(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】曲げ機械を駆動する方法
(51)【国際特許分類】
B21D 5/02 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
B21D5/02 P
B21D5/02 M
B21D5/02 W
B21D5/02 Q
(21)【出願番号】P 2019526543
(86)(22)【出願日】2017-11-17
(86)【国際出願番号】 AT2017060304
(87)【国際公開番号】W WO2018090069
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-11-06
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】509296085
【氏名又は名称】トルンプ マシーネン オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ユングマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ルードルフ クビンガー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン マイヤーホーファー
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-077166(JP,A)
【文献】特開2007-181875(JP,A)
【文献】特開2006-205256(JP,A)
【文献】特表2015-526291(JP,A)
【文献】特開2005-138180(JP,A)
【文献】特開平07-112216(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0160508(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102010016646(DE,A1)
【文献】特表2008-543586(JP,A)
【文献】米国特許第9278383(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレスブレーキ(3)の第1の曲げ工具(5)と第2の曲げ工具(6)
とを用いて
、曲げライン(27)に沿って工作物(2)を曲げる方法であって、
前記第1の曲げ工具(5
)と前記第2の曲げ工具(6)との間
に工作物(2)を挿入
し、
前記第1の曲げ工具(5)
及び前記第2の曲げ工具(6)
を互いに接近させ、
前記第1の曲げ工具(5)
及び前記第2の曲げ工具(6)
を互いに接近
させているときに、
光源(31)及び該光源(31)に対応する光学的な検出手段(33)を有する安全システム(30)によって、前記第1の曲げ工具(5
)と前記第2の曲げ工具(6)との間の領域
に障害物
が在るか否かを監視
し、
前記領域に前記障害物がない場合に、前記工作物(2)を、第1の曲げ脚部(36)と第2の曲げ脚部(37)
との間
の曲げ角度が予め定めた第1の曲げ角度(38)
となるまで、前記第1の曲げ工具(5)と前記第2の曲げ工具(6)との間で挟み込んで曲げ
、
前記曲げ角度が前記第1の曲げ角度(38)となったときに、前記工作物(2)
への負荷が除去されるまで、
前記第1の曲げ工具(5
)及び前記第2の曲げ工具(6)を互いに離隔させ
、
前記負荷
が除去された
前記工作物(2)に
形成された前記曲げ角度(39)を測定し
、
測定した前記曲げ角度(39)と前記第1の曲げ角度(38)との差に基づいて、最終曲げ角度(41)を決定し、
前記安全システム(30)によって、前記第1の曲げ工具(5)又は
前記第2の曲げ工具(6)の中心平面(40)に
対する、
前記負荷
が除去された
前記工作物(2)
に形成された前記曲げライン(27)の位置
偏差(42)を
検出し、
検出した前記位置偏差(42)が、予め定められた
第1の許容
誤差範囲外である場合に、制御装置(24)によって
第1の制御信号
を生成
し、
前記第1の制御信号に基づいて、
前記位置偏差(42)が
前記第1の許容誤差範囲内
となるまで、
前記工作物(2)の位置
を補正
し、
前記位置偏差(42)が前記第1の許容誤差範囲内となったときに、前記第1の曲げ工具(5)
及び前記第2の曲げ工具(6)
を互いに再度接近させ
て、
前記曲げ角度が前記最終曲げ角度(41)
となるまで、
前記工作物(2)を
、前記第1の曲げ工具(5)と前記第2の曲げ工具(6)との間で挟み込んで曲げ
る、方法。
【請求項2】
前記安全システム(30)によって
、前記負荷
が除去された
前記工作物(2)の
前記第1の曲げ脚部(3
6)
と前記第2の曲げ脚部(37)との間の角度対称軸(44)の位置
を求め
、
前記制御装置(24)によって
、前記中心平面(40)
に対する前記角度対称軸(44)の角度偏差(43)
を計算
し、
計算した前記角度偏差(43)が、予め定められた
第2の許容誤差範囲外である場合に、
前記制御装置(24)によって
第2の制御信号
を生成
し、
前記第2の制御信号に基づいて、
前記角度偏差(43)が
前記第2の許容誤差範囲内
となるまで、
前記工作物(2)の
位置を補正
する
、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の制御信号
を、光学
的又は音響的な指示信号として、
前記プレスブレーキの操作者へ出力
する
、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
表示装置(35)に
、前記位置偏差
(42)を前記第1の許容誤差範囲内に収めるための前記工作物(2)の目標位置を表示
する
、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の制御信号
に従って、
前記工作物(2)を保持する工作物操作装置
を動作させることで、前記工作物(2)の位置を自動で補正
する
、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の制御信号
に従って、前記第1の曲げ工具(5)
及び前記第2の曲げ工具(6)
を互いに対して移動させるように前記プレスブレーキ(3)を動作させることで、前記工作物(2)の位置を自動で補正
する
、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記負荷
が除去された
前記工作物(2)
に形成された前記曲げ角度(39)
を、検出部材によって検出
する
、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記曲げ角度
を、
前記安全システム(30)によって検出
する
、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記位置偏差
(42)が
前記第1の許容誤差範囲内
となり、且つ、前記角度偏差(43)が前記第2の許容誤差範囲内となった場合に
、前記曲げ角度が前記最終曲げ角度(41)となるまで前記工作物(2)を
曲げる、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の曲げ脚部(36)の内側
の第1の接線
と、前記第2の曲げ脚部(37)の内側の第2の接線とを求め
、
前記第1の接線
と前記第2の接線との交点
を、前記曲げライン(27)
の位置として求め
る、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まっすぐな曲げラインに沿って工作物を曲げる方法に関する。
【0002】
特許文献1(独国特許出願公開第102007006306(A1)号明細書)及び特許文献2(独国特許出願公開第102004020024(A1)号明細書)からは、曲げ機械用の安全装置及びシート部分を曲げる方法が知られている。安全装置は、光送信器と光受信器とを有しており、それらの間に曲げ工具が配置されている。
【背景技術】
【0003】
特許文献1及び特許文献2に記載される方法は、欠点を有しており、シート工作物を曲げる場合に不十分な精度しか得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102007006306(A1)号明細書
【文献】独国特許出願公開第102004020024(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服して、高い精度をもってシート工作物を形成することができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項に記載の方法と装置によって解決される。
【0007】
本発明によれば、プレスブレーキの第1の曲げ工具と第2の曲げ工具を用いてまっすぐな曲げラインに沿って工作物を曲げる方法が設けられている。方法は以下のステップを有する:
-2つの曲げ工具の間に工作物を挿入し;
-第1の曲げ工具を第2の曲げ工具の方向へ摺動させ、その場合に制御装置によって、第1の曲げ工具と第2の曲げ工具の間で接近運動する場合に、2つの曲げ工具の間の領域が安全システムを用いて障害物の存在について監視され、その場合に安全システムは、プレスブレーキの第1の長手側に配置された光源と、プレスブレーキの第2の長手側に配置された光学的な検出手段とを有しており、この検出手段が光源に対応し;
-工作物を前曲げ角度に前曲げし、その前曲げ角度が第1の曲げ脚部と第2の曲げ脚部の間に生じ;
-工作物の負荷が除去されるまで、2つの曲げ工具を互いに離隔させ;
-負荷除去された工作物における曲げ角度を測定し、かつ工作物の変形挙動を判定し、特に弾性復帰を求め;
-第1及び/又は第2の曲げ工具の中心平面に対する、負荷を除去され、かつ前曲げされている工作物の曲げラインの位置を定め、その場合に安全システムが曲げラインの位置を定めるために使用され、かつその場合に中心平面からの曲げラインの位置の、定められた最大許容される偏差を上回った場合に、制御装置によって制御信号が生成されて、制御信号に基づいて、曲げラインの位置が中心平面からの許容される最大偏差内にくるまで、工作物の位置の補正が実施され;
-第1の曲げ工具を第2の曲げ工具の方向へ摺動させ、それによって、求められた工作物の変形挙動を考慮しながら工作物を最終曲げ角度まで後曲げする。
【0008】
本発明に係る方法の利点は、曲げ角度を測定するために工作物の負荷を除去する間に発生することがあり得る、工作物の可能な望ましくない位置変化を安全システムによって検出することができ、次にユーザーにその情報を提供できることにある。それによって工作物の精度を向上させることができる。というのは、工作物を次の曲げステップのために、許容誤差限界内で同じ箇所において曲げが続行されるように、位置決めすることができるからである。
【0009】
さらに、前曲げされて負荷を除去された工作物の曲げラインの位置を定めることに加えて、安全システムによって2つの曲げ脚部の間の角度対称軸の位置が求められて、制御装置によって、中心平面からの角度対称軸の角度偏差が計算され、その場合に中心平面からの角度対称軸の定められた最大許容される角度偏差を上回った場合に、制御装置によって制御信号が生成されて、制御信号に基づいて、角度偏差が中心平面からの許容される最大偏差の範囲内にくるまで、工作物の角度偏差の補正が実施されると、効果的であり得る。その場合に好ましくは、この措置によって、工作物がプレスブレーキ内で常に対称に挿入されていることを、保証することができる。さらにそれによって、工作物は負荷除去後に負荷除去前と正確に同じ箇所において、かつ正確に同じ角度でさらに曲げることができる。
【0010】
さらに、制御信号は光学的及び/又は音響的な指示信号としてプレスブレーキの操作者に出力することができる。その場合に好ましくは、操作者は制御信号によって工作物の位置決めが場合によっては誤っていることに気づくことができ、したがって工作物の位置を補正することができる。
【0011】
さらに、光学的及び/又は音響的な指示信号に加えて、表示装置によって曲げラインの位置偏差及び/又は曲げ対称軸の方向偏差の表示をプレスブレーキの操作者へ出力することができる。その場合に好ましくは、この措置によって操作者は、工作物の位置が正しくないという指摘を得るだけでなく、付加的に、その位置を補正するために、どのように工作物を摺動させ、もしくは回動させなければならないかの情報も一緒に供給される。
【0012】
制御信号が、曲げプロセスの間工作物を保持する工作物操作装置の補正運動を作動させることができるような形態も、効果的である。それによって工作物は工作物操作装置によってその正しい位置へ移動することができる。
【0013】
展開によれば、制御信号が第1の曲げ工具又は第2の曲げ工具の補正運動を作動させることが、可能である。その場合に好ましくは、曲げ工具は、工作物の位置もしくは方位の補正を実施するために利用される。
【0014】
さらに、負荷を除去された工作物の曲げ角度が検出部材によって検出されると、効果的であり得る。その場合に好ましくは、曲げ角度を検出するための検出部材は、高い精度を有することができ、かつ簡単に形成される。
【0015】
さらに、前曲げ角度及び/又は負荷を除去された工作物の曲げ角度は、安全システムによって検出することができる。その場合に好ましくは、この措置によって、曲げ角度を検出するための付加的な測定手段が不要となる。
【0016】
さらに、曲げラインの位置及び/又は中心平面からの角度対称軸の偏差が許容誤差領域内にある場合にのみ、工作物を後曲げするプロセスを実施することができる。この措置によって、工作物がきちんと挿入されていない間、それ以降の曲げプロセスの開始をブロックすることができ、したがって不良品の製造を減少させることができる。
【0017】
特別な形態によれば、曲げラインの位置が、曲げ脚部の内側に添接する接線によって求められ、かつ2つの接線の交点内に曲げラインがあると見なされることが、可能である。その場合に好ましくはこの措置によって、様々に形成された工作物において、かつ種々の曲げ角度においても、曲げラインの位置を確実に定めることができる。
【0018】
本発明をさらによく理解するために、以下の図を用いて本発明を詳細に説明する。
図は、それぞれ著しく簡略化された図式的な表示である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】プレスブレーキの実施例を図式的に示している。
【
図2】前曲げと工作物の変形挙動を測定するための負荷除去の曲げステップの表示と共に、曲げ工具を詳細に示している。
【
図3】最終曲げの曲げステップの表示と共に、曲げ工具を詳細に示している。
【
図4】過度に斜めに挿入された工作物の表示と共に、曲げ工具を詳細に示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
最初に記録しておくが、異なるように記載される実施形態において、同一の部分には同一の参照符号ないし同一の構成部分名称が設けられており、その場合に説明全体に含まれる開示は、同一の参照符号ないし同一の構成部分名称を有する同一の部分へ意味に従って移し替えることができる。また、説明内で選択される、たとえば上、下、側方などのような位置記載は、直接説明され、かつ示される図に関するものであって、この位置記載は位置が変化した場合には意味に従って新しい位置へ移し替えられる。
【0021】
図1には、シートから形成すべき工作物2を自由曲げするための製造設備1の実施変形例が示されている。
【0022】
製造設備1は、互いに対して変位可能な合体曲げ工具4の間で工作物2もしくはワークピースを曲げるための、プレスブレーキ3を有している。特に、合体曲げ工具4は、曲げパンチの形式の少なくとも1つの第1の曲げ工具5と、曲げダイの形式の少なくとも1つの第2の曲げ工具6とを有することができる。その場合に第1の曲げ工具5は上工具と、そして第2の曲げ工具6は下工具と称することもできる。さらに合体曲げ工具4は、複数の第1の曲げ工具5と複数の第2の曲げ工具6を有することができる。
【0023】
プレスブレーキ3の機械フレーム7は、たとえば底プレート8を有しており、その上に垂直に立ち上がるようにして、横方向に離隔し、かつ互いに対して平行に方向づけされた側壁9、10を配置することができる。これらは、好ましくは、たとえばシート成形部品から形成された中実の横結合部11によって、底プレート8から離隔したその終端領において互いに結合されている。
【0024】
側壁9、10は、工作物2を変形させるための自由空間を形成するためにほぼC字形状に形成することができ、その場合に側壁9、10の底近傍の脚部のフロント端面12に、特に底プレート8上に立ち上がるように、固定のプレスビーム13を固定することができる。このプレスビーム13は、テーブルビームと称することもできる。底プレート8から離隔したフロント端面14の脚部において、リニアガイド15内に、テーブルビームを形成するプレスビーム13に対して相対変位可能な他のプレスビーム16、特に圧縮ビームを支承して案内することができる。
【0025】
2つのプレスビーム13、16の互いに対向し、互いに対して平行に延びる端面17、18上に、曲げ工具5、6を搭載するための工具収容部19、20を配置し、もしくは形成することができる。
【0026】
図示されるプレスブレーキ3は、変位可能なプレスビーム16、すなわち圧縮ビームのための駆動配置21として少なくとも1つ、ここでは2つの駆動手段22を有しており、それらはたとえば、エネルギ網23から、あるいは油圧循環によって、電気エネルギが供給されており、さらに付加的に制御装置24とケーブル接続することができる。制御装置24とケーブル接続された入力ターミナル25を介して、たとえばプレスブレーキ3の駆動が制御される。
【0027】
上で挙げた図面説明のすべての形態特徴もしくは個別特徴は、例としての製造設備1もしくはプレスブレーキ3を説明するために挙げられており、図面説明の発明の本質をなす以下の部分においてそれらを参照することができる。したがって記載されるすべての個別特徴は、発明に基づく形成のために必ずしも必要ではなく、省くことができ、あるいは機能を果たす能力のあるプレスブレーキ3を得るために、他の特徴と入れ替えることができる。
【0028】
曲げ工具5、6は曲げエッジ26を有しており、その曲げエッジは曲げ工具5、6の長手方向に延びている。曲げエッジ26は、曲げるべき工作物2における曲げライン27の推移も定める。曲げ工具5、6は工具収容部19、20内に、曲げエッジ26に対して平行な方向28に必要に応じて摺動可能であるように、収容されている。特に、曲げ工具4は工具収容部19、20の長さ29全体にわたって摺動可能とすることができる。
【0029】
さらに、安全システム30が設けられており、その安全システムは曲げプロセスを監視するために用いられる。安全システム30は光源31を有しており、その光源がプレスブレーキ3の第1の長手側32に配置されている。さらに安全システム30は光学的な検出手段33を有しており、それがプレスブレーキ3の第2の長手側34に配置されている。
【0030】
その場合に特に、光源31から光ビームが放出されて、光学的な検出手段33によって受信されて、評価される。曲げ工具5、6及び工作物2も、光源31と光学的な検出手段33の間に配置されており、したがって光学的な検出手段に影を投げかける。したがって光学的な検出手段33において、曲げ工具5、6と工作物2の外側輪郭が認識可能である。
【0031】
さらに光学的な検出手段33によって、たとえば機械操作者の手のような、障害物が認識可能である。したがって、従来の曲げシーケンスにおいては設けられていない、安全システム30によって障害物を認識することができ、その結果、プレスブレーキ3の損傷もしくは機械操作者の損傷を阻止するために、制御装置24によって曲げプロセスを停止させることができる。
【0032】
図1から明らかなように、光源31及び/又は光学的な検出手段33は、第2のプレスビーム16に直接配置し、したがってそれと共に走行可能とすることができる。
【0033】
その代わりに、光源31及び/又は光学的な検出手段33を機械フレーム7に直接配置して、したがって第2のプレスビーム16と共に摺動させず、プレスブレーキ3の固定位置に配置することもできる。
【0034】
安全システム30は、安全システムとしての機能の他に、工作物2の正しい位置を監視するために使用することもできる。工作物2が2つの曲げ工具5、6の間に正しく挿入されていない場合に、安全システム30と接続された制御装置24によって制御信号を出力することができ、その制御信号によって工作物2の位置もしくは方位を補正することができる。
【0035】
さらに表示装置35を設けることができ、それを用いて機械操作者に工作物2の実際の位置もしくは工作物2の目標位置を表示することができ、それによって機械操作者は工作物2の位置の補正を実施することができる。
【0036】
図2及び
図3は、曲げ工具5、6と工作物2の実施例の断面図を示しており、その場合にここでも先行する
図1におけるのと同一の部分には同一の参照符号もしくは構成部分名称が使用される。不必要な繰り返しを避けるために、先行する
図1における詳細な説明が参照するよう指示され、もしくは参照される。
【0037】
図2においては、まっすぐな曲げライン27に沿った工作物2の前曲げ及び工作物2の変形挙動を測定するための工作物2の負荷除去の個々の曲げステップが、図式的に示されている。
【0038】
図3においては、まっすぐな曲げライン27に沿った工作物2の最終曲げの曲げステップが図示されている。
【0039】
図2から明らかなように、まだ曲げられていないまっすぐな工作物2が2つの曲げ工具5、6の間に挿入される。その場合に特に、工作物2は第2の曲げ工具6上へ載置される。
【0040】
次に第1の曲げ工具5が第2の曲げ工具6の方向へ移動され、その場合に安全システム30によって、たとえば機械操作者の手のような対象が、第1の曲げ工具5と第2の曲げ工具6の間の危険領域内にあるか、が監視される。
【0041】
第1の曲げ工具5と第2の曲げ工具6の間に計画にない対象が配置されていない場合に、第1の曲げ工具5の曲げエッジ26が工作物2に添接するまで、両方の曲げ工具が互いに近づくように移動される。
【0042】
第1の曲げ工具5が第2の曲げ工具6に対してさらに移動した場合に、曲げ工具5、6は工作物2に、第1の曲げ工具5の曲げエッジ26によって工作物が曲げライン27に沿って変形されるように、作用する。曲げプロセスによって工作物2には、第1の曲げ脚部36と第2の曲げ脚部37が形成され、それらはそれぞれ曲げライン27に連続する。
【0043】
第1の曲げ工具5は、2つの曲げ脚部36、37の間にあらかじめ定められたもしくはあらかじめ定めることのできる前曲げ角度38が生じるように、第2の曲げ工具6の方向に移動される。前曲げ角度38の大きさは、第1の実施例においては、独国実用新案登録第29623800(U1)号明細書に記載されているような検出システムによって検出することができる。その代わりに前曲げ角度38を安全システム30によって検出することが考えられる。さらに他の適用においては、前曲げ角度38が、曲げ角度を検出する他のシステムによって検出されることが、考えられる。
【0044】
前曲げ角度38の検出後に、第1の曲げ工具5が再び第2の曲げ工具6から離れるように移動され、それによって工作物2の負荷が除去される。その場合に第1の曲げ工具5は、曲げ工具5、6によってもはや工作物2へ力が作用しなくなる距離だけ遠ざけられる。このプロセスによって工作物2の弾性復帰が可能となり、その場合に工作物2は弾性的な曲げ割合だけ弾性復帰する。負荷を除去された工作物2において、次に、負荷を除去された工作物2における曲げ角度39が測定される。言い換えると、工作物2の曲げ角度39は負荷を除去された状態において測定される。
【0045】
前曲げ角度38と負荷を除去された工作物2の曲げ角度39との間の差が、工作物2の変形挙動についての情報を与える。特にそれに基づいて、工作物2の曲げの弾性的な割合を計算することができる。工作物2の曲げの弾性的な割合は、材料特性、シート厚みなどのような計算可能なファクターの他に、工作物2の挿入方向もしくは圧延方向のような前もって定めることのできないファクターと構成部品ファクターの変動もしくは誤差に基づく材料特性にも依存している。
【0046】
さらにその次に、負荷を除去されて前もって曲げられた工作物の曲げライン27の、第1の曲げ工具5及び/又は第2の曲げ工具6の中心平面40に対する位置が、安全システム30によって検出される。工作物2の曲げライン27が中心平面40の位置に関して所定の許容誤差領域内にある場合に、曲げプロセスを続行することができ、その場合に第1の曲げ工具5が再び第2の曲げ工具6へ近づくように移動されて、最終曲げ角度41に達するまで、工作物2が新たに曲げられる。その場合に最終曲げ角度41は、目標曲げ角度に基づき、かつ工作物2の計算された変形挙動に基づいて決定される。
【0047】
図4には、工作物2の他の位置が示されており、その場合にここでも先行する
図1から3におけるのと同じ部分には同一の参照符号もしくは構成部品名称が使用される。不必要な繰り返しを避けるために、先行する
図1から3における詳細な説明が参照するよう指示され、もしくは参照される。
【0048】
図4から明らかなように、工作物2の曲げ角度39を定めるために、工作物の負荷を除去する方法ステップにおいて、工作物2の位置の滑りが生じることがあり得る。それによって中心平面40からの曲げライン27の位置偏差42が、最大許容される偏差より大きくなってしまうことがある。工作物2の位置補正をせずに曲げプロセスを続行した場合には、工作物はきれいには曲げられない。これを回避するために、安全システム30によって中心平面40からの曲げライン27の位置偏差42が監視されて、分析される。位置偏差42が最大値を上回った場合に、制御装置24によって制御信号が生成され、それに基づいて工作物2の位置の補正を実施することができる。
【0049】
工作物2の位置を補正するために、種々の可能性が存在し、それらはそれぞれ自動化程度もしくは工作物の特性に従って異なる。プレスブレーキ3の自動化がわずかである場合に、たとえば、機械操作者が工作物2を案内することができ、かつ制御信号が光学的及び/又は音響的信号であり、それが機械操作者に工作物2の位置が正しいか誤っているかを知らせる。たとえば、工作物2がその正しい位置へ移動されるまでの間、ピープトーン又は光学信号を出力することができる。工作物2の位置決めを容易にするために、工作物2の実際の位置と工作物2の目標位置を表示装置35内でオーバーレイすることができる。したがって表示装置35を読み出すことによって、ユーザーにとって位置決めプロセスを容易にすることができる。
【0050】
さらに、工作物2が正しく位置決めされた場合に初めて、他の曲げ運動の導入を実施することができる。それによってプロセス安全性をさらに向上させることができ、かつ欠陥品の製造を大幅に妨げることができる。
【0051】
曲げプロセスが自動化されている場合には、たとえば、工作物2を操作装置を用いて保持して案内し、かつ操作装置を制御するために制御信号を直接伝えることが、考えられる。
【0052】
さらに他の実施例においては、工作物2の位置を補正するために、曲げ工具5、6を互いに対して摺動させ、もしくは移動させることも、考えられる。
【0053】
曲げライン27の位置の監視の他に、安全システム30によって中心平面40に対する工作物2の角度対称軸44の角度偏差43を監視することもできる。
【0054】
角度対称軸44は、第1の曲げ脚部36と第2の曲げ脚部37の間の対称軸である。
【0055】
工作物2の正しい角度位置は、曲げライン27の正しい位置と同様に、制御装置24から出力される制御信号に基づいて補正することができる。
【0056】
実施例は可能な実施変形例を示しており、その場合にここで記録しておくが、本発明は具体的に示されたその実施変形例に限定されるものではなく、むしろ個々の実施変形例の様々な組合せも可能であって、かつこれらの変形可能性は、具体的な発明による技術的に取り扱うための教示に基づいて、この分野で活動する当業者の裁量の範囲内にある。
【0057】
保護領域は、請求項によって定められている。しかし明細書と図面は、請求項を解釈するために利用すべきである。図示されかつ説明された様々な実施例に由来する個別特徴又は特徴の組合せは、それ自体自立した独創的な解決策を表すことができる。自立した独創的解決策の基礎となる課題は、明細書から読みとることができる。
【0058】
具体的な説明内の値領域についてのすべての記載は、その任意の部分領域とすべての部分領域を共に含むものであって、たとえば記載1から10は、下限の1と上限の10から始まるすべての部分領域、すなわち下限の1またはそれ以上で始まり、上限の10またはそれ以下で終了する、たとえば1から1.7、または3.2から8.1、あるいは5.5から10のすべての部分領域、を一緒に含んでいるものとする。
【0059】
最後に形式的に指摘しておくが、構造を理解しやすくするために、部材は一部縮尺どおりではなく、かつ/又は拡大及び/又は縮小して示されている。
【符号の説明】
【0060】
1 製造設備
2 工作物
3 プレスブレーキ
4 合体曲げ工具
5 第1の曲げ工具
6 第2の曲げ工具
7 機械フレーム
8 底プレート
9 側壁
10 側壁
11 横結合部
12 フロント端面
13 第1のプレスビーム
14 フロント端面
15 線形ガイド
16 第2のプレスビーム
17 端面
18 端面
19 第1の工具収容部
20 第2の工具収容部
21 駆動配置
22 駆動手段
23 エネルギ網
24 制御装置
25 入力ターミナル
26 曲げエッジ
27 曲げライン
28 平行な方向
29 長さ
30 安全システム
31 光源
32 第1の長手側
33 光学的検出手段
34 第2の長手側
35 表示装置
36 第1の曲げ脚部
37 第2の曲げ脚部
38 前曲げ角度
39 負荷を除去された工作物の曲げ角度
40 中心平面
41 最終曲げ角度
42 位置偏差
43 角度偏差
44 角度対称軸