。
【0005】
EP 0 658 136 B1(特許文献2)からは、液冷式のサーボモータが対称的な駆動および力伝達システムとして使用される型締めユニットが知られている。サーボモータは、1つまたは複数のトグルレバーシステムに作用するクロスヘッドと相対回動不能に結合されているねじスピンドルを駆動する。これによって最小の構造サイズが得られ、また静止状態においても非常に高いトルクをもたらすことができる。冷却媒体としての水によって電気的なサーボモータから排出される熱エネルギを回収し、それに続いて、例えばツール温度調節のために、利用することができる。
【0006】
DE 10 2010 051 766 A1(特許文献3)には、スピンドルとスピンドルナットとの間の潤滑領域およびシール領域を有する射出成形機のためのスピンドル駆動装置が開示されている。潤滑領域の端部には第1の潤滑油シールが設けられており、この第1の潤滑油シールは、潤滑領域を制限(境界を画成)し、またスピンドルに当接(接触)する。潤滑領域の同じ端部における、第1の潤滑油シールの潤滑領域とは反対側には、スピンドルに当接(接触)する第2の潤滑油シールが設けられている。第1のシールによって、潤滑油は潤滑領域内に保持される。それにもかかわらず、潤滑油がシール領域に浸入する場合には、潤滑油は第2のシールによって逸らされ、その結果、潤滑油は両シール間に配置されている排出孔を介して流出することができる。目標は、駆動装置スピンドルにおける目標を定めた潤滑および潤滑剤排出であり、この場合、熱的観点は何の役割もしていない。
【0007】
延伸ブロー成形(Streckblasformen)によって容器、特にペットボトル、を製造するためのプリフォーム(Vorformling)はDE 10 2012 108 061 A1(特許文献4)に開示されている。モールドキャビティ(Formnest)は、キャビティ、コア、ネックリング、支持リングおよび底部インサートから構成されている。底部部分は、実質的に円錐状の部分と、中空シリンダ軸に配置された注入点とを有しており、円錐状部分と注入点との間には、湾曲された外壁を備えている結合部分が設けられている。コアの内部において成形材料を可及的に迅速に冷却するために、供給ダクトが設けられており、この供給ダクトを介して冷却水をコアに流すことができる。供給ダクトは、この場合、型中空室の冷却に関与するものであるが、機械的に協働する構成部材の冷却に関与するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】DE 10 2008 051 285 B3
【文献】EP 0 658 136 B1
【文献】DE 10 2010 051 766 A1
【文献】DE 10 2012 108 061 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
尤も、従来技術によるこれらの解決策の場合であっても、発熱に起因してさらにスピンドルユニットの個々のコンポーネントの熱膨張が生じ、その結果、スピンドルユニットの内部での摩擦増大によって惹起されるより大きな損失出力(損失熱)がやはり生じる。
【0010】
本発明の課題は、これらの従来技術から出発し、スピンドルユニットのより効率的な冷却を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1の特徴に応じた型締めユニットによって解決される。
本発明の一視点により、プラスチックおよび他の可塑化可能な物質を加工するための射出成形機における射出成形型のための型締めユニットが提供される。該型締めユニットは、
・少なくとも1つの第1の型支持体と、
・少なくとも1つの、前記第1の型支持体に対して相対的に可動の型支持体であって、前記第1の型支持体と共に、両型支持体間に射出成形型を収容するための型締め空間を形成する、可動の型支持体と、
・前記第1の型支持体に向かう前記可動の型支持体の運動および前記第1の型支持体から離れる前記可動の型支持体の運動に基づく前記射出成形型の周期的な開閉のための少なくとも1つの電気機械式の閉鎖機構のための少なくとも1つの支持要素と、を備え、
・前記閉鎖機構は、少なくとも1つのスピンドルユニットによって操作され、該スピンドルユニットは、少なくとも1つのスピンドルと、該スピンドルと協働しかつ軸受ユニットに取り付けられる少なくとも1つのスピンドルナットと、軸受要素に取り付けられる少なくとも1つのモータとを有し、
・さらに、前記スピンドルユニットから熱を排出するための冷却要素を有する冷却手段を備え、該冷却要素は少なくとも前記軸受ユニットおよび/または前記軸受要素を、前記スピンドル、次に、前記スピンドルナットが配されている冷却ルートによって、貫通するよう構成され、
前記スピンドルはその中心に少なくとも1つの孔を有し、該孔内には、少なくとも1つのランスを介して、前記スピンドルナットと前記スピンドルとの間の接触個所の領域に冷却媒体および/または潤滑媒体が案内されており、
前記冷却ルートは、前記ランスを介して前記スピンドルを、次に、前記冷却要素を介して前記スピンドルナットを、最後に、前記モータを冷却するための直列回路として構成されること、を特徴とする(形態1)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここに、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の一視点参照。
(形態2)形態1の型締めユニットにおいて、前記軸受要素は、前記支持要素と共に、軸受空間を包囲しており、該軸受空間には、前記軸受ユニットが配置され、かつ、前記冷却媒体および/または潤滑媒体が充填されることが好ましい。
(形態3)形態2の型締めユニットにおいて、前記軸受空間は、潤滑剤を冷却するための冷却要素が設けられている閉鎖された軸受空間であることが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかの型締めユニットにおいて、スピンドル、スピンドルナット、モータの、並びに前記軸受ユニット及び前記軸受要素を含む複数の要素の少なくとも1つについての、冷却手段は、並列回路または直列回路による冷却ルートとして構成されることが好ましい。
(形態5)形態4の型締めユニットにおいて、前記冷却ルートは、損失出力が最も大きい要素に最も冷たい冷却媒体および/または潤滑媒体が供給されるよう、構成されることが好ましい。
(形態6)形態4又は5の型締めユニットにおいて、前記冷却ルートは、前記スピンドルユニットの内側から外側へ向かう複数の要素の直列回路として構成されることが好ましい。
(形態7)形態4~6の何れかの型締めユニットにおいて、前記スピンドルは前記冷却ルートの第1の部分であることが好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかの型締めユニットにおいて、前記スピンドルおよび前記軸受ユニットは空間的に分離されていることが好ましい。
(形態9)形態1~8の何れかの型締めユニットにおいて、前記モータは、さらなる温度上昇時にさらなる熱的過負荷から保護するためにスイッチオフを行う一体化された熱的過負荷保護部を有することが好ましい。
(形態10)形態1~9の何れかの型締めユニットにおいて、前記軸受ユニットはアキシャル自動調心ころ軸受として構成されることが好ましい。
(形態11)形態1~10の何れかの型締めユニットにおいて、前記軸受ユニットは、同時に、少なくとも前記冷却媒体および/または潤滑媒体の送りを支援する送り手段として構成されることが好ましい。
(形態12)形態1~11の何れかの型締めユニットにおいて、前記スピンドルユニットは、前記冷却媒体および/または潤滑媒体を用いて、目標を定めて温度調節可能であることが好ましい。
(形態13)形態1~12の何れかの型締めユニットにおいて、前記スピンドルユニットは、遊星ローラねじ駆動機構として構成されることが好ましい。
(形態14)形態1~13の何れかの型締めユニットにおいて、前記軸受要素は、別体の要素として構成されており、前記支持要素に一体化されていないことが好ましい。
(形態15)形態1~14の何れかの型締めユニットにおいて、前記支持要素は、付加的なラジアル軸受支持手段を有することが好ましい。
(形態16)形態2~15の何れかの型締めユニットにおいて、前記スピンドルナットおよび/または前記軸受空間は、少なくとも1つの冷却コイルを有することが好ましい。
(形態17)形態1~16の何れかの型締めユニットにおいて、前記潤滑媒体および/または冷却媒体によって冷却される軸受空間が設けられており、該軸受空間内には、前記スピンドルユニットの協働する部分のための潤滑剤が収容されることが好ましい。
(形態18)形態17の型締めユニットにおいて、前記潤滑剤は、前記スピンドルユニットの前記部分との協働作用の際に行われる前記軸受ユニットの運動によって、前記軸受空間内で循環可能であることが好ましい。
有利な発展形態は従属請求項の対象である。
なお、特許請求の範囲において個別に記載されている特徴は、技術的に有意義な態様で相互に組み合わせることが可能であり、また、明細書において説明されている事項および図面に示されている詳細によって補うことができ、本発明のさらなる実施形態のヴァリエーションが示される。
また、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【0013】
型締めユニットは、少なくとも1つの、有利には定置の第1の型支持体と、第1の型支持体に対して相対的に可動の型支持体とを有しており、これらの型支持体が一緒になって1つの型締め空間を画成する。さらに、電気機械式の閉鎖機構のための支持要素が設けられており、この閉鎖機構は、少なくとも1つのスピンドルユニットを介して操作され、また可動の型支持体に作用するが、そのため、閉鎖機構は、周期的に運動されること、ないしは射出成形型に関する開放位置および閉鎖位置に移動されることができる。スピンドルユニットは、少なくとも1つのスピンドルと、そのスピンドルと協働し、軸受ユニットに取り付けられる少なくとも1つのスピンドルナットと、軸受要素に取り付けられる少なくとも1つのモータとを有する。冷却のために、冷却要素(複数)は、少なくとも軸受ユニットおよび/または軸受要素を貫通通過する。本発明に応じ、スピンドルは、その中心に少なくとも1つの孔を有し、この孔内では、少なくとも1つの(インジェクション)ランス(Lanze)を介して、冷却媒体および/または潤滑媒体がスピンドルナットとスピンドルとの間の接触個所の領域に案内され、これによって、生じた熱量を排出することができ、またスピンドルユニットの効率的な冷却がもたらされる。原理上は、本発明は、射出成形機だけでなく、少なくとも1つのスピンドルユニットを有する他の機械にも適用可能である。
【0014】
軸受要素は、支持要素と共に、軸受空間を包囲しており、この軸受空間には、軸受ユニットが配置されており、また冷却媒体および/または潤滑媒体が充填される。有利には、軸受空間は、潤滑剤を冷却するための、有利には冷却コイルの形態の冷却要素が設けられる閉鎖された軸受空間である。これによって、冷却媒体としての(熱)伝達媒体と、潤滑媒体との分離が行われる。軸受空間の体積によって、有利には、冷却媒体および/または潤滑媒体を冷却および/または温度調節のために十分に冷却ルート(Kuehlstrecke)に存在させることができる。さらなる利点は、軸受ユニットの潤滑、冷却および/または温度調節が同時に行われることである。
【0015】
スピンドルユニット、スピンドル、スピンドルナット、軸受ユニット、軸受要素およびモータを含む複数の要素の少なくとも2つについての冷却(手段)は、例えば損失出力が最も大きい要素に最も冷たい冷却媒体および/または潤滑媒体が供給されるよう、有利には並列回路(Parallelschaltung)または直列回路(Reihenschaltung)による冷却ルートとして構成される。これによって、目的に応じた冷却および/または温度調節に関し要求に即した熱管理が行われる。尤も、異なる冷却ルート(複数)および/またはスピンドルユニットの個々の要素の個別の冷却ダクト(複数)の並列回路、または直列回路と並列回路の(任意の)組み合わせも可能であり、そのため、個別の冷却コンセプトをその都度の要求に合わせて作成することができる。個別ルート冷却(Einzelstreckenkuehlungen)および個別ルート冷却と並列回路の組み合わせも可能である。冷却ルートを任意に構成することも可能であり、例えば外側から内側に向かうよう構成可能であるが、この場合、例えば損失出力が最も大きい要素には最も冷たい冷却媒体および/または潤滑媒体は供給されない。しかしながら、冷却ルートにおける複数の要素の他のあらゆる任意の配置構成も可能である。
【0016】
有利には、冷却ルートは、スピンドルユニットの内側から外側へ向かう複数の要素の直列回路として構成される。例えば、冷却ルートはスピンドルから出発し、スピンドルナットおよび冷却コイルを介してモータ内に案内される。尤も、直列回路において、冷却媒体をスピンドルからモータを介してスピンドルナットまで案内すること、すなわち非常に大きな熱を発生する一連の要素に案内することができる。いずれの場合にも、カスケード式の構造によって、より大きな機械においても最適な冷却コンセプトが達成される。なお、そのような機械では、熱は、一方では(当該機械の大きさに応じて)より多く発生するが、他方ではまさにスピンドル駆動機構の内部においてより大きいサイズに変更されるためその排出はより困難なものである。
【0017】
スピンドルについて効果的な冷却を確保するために、冷却ルートは直列回路として構成されるのが好ましく、この場合、有利には、スピンドルは冷却ルートの第1の(最初の)部分である。スピンドルが熱膨張し、その結果、損傷に至ることは、冷却(手段)によって回避される。尤も、原理上は、冷却ルートの内部の他のあらゆる位置でのスピンドルの冷却も可能である。同様に、冷却ルートを並列回路としてまたは直列回路と並列回路の組み合わせとして構成することも可能である。
【0018】
有利には、冷却媒体および/または潤滑媒体はオイルを有する。尤も、熱の吸収および放出が可能でありおよび/または潤滑に適している他のあらゆる媒体、例えば水も可能である。
【0019】
個々の要素の要求に即した熱管理のために、有利には、スピンドルおよび軸受ユニットが空間的に(互いに)分離されており、これによって、熱的な分離がもたらされ、そのようにして個々の要素の独立した冷却ないし温度調節が実現される。
【0020】
冷却ルートの有利な付加的な保護の確保のために、モータは一体化された熱的過負荷保護部を有する。
【0021】
軸線方向の大きな負荷を受容するために及び供給作用に基づく冷却媒体および/または潤滑媒体の最適な循環のために、軸受ユニットは有利にはアキシャル自動調心ころ軸受(Axial-Pendelrollenlager)として構成される。かくして、冷却媒体および/または潤滑媒体が長時間にわたって滞留し得、それによって冷却ルートが閉塞し得るデッドスペース(Totraeume)は生じない。尤も、原理上は、例えば玉軸受のような他の軸受ユニットも使用可能である。
【0022】
有利には、軸受ユニットは、同時に、少なくとも冷却媒体および/または潤滑媒体の送りを支援する供給手段として構成される。
【0023】
極めて大きな精密度のために、通常の冷却に加えて、有利なことに、スピンドルユニットは、冷却媒体および/または潤滑媒体によって目標を定めて温度調節されることができる。
【0024】
比較的高いパッキング密度での高い精度および良好な力伝達特性のために特に有利には、スピンドルユニットは、遊星ローラねじ駆動機構(Planetenrollengewindetrieb)として構成される。尤も、例えばボールねじ駆動機構またはあらゆる種類の可動スピンドルのような他の力伝達ユニットも可能である。
【0025】
軸受要素は、簡単な組み立てのために、有利には別個の要素として構成され、支持要素に一体化されない。軸受要素と支持要素との場所的(空間的)な分離によって、有利なことに、支持要素の変形による付加的な横断方向の力は軸受要素に作用しない。
【0026】
スピンドルの良好なロックに関する重力補償に加えて、支持要素は、有利には、付加的なラジアル支持手段を有する。
【0027】
スピンドルナットおよび/または軸受空間は発生する熱エネルギを排出するために少なくとも1つの冷却コイルを有すると、有利である。冷却コイルは、有利には2サーキュレーション(循環)システム(2-Kreissystem)における液体冷却器として構成される。尤も、例えば外部の冷却装置または空気/液体冷却コンセプトとしての、冷却コイルの他のあらゆる実施形態およびその配置構成も可能である。
【0028】
有利には、潤滑媒体および/または冷却媒体によって冷却される軸受空間が設けられ、この軸受空間内にはスピンドルユニットの協働する部分のための潤滑剤が収容される。これによって、2つの異なる冷却サーキュレーション(循環システム:Kuehlkreislaeufen)を用いる熱管理が実現され、これは、同時に、良好な冷却(手段)も、スピンドルユニットの良好な冷却も実現する。
【0029】
さらに、有利には、潤滑剤がスピンドルユニットの上記の(協働)部分との協働作用(Zusammenspiel)の際に行われる軸受ユニットの運動によって軸受空間内で循環可能な場合、軸受空間内における潤滑剤の均一な分布、したがってスピンドルナットとスピンドルとの間の当該領域における(均一な)熱分布が達成される。
【0030】
さらなる利点は、従属請求項および好ましい実施例の下記の説明から明らかになる。特許請求の範囲において個別に記載されている特徴は、技術的に有意義な態様で相互に組み合わせることが可能であり、また明細書において説明されている事項(形態)および図面に示されている詳細によって補うことが可能であり、本発明のさらなる実施形態のヴァリエーションが示される。
【0031】
以下において、本発明は添付の図面に示された実施例に基づいて詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】2つのスピンドルユニットを備えた型締めユニットの一例を斜め上方から見た斜視図。
図2図1に示したスピンドルユニットを斜め上方から見た斜視図。
図3】型締めユニットの部分(複数)を含み、冷却媒体および/または潤滑媒体の循環の様子が示されている、スピンドルユニットの一部を側方から見た断面図。
図4】型締めユニットの部分(複数)を含むスピンドルユニットを上方から見た断面図。
【実施例
【0033】
本発明は今や例示的に添付の図面を参照して詳細に説明される。尤も、実施例は単なる例に過ぎず、本発明のコンセプトを特定の配置構成に限定することを意図したものではない。本発明を詳細に説明する前に、本発明は本装置の各構成部材および各方法工程に限定されるものではないことを言及しておく。何故ならば、これらの構成部材および方法工程は変更可能であるからである。ここで使用する概念は、特別な実施形態の説明のためにのみ規定されているのであって、限定的に使用されるものではない。さらに、明細書または特許請求の範囲において、単数形または不定冠詞が使用される場合、これらは、その意であることが全体の文脈から一義的に明らかである場合を除き、これらの要素の複数形をも意味するものとする。
【0034】
図1は、有利には定置の第1の型支持体50と、該定置の型支持体50と共に型締め空間Rを規定(画成)する可動の第2の型支持体52と、支持要素54においてクロスヘッド58を介して可動の型支持体52に作用する閉鎖機構Mとを備えた、プラスチックおよび例えばセラミック物質または粉末状物質のような他の可塑化可能な物質を加工するための射出成形機における射出成形型のための型締めユニット100の一例を斜め上方から見た斜視図で示す。通常の場合、型締めユニットには、図1において紙面左側から、不図示の可塑化ユニットが配される。
【0035】
射出成形型を周期的に開閉するために、電気機械式の閉鎖機構Mが設けられている。この閉鎖機構Mは、支持要素54に支持されており、この実施例においては、トグルレバー機構(Kniehebelmechanismus)として構成されている。尤も、例えばスピンドル駆動装置または油圧式駆動装置のような他の駆動装置も可能であり、同様に、電気機械式の閉鎖機構が使用される限りにおいて、例えば型支持体50,52のうちの一方が同時に支持要素を形成する2プレートシステムにおける閉鎖機構Mの他の支持態様も可能である。閉鎖機構を操作することによって、可動の型支持体52は、定置の型支持体50に向かうように及び定置の型支持体50から離れるように運動する。支持要素54、クロスヘッド58、可動の型支持体52および定置の型支持体50はタイバー(複数)56を介して相互に結合されている。これらのタイバー56は、同時に、可動の型支持体52のためのガイドとして使用可能であるが、必然的ではない。代替的に、例えば締付(型締め)空間Rの周りに力を導く別の力伝達要素を設けることも可能である。有利には、閉鎖機構Mは、少なくとも1つのスピンドルユニット10によって、図1における実施例では2つのスピンドルユニットによって、操作される。
【0036】
図2は、図1に示したスピンドルユニット10を斜め上方から見た斜視図である。スピンドルユニット10は、少なくとも1つのスピンドル12と、図3に示すようにスピンドル12と協働しかつ軸受ユニット30に取り付けられた少なくとも1つのスピンドルナット14と、軸受要素16に取り付けられた少なくとも1つのモータ18とを有する。スピンドルユニット10から熱を排出するための、冷却ダクト(複数)32のような冷却要素(複数)又は更には軸受空間26を用いる冷却(手段)は、図3および図4に示すように、少なくとも軸受ユニット30および/または軸受要素16を貫通する。しかしながら原理上は、スピンドルユニット10を貫通する、例えばモータ18を貫通する更なる冷却ダクト32も考えられる。この実施例においては、スピンドル12はその中心に少なくとも1つの孔24を有し、この孔24内において、少なくとも1つのランス20を介して、スピンドルナット14とスピンドル12との間の接触個所の領域に冷却媒体および/または潤滑媒体が案内され、これによって有利にはスピンドルユニット10の効率的な冷却(Kuehlung)がもたらされる。図2に示されているように、冷却ルートないし冷却ダクト32のフランジ取り付けおよび/または結合のための冷却コネクタ22が、少なくともランス20、軸受要素16およびモータ18に設けられている。
【0037】
図3および図4に示した好ましい更なる一実施例においては、軸受要素16は支持要素54と共に軸受空間26を包囲しており、この軸受空間26には、軸受ユニット30が配置され、冷却媒体および/または潤滑媒体が充填される。有利には、軸受空間26は、潤滑剤を冷却するための有利には冷却コイル36の形態の冷却要素が設けられている閉鎖またはカプセル化された軸受空間である。かくして、冷却媒体としての(熱)伝達媒体と潤滑媒体との分離が行われる。
【0038】
好ましい一実施例においては、支持要素54は、支持プレートとして構成されているか、または2プレートシステムでは、例えば型支持体50,52のうちの一方であってよい。
【0039】
有利には、スピンドル12、スピンドルナット14、軸受ユニット30、軸受要素16およびモータ18を含む少なくとも2つの要素についての冷却(手段)は、有利には損失出力が最も大きい要素に最も冷たい冷却媒体および/または潤滑媒体が供給されるよう、スピンドルユニット10の内側から外側に向かう直列回路による冷却ルートとして構成される。例えば、冷却ルートはスピンドル12から出発し、スピンドルナット14および冷却コイル36を介してモータ18に至る(よう構成される)。従って、これによって、スピンドル12、オイル空間ないし軸受空間26およびモータが順に冷却される。このために、図2においては、スピンドル12の冷却コネクタ22は、軸受要素16の冷却コネクタ22およびモータ18の冷却コネクタ22とこの順序で接続され、それによって最も冷たい冷却媒体および/または潤滑媒体は先ずスピンドル12に到達する。ここで、モータ18内における貫流の方向は問題ではないので、軸受要素16からモータ18の冷却コネクタ22への直接的な冷却媒体および/または潤滑媒体の供給が可能である。有利には、これによって、突縁(Stoerkanten)およびホース管(Schlauchleitungen)は最小化されるかないしは不要になる。同様に、冷却ルートを任意に、例えば外側から内側に向かうよう、構成することも可能であり、この場合、例えば損失出力が最も大きい要素には最も冷たい冷却媒体および/または潤滑媒体は供給されない。尤も、冷却ルートにおける各要素の他のあらゆる任意の配置構成も可能である。そのため、直列回路において、冷却媒体は、スピンドルからモータを介してスピンドルナットまで案内されること、すなわち一連の熱発生部に案内されることができる。
【0040】
原理上は、直列回路の他に、並列回路および/または直列回路と並列回路の組み合わせも可能である。有利には、1つの並列回路を用いて、スピンドルユニット10の個々の要素の個々のおよび/またはすべての冷却ダクトを個別に制御することができ、また互いに独立に冷却および/または温度調節することができる。冷却ダクト(複数)32の個別ルート冷却または個別ルート冷却と並列回路の組み合わせも考えられる。従って、例えば、スピンドル12を冷却しつつ、モータ18を一定の温度に維持することができる。
【0041】
格別に好ましい一実施例においては、冷却ルートは直列回路として構成されており、この場合、スピンドル12は冷却ルートの第1の(最初の)部分である。これによって、冷却ルート内におけるスピンドル12の効果的な冷却が保証される。
【0042】
冷却媒体および/または潤滑媒体としては、有利には、オイルが使用される。オイルは、熱エネルギの吸収及び運搬に関して良好な特性を提供し、有利には同時に、スピンドルユニット10の要素(複数)の、例えば軸受ユニット30の、潤滑に使用することができる。尤も、他の冷却媒体および/または潤滑媒体も考えられる。
【0043】
スピンドルユニット10の個々のコンポーネントの要求通りの熱管理を実現するために、有利には、スピンドル12と軸受ユニット30は、図3および図4に示したように、空間的に分離される。さらに、モータ18は駆動軸28を介して、スピンドル12およびスピンドルナット14の回動する要素、この実施例においてはスピンドルナット14を駆動する。空間的な分離によって、それらの要素は熱的に分離され、したがって、それらの要素を個別に冷却ないし温度調節することができる。尤も、原理上は、例えばモータ18のように、スピンドルユニット10の更なる要素の空間的分離も可能である。
【0044】
有利には、モータ18は、冷却ルートの安全保護手段(Schutzabsicherung)としての一体化された熱的過負荷保護部を有する。これによって、有利には、冷却ルートの温度が過度に高い場合に、この冷却ルートが、冷たい冷却媒体および/または潤滑媒体によって冷却ないし温度調節されることが達成される。例えば、さらなる温度上昇時には、熱的過負荷から保護するスイッチオフ(Abschaltung)が行われる。
【0045】
図3および図4に示した実施例においては、軸受ユニット30は、アキシャル自動調心ころ軸受(アキシャル球面ころ軸受:Axial-Pendelrollenlager)として構成されている。自動調心ころ軸受の送り作用によって、軸受空間26における冷却媒体および/または潤滑媒体の最適な循環が達成される。有利には、この場合、冷却媒体と潤滑媒体との分離が行われる。潤滑媒体は、軸受空間26においてカプセル化されて収容され、軸受ユニット30を通って送られる間、冷却コイル36を(貫通)通過する冷却媒体を介して冷却されることができる。したがって、冷却媒体および/または潤滑媒体が長時間にわたり滞留し得る、そのため冷却ルートを閉塞するデッドスペースは生じない。アキシャル自動調心ころ軸受は、同時に、少なくとも冷却媒体および/または潤滑媒体の送りを支援する送り手段としても構成可能である。尤も、原理上は、同様に送り手段として構成可能な例えば玉軸受のような他の軸受ユニット30も可能である。冷却媒体および/または潤滑媒体によって、有利には、スピンドルユニット10を目標を定めて温度調節することも可能である。
【0046】
冷却媒体および/または潤滑媒体の循環は、図3における実施例では、矢印64によって表されている。有利にはカプセル化された軸受空間26において、そこに存在する潤滑剤の循環、したがって冷却も、軸受ユニット30の送り作用によって支援される。軸受ユニット30は、このために、有利にはアンギュラ玉軸受(複数)を有する。アンギュラ玉軸受(複数)は、その運動時に、軸受空間内の潤滑媒体を有利には回流(渦動)させる(verwirbeln)。冷却媒体および/または潤滑媒体は、その際、冷却ダクト32を貫流し、冷却コイル36のそばを流れる。このようにして連続的な循環(Umwaelzung)が生じ、その結果、一様な温度分布が生じる。さらに、軸受ユニット30の送り作用によっても支援されて、冷却媒体および/または潤滑媒体が滞留し得るデッドスペースは生じない。さらに、冷却コイル36によって、軸受空間26内の冷却媒体および/または潤滑媒体が冷却される。かくして、スピンドルナット14および軸受ユニット30の潤滑及び冷却が同時にもたらされる。
【0047】
図3における実施例では、冷却コイル36の冷却は、軸受空間26における冷却媒体および/または潤滑媒体のサーキュレーション(循環:Zirkulation)から分離されている。冷却コイル36の冷却のための冷却媒体および/または潤滑媒体としては例えば水が使用され、これに対し、サーキュレーション(循環)のための冷却媒体および/または潤滑媒体は例えばオイルである。この場合、相互に分離された少なくとも2つの冷却サーキュレーション(循環系:Kuehlkreislaeufe)が生じる。第1の冷却サーキュレーション系においては、例えば水が冷却媒体および/または潤滑媒体として使用され、ランス20を介してスピンドル12を冷却し、続いて冷却コイル36を介してスピンドルナット14および軸受空間26を冷却し、最後にモータ18を冷却する。第2の冷却サーキュレーション系に関しては、例えばオイルが冷却媒体および/または潤滑媒体として使用される。オイルは、軸受空間26内を循環し、冷却コイル36によって冷却される。付加的に、オイルは、冷却に加えて、スピンドルナット14および軸受ユニット30の潤滑も行う。両冷却サーキュレーション(系)は、好ましくは、例えば直列回路および/または並列回路として構成されている。
【0048】
尤も、原理上は、代替的に、冷却コイル36の冷却および軸受空間26におけるサーキュレーション(循環)は相互に分離されておらず、共通の冷却媒体および/または潤滑媒体として、例えばオイルが使用されることも可能である。この場合、1つの冷却サーキュレーションのみが存在する。例えば、この場合、「冷たい」オイルが、冷却媒体および/または潤滑媒体として、先ずランス20を介してスピンドル12を冷却し、続いて冷却コイル36を介してスピンドルナット14を冷却し、その後、軸受空間26におけるサーキュレーションのために使用され、最後にモータ18の冷却のために使用される。しかしながら、更に、冷却サーキュレーション(複数)の個々の部分についてそれぞれ1つの別個の(分離された)冷却サーキュレーション(系)が存在することも可能である。例えば、スピンドル12、スピンドルナット14、冷却コイル36、軸受空間26、軸受ユニット30およびモータ18についてそれぞれ1つの別個の冷却サーキュレーションを設けることができる。
【0049】
格別に好ましい一実施例においては、冷却コイル36の冷却は例えばスピンドル12とモータ18との間の冷却ルートに組み込まれる。冷却媒体および/または潤滑媒体としては、例えば水が想定されている。例えば、冷却媒体および/または潤滑媒体は、先ず、例えば直列回路を用いてランス20に供給され、続いて冷却コイル36に供給され、最後にモータ18に供給される。かくして、スピンドル12からスピンドルナット14を介してモータ18にまで至る冷却ルートが形成される。尤も、原理上は、冷却ルートの他のあらゆる配置構成も可能である。軸受空間26における冷却媒体および/または潤滑媒体、例えばオイルの循環は、この実施例においては、冷却ルートから分離されている。
【0050】
複数の異なる冷却ルートは、複数の異なる熱源からのシステム的にも熱的にも最適でありかつその都度の要求に適合可能な熱排出を目的に通りに行えるという点で共通している。
【0051】
スピンドルユニット10全体は有利には遊星ローラねじ駆動機構(Planetenrollengewindetrieb)として構成される。かくして、高い精度、比較的高いパッキング密度での良好な力伝達特性によって、スピンドルユニット10は特徴付けられる。
【0052】
図3および図4によれば、軸受要素16は有利には別体の要素として構成され、支持要素54に一体化されていない、ないしは支持要素54の構成要素ではない。かくして、組み立ては簡単になり、また、軸受要素16と支持要素54とが分離されていることから、支持要素54の変形による付加的な横方向の力が軸受要素16に作用することはない。
【0053】
支持要素54は、図3および図4の実施例では、有利な重力補償のための付加的なラジアル軸受支持手段62を有する。
【0054】
有利には、スピンドルナット14および/または軸受空間26は、少なくとも1つの冷却コイル36を有する。したがって、有利には、生じた熱量を効率的に放出することおよびスピンドルナット14を冷却することおよび/または温度調節をすることができる。
【0055】
本願の枠内において、温度調節(Temperierung)という場合、これは、原理的に、冷却も含む。一般的には、冷却も行われるであろう。
【0056】
ここに、本発明の可能な態様を付記する。
[付記1]プラスチックおよび例えばセラミック物質または粉末状物質のような他の可塑化可能な物質を加工するための射出成形機における射出成形型のための型締めユニット。型締めユニットは、
・少なくとも1つの、有利には定置の第1の型支持体と、
・少なくとも1つの、前記第1の型支持体に対して相対的に可動の型支持体であって、前記第1の型支持体と共に、両型支持体間に射出成形型を収容するための型締め空間を形成する、可動の型支持体と、
・前記第1の型支持体に向かう前記可動の型支持体の運動および前記第1の型支持体から離れる前記可動の型支持体の運動に基づく前記射出成形型の周期的な開閉のための少なくとも1つの電気機械式の閉鎖機構のための少なくとも1つの支持要素と、を備える。
・前記閉鎖機構は、少なくとも1つのスピンドルユニットによって操作され、該スピンドルユニットは、少なくとも1つのスピンドルと、該スピンドルと協働しかつ軸受ユニットに取り付けられる少なくとも1つのスピンドルナットと、軸受要素に取り付けられる少なくとも1つのモータとを有する。
・さらに、[型締めユニットは、]前記スピンドルユニットから熱を排出するための冷却要素を有する冷却手段を備え、該冷却要素は少なくとも前記軸受ユニットおよび/または前記軸受要素を貫通するよう構成されている。
前記スピンドルはその中心に少なくとも1つの孔を有し、該孔内には、少なくとも1つのランスを介して、前記スピンドルナットと前記スピンドルとの間の接触個所の領域に冷却媒体および/または潤滑媒体が案内される。
[付記2]上記の型締めユニットにおいて、前記軸受要素は、前記支持要素と共に、軸受空間を包囲しており、該軸受空間には、前記軸受ユニットが配置され、かつ、前記冷却媒体および/または潤滑媒体が充填される。
[付記3]上記の型締めユニットにおいて、前記軸受空間は、潤滑剤を冷却するための、有利には冷却コイルの形態の冷却要素が設けられている閉鎖された軸受空間である。
[付記4]上記の型締めユニットにおいて、前記スピンドル、前記スピンドルナット、前記軸受ユニット、前記軸受要素及び前記モータを含む複数の要素の少なくとも2つについての冷却手段は、有利には損失出力が最も大きい要素に最も冷たい冷却媒体および/または潤滑媒体が供給されるよう、並列回路または直列回路による冷却ルートとして構成される。
[付記5]上記の型締めユニットにおいて、前記冷却ルートは、前記スピンドルユニットの内側から外側へ向かう複数の要素の直列回路として構成されるか、または、前記スピンドルから前記モータを介して前記スピンドルナットまで案内される。
[付記6]上記の型締めユニットにおいて、前記冷却ルートは直列回路として構成されており、前記スピンドルは前記冷却ルートの第1の部分である。
[付記7]上記の型締めユニットにおいて、前記スピンドルおよび前記軸受ユニットは空間的に分離されている。
[付記8]上記の型締めユニットにおいて、前記モータは、有利にはさらなる温度上昇時にさらなる熱的過負荷から保護するためにスイッチオフを行う一体化された熱的過負荷保護部を有する。
[付記9]上記の型締めユニットにおいて、前記軸受ユニットはアキシャル自動調心ころ軸受として構成される。
[付記10]上記の型締めユニットにおいて、前記軸受ユニットは、同時に、少なくとも前記冷却媒体および/または潤滑媒体の送りを支援する送り手段として構成される。
[付記11]上記の型締めユニットにおいて、前記スピンドルユニットは、前記冷却媒体および/または潤滑媒体を用いて、目標を定めて温度調節可能である。
[付記12]上記の型締めユニットにおいて、前記スピンドルユニットは、遊星ローラねじ駆動機構として構成される。
[付記13]上記の型締めユニットにおいて、前記軸受要素は、別体の要素として構成されており、前記支持要素に一体化されていない。
[付記14]上記の型締めユニットにおいて、前記支持要素は、付加的なラジアル軸受支持手段を有する。
[付記15]上記の型締めユニットにおいて、前記スピンドルナットおよび/または前記軸受空間は、少なくとも1つの冷却コイルを有する。
[付記16]上記の型締めユニットにおいて、前記潤滑媒体および/または冷却媒体によって冷却される軸受空間が設けられており、該軸受空間内には、前記スピンドルユニットの協働する部分のための潤滑剤が収容される。
[付記17]上記の型締めユニットにおいて、前記潤滑剤は、前記スピンドルユニットの前記部分との協働作用の際に行われる前記軸受ユニットの運動によって、前記軸受空間内で循環可能である。
本明細書において説明した事項については、添付の特許請求の範囲と等価な範囲において変動する種々の修正、変更および適合を行うことができることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
10 スピンドルユニット
12 スピンドル
14 スピンドルナット
16 軸受要素
18 モータ
20 (インジェクション)ランス(Lanze)
22 冷却コネクタ
24 孔
26 軸受空間
28 駆動軸(駆動シャフト)
30 軸受ユニット
32 冷却ダクト
36 冷却コイル
50 第1の定置の型支持体
52 可動の型支持体
54 支持要素
56 タイバー(Holme)
58 クロスヘッド
62 軸受支持手段
64 矢印
100 型締めユニット
R 型締め空間
M 閉鎖機構
図1
図2
図3
図4