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特許7041214ガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材
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  • 特許-ガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材 図1
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  • 特許-ガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】ガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/24 20060101AFI20220315BHJP
   F16L 3/02 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
F16L3/24 B
F16L3/02 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020138688
(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公開番号】P2022034810
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000146814
【氏名又は名称】株式会社新来島どっく
(74)【代理人】
【識別番号】100090044
【弁理士】
【氏名又は名称】大滝 均
(72)【発明者】
【氏名】石丸 耕
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-235481(JP,A)
【文献】特開2017-019551(JP,A)
【文献】実開昭58-112795(JP,U)
【文献】特開平07-071658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/24
F16L 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上に裁置されるガス燃料二重構造管をUボルトで固定する断面直角の第一のアングル材と、
その下方に直角に水平に延びるフラットバーと、
フラットバーの下方平行位置に下部高さ調整プレートを有する断面直角の第二のアングル材と、を有し、
第一のアングル材の水平部には、上に載置されるガス燃料二重構造管を跨いで挿通されるUボルト及びこれを下方からナット締めで固定する支持プレートと、
該第一のアングル材の下方に直角に延びる支持プレート縦面と、
該支持プレート縦面に直角に設けられ、高さ位置調整開孔を有するフラットバーと、
台座の上部位置に固着され、中央切り欠き部及び両端壁を有し、フラットバーが直角に中央切り欠き部に嵌入されるアングル縦面と、フラットバーと平行位置に配置される下部高さ調整プレートを有する断面直角の第二のアングル材と、
下部高さ調整プレート上のフラットバーの高さ位置を調整する開孔位置に固着される高さ調整ボルト及びこれに回動可能にナット締めされる高さ調整ナットと、
高さ調整ナット上にフラットバーが配置され、ガス燃料二重構造管の高さ位置の調整の後、その高さで固定する固定ナットと、
を有することを特徴とするガス燃料二重構造管の固定支持材。
【請求項2】
第一のアングル材の支持プレート縦面と第二のアングル材のアングル縦面の両端壁をボルト及びナットで接合されたことを特徴とする請求項に記載のガス燃料二重構造管の固定支持材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス燃料船の機関室内等に設置されるガス燃料二重構造管の固定支持材に関する。
【背景技術】
【0002】
LNGを燃料とするガス燃料船の燃料系統は、主機の仕様にもよるが低圧式の場合、設計圧力が約16barであり、-160℃程度の沸点近傍で貯蔵・供給されることから常時外部からの自然入熱などにより気化するガス(以下「BOG:Boil off Gas」)が発生する。このため、ガス燃料船においては、主機等にLNG燃料ガスを供給する内管と、内管からBOGが漏洩した場合に、機関室等へ放出しないように連続換気する外管からなる二重構造管が使用される。
【0003】
この種のLNGに関する二重構造配管を使用する例としては、例えば、特開2001-280591号公報に開示のものが知られている。特開2001-280591号公報の開示は、発明名称「低温液体輸送用タンカーに対するBOGの返送方法及びこの返送方法に用いられる配管材」に係り、「低温液体輸送用タンカーから貯蔵タンク内に受け入れる配管とタンカー側に返送するBOGの返送配管を二重構造管とすることにより、配管に関係する手数、コスト、場所等の問題を軽減すること・・・、受入配管からリークがあった場合の安全性を確保すること・・・、返送中のBOGが再凝縮した場合に発生する配管中での液撃現象の発生を防止すること」の発明解決課題において(同公報明細書段落番号0004参照)、「インバー材により二重構造管を構成し、この二重構造管の外側を保冷材で被覆した配管材をタンカー側と地上の貯蔵タンク間に配管し、前記二重構造管の内管側を経由してタンカーから貯蔵タンク内に低温液体を受け入れ、外管を経由して貯蔵タンク内に発生したBOGをタンカー側に返送する」ことにより(同公報特許請求の範囲請求小1の記載等参照)、「内管と外管との間に位置ズレがなく、内管と外管の間隔を保つスペーサ或いは配管の継ぎの部分には殆ど応力の発生がなく、漏洩防止を図ることができ・・・、低温液体の受け入れとBOGの返送用配管工事は、1本分となるため、保冷工事を含めて配管工事の手数とコストを大幅に軽減でき・・、LNGが通る内管の外側に返送BOGが通る外管が位置し、この外管内にBOGが流れているため、LNGの冷熱は外管側のBOG層で断熱が図られ、この結果、保冷材を従来のLNG受入配管の場合に比較して薄くすることができ、この分コストの軽減が可能で・・、管に亀裂等が発生してLNGが漏洩しても、外管で遮断されているため、外部に洩れ出る心配がなく、安全性が高く、大きな配管スペース及び配管ラックが必要なくなる。」等の効果を奏するものである(同公報明細書段落番号0016参照)。
【0004】
ところが、LNG燃料ガスを主機に供給する内管と、連続換気する外管からなる二重構造管が使用されるガス燃料船における当該二重構造管については、例えば、本願出願人会社においては、内管として、口径:50A、肉厚:sch40,材質:K316LTP、耐圧:1.5MPa、外管として、口径:200A、肉厚:sch10、材質:SUS316L、耐圧:1.5MPaのものが使用され、最小単位1mの二重構造管における重量は28Kgのものが使用されている。
【0005】
このような仕様の二重構造管をガス燃料船の機関室内等に設置する場合には、図3に示すように、二重構造管をその呼び径に相応する大きさの鋼材(アングル)とUボルトで挟み込みナットを締め付けて固定していた。
図3は、本願出願人会社が船舶機関室等に二重構造管を設置する際の概略を示す図であり、図3において、符号100は、二重構造管、101は、Uボルト、102は、取り付けプレート、103a、103bは、ボルト挿通長開孔、104a、104bは、ナット、105は、台座(土台)である。
【0006】
図3から明らかなように、ガス燃料船の機関室内等に設置される二重構造管100は、二重構造管100の上からUボルト101を上から跨がせて台座105上に配置される取り付けプレート102の開孔103a、103b内に挿通し、下方からナット104a、104bで固定するようにしていた。この場合、取り付けプレート102の長開孔103a、103bは、取り付けプレート102の横方向に細長い開孔であるので、Uボルト101は横方向に若干の遊びがあり、横方向に対しては、遊びの範囲内での調整が可能である。
【0007】
しかしながら、高さ方向に対しては遊びがなく、二重構造管100の配管の取付誤差が発生すると、台座105を含む固定支持材である取り付けプレート102の配置と合わなくなり、配管にストレスを与えないように、台座105を含む固定支持材である取り付けプレート102の形状を変更するか、台座105を含む取り付けプレート102の取付位置を調整する必要があった。特に、28Kgもの重量物である上記のような仕様の二重構造管100を設置の途中で配置位置を変えることは難しく、作業性が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2001-280591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
二重構造管の配管の取付誤差を可動機構により吸収し、二重構造管にストレスを与えることなく現場においてスムーズに取付することを可能とするガス燃料二重構造管の固定支持材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願請求項1に係る発明は、ガス燃料二重構造管の固定支持材において、上に裁置されるガス燃料二重構造管をUボルトで固定する断面直角の第一のアングル材と、その下方に直角に水平に延びるフラットバーと、フラットバーの下方平行位置に下部高さ調整プレートを有する断面直角の第二のアングル材と、を有し、第一のアングル材の水平部には、上に載置されるガス燃料二重構造管を跨いで挿通されるUボルト及びこれを下方からナット締めで固定する支持プレートと、該第一のアングル材の下方に直角に延びる支持プレート縦面と、該支持プレート縦面に直角に設けられ、高さ位置調整開孔を有するフラットバーと、台座の上部位置に固着され、中央切り欠き部及び両端壁を有し、フラットバーが直角に中央切り欠き部に嵌入されるアングル縦面と、フラットバーと平行位置に配置される下部高さ調整プレートを有する断面直角の第二のアングル材と、下部高さ調整プレート上のフラットバーの高さ位置を調整する開孔位置に固着される高さ調整ボルト及びこれに回動可能にナット締めされる高さ調整ナットと、高さ調整ナット上にフラットバーが配置され、ガス燃料二重構造管の高さ位置の調整の後、その高さで固定する固定ナットと、を有することを特徴とする。
また、本願請求項に係る発明は、前記請求項に記載のガス燃料二重構造管の固定支持材において、第一のアングル材の支持プレート縦面と第二のアングル材のアングル縦面の両端壁をボルト及びナットで接合されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
ガス燃料船の機関室等にLNG燃料ガスを主機に供給する二重構造管を取付する際に高さ方向に取り付けプレートや台座の配置位置と衝突する取付誤差が発生するような場合において、台座を含む固定支持材を加工したり、取付位置を調整する必要がないため、スムーズに取付でき、作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明に係るガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材の実施例1に係るガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材の概略図である。
図2図2は、同断面図である。
図3図3は、本願出願人会社が船舶機関室等に二重構造管を設置する際の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材の一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係るガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材の実施例1に係るガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材の概略図、図2は、同断面図である。図1において、符号1は、本実施例1に係るガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材、2は、断面直角のアングル材からなる支持プレートであり、2aは、二重構造管100が載置される支持プレート上平面、2bは、同支持プレート縦面であり、3は、支持プレート縦面2bに直角に設けられるフラットバー、3a、3bは、同フラットバー3に設けられる高さ調整ボルト6a、6bの挿通孔である。
【0015】
また、符号4は、台座105の上部位置に溶接固着される断面直角のアングル縦面であり、4aは、その中央切り欠き部、4b、4cは、その両端壁である。そして、アングル縦面4は、中央切り欠き部4aに前記フラットバー3が直角に嵌入する構造で、両端壁4b、4cは、支持プレート縦面2bに接する構造となっている。
【0016】
また、符号5は、アングル材縦面4と直角に水平に構成される下部高さ調整プレート、6a、6bは、高さ調整ボルト、7a、7bは、高さ調整ナット、8a、8bは、固定ナットである。図2においては、符号a、bが付されて示される対部材については、数字符号のみで示した。なお、100は、二重構造管、101は、Uボルト、103a、103bは、長孔、104a、104bは、ナット、105a、105bは、台座両端壁を示す。
【0017】
図1図2から明らかなように、本実施例1に係るガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材1は、二重構造管100との接触は、断面直角の支持プレート2の支持プレート上平面2a及びこれに下方に直角延びる支持プレート縦面2bからなり、支持プレート上平面2aには、Uボルト101の両端が挿通されるUボルト長開孔103a、103bが設けられ、支持プレート縦面2bには支持プレート上平面2aの反対側に水平に延びるフラットバー3が設けられる。そして、フラットバー3には、高さ調整ボルト6a、6bが挿通される挿通孔3a、3bが設けられる。
【0018】
また、本実施例1に係るガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材1の台座105a、105bの間には、中央切り欠き部4a及びその両端4a、4bを残した断面直角のアングル縦面4の水平方向に延びる下部高さ調整プレート5として機能せしめ、二重構造管100の受け側のアングル4に水平方向に延出する下部高さ調整プレート5とし、下部高さ調整プレート5上に高さ調整ボルト6a、6bを固着する。
【0019】
図1から明らかなように、本実施例1に係るガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材1は、断面直角の二つのアングル材(第一のアングル材と第二のアングル材)を隣接して断面Zないし逆Z字状に組み合わせ、二つのアングル材の間の水平域の間隔(本実施例1では「高さ位置」として説明する)の調整を可能とするものである。上に裁置される二重構造管の左右の位置調整を可能とする支持プレート2a上の開孔する長孔103a、103bと相まって、隣接する第一のアングル材と第二のアングル材間の水平間隔(高さ)を調整可能とすることにより、上に裁置される二重構造管100の配置位置について上下の調整を可能とするものである。
【0020】
すなわち、上に裁置されるガス燃料二重構造管100を跨いで挿通されるUボルト101及びこれを下方からナット締めで固定する支持プレート2を有し、下方に直角に延びる支持プレート縦面2bに直角に設けられフラットバー3と、台座105の上部位置に固着され、中央切り欠き部4aにフラットバー3が直角に嵌入され、かつ、フラットバー3の平行位置に下部高さ調整プレート5が位置する断面直角のアングル材の二つのアングル材からなるものである。
【0021】
そして、これらの二つのアングル材において、上方の第一のアングル材の垂直面にフラットバー3を突出させて、これが左右に移動することがないように、切り欠き部4aに嵌入させて、このフラットバー3と下方の第二のアングル材の水平域との間隔を調整可能とすることによって、裁置される二重構造管の高さ位置調整を可能とするものである。
【0022】
このため、下部高さ調整プレート5上にフラットバー3の長孔3a、3bの位置に高さ調整ボルト及びこれに回動可能にナット締めされる高さ調整ナットとを固着し、所定の高さ位置に高さ調整ナット7a、7bが調整され、その上にフラットバー3が配置され、しかる後、その高さでフラットバー3を固定ナット8a、8bで固定するようにしたものである。
【0023】
これら支持プレート2とアングル4に水平に延出する下部高さ調整プレート5とを組み合わせて本実施例1に係るガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材1としたものであり、この固定指示材1の支持プレート2の支持プレート上平面2a上に二重構造管100を載置し、長孔103a、103bのUボルト101の両端を挿通し、横方向の位置調整が可能な固定支持材として使用するものである。
【0024】
そして、フラットバー3の挿通孔3a、3bに高さ調整ナット7a、7bがねじ込まれた高さ調整ボルト6a、6bが挿通され、高さ調整ナット7a、7bにて二重構造管100の高さ位置を調整し、しかる後、固定ナット8a、8bで固定する。
【0025】
このような可動機構を有し、二重構造管100の配管配置位置に合わせて上下(水平方向)左右(高さ方向)に動く二重構造管固定支持材としたので、本実施例1に係るガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材1は、二重構造管100の配管の取付誤差を台座105を含む固定支持材1の可動機構により吸収し、配管にストレスを与えることなく現場がスムーズに取付することができることとなる。
【0026】
なお、図1図2に示す本実施例1に係るガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材1においては、断面直角のアングル材からなる支持プレート2の支持プレート縦面2bに直角に延設するフラットバー3を断面直角のアングル材からなるアングル縦面4の中央切り欠き部4aで受け、その両端壁4b、4cと支持プレート縦面2bとが単に摺動可能に接して支える構造としているが、これらの間を高さ調整の後、両者をボルト・ナット(図示外)で結合するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、ガス燃料船の機関室内等に設置されるガス燃料二重構造管の固定支持材に利用される。
【符号の説明】
【0028】
1 実施例1に係るガス燃料船のガス燃料二重構造管の固定支持材
2 支持プレート
2a 支持プレート上平面
2b 支持プレート縦面
3 フラットバー
3a、3b 挿通孔
4 アングル縦面
4a 中央切り欠き部
4b、4c 両端壁
5 下部高さ調整プレート
6、6a、6b 高さ調整ボルト
7、7a、7b 高さ調整ナット
8、8a、8b 固定ナット
100 二重構造管
101 Uボルト
102 取り付けプレート
103a、103b ボルト挿通長開孔
104a、104b ナット
105 台座
105a、105b 台座両端
図1
図2
図3