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特許7041146(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミド
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  • 特許-(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミド 図1
  • 特許-(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミド 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミド
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20220315BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20220315BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
C07D487/04 141
A61K31/4985
A61P9/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019522887
(86)(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2017077602
(87)【国際公開番号】W WO2018078097
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】62/414,109
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】アンナ・マティルダ・アンニェリカ・ペッテルセン
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第6564062(JP,B2)
【文献】特表2009-514886(JP,A)
【文献】特表2010-518025(JP,A)
【文献】特表2010-540641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/00
A61K 31/00
A61P 9/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミド:
【化1】
の結晶形態。
【請求項2】
CuKα線を用いて測定される場合、2θ=9.7、15.8、17.3、19.5及び24.8°に固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形態
【請求項3】
CuKα線を用いて測定される場合、2θ=9.7、10.6、15.8、16.7、17.3、18.7、19.5、21.3、23.3及び24.8°に固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形態
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の結晶形態を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体と共に含む医薬組成物。
【請求項5】
薬剤として使用するための、請求項に記載の医薬組成物
【請求項6】
心血管疾患または慢性腎臓疾患の予防又は治療に使用するための、請求項4に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミドの新規の物理的形態、それを含有する医薬組成物及び治療法におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
FLAP、すなわち5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質は、5-リポキシゲナーゼ(5-LO)経路によるロイコトリエンの産生に重要な役割を果たす。特に、FLAPは、膜リン脂質から放出される基質、アラキドン酸の5-LOの活性部位への輸送を媒介する。ロイコトリエンは、白血球、特に好中球、好酸球、マスト細胞及び単球/マクロファージによって放出される脂質メディエータである。これらは、細胞膜から放出されるアラキドン酸から形成される、エイコサノイドとして知られる脂質メディエータの広範なクラスに属する。2つの異なるクラスのロイコトリエン、すなわちLTBとCysLT(LTC、LTD及びLTE)が存在する。LTBの機能としては、白血球の化学誘因及び活性化、好中球アポトーシスの阻害、並びに接着分子発現の活性化が挙げられる。このような作用は、LTBに対する親和性及び特異性が異なる、2つの別個のGタンパク質共役受容体(BTL1及びBTL2)の一方との結合によって媒介される。システイニルロイコトリエンは、血管作動性を有し、血流及び血管透過性、2つのCysLT受容体であるCysLT1及びCysLT2により媒介される作用に影響を及ぼすことができる。
【0003】
ロイコトリエン生合成を開始するために、5-LOは、核膜などの細胞内膜に転移し、そこで、FLAPと相互作用する。細胞質PLA2(cPLA)により膜リン脂質から放出されたアラキドン酸は、FLAPを介して5-LOに輸送され、そこで、これは、5番目の炭素位置に酸素を立体特異的に組み込み、5(S)-HpETEを形成する。続いて、これは、5-LOによって、ロイコトリエンB(LTB)、並びにシステイニルロイコトリエン(LTC、LTD及びLTE)の共通の前駆体であるLTAに変換される。LTAのLTBへの変換は、亜鉛依存性エポキシドヒドロラーゼであるLTAヒドロラーゼ(LTAH)によって媒介される。システイニルロイコトリエンの形成は、FLAPと結合した細胞膜中のLTCシンターゼにより媒介されるLTAとグルタチオンとの共役を伴い、これにより生じたLTCは、ペプチダーゼ活性によってLTD及びLTEにさらにプロセシングされ得る。
【0004】
5-LO又はFLAPのいずれかの機能を阻害する化合物は、ロイコトリエン産生の阻害をもたらすことができる。FLAP阻害剤は、細胞膜中のFLAPに直接結合して、5-LOの膜転移及び/又はその活性部位へのアラキドン酸基質の供給を妨げることにより、ロイコトリエン生合成を阻止する。このようにして、FLAPの阻害は、共通の前駆体であるLTAの産生を阻害することにより、LTBとcysLT双方の産生を阻止する。5-LO阻害剤とは違って、FLAP阻害剤は、5-LOによるアラキドン酸の酸化を直接抑制しないため、溶解細胞抽出物中のロイコトリエン産生を阻害しない。
【0005】
高コレステロールレベル及び血圧上昇などのリスク因子に対処する薬剤の利用可能性にもかかわらず、アテローム性動脈硬化性心血管疾患及びその後遺症を低減するためにさらなる治療オプションが求められる。アテローム斑の形成における脂質沈着の役割は、十分に確立されている。しかし、アテローム形成におけるもう1つの重要な因子は、炎症であり、これは、アテローム性動脈硬化症への炎症細胞の動員及びプラーク内でのそれらの活性化の両方を含む。従って、炎症をターゲティングする薬理学的手法は、アテローム性動脈硬化を有する患者を治療する新規の手法を提供することができる。FLAP阻害剤の投与手段によるロイコトリエン産生の阻害は、こうした手法の1つである。
【0006】
心血管疾患に関連する別のリスク因子は、微小血管障害である。血管作用性システイニルロイコトリエン産生の低減に加えて、白血球活性化及び微小血管との相互作用を低下させることにより、FLAPの薬理学的阻害は、心血管疾患患者における微小血管機能を改善することができる。
【0007】
FLAP、5-LO経路活性、ロイコトリエン産生及び心血管疾患の間の関連は、以下に示す一連のエビデンスによって支持されている:1)5-LO経路の発現及び活性は、アテローム性プラーク進行及びプラーク不安定性の症状に関連して増加し、これは、心筋梗塞を招くプラーク崩壊及び血栓形成を引き起こし得る(MI)(非特許文献1;非特許文献2);2)血液及び尿中のロイコトリエンレベルは、最近の急性冠症候群(ACS)事象後の期間内に上昇する(非特許文献3;非特許文献4);3)FLAP(ALOX5AP)遺伝子中の遺伝子ハプロタイプは、心筋梗塞のリスクと有意に関連する(非特許文献5)。
【0008】
多くの会社が、過去数十年間にわたって、標的としてFLAPを研究し続けており、これらの取り組みに関連する特許出願が、様々な刊行物にまとめられている。例えば、非特許文献6;並びに非特許文献7及び非特許文献8を参照されたい。
【0009】
本出願は、(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミドの結晶形態に関する。この化合物は、上に記載した開示物の化合物とは、構造的に異なる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】Spanbroek et al(2003)PNAS 100,1238
【文献】Cipollone et al(2005)ATVB 25,1665
【文献】Sanchez-Gala et al(2009)Cardiovascular Research 81,216
【文献】Carry et al(1992)Circulation 85,230
【文献】Helgadottir et al(2004)Nature Genetics 36,233
【文献】Pergola & Werz,Expert Opin.Ther.Patents(2010)20(3)
【文献】Hofmann & Steinhilber Expert Opin.Ther.Patents,(2013)23(7)
【文献】Whatling Bioorg.Med Chem.Lett.(2015)25(2607)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
原薬の製剤化に際し、原薬(活性化合物)が、都合よく取扱い及び処理できる形態であることが重要である。これは、原薬自体の商業的に実行可能な製造方法の取得の視点だけではなく、活性化合物と好適な賦形剤を含む医薬製剤の製造という視点からも重要である。これに関連して、活性化合物の化学的安定性及び物理的安定性が重要な要因である。活性化合物、及びそれを含む製剤は、活性化合物の物理-化学的特徴(例えば、化学組成、密度、吸湿性及び溶解度)のいずれかの有意な変化を呈示することなく、長時間にわたって効果的に貯蔵可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミド(以後、「化合物(I)」)の構造を以下に示す:
【化1】
【0013】
本発明者らは、化合物(I)が、結晶形態として存在し得ることを見出した。化合物(I)「形態A」の一結晶形態は、実質的に図1に示すようなX線粉末回析パターンをもたらす。当業者であれば理解されるように、化合物(I)は、ピラゾールN-Hが、隣接するピラゾール環窒素のいずれかと結合する2つの互変異性型で存在し得る。化合物(I)と言うとき、両方の互変異性型を明示的に包含する。
【0014】
一態様は、化合物(I)の結晶形態を提供する。
【0015】
別の態様は、化合物(I)形態Aの物理的形態を提供する。
【0016】
別の態様は、化合物(I)形態Aの物理的形態を提供し、これは、CuKα線を用いて、以下の適切な表1に示す特性X線粉末回析ピーク(角度2θで表す)を呈示する。
【0017】
別の態様は、薬剤の製造に使用するための化合物(I)の結晶形態を提供する。
【0018】
別の態様は、心血管疾患の予防又は治療に使用するための薬剤の製造に使用するための化合物(I)の結晶形態を提供する。
【0019】
別に記載されない限り、本明細書に記載されるX線粉末回析データは全て、実施例で説明されるように、CuKα線を用いて得られた。
【0020】
一実施形態では、化合物は結晶特性を有し、一態様では、少なくとも50%結晶性であり、別の態様では、少なくとも60%結晶性であり、別の態様では、少なくとも70%結晶性であり、別の態様では、少なくとも80%結晶性であり、別の態様では、90%結晶性である。結晶性は、通常のX線回析法により推定することができる。
【0021】
別の実施形態では、化合物(I)は、60%、70%、80%、又は90%~95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%結晶性である。
【0022】
化合物(I)形態Aの最も高いピークは、2θ=約9.7、15.8、17.3、19.5及び/又は24.8°にある。
【0023】
別の態様によれば、前記形態Aが、2θ=約9.7、15.8、17.3、19.5及び/又は24.8°に少なくとも1つの固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、化合物(I)形態Aが提供される。
【0024】
別の態様によれば、前記形態Aが、2θ=約9.7、15.8、17.3、19.5及び/又は24.8°に少なくとも2つの固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、化合物(I)形態Aが提供される。
【0025】
別の態様によれば、前記形態Aが、2θ=約9.7、15.8、17.3、19.5及び/又は24.8°に少なくとも3つの固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、化合物(I)形態Aが提供される。
【0026】
別の態様によれば、前記形態Aが、2θ=約9.7、10.6、15.8、16.7、17.3、18.7、19.5、21.3、23.3及び/又は24.8°に少なくとも1つの固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、化合物(I)形態Aが提供される。
【0027】
別の態様によれば、前記形態Aが、2θ=約9.7、10.6、15.8、16.7、17.3、18.7、19.5、21.3、23.3及び/又は24.8°に少なくとも2つの固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、化合物(I)形態Aが提供される。
【0028】
別の態様によれば、前記形態Aが、2θ=約9.7、10.6、15.8、16.7、17.3、18.7、19.5、21.3、23.3及び/又は24.8°に少なくとも3つの固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、化合物(I)形態Aが提供される。
【0029】
別の態様によれば、前記形態Aが、2θ=約9.7、15.8、17.3、19.5及び24.8°に固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、化合物(I)形態Aが提供される。
【0030】
別の態様によれば、前記形態Aが、2θ=約9.7、10.6、15.8、16.7、17.3、18.7、19.5、21.3、23.3及び24.8°に固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、化合物(I)形態Aが提供される。
【0031】
別の態様によれば、前記形態Aが、実質的に図1に示すようなX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、化合物(I)形態Aが提供される。
【0032】
示差走査熱量計(DSC)中で加熱する(実施例のセクションに記載する条件)と、化合物(I)形態Aは、図2に示すように開始温度が約239.4℃で、且つピーク温度が約242.6℃の融解を呈示する。
【0033】
当業者は、特定の化合物のDSCサーモグラムに観測される値又は値の範囲が、様々な純度のバッチ同士の相違を示すことを理解されよう。従って、ある化合物の場合、範囲は小さいが、他の化合物の場合には、範囲がかなり広くなることもあり得る。一般に、DSC発熱事象での回析角度の測定誤差は、±約5℃であり、本明細書のDSCデータを考察する際、こうした程度の測定誤差を考慮に入れるべきである。
【0034】
従って、一実施形態では、融解の開始が約239.4℃で、ピークが約242.6℃のDSC吸熱性を有する結晶形態、すなわち化合物(I)形態Aが提供される。
【0035】
従って、一実施形態では、融解の開始が239.4℃±5℃で、ピークが242.6℃±5℃のDSC吸熱性を有する結晶形態、すなわち化合物(I)形態Aが提供される。
【0036】
一実施形態では、融解の開始が239.4℃で、ピークが242.6℃のDSC吸熱性を有する結晶形態、すなわち化合物(I)形態Aが提供される。
【0037】
一実施形態では、実質的に図2に示すようなDSCサーモグラムを有する結晶形態、すなわち化合物(I)形態Aが提供される。
【0038】
本明細書に記載する方法での形態Aの結晶化は、形態Aの結晶を用いた種晶添加により促進され得る。種晶は、実施例に記載する方法の1つを用いて取得することができる。種晶添加は、より大きな規模の製造で特に有利である。
【0039】
本明細書で、化合物が「2θ=約・・・に少なくとも1つの固有ピークを伴うX線粉末回析パターン」を有するものとして記載される場合、化合物のXRPDは、列記される2θ値の1つ又は複数を含み得る。例えば、列記される2θ値の1つ若しくは複数、2θ値の2つ以上、又は2θ値の3つ以上。
【0040】
化合物(I)の結晶形態について、X線粉末回析ピークを定義する先行パラグラフでは、「=約」という用語は、「2θ=約・・・」という表現で使用されて、当業者には理解されるように、ピークの正確な位置が、測定器によって、サンプルによって、又は使用される測定条件のわずかな差の結果として、若干変動し得るため、ピークの正確な位置(すなわち、表示される2θ角度の値)は、絶対値として解釈すべきではないことを表している。また、先行パラグラフには、化合物(I)の結晶形態は、図1に示すX線粉末回析パターンと「実質的に」同じX線粉末回析パターンをもたらし、これは、表1で実質的に最も高いピーク(2θ角度値)を有することも記載されている。本文中での「実質的に」という用語の使用は、X線粉末回析パターンの2θ角度値が、装置によって、サンプルによって、又は使用される測定条件のわずかな差の結果として、若干変動し得ることから、図に示す、又は表に提示するピーク位置も、やはり絶対値として解釈すべきではないことを表していると理解すべきである。
【0041】
X線粉末回析の当業者は、ピークの相対強度が、例えば、サイズが約30マイクロメートルを超える粒子、及びサンプルの分析に影響を及ぼし得る非ユニタリーアスペクト比により影響される可能性があることも理解されよう。さらに、サンプル中の粒子の好ましい配向などの実験条件及びサンプル調製に応じて、強度が変動し得ることは理解すべきである。自動又は固定発散スリットも、相対強度計算に影響を及ぼす。当業者は、回析パターンを比較する際、こうした影響を制御することができる。
【0042】
X線粉末回析の当業者は、サンプル高さの差及び検出器位置の較正誤差によって、2θ位置にわずかな変化が起こり得ることも理解されよう。一般に、所与の値から±0.1°の差は、正確であるとみなすべきである。
【0043】
本明細書に記載の化合物(I)形態Aは、他の好適な分析技術、例えば、NIR分光法又は固体核磁気共鳴分光法を用いて、他の物理的形態から特性決定及び/又は識別することもできる。
【0044】
本明細書に記載の化合物(I)形態Aの化学構造は、常用の方法、例えば、プロトン核磁気共鳴(NMR)分析によって、確認することができる。
【0045】
化合物(I)形態Aは、以下の実施例に記載する通りに調製することができる。
【0046】
医療及び製剤用途
化合物(I)の結晶形態は、哺乳動物、特にヒトの心血管疾患の予防又は治療に有用となり得る。心血管疾患としては、限定はしないが、アテローム性動脈硬化、動脈硬化、安定性及びハイリスク冠動脈疾患(最近の急性冠症候群(ACS)として定義されるか、又は微小血管及び心機能障害のバイオマーカにより定義される)を含む冠動脈疾患、心筋梗塞、血管再建術後の再狭窄、心不全、腹大動脈瘤(AAA)、血管疾患による勃起不全を含む末梢動脈疾患(PAD)、発作、一過性虚血発作(TIA)及び可逆性虚血性神経疾患(RIND)、多発梗塞性痴呆及び腎動脈疾患などの心機能障害及び/又は微小血管機能障害及び/又は微小血管疾患に関連する病状が挙げられる。特に、化合物(I)の結晶形態は、高リスク冠動脈疾患の予防又は治療に有用となり得る。
【0047】
化合物(I)の結晶形態は、限定されないが、脂質降下スタチン、抗血小板物質、ACS阻害剤及びβ遮断薬などの標準療法(SoC)にもかかわらず、心血管事象のリスクを依然として抱える患者の予防又は治療に有用となり得る。
【0048】
化合物(I)の結晶形態は、慢性腎臓疾患の予防又は治療に有用となり得る。
【0049】
化合物(I)の結晶形態は、哺乳動物、特にヒトのII型糖尿病及びII型糖尿病の合併症の予防又は治療に有用となり得る。これは、糖尿病性微小血管及び大血管性疾患、神経症並びに腎症を含むが、これに限定されるわけではない。
【0050】
化合物(I)の結晶形態は、哺乳動物、特にヒトの呼吸器炎症性疾患及び呼吸器炎症性疾患に関連する合併症の予防又は治療に有用となり得る。呼吸器炎症性疾患として、限定はしないが、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫及び鼻炎が挙げられる。
【0051】
化合物(I)の結晶形態は、哺乳動物、特にヒトの腎臓炎症及び血管疾患並びに腎臓疾患に関連する合併症の予防又は治療に有用となり得る。腎臓炎症及び血管疾患として、限定はしないが、慢性腎臓病、薬剤及び毒素誘発性腎毒性、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、IgA腎炎、逆流性腎症、巣状分節性糸球体硬化症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、及び糖尿病性腎症が挙げられる。
【0052】
化合物(I)の結晶形態は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防又は治療に有用となり得る。
【0053】
化合物(I)の結晶形態による治療は、その抗炎症特性及び血管作用機構によって、心血管及び/又は脳血管及び/又は腎及び/又は末梢動脈疾患の罹患率、並びに心機能障害及び/又は微小血管機能障害及び/又は大血管疾患に関連する死亡率を低下させ得る。
【0054】
化合物(I)の結晶形態は、心機能障害及び/又は微小血管機能障害及び/又は大血管疾患を発症するリスクを予防又は低減する上で、並びに一旦臨床的に明らかになった後、アテローム性動脈硬化性心血管疾患の進行を停止若しくは遅延させる、及び/又はその退行を促進する上で役立つことができ、これは、必要に応じて予防又は治療有効量の化合物(I)を、アテローム性動脈硬化を発症するリスクがあるか、又はすでにアテローム性動脈硬化性心血管疾患を有するヒトなどの哺乳動物に投与するステップを含む。
【0055】
化合物(I)の結晶形態は、限定はしないが、心筋梗塞、不安定狭心症及び発作を含む、アテローム性プラーク崩壊又はびらんに関連する急性事象の発生を予防する、又は重症度を低減する上で有用となり得る。
【0056】
化合物(I)の結晶形態は、微小血管機能、大血管疾患及び/又は心機能を改善することにより、急性事象の発生を予防する、又は重症度を低減する上で有用となり得る。
【0057】
化合物(I)の結晶形態は、腹大動脈瘤(AAA)の進行及び破裂の発生を予防又は低減する上で有用となり得る。
【0058】
誤解を避けるために、本明細書で使用されるとき、「治療」という用語は、治療的及び/又は予防的治療を含む。「治療」はまた、心血管疾患(冠動脈疾患及びハイリスク冠動脈疾患を含む)の症状を軽減するために、及び/又はそれらの重症度、若しくは進行を低減するために、化合物(I)を投与することも含む。
【0059】
従って、本明細書に開示する化合物は、これらの病状の治療的及び/又は予防的治療の両方で適用され得る。
【0060】
化合物(I)形態Aの結晶形態は、薬剤の製造に有用となり得る。一実施形態では、化合物(I)の結晶形態は、冠動脈疾患又は高リスク冠動脈疾患などの心血管疾患の予防又は治療に使用するための薬剤の製造に有用となり得る。そうした製造では、化合物(I)形態Aの貯蔵安定性のために、この形態は、中間体として有用である。例えば、化合物(I)形態Aは、貯蔵又は処理中の分解を起こさないか、実質的な量の分解を起こさずに、錠剤、カプセル若しくはその他の好適な剤形を調製する際に、増量剤、潤滑剤、結合剤などの賦形剤と組み合わせることができる。化合物(I)形態Aは、薬剤を送達するための最終的処理前、例えば、化合物(I)の溶液、懸濁液又は別の物理的形態の形成前の貯蔵用の安定した中間体として機能することもできる。
【0061】
併用療法
化合物(I)の結晶形態は、前述した病状の治療に使用される他の化合物と一緒に投与してもよい。
【0062】
別の実施形態では、上に挙げた1つ又は複数の病状の治療のために、化合物(I)の結晶形態の化合物と、第2の活性成分を同時に、順次又は混合して投与する併用療法がある。こうした併用療法は、1又は複数種のさらに別の活性成分と組み合わせて使用してもよい。
【0063】
本明細書に記載する化合物(I)の結晶形態は、以下:
・心臓治療薬、
・抗高血圧薬、
・利尿薬、
・末梢血管拡張剤、
・脂質値変更剤、
・抗糖尿病薬、
・抗炎症薬、
・抗酸化剤、
・血液凝固阻止剤、
・抗血栓剤、
・抗血小板剤
である薬剤と組み合わせて、心血管疾患、代謝及び腎疾患を治療する上で有用となり得る。
【0064】
前述のものの例として、限定されないが、ジギタリスグリコシド、抗不整脈薬、カルシウムチャネルアンタゴニスト、ACE阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬(例えば、カンデサルタン)、エンドセリン受容体遮断薬、β遮断薬、チアジド系利尿薬、ループ利尿薬、スタチン(例えば、Rosuvastatin)などのコレステロール合成阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、PPARモジュレータ、FXRアゴニスト、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤、インスリン及び類似薬などの抗糖尿病薬、GLP-1類似薬、スルホンアミド、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害剤、チアゾリジンジオン、SGLT2(例えば、ダパグリフロジン)、SGLT1、SGLT1/2を含むナトリウムグルコース輸送タンパク質(SGLT)阻害剤、並びにNSAID及びCCR2アンタゴニストなどの抗炎症薬、ビタミンE及びSOD模倣体などの抗酸化剤、ヘパリン、トロンビン阻害薬及び第Xa因子の阻害薬などの血液凝固阻止薬、tPAなどの抗血栓剤、血小板凝集阻害薬(例えば、P2Y12アンタゴニスト又はチカグレロール(ticagrelor))及びネプリリシン阻害薬(例えば、Sacubitril)が挙げられる。
【0065】
併用療法で使用する場合、化合物(I)の結晶形態、及びその他の活性成分は、単一の組成物、完全に個別の組成物、又はその組合せで投与することができることが考慮される。また、活性成分は、一緒に、同時に、順次、又は個別に投与され得ることも考慮される。併用療法の特定の組成物及び投与頻度は、例えば、投与経路、治療対象の病状、患者の種、単一組成物に組み合わせる場合の活性成分同士の何らかの相互作用、動物の患者に投与する場合の活性成分同士の何らかの相互作用、並びに医師、及び他の当業者には周知のその他の様々な要因を含む、多様な要因に応じて変動し得る。
【0066】
投与
FLAPの阻害が求められる病状の治療方法が提供され、この方法は、治療有効量の化合物(I)の結晶形態を、そうした病状に罹患しているか、又はその疑いがある人に投与するステップを含む。
【0067】
化合物(I)の結晶形態は、通常、活性成分を含む医薬製剤の形態で、薬学的に許容される剤形として、経口、非経口、静脈内、筋肉内、皮下経路で、又はその他の注射法、口腔、直腸、膣、経皮及び/又は鼻内経路及び/又は吸入により、投与される。治療しようとする疾患及び患者、並びに投与経路に応じて、変動する用量で化合物を投与してよい。
【0068】
経口用途に適した剤形が本発明の一態様を形成する。
【0069】
本発明の組成物は、当技術分野で公知の通常の製剤用賦形剤を用いた従来の手順によって取得され得る。従って、経口用途が意図される組成物は、例えば、1若しくは複数種の着色料、甘味料、香味料及び/又は防腐剤を含有してもよい。
【0070】
錠剤に適した薬学的に許容される賦形剤として、例えば、ラクトースなどの不活性希釈剤、トウモロコシデンプンなどの造粒及び崩壊剤;デンプンなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤が挙げられる。錠剤は、コーティングしなくてもよいし、又は当技術分野で公知の通常のコーティング剤及び手順を用いてコーティングしてもよい。
【0071】
製剤化に関するさらなる情報については、Chapter 25.2 in Volume 5 of Comprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board),Pergamon Press 1990を参照されたい。
【0072】
単一剤形を製造するために1若しくは複数種の賦形剤と組み合わせる活性成分の量は、治療対象の宿主及び具体的な投与経路に応じて必然的に変動する。
【0073】
ヒトの治療処置の場合、化合物(I)の結晶形態の好適な1日用量は、約0.0001~100mg/kg体重、好ましくは0.01~30mg/kg体重である。
【0074】
経口製剤、特に錠剤又はカプセルが好ましく、これは、0.1mg~1000mgの範囲、例えば、1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、250mg及び500mgの用量の活性化合物を提供するように、当業者には周知の方法によって製剤化することができる。
【0075】
投与経路及び投与レジメンに関するさらなる情報については、Chapter 25.3 in Volume 5 of Comprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board),Pergamon Press 1990を参照されたい。
【0076】
さらに別の態様によれば、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤及び/又は担体と混合することにより、化合物(I)の結晶形態を含む医薬組成物が提供される。
【0077】
生物学的試験
以下の試験手順を使用することができる。
【0078】
FLAP結合アッセイ(試験A)
トレーサとしてH-MK591を用いる競合結合アッセイで化合物を試験した。(MK-591の調製は、Bioorg.Med.Chem.Lett.1999,9,2391に記載されている)。ヒトALOX5APを発現するプラスミドで安定にトランスフェクトしたCOS-7細胞からの100,000×gペレットをFLAPの供給源とした。膜ペレットをバッファー(100mMトリス-HCl、0.05%Tween-20、140mM NaCl、2mM EDTA、0.5mM DTT、5%グリセロール、pH7.5)中に再懸濁させて、12mg/mL(2μg/ウェル)の最終タンパク質濃度を得た。アッセイを実施するために、1.4μLの化合物を3回繰り返して3倍希釈系列で96ウェルプレートに分配した。次に、84μLの放射性リガンド(25000CPM、アッセイ中2nM最終濃度)の添加に続いて、84μL膜懸濁液を添加した後、周囲温度で60分間のインキュベーションを行った。濾過の後、フィルタープレートを室温で12時間(又は50℃で1時間)乾燥させた。次に、50μLのシンチラント(scintillant)を添加し、フィルタープレートを密封し、マイクロベータカウンターで放射能を測定した。全結合から非特異的結合を差し引いたものとして特異的結合を定義した。全結合は、競合相手の非存在下で膜に結合したH-MK591として定義し、非特異的結合は、0.1mM NK-591の存在下のH-MK591として定義した。log化合物濃度に対して阻害(%)をプロットし、1部位用量応答モデルを用いて、IC50値を決定した。化合物(I)は、6.3IC50nMである。
【0079】
FLAP全血アッセイ(試験B)
凝固を阻止するためにヘパリンを用い、静脈穿刺により得られた新鮮なヒト全血中で、LTB産生の阻害について化合物を試験した。1.5μLの化合物又はDMSO担体を3倍希釈系列で96ウェル深型プレートのウェルに分配した。次に、500μLのヘパリン添加全血を添加した後、37℃で30分(方法A)又は4時間(方法B)のインキュベーションを行った。続いて、100μLの血液を第2の96ウェルプレート内の予め分配した0.5μLの2mMカルシウムイオノフォア(カルシマイシン;A23187)に、3回繰り返して移した。37℃で20分のインキュベーション後、10μLの停止溶液(100mM EGTA、pH7.4)を添加することにより、アッセイを停止し、プレートを氷に移した。4℃にて、プレートを3000rpmで10分間遠心分離してから、90μLの予め分配したEIAアッセイバッファー(0.1Mリン酸バッファー+0.1%BSA)を含有する新鮮な96ウェルプレートに、10μLの血漿を移した。次に、市販のEIA(Cayman Chemicals)からの試薬を用いて、LTBを測定した。LTB産生は、所与の濃度の試験化合物の存在下のLTBレベルから、50nM 5-[[4-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-2-チエニル]スルファニル]-1-メチル-インドリン-2-オンの存在下でのLTBレベルを差し引いたものとして定義した。(5-[[4-[(2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-メチル-テトラヒドロピラン-4-イル]-2-チエニル]スルファニル]-1-メチル-インドリン-2-オンの調製は、Org.Process Res.Dev.,2005,9,555-569又は欧州特許第623614B1号明細書に記載されている)。LTB産生の阻害は、DMSOの存在下のLTBレベルの%として表される、所与の濃度の試験化合物の存在下のLTBレベルとして定義した。log化合物濃度に対して阻害(%)をプロットし、1部位用量応答モデルを用いて、IC50値を決定した。化合物(I)は、方法Bを用いて、40IC50である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】実施例1(形態A)のX線粉末回析パターンを示す。
図2】実施例1(形態A)のDSCを示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
実施例
以下の例示的な実施例を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、他に記載のない限り:
(i)温度は、セ氏度(℃)で表す;操作は、室温又は周囲温度、すなわち、18~25℃の範囲の温度で実施した。
(ii)一般に、反応の過程はHPLCに従って実施し、反応時間は、あくまで例示のために表示する。
(iii)収率はあくまで例示のために表示され、これらは、必ずしも精励な製法開発によって取得され得るものではない;調製は、より多量の材料が必要な場合、反復した。
(iv)化学記号は、その通常の意味を有する;SI単位及び記号を使用する。
(v)溶媒比は、体積:体積(v/v)に基づいて表示する。
(vi)別に記載のない限り、出発材料は市販のものであった。
【0082】
X線粉末回析分析
単結晶シリコン(SSC)ウエハーマウントにサンプルを載せ、Theta-Theta PANalytical X’Pert PRO(X線の波長1.5418Å ニッケル濾過Cu線、電圧45kV、フィラメント放出40mA)を用いて粉末X線回析を記録した。自動可変発散及び散乱線除去スリットを使用し、測定中、サンプルを回転させた。PIXCEL検出器(有効長3.35°2θ)を用いて、0.013°ステップ幅及び233秒ステップ測定時間を使用し、2~50°2θからサンプルを走査した。
【0083】
測定条件(例えば、使用される設備、サンプル調製又は機械)に応じて1つ若しくは複数の測定誤差を有するX線粉末回析パターンが取得され得ることは、当技術分野において公知である。特に、一般に、X線粉末回析パターンの強度は、測定条件及びサンプル調製に応じて変動し得ることが知られている。例えば、X線粉末回析の当業者は、ピークの相対強度が、試験のサンプルの配向及び使用される計器のタイプ及び設定に応じて変動し得ることを理解されよう。当業者は、さらに、反射位置が、回析計内でサンプルの位置する正確な高さ及び回析計の零校正によって影響され得ることも理解されよう。サンプルの表面平面性もわずかな作用を及ぼし得る。従って、当業者は、本明細書に表示される回析パターンデータを絶対値として解釈すべきではなく、本明細書に開示されるものと実質的に同一の粉末回析パターンをもたらすあらゆる結晶形態が、本開示の範囲に含まれることを認識されよう(さらなる情報については、Jenkins.R & Snyder.R.L.‘Introduction to X-Ray Powder Diffractometry’John Wiley & Sons.1996を参照されたい)。
【0084】
一般に、X線粉末ディフラクトグラムの回析角度の測定誤差は、±約0.1°2θであり得、X線粉末回析データを考察する際、こうした測定誤差の程度を考慮に入れるべきである。さらに、強度は、実験条件及びサンプル調製(例えば、好ましい配向)に応じて変動し得ることを理解すべきである。相対強度(%)については、以下の定義が使用されている:81~100%、vs(非常に強い);41~80%、str(強い);21~40%、med(中程度);10~20%、w(弱い);1~9%、vw(非常に弱い)。
【0085】
【表1】
【0086】
一般的方法
以下の非限定的な実施例を参照することにより、本出願の結晶形態をさらに詳しく説明する。
【0087】
本実施例において、エレクトロスプレーインターフェイス(LC-HRMS)を備えたMicromass LCT質量分析計で、高分解能マススペクトルを記録した。それぞれ400、500及び600MHzのH周波数で作動するVarian UNITY plus400、500及び600分光計又はVarian INOVA400、500及び600分光計又はBruker Avance400、500及び600分光計で、H NMR測定を実施した。実験は、典型的に、25℃で記録した。内標準としての溶媒を用いて、化学シフトをppmで付与する。別に記載のない限り、順相シリカFLASH+(商標)(40M、25M若しくは12M)又はSNAP(商標)KP-Sil Cartridges(340、100、50若しくは10)を使用する、Biotage(商標)からのSP1(商標)Purificationシステムで、順相フラッシュクロマトグラフィーを用いてフラッシュクロマトグラフィーを実施した。一般に、使用する溶媒は全て、市販されている分析用のものであった。無水溶媒は、反応のために常用されているものであった。実施例で使用したPhase Separatorは、ISOLUTE(登録商標)Phase Separatorカラムである。以下のように称する中間体及び例は、Advanced Chemistry Development,Inc.(ACD/Labs)からのACD/Name 12.01を用いて名付けられた。
【0088】
実験.DSC:TA DSC Q2000計器での変調示差走査熱量測定により発熱事象を分析した。ピンホール付きの標準アルミニウム密閉カップ内に含まれる9.7mgの材料を、40秒の変調間隔で0.53℃の重複変調を含む毎分5℃の一定加熱速度で、0℃~260℃の温度範囲にわたって測定した。窒素を用いたパージガスを使用した(毎分流量50mL)。表示する融点開始温度を絶対値と解釈すべきではない。融点開始温度が、不純物含量及び粒径などのいくつかのパラメータにより影響され得ることは公知である。
【0089】
略語
以下の略語を使用する:
AcOH:酢酸
Aq:水性
MeCN:アセトニトリル
MeOH:メタノール
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
EtO:ジエチルエーテル
EtOAc:酢酸エチル
MgSO:硫酸マグネシウム
NaHCO:炭酸水素ナトリウム
NHCl:塩化アンモニウム
T3P:2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド
TFA:トリフルオロ酢酸
【0090】
実施例1
(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミド(結晶形態A)
アセトン(66L)及び水(7.3L)中の、以下の中間体8と同様に調製された(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミドメタノール溶媒和物(6.070kg、13.19mol)を55℃に加熱した後、30℃に冷却し、溶液を濾過した。次に、これを大気圧で約24Lまで蒸留した。2-メチルテトラヒドロフラン(36.5L)を充填した後、大気圧で約24Lまで蒸留した。さらに2-メチルテトラヒドロフラン(36.5L)を充填した後、大気圧で約24Lまで蒸留した。さらに2-メチルテトラヒドロフラン(36.5L)を充填した後、大気圧で約24Lまで蒸留した。懸濁液を20℃に冷却し、得られた固体を濾過した後、2-メチルテトラヒドロフラン(6.1L)で洗浄した。固体を60℃の真空下で乾燥させることにより、標題化合物(結晶形態A)(5.679kg、12.40mol、94%収率)を得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 1.10-1.55(m,4H),1.74-1.82(m,2H),1.95-2.08(m,2H),2.28(s,3H),2.99(t,1H),3.70(s,2H),3.82(t,1H),4.21(t,2H),6.58(s,1H),7.82(s,1H),7.90(d,2H),8.01(d,2H),8.33(s,1H),9.15(s,1H),12.76(s,1H)
【0091】
中間体1:3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール
【化2】
ステップ1:3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール
3-メチル-1H-ピラゾール(2mL、2.48mmol)を3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(6.8mL、74.5mmol)に溶解させた。トリフルオロ酢酸(0.134mL、1.74mmol)を添加し、透明な溶液を75℃まで18時間かけて昇温させた。反応混合物をEtOで希釈してから、有機相をNaHCO(sat、aq)、水及びブラインで洗浄し、相分離装置を用いて濾過した後、真空で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン中10%→20%のEtOAc)により精製して、副題の化合物(2.4g、58%、70%の正しい異性体)を得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.44(d,1H),7.40(s,0.3H),6.04(d,1H),6.00(s,0.3H),5.21-5.28(m),3.94-4.09(m),3.57-3.68(m),2.47(s,0H),2.31(s,1H),2.26(s,3H),1.9-2.16(m),1.59-1.75(m).
【0092】
ステップ2:3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール
n-ブチルリチウム(6.1mL、15.2mmol、THF中2.5M)を、THF(20mL)中の3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール(2.4g、14.4mmol)の溶液に、-78℃で10分かけて添加した。15分の間、トリプロパン-2-イルボレート(3.7mL、15.9mmol)を-78℃で滴下しながら添加し、反応混合物を15分間攪拌した後、周囲温度に到達させた。2,3-ジメチルブタン-2,3-ジオール(1.88g、15.9mmol)、続いて、AcOH(1.65mL、28.9mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物をヘプタンで希釈してから、有機相をNHCl(aq)、NaHCO(aq)及びブラインで洗浄し、相分離装置を用いて濾過した後、濃縮した。残渣をヘプタンで希釈してから、濃縮することにより、標題化合物(3.86、91%)を得た。
MS m/z 293.2[M+H]
【0093】
中間体2:(1R,2R)-2-{4-[3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル]ベンゾイル}シクロヘキサンカルボン酸
【化3】
CO(4.02g、29.05mmol)とPd(dtbpf)Cl(0.28g、0.36mmol)を、1,4-ジオキサン(40mL)及び水(20mL)に溶解させた(1R,2R)-2-(4-ブロモベンゾイル)シクロヘキサンカルボン酸(2.26g、7.26mmol)及び3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(中間体1、3.18g、10.89mmol)の溶液に添加した。混合物を排気し、窒素で3回パージした後、80℃で1時間加熱した。混合物を室温まで冷却させてから、EtOAcで希釈した。NaHCO(sat、aq)を添加し、混合物をKHSO(1M、aq)で酸性化した。相を分離し、EtOAcで水相を2回抽出した。合わせた有機相を相分離装置で乾燥させ、溶媒を真空下で除去した。移動相としてHO/MeCN/AcOH(95/5/0.2)バッファー系中の30%~90%MeCNの勾配を用いて、Kromasil C8カラム(10μm250×50 IDmm)での分取HPLCにより粗残渣を精製した。選択した画分を合わせ、真空下で濃縮し、水性残渣をDCMで2回抽出した。合わせた有機相を相分離装置で乾燥させ、溶媒を真空下で除去することにより、淡い茶色の固体として標題化合物(2.79g、97%)を得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.21-1.64(m,6H),1.71-1.94(m,4H),2.02-2.12(m,2H),2.23-2.31(m,1H),2.34(s,3H),2.52-2.64(m,1H),2.93-3.02(m,1H),3.53-3.66(m,2H),4.11-4.19(m,1H),5.13(dd,1H),6.18(s,1H),7.56-7.63(m,2H),8.01-8.07(m,2H)
MS m/z 395.3[M-H]
【0094】
中間体3:4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1H-ピラゾール-5-カルボン酸メチル
【化4】
二炭酸ジ-tert-ブチル(159mL、0.68mol)をMeOH(1L)中の4-アミノ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸メチル(87.6g、0.62mol)及びピリジン(100mL、1.24mol)に10℃で15分かけて添加した。反応混合物を室温で5時間攪拌した。真空下で溶媒を除去した。粗残渣をMeOH(700mL)からの結晶化により精製して、紫色の固体として標題化合物(80g、53%)を得た。
MS m/z 228[M+H]
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 1.47(s,9H),3.83(s,3H),7.70-8.20(m,2H),13.45(s,1H)
【0095】
中間体4:1-(2-ブロモエチル)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1H-ピラゾール-5-カルボン酸メチル
【化5】
1,2-ジブロモエタン(1.97mL、22.8mol)をDMF(50mL)中の4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1H-ピラゾール-5-カルボン酸メチル(中間体3、5.0g、20.7mmol)及びKCO(4.3g、31.1mmol)の溶液に0℃で10分かけて添加し、反応混合物を室温で5時間攪拌した。水を反応混合物に添加し、水相をEtOAcで抽出した。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させた後、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc中5%→20%2-メチルペンタン)により精製した。純粋な画分を乾燥まで蒸発させることにより、無色の油として標題化合物(2.5g、35%)を得た。
H NMR(300MHz,DMSO-d)δ 1.47(s,9H),3.80(t,2H),3.87(s,3H),4.79(t,2H),7.86(s,1H),8.24(s,1H)
MS m/z 348[M+H]
【0096】
中間体5:tert-ブチル(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)カルバメート
【化6】
アンモニア水和物(10g、287.2mmol)をMeCN(100mL)中の1-(2-ブロモエチル)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1H-ピラゾール-5-カルボン酸メチル(中間体4、10.0g、28.7mmol)の溶液に添加し、反応容器を密封し、90℃で20時間加熱した。真空下で溶媒を除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー、溶離勾配(MeOH中1%→10%DCM)により精製した。純粋な画分を乾燥まで蒸発させることにより、白色の固体として標題化合物(6.0g、83%)を得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 1.47(s,9H),3.60(t,2H),4.22(t,2H),7.76(s,1H),7.95(s,1H),8.30(s,1H)
MS m/z 253[M+H]
【0097】
中間体6:3-アミノ-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン塩酸塩
【化7】
HCl(g)をMeOH(50mL)中のtert-ブチル(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)カルバメート(中間体5、9g、35.68mmol)の溶液に添加し、反応混合物を室温で2時間攪拌した。沈殿物を濾過により収集し、EtOAcで洗浄してから、真空下で乾燥させることにより、白色の固体として標題化合物(6.00g、89%)を得た。
MS m/z 153[M+H]
【0098】
中間体7:(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミドHCl
酢酸エチル(7.8L)中の(1R,2R)-2-{4-[3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル]ベンゾイル}シクロヘキサンカルボン酸(中間体2、1.2kg、2.8mol)と3-アミノ-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン塩酸塩(中間体6、0.6kg、3mol)に、ピリジン(1.5kg、19mol)を充填した。混合物を0~5℃に冷却した後、温度を5℃未満に維持しながら、T3P(酢酸エチル、4.6kg、7.6mmol中50%)を30分間にわたって充填した。混合物を22時間かけて20℃まで加熱した後、10℃に冷却した。温度を15℃未満に維持しながら、さらに酢酸エチル(5.6L)、次に水(5.6L)を充填した。水層を除去し、水(5.3L)中のクエン酸(0.28kg、1.5mol)、水(5.3L)中のクエン酸(0.28kg、1.5mol)、水(5.3L)中の炭酸水素ナトリウム(0.28kg、3.3mol)、最後に水(4.2L)中の塩化ナトリウム(1.5kg、25mol)で有機相を洗浄した。有機相を真空下で蒸留して、7.8Lの蒸留物を除去した。2-メチルテトラヒドロフラン(6.4L)を充填し、混合物を真空下で蒸留して、6.1Lの蒸留物を除去した。さらに2-メチルテトラヒドロフラン(5.0L)、続いて水(2.1L)中37%塩酸(0.42L)の溶液を充填した。得られた沈殿物を濾過により収集し、約3Lの母液、次に2-メチルテトラヒドロフラン(2.2L)、続いてさらなる2-メチルテトラヒドロフラン(2.2L)で洗浄した。得られた固体を約40℃の真空下で乾燥させることにより、(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミドHCl(1.012kg、1.970mol、70%収率)を得た。
1H NMR(500MHz,DMSO,27℃)1.18(1H,dd),1.33-1.58(3H,m),1.71-1.84(2H,m),1.96(1H,dd),2.05(1H,dd),2.28-2.37(3H,m),2.98(1H,ddd),3.60(2H,ddd),3.69-3.78(1H,m),4.22(2H,dd),6.73(1H,d),7.84(1H,s),7.94-7.99(2H,m),8.02-8.07(2H,m),8.35(1H,d),9.16(1H,s).
割当Hs:25
【0099】
中間体8:(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミド、メタノール溶媒和物
メタノール(11.3L)及び水(8.6L)中の(1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミドHCl(中間体7、2.25kg、4.43mol)懸濁液に、濃縮水性アンモニア(0.54L)を約1時間にわたって添加した。さらに濃縮水性アンモニア(2.2L)を約90分にわたって添加した。混合物を20℃で21時間攪拌した後、濾過した。収集した固体を水(2.25L×2)で洗浄した。湿った固体を容器に戻してから、メタノール(9L)及び水(9L)を充填した。混合物に、濃縮水性アンモニア(0.54L)を添加し、混合物を20℃で2.5時間攪拌した後、得られた固体を濾過により収集した。収集した固体を水(2.25L×2)で洗浄してから、60℃の真空下で乾燥させることにより、標題化合物、中間体8(1.939kg、4.256mol、96%収率)を得た。図2に示すDSC、DSC吸熱開始温度239.4℃及びピーク242.6℃。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 1.10-1.55(m,4H),1.74-1.82(m,2H),1.95-2.08(m,2H),2.28(s,3H),2.99(t,1H),3.70(s,2H),3.82(t,1H),4.21(t,2H),6.58(s,1H),7.82(s,1H),7.90(d,2H),8.01(d,2H),8.33(s,1H),9.15(s,1H),12.76(s,1H)
さらに、本発明は次の態様を包含する。
1. (1R,2R)-2-[4-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ベンゾイル]-N-(4-オキソ-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル)シクロヘキサンカルボキサミド:
【化8】
の結晶形態。
2. CuKα線を用いて測定される場合、2θ=約9.7、10.6、15.8、16.7、17.3、18.7、19.5、21.3、23.3及び/又は24.8°に少なくとも1つの固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、項1に記載の化合物。
3. CuKα線を用いて測定される場合、2θ=約9.7、15.8、17.3、19.5及び/又は24.8°に少なくとも1つの固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、項1に記載の化合物。
4. CuKα線を用いて測定される場合、2θ=約9.7、15.8、17.3、19.5及び24.8°に固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、項1に記載の化合物。
5. CuKα線を用いて測定される場合、2θ=約9.7、10.6、15.8、16.7、17.3、18.7、19.5、21.3、23.3及び24.8°に固有ピークを伴うX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、項1に記載の化合物。
6. CuKα線を用いて測定される場合、実質的に図1に示すようなX線粉末回析パターンを有することを特徴とする、項1に記載の化合物。
7. 項1~6のいずれか1項に記載の化合物を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体と共に含む医薬組成物。
8. 薬剤として使用するための、項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
9. 心血管疾患の予防又は治療に使用するための、項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
10. 薬剤の製造に使用するための、項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
11. 心血管疾患の予防又は治療に使用する薬剤の製造に使用するための、項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
図1
図2