(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】置換された6員アリール又はヘテロアリール系ニコチン性アセチルコリン受容体アロステリック調節剤
(51)【国際特許分類】
C07D 213/34 20060101AFI20220315BHJP
C07D 239/26 20060101ALI20220315BHJP
C07D 213/74 20060101ALI20220315BHJP
C07D 271/06 20060101ALI20220315BHJP
C07D 401/04 20060101ALI20220315BHJP
C07D 237/08 20060101ALI20220315BHJP
C07D 241/12 20060101ALI20220315BHJP
C07D 233/60 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/4418 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/4245 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/695 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/50 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/4965 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/4164 20060101ALI20220315BHJP
A61K 31/4196 20060101ALI20220315BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220315BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220315BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20220315BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220315BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220315BHJP
C07D 249/08 20060101ALI20220315BHJP
C07D 239/42 20060101ALI20220315BHJP
C07D 213/64 20060101ALI20220315BHJP
C07D 213/57 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
C07D213/34 CSP
C07D239/26
C07D213/74
C07D271/06
C07D401/04
C07D237/08
C07D241/12
C07D233/60
A61K31/4418
A61K31/5377
A61K31/505
A61K31/4439
A61K31/4245
A61K31/506
A61K31/695
A61K31/50
A61K31/4965
A61K31/4164
A61K31/4196
A61P43/00 121
A61P25/28
A61P25/18
A61P25/16
A61P43/00 111
A61K45/00
C07D249/08 526
C07D239/42 Z
C07D213/64
C07D213/57
(21)【出願番号】P 2019520682
(86)(22)【出願日】2017-10-30
(86)【国際出願番号】 US2017058931
(87)【国際公開番号】W WO2018085170
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-20
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596129215
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Merck Sharp & Dohme Corp.
【住所又は居所原語表記】126 East Lincoln Avenue,Rahway,New Jersey 07065-0907 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】クラウリー,ブレンダン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ベル,イアン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ハーヴィー,アンドリュー・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,ブライアン・ティー
(72)【発明者】
【氏名】グレショック,トーマス・ジェー
(72)【発明者】
【氏名】ラダ,バネッサ・エル
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-524752(JP,A)
【文献】特表2010-539188(JP,A)
【文献】特表2015-529651(JP,A)
【文献】特表2010-540586(JP,A)
【文献】国際公開第2015/191799(WO,A1)
【文献】Journal of Medicinal Chemistry,2013年,Vol.56,pp.8163-8182
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iを有する化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化1】
[式中、
Xは、
【化2】
であり、
Yは、4個の置換基であり、それぞれ独立にH、(C
1-C
4)アルキル、ハロゲン及びOHから選択され、ここで、前記アルキルは、1以上のハロゲン又はOHで置換されていても良く;
Aは、
ピリジン、ピリミジンまたはフェニルであり、それぞれ、(C
1
-C
6
)アルキル、O(C
1
-C
6
)アルキル、NR
7
R
8
、(C
3
-C
6
)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択される1個のR基で置換され、ここで、それぞれは、独立にハロゲン、CF
3
、CN、(C
1
-C
4
)アルキル、(C=O)O(C
1
-C
4
)アルキル及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良く;
R
3は、H、ハロゲン、Si(CH
3)
3又は(C
1-C
4)アルキルであり、ここで、前記アルキルは、1以上のハロゲンで置換されていても良く;
R
4は、H、ハロゲン又は(C
1-C
4)アルキルであり、ここで、前記アルキルは、1以上のハロゲンで置換されていても良く
;
R
5はH又は(C
1-C
4)アルキルであり;
R
6はH又は(C
1-C
4)アルキルであり;
R
7及びR
8は、
独立にH、(C
1
-C
6
)アルキル、(C
3
-C
6
)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択され、ここで、各アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環は、独立にハロゲン及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良い。]。
【請求項2】
YがHである、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
R
5及びR
6
が、独立にH又はメチルである、請求項1
又は2に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
R
3及びR
4が独立にH、F、Si(CH
3)
3又はメチルである、請求項1~
3のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
R
7及びR
8が、独立にH、(C
1-C
6)アルキル、シクロペンチル及びフェニルから選択され、ここで、前記アルキル及びフェニルは、ハロゲン又はフェニルで置換されていても良い、請求項1~
4のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
下記式を有する
化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化4】
[式中、
Aは、ピリジン、ピリミジン
及びフェニル
から選択され、それぞれ、(C
1-C
6)アルキル、O(C
1-C
6)アルキル、NR
7R
8、(C
3-C
6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択される1個のR基で置換され、ここで、それぞれは、独立にハロゲン、CF
3、CN、(C
1-C
4)アルキル、(C=O)O(C
1-C
4)アルキル及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良く;
R
3はH又はSi(CH
3)
3であり;
R
4はHであり;そして
R
7及びR
8は、独立にH、(C
1-C
6)アルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択され、ここで、各アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環は、独立にハロゲン及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良い。]
【請求項7】
Aが、ピリジン、ピリミジン
及びフェニル
から選択され、それぞれ(C
1-C
6)アルキル、O(C
1-C
6)アルキル、NR
7R
8、シクロブチル、シクロペンチル、フェニル、ピリジニル、モルホリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、ピロリジニル、ピペラジニル、トリアゾリル及びテトラヒドロピラニルから選択される1個のR基で置換され、ここで、それぞれは、独立にハロゲン、CF
3、CN、(C
1-C
4)アルキル、(C=O)O(C
1-C
4)アルキル及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良く;
R
3がH又はSi(CH
3)
3であり;
R
4がHであり;そして
R
7及びR
8が、独立にH、(C
1-C
6)アルキル、シクロペンチル及びフェニルから選択され、ここで、各アルキル、シクロペンチル及びフェニルは、独立にハロゲン及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良い、式Iaを有する請求項
6に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(モルホリン-4-イル)ピリミジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(6-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(5-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[4-(プロパン-2-イル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[3-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(プロパン-2-イル)ピリジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-{4-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]ピリミジン-2-イル}シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[4-(3-フルオロフェニル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-(トランス-2-{4-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]ピリミジン-2-イル}シクロプロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[4-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[5-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(6-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[5-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[5-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[3-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(1H-ピラゾール-1-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[4-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(6-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(5-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-{2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]-3-(トリメチルシリル)シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピリダジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピラジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[5-(プロパン-2-イル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[5-(プロパン-2-イル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[4-(プロパン-2-イル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{(1R,3R)-2,2-ジフルオロ-3-[4-(3-フルオロフェニル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(ジメチルアミノ)ピリミジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(シクロペンチルアミノ)ピリミジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(ベンジルアミノ)ピリミジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
tert-ブチル4-{4-[トランス-2-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロピル]ピリミジン-2-イル}ピペラジン-1-カルボキシレート;
4-(トランス-2-{2-[(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]ピリミジン-4-イル}シクロプロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-(トランス-2-{2-[メチル(フェニル)アミノ]ピリミジン-4-イル}シクロプロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(ピロリジン-1-イル)ピリミジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-(トランス-2-{2-[(4-フルオロフェニル)アミノ]ピリミジン-4-イル}シクロプロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(2-フェニルピリミジン-4-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-(トランス-2-{2-[(2-フェニルエチル)アミノ]ピリミジン-4-イル}シクロプロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(プロパン-2-イル)ピリジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(プロパン-2-イル)ピリジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(2-シクロブチルピリジン-4-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[4-(1H-イミダゾール-1-イル)フェニル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)フェニル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[5-(ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(1H-ピラゾール-1-イル)ピリジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イルオキシ)ピリジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;及び
4-{トランス-2-[6-(2-シアノプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド
からなる群から選択される
化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
(i)薬学的に許容される担体、及び、(ii)請求項1~
8のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩、を含む医薬組成物。
【請求項10】
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤;NMDA受容体拮抗薬;抗精神病薬;MAO-B阻害剤;及びレボドパからなる群から選択される第2の治療剤をさらに含む、請求項
9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
治療法で使用される、請求項1~
8のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
α7nAChR活性を調節するための、又は処置を必要とする患者でのアルツハイマー病、パーキンソン病
又は統合失調症に関連する認知機能障害を治療するための医薬の製造における、請求項1~
8のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項13】
アルツハイマー病、パーキンソン病
又は統合失調症に関連する認知機能障害を有する患者の治療において使用される、請求項1~
8のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
アルツハイマー病、パーキンソン病
又は統合失調症に関連する認知機能障害を有する患者の
治療用である、請求項9又は請求項10に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、α7nAChRの調節剤として有用な化合物、そのような化合物を含む組成物、及び疾患、特にアルツハイマー病、パーキンソン病及び統合失調症における認知機能障害などの中枢神経系の障害を予防、治療又は改善するためのそのような化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
α7nAChRは、Ca2+に対する高透過率を有する急速脱感作リガンド依存性イオンチャンネルである。ヒト脳において、α7nAChRは、認知に関連する領域である大脳皮質及び海馬で高度に発現される(例えば、Breese et al. J. Comp. Neurol. (1997) 387:385-398を参照する。)。ニューロンにおいて、α7nAChRは、シナプス前及びシナプス後の両方の構造に局在化しており、その受容体の活性化は、神経伝達物質放出、神経細胞の興奮性、及び細胞内シグナル伝達を調節することができる(例えば、Frazier et al. J. Neurosci. (1998) 18:1187-1195を参照する。)。
【0003】
認識機能障害は、アルツハイマー病(AD)、統合失調症及びパーキンソン病のような多くの神経疾患及び精神疾患において一般的であり、そして、コリン作動性シグナル伝達における機能不全がこれらの疾患の認知機能障害に関与している(例えばFrancis et al. J. Neurol. Neurosurg. Psychiatry (1999) 66:137-147を参照する。)。例えば、ADにおける病因の主たる特徴は、前脳基底部核におけるコリン作動性ニューロンの喪失であるが、アセチルコリンエステラーゼの阻害を介したコリン作動性伝達の増加が、ADの認知的徴候に対する標準治療である。α7nAChRにより特化すると、α7nAChRの部分作動薬であるエンセニクリンがアルツハイマー病における認知を改善することが最近示されている(例えば、Moebius H et al, 67th Annual Meeting. Am. Acad. Neurol. (AAN) 2015, Abst P7.100を参照する。)。統合失調症の病因におけるα7nAChRを示唆する証拠が、統合失調症患者の脳での神経細胞α7nAChRの低下した発現を示す試験、並びに統合失調症患者が、自己治療の1形態と考えられている喫煙頻度が高いという知見からもたらされている。さらに、α7nAChRタンパク質の発現に影響するα7nAChRをコードする遺伝子のプロモーター領域における変異体であるCHRNA7が、統合失調症の徴候に関連している(例えば、Sinkus et al. Neuropharmacology (2015) 96:274-288を参照する。)。さらに、臨床試験からの累積証拠が、α7nAChRの作動薬での活性化が、認知に対して有益な効果を有し得ることを示している(例えばKeefe et al. Neuropsychopharmacology (2015) 40:3053-3060及びBertrand et al. Pharmacology Reviews (2015) 67:1025-1073を参照する。)。従って、α7nAChRを標的とすることは、各種認知障害に関連する認知機能障害の治療のための治療戦略を代表する。
【0004】
パーキンソン病(PD)は、振戦、運動緩徐、強直及び姿勢反射障害のような運動機能における進行性欠陥を特徴とする神経変性疾患である。その疾患に関連する病理所見は、黒質におけるドーパミン作動性ニューロンの変性であり、それによって、線条体におけるドーパミン作用の喪失が生じる。L-DOPAは、PDにおける運動症状の現行の標準治療である。しかしながら、PD患者でのL-DOPAによる慢性治療も、L-DOPA療法の副作用である運動障害を誘発する。新たな系統の証拠が、α7nAChRの活性化によっていくつかの動物モデルで運動障害が急性的に緩和されることを示している(例えばZhang et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. (2014) 351:25-32を参照する。)。さらに、蓄積された証拠から、α7nAChR作動薬による前処置が、黒質線条体ニューロンでの神経変性に対する保護を提供し得ることが明らかになっており、それはα7活性化が疾患修飾特性も有し得ることを示唆している(例えばSuzuki et al. J. Neurosci. Res. (2013) 91:462-471を参照する。)。全体的に見て、α7nAChRは、疾患進行の改善及び運動障害の管理の両方についての魅力的な標的である。
【0005】
中枢神経系での発現に加えて、α7nAChRは、マクロファージ、単球、樹状細胞、並びにB細胞及びT細胞を含む末梢免疫細胞で広く発現される(例えばRosas-Ballina et al. Science (2011) 334:98-101を参照する。)。末梢α7nAChRの活性化が、コリン作動性抗炎症経路を介した炎症性サイトカイン類の放出を阻害するのに必須である(例えばWang et al. Nature (2003) 421:384-388を参照する。)。従って、α7nAChRは、関節リウマチ及びアテローム性動脈硬化のようないくつかの炎症疾患の標的となり得る(例えば、WJ de Jonge et al. British J. Pharmacol. (2007)151:915-929を参照する。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Breese et al. J. Comp. Neurol. (1997) 387:385-398.
【文献】Frazier et al. J. Neurosci. (1998) 18:1187-1195.
【文献】Francis et al. J. Neurol. Neurosurg. Psychiatry (1999) 66:137-147.
【文献】Moebius H et al, 67th Annual Meeting. Am. Acad. Neurol. (AAN) 2015, Abst P7.100.
【文献】Sinkus et al. Neuropharmacology (2015) 96:274-288.
【文献】Keefe et al. Neuropsychopharmacology (2015) 40:3053-3060.
【文献】Bertrand et al. Pharmacology Reviews (2015) 67:1025-1073.
【文献】Zhang et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. (2014) 351:25-32.
【文献】Suzuki et al. J. Neurosci. Res. (2013) 91:462-471.
【文献】Rosas-Ballina et al. Science (2011) 334:98-101.
【文献】Wang et al. Nature (2003) 421:384-388.
【文献】WJ de Jonge et al. British J. Pharmacol. (2007)151:915-929.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、α7選択的ポジティブアロステリック調節剤(PAM)が、AD、PD及び統合失調症での認知機能障害並びにL-DOPA誘発運動障害及び炎症を治療するための治療アプローチとして提案されている。内因性作動薬とは無関係にチャンネルを活性化するα7作動薬とは対照的に、PAMは、神経伝達の時間的および空間的完全性を乱すことなく、内因性作動薬の効力を高める。二種類のα7PAM、I型およびII型があり、それらは調節の機能特性に基づいて異なっている。I型PAM(例えば、NS1738、例えば、Timmermann et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. (2007) 323:294-307を参照する。)は主として、受容体脱感作にはほとんど効果なくピーク電流に影響するが、II型PAM(例えば、PNU120596、例えばHurst et al. J. Neurosci. (2005) 25:4396-4405を参照する。)は、受容体の脱感作を顕著に遅延させる。さらに、α7nAChR PAMは、恐らくは受容体の非保存領域への結合を介して、関連するチャンネル標的に対して改善された選択性を有し得る。
【0008】
本発明は、α7nAChRのポジティブアロステリック調節を示す新たな種類の化合物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、新規な式Iの化合物及び薬学的に許容されるその塩に関する。これらの化合物は、α7nAChRの調節、疾患、特にはアルツハイマー病、パーキンソン病及び統合失調症における認知機能障害のような中枢神経系の障害の予防、治療若しくは改善において化合物又は薬学的に許容されるその塩(適切な場合)として、及び/又は医薬組成物成分として有用であり得る。医薬組成物成分として、これらの化合物及びそれらの塩は、主たる活性治療剤であることができ、適切な場合、限定されるものではないが、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体拮抗薬、β-セクレターゼ阻害剤、M4mAChR作動薬又はPAM、mGluR2拮抗薬又はNAM又はPAM、5-HT6拮抗薬、ヒスタミンH3受容体拮抗薬、PDE4阻害剤、PDE9阻害剤、HDAC6阻害剤、抗精神病薬、MAO-B阻害剤及びレボドパを含む他の治療剤と組み合わせることができる。
【0010】
1態様において、本発明は、式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩に関するものであり、
【化1】
【0011】
【0012】
から選択され、
Yは、4個の置換基であり、それぞれ独立にH、(C1-C4)アルキル、ハロゲン及びOHから選択され、ここで、前記アルキルは1以上のハロゲン又はOHで置換されていても良く;
Aは、6員アリール又はヘテロアリール環であり、それぞれ独立にOH、オキソ、アミノ、アミド、カルボキシル、ケト、シアノ、アルコキシ、S(O)m-アルキル、ハロゲン、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキル、シクロアルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択される1~4個のR基で置換され、ここで、前記アミノ、アミド、カルボキシル、ケト、アルコキシ、S(O)m-アルキル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキル、シクロアルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール及び複素環は、独立にハロゲン、OH、オキソ、CF3、OCF3、CN、(C1-C6)アルキル、O(C1-C4)アルキル、S(O)m-(C1-C4)アルキル、C=O(C1-C4)アルキル、(C=O)NR7R8、(C=O)OR7、(C2-C4)アルキニル、(C3-C6)シクロアルキル、O(C3-C6)シクロアルキル、C=O(C3-C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択される1以上の置換基で置換されていても良く、ここで、前記アルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環は、独立に1以上のハロゲン、CF3、OH及びオキソで置換されていても良く;
R1はH又は(C1-C4)アルキルであり;
R2はH又は(C1-C4)アルキルであり;
R3は、H、ハロゲン、Si(CH3)3又は(C1-C4)アルキルであり、ここで、前記アルキルは、1以上のハロゲンで置換されていても良く;
R4は、H、ハロゲン又は(C1-C4)アルキルであり、ここで、前記アルキルは、1以上のハロゲンで置換されていても良く;
又は、R3及びR4が一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル環を形成していても良く、ここで、前記環は、独立にOH、ハロゲン又は(C1-C4)アルキルから選択される1以上の置換基で置換されていても良く;
R5はH又は(C1-C4)アルキルであり;
R6はH又は(C1-C4)アルキルであり;
R7及びR8は、独立にH、(C1-C6)アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択され、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環は、独立にハロゲン、OH、CF3、(C1-C4)アルキル、O(C1-C4)アルキル、シクロアルキル、CN、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択される1以上の置換基で置換されていても良く、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環は、独立にハロゲン、OH、CF3、(C1-C4)アルキル、O(C1-C4)アルキル、CNから選択される1以上の置換基で置換されていても良く;
RaはH又は(C1-C4)アルキルであり;
Rbは、H又は(C1-C4)アルキルであり;そして
mは0、1又は2である。
【0013】
本発明は、本発明の化合物を含む医薬組成物及びそのような医薬組成物の製造方法も含む。本発明はさらに、アルツハイマー病、パーキンソン病及び統合失調症に関連する認知機能障害を予防、治療又は改善する方法を含む。
【0014】
本発明の他の実施形態、態様及び特徴は、下記の説明、実施例及び添付の特許請求の範囲に記載されているか、それらから明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、上記の式Iの化合物及び薬学的に許容されるその塩を含む。式Iの化合物は、α7nAChRのポジティブアロステリック調節剤である。
【0016】
【0017】
であり;他の基は上記一般式で提供の通りである。
【0018】
本発明の第2の実施形態において、YはHであり、そして、他の基は、上記一般式で提供の通りであるか、第1の実施形態で提供の通りである。
【0019】
本発明の第3の実施形態において、Aは、ピリジン、ピリミジン、フェニル、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、ピリジノン、ピリミジノン、ピラジノン及びピリダジノンから選択され、それぞれ独立にハロゲン、CN、(C1-C6)アルキル、O(C1-C6)アルキル、NR7R8、(C3-C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択される1~2個のR基によって置換され、ここで、前記アルキル、NR7R8、(C3-C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環は、独立にハロゲン、CN、(C1-C6)アルキル、(C=O)O(C1-C4)アルキル及びフェニルから選択される1以上の置換基によって置換されていても良く、ここで、前記アルキルは、1以上のハロゲンによって置換されていても良く;そして、他の基は、上記一般式で提供の通りであるか、第1若しくは第2の実施形態で提供の通りである。
【0020】
本発明の第4の実施形態において、R5、R6、Ra及びRbは独立にH又はメチルであり、他の基は上記一般式で提供の通りであるか、第1、第2若しくは第3の実施形態で提供の通りである。
【0021】
本発明の第5の実施形態において、R3及びR4は独立に、H、F、Si(CH3)3又はメチルであり、そして、他の基は上記一般式で提供の通りであるか、第1~第4の実施形態で提供の通りである。
【0022】
本発明の第6の実施形態において、R7及びR8は、独立にH、(C1-C6)アルキル、シクロペンチル及びフェニルから選択され、ここで、前記アルキル及びフェニルは、ハロゲン又はフェニルで置換されていても良く、そして、他の基は、上記一般式で提供の通りであるか、第1~第5の実施形態で提供の通りである。
【0023】
本発明の第7の実施形態において、本発明の化合物は、下記式を有するか、薬学的に許容されるその塩であり、
【化4】
【0024】
式中、
Aは、ピリジン、ピリミジン、フェニル、ピリダジン及びピラジンから選択され、それぞれ、(C1-C6)アルキル、O(C1-C6)アルキル、NR7R8、(C3-C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択される1個のR基で置換され、ここで、それぞれは、独立にハロゲン、CF3、CN、(C1-C4)アルキル、(C=O)O(C1-C4)アルキル及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良く;
R3はH又はSi(CH3)3であり;
R4はHであり;そして、
R7及びR8は、独立にH、(C1-C6)アルキル、(C3-C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択され、ここで、各アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環は、独立にハロゲン及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良い。
【0025】
本発明の第8の実施形態において、本発明の化合物は、式(Ia)を有するか薬学的に許容されるその塩であり、
Aは、ピリジン、ピリミジン、フェニル、ピリダジン及びピラジンから選択され、それぞれ、(C1-C6)アルキル、O(C1-C6)アルキル、NR7R8、シクロブチル、シクロペンチル、フェニル、ピリジニル、モルホリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、ピロリジニル、ピペラジニル、トリアゾリル及びテトラヒドロピラニルから選択される1個のR基で置換されており、ここで、それぞれは、独立にハロゲン、CF3、CN、(C1-C4)アルキル、(C=O)O(C1-C4)アルキル及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良く;
R3はH又はSi(CH3)3であり;
R4はHであり;そして
R7及びR8は、独立にH、(C1-C6)アルキル、シクロペンチル及びフェニルから選択され、ここで、各アルキル、シクロペンチル及びフェニルは、独立にハロゲン及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良い。
【0026】
本発明はまた、下記の例示的化合物:
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(モルホリン-4-イル)ピリミジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(6-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(5-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[4-(プロパン-2-イル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[3-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(プロパン-2-イル)ピリジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-[(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-{4-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]ピリミジン-2-イル}シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[4-(3-フルオロフェニル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-(トランス-2-{4-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]ピリミジン-2-イル}シクロプロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[4-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[5-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(6-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[5-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[5-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[3-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(1H-ピラゾール-1-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[4-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(6-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(5-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-{2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]-3-(トリメチルシリル)シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピリダジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピラジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[5-(プロパン-2-イル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[5-(プロパン-2-イル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[4-(プロパン-2-イル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{(1R,3R)-2,2-ジフルオロ-3-[4-(3-フルオロフェニル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(ジメチルアミノ)ピリミジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(シクロペンチルアミノ)ピリミジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(ベンジルアミノ)ピリミジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
tert-ブチル4-{4-[トランス-2-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロピル]ピリミジン-2-イル}ピペラジン-1-カルボキシレート;
4-(トランス-2-{2-[(2,2-ジメチルプロピル)アミノ]ピリミジン-4-イル}シクロプロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-(トランス-2-{2-[メチル(フェニル)アミノ]ピリミジン-4-イル}シクロプロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(ピロリジン-1-イル)ピリミジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-(トランス-2-{2-[(4-フルオロフェニル)アミノ]ピリミジン-4-イル}シクロプロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(2-フェニルピリミジン-4-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-(トランス-2-{2-[(2-フェニルエチル)アミノ]ピリミジン-4-イル}シクロプロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(プロパン-2-イル)ピリジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[2-(プロパン-2-イル)ピリジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-[トランス-2-(2-シクロブチルピリジン-4-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[4-(1H-イミダゾール-1-イル)フェニル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)フェニル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[5-(ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(1H-ピラゾール-1-イル)ピリジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イルオキシ)ピリジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド;及び
4-{トランス-2-[6-(2-シアノプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド
から選択される化合物又は薬学的に許容されるその塩に関するものでもある。
【0027】
本発明の他の実施形態は、次のものを含む。
【0028】
(a)式Iの化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【0029】
(b)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えばドネペジル、リバスティグミン及びガランタミン;NMDA受容体拮抗薬、例えばメマンチン;β-セクレターゼ阻害剤、例えばベルベセスタット及びAZD3293;M4mAChR作動薬又はPAM;mGluR2拮抗薬又はNAM又はPAM;5-HT6拮抗薬、例えばイダロピルジン、RVT-101、AVN-101、AVN322、SUVN-502及びSYN-120;ヒスタミンH3受容体拮抗薬、例えばS38093;PDE4阻害剤、例えばHT0712;PDE9阻害剤、例えばBI40936;HDAC6阻害剤;抗精神病薬;LRRK2阻害剤;MAO-B阻害剤;及びレボドパからなる群から選択される第2の治療剤をさらに含む(a)の医薬組成物。
【0030】
(c)前記第2の治療剤が、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾール、クエチアピン、ハロペリドール、ロキサピン、チオリダジン、モリンドン、チオチキセン、フルフェナジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、クロルプロマジン及びペルフェナジンからなる群から選択される抗精神病薬である、(b)の医薬組成物。
【0031】
(d)(i)式Iの化合物、及び、(ii)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えばドネペジル、リバスティグミン及びガランタミン;NMDA受容体拮抗薬、例えばメマンチン;β-セクレターゼ阻害剤、例えばベルベセスタット及びAZD3293;M4mAChR作動薬又はPAM;mGluR2拮抗薬又はNAM又はPAM;5-HT6拮抗薬、例えばイダロピルジン、RVT-101、AVN-101、AVN322、SUVN-502及びSYN-120;ヒスタミンH3受容体拮抗薬、例えばS38093;PDE4阻害剤、例えばHT0712;PDE9阻害剤、例えばBI40936;HDAC6阻害剤;抗精神病薬;LRRK2阻害剤;MAO-B阻害剤;及びレボドパからなる群から選択される第2の治療剤、である医薬組み合わせであって、ここで、式Iの化合物及び第2の治療剤がそれぞれアルツハイマー病、パーキンソン病及び統合失調症に関連する認知機能障害を治療する上で有効な組み合わせとする量で用いられる、医薬組み合わせ。
【0032】
(e)前記第2の治療剤が、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾール、クエチアピン、ハロペリドール、ロキサピン、チオリダジン、モリンドン、チオチキセン、フルフェナジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、クロルプロマジン及びペルフェナジンからなる群から選択される抗精神病薬である、(d)の組み合わせ。
【0033】
(f)処置を必要とする対象者におけるα7nAChR活性を調節するための医薬の製造における式Iの化合物の使用。
【0034】
(g)処置を必要とする対象者でのアルツハイマー病、パーキンソン病及び統合失調症に関連する認知機能障害を治療するための医薬の製造における式Iの化合物の使用。
【0035】
(h)アルツハイマー病、パーキンソン病及び統合失調症に関連する認知機能障害を治療する、及び/又は処置を必要とする対象者でのアルツハイマー病、パーキンソン病及び統合失調症に関連する認知機能障害の徴候の可能性若しくは重度を低下させる方法であって、有効量の式Iの化合物を当該対象者に投与することを含む方法。
【0036】
(i)式Iの化合物を、有効量のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えばドネペジル、リバスティグミン及びガランタミン;NMDA受容体拮抗薬、例えばメマンチン;β-セクレターゼ阻害剤、例えばベルベセスタット及びAZD3293;M4mAChR作動薬又はPAM;mGluR2拮抗薬又はNAM又はPAM;5-HT6拮抗薬、例えばイダロピルジン、RVT-101、AVN-101、AVN322、SUVN-502及びSYN-120;ヒスタミンH3受容体拮抗薬、例えばS38093;PDE4阻害剤、例えばHT0712;PDE9阻害剤、例えばBI40936;HDAC6阻害剤;抗精神病薬;LRRK2阻害剤;MAO-B阻害剤;及びレボドパからなる群から選択される少なくとも一つの第2の治療剤と組み合わせて投与する、(h)の方法。
【0037】
(j)前記第2の治療剤が、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾール、クエチアピン、ハロペリドール、ロキサピン、チオリダジン、モリンドン、チオチキセン、フルフェナジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、クロルプロマジン及びペルフェナジンからなる群から選択される抗精神病薬である、(i)の方法。
【0038】
(k)処置を必要とする対象者でのα7nAChR活性の調節方法であって、当該対象者に対して、(a)、(b)若しくは(c)の医薬組成物、又は、(d)若しくは(e)の組み合わせを投与することを含む方法。
【0039】
(l)アルツハイマー病、パーキンソン病及び統合失調症に関連する認知機能障害を治療し、及び/又は処置を必要とする対象者でのアルツハイマー病、パーキンソン病及び統合失調症に関連する認知機能障害の徴候の可能性若しくは重度を低下させる方法であって、当該対象者に対して、(a)、(b)若しくは(c)の医薬組成物、又は、(d)若しくは(e)の組み合わせを投与することを含む方法。
【0040】
上記で提供の化合物及び塩の実施形態において、理解すべき点として、各実施形態は、そのような組み合わせが安定な化合物若しくは塩を提供し、実施形態の説明と一致するような程度に、1以上の他の実施形態と組み合わせることができる。さらに理解すべき点として、上記の(a)~(l)として提供された組成物及び方法の実施形態が、実施形態の組み合わせからの結果としてのそのような実施形態を含む化合物及び/又は塩の全ての実施形態を含むものと理解される。
【0041】
本発明の追加の実施形態は、上記(a)~(l)に記載の医薬組成物、組み合わせ、使用及び方法であって、そこで使用される本発明の化合物が上記の化合物の実施形態、態様、分類、下位分類若しくは特徴的なもののうちの一つの化合物であるものを含む。これらの実施形態の全てにおいて、当該化合物は、場合により薬学的に許容される塩若しくは水和物の形態で用いられても良い。
【0042】
本発明はまた、(a)アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症及びL-DOPA誘発運動障害に関連する認知機能障害を予防若しくは治療するための、又は(b)アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症及びL-DOPA誘発運動障害に関連する認知機能障害を治療するための、及び/又はアルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症及びL-DOPA誘発運動障害に関連する認知機能障害の可能性若しくは徴候の重度を低下させるための、又は(c)医療分野で使用するための、(i)そのための、(ii)医薬としての、又は(iii)医薬製造での使用のための、本発明の化合物を含む。これらの使用において、本発明の化合物は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えばドネペジル、リバスティグミン及びガランタミン;NMDA受容体拮抗薬、例えばメマンチン;β-セクレターゼ阻害剤、例えばベルベセスタット及びAZD3293;M4mAChR作動薬又はPAM;mGluR2拮抗薬又はNAM又はPAM;5-HT6拮抗薬、例えばイダロピルジン、RVT-101、AVN-101、AVN322、SUVN-502及びSYN-120;ヒスタミンH3受容体拮抗薬、例えばS38093;PDE4阻害剤、例えばHT0712;PDE9阻害剤、例えばBI40936;HDAC6阻害剤;抗精神病薬;LRRK2阻害剤;MAO-B阻害剤;及びレボドパから選択される1以上の第2の治療剤と組み合わせて使用しても良い。
【0043】
化学名、一般名及び化学構造は、同じ構造を説明するのに互換的に用いることができる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「6員アリール又はヘテロアリール環」という用語は、O、N及びSからなる群から選択される0~4個のヘテロ原子を含む安定な不飽和6員環を指す。この定義の範囲に含まれる6員アリール又はヘテロアリール環には、ピリジン、ピリミジン、フェニル、ピリダジン及びピラジンを含み、これらに限定されるものではない。
【0045】
本明細書で使用される場合、本発明の化合物に関連しての「投与」という用語及びそれの変形形態(例えば、化合物を「投与すること」)は、処置を必要とする個体に対して当該化合物を提供することを意味する。本発明の化合物が1種以上の他の活性薬剤(例えば、コリンエステラーゼ阻害剤、例えばドネペジル、リバスティグミン及びガランタミン)と組み合わせて提供されるとき、「投与」及びその変形形態はそれぞれ、当該化合物もしくはそれの塩と他の作用剤を同時に又は順次に提供することを含むものと理解される。
【0046】
「アルコキシ」という用語は、「アルキル-O」基を指す。アルコキシ基は、指示されたように置換されていても良い。
【0047】
「アルキル」という用語は、水素原子のうちの一つが結合で置き換わっている脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基は、直鎖若しくは分岐であることができ、1~12個の炭素原子を含むことができる。異なる実施形態において、アルキル基は1~6個の炭素原子[(C1-C6)アルキル]又は1~4個の炭素原子[(C1-C4)アルキル]又は1~3個の炭素原子[(C1-C3)アルキル]を含む。アルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル及びネオヘキシルを含み、これらに限定されるものではない。1実施形態において、アルキル基は直鎖である。別の実施形態において、アルキル基は分岐である。
【0048】
「アルキニル」という用語は、2~12個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含む直鎖若しくは分岐の炭化水素基を指す。3個までの炭素-炭素三重結合が存在していても良い。従って、「C2-C6アルキニル」は、2~6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基には、エチニル、プロピニル、ブチニル、3-メチルブチニルを含む。1実施形態において、アルキニル基は直鎖である。別の実施形態において、アルキニル基は分岐である。
【0049】
「アリール」(又は「アリール環系」)という用語は、単環式及び多環式炭素環系を指し、ここで、多環系における個々の炭素環は縮合しているか単結合を介して互いに結合しており、そしてここで、少なくとも1個の環は芳香環である。好適なアリール基には、フェニル、インダニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、及びビフェニルを含む。アリール環系には、適切な場合、特定の環原子が結合している可変要素の指示が含まれていても良い。別段の断りがない限り、アリール環系に対する置換基は、いずれの環原子に結合していても良いが、但し、そのような結合は安定な環系の形成に至るものである。
【0050】
「組成物」という用語は、特定の成分を含む産物、ならびに特定の成分を組み合わせることで得られる産物を包含することを意図する。
【0051】
「化合物」という用語は、全ての形態での一般式Iによって記載された化学薬剤を包含することを意図する。そのような化学薬剤は、水和物、溶媒和物及び多形体のような異なる形態で存在していることができる。
【0052】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、3~10個の環炭素原子を含む非芳香族単環式又は多環式環系を指す。1実施形態において、シクロアルキルは、5~10個の環炭素原子を含む。別の実施形態において、シクロアルキルは、3~7個の環原子を含む。別の実施形態において、シクロアルキルは、3~6個の環原子を含む[(C
3-C
6)シクロアルキル]。別の実施形態において、シクロアルキルは、5~7個の環原子を含む。別の実施形態において、シクロアルキルは、5~6個の環原子を含む。「シクロアルキル」という用語は、アリール(例えば、ベンゼン)又はヘテロアリール環に縮合している上記で定義のシクロアルキル基も含む。単環式シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを含み、これらに限定されるものではない。多環式シクロアルキルの例には、1-デカリニル、ノルボニル、ビシクロ[3.1.0]ヘキシル及びアダマンチルを含み、これらに限定されるものではない。「3~7員シクロアルキル」という用語は、3~7個の環炭素原子を有するシクロアルキル基を指す。シクロアルキル基の環炭素原子は、カルボニル基として官能化されていても良い。そのようなシクロアルキル基(本明細書においては、「シクロアルカノイル」基とも称される)の例示的な例には、シクロブタノイルを含み、それに限定されるものではない。
【化5】
【0053】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又は臨床関係者が探求している組織、系、動物若しくはヒトでの生理的応答若しくは医学的応答を誘発する活性化合物又は医薬剤の量を意味する。1実施形態において、有効量は、処置される疾患若しくは症状の1以上の徴候の改善のための「治療上有効量」である。別の実施形態において、有効量は、疾患若しくは症状の1以上の徴候の重度若しくは可能性を低下させるための「予防上有効量」である。その用語は、本明細書において、α7nAChR活性を調節し、それにより追求されている応答を誘発するのに十分な活性化合物の量も含む(即ち、「治療上有効量」)。活性化合物(即ち、有効成分)を塩として投与する場合、有効成分についての言及は、その化合物の遊離酸若しくは遊離塩基形態についてのものである。
【0054】
「ハロゲン」(又は「ハロ」)という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素(別の呼称では、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードと称される。)の原子を指す。
【0055】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、5~14環原子を含む単環式若しくは多環式環系であって、ここで、環原子のうちの1~4個が独立にO、N若しくはSであり、そしてここで、残りの環原子が炭素原子であり、少なくとも1個の環が芳香族であるものを指す。1実施形態において、ヘテロアリール基は、5~10個の環原子を有する。別の実施形態において、ヘテロアリール基は単環式であり、5個若しくは6個の環原子を有する。別の実施形態において、ヘテロアリール基は二環式であり、9個若しくは10個の環原子を有する。ヘテロアリール基は通常、環炭素原子を介して結合しているが、非炭素原子を介して結合していても良く、但し、それによって安定な化合物となるものであり、そして、ヘテロアリールのいずれの窒素原子も酸化されて相当するN-オキサイドとなっていても良い。「ヘテロアリール」という用語は、ベンゼン環に縮合している上記で定義のヘテロアリール基も包含する。「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1個のN、O及びSから選択される環ヘテロ原子を含む縮合多環式環系であって、ここで、その縮合多環式環系のうちの少なくとも1個の環が芳香族であるものも包含する。例えば、「9~10員の二環式ヘテロアリール」という用語は、ベンゼン環若しくはピリジル環に縮合している非芳香族5員複素環を包含する。ヘテロアリールの例には、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロキノリニル、メチレンジオキシベンゾリルなど及びこれらの全ての異性体型を含み、これらに限定されるものではない。「ヘテロアリール」という用語は、例えばテトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルのような部分飽和ヘテロアリール部分も指し、但し、それらは少なくとも1個の芳香環を含む。1実施形態において、ヘテロアリール基は5員ヘテロアリールである。別の実施形態において、ヘテロアリール基は6員ヘテロアリールである。別の実施形態において、ヘテロアリール基は、ベンゼン環に縮合した5~6員ヘテロアリール基を含む。
【0056】
本明細書で使用される「複素環」又は「複素環式」という用語は、O、N及びSからなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を含む3~10員の非芳香族複素環を意味するものであり、そして、単環式若しくは二環式の基(縮合、架橋又はスピロ環状)を含む。「複素環」のさらなる例には、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、1,4-ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニル、並びにそれらのN-オキサイドを含むが、これらに限定されるものではない。複素環置換基の結合は、炭素原子又はヘテロ原子を介して行われ得る。
【0057】
本明細書で使用される「ヒドロキシアルキル」という用語は、アルキル基の水素原子のうちの1以上が-OH基によって置き換わっている、上記で定義のアルキル基を指す。1実施形態において、ヒドロキシアルキル基は、1~6個の炭素原子を有する。ヒドロキシアルキル基の例には、-CH2OH、-CH2CH2OH、-CH2CH2CH2OH及び-CH2CH(OH)CH3を含むが、これらに限定されるものではない。「C1-C6ヒドロキシアルキル」という用語は、1~6個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基を指す。「C1-C4ヒドロキシアルキル」という用語は、1~4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基を指す。「C1-C3ヒドロキシアルキル」という用語は、1~3個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基を指す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「オキソ」又は「=O」という用語は、それが結合している炭素原子とともにカルボニル部分を形成している。
【0059】
「薬学的に許容される」は、医薬組成物の成分が互いに適合し、投与を受ける者に対して有害であってはならないことを意味する。
【0060】
アルツハイマー病又は他の神経疾患に関して本明細書で使用される場合の「予防する」という用語は、疾患進行の可能性を低下させることを指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「対象者」(或いは、「患者」とも称される)という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0062】
「置換された」という用語は、指定の原子上の1以上の水素が、その指定の基から選択されたもので置き換わっていることを意味するが、但し、既存の環境下でのその指定された原子の通常の価数を超えるものではなく、そして、その置換によって安定な化合物が生じるものである。逆の意味が明瞭に記載されていない限り、挙げられた置換基による置換基は、そのような置換が化学的に許容され、そして、安定な化合物を与えるのであれば、あらゆる原子上で可能である。置換基及び/又は可変要素の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物を与える場合にのみ許容される。「安定な」化合物は、製造及び単離が可能であり、その構造及び特性が本明細書に記載の目的(例えば、対象者への治療的若しくは予防的投与)のための当該化合物の使用を可能とするだけの期間にわたり実質的に未変化のままであるか、実質的に未変化のままとなるようにすることができる化合物である。
【0063】
【0064】
から選択され、
R1、R2及びRbはHである。
【0065】
【0066】
であり、R1及びR2はHである。
【0067】
式Iの別の実施形態において、Yは4個の置換基であり、それらはそれぞれ独立に、H、(C1-C4)アルキル、ハロゲン及びOHから選択され、ここで、前記アルキルは1以上のハロゲン又はOHで置換されていても良い。
【0068】
式Iの別の実施形態において、YはHである。
【0069】
式Iの別の実施形態において、Aは、6員アリール又はヘテロアリール環であって、それぞれ独立にOH、オキソ、ハロゲン、CN、(C1-C6)アルキル、O(C1-C6)アルキル、NR7R8、(C3-C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択される1~3個のR基で置換され、ここで、それぞれは、独立にハロゲン、CN、(C1-C4)アルキル、(C=O)O(C1-C4)アルキル及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良い。
【0070】
式Iの別の実施形態において、Aは、6員アリール又はヘテロアリール環であって、それぞれ独立にOH、オキソ、ハロゲン、CN、(C1-C6)アルキル、O(C1-C6)アルキル、NR7R8、(C3-C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択される1~2個のR基で置換され、ここで、それぞれは、独立にハロゲン、CN、(C1-C4)アルキル、(C=O)O(C1-C4)アルキル及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良い。
【0071】
式Iの別の実施形態において、Aは、ピリジン、ピリミジン、フェニル、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、ピリジノン、ピリミジノン、ピラジノン及びピリダジノンから選択され、それぞれ独立に、(C1-C6)アルキル、O(C1-C6)アルキル、NR7R8、(C3-C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択される1~3個のR基で置換され、ここで、それぞれは、独立にハロゲン、CN、(C1-C4)アルキル、(C=O)O(C1-C4)アルキル及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良い。
【0072】
式Iの別の実施形態において、Aは、ピリジン、ピリミジン、フェニル、ピリダジン及びピラジンから選択され、それぞれ独立に(C1-C6)アルキル、O(C1-C6)アルキル、NR7R8、(C3-C6)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及び複素環から選択される1~2個のR基で置換され、ここで、それぞれは、独立にハロゲン、CN、(C1-C4)アルキル、(C=O)O(C1-C4)アルキル及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良い。
【0073】
式Iの別の実施形態において、Aは、ピリジン、ピリミジン、フェニル、ピリダジン及びピラジンから選択され、それぞれ独立に、(C1-C6)アルキル、O(C1-C6)アルキル、NR7R8、シクロブチル、シクロペンチル、フェニル、モルホリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、ピロリジニル、トリアゾリル及びテトラヒドロピラニルから選択される1~3個のR基で置換され、ここでそれぞれは、独立にハロゲン、CN、(C1-C4)アルキル、(C=O)O(C1-C4)アルキル及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良い。
【0074】
式Iの別の実施形態において、Aは、ピリジン、ピリミジン、フェニル、ピリダジン及びピラジンから選択され、それぞれ独立に(C1-C6)アルキル、O(C1-C6)アルキル、NR7R8、シクロブチル、シクロペンチル、フェニル、モルホリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、ピロリジニル、トリアゾリル及びテトラヒドロピラニルから選択される1~2個のR基で置換され、ここで、それぞれは、独立にハロゲン、CN、(C1-C4)アルキル、(C=O)O(C1-C4)アルキル及びフェニルから選択される1以上の置換基で置換されていても良い。
【0075】
式Iの別の実施形態において、R1はH又はメチルである。
【0076】
式Iの別の実施形態において、R2はH又はメチルである。
【0077】
式I又はIaの別の実施形態において、R3はH又はSi(CH3)3である。
【0078】
式I又はIaの別の実施形態において、R4はHである。
【0079】
式Iの別の実施形態において、R3及びR4が一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル環を形成していても良く、ここで、前記環は、独立にOH、ハロゲン又は(C1-C4)アルキルから選択される1以上の置換基で置換されていても良い。
【0080】
式Iの別の実施形態において、R3及びR4が一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル環を形成していても良い。
【0081】
式Iの別の実施形態において、R5はH又はメチルである。
【0082】
式Iの別の実施形態において、R6はH又はメチルである。
【0083】
式Iの別の実施形態において、RaはH又はメチルである。
【0084】
式Iの別の実施形態において、RbはH又はメチルである。
【0085】
式Iの別の実施形態において、R5はHである。
【0086】
式Iの別の実施形態において、R6はHである。
【0087】
式I又はIaの別の実施形態において、R7及びR8は、独立にH、(C1-C6)アルキル、(C3-C6)シクロアルキル及びフェニルから選択される。
【0088】
式I又はIaの別の実施形態において、R7及びR8は、独立にH、(C1-C6)アルキル、シクロペンチル及びフェニルから選択される。
【0089】
式Iの別の実施形態において、RaはHである。
【0090】
式Iの別の実施形態において、RbはHである。
【0091】
式Iの化合物において、原子がそれの天然同位体存在度を示す場合があり、又は、その原子のうちの1以上が同じ原子番号を有するが、天然において支配的に認められる原子質量もしくは質量数とは異なる原子質量もしくは質量数を有する特定の同位体を人為的に豊富とすることができる。本発明は、式Iの化合物の全ての好適な同位体型を含むことを意図する。例えば、水素(H)の異なる同位体型には、プロチウム(1H)及び重水素(2H又はD)を含む。プロチウムは、天然に認められる支配的な水素同位体である。重水素を豊富化することで、イン・ビボ半減期の増加又は必要投与量の削減などの治療上の利点が得られたり、生体サンプルの特性決定のための標準として有用な化合物が提供されることが可能となる。同位体豊富化された式Iに含まれる化合物は、当業者に公知の従来の技術により又は適切な同位体豊富化された試薬及び/又は中間体を用いて本明細書中の図式及び実施例に記載されている方法と類似の方法によって、過度の実験を行うことなく製造することができる。
【0092】
反対のことが明瞭に記載されていない限り、本明細書で引用の全ての範囲は包括的である。例えば、「1~3個のヘテロ原子」を含むと記載されているヘテロアリール環は、その環が1、2又は3個のヘテロ原子を含むことができることを意味する。やはり理解すべき点として、本明細書で引用のあらゆる範囲が、それの範囲内にその範囲内の部分的範囲全てを包含することが理解される。ヘテロ原子N及びSの酸化された形態も、本発明の範囲に包含される。
【0093】
多くの場合で、有機分子中の炭素原子がケイ素原子によって置き換わっていることで、類縁の安定な化合物を与え得ることは、当業者には明らかである。例えば、アルコキシ、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、複素環及びヒドロキシアルキル基における炭素原子は、多くの場合、ケイ素原子によって置き換わって安定な化合物を提供し得る。そのような化合物は全て、本発明の範囲に包含される。
【0094】
任意の可変要素(例えば、R)が、任意の構成要素又は式I又は本発明の化合物を描き説明する任意の他の式に複数存在する場合、各場合でのそれの定義は、あらゆる他の場合でのそれの定義から独立である。更に、置換基及び/又は可変要素の組み合わせは、そのような組み合わせによって安定な化合物が得られる場合のみ許容される。
【0095】
本発明の化合物のある種のものは不斉中心を有することができ、立体異性体の混合物として、又は個々のジアステレオマー若しくはエナンチオマーとして存在していることができる。単離されたものか混合物でのものかを問わず、これら化合物の全ての異性体型が、本発明の範囲に包含される。
【0096】
本発明の化合物のある種のものは、互変異性体として存在し得る。本発明の目的のため、式Iの化合物についての言及は、その化合物自体又はそれの互変異性体自体のいずれか、又は2以上の互変異性体の混合物についての言及である。
【0097】
本発明の化合物は、アルツハイマー病の予防、治療又は改善において有用性を有し得る。当該化合物は、α7nAChRが介在する他の疾患、例えば統合失調症、睡眠障害、パーキンソン病、自閉症、微小欠失症候群、炎症疾患、疼痛性障害(急性疼痛、炎症性痛覚及び神経障害痛を含む)及び認知障害(軽度認知機能障害を含む)を予防、治療又は改善する上でも有用であり得る。本発明の化合物によって予防、治療又は改善し得る他の症状には、肺高血圧、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、尿失禁、緑内障、トリソミー21(ダウン症候群)、脳アミロイド血管症、変性認知症、オランダ型のアミロイドーシスを伴う遺伝性大脳出血(HCHWA-D)、クロイツフェルト・ヤコブ疾患、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、卒中、膵炎、封入体筋炎、他の末梢アミロイドーシス、糖尿病、腎臓疾患、がん及びアテローム性動脈硬化症を含む。
【0098】
好ましい実施態様において、本発明の化合物はアルツハイマー病、認知障害、統合失調症、疼痛障害及び睡眠障害の予防、治療若しくは改善において有用である。例えば、その化合物は、アルツハイマー型認知症を予防、並びにアルツハイマー型の早期、中期又は後期認知症の治療において有用となり得る。
【0099】
本発明の化合物が有用となり得る可能性がある統合失調症症状又は障害には、統合失調症(妄想型、解体型、緊張型又は未分化型)、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神異常、共有精神異常、全身状態並びに物質誘発性及び薬剤誘発性(フェンシクリジン、ケタミン及び他の解離性麻酔薬、アンフェタミン及び他の覚醒剤並びにコカイン)精神異常による精神異常、情動障害に関連する精神病、短期反応精神病、統合失調性精神病、分裂性又は統合失調症性人格障害のような「統合失調症圏障害」、又は統合失調症及び他の精神病の陽性及び陰性の両方の徴候を含む精神病に関連する病気(大鬱病、躁鬱病(双極性障害)、アルツハイマー病及び心的外傷後ストレス症候群など)を含む統合失調症及び精神病;認知症(アルツハイマー病、虚血、多発脳梗塞性認知症、外傷、血管の問題若しくは卒中、HIV疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病、周生期低酸素症、他の全身症状又は薬物乱用に関連する)を含む認知障害;譫妄、健忘障害又は加齢関連の認識衰退という症状又は疾患のうちの1以上を含む。
【0100】
従って、別の具体的な実施形態において本発明は、処置を必要とする患者に対して有効量の本発明の化合物を投与することを含む、統合失調症又は精神病の予防、治療若しくは改善方法を提供する。現在、精神障害診断統計マニュアル再版(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:DSM-IV-TR)の第4版の(2000,American Psychiatric Association,Washington DC)には、妄想性、解体型、緊張型又は未分化型の統合失調症及び物質誘発精神異常を含む診断手段が提供されている。本明細書で使用される場合、「統合失調症及び精神病」という用語は、DSM-IV-TRに記載の精神障害の治療を含む。精神障害についての別の命名法、疾病分類及び分類システムがあること、そしてそれらのシステムが医学及び科学の発達に伴って進化することは、当業者には明らかであろう。従って、「統合失調症又は精神病」という用語は、他の診断情報源に記載されている同様の障害を包含することを意図する。
【0101】
本発明の化合物が有用となり可能性がある睡眠症状又は睡眠障害には、睡眠の質の強化;睡眠の質の向上;睡眠維持の延長;対象者が眠っている時間を対象者が眠ろうと試みた時間で割って計算される値の上昇;睡眠の待ち時間又は開始(寝入るのにかかる時間)の短縮;寝入り困難の減少;睡眠連続性の増加;睡眠中に覚醒する回数の減少;夜間覚醒の減少;就寝開始から覚醒状態で過ごす時間の短縮;全睡眠量の増加;睡眠の断片化の減少;REM睡眠期間のタイミング、回数又は長さの変更;徐波(すなわち、段階3又は4)睡眠期間のタイミング、頻度又は長さの変更;ステージ2睡眠の量及びパーセントの増加;徐波睡眠の促進;睡眠中のEEG-デルタ活性の強化;昼間敏活性の向上;昼間傾眠の低下;過度の昼間眠気の治療又は抑制;不眠;過眠症;ナルコレプシー;睡眠の中断;睡眠時無呼吸;覚醒;夜間ミオクロヌス;REM睡眠中断;時差ぼけ;交替勤務者の睡眠障害;睡眠異常;夜鷹症;抑鬱、情緒障害/気分障害並びに夢遊病及び夜尿症に関連する不眠、そして老化に伴う睡眠障害;アルツハイマーの日暮れ時兆候;概日リズムに関連する症状、並びに時間帯を通過する旅行及び交替勤務スケジュールに関連する精神的及び肉体的障害;副作用としてREM睡眠を減少させる薬物に起因する症状;体力回復のない睡眠及び筋肉痛により発現される症候群、又は睡眠中の呼吸異常に関連する睡眠時無呼吸;及び睡眠の質の低下により生ずる症状を含む。
【0102】
本発明の化合物が有用となり得る疼痛障害には、神経因性疼痛(帯状疱疹後神経痛、神経損傷、「ジニア」(例:外陰部痛)、幻肢痛、神経根引き抜き損傷、有痛性糖尿病性神経障害、有痛性外傷単神経障害、有痛性多発性神経障害など);中枢痛症候群(実質的に神経系のあらゆるレベルでのあらゆる病変によって生じる可能性がある);術後痛症候群(例:乳房切除術後症候群、開胸術後症候群、断端痛);骨及び関節痛(骨関節炎)、反復運動痛、歯痛、がん痛、筋筋膜痛(筋肉損傷、線維筋痛);術中痛(一般手術、婦人科手術)、慢性痛、月経困難症、並びに狭心症関連の疼痛及び異なる起源の炎症性疼痛(例:骨関節炎、関節リウマチ、リウマチ性疾患、腱鞘炎及び痛風)、頭痛、片頭痛及び群発頭痛、一次痛覚過敏、二次痛覚過敏、一次アロディニア、二次アロディニア、或いは中枢感作によって生じる他の疼痛を含む。
【0103】
本発明の化合物が有用であり得る強い炎症構成を有する可能性のある症状又は障害には、次の症状又は障害:糖尿病(インシュリン耐性を生じさせ得るIL-6及びTNFαなどの血中サイトカイン類の増加を特徴とする糖尿病における全身炎症);喘息;関節炎;嚢胞性線維症;敗血症;潰瘍性大腸炎;炎症性大腸炎;アテローム性動脈硬化;神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、前頭側頭認知症、大脳皮質基底核変性症、ピック病、進行性核上まひ、外傷性脳損傷、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症)に関連する神経炎症のうちの1以上を含む。
【0104】
本発明の化合物は、運動障害を治療若しくは予防若しくは改善し、そしてパーキンソン病における黒質線条体ニューロンでの神経変性に対して保護を行うのに用いることもできる。さらに、本発明の化合物は、疼痛のオピオイド治療に対する耐性及び/又は依存性を低下させたり、そして、例えばアルコール、オピオイド類及びコカインの禁断症候群を治療するのに用いることができる。
【0105】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与することができる。「薬学的に許容される塩」という用語は、親化合物の有効性を保有し、生物学的又は他の点で望ましくないものではない(例えば、その被投与者にとって毒性でなく、他の点でも有害でない)塩を指す。好適な塩には、例えば本発明の化合物の溶液を塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸又は安息香酸のような薬学的に許容される酸の溶液と混合することによって形成することのできる酸付加塩が含まれる。本発明の化合物の多くが酸性部分を有しており、その場合、それの好適な薬学的に許容される塩には、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム又はマグネシウム塩)、及び第四級アンモニウム塩のような好適な有機リガンドと形成される塩を含む。さらに、酸基(-COOH)又はアルコール基が存在する場合、薬学的に許容されるエステルを用いてその化合物の溶解度又は加水分解特性を変えることができる。
【0106】
酸付加塩の例には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩(「メシレート」)、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとも称される)などを含む。さらに、塩基性医薬化合物からの医薬的に有用な塩の形成に好適であると一般に考えられる酸については、例えばP. Stahl et al, Camille G. (編者) Handbook of Pharmaceutical Salt.Properties, Selection and Use. (2002) Zurich: Wiley-VCH;S. Berge et al、Journal of Pharmaceutical Sciences (1977)66(1)1-19;P. Gould, International J. of Pharmaceutics (1986) 33 201-217;Anderson et al、The Practice of Medicinal Chemistry(1996), Academic Press, New York;およびThe Orange Book (Food & Drug Administration, Washington, D.C.、ウェブサイトで)に記載されている。
【0107】
塩基性塩の例には、アンモニウム塩、ナトリウム、リチウム及びカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム及びマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、t-ブチルアミン、コリンのような有機塩基(例えば、有機アミン)との塩、及びアルギニン、リジンのようなアミノ酸との塩を含む。塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド(例えば、塩化、臭化及びヨウ化メチル、エチル及びブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチル及びジブチル)、長鎖ハライド(例えば、塩化、臭化及びヨウ化デシル、ラウリル及びステアリル)、アラルキルハライド(例えば、臭化ベンジル及びフェネチル)及びその他などの薬剤で四級化することができる。
【0108】
アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、L-DOPA誘発運動障害及び炎症における認知機能障害を予防、治療又は改善するために、塩の形態であっても良い本発明の化合物は、活性薬剤をその薬剤の作用部位と接触させる任意の手段によって投与することができる。それらは、個々の治療剤として又は治療剤の組み合わせとして、医薬品との併用に使用可能な1以上の従来の手段によって投与することができる。それらは単独で投与することができるが、代表的には選択される投与経路及び標準的な医薬上の実務に基づいて選択される医薬担体とともに投与される。本発明の化合物は、例えば経口投与、非経口投与(皮下注射、静脈、筋肉、胸骨内の注射又は注入法を含む)、吸入(噴霧剤形態など)又は直腸投与のうちの1以上によって、有効量の当該化合物並びに従来の無毒性の薬学的に許容される担体、補助剤及び媒体を含む単位用量の医薬組成物の形態で投与することができる。経口投与に好適な液体製剤(例えば、懸濁液、シロップ、エリキシル剤など)は、当業界で公知の技術に従って調製することができ、水、グリコール類、オイル類、アルコール類のような通常の媒体のいずれかを用いることができる。経口投与に好適な固体製剤(例えば、粉剤、丸薬、カプセル及び錠剤)は、当業界で公知の技術に従って製造することができ、デンプン類、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤のような固体賦形剤を用いることができる。非経口組成物は、当業界で公知の技術に従って製造することができ、代表的には担体としての無菌水及び場合により溶解補助剤のような他の成分を用いる。注射用溶液は当業界で公知の技術に従って製造することができ、担体には生理食塩水溶液、グルコース溶液又は生理食塩水とグルコースの混合物を含む溶液を含む。本発明の医薬組成物の製造での使用に好適な方法並びに前記組成物での使用に好適な成分についてのさらなる説明は、(Remington′s Pharmaceutical Sciences, 18th edition(ed. A. R. Genaro, Mack Publishing Co., 1990)で提供される。
【0109】
本発明の化合物は、0.001~1000mg/kg(哺乳動物(例えば、ヒト)体重)/日の用量範囲で、単回投与又は分割投与にて経口投与することができる。ある用量範囲は、経口の単回投与又は分割投与にて0.01~500mg/kg体重/日である。別の用量範囲は、経口投与で単回投与又は分割投与にて0.01~100mg/kg体重/日である。経口投与の場合、処置を受ける患者に対する用量の症候的調節のために1.0~500mgの有効成分、特には1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400及び500mgの有効成分を含む錠剤又はカプセルの形態で組成物を提供することができる。特定の患者についての具体的な用量レベル及び投与回数は変動し得るものであり、使用される具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用期間、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与の形態及び時刻、排泄速度、併用薬剤及び特定の症状の重度を含む各種要素に依存しよう。
【0110】
上記のように、本発明は、1以上の治療剤と組み合わせた本発明の化合物、並びに、本発明の化合物、及び、抗アルツハイマー病薬、例えばβ-セクレターゼ阻害剤、例えばベルベセスタット;M1mAChR作動薬又はPAM;M4mAChR作動薬又はPAM;mGluR2拮抗薬又はNAM又はPAM;ADAM10リガンド又は活性化剤;γ-セクレターゼ阻害剤、例えばLY450139及びTAK070;γ-セクレターゼ調節剤;τ-リン酸化阻害剤;グリシン輸送阻害剤;LXRβ作動薬;ApoE4コンフォメーション調節剤;NR2B拮抗薬;アンドロゲン受容体調節剤;Αβオリゴマー形成の遮断薬;5-HT4作動薬、例えばPRX-03140;5-HT6拮抗薬、例えばGSK742467、SGS-518、FK-962、SL-65.0155、SRA-333及びキサリプロデン;5-HT1a拮抗薬、例えばレコゾタン;p25/CDK5阻害剤;NK1/NK3受容体拮抗薬;COX-2阻害剤;LRRK2阻害剤;HMG-CoAレダクターゼ阻害剤;イブプロフェンなどのNSAID類;ビタミンE;抗アミロイド抗体(抗アミロイドヒト化モノクローナル抗体など)、例えばバピネオズマブ、ACC001、CAD106、AZD3102、H12A11V1;抗炎症化合物、例えば(R)-フルルビプロフェン、ニトロフルルビプロフェン、ND-1251、VP-025、HT-0712及びEHT-202;PPARγ作動薬、例えばピオグリタゾン及びロシグリタゾン;CB-1受容体拮抗薬又はCB-1受容体逆作動薬、例えばAVE1625;抗生物質、例えばドキシサイクリン及びリファンピン;N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬、例えばメマンチン、ネラメキサン及びEVT101;コリンエステラーゼ阻害剤、例えばガランタミン、リバスティグミン、ドネペジル、タクリン、フェンセリン、ラドスチギル及びABT-089;成長ホルモン分泌促進因子、例えばイブタモレン、イブタモレン・メシレート及びカプロモレリン(capromorelin);ヒスタミンH3受容体拮抗薬、例えばABT-834、ABT829、GSK189254及びCEP16795;AMPA作動薬又はAMPA調節剤、例えばCX-717、LY451395、LY404187及びS-18986;PDEIV阻害剤、例えばMEM1414、HT0712及びAVE8112;GABAA逆作動薬;GSK3阻害剤、例えばAZD1080、SAR502250及びCEP16805;神経細胞ニコチン作動薬;選択的M1作動薬;HDAC阻害剤;及び微小管親和性調節キナーゼ(MARK)リガンド;又は本発明の化合物の効力、安全性、簡便性を高めるか、若しくは望ましくない副作用若しくは毒性を低減させる、受容体若しくは酵素に影響する他の薬剤からなる群から選択される1以上の治療剤を含む医薬組成物、を用いる、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、L-DOPA誘発運動障害及び炎症での認知機能障害の予防、治療若しくは改善方法に関するものでもある。
【0111】
本発明の化合物の組み合わせの例には、統合失調症の治療のための薬剤との組み合わせ、例えば鎮静剤、睡眠薬、精神安定剤、抗精神病薬、抗不安薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、マイナートランキライザー、メラトニン作動薬および拮抗薬、メラトニン作動薬、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、5HT-2拮抗薬など、例えば:アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミスルプリド、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アリピプラゾール、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスプリオン、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプリド、カルボクロラール、クロラールベタイン、抱水クロラール、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼパート、クロルジアゼポキシド、クロレタート(clorethate)、クロルプロマジン、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デキスクラモール、ジアゼパム、ジクロラールフェナゾン、ジバルプロエクス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、エスタゾラム、エスクロルビノール、エトミダート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、ホサゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロカロン、メラトニン、メホバルビタール、メプロバメート、メタカロン、ミダフルル、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバマート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オランザピン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォール、プロトリプチリン、クアゼパム、クエチアピン、レクラゼパム、リスペリドン、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロエロン(suproelone)、テマゼパム、チオリダジン、チオチキセン、トラカゾレート、トラニルシプロマイン(tranylcypromaine)、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロホス、トリフルオロペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ジプラシドン、ゾラゼパム、ゾルピデムおよびこれらの塩、並びにそれらの組み合わせなどとの組み合わせを含み、或いは、本発明の化合物は、光療法または電気刺激などの物理的方法の使用と併せて投与することができる。
【0112】
別の実施形態において、本発明の化合物は、レボドパ(カルビドパ又はベンセラジドのような選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤と合わせて又はそれと合わせず)、抗コリン作動薬、例えばビペリデン(適宜に、それの塩酸塩又は乳酸塩として)及びトリヘキシフェニジル(ベンズヘキソール)塩酸塩、COMT阻害剤、例えばエンタカポン、MAO-B阻害剤、抗酸化剤、A2aアデノシン受容体拮抗薬、コリン作動性作動薬、NMDA受容体拮抗薬、セロトニン受容体拮抗薬及びドーパミン受容体作動薬、例えばアレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリド及びプラミぺキソールと併用することができる。ドーパミン作動薬が、医薬として許容される塩、例えばアレンテモール臭化水素酸塩、メシル酸ブロモクリプチン、メシル酸フェノルドパム、ナキサゴリド塩酸塩及びメシル酸ペルゴリドの形態であり得ることは明らかであろう。
【0113】
別の実施形態において、本発明の化合物は、フェノチアジン、チオキサンテン、複素環ジベンザゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジン及びインドロンクラスの神経弛緩薬からの化合物と併用することができる。フェノチアジンの好適な例には、クロルプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジン及びトリフルオペラジンを含む。チオキサンテンの好適な例には、クロルプロチキセン及びチオチキセンを含む。ジベンザゼピンの例はクロザピンである。ブチロフェノンの例はハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンの例はピモジドである。インドロンの例はモリンドロンである。他の神経弛緩薬には、ロキサピン、スルピリド及びリスペリドンを含む。本発明の化合物と組み合わせて使用される場合、神経弛緩薬は、医薬として許容される塩の形態、例えば、クロルプロマジン塩酸塩、ベシル酸メソリダジン、チオリダジン塩酸塩、マレイン酸アセトフェナジン、フルフェナジン塩酸塩、エナント酸フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、塩酸トリフルオペラジン、チオチキセン塩酸塩、デカン酸ハロペリドール、コハク酸ロキサピン及びモリンドン塩酸塩であり得ることは明らかであろう。ペルフェナジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジド及びリスペリドンは、一般に非塩形態で使用される。従って、本発明の化合物は、アセトフェナジン、アレンテモール、アリピプラゾール、アミスルプリド(amisuipride)、ベンズヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドパ、ベンセラジドとレボドパ、カルビドパとレボドパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドロン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、クエチアピン、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、フリヘキシフェニジル(frihexyphenidyl)、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジン又はジプラシドンと併用することができる。
【0114】
本発明の化合物の組み合わせの例には、疼痛治療のための薬剤、例えば非ステロイド系抗炎症剤、例えばアスピリン、ジクロフェナク、ズフルニサル(duflunisal)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク及びトルメチン;COX-2阻害剤、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、406381及び644784;CB-2作動薬、例えば842166及びSAB378;VR-1拮抗薬、例えばAMG517、705498、782443、PAC20030、V114380及びA425619;ブラジキニンB1受容体拮抗薬、例えばSSR240612及びNVPSAA164;ナトリウムチャンネル遮断薬及び拮抗薬、例えばVX409及びSPI860;一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害剤(iNOS及びnNOS阻害剤など)、例えばSD6010及び274150;グリシン部位拮抗薬、例えばラコサミド;神経細胞ニコチン作動薬、例えばABT894;NMDA拮抗薬、例えばAZD4282;カリウム・チャンネル開口薬;AMPA/カイニン酸受容体拮抗薬;カルシウムチャンネル遮断薬、例えばジコノタイド及びNMED160;GABA-A受容体IO調節剤(例えば、GABA-A受容体作動薬);マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤;血栓溶解剤;オピオイド系鎮痛薬、例えばコデイン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、プロポキシフェン;好中球阻害因子(NIF);プラミペキソール、ロピニロール;抗コリン作用薬;アマンタジン;モノアミンオキシダーゼB15(「MAO-B」)阻害剤;5HT受容体作動薬又は拮抗薬;mGlu5拮抗薬、例えばAZD9272;α作動薬、例えばAGNXX/YY;神経細胞ニコチン作動薬、例えばABT894;NMDA受容体作動薬又は拮抗薬、例えばAZD4282;NKI拮抗薬;選択的セロトニン再取り込み阻害剤(「SSRI」)及び/又は選択的セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(「SSNRI」)、例えばデュロキセチン;三環系抗鬱剤、ノルエピネフリン調節剤;リチウム;バルプロ酸塩;ガバペンチン;プレガバリン;リザトリプタン;ゾルミトリプタン;ナラトリプタン及びスマトリプタンとの組み合わせを含む。
【0115】
本発明の化合物は、睡眠の質を高め、そして睡眠障害及び睡眠の乱れを予防及び治療する上で有用な化合物、例えば鎮静剤、睡眠薬、精神安定剤、抗精神病薬、抗不安薬、抗ヒスタミン薬、ベンゾジアゼピン類、バルビツール酸塩、シクロピロロン類、オレキシン拮抗薬、α-1拮抗薬、GABA作動薬、5HT-2拮抗薬、例えば5HT-2A拮抗薬及び5HT-2A/2C拮抗薬、ヒスタミン拮抗薬、例えばヒスタミンH3拮抗薬、ヒスタミンH3逆作動薬、イミダゾピリジン、マイナートランキライザー、メラトニン作動薬及び拮抗薬、メラトニン作動薬、他のオレキシン拮抗薬、オレキシン作動薬、プロキネチシン作動薬及び拮抗薬、ピラゾロピリミジン類、T型カルシウムチャンネル拮抗薬、トリアゾロピリジン類など、例えば:アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、アルモダフィニル、APD-125、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスプリオン、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプロモレリン、カプリド、カルボクロラール、クロラールベタイン、抱水クロラール、クロルジアゼポキシド、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼパート、クロレタート(clorethate)、クロザピン、コナゼパム(conazepam)、シプラゼパム、デシプラミン、デキスクラモール、ジアゼパム、ジクロラールフェナゾン、ジバルプロエクス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、EMD-281014、エプリバンセリン、エスタゾラム、エスゾピクロン、エスクロリノール(ethchlorynol)、エトミダート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、ホサゼパム、ガボキサドール、グルテチミド、ハラゼパム、ヒドロキシジン、イブタモレン、イミプラミン、インディプロン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、LY-156735、マプロチリン、MDL-100907、メクロカロン、メラトニン、メホバルビタール、メプロバメート、メタカロン、メチプリロン、ミダフルル、ミダゾラム、モダフィニル、ネファゾドン、NGD-2-73、ニソバマート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パロキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポフォール、プロトリプチリン、クアゼパム、ラメルテオン、レクラゼパム、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクロン、TAK-375、テマゼパム、チオリダジン、チアガビン、トラカゾレート、トラニルシプロマイン(tranylcypromaine)、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロホス、トリフルオロペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ゾラゼパム、ゾピクロン、ゾルピデム及びこれらの塩、並びにそれらの組み合わせなどとの組み合わせで投与することができ、或いは本発明の化合物は、光療法又は電気刺激などの物理的方法の使用と併せて投与することができる。
【0116】
本発明の化合物は、単独で、又は、メマンチンのようなNMDA受容体拮抗薬と組み合わせて、若しくはドネペジルのようなアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)と組み合わせて、中等度ないし重度のアルツハイマー型認知症の治療に有用である。
【0117】
本発明の化合物は、単独で、又は、ガランタミン、リバスティグミン若しくはドネペジルのいずれかと組み合わせて、軽度ないし中等度のアルツハイマー型認知症の治療に有用である。
【0118】
本発明の化合物は、単独で又はリバスティグミンと組み合わせて、パーキンソン病に関連する認知症の治療に有用である。
【0119】
本発明の化合物は、単独で又はカルビドパ及びレボドパと組み合わせて、進行したパーキンソン病患者における運動変動の治療に有用である。
【0120】
患者に対して本発明の組み合わせ療法薬を投与する場合、その組み合わせる治療剤又は治療剤を含む医薬組成物若しくは組成物は、いかなる順序で投与しても良く、例えば順次、同時、一体、同時期などで投与することができる。そのような併用療法における各種活性薬剤の量は、異なる量(異なる投与量)又は同じ量(同じ投与量)であり得る。本発明の化合物及び別の治療剤は、単一の投与単位(例えば、カプセル、錠剤など)中の、固定量(投与量)で存在し得る。
【0121】
本発明の化合物のα7nAChRポジティブアロステリック調節剤(PAM)活性は、当業界で公知のアッセイを用いて調べることができる。本明細書に記載のα7nAChR PAM類は、実施例で記載の自動パッチクランプ電気生理機能アッセイにおいて活性を有する。そのアッセイは、全細胞群パッチ形態でのIonFlux HTを用いて行った。Golden et al. Assay Drug Dev. Technol. (2011)9:608-619を参照する。天然α7作動薬アセチルコリンの存在下及び非存在下の両方でHEK細胞系で安定に発現されるヒトα7nAChRの機能を調節する能力について、化合物のアッセイを行った。各種濃度で一連のそのような測定を行うことで、α7nAChR PAM類の有効濃度(EC50)を求めた。Spencer et al. Assay Drug Dev. Technol. (2012)10:313-324を参照する。
【0122】
一般図式
本発明の化合物は、容易に利用可能な原料、試薬及び従来の合成手順を用いて、下記の図式及び具体的実施例又はそれらの改変型に従って容易に製造することができる。これらの反応において、それ自体が当業者に公知であるがあまり詳細には言及されていない変形形態を用いることも可能である。本発明で特許請求した化合物の一般的製造手順を、下記の図式を見ることで当業者は容易に理解及び認識することができる。
【0123】
本発明の多くの化合物が図式1に従って製造することができ、ボロン酸1.1を、パラジウム触媒条件下にブロミド1.2(アリール又はヘテロアリールであることができる)と反応させて生成物1.3を得る。ボロン酸に代えてボロン酸エステル若しくはボロン酸誘導体を、そしてブロミドに代わるものとしてクロライド、ヨージド、トリフレート若しくはトシレートを用いて同様の化学を行うことができる。多様な異なる触媒(ニッケルのような他の金属を含む)、リガンド、塩基及び溶媒をこの反応で用いることができる。次に、化合物1.3を、ニート状のクロロスルホン酸で処理することでスルホニル化し、次に、得られたスルホニルクロライドを溶媒中のアンモニア(例えば、水、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン又はメタノール)溶液で処理して、スルホンアミド生成物1.4を得る。同様の化学を、ニート状の酸とは対照的にハロゲン化溶媒及びクロロスルホン酸の混合物を用いて行うことができる。1.4がエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物である場合、その混合物をキラルクロマトグラフィーによって分離することができる。或いは、1.1及び1.2を単一のエナンチオマー又はジアステレオマーとして用いて、単一のエナンチオマー又はジアステレオマーが豊富化された1.4を得ることができる。
【0124】
【0125】
本発明の具体的な化合物を図式2に記載のこの一般法を用いて製造することができ、(2-フェニルシクロプロピル)ボロン酸(2.1)を、パラジウム触媒条件下に2-ブロモピリジン2.2と反応させて生成物2.3を得る。多様な異なる触媒(ニッケルのような他の金属を含む)、リガンド、塩基及び溶媒をこの反応で用いることができる。次に、ピリジン2.3を、クロロスルホン酸で処理することでスルホニル化し、得られたスルホニルクロライドを水酸化アンモニウム水溶液と反応させて、ラセミ体のスルホンアミド生成物2.4を得る。次に、ラセミ体スルホンアミド2.4をキラルクロマトグラフィーによって分離して、個々のエナンチオマーを得ることができる。
【0126】
【0127】
さらに、本発明における化合物を図式3に従って製造することができ、α,β-不飽和ケトン3.1を、炭酸カリウムの存在下に高温でアミジン3.2と反応させて生成物3.3を得る。他の塩基及び溶媒をこの変換で用いることができる。さらに、スルホンアミドからのホルムアミジン基の除去が不完全である場合は、その反応の生成物をヒドラジン水和物で処理して、脱保護を完了させることができる。
【0128】
【0129】
さらに、本発明の化合物は図式4に従って製造することができ、ボロン酸エステル4.1を、パラジウム触媒条件下にヘテロアリール4.2と反応させ、次に、ヒドラジン水和物で処理して生成物4.3を得る。ボロン酸に代えてボロン酸エステル若しくはボロン酸誘導体を、そしてブロミドに代わるものとしてクロライド、ヨージド、トリフレート若しくはトシレートを用いて、同様の化学を行うことができる。多様な異なる触媒(ニッケルのような他の金属を含む)、リガンド、塩基及び溶媒をこの反応で用いることができる。
【0130】
【0131】
本発明における具体的な化合物を図式5に従って、上記の一般法により製造することができ、ピナコールボロン酸エステル5.1をパラジウム触媒条件下に3-ブロモピリジン5.2と反応させ、次に、ヒドラジン水和物で処理して生成物5.3を得る。
【0132】
【0133】
本発明における6.2のような中間体は図式6に従って製造することができ、ブロミド6.1を、環境温度以下で水素化ナトリウム及びn-ブチルリチウムで処理し、次にトリイソプロピルボレートと反応させ、次にHCl水溶液で処理して、ボロン酸6.2を得る。他のアルキルリチウム塩基、ホウ素源及び酸をこの変換で用いることができる。
【0134】
【0135】
本発明における3.1のような中間体を図式7に従って製造することができ、アルデヒド7.1を、アセトン中水酸化ナトリウム水溶液で処理し、次に、得られたスチレンを、水素化ナトリウムの存在下にヨウ化トリメチルスルホキソニウムと反応させることでシクロプロパン7.2を得る。第1段階で、他の塩基を用いてその変換を行うことができ、第2段階として、シモンズ・スミス反応のような他のシクロプロパン化反応を用いて7.2のような生成物を得ることができる。次に、シクロプロパン7.2をDMF-DMAと反応させて、α,β-不飽和ケトン3.1を得る。
【0136】
【0137】
本発明における8.5のような中間体を図式8に従って製造することができる。その手順では、スルホンアミド8.1を高温でDMF-DMAで処理してアリールブロミド8.2を得ることに始まる。次に、アリールブロミド8.2を、パラジウム触媒条件下にボロン酸アルケニル8.3と反応させて、ボロン酸スチレニル8.4を得る。各種の異なる触媒(ニッケルのような他の金属を含む)、配位子、塩基及び溶媒をこの反応で用いることができる。次に、ボロン酸スチレニル8.4を酢酸パラジウムの存在下にTMSDで処理し、次に、得られたシクロプロパンをトリフ酸で処理することでボロン酸シクロプロピル8.5を得ることができる。他のパラジウム、銅又はロジウム触媒を、シクロプロパン化反応で用いることができる。
【0138】
【0139】
さらに、本発明における中間体を図式9に従って製造することができ、ボロン酸9.1を、パラジウム触媒条件下にブロミド9.2(アリール又はヘテロアリールであり得る)と反応させてアリールクロライド9.3を得る。ボロン酸に代えてボロン酸エステル若しくはボロン酸誘導体を、そしてブロミドに代わるものとして例えばヨージド、トリフレート若しくはトシレートを用いて、同様の化学を行うことができる。多様な異なる触媒(ニッケルのような他の金属を含む)、リガンド、塩基、添加物(銅塩若しくはリチウム塩を含む)及び溶媒を、この反応で用いることができる。
【0140】
【0141】
本発明における特定の中間体は、図式10に従って上記のスズキ-ミヤウラカップリング法を用いて製造することができ、3-ピリジルボロン酸10.1を、パラジウム触媒条件下にブロモピリミジン10.2と反応させて、アリールクロライド10.3を得る。
【0142】
【0143】
図式11は、本発明のピリミジン系化合物の合成を示す。アミジン11.1は、当業者には公知の標準的な方法を用いて、カルボン酸1.1のような中間体から容易に製造することができる。例えば炭酸カリウム/メタノールを用いる塩基性条件下でのそのようなアミジンとケトン11.2との反応によって、所望のピリミジン11.3が得られる。異なるパターンの置換を有する各種のピリミジン系化合物は、同様の方法を用いて得ることができる。
【0144】
【0145】
前記の反応図式における化合物及び中間体は、同様の中間体が関与する他の図式における合成中間体として用いて、別の本発明の化合物を製造することができることは明らかである。
【0146】
いくつかの例では、前記反応図式を行う順序を変えることで、反応を促進するか又は望ましくない反応生成物を回避することができる。加えて、有機合成の当業者に知られている各種保護基戦略を用いて、その反応を促進するか又は望ましくない反応生成物を回避することができる。
【0147】
いくつかの例では、例えば置換基を操作することで、最終生成物をさらに修飾することができる。これらの操作には、当業者には一般に知られている還元、酸化、アルキル化、アシル化及び加水分解反応を含んでよく、これらに限定されるものではない。
【0148】
以下の実施例は、本発明についての理解をより深めることを目的として提供されるものである。これらの実施例は、説明のみを目的とするものであって、いかなる形でも本発明を制限するものと解釈すべきではない。ラセミ混合物が得られる場合、そのエナンチオマーは、最終生成物の単離後又は好適な中間体の時点で、SFC逆相若しくは順相キラル分割条件を用いて分離し、その後に単一の異性体を個別に処理することができる。これらの重要な中間体及び実施例の合成で代替の方法を用いることも可能であることは明らかである。可能であり適切である場合、不斉法(例えば、キラル触媒作用、補助剤)を用いることができる。試薬、溶媒、温度及び他の反応条件の正確な選択は、所期の生成物の性質に依存する。
【0149】
本説明を通じて、下記の略称を用いている。
【表1】
【0150】
【0151】
(トランス-2-フェニルシクロプロピル)ボロン酸
水素化ナトリウム(20.2g、505mmol)のテトラヒドロフラン(700mL)中溶液に、-70℃でトランス-(2-ブロモシクロプロピル)ベンゼン(90.0g、457mmol)を30分間かけて滴下した。n-ブチルリチウムの溶液(2.5Mヘキサン中溶液、202mL、504mmol)をゆっくり加え、反応混合物を5分間攪拌し、次にトリイソプロピルボレート(260g、1.38mol)のテトラヒドロフラン(260mL)中溶液を滴下した。反応混合物を徐々に環境温度に昇温させ、そして14時間攪拌した。HCl水溶液(2M、2L)をゆっくり加え、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した(500mLで2回)。合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(500mL)で洗浄し、脱水し(硫酸ナトリウム)、減圧下に濃縮した。石油エーテル(100mL)及び水(200mL)を加え、得られた混合物を濾過した。沈殿を石油エーテルで洗浄し、酢酸エチル(300mL)に溶かし、脱水し(硫酸ナトリウム)、減圧下に濃縮した。残留物を、水及びエタノールの3:1混合物から再結晶して、標題化合物を得た。MS:m/z=163.0[M+H]。
【0152】
【0153】
N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-4-[トランス-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド
段階A:4-ブロモ-N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]ベンゼンスルホンアミド
4-ブロモベンゼンスルホンアミド(5.00g、21.2mmol)のN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(113mL)中の攪拌溶液を110℃で18時間加熱し、次に、環境温度に放冷した。得られた混合物を減圧下に濃縮して標題化合物を次の段階で使用するのに十分な純度で得た。MS:m/z=291.0[M+H]。
【0154】
段階B:N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-4-[(E)-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)エテニル]ベンゼンスルホンアミド
4-ブロモ-N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]ベンゼンスルホンアミド(6.10g、21.0mmol)のトルエン(70mL)中の攪拌溶液に、環境温度でビニルボロン酸ピナコールエステル(7.11mL、41.9mmol)、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(535mg、1.05mmol)及びトリエチルアミン(6.42mL、46.1mmol)を加えた。得られた混合物を80℃で18時間加熱し、次に水(100mL)に投入し、酢酸エチルで抽出した(200mLで2回)。合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、脱水し(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル:ヘキサン-0:100から30:70の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。MS:m/z=365.3[M+H]。
【0155】
段階C:N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-4-[トランス-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリメチルシリル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド
N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-4-[(E)-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)エテニル]ベンゼンスルホンアミド(6.00g、16.5mmol)のテトラヒドロフラン(82mL)中の攪拌溶液に、環境温度で酢酸パラジウム(II)(924mg、4.12mmol)及び(トリメチルシリル)ジアゾメタン(2.0Mジエチルエーテル中溶液、24.7mL、49.4mmol)を順次加えた。反応混合物を環境温度で18時間攪拌し、次に、酢酸(12mL)を加え、得られた混合物を水(200mL)に投入し、ジクロロメタンで抽出した(200mLで3回)。合わせた有機抽出液を脱水し(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル:ヘキサン-10:90から60:40の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。MS:m/z=451.3[M+H]。
【0156】
段階D:N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-4-[トランス-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド
N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-4-[トランス-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(トリメチルシリル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド(1.25g、2.77mmol)のジクロロメタン(22mL)中の攪拌溶液に、0℃で、トリフルオロメタンスルホン酸(0.801mL、9.02mmol)を加えた。反応混合物を環境温度に昇温させ、そして2時間攪拌し、次に、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)に投入し、ジクロロメタンで抽出した(100mLで2回)。合わせた有機抽出液を脱水し(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を、メタノール:ジクロロメタン-0:100から4:96の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。MS:m/z=379.3[M+H]。
【0157】
【0158】
(1R,2R)-2-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボン酸
段階A:エチル(1R,2R)-2-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレート
エチルトランス-2-フェニルシクロプロパンカルボキシレート(700g、3.68mol)のクロロホルム(6リットル)中の攪拌溶液に、0℃でクロロスルホン酸(2.45リットル、36.8mol)を滴下した。得られた混合物を環境温度に昇温させ、攪拌を2時間続け、次いで反応混合物を0℃に冷却し、水(3リットル)を加えることで反応停止した。得られた混合物をジクロロメタンで抽出し(3リットルで2回)、合わせた有機抽出液を脱水し(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を1,4-ジオキサン(15リットル)に溶かし、水酸化アンモニウム溶液(30%、2.1リットル、18.0mol)を滴下した。得られた混合物を環境温度で30分間攪拌し、水(10リットル)で希釈した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し(5リットルで3回)、合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(10リットル)で洗浄し、脱水し(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下に濃縮してラセミ体の標題化合物を得た。エナンチオマーを、Chiralcel OD-Hカラムを用い、エタノール:二酸化炭素:ジエチルアミン-20:80:0.2で溶離を行うSFCによって分割した。第1の主要溶出ピークは、エチル(1S,2S)-2-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレートであり、第2の主要溶出ピークは、標題化合物のエチル(1R,2R)-2-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレートであった。MS:m/z=270.1[M+H]。
【0159】
段階B:(1R,2R)-2-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボン酸
環境温度のエチル(1R,2R)-2-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレート(190g、0.705mol)のテトラヒドロフラン(3リットル)及びメタノール(600mL)中の攪拌溶液に、0℃で水酸化ナトリウム水溶液(2.12M、1.00リットル、2.12mol)を滴下した。得られた混合物を環境温度で2時間攪拌し、次に減圧下に濃縮して有機溶媒を除去した。得られた混合物を、塩酸水溶液(2.0M)を加えることでpH=4に調節し、酢酸エチルで抽出し(2リットルで2回)、合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(1リットル)で洗浄し、脱水し(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をジエチルエーテルからの再結晶によって精製し、標題化合物を得た。MS:m/z=242.1[M+H]。
【0160】
【0161】
(1S,2S)-2-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボン酸
本質的に中間体2に記載の手順に従い、但し、エチル(1R,2R)-2-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレートに代えてエチル(1S,2S)-2-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレート(中間体2に記載)を用いて、標題化合物を得た。MS:m/z=242.1[M+H]。
【0162】
【0163】
(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボン酸
段階A:(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-フェニルシクロプロパンカルボン酸
トランス-2,2-ジメチル-3-フェニルシクロプロパンカルボン酸(957g、5.03mol)のエナンチオマーを、Lux-5uカラムを用い、メタノール:二酸化炭素-30:70で溶離を行うSFCによって分割した。第1の主要溶出ピークは標題化合物である(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-フェニルシクロプロパンカルボン酸であり、第2の主要溶出ピークは(1S,3S)-2,2-ジメチル-3-フェニルシクロプロパンカルボン酸であった。MS:m/z=191.1[M+H]。
【0164】
段階B:エチル(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-フェニルシクロプロパンカルボキシレート
(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-フェニルシクロプロパンカルボン酸(267g、1.40mol)のエタノール(2.7リットル)中の攪拌溶液に、0℃で塩化チオニル(497g、4.21mol)を滴下した。得られた溶液を環境温度で1時間攪拌し、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル(2リットル)に溶かし、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(1.5リットルで2回)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(3リットル)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮して標題化合物を得た。MS:m/z=219.1[M+H]。
【0165】
段階C:エチル(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレート
エチル(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-フェニルシクロプロパンカルボキシレート(245g、1.12mol)のクロロホルム(2.5リットル)中の攪拌溶液に、0℃でクロロスルホン酸(1564g、13.48mol)を滴下した。得られた溶液を0℃で30分間攪拌し、環境温度に昇温させ、そして2時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、水(2リットル)を加え、得られた溶液を酢酸エチルで抽出した(3リットルで2回)。有機抽出液を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(3リットル)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を1,4-ジオキサン(9リットル)に溶かし、5℃に冷却し、水酸化アンモニウム溶液(30%、1.75リットル、13.5mol)を加えた。得られた溶液を環境温度で30分間攪拌し、水(5リットル)で希釈し、得られた溶液を酢酸エチルで抽出した(3リットルで3回)。合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(5リットル)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル:石油エーテル-17:83から33:67の勾配を用いて溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。MS:m/z=298.0[M+H]。
【0166】
段階D:(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボン酸
(1R,3R)-エチル2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレート(15g、50.4mmol)のテトラヒドロフラン(400mL)及びメタノール(100mL)中溶液に、環境温度で水酸化ナトリウム(1.0M、150mL、150mmol)を加えた。反応混合物を60℃に昇温させ、2.5時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、塩酸(1.00M、12.5mL、151mmol)をゆっくり加え、得られた混合物を減圧下に濃縮して、メタノール、テトラヒドロフラン及び少量の水を除去した。混合物を酢酸エチルで抽出し(200mLで3回)、合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(150mL)で洗浄し、脱水し(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下に濃縮して標題化合物を得た。MS:m/z=270.1[M+H]。
【0167】
【0168】
(1S,3S)-2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボン酸
(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-フェニルシクロプロパンカルボン酸に代えて(1S,3S)-2,2-ジメチル-3-フェニルシクロプロパンカルボン酸(中間体4で記載)を用いた以外は中間体4に記載の手順に実質的に従って、標題化合物を得た。MS:m/z=270.2[M+H]。
【0169】
【0170】
(1S,3S)-2,2-ジフルオロ-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボン酸
段階A:エチル(1S,3S)-2,2-ジフルオロ-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレート
クロロスルホン酸(35.5mL、530mmol)に、0℃でエチルトランス-2,2-ジフルオロ-3-フェニルシクロプロパンカルボキシレート(10.0g、44.2mmol)(Dolbier et al. J. Fluorine Chem. (2004) 125:459-469)を滴下した。反応混合物を0℃で30分間攪拌し、環境温度に昇温させ、2時間攪拌した。反応混合物を、ゆっくり攪拌した氷/水(500mL)に5分間かけてゆっくり加えた。得られた懸濁液を酢酸エチル(400mL)で希釈し、5分間攪拌した。層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(400mLで2回)。合わせた有機抽出液を水(400mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を1,4-ジオキサン(400mL)に溶かし、水酸化アンモニウム(30%、92mL、1.36mol)を加えた。反応混合物を環境温度で2.5時間攪拌し、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル:ヘキサン-0:100から40:60の勾配を用いて溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、ラセミ体の標題化合物を得た。そのラセミ体を、イソプロパノール:二酸化炭素:ジエチルアミン-20:80:0.1で溶離を行うChiralPak AD-Hカラムを用いるSFCによって分割した。第1の主要溶出ピークはエチル(1R,3R)-2,2-ジフルオロ-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレートであり、第2の主要溶出ピークは標題化合物であるエチル(1S,3S)-2,2-ジフルオロ-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレートであった。MS:m/z=306.2[M+H]。
【0171】
段階B:(1S,3S)-2,2-ジフルオロ-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボン酸
エチル(1S,3S)-2,2-ジフルオロ-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレート(500mg、1.64mmol)のアセトニトリル(8.2mL)中溶液に水酸化リチウム水溶液(1.0M、4.9mL、4.9mmol)を加え、反応混合物を環境温度で18時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、水層をHCl水溶液(1M)で酸性とした。混合物を酢酸エチルで抽出し(20mLで3回)、合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮して標題化合物を得た。MS:m/z=278.1[M+H]。
【0172】
【0173】
(1R,3R)-2,2-ジフルオロ-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボン酸
エチル(1S,3S)-2,2-ジフルオロ-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレートに代えてエチル(1R,3R)-2,2-ジフルオロ-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレート(中間体6に記載)を用いた以外は中間体6に記載の手順に実質的に従って、標題化合物を得た。MS:m/z=278.1[M+H]。
【0174】
【0175】
(1R,3R)-3-{4-[(tert-ブトキシカルボニル)(tert-ブチル)スルファモイル]フェニル}-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸
段階A:エチル(1R,3R)-3-{4-[(tert-ブトキシカルボニル)(tert-ブチル)スルファモイル]フェニル}-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート
エチル(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレート(中間体4で記載)(2.00g、6.73mmol)のテトラヒドロフラン(24mL)中の攪拌溶液に、環境温度でジ-tert-ブチルジカーボネート(7.34g、33.6mmol)及びDMAP(82mg、0.67mmol)を加えた。得られた混合物を環境温度で18時間、次いで50℃で7時間攪拌し、次いで環境温度まで放冷した。ジ-tert-ブチルジカーボネート(1.50g、6.87mmol)を加え、反応混合物を50℃で3時間攪拌し、環境温度まで放冷した。ジ-tert-ブチルジカーボネート(3.00g、13.7mmol)及びDMAP(82mg、0.67mmol)を加え、反応混合物を50℃で3時間攪拌し、次いで環境温度まで放冷した。得られた混合物を減圧下に濃縮し、残留物を酢酸エチル:ヘキサン-0:100から30:70の勾配を用いて溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を得た。MS:m/z=517.3[M+CH3CN+Na]。
【0176】
段階B:(1R,3R)-3-{4-[(tert-ブトキシカルボニル)(tert-ブチル)スルファモイル]フェニル}-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸
エチル(1R,3R)-3-{4-[(tert-ブトキシカルボニル)(tert-ブチル)スルファモイル]フェニル}-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(2.36g、5.19mmol)のテトラヒドロフラン(15mL)及びメタノール(15mL)中の攪拌溶液に、環境温度で水酸化ナトリウム水溶液(2.0M、9.47mL、18.9mmol)を滴下した。得られた混合物を環境温度で18時間攪拌し、水(50mL)に投入した。得られた混合物を、塩酸水溶液(1.0M)を加えることでpH=4に調節し、酢酸エチルで抽出した(100mLで2回)。合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(40mL)で洗浄し、脱水し(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下に濃縮して標題化合物を得て、それをそれ以上精製せずに用いた。MS:m/z:489.2[M+CH3CN+Na]。
【0177】
【0178】
(1S,3S)-3-{4-[(tert-ブトキシカルボニル)(tert-ブチル)スルファモイル]フェニル}-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸
エチル(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレートに代えてエチル(1S,3S)-2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシレート(中間体5で記載)を用いた以外は中間体8に記載の手順に実質的に従って、標題化合物を得た。MS:m/z=489.4[M+CH3CN+Na]。
【0179】
【0180】
2-クロロ-4-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]ピリミジン
[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]ボロン酸(457mg、2.39mmol)のDME(8.0mL)及び水(2.0mL)中溶液に、4-ブロモ-2-クロロピリミジン(463mg、2.39mmol)及び炭酸セシウム(2.34g、7.18mmol)を加え、混合物を脱酸素した。1,1′-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロライド、ジクロロメタン錯体(392mg、0.479mmol)を加え、反応混合物を環境温度で14時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(15mL)で希釈し、水(10mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル:ヘキサン-0:100から50:50の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を次の段階で使用するのに十分な純度で得た。MS:m/z=260.0[M+H]。
【0181】
【0182】
N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-4-{トランス-2-[3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノイル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド
段階A:4-[(1E)-3-オキソブタ-1-エン-1-イル]ベンゼンスルホンアミド
アセトン(10.5mL)及び水(21.1mL)に溶かした4-ホルミルベンゼンスルホンアミド(2.00g、10.8mmol)の入った密閉式バイアルに、水酸化ナトリウム水溶液(5%、4.32mL、108mmol)を加えた。反応混合物を40℃に昇温させ、2日間攪拌した。反応混合物を環境温度まで冷却し、酢酸エチル(20mL)で希釈し、混合物のpHが約6となるまでHCl水溶液(1N)で処理した。層を分離し、有機層を脱水し(硫酸ナトリウム)、減圧下に濃縮し、標題化合物を次の段階で使用するのに十分な純度で得た。MS:m/z=226A[M+H]。
【0183】
段階B:4-(トランス-2-アセチルシクロプロピル)-N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]ベンゼンスルホンアミド
ヨウ化トリメチルスルホキソニウム(2.56g、11.6mmol)のDMSO(48.4mL)中溶液に水素化ナトリウム(0.852g、21.3mmol)を加え、反応混合物を5分間攪拌した。4-[(1E)-3-オキソブタ-1-エン-1-イル]ベンゼンスルホンアミド(2.18g、9.68mmol)を少量ずつ加え、反応混合物を14時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)及び水(100mL)で希釈し、層を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し(100mLで7回)、合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、脱水し(硫酸ナトリウム)、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル:エタノール:ヘキサン-0:0:100から75:25:0の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。MS:m/z=240.1[M+H]。
【0184】
段階C:N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-4-{トランス-2-[3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノイル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド
4-(トランス-2-アセチルシクロプロピル)-N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]ベンゼンスルホンアミド(553mg、2.31mmol)の入った密閉式バイアルに、DMF-DMA(6.19mL、46.2mmol)を加えた。反応混合物を110℃に昇温させ、14時間攪拌した。反応混合物を環境温度まで冷却し、ジクロロメタン(15mL)で希釈し、水で洗浄し(10mLで3回)、脱水し(硫酸ナトリウム)、減圧下に濃縮して、標題化合物を次の段階で使用するのに十分な純度で得た。MS:m/z=350.2[M+H]。
【0185】
【0186】
(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシイミドアミド
段階A:(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキサミド
(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボン酸(中間体5)(850mg、3.16mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)中の攪拌溶液に、1,1′-カルボニルジイミダゾール(614mg、3.79mmol)を加え、得られた混合物を環境温度で1時間攪拌した。水酸化アンモニウム水溶液(28%溶液、8.8mL、130mmol)を加え、反応混合物を環境温度で12時間攪拌した。混合物を減圧下に濃縮してテトラヒドロフランを除去し、残留混合物を、1M塩酸水溶液を加えることでpH=3に調節した。水層を酢酸エチルで抽出し(10mLで3回)、合わせた有機抽出液を飽和炭酸カリウム水溶液で洗浄し(10mLで2回)、脱水し(硫酸ナトリウム)、濾過し、溶媒を減圧下に留去して、標題化合物を次の段階で使用するのに十分な純度で得た。MS:m/z=269.1[M+H]。
【0187】
段階B:4-[(1R,3R)-3-シアノ-2,2-ジメチルシクロプロピル]-N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]ベンゼンスルホンアミド
(1R,2R)-2-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキサミド(500mg、1.86mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(8mL)中の攪拌溶液に、環境温度で塩化チオニル(3.3g、27mmol)を滴下し、得られた溶液を環境温度で1時間攪拌した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(10mLで3回)。合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(25mL)で洗浄し、脱水し(硫酸ナトリウム)、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチルで溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。MS:m/z=306.1[M+H]。
【0188】
段階C:エチル(1R,3R)-3-(4-{[(ジメチルアミノ)メチリデン]スルファモイル}フェニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシイミドエート
4-[(1R,3R)-3-シアノ-2,2-ジメチルシクロプロピル]-N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]ベンゼンスルホンアミド(180mg、0.59mmol)のエタノール(10mL)中溶液を、0℃で塩化水素(気体)で飽和させ、得られた混合物を環境温度で4時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、標題化合物を次の段階で使用するのに十分な純度で得た。MS:m/z=352.1[M+H]。
【0189】
段階D:(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシイミドアミド
エチル(1R,3R)-3-(4-{[(ジメチルアミノ)メチリデン]スルファモイル}フェニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシイミドエート(200mg、0.57mmol)及びエタノール(5mL)の混合物に、0℃で飽和アンモニア/メタノール溶液(5mL)を加えた。反応混合物を50℃で12時間攪拌し、減圧下に濃縮し、標題化合物を次の段階で使用するのに十分な純度で得た。MS:m/z=268.0[M+H]。
【0190】
【0191】
3-(ジメチルアミノ)-1-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]プロパ-2-エン-1-オン
段階A:3-(1-エトキシエテニル)-5-(トリフルオロメチル)ピリジン
3-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン(500mg、2.21mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(8mL)中溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド(15.5mg、0.022mmol)及びトリブチル(1-エトキシビニル)スズ(959mg、2.66mmol)を環境温度で加えた。反応混合物を100℃で2時間攪拌し、環境温度まで放冷し、飽和フッ化カリウム水溶液(10mL)を加えた。得られた混合物を濾過し、濾液を酢酸エチル(30mL)で希釈し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mLで2回)、次に飽和塩化ナトリウム水溶液(10mLで2回)で洗浄し、脱水し(硫酸ナトリウム)、濾過し、溶媒を減圧下に留去して、標題化合物を次の段階で使用するのに十分な純度で得た。MS:m/z=217.8[M+H]。
【0192】
段階B:1-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]エタノン
3-(1-エトキシエテニル)-5-(トリフルオロメチル)ピリジン(450mg、2.07mmol)のテトラヒドロフラン(8mL)中の攪拌溶液に、環境温度で2M塩酸水溶液(5mL、10mmol)を加え、得られた溶液を環境温度で12時間攪拌した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(10mLで3回)。合わせた有機抽出液を脱水し(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル:石油エーテル-1:5で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。MS:m/z=190.0[M+H]。
【0193】
段階C:3-(ジメチルアミノ)-1-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]プロパ-2-エン-1-オン
1-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]エタノン(150mg、0.79mmol)及びtert-ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン(138mg、0.79mmol)の混合物を110℃で12時間攪拌した。反応混合物を環境温度まで放冷し、減圧下に濃縮し、標題化合物を次の段階で使用するのに十分な純度で得た。MS:m/z=245.1[M+H]。
【0194】
【0195】
(1R,3R)-2.2-ジフルオロ-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシイミドアミド
(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボン酸に代えて(1R,3R)-2,2-ジフルオロ-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボン酸(中間体8)を用いた以外は中間体13に記載の手順に実質的に従って、標題化合物を得た。MS:m/z=276A[M+H]。
【0196】
【0197】
3-(ジメチルアミノ)-1-(3-フルオロフェニル)プロパ-2-エン-1-オン
1-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]エタノンに代えて3-フルオロアセトフェノンを用いた以外は中間体14に記載の手順に実質的に従って、標題化合物を得た。MS:m/z=194.1[M+H]。
【0198】
下記の表にある中間体を、当業者に公知の修正を加え、同様の変換の結果として記載若しくは製造されるように、上記の中間体と同様にして製造した。必要な原料は、本明細書に記載されていたか、市販されていたか、文献で公知であったか又は当業者によって容易に合成された。一部の経路では、直接保護基戦略を用いた。
【0199】
【0200】
【0201】
4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB
段階A:2-(トランス-2-フェニルシクロプロピル)-6-(プロパン-2-イル)ピリジン
(トランス-フェニルシクロプロピル)ボロン酸(中間体1)(211mg、1.30mmol)のトルエン(3.3mL)中溶液に、2-ブロモ-6-イソプロピルピリジン(137mg、0.685mmol)及び三塩基性リン酸カリウム(436mg、2.05mmol)を加え、反応混合物を窒素によって脱酸素した。酢酸パラジウム(II)(30.7mg、0.137mmol)、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(98mg、0.27mmol)及び水(0.2mL)を加え、反応混合物を窒素で脱酸素し、密閉し、100℃に昇温させ、4時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、残留物を酢酸エチル:ヘキサン-0:100から50:50の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を得た。MS:m/z=238.2[M+H]。
【0202】
段階B:4-{トランス-2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB
トランス-2-(2-フェニルシクロプロピル)-6-(プロパン-2-イル)ピリジン(145mg、0.611mmol)の入ったフラスコにクロロスルホン酸(1.00mL、14.9mmol)を加え、反応混合物を30分間攪拌した。反応混合物を氷水(15mL)に滴下し、混合物をデカンテートした。残留物を1,4-ジオキサン(2mL)に溶かし、得られた溶液に水酸化アンモニウム(15M、0.50mL、7.6mmol)を加えた。反応混合物を30分間攪拌し、次に水(10mL)で希釈した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し(15mLで2回)、合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル:エタノール:ヘキサン-3:1:96から57:19:24の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を得た。そのラセミ体を、メタノール:二酸化炭素:イソプロピルアミン-35:65:0.25で溶離を行うChiralPak AD-Hカラムを用いるSFCによって分割した。第1の溶出主要ピークはトランス-4-{2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーAであり、第2の溶出主要ピークはトランス-4-{2-[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB、標題化合物であった。MS:m/z=317.2[M+H]。1H NMR(500MHz、DMSO-d6):δ7.71(d、J=8.1Hz、2H);7.58(t、J=7.7Hz、1H);7.37(d、J=8.2Hz、2H);7.27(s、2H);7.15(d、J=7.6Hz、1H);7.05(d、J=7.7Hz、1H);2.92-2.97(m、1H);2.42-2.48(m、2H);1.74(dt、J=8.9、4.8Hz、1H);1.50-1.54(m、1H);1.23(d、J=1.7Hz、3H);1.22(d、J=1.8Hz、3H)。
【0203】
【0204】
4-{トランス-2-[2-(モルホリン-4-イル)ピリミジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド
N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-4-{トランス-2-[3-(ジメチルアミノ)プロパ-2-エノイル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド(中間体12)(30mg、0.086mmol)のエタノール(1.1mL)中溶液に、炭酸カリウム(23.7mg、0.172mmol)及びモルホリン-4-カルボキシイミドアミド(16.7mg、0.129mmol)を加えた。反応混合物を80℃に昇温させ、14時間攪拌した。反応混合物を環境温度まで冷却し、窒素気流下に濃縮し、得られた残留物を、アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸-10:90:0.1から40:60:0.1の勾配で溶離を行う分取HPLCによって精製し、標題化合物を得た。MS:m/z=360.1[M+H]。1H NMR(500MHz、DMSO-d6):δ8.20(d、J=5.0Hz、1H);7.72(d、J=8.1Hz、2H);7.37(d、J=8.2Hz、2H);7.28(s、2H);6.69(d、J=5.0Hz、1H);3.66-3.68(brm、8H);2.33(brs、2H);1.77(brs、1H);1.58(brs、1H)。
【0205】
【0206】
4-[トランス-2-(6-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB
段階A:2-シクロペンチル-6-(トランス-2-フェニルシクロプロピル)ピリジン
(トランス-2-フェニルシクロプロピル)ボロン酸(中間体1)(681mg、4.20mmol)のトルエン(10.5mL)及び水(0.6mL)の混合液中の溶液に、2-ブロモ-6-シクロペンチルピリジン(500mg、2.21mmol)及び三塩基性リン酸カリウム(1.41g、6.63mmol)を加え、反応混合物を窒素で脱酸素した。酢酸パラジウム(II)(99mg、0.44mmol)及びジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(317mg、0.885mmol)を加え、反応混合物を110℃に昇温させ、4時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、水(10mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル:ヘキサン-5:95から100:0の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を得た。MS:m/z=264.3[M+H]。
【0207】
段階B:4-[トランス-2-(6-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB
2-シクロペンチル-6-(トランス-2-フェニルシクロプロピル)ピリジン(324mg、1.23mmol)の入ったフラスコに、クロロスルホン酸(2.00mL、29.9mmol)を加え、反応混合物を30分間攪拌した。反応混合物を氷水(20mL)に滴下し、混合物をデカンテートした。残留物を1,4-ジオキサン(3mL)に溶かし、得られた溶液に水酸化アンモニウム(15M、1.50mL、22.7mmol)を加えた。反応混合物を30分間攪拌し、水(15mL)で希釈した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し(20mLで2回)、合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル:エタノール:ヘキサン-3:1:96から57:19:24の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を得た。そのラセミ体を、メタノール:イソプロパノール:二酸化炭素:イソプロピルアミン-25:25:50:0.25で溶離を行うChiralPak AD-Hカラムを用いるSFCによって分割した。第1の溶出主要ピークは4-[トランス-2-(6-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーAであり、第2の溶出主要ピークは4-[トランス-2-(6-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB、標題化合物であった。MS:m/z=343.2[M+H]。1H NMR(500MHz、DMSO-d6):δ7.71(d、J=8.2Hz、2H);7.55(t、J=1.6Hz、1H);7.36(d、J=8.2Hz、2H);7.27(s、2H);7.14(d、J=7.6Hz、1H);7.04(d、J=7.7Hz、1H);3.08-3.14(m、1H);2.41-2.48(m、2H);1.93-1.97(m、2H);1.70-1.76(m、5H);1.63-1.67(m、2H);1.50-1.54(m、1H)。
【0208】
【0209】
4-[トランス-2-(5-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB
段階A:5-シクロペンチル-2-(トランス-2-フェニルシクロプロピル)ピリジン
(トランス-2-フェニルシクロプロピル)ボロン酸(中間体1)(681mg、4.20mmol)のトルエン(10.5mL)及び水(0.6mL)の混合液中の溶液に、2-ブロモ-6-シクロペンチルピリジン(500mg、2.21mmol)及び三塩基性リン酸カリウム(1.41g、6.63mmol)を加え、反応混合物を窒素で脱酸素した。酢酸パラジウム(II)(99mg、0.44mmol)及びジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(317mg、0.885mmol)を加え、反応混合物を110℃に昇温させ、4時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、水(10mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル:ヘキサン-5:95から100:0の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を得た。MS:m/z=264.3[M+H]。
【0210】
段階B:4-[トランス-2-(5-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB
5-シクロペンチル-2-(トランス-2-フェニルシクロプロピル)ピリジン(391mg、1.49mmol)の入ったフラスコに、クロロスルホン酸(2.00mL、29.9mmol)を加え、反応混合物を30分間攪拌した。反応混合物を氷水(20mL)に滴下し、混合物をデカンテートした。残留物を1,4-ジオキサン(3mL)に溶かし、得られた溶液に水酸化アンモニウム(15M、1.50mL、22.7mmol)を加えた。反応混合物を30分間攪拌し、水(15mL)で希釈した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し(20mLで2回)、合わせた有機抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル:エタノール:ヘキサン-3:1:96から57:19:24の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を得た。そのラセミ体を、エタノール:二酸化炭素:イソプロピルアミン-55:45:0.25で溶離を行うChiralPak AD-Hカラムを用いるSFCによって分割した。第1の溶出主要ピークは4-[トランス-2-(5-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーAであり、第2の溶出主要ピークは4-[トランス-2-(5-シクロペンチルピリジン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB、標題化合物であった。MS:m/z=343.2[M+H]。1H NMR(500MHz、DMSO-d6):δ8.36(d、J=2.3Hz、1H);7.71(d、J=8.1Hz、2H);7.55(dd、J=8.0、2.4Hz、1H);7.36(d、J=8.2Hz、2H);7.29(d、J=8.2Hz、1H);7.27(s、2H);2.91-2.98(m、1H);2.41-2.48(m、2H);2.01(brs、2H);1.74-1.80(m、2H);1.68-1.72(m、1H);1.65(m、2H);1.50-1.54(m、3H)。
【0211】
【0212】
4-{トランス-2-[4-(プロパン-2-イル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB
段階A:2-(トランス-2-フェニルシクロプロピル)-4-(プロパン-2-イル)ピリミジン
(トランス-2-フェニルシクロプロピル)ボロン酸(中間体1)(1.53g、9.45mmol)のトルエン(8.0mL)及び水(0.4mL)の混合液中の溶液に、2-ブロモ-4-イソプロピルピリミジン(1.0g、4.97mmol)及び三塩基性リン酸カリウム(3.17g、14.9mmol)を加え、反応混合物を窒素で脱酸素した。酢酸パラジウム(II)(223mg、0.995mmol)及びジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(713mg、1.99mmol)を加え、反応混合物を100℃に昇温させ、14時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、水(10mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル:ヘキサン-0:100から50:50の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を得た。MS:m/z=239.1[M+H]。
【0213】
段階B:4-{トランス-2-[4-(プロパン-2-イル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB
クロロスルホン酸(8.00mL、119mmol)の入ったフラスコに、0℃で2-(トランス-2-フェニルシクロプロピル)-4-(プロパン-2-イル)ピリミジン(890mg、3.73mmol)を滴下し、反応混合物を30分間攪拌した。反応混合物を環境温度まで昇温させ、1時間攪拌した。反応混合物を氷水(20mL)に滴下し、混合物をデカンテーションした。残留物を1,4-ジオキサン(8mL)に溶かし、得られた溶液に水酸化アンモニウム(15M、4.00mL、60.4mmol)を加えた。反応混合物を30分間攪拌し、酢酸エチル(25mL)で希釈した。層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(30mLで2回)。合わせた有機抽出液を水(20mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル:エタノール:ヘキサン-3:1:96から38:12:50の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を得た。そのラセミ体を、エタノール:二酸化炭素:イソプロピルアミン-50:50:0.25で溶離を行うChiralPak AD-Hカラムを用いるSFCによって分割した。第1の溶出主要ピークは4-{トランス-2-[4-(プロパン-2-イル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーAであり、第2の溶出主要ピークは4-{トランス-2-[4-(プロパン-2-イル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB、標題化合物であった。MS:m/z=318.2[M+H]。1H NMR(500MHz、DMSO-d6):δ8.56(d、J=5.2Hz、1H);7.72(d、J=8.2Hz、2H);7.40(d、J=8.2Hz、2H);7.29(s、2H);7.21(d、J=5.2Hz、1H);2.90-2.97(m、1H);2.57-2.61(m、1H);2.51-2.54(m、1H);1.75-1.79(m、1H);1.61(ddd、J=8.6、6.1、4.1Hz、1H);1.23(d、J=1.9Hz、3H);1.22(d、J=1.9Hz、3H)。
【0214】
【0215】
4-{トランス-2-[6-(ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド
N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-4-[トランス-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド(中間体2)(30mg、0.079mmol)のトルエン(0.79mL)中溶液に、5-ブロモ-2-(ピロリジン-1-イル)ピリジン(32mg、0.12mmol)、クロロ[(ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン)-2-(2-アミノビフェニル)]パラジウム(II)(5.3mg、0.0079mmol)及び三塩基性リン酸カリウム水溶液(1M、0.238mL、0.238mmol)をその順で加えた。反応混合物を100℃に昇温させ、そして18時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(3mL)で希釈し、セライトの入ったSPEカートリッジで濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をヒドラジン水和物の溶液(37%水/エタノール中溶液、1.5mL、17.6mmol)で処理し、1.5時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、得られた残留物をアセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸-5:95:0.1から35:65:0.1の勾配で溶離を行う分取HPLCによって精製し、標題化合物を得た。MS:m/z=344.1[M+H]。1H NMR(500MHz、DMSO-d6):δ7.86(s、1H);7.78(d、J=9.3Hz、1H);7.73(d、J=8.0Hz、2H);7.35(d、J=8.0Hz、2H);7.29(s、2H);7.04(d、J=9.2Hz、1H);3.50(brs、4H);2.34(m、2H);2.02(brs、4H);1.57(m、2H)。
【0216】
【0217】
4-{トランス-2-[3-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)フェニル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド
N-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-4-[トランス-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド(中間体2)(30mg、0.079mmol)のトルエン(0.79mL)中溶液に、3-(3-ブロモフェニル)-5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール(33mg、0.12mmol)、クロロ[(ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン)-2-(2-アミノビフェニル)]パラジウム(II)(5.3mg、0.0079mmol)及び三塩基性リン酸カリウム水溶液(1M、0.238mL、0.238mmol)をその順で加えた。反応混合物を100℃に昇温させ、そして18時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(3mL)で希釈し、セライトの入ったSPEカートリッジで濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をヒドラジン水和物の溶液(37%水/エタノール中溶液、1.5mL、17.6mmol)で処理し、1.5時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、得られた残留物をアセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸-5:95:0.1から55:45:0.1の勾配で溶離を行う分取HPLCによって精製し、標題化合物を得た。MS:m/z=356.2[M+H]。1H NMR(500MHz、DMSO-d6):δ7.81(d、J=9.0Hz、2H);7.73(d、J=8.0Hz、2H);7.49(t、J=7.8Hz、1H);7.40(t、J=8.5Hz、3H);7.28(s、2H);2.67(s、3H);2.46(s、1H);2.39(s、1H);1.62(s、2H)。
【0218】
【0219】
4-{トランス-2-[2-(プロパン-2-イル)ピリジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB
段階A:4-(トランス-2-フェニルシクロプロピル)-2-(プロパン-2-イル)ピリジン
(トランス-2-フェニルシクロプロピル)ボロン酸(中間体1)(769mg、4.75mmol)のトルエン(9.5mL)及び水(0.5mL)の混合液中の溶液に、2-ブロモ-4-イソプロピルピリミジン(500mg、2.50mmol)及び三塩基性リン酸カリウム(1.59g、7.50mmol)を加え、反応混合物を窒素で脱酸素した。酢酸パラジウム(II)(112mg、0.500mmol)及びジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(358mg、1.00mmol)を加え、反応混合物を100℃に昇温させ、そして14時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、水(10mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル:ヘキサン-0:100から50:50の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を得た。MS:m/z=238.0[M+H]。
【0220】
段階B:4-{トランス-2-[2-(プロパン-2-イル)ピリジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB
4-(トランス-2-フェニルシクロプロピル)-2-(プロパン-2-イル)ピリジン(472mg、1.99mmol)のジクロロメタン(4.0mL)中溶液に、0℃でクロロスルホン酸(2.00mL、29.9mmol)を滴下し、反応混合物を30分間攪拌した。反応混合物を環境温度に昇温させ、そして30分間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、氷水(15mL)に滴下し、層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出し(15mLで3回)、合わせた有機抽出液を減圧下に濃縮した。残留物を1,4-ジオキサン(3.0mL)に溶かし、得られた溶液に水酸化アンモニウム(15M、1.00mL、15.1mmol)を加えた。反応混合物を14時間攪拌し、酢酸エチル(25mL)で希釈した。層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(30mLで2回)。合わせた有機抽出液を水(20mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル:エタノール:ヘキサン-3:1:96から38:12:50の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を得た。そのラセミ体を、メタノール:二酸化炭素:イソプロピルアミン-30:70:0.25で溶離を行うChiralPak AD-Hカラムを用いるSFCによって分割した。第1の溶出主要ピークは4-{トランス-2-[2-(プロパン-2-イル)ピリジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーAであり、第2の溶出主要ピークは4-{トランス-2-[2-(プロパン-2-イル)ピリジン-4-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーB、標題化合物であった。MS:m/z=317.2[M+H]。1H NMR(500MHz、DMSO-d6):δ8.34(d、J=5.2Hz、1H);7.72(d、J=8.2Hz、2H);7.37(d、J=8.2Hz、2H);7.28(s、2H);7.10(s、1H);6.98-6.99(m、1H);2.93-2.98(m、1H);2.40-2.43(m、1H);2.27-2.31(m、1H);1.61-1.67(m、2H);1.22(s、3H);1.21(s、3H)。
【0221】
【0222】
4-[(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-{4-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]ピリミジン-2-イル}シクロプロピル]ベンゼンスルホンアミド
3-(ジメチルアミノ)-1-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]プロパ-2-エン-1-オン(中間体14)(15mg、0.06mmol)のメタノール(1mL)中溶液に、環境温度で(1R,3R)-2,2-ジメチル-3-(4-スルファモイルフェニル)シクロプロパンカルボキシイミドアミド(中間体13)(33mg、0.12mmol)及び炭酸カリウム(8.5mg、0.06mmol)を加えた。攪拌反応混合物を60℃で12時間加熱し、環境温度に放冷し、次いでアセトニトリル:水:水酸化アンモニウム-35:65:0.05から65:35:0.05の勾配で溶離を行う分取HPLCによって精製し、生成物含有分画を減圧下に濃縮して標題化合物を得た。MS:m/z=449.0[M+H]。1H NMR(400MHz、CD3OD):δ9.61(s、1H);9.05(s、1H);8.83-8.90(m、2H);7.98(d、J=5.3Hz、1H);7.87(d、J=8.3Hz、2H);7.51(d、J=7.9Hz、2H);3.27-3.29(m、1H);2.91(d、J=6.1Hz、1H);1.34(s、3H);1.07(s、3H)。
【0223】
【0224】
4-{トランス-2-[4-(3-フルオロフェニル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーA
段階A:4-(3-フルオロフェニル)-2-(トランス-2-フェニルシクロプロピル)ピリミジン
(トランス-2-フェニルシクロプロピル)ボロン酸(中間体1)(153mg、0.94mmol)のトルエン(4.75mL)及び水(0.25mL)の混合液中の溶液に、2-クロロ-4-(3-フルオロフェニル)ピリミジン(中間体A1)(131mg、0.63mmol)及び三塩基性リン酸カリウム(400mg、1.88mmol)を加え、反応混合物を窒素で脱酸素した。酢酸パラジウム(II)(28mg、0.13mmol)及びジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン(90mg、0.25mmol)を加え、反応混合物を100℃に昇温させ、そして18時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(10mL)で希釈し、水(5mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(5mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル:ヘキサン-0:100から50:50の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を得た。MS:m/z=291.2[M+H]。
【0225】
段階B:4-{トランス-2-[4-(3-フルオロフェニル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーA
4-(3-フルオロフェニル)-2-(トランス-2-フェニルシクロプロピル)ピリミジン(86mg、0.296mmol)のジクロロメタン(0.2mL)中溶液に、0℃でクロロスルホン酸(0.20mL、2.99mmol)を滴下し、反応混合物を30分間攪拌した。反応混合物を環境温度に昇温させ、そして30分間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、氷水(5mL)に滴下し、層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出し(5mLで3回)、合わせた有機抽出液を減圧下に濃縮した。残留物を1,4-ジオキサン(1.0mL)に溶かし、得られた溶液にアンモニア(7Mメタノール中溶液、0.5mL、3.5mmol)を加えた。反応混合物を15分間攪拌し、水(5mL)で希釈した。層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(10mLで2回)。合わせた有機抽出液を水(10mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、脱水し(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル:エタノール:ヘキサン-3:1:96から57:19:24の勾配で溶離を行うシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、ラセミ体の標題化合物を得た。そのラセミ体を、メタノール:二酸化炭素-30:70で溶離を行うChiralPak OJ-Hカラムを用いるSFCによって分割した。第1の溶出主要ピークは4-{トランス-2-[4-(3-フルオロフェニル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーA、標題化合物であり、第2の溶出主要ピークは4-{トランス-2-[4-(3-フルオロフェニル)ピリミジン-2-イル]シクロプロピル}ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーBであった。MS:m/z=370.1[M+H]。1H NMR(600MHz、DMSO-d6):δ8.79(d、J=5.3Hz、1H)、8.08(d、J=7.7Hz、1H)、8.04(d、J=10.2Hz、1H)、7.93(d、J=5.3Hz、1H)、7.73(d、J=8.4Hz、2H)、7.64-7.58(m、1H)、7.45(d、J=8.4Hz、2H)、7.43-7.39(m、1H)、7.30(s、2H)、2.75-2.69(m、1H)、2.67-2.62(m、1H)、1.92-1.87(m、1H)、1.72-1.67(m、1H)。
【0226】
【0227】
4-(トランス-2-{4-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]ピリミジン-2-イル}シクロプロピル)ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーA
2-クロロ-4-(3-フルオロフェニル)ピリミジンに代えて2-クロロ-4-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]ピリミジン(中間体11)を用いた以外は実施例10に記載の手順に実質的に従い、ラセミ体の標題化合物を得た。そのラセミ体を、メタノール:二酸化炭素-30:70で溶離を行うChiralPak AS-Hカラムを用いるSFCによって分割した。第1の溶出主要ピークは4-(トランス-2-{4-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]ピリミジン-2-イル}シクロプロピル)ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーA、標題化合物であり、第2の溶出主要ピークは4-(トランス-2-{4-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]ピリミジン-2-イル}シクロプロピル)ベンゼンスルホンアミド、エナンチオマーBであった。MS:m/z=421.0[M+H]。1H NMR(600MHz、DMSO-d6):δ9.68(s、1H)、9.16(s、1H)、8.90(s、1H)、8.88(d、J=5.2Hz、1H)、8.15(d、J=5.2Hz、1H)、7.74(d、J=8.2Hz、2H)、7.45(d、J=8.3Hz、2H)、7.30(s、2H)、2.79-2.74(m、1H)、2.73-2.67(m、1H)、1.95-1.89(m、1H)、1.76-1.69(m、1H)。
【0228】
下記の表にある実施例を、当業者に公知の修正を加え、同様の変換の結果として記載若しくは製造されるように上記の実施例と同様にして製造した。必要な原料は、本明細書に記載されていたか、市販されていたか、文献で公知であったか又は当業者によって容易に合成された。一部の経路では直接保護基戦略を用いた。
【0229】
【0230】
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
【0235】
【0236】
【0237】
α7ニコチン性アセチルコリン受容体活性のポジティブアロステリック調節剤としての本発明による化合物の有用性を、当業界で公知の方法によって示すことができる。α7の直接活性化(作動作用)及びアセチルコリン誘発α7電流の増強を、次のようにして求めた。
【0238】
自動パッチクランプ電気生理学機能アッセイ(アッセイA)
自動パッチクランプ電気生理学試験を、全細胞、群パッチ形態でIonFlux HT(Fluxion Biosciences Inc., San Francisco, CA)を用いて行った。試験化合物について、天然α7作動薬アセチルコリン存在下及び非存在下の両方でのα7ニコチン性アセチルコリン受容体の機能を調節する能力を評価した。ヒトRIC-3及びヒトα7の両方を安定に発現するHEK細胞系(PrecisION hnAChR α7/RIC-3, Eurofins Pharma, St. Charles, MO)を、175cm2三層組織培養フラスコで、10%加熱失活ウシ胎仔血清、1%非必須アミノ酸、0.625μg/mLピューロマイシン、及び400μg/mLジェネテシンを補充したDMEM/F-12増殖培地中で90%以下の密集度まで培養した。アッセイ直前に、最初に増殖培地を吸引し、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水で洗い、次にフラスコにAccutase (Innovative Cell Technologies, San Diego, CA)10mLを加え、そして37℃で5分間インキュベートすることで細胞を分離した。分離した細胞を、25mM HEPESを補充したCHO血清非含有培地40mLを加えることで回収し、50mL円錐管中で優しく揺らしてから、20分間後にパッチクランプアッセイを行った。回収後、小型卓上型遠心機で1000rpmで1分間遠心することで細胞をペレット化し;回収培地を吸引し、細胞を外部記録溶液(150mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl2、1mM MgCl2、10mM HEPES、12mMブドウ糖)に密度5.0×106細胞/mLまで再懸濁した。予め洗浄し、脱イオンH2OでプライミングしておいたIonFlux HT群パッチプレート上の細胞導入ウェルに細胞懸濁液を加えた。試験化合物をDMSOで連続希釈し、外部記録溶液に40μMアセチルコリンを加えて又は加えずに、外部記録溶液に最終試験濃度まで再懸濁させ;次に、試験化合物をIonFlux HT群パッチプレートに移した。内部記録溶液(110mM TrisPO4、28mM TrisBase、0.1mM CaCl2、2mM MgCl2、11mM EGTA、4mM MgATP)を、細胞及び試験化合物を負荷しておいたIonFlux HTパッチプレート上の内部記録溶液導入ウェルに加え、プレートをIonFlux HT装置に負荷した。プロトコールをIonFlux HTで行って細胞を捕捉し、細胞に分け(break into)、全細胞記録形態を確立し;実験期間にわたり、細胞を保持電位-60mVで電圧固定し、全ての実験を室温で実施し、IonFlux HT注入圧は溶液付与で約55hPa(8psi)であった。全細胞形態の確立時に、外部記録溶液を120秒間にわたり記録チャンバに潅流させ、次に40μMアセチルコリンを1秒間付与し、直ちに外部記録溶液で60秒間洗い落とした。40μMアセチルコリン誘発α7電流を、40μMアセチルコリンの存在下若しくは非存在下での引き続いての試験化合物効果を定量する基準となる電流応答とした。次に、試験化合物について、複数濃度でα7電流応答を誘発又は調節する能力を評価し;試験化合物の3種類の濃度を、記録当たりの用量を上昇させる手法で評価した。試験化合物作動薬活性を評価するため、外部記録溶液で希釈した試験化合物を、調べる試験化合物の最低濃度から出発して一連の濃度で58秒間付与し;58秒のうちの最初の20秒間、化合物付与期間はデータ収集掃引(期間20秒間)と同時とし、5,000サンプル/秒の速度で収集した。試験化合物ポジティブアロステリック調節剤活性を評価するため、58秒間の試験化合物のみ付与期間の直後に、40μMアセチルコリンを含む外部記録溶液で希釈した同じ濃度の試験化合物を1秒間付与し;そのようにして試験化合物及び天然受容体作動薬アセチルコリを同時付与し、試験化合物の増強効果を観察した。40μMアセチルコリンを含む外部溶液で希釈した試験化合物の前記1秒間の付与はデータ収集掃引(期間20秒間)と同時に行い、5,000サンプル/秒の速度で収集し、その後、外部記録溶液のみを42秒間付与した。この42秒間の外部記録溶液のみによる洗浄の後、一連の濃度での試験化合物の次の最大濃度を、前述のようにアセチルコリンの非存在下、次に存在下に付与し、前述のようにデータを収集した。試験化合物作動薬及びポジティブアロステリック調節剤活性を、濃度を3段階で上昇させながら評価した後実験を終了し、IonFlux HTデータ解析ソフトウェアを用いてリーク減算を行った。ピーク電流振幅及び曲線下面積(AUC)の両方を自社ソフトウェアを用いて各電流掃引について定量し、試験化合物効果を下記のように定量した。
【0239】
試験化合物作動薬活性を、次のように計算した。
【0240】
%作動作用=(Y/X)×100
試験化合物増強物質活性を、次のように計算した。
【0241】
%強化=[(Z/X)×100]-100
X=40μMアセチルコリンによって誘発されるピーク電流振幅(又はAUC)
Y=外部記録溶液で希釈された試験化合物によって誘発されるピーク電流振幅(又はAUC)
Z=40μMアセチルコリンを含む外部記録溶液で希釈された試験化合物によって誘発されるピーク電流振幅(又はAUC)。
【0242】
従って、40μMアセチルコリン単独の場合と同じ電流振幅を誘発した試験化合物は、100%の計算%作動作用を示すと考えられる。40μMアセチルコリン単独から誘発される電流の2倍の電流振幅を誘発した40μMアセチルコリンと同時付与した試験化合物は、計算%増強100%を示すと考えられ、それに対して40μMアセチルコリン単独と同じ電流振幅を誘発した40μMアセチルコリンと同時付与の試験化合物は全く増強を示さないと特徴付けられよう。
【0243】
ピーク電流振幅又は曲線下面積(AUC)によって誘導される作動薬及び増強データをグラフ化し、レーベンバーグ-マーカートアルゴリズムに基づく4パラメータロジスティック適合を用いて適合させた。その場合、y=A+((B-A)/(1+((C/x)AD)))である。
【0244】
A=最小値
B=最大値
C=EC
50
D=傾き
x=試験化合物濃度
y=%作動作用又は%増強
自動パッチクランプ電気生理学機能アッセイ(アッセイA)での本発明の特定化合物の効力データを、下記の表に示す。
【表10】
【0245】
*A(EC50≦0.1μM);B(0.1μM<EC50≦0.5μM);C(0.5μM<EC50≦5μM);D(5μM<EC50≦50μM)と定義される効力
【0246】
自動パッチクランプ電気生理学機能アッセイ(アッセイA)での本発明の特定化合物の電気生理学EC
50値を、下記の表に示す。
【表11】
【0247】
各種の上記及び他の特徴及び機能、又はそれらの代替形態を、望ましくは組み合わせて、多くの他の異なる系又は適用とすることが可能であることは明らかである。さらに、現時点で予想も予期もされていない各種の代替形態、修正形態、変形形態又は改善形態を、後に当業者により作られることが可能であり、それも添付の特許請求の範囲に包含されることが意図される。