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特許7041144半導体基板を搬送および大気圧下で保管するための輸送用密閉容器の気密性を制御する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】半導体基板を搬送および大気圧下で保管するための輸送用密閉容器の気密性を制御する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20220315BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 T
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019522564
(86)(22)【出願日】2017-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2017078367
(87)【国際公開番号】W WO2018083312
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】1660750
(32)【優先日】2016-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511148259
【氏名又は名称】ファイファー バキユーム
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラン ベレー
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ブーヌール
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ シャペル
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-147451(JP,A)
【文献】国際公開第2012/108418(WO,A1)
【文献】特開2007-227800(JP,A)
【文献】特開2016-178239(JP,A)
【文献】国際公開第2015/118782(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板(3)を搬送および大気圧下で保管するための少なくとも1つの輸送用密閉容器(2)の気密性を制御するための装置(1)であって、前記輸送用密閉容器(2)は、少なくとも2つの通気口(8、9)を備えている制御装置(1)において、
前記制御装置(1)は、前記輸送用密閉容器(2)に連結するようになっている少なくとも1つのインターフェース(20)を備えており、
前記インターフェース(20)は、
- 少なくとも2つの接続ヘッド(23、24)を備えており、少なくとも1つの接続ヘッドは、前記輸送用密閉容器(2)の通気口(8)に係合するようになっている測定ヘッド(23)によって形成されており、
前記測定ヘッド(23)は、
- 貫通して開口している少なくとも1つの開口(30)を有する突出端部片(29)と、
- 前記突出端部片(29)を囲む周縁シール要素(31)と、
- 前記インターフェース(20)の接続ヘッド(23、24)に連結している前記輸送用密閉容器(2)の全ての前記通気口(8、9)とを備えており、
さらに前記制御装置(1)は、
前記測定ヘッド(23)の端部片(29)に接続された少なくとも1つの測定ライン(40)を備えており、前記測定ライン(40)は、流量制御装置(41)および/または圧力センサ(42)を備えており、
前記測定ライン(40)は、前記測定ヘッド(23)からの分岐として取り付けられた少なくとも1つの制限開口(46)と、前記測定ライン(40)の前記流量制御装置(41)および前記圧力センサ(42)を、それらを前記測定ヘッド(23)から隔離させながら、少なくとも1つの前記制限開口(46)と連通させるための三方弁(47)とを備えていることを特徴とする制御装置(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの接続ヘッドは、前記輸送用密閉容器(2)の通気口(9)を塞ぐようになっているブラインドシール要素(32)を備えている閉塞ヘッド(24)によって形成されており、前記輸送用密閉容器(2)の全ての前記通気口(8、9)は、測定ヘッド(23)によって係合されているか、または閉塞ヘッド(24)によって塞がれていることを特徴とする請求項1に記載の制御装置(1)。
【請求項3】
前記測定ヘッド(23)は、前記輸送用密閉容器(2)の通気口(8)に係合するようになっており、前記通気口(8)に吸気側逆止弁(11)を備えている場合、前記吸気側逆止弁(11)を押し戻すことを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの前記周縁シール要素(31)は、弾性を有しており、前記輸送用密閉容器(2)が前記インターフェース(20)に連結されているときは、少なくとも部分的に圧縮または変形していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置(1)。
【請求項5】
前記インターフェース(20)は、前記輸送用密閉容器(2)を固定するようになっている少なくとも1つの固定手段(22、26)を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の制御装置(1)。
【請求項6】
前記測定ヘッド(23、24)は移動可能であり、前記インターフェース(20)は、気密性を制御するために、前記接続ヘッド(23、24)を引き込み位置と突出位置との間で動かすようになっている少なくとも1つのヘッドアクチュエータ(33)をさらに備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置(1)。
【請求項7】
前記接続ヘッド(23、24)は、固定され、前記インターフェース(20)から突出していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置(1)。
【請求項8】
前記周縁シール要素(31)は、吸着カップを備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の制御装置(1)。
【請求項9】
前記インターフェース(20)は、2つの測定ヘッド(23)と2つの閉塞ヘッド(2
4)とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の制御装置(1)。
【請求項10】
前記測定ヘッド(23)の前記端部片(29)に接続されたサンプリングライン(49)を備えており、前記サンプリングライン(49)は、サンプリングポンプ(44)を備えていることを特徴とする請求項に記載の制御装置(1)。
【請求項11】
測定ヘッド(23)の前記端部片(29)に接続された較正ライン(50)を備えており、前記較正ライン(50)は、少なくとも1つの制限開口(48)を備えていることを特徴とする請求項10項に記載の制御装置(1)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の制御装置(1)によって、半導体基板(3)を搬送および大気圧下で保管するための少なくとも1つの輸送用密閉容器(2)の気密性を制御する方法(100)であって、輸送用密閉容器(2)は、前記輸送用密閉容器(2)の全ての前記通気口(8、9)が前記インターフェース(20)の接続ヘッド(23、24)に連結されるように、前記制御装置(1)のインターフェース(20)に連結されており、少なくとも1つの接続ヘッド(23)は、前記輸送用密閉容器(2)の通気口(8、9)に係合している測定ヘッド(23)によって形成されていることを特徴とする制御方法(100)。
【請求項13】
前記輸送用密閉容器(2)の全ての前記通気口(8、9)は、前記インターフェース(20)の測定ヘッド(23)によって係合されているか、閉塞ヘッド(24)によって塞がれており、閉塞ヘッド(24)によって形成された少なくとも1つの接続ヘッド(24)は、前記輸送用密閉容器(2)の通気口(9)を塞いでいることを特徴とする請求項12に記載の制御方法(100)。
【請求項14】
少なくとも1つの前記周縁シール要素(31)は、前記輸送用密閉容器(2)が前記インターフェース(20)に連結されているときは、少なくとも部分的に圧縮または変形していることを特徴とする請求項12または13に記載の制御方法(100)。
【請求項15】
制御されたガス流を、前記インターフェース(20)に連結された前記輸送用密閉容器(2)の通気口(8)に係合している測定ヘッド(23)に接続された測定ライン(40)に注入し、その後注入を停止し、前記測定ライン(40)内の圧力降下を測定することを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載の制御方法(100)。
【請求項16】
前記測定ライン(40)の経時的な圧力変化を測定しながら、前記インターフェース(20)に連結された前記輸送用密閉容器(2)の通気口(8)に係合している測定ヘッド(23)に接続された測定ライン(40)に一定のガス流を注入することを特徴とする請求項15に記載の制御方法(100)。
【請求項17】
前記インターフェース(20)に連結された前記輸送用密閉容器(2)の通気口(8)に係合している測定ヘッド(23)に接続された測定ライン(40)に、所定の初期圧力(P0)を設定する予備的調整ステップ(103)を含むことを特徴とする請求項12から16のいずれか1項に記載の制御方法(100)。
【請求項18】
較正された漏れを発生させるために、前記インターフェース(20)に連結された前記輸送用密閉容器(2)の通気口(8)に係合している測定ヘッド(23)によって、較正ライン(50)を前記輸送用密閉容器(2)に接続させて、かつ、前記インターフェース(20)に連結された前記輸送用密閉容器(2)の通気口(8)に係合している測定ヘッド(23)に接続された測定ライン(40)で、圧力を測定する較正ステップ(102)を含むことを特徴とする請求項12から17のいずれか1項に記載の制御方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板を搬送および大気圧下で保管するための少なくとも1つの輸送用密閉容器の気密性を制御する装置に関する。本発明はまた、少なくとも1つの輸送用密閉容器の気密性を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造産業では、半導体ウェハなどの基板をある装置から別の装置に輸送するために、または2つの製造工程の間で基板を保管するために、FOUP(正面開口式一体型容器:Front Opening Unified Pod)などの輸送用密閉容器を使用することができる。これらの輸送用密閉容器には、基板が使用され、かつ輸送されるような環境から隔離された、白い部屋で1つ以上の基板を輸送、かつ保管するために、大気圧下の狭い空間が設けられており、その内部雰囲気は非常に低い汚染レベルに保たれている。これらの輸送用密閉容器は、標準化された構成要素であり、その開閉は、製造装置によって自動的かつ直接的に制御されている。
【0003】
各輸送用密閉容器は、取り外し可能なドアによって閉じることができる開口部を有する剛性の周縁ケーシングを備えており、ドアシールがドアとケーシングとの間に挿入されている。しかし、輸送用密閉容器は、完全には密閉されていない。なぜなら、密閉容器の内側と外側との間で圧力バランスをとることができるように、通気口(「呼吸口」)がケーシングまたはドアに形成されているからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの密閉容器内の汚染リスクをさらに減らすために、現時点では、これらの密閉容器の内部雰囲気を定期的にパージすることが推奨されている。
【0005】
最近の開発では、いくつかの輸送用密閉容器の通気口に逆止弁を配置するようにしており、この逆止弁は、フィルターと直列に取り付けられている。逆止弁は、外部とガスを交換することなく、密閉容器の内部雰囲気内でパージガスのわずかな圧力を維持するために、密閉容器を実質的に密閉したままで閉め切ることができる。
【0006】
通気口においてこの程度の気密性を増加させることは、ドアの気密性のレベルが重要な要因であることを意味している。これは、ドアの気密性が確保されていないと、フィルター処理されていないガスが輸送用密閉容器に入る恐れがあり、これが基板にとって特に有害となるためである。実際、測定してみると、輸送用密閉容器のドアの気密性のレベルとこれらの密閉容器に保管されている基板の粒子による汚染のレベルとの間に相関関係が確立していた。したがって、ドアの気密性のレベルは、生産効率に直接関係している。しかし、製造過程で気密性を制御することができるような、輸送用密閉容器のドアの気密性を自動的に制御するための既存の手段は存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の目的の1つは、半導体基板を搬送および大気圧下で保管するための少なくとも1つの輸送用密閉容器の気密性を製造過程において迅速かつ確実に自動的に制御することができる装置を提案することである。
【0008】
この目的のために、本発明は、半導体基板を搬送および大気圧下で保管するための少なくとも1つの輸送用密閉容器の気密性を制御するための装置を提案しており、前記輸送用密閉容器は、
- 開口部を有する剛性ケーシングと、
- 開口部を閉じるための取り外し可能なドアと、
- 少なくとも2つの通気口とを備えており、
前記制御装置は、前記輸送用密閉容器に連結するようになっている少なくとも1つのインターフェースを備えることを特徴としており、前記インターフェースは、
- 少なくとも2つの接続ヘッドを備えており、少なくとも1つの接続ヘッドは、前記輸送用密閉容器の通気口に係合するようになっている測定ヘッドによって形成されており、前記測定ヘッドは、
- 貫通して開口している少なくとも1つの開口を有する突出端部片と、
- 前記突出端部片を囲む周縁シール要素と、
- 前記インターフェースの接続ヘッドに連結している前記輸送用密閉容器の全ての前記通気口とを備えている。
【0009】
こうして、密閉されたままで、かつ標準的なタイプの前記密閉容器を変更することなく、前記輸送用密閉容器の内部雰囲気に外部からアクセスすることによって、前記密閉容器のドアの気密性を制御するために前記制御装置を使用することができる。したがって、閉鎖時における前記輸送用密閉容器の気密性を、前記密閉容器が半導体基板を収容しながら、製造過程において完全に自動化した方法で制御することができる。したがって、気密性は、0.01リットル/秒から数リットル/秒のコンダクタンスを有する範囲の漏れに対して、数分、例えば5分未満で制御することができる。コンダクタンスは、漏れを生じさせる圧力差に対する漏れ量の比である。
【0010】
前記測定ヘッドは、前記輸送用密閉容器の通気口に係合するようになっており、前記通気口が吸気側逆止弁を備えている場合は、前記吸気側逆止弁を押し戻している。したがって、前記測定ヘッドを使用して、前記輸送用密閉容器に存在する全ての逆止弁を開くことによって、測定ラインを前記輸送用密閉容器の通気口に接続することができる。ある輸送用密閉容器と別の輸送用密閉容器とでは、弾性部材の剛性が大きな食い違いを示す恐れがあることを考えると、吸気側逆止弁が測定ヘッドによって開かれたままであるという事実は、特に、測定の不確実性を増大させる恐れがある吸気側逆止弁の弾性部材の変動性の影響を受けることなく、制御されたガス流を前記輸送用密閉容器に注入することができる。弁が開いたままであるという事実は、弁が開位置と閉位置との間で不安定な状態にあるときの弁の振動の影響も回避することができる。
【0011】
少なくとも1つの接続ヘッドは、前記輸送用密閉容器の通気口を塞ぐようになっているブラインドシール要素を備えている閉塞ヘッドによって形成することができ、前記輸送用密閉容器の全ての前記通気口は、測定ヘッドによって係合されているか、または閉塞ヘッドによって塞がれている。
【0012】
こうして、前記輸送用密閉容器のドアとケーシングとの間に位置するもの以外の全ての可能性のあるガス漏れが制御される、すなわちそれらは塞がれるかまたは測定ヘッドに接続されるかのいずれかである。これにより、輸送用密閉容器の気密性の制御は、輸送用密閉容器のドアを閉めた際の気密性の制御のみを考慮することになる。
【0013】
制御装置の1つ以上の特徴に応じて、以下の特徴を個別にまたは組み合わせて考慮することができる。
- 少なくとも1つの前記周縁シール要素は、弾性を有しており、前記輸送用密閉容器が前記インターフェースに連結されているときは、少なくとも部分的に圧縮または変形しており、
- 少なくとも1つの前記ブラインドシール要素は、弾性を有しており、前記輸送用密閉容器が前記インターフェースに連結されているときは、少なくとも部分的に圧縮または変形しており、
- 前記インターフェースは、前記輸送用密閉容器を固定するようになっている少なくとも1つの固定手段を備えており、
- 前記インターフェースは、前記輸送用密閉容器を位置決めし、かつ保持するようになっている位置決め手段を備えており、
- 前記位置決め手段は、前記インターフェースのプレートから突出している3つのセンタリングピンを備えており、
- 前記センタリングピンは、前記輸送用密閉容器の底部に形成された3つの相補的なキャビティに係合するようになっており、
- 前記接続ヘッドは、移動可能であり、
- 前記インターフェース(20)は、気密性を制御するために、前記接続ヘッド(23、24)を引き込み位置と突出位置との間で動かすようになっている少なくとも1つのヘッドアクチュエータ(33)をさらに備えており、
- 前記ヘッドアクチュエータのストロークは、0.5mmより大きくなっており、
- 前記接続ヘッドは、固定され、前記インターフェースから突出しており、
- 圧縮されていない状態または変形されていない状態の前記周縁シール要素および前記ブラインドシール要素は、前記位置決め手段の端部を超えて前記インターフェースのプレートから突出しており、
- 少なくとも1つの前記周縁シール要素および/または前記ブラインドシール要素は、吸着カップ、リングシール、リップシールまたはベローであり、
- 前記インターフェースは、2つの測定ヘッドと2つの閉塞ヘッドとを備えており、
- 前記制御装置は、測定ヘッドの端部片に接続された少なくとも1つの測定ラインを備えており、前記測定ラインは、流量制御装置および/または圧力センサを備えており、
- 前記測定ラインは、前記測定ヘッドからの分岐として取り付けられた少なくとも1つの較正された自己制御開口と、前記測定ラインの前記流量制御装置および前記圧力センサを、それらを前記測定ヘッドから隔離させながら、少なくとも1つの較正された前記自己制御開口と連通させるための三方弁とを備えており、
- 前記制御装置は、測定ヘッドの前記端部片に接続されたサンプリングラインを備えており、前記サンプリングラインは、サンプリングポンプを備えており、
- 前記制御装置は、測定ヘッドの前記端部片に接続された較正ラインを備えており、前記較正ラインは、少なくとも1つの較正された較正開口を備えている。
【0014】
本発明はまた、上述の制御装置によって、半導体基板を搬送および大気圧下で保管するための少なくとも1つの輸送用密閉容器の気密性を制御する方法であって、輸送用密閉容器は、前記輸送用密閉容器の全ての前記通気口が前記インターフェースの接続ヘッドに連結されるように、前記制御装置のインターフェースに連結されており、少なくとも1つの接続ヘッドは、前記輸送用密閉容器の通気口に係合している測定ヘッドによって形成されている制御方法を提案する。
【0015】
一実施形態によれば、前記輸送用密閉容器の全ての前記通気口は、前記インターフェースの測定ヘッドによって係合されているか、閉塞ヘッドによって塞がれており、閉塞ヘッドによって形成された少なくとも1つの接続ヘッドは、前記輸送用密閉容器の通気口を塞いでいる。
【0016】
制御方法の1つ以上の特徴に応じて、以下の特徴を個別にまたは組み合わせて考慮することができる。
- 少なくとも1つの前記周縁シール要素は、前記輸送用密閉容器が前記インターフェースに連結されているときは、少なくとも部分的に圧縮または変形しており、
- 少なくとも1つの前記ブラインドシール要素は、前記輸送用密閉容器が前記インターフェースに連結されているときは、少なくとも部分的に圧縮または変形しており、
- 制御されたガス流を、前記インターフェースに連結された前記輸送用密閉容器の通気口に係合している測定ヘッドに接続された測定ラインに注入し、その後注入を停止し、前記測定ライン内の圧力降下を測定しており、
- 前記測定ラインの経時的な圧力変化を測定しながら、前記インターフェースに連結された前記輸送用密閉容器の通気口に係合している測定ヘッドに接続された測定ラインに、一定のガス流を注入しており、
- 前記制御方法は、前記インターフェースに連結された前記輸送用密閉容器の通気口に係合している測定ヘッドに接続された測定ラインに、所定の初期圧力を設定する予備的調整ステップを含んでおり、
- 前記制御方法は、較正された漏れを発生させるために、前記インターフェースに連結された前記輸送用密閉容器の通気口に係合している測定ヘッドによって、較正ラインを前記輸送用密閉容器に接続させて、かつ、前記インターフェースに連結された前記輸送用密閉容器の通気口に係合している測定ヘッドに接続された測定ラインで、圧力を測定する較正ステップを含んでおり、
- 前記制御方法は、前記測定ヘッドから隔離させながら、前記測定ヘッドから分岐として取り付けられた較正された自己制御開口を備えた測定ラインにおいて、圧力を測定し、前記較正された自己制御開口を前記流量制御装置および前記測定ラインの前記圧力センサと連通している自己制御ステップを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】輸送用密閉容器の気密性を制御する装置と共に、閉位置で表示している吸気側および排気側逆止弁を有する輸送用密閉容器の模式的側断面図の一例である。
図2a図1の輸送用密閉容器のケーシングの底部の模式図である。
図2b】輸送用密閉容器の底部の別の例の模式図である。
図2c】輸送用密閉容器の底部の別の例の模式図である。
図3a】引き込み位置において図1の制御装置のインターフェースを上側から見た図である。
図3b】突出位置において、インターフェースの2つの測定ヘッドおよび2つの閉塞ヘッドを有する図3aと同様の図である。
図4】インターフェースの較正ラインを示している図1と同様の図である。
図5】輸送用密閉容器の気密性を制御する方法の異なるステップを示す図である。
図6】インターフェース上に位置決めされ保持されている図1と同様の輸送用密閉容器を示している図である。
図7】インターフェースに連結されている図6と同様の輸送用密閉容器を示している図である。
図8図5の方法で行った気密性制御についての経時的な圧力変化を示すグラフである。
図9】別の方法で行った気密性制御において流量を変えないで2つの異なるガス流を注入した場合の経時的な圧力変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照することにより、非限定的な例として提供される以下の説明から明らかになるであろう。
【0019】
これらの図において、同じ構成要素には、同じ符号を付してある。以下の実施形態は一例である。本明細書は、1以上の実施形態を挙げているが、これは必ずしも各符号が同じ実施形態に関するものであること、または特徴が一つの実施形態にのみ適用可能であることを意味するものではない。異なる実施形態の単純な特徴を組み合わせ、または交換することで、他の実施形態を提供することもできる。
【0020】
図1は、少なくとも1つの輸送用密閉容器2の気密性を制御するための装置1の一例としての模式的側断面図を示している。
【0021】
輸送用密閉容器2は、半導体製造工程において、「ウェハ」またはフォトマスクなどの少なくとも1つの半導体基板3の搬送および保管をすることができる。輸送用密閉容器2の内部雰囲気は、大気圧の空気または窒素である。本密閉容器としては、例えば、FOUPタイプの標準横方向開口式ボックス(Front Opening Unified Pod)、またはMACタイプの標準横方向開口式ボックス(Multi Application Carrier)、またはSMIFタイプの底部開口式ボックス(Standard Mechanical InterFace)、またはRSPタイプのフォトマスク輸送用ボックス(Reticle SMIF Pod)が該当する。
【0022】
輸送用密閉容器2は、開口部5を有するプラスチック材料の剛性ケーシング4と、周縁シール7を有する取り外し可能なドア6とを備えており、取り外し可能なドア6は、開口部5を閉じることができる。開口部5は、横方向(図1)または底部に設けてもよい。
【0023】
輸送用密閉容器2は、少なくとも2つの通気口8、9を備えており、各通気口8、9は、横方向開口式密閉容器の場合には、ケーシング4の底部4aに形成された開口12を備えており、底部に開く密閉容器の場合には、ドア6に形成された開口12を備えている。
【0024】
各通気口8、9は、開口12内に配置された粒子フィルター10を備えており、輸送用密閉容器2への粒子の進入を防止している。
【0025】
通気口8、9は、フィルター10を備えた開口12によって容易に形成することができ、ガス流は、輸送用密閉容器2の各通気口に同時にかつ同様に流入、流出することができる。
【0026】
輸送用密閉容器2の他の例としては、吸気側逆止弁11を備える少なくとも1つの通気口8(以下、「吸気口」と呼ぶ)と排気側逆止弁15を備える少なくとも1つの通気口9(以下、「排気口」と呼ぶ)とを有している。逆止弁11、15はそれぞれ、フィルター10の上流または下流のそれぞれの開口12に配置されている。
【0027】
外部大気圧に対して輸送用密閉容器2の内部に余剰のガスがある場合、排気側逆止弁15が開き、逆に、輸送用密閉容器2の内部が負圧の場合、吸気側逆止弁11が開く。
【0028】
パージガスを吸気側逆止弁11で輸送用密閉容器2に注入することができ、余剰の空気は、排気側逆止弁15を介して排出することができる。したがって、輸送用密閉容器2の内部雰囲気は、輸送用密閉容器2を開放することなく、また輸送用密閉容器2を部分的に変えることなく、すなわち製造過程においてパージすることができる。
【0029】
輸送用密閉容器2は、例えば、2つの吸気口8と2つの排気口9とを備える(図2a)。4つの吸気口8と排気口9とを輸送用密閉容器2のケーシング4の底部4aの四隅に配置することができる。横方向開口部5を有する輸送用密閉容器2の場合、排気口9は、例えば、ドア6の最も近い角に配置されている。
【0030】
他の実施形態も可能である。例えば、横方向開口部5を有する輸送用密閉容器2の場合、輸送用密閉容器2は、単一の吸気口8と単一の排気口9とを備えていてもよく、これらは、例えば、ドア6の近くの底部4aの2つの角に配置されている(図2b)。別の例によれば、輸送用密閉容器2は、3つの吸気口8と1つの排気口9とを備えており、排気口9は、例えばドア6の近くの隅に配置されている。
【0031】
実施形態の一例によると、吸気側逆止弁11は、可動シャッター13と弾性部材14とを備えている(図1)。可動シャッター13は、開位置と開口12を閉じる閉位置との間で移動可能である。可動シャッター13は、例えば、開口12の円筒形のベアリング部分と相補的なディスクを備えている。圧縮ばねなどの弾性部材14は、可動シャッター13を閉位置に付勢している。
【0032】
吸気側逆止弁11を開くことにより、輸送用密閉容器2の外部から圧力を加えてガスを輸送用密閉容器2に入れることができ、吸気側逆止弁11の位置は、その上流端と下流端との圧力差によって決められる。輸送用密閉容器2の外圧と内圧との圧力差が吸気側逆止弁の設定閾値より大きい場合、可動シャッター13は、弾性部材14に対向して開位置に移動し、ガスは、輸送用密閉容器2に入ることができる。
【0033】
排気口9は、その開口が輸送用密閉容器2からのガスの排出を可能にしており、排気側逆止弁15が輸送用密閉容器2の内側に加えられた圧力下で開くという点で、吸気口8とは異なる。したがって、輸送用密閉容器2の内圧と外圧との圧力差が排気側逆止弁の設定閾値よりも大きい場合、可動シャッター13は、弾性部材14に対向して開位置に移動し、ガスは、輸送用密閉容器2を出ることができる。
【0034】
少なくとも1つの吸気口8および少なくとも1つの排気口9の開口12とフィルター10とは、同一仕様とすることができる。吸気側逆止弁11および排気側逆止弁15の可動シャッター13および弾性部材14も、互いに同一仕様とすることができる。吸気側逆止弁11の可動シャッター13は、排気側逆止弁15の可動シャッター13に対して反転した位置に配置されている。
【0035】
少なくとも1つの輸送用密閉容器2の気密性制御装置1は、輸送用密閉容器2に連結されるようになっている少なくとも1つのインターフェース20を備えている。
【0036】
インターフェース20は、少なくとも2つの接続ヘッドを備えており、そのうちの少なくとも1つは、輸送用密閉容器2の通気口8の開口12に係合するようになっている測定ヘッド23である。接続ヘッドは、すべて測定ヘッド23とすることができる。
【0037】
少なくとも1つの接続ヘッドは、閉塞ヘッド24によって形成されていてもよい。その場合、インターフェース20は、少なくとも1つの測定ヘッド23と少なくとも1つの閉塞ヘッド24とを備えている。
【0038】
測定ヘッド23は、貫通して開口している少なくとも1つの開口30を有する突出端部片29と、突出端部片29を囲んでいる、例えば少なくとも1つの開口30の上流側を囲んでいる周縁シール要素31とを備えている。少なくとも1つの開口30は、突出端部片29の端部と周縁シール要素31との間に設けられている。
【0039】
端部片29は、剛性を有している。それは、例えば金属材料で作られたチューブである。それは、インターフェース20に連結された輸送用密閉容器2の壁に対して直角となるように、軸方向に突出している。2つの開口30は、例えば端部片29の端部から横方向に開口しており、2つの開口30は、例えば径方向に対向している。
【0040】
周縁シール要素31は、端部片29と周縁シール要素31に連結された輸送用密閉容器2の通気口8との間で、少なくとも1つの開口30を介してシールガスを流すことを可能にしている。
【0041】
周縁シール要素31は、例えばシリコーンのような弾性材料でできている。周縁シール要素31は、例えば、吸着カップ(図3b)、リングシール、リップシールまたはベローである。輸送用密閉容器2の重量は、水平プレート25から突出している吸着カップを十分に変形させることができるので、吸着カップは、非常に良好な気密性を簡単な方法で得ることができる。
【0042】
周縁シール要素31は、PEEK材料などの剛性材料から作製することもでき、吸気口8が吸気側逆止弁11を備えている場合、その気密性は、弾性部材14の圧縮によってもたらすことができる。
【0043】
通気口8が吸気側逆止弁11を備えている場合、測定ヘッド23は、特に吸気側逆止弁11の可動シャッター13を押し戻しながら、輸送用密閉容器2の通気口8の開口12に係合するようになっており、一方、周縁シール要素31を圧縮するかまたは少なくとも部分的に変形させている。
【0044】
したがって、測定ヘッド23を吸気側逆止弁11を備えた輸送用密閉容器2の通気口8に係合させると、剛性端部片29の端部が可動シャッター13を圧迫してそれを押し戻す。
【0045】
したがって、密閉されたままで、かつ設置されている全ての吸気側逆止弁11を開けることによって、測定ヘッド23を使用して、測定ライン40を輸送用密閉容器2の通気口8に接続することができる。
【0046】
閉塞ヘッド24は、輸送用密閉容器2をインターフェース20に連結させた場合、輸送用密閉容器2の通気口9を塞ぐように少なくとも部分的に圧縮または変形されるようになっているブラインドシール要素32を備えている。
【0047】
ブラインドシール要素32は、例えば、少なくとも部分的にシリコーンのような弾性材料から作られている。ブラインドシール要素32は、例えば、吸着カップ(図3b)、リングシール、リップシールまたはベローである。
【0048】
インターフェース20は、複数の測定ヘッド23を備えていてもよく、複数の閉塞ヘッド24を備えていてもよい。
【0049】
したがって、図1および図2aに示す第1の例では、輸送用密閉容器2は、2つの吸気口8と2つの排気口9とを備えており、インターフェース20は、2つの測定ヘッド23と2つの閉塞ヘッド24とを備えている(図3aおよび図3b)。一つの測定ヘッド23は、それぞれの吸気口8に係合するようになっており、一つの閉塞ヘッド24は、それぞれの排気口9を塞ぐようになっている。
【0050】
さらに、輸送用密閉容器2をインターフェース20に連結する場合、輸送用密閉容器2のすべての通気口8、9がインターフェース20に連結される。通気口8、9は、測定ヘッド23によって係合されるか、または閉塞ヘッド24によって塞がれるかのいずれかであり、少なくとも1つの測定ヘッド23は、通気口8に係合している。連結状態では、周縁シール要素31およびブラインドシール要素32は、少なくとも部分的に圧縮または変形されてもよい。
【0051】
こうして、ドア6とケーシング4との間に位置するもの以外の全ての可能性のあるガス漏れが制御される、すなわちそれらは塞がれるかまたは測定ヘッド23に接続されるかのいずれかである。これにより、輸送用密閉容器2の気密性の制御は、輸送用密閉容器2のドア6を閉めた際の気密性の制御のみを考慮することになる。
【0052】
さらに、測定ヘッド23は、気密性を制御している間を通して、設置している全ての吸気側逆止弁11を開位置に保持することができ、輸送用密閉容器2を部分的に変えることなく、かつ開放することなく輸送用密閉容器2の内部へのアクセスを可能にしている。
【0053】
インターフェース20は、輸送用密閉容器2を位置決めし、かつ保持するようになっている位置決め手段21を備えることもできる。
【0054】
位置決め手段21は、例えば、インターフェース20のプレート25から突出している3つのセンタリングピン21a、21b、21cを備えている(図3b)。センタリングピン21a、21b、21cは、輸送用密閉容器2を位置決めし、かつ保持するために、輸送用密閉容器2の底部4aに形成された3つの相補的なキャビティ16a、16b、16cに係合するようになっている(図2a)。これはSEMI規格による位置決め手段を形成している。自動操作では、輸送用密閉容器2をセンタリングピン21a、21b、21c上に降下させ、輸送用密閉容器2をセンタリングピン21a、21b、21cに接触させて輸送用密閉容器2の降下を停止させることによって、輸送用密閉容器2をインターフェース20に取り付けることができる。
【0055】
インターフェース20は、輸送用密閉容器2を固定するようになっている少なくとも1つの固定手段を備えることもできる。
【0056】
固定手段は、例えば、待機位置(図3a)と固定用フィンガー22が輸送用密閉容器2を固定する固定位置(図3b)との間で移動可能な固定用フィンガー22を備えている。固定用フィンガー22は、例えば並進移動可能である。固定用フィンガー22は、輸送用密閉容器2を軸方向に保持するための固定位置において、輸送用密閉容器2の底部4aに形成された相補的形状の保持キャビティ17(図2a)に係合することができる。
【0057】
インターフェース20は、本実施形態では横方向開口タイプであるが、異なるタイプの輸送用密閉容器2を保持することができるように、異なる標準化された固定手段を備えていてもよい。
【0058】
インターフェース20は、待機位置(図3a)と固定位置(図3b)との間で移動可能なロックキー26を有する固定手段を備えていてもよい。ここで、ロックキー26は、固定位置において輸送用密閉容器2を固定する。ロックキー26は、軸方向に移動可能であり、輸送用密閉容器2の底部4aに形成された相補的な保持キャビティに係合するために、90°回転して固定位置に入ることができる。
【0059】
実施形態の一例によれば、少なくとも1つの測定ヘッド23および少なくとも1つの閉塞ヘッド24は固定されており、インターフェース20のプレート25から突出している。したがって、少なくとも1つの測定ヘッド23および閉塞ヘッド24上への輸送用密閉容器2の位置決めは、少なくとも1つの測定ヘッド23を通気口8に係合させることによって、および少なくとも1つの通気口9を閉塞ヘッド24で塞ぐことによって、輸送用密閉容器2をインターフェース20に位置決めし、かつ連結することができる。
【0060】
インターフェース20が位置決め手段21と固定手段22とを備えており、かつ、周縁シール要素31およびブラインドシール要素32が弾性を有している場合、圧縮されていない状態または変形されていない状態の周縁シール要素31およびブラインドシール要素32は、位置決め手段21の端部をわずかに超えてインターフェース20から突出することができる。したがって、インターフェース20に輸送用密閉容器2を位置決めおよび固定することにより、少なくとも1つの測定ヘッド23を通気口8に係合することができ、少なくとも1つの通気口9を閉塞ヘッド24で塞ぐことができる。
【0061】
実施形態の別の例によれば、制御装置1は、引き込み位置(図3a)と気密性を制御するための突出位置(図3b)との間で、少なくとも1つの測定ヘッド23および少なくとも1つの閉塞ヘッド24を動かすようになっているジャッキなどの少なくとも1つのヘッドアクチュエータ33を備えている。この場合、インターフェース20は、ヘッドアクチュエータ33の作動時に輸送用密閉容器2を固定するための固定手段22を備えていることが好ましい。
【0062】
ヘッドアクチュエータ33のストロークdは、引き込み位置における周縁シール要素31およびブラインドシール要素32の位置に依存する。これらの要素は、引き込み位置において、インターフェース20のプレート25に形成されたホール34と同一レベルであってもよく、またはプレート25の下に位置してもよく、あるいはプレート25から突き出ていてもよい。
【0063】
例えば、アクチュエータ33のストロークdは、0.5mmより大きくなるように作られていてもよく(図6)、これによって、弾性部材14のばね定数に関係なく、かつ周縁シール要素31およびブラインドシール要素32を少なくとも部分的に圧縮または変形させながら、吸気側逆止弁11を少なくとも部分的に開くために、引き込み位置でプレート25と同一レベルにある周縁シール要素31およびブラインドシール要素32を、位置決め手段21を越えて動かすことができる。
【0064】
制御装置1は、測定ヘッド23の端部片29に接続された少なくとも1つの測定ライン40を備えていてもよい。測定ライン40は、流量制御装置41および/または圧力センサ42を備えている。
【0065】
流量制御装置41は、例えば、流量調節可能なマスフローメータである。このマスフローメータは、測定ヘッド23の端部片29に開口する測定ライン40のパイプ39に、例えば0sccm~2000sccmの範囲内の異なるガス流を制御して注入するために使用することができる。
【0066】
圧力センサ42は、例えば、パイプ39内の0~10ミリバールの圧力を測定することができる。
【0067】
流量制御装置41は、例えば、端部片29と圧力調節可能な減圧器43bの下流に配置された粒子フィルター43aとの間に配置されている。減圧器43b自体は、ガス源から流量制御装置41に向かうガス流れの方向において、パージガス源の下流に配置されている。
【0068】
流量制御装置41と圧力センサ42とは、同じ測定ライン40上に配置されていてもよい(図1)。制御装置1が2つの測定ヘッド23を備える場合、流量制御装置41は、第1の端部片29に接続された第1の測定ライン40に取り付けられてもよく、圧力センサ42は、第2の端部片29に接続された第2の測定ライン40に取り付けられてもよい。これらの両方の場合において、流量制御装置41および/または圧力センサ42を備えた測定ライン40は、弁が設けられていない通気口に、または吸気側逆止弁11を有する吸気口8が設けられていない通気口に係合するようになっている測定ヘッド23に接続されている。
【0069】
制御装置1は、測定ヘッド23に接続されたパイプ内の圧力を下げるために測定ヘッド23の端部片29に接続されたサンプリングライン49を備えていてもよい。
【0070】
サンプリングライン49は、小型膜ポンプなどのサンプリングポンプ44と、仕切弁44aとを備えている。サンプリングポンプ44は、ガスの流れ方向において仕切弁44aの下流に取り付けられているので、サンプリングポンプ44は測定ヘッド23から隔離することができる。
【0071】
サンプリングライン49は、流量制御装置41および/または圧力センサ42を備えた測定ライン40からの分岐として取り付けられてもよい。サンプリングライン49は、別のラインとすることもできる。サンプリングポンプ44を備えたサンプリングライン49は、弁が設けられていない通気口に、または吸気側逆止弁11を有する吸気口8に、または排気側逆止弁15を有する排気口9に係合するようになっている測定ヘッド23に接続してもよい。
【0072】
サンプリングポンプ44は、特に輸送用密閉容器2の気密性制御の際に、所望の圧力をより早く設定することができるように、輸送用密閉容器2内の圧力制御を容易にするために使用することができる。
【0073】
測定ライン40は、三方弁47と共に、測定ヘッド23からの分岐として取り付けられた少なくとも1つの較正された自己制御開口46を備えていてもよい。較正された自己制御開口46は、粒子フィルターを備えていてもよい。
【0074】
三方弁47は、測定ライン40を制御する目的で、流量制御装置41および圧力センサ42、ならびに存在する場合にはサンプリングライン49を、それらを測定ヘッド23から隔離させながら、較正された自己制御開口46と連通させることができる(図1の矢印F1)。
【0075】
三方弁47は、輸送用密閉容器2の気密性を制御する目的で、流量制御装置41および圧力センサ42、ならびに存在する場合にはサンプリングライン49を、それらを較正された自己制御開口46から隔離させながら、測定ヘッド23と連通させることもできる(図1の矢印F2)。
【0076】
制御装置1は、測定ヘッド23の端部片29に接続された較正ライン50を備えていてもよく、較正ライン50は、少なくとも1つの較正された較正開口48を備えている(図4)。較正された較正開口48は、粒子フィルターを備えていてもよい。
【0077】
較正ライン50は、流量制御装置41および/または圧力センサ42を備えた測定ライン40からの分岐として取り付けられてもよく、ここでは、較正された較正開口48は、弁の上流に装着される。較正ライン50は、別のライン、例えばサンプリングライン49も備えたラインであってもよい。この場合、測定ヘッド23は、較正ステップ中にのみ、測定ヘッド23を突出位置に移動させるための専用ヘッドアクチュエータ33を備えていてもよい。
【0078】
較正された較正開口48を備えたこの較正ライン50は、較正中に弁が開いたままにするために、弁が設けられていない通気口または吸気側逆止弁11を有する吸気口8に係合するようになっている測定ヘッド23に接続することができる。
【0079】
したがって、制御装置1の較正用として、輸送用密閉容器2に較正された漏れを生じさせるために較正ライン50を使用することができる。
【0080】
制御装置1は、それぞれの輸送用密閉容器2がそれぞれのインターフェース20に連結された、複数の輸送用密閉容器2の気密性を同時に制御するための複数のインターフェース20を備えることができる。
【0081】
例えば2つの測定ヘッド23と2つの閉塞ヘッド24とを備える制御装置1によって、ヘッドアクチュエータ33をさらに備える制御装置10によって、輸送用密閉容器2の気密性を制御するための方法100の一例について説明する(図5)。
【0082】
制御方法100は、測定ヘッド23から隔離されている間に較正された漏れに接続している測定ライン40において圧力が測定される自己制御ステップ101を含むことができる。
【0083】
この目的のために、測定ライン40の流量制御装置41および圧力センサ42、ならびに存在する場合にはサンプリングポンプ44は、それらを測定ヘッド23から隔離させながら、較正された自己制御開口46と連通している(図1の矢印F1)。
【0084】
測定ライン40の自己制御ステップ101は、輸送用密閉容器2が連結されていてもいなくても、いつでも実行することができる。これにより、制御装置1の正しい動作を検証することができ、圧力測定値の判断における誤りを回避することができる。
【0085】
制御方法100の以下のステップでは、輸送用密閉容器2をインターフェース20に連結することが必要である。
【0086】
この目的のために、例えば、輸送用密閉容器2は、最初にセンタリングピン21a、21b、21c上に位置決めされ、固定用フィンガー22は待機位置にあり、測定ヘッド23および閉塞ヘッド24は、引き込み位置にある(図3a)。
【0087】
次に、固定用フィンガー22を固定位置に移動させて輸送用密閉容器2を固定する(図3bおよび図6)。
【0088】
次に、気密性を制御するために、ヘッドアクチュエータ33を作動させて、測定ヘッド23および閉塞ヘッド24を突出位置に移動させる(図3bおよび図7)。
【0089】
輸送用密閉容器2のそれぞれの通気口8の開口12における各測定ヘッド23の係合により、吸気側逆止弁11の可動シャッター13が押し戻され、少なくとも部分的に周縁シール要素31が変形する。
【0090】
閉塞ヘッド24のブラインドシール要素32も、少なくとも部分的に変形しており、それらの各々は、輸送用密閉容器2のそれぞれの通気口9を塞いでいる。
【0091】
次に、輸送用密閉容器2は、インターフェース20に連結される。
【0092】
輸送用密閉容器2の吸気口8および排気口9は、測定ヘッド23によって係合されているか、閉塞ヘッド24によって塞がれており、少なくとも1つの測定ヘッド23は、通気口8に係合されており、周縁シール要素31およびブラインドシール要素32は、少なくとも部分的に変形している。
【0093】
制御方法100は、較正ステップ102を含むことができる。このステップでは、較正ライン50が測定ヘッド23によって輸送用密閉容器2に接続されており、較正された漏れを発生させている(図4)。圧力は、インターフェース20に連結している輸送用密閉容器2の通気口8に係合している測定ヘッド23に接続している測定ライン40において測定される。
【0094】
この較正ステップ102は、特に、過圧下における輸送用密閉容器2の変形を考慮することを回避するために、実際の状況におけるデータと比較することによって圧力測定値から推定される漏れの理論値を調整するために特に使用することができる。較正ステップ102は、監視装置1の起動時に実行してもよく、その後定期的に実行してもよい。
【0095】
制御方法100は、予備的調整ステップ103を含むことができる。このステップでは、インターフェース20に連結している輸送用密閉容器2の通気口8に係合している測定ヘッド23に接続された測定ライン40に、所定の初期圧力P0を設定する。所定の初期圧力P0は、サンプリングポンプ44および流量制御装置41によって設定してもよい。
【0096】
ここで、同じ輸送用密閉容器2について行った測定は、良好な再現性を示している。次に、異なる輸送用密閉容器2について行った測定を互いに比較して、結果の判断を容易にすることができる。さらに、サンプリングポンプ44は、迅速かつ容易に所定の初期圧力P0を制御しており、これにより生産速度の低下を回避している。この予備的調整ステップ103は、気密性の新しい制御ごとに繰り返すことができる。
【0097】
輸送用密閉容器2の気密性の制御は、適切にはいわゆる2つの主要な方法で実行することができる。
【0098】
第1の方法によれば、輸送用密閉容器2の内部雰囲気は、インターフェース20に連結された輸送用密閉容器2の通気口8に係合している測定ヘッド23に、制御されたガス流を注入することによって、過圧下、すなわち大気圧を数ミリバール上回る圧力に設定される(圧力上昇ステップ104、図8)。
【0099】
次に注入を停止し、通気口8に係合している測定ヘッド23の測定ライン40における圧力降下を測定する(圧力降下ステップ105)。
【0100】
経時的な圧力降下の曲線は、漏れ量のコンダクタンスを決定するために使用することができる。圧力降下の速度が速くなるにつれて、漏れは、より大きくなる。この方法は敏感であり、0.1リットル/秒のオーダーのような小さい漏れに特に適している。制御期間を通して吸気側逆止弁11が測定ヘッド23によって開かれたままなので、経時的な圧力降下の測定を行うことができる。
【0101】
第2の例によれば、インターフェース20に連結された輸送用密閉容器2の通気口8内の測定ヘッド23に一定量のガスを注入し、測定ライン40における経時的な圧力変化を測定する(図9)。
【0102】
ガスの注入時間および注入量の関数としての圧力の変化は、漏れ量を決定するために使用することができる。この方法は、数リッター/秒のオーダーのようなより大きい漏れを測定するために使用することができる。
【0103】
ある輸送用密閉容器2と別の輸送用密閉容器2とでは、弾性部材14の剛性が大きな食い違いを示す恐れがあることを考えると、吸気側逆止弁11が測定ヘッド23によって開放されたままであるという事実は、測定の不確実性を増大させる恐れがある吸気側逆止弁11の弾性部材14の変動性の影響を受けることなく、制御されたガス流を注入することができる。弁が開いたままであるという事実は、弁が開位置と閉位置との間で不安定な状態にあるときの弁の振動の影響も回避することができる。
【0104】
このように、制御装置1を使用して、輸送用密閉容器2を部分的に変えることなく、輸送用密閉容器2の外側から輸送用密閉容器2の内部雰囲気にアクセスすることによって、周縁シール7における輸送用密閉容器2の気密性を制御することができ、このことは、輸送用密閉容器2が逆止弁11、15を備えているか否かにかかわらず、輸送用密閉容器2を規格化されたタイプのままで制御することができる。したがって、輸送用密閉容器2が半導体基板3を保管しながら、完全に自動化された方法で、輸送用密閉容器2を製造過程において制御することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 制御装置
2 輸送用密閉容器
3 半導体基板
4 ケーシング
4a 底部
5 開口部
6 ドア
7 周縁シール
8 通気口(吸気口)
9 通気口(排気口)
10 粒子フィルター
11 吸気側逆止弁
12 開口
13 可動シャッター
14 弾性部材
15 排気側逆止弁
16a、16b、16c キャビティ
20 インターフェース
21 位置決め手段
21a、21b、21c センタリングピン
22 固定用フィンガー(固定手段)
23 測定ヘッド
24 閉塞ヘッド
25 プレート
26 ロックキー
29 端部片
30 開口
31 周縁シール要素
32 ブラインドシール要素
33 ヘッドアクチュエータ
34 ホール
39 パイプ
40 測定ライン
41 流量制御装置
42 圧力センサ
43a 粒子フィルター
43b 減圧器
44 サンプリングポンプ
44a 仕切弁
46 自己制御開口
47 三方弁
48 較正開口
49 サンプリングライン
50 較正ライン
100 制御方法
101 自己制御ステップ
102 較正ステップ
103 予備的調整ステップ
104 圧力上昇ステップ
105 圧力降下ステップ
P0 初期圧力
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9