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特許7041238積層造形装置の較正方法及び積層造形装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】積層造形装置の較正方法及び積層造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20220315BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20220315BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20220315BHJP
   B29C 64/379 20170101ALI20220315BHJP
   B22F 10/20 20210101ALI20220315BHJP
   B22F 10/31 20210101ALI20220315BHJP
   B22F 10/66 20210101ALI20220315BHJP
   B22F 12/60 20210101ALI20220315BHJP
   B22F 12/88 20210101ALI20220315BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220315BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220315BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20220315BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220315BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/153
B29C64/268
B29C64/379
B22F10/20
B22F10/31
B22F10/66
B22F12/60
B22F12/88
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/20
B33Y50/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020202583
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】特許業務法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】望月 慶
(72)【発明者】
【氏名】宮下 泰行
(72)【発明者】
【氏名】新家 一朗
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-170454(JP,A)
【文献】特表2018-524476(JP,A)
【文献】特開2009-107153(JP,A)
【文献】特開2017-115181(JP,A)
【文献】国際公開第2020/099038(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/089323(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0023583(US,A1)
【文献】特表2020-510753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
B22F 10/00 - 10/85
B22F 12/00 - 12/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の三次元造形物を形成する領域である造形領域に材料層を形成する材料層形成工程と、複数の走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光を前記材料層の所定の照射領域に照射して固化層を形成する固化工程とを繰り返して造形を行う積層造形装置の較正方法であって、
前記造形領域に設置された較正板の複数の目標位置に対して、前記走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光を照射して、それぞれの前記レーザ光によって形成される複数の照射痕の形状がそれぞれの前記照射痕同士で撮像装置が認識可能に部分的に重複する形状であるように同一の前記目標位置に照射痕を形成する照射痕形成工程と、
前記撮像装置により、同一の前記目標位置に対して形成された複数の前記照射痕を同時に撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像された前記照射痕に基づいて、前記走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光の照射位置を特定する特定工程と、
前記特定工程で特定された前記照射位置に基づいて、前記走査装置のそれぞれに係るレーザ座標系の各地点におけるずれ量を特定した補正データを生成する補正工程と、を備える積層造形装置の較正方法。
【請求項2】
前記照射痕形成工程において、前記走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光は、前記較正板に同時に照射される、請求項1に記載の積層造形装置の較正方法。
【請求項3】
前記撮像工程において、前記撮像装置は、各目標位置の直上に移動される、請求項1又は請求項2に記載の積層造形装置の較正方法。
【請求項4】
前記積層造形装置は、前記固化層に対して切削を行う加工装置を備え、
前記加工装置は、切削工具と、前記切削工具を把持する加工ヘッドと、前記加工ヘッドを前記造形領域上の任意の位置に移動させる加工ヘッド駆動装置と、を含み、
前記撮像装置は、前記加工ヘッドに設けられる、請求項3に記載の積層造形装置の較正方法。
【請求項5】
前記特定工程において、前記複数の走査装置のうち少なくとも1つの走査装置で走査された前記レーザ光によって形成された照射痕の重心が前記照射位置として特定される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の積層造形装置の較正方法。
【請求項6】
前記複数の走査装置のうち少なくとも1つの走査装置で走査された前記レーザ光によって形成された照射痕は、交差する2本の線分であり、
前記特定工程において、前記線分の交点が前記照射位置として特定される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の積層造形装置の較正方法。
【請求項7】
前記目標位置は、前記造形領域上に所定の間隔で格子状に配置される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の積層造形装置の較正方法。
【請求項8】
所望の三次元造形物を形成する領域である造形領域に材料層を形成する材料層形成装置と、
レーザ光を出力する少なくとも1つのレーザ光源と、前記レーザ光を走査して前記材料層の所定の照射領域に照射して固化層を形成する複数の走査装置と、を含む照射装置と、
前記造形領域を撮像可能に構成された撮像装置と、
前記材料層形成装置、前記照射装置および前記撮像装置を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記照射装置を制御し、前記造形領域に設置された較正板の複数の目標位置に対して、前記走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光を照射して、それぞれの前記レーザ光によって形成される複数の照射痕の形状がそれぞれの前記照射痕同士で撮像装置が認識可能に部分的に重複する形状であるように同一の前記目標位置に照射痕を形成し、
前記撮像装置を制御し、同一の前記目標位置に対して形成された複数の前記照射痕を同時に撮像し、
前記撮像装置により撮像された前記照射痕に基づいて、前記走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光の照射位置を特定し、
特定された前記照射位置に基づいて、前記走査装置のそれぞれに係るレーザ座標系の各地点におけるずれ量を特定した補正データを生成する、積層造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層造形装置の較正方法及び積層造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形には種々の方式があるが、ガルバノスキャナ等の走査装置によってレーザ光を走査する積層造形方法が知られている。例えば粉末床溶融結合を実施する積層造形装置は、所定の造形領域に材料層を形成し、レーザ光を走査して材料層の所定の照射領域にレーザ光を照射して固化層を形成する。そして、材料層の形成と固化層の形成とを繰り返し、所定数の固化層を積層して所望の三次元造形物を形成する。
【0003】
レーザ光の目標位置と実際の照射位置との間には、不可避のずれが生じうる。そのため、特許文献1に開示されるように、所望の三次元造形物を造形する前にずれ量を測定して、照射位置を補正することが望ましい。例えば、レーザ座標系の較正を行う積層造形装置は、造形領域に配置した較正板に対してレーザ光を照射して照射痕を形成し、照射痕の実際の位置を測定して照射痕の目標位置と実際の位置とのずれ量を算出し、ずれ量に基づき補正を行う。
【0004】
ここで、特許文献2に示されるように、走査装置を複数備える積層造形装置が知られている。複数の走査装置を備える積層造形装置においては、各走査装置に係るレーザ座標系に対して、それぞれ較正を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2979431号公報
【文献】特許第6405028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
走査装置を複数備える積層造形装置では、走査装置間の相互誤差を低減する上では、それぞれの走査装置による照射痕の目標位置が一致していることが望ましい。また、従来は、複数の走査装置に係るレーザ座標系の較正を順番に行っていた。すなわち、まず較正板を造形領域に設置し、複数の走査装置のうち1つを使用して較正板に照射痕を形成し、照射痕を撮像してずれ量を算出する。そして、較正板を交換して、別の走査装置を使用して較正板に照射痕を形成し、照射痕を撮像してずれ量を算出する。このように、従来の較正方法においては、走査装置毎に、較正板の設置と、照射痕の形成と、照射痕の撮像と、ずれ量の算出と、が実施される。この方法では1回の照射痕の形成および照射位置の測定につき1つの走査装置に係るレーザ座標系の補正しか行うことができないため、複数の走査装置を搭載した積層造形装置では効率が悪い。
【0007】
本発明では上記事情を鑑み、走査装置間の相互誤差を低減し、より効率よくレーザ座標系の較正を行うことのできる積層造形装置の較正方法及び積層造形装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、所望の三次元造形物を形成する領域である造形領域に材料層を形成する材料層形成工程と、複数の走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光を材料層の所定の照射領域に照射して固化層を形成する固化工程とを繰り返して造形を行う積層造形装置の較正方法が提供される。この較正方法は、造形領域に設置された較正板の複数の同じ目標位置に対して、走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光により、それぞれ異なる形状の照射痕を形成する照射痕形成工程と、撮像装置により、同一の目標位置に対して形成された複数の照射痕を同時に撮像する撮像工程と、撮像工程で撮像された照射痕に基づいて、走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光の照射位置を特定する特定工程と、特定工程で特定された照射位置に基づいて、走査装置のそれぞれに係るレーザ座標系の各地点におけるずれ量を特定した補正データを生成する補正工程と、を備える。
【0009】
また、本発明の一様態によれば、所望の三次元造形物を形成する領域である造形領域に材料層を形成する材料層形成装置と、レーザ光を出力する少なくとも1つのレーザ光源と、前記レーザ光を走査して前記材料層の所定の照射領域に照射して固化層を形成する複数の走査装置と、を含む照射装置と、前記造形領域を撮像可能に構成された撮像装置と、前記材料層形成装置、前記照射装置および前記撮像装置を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記照射装置を制御し、前記造形領域に設置された較正板の複数の同じ目標位置に対して、前記走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光により、それぞれ異なる形状の照射痕を形成し、前記撮像装置を制御し、同一の前記目標位置に対して形成された複数の前記照射痕を同時に撮像し、前記撮像装置により撮像された前記照射痕に基づいて、前記走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光の照射位置を特定し、特定された前記照射位置に基づいて、前記走査装置のそれぞれに係るレーザ座標系の各地点におけるずれ量を特定した補正データを生成する、積層造形装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、複数の同じ目標位置に対して、複数の走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光により、それぞれ異なる形状の照射痕を形成し、同一の目標位置に対して形成された複数の照射痕を同時に撮像して照射位置を算出する。これにより、複数の走査装置を備える積層造形装置においても、走査装置間の相互誤差を低減できるとともに、比較的高速に目標位置と照射位置とのずれ量を取得することができ、効率よくレーザ座標系の較正が行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る積層造形装置1の構成を示した図である。
図2】照射装置5の構成の概略を示した図である。
図3】制御装置8の機能的な構成を示すブロック図である。
図4】目標位置の配置を説明するための図である。
図5A】十字形の照射痕を示した図である。
図5B】X字形の照射痕を示した図である。
図5C】円形の照射痕を示した図である。
図5D】正三角形の照射痕を示した図である。
図5E】逆正三角形の照射痕を示した図である。
図6A】十字形の照射痕とX字形の照射痕が重複した状態を示した図である。
図6B】十字形の照射痕と円形の照射痕が重複した状態を示した図である。
図6C】X字形の照射痕と円形の照射痕が重複した状態を示した図である。
図6D】十字形の照射痕と正三角形の照射痕が重複した状態を示した図である。
図6E】十字形の照射痕、X字形の照射痕、円形の照射痕、正三角形の照射痕が重複した状態を示した図である。
図7A】十字形の照射痕と円形の照射痕のそれぞれの照射位置の特定方法を説明するための図である。
図7B】十字形の照射痕と円形の照射痕のそれぞれの照射位置の特定方法を説明するための図である。
図7C】十字形の照射痕と円形の照射痕のそれぞれの照射位置の特定方法を説明するための図である。
図8A】真円形の照射痕の重心を示す図である。
図8B】歪んだ円形の照射痕の重心を示す図である。
図8C】正三角形の照射痕の重心を示す図である。
図8D】歪んだ三角形の照射痕の重心を示す図である。
図9】積層造形装置1の動作の流れを示すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。なお、以下で説明する較正方法は、所望の三次元造形物を形成する領域である造形領域に材料層を形成する材料層形成工程と、複数の走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光L1,L2を材料層の所定の照射領域に照射して固化層を形成する固化工程とを繰り返して造形を行う積層造形装置の較正方法である。
【0013】
1.積層造形装置1の構成例
図1は、本発明の実施形態に係る積層造形装置1の構成を示した図である。図1に示すように、積層造形装置1は、チャンバ11と、造形テーブル2と、材料層形成装置4と、照射装置5と、加工装置6と、撮像装置7と、を備える。
【0014】
チャンバ11は、実質的に密閉されるように構成され、所望の三次元造形物を形成する領域である造形領域を覆う。造形中、チャンバ11内は、所定濃度の不活性ガスが充満される。また、固化層の形成時に発生するヒュームを含んだ不活性ガスは、チャンバ11内から排出される。望ましくは、チャンバ11から排出された不活性ガスは、ヒュームが除去された上でチャンバ11内に返送される。
【0015】
造形テーブル2は、造形領域に設けられ、造形テーブル駆動装置3によって鉛直方向に移動可能に構成される。三次元造形物を形成する際には、造形テーブル2上にベースプレートが載置されてもよく、ベースプレート上に1層目の材料層が形成される。また、積層造形装置1のレーザ座標系の較正を行う場合には、造形テーブル2の上に較正板Tが載置される。なお、造形テーブル駆動装置3としては、造形テーブル2を鉛直方向に沿って往復移動させることができる任意のアクチュエータを含むものが採用できる。
【0016】
材料層形成装置4は、チャンバ11内に設けられる。材料層形成装置4は、造形領域、すなわち造形テーブル2上に、所定厚みの材料層を形成する。材料層形成装置4は材料層を形成する任意の装置であってよいが、本実施形態の材料層形成装置4は、造形領域を有するベース台41と、ベース台41上に配置され水平1軸方向に移動可能に構成されたリコータヘッド42と、リコータヘッド42を駆動させる任意のアクチュエータであるリコータヘッド駆動装置43と、を含む。リコータヘッド42の両側面にはそれぞれブレードが設けられる。リコータヘッド42は、不図示の材料供給装置から材料粉体が供給され、内部に収容した材料粉体を底面から排出しながら水平1軸方向に往復移動する。このとき、ブレードは排出された材料粉体を平坦化して材料層を形成する。
【0017】
照射装置5は、チャンバ11の上方に設けられ、ウインドウ12を通して、材料層にレーザ光L1及びレーザ光L2を照射し、照射位置の材料層を焼結または溶融させ固化層を形成する。積層造形装置1のレーザ座標系の較正を行う場合には、レーザ光L1及びレーザ光L2は、較正板Tに照射される。
【0018】
図2に示すように、照射装置5は、レーザ光源511と、フォーカス制御ユニット512と、走査装置513と、を有し、これらにより、レーザ光L1を照射する。また、照射装置5は、レーザ光源521と、フォーカス制御ユニット522と、走査装置523と、を有し、これらにより、レーザ光L2を照射する。
【0019】
レーザ光源511は、レーザ光L1を出力する。レーザ光L1は、材料層を焼結または溶融することが可能であり、例えば、COレーザ、ファイバーレーザ、またはYAGレーザである。レーザ光源511から出力されたレーザ光L1は、不図示のコリメータにより平行光に変換される。フォーカス制御ユニット512は、可動レンズ512aと、レンズアクチュエータ512bと、集光レンズ512cと、を有する。可動レンズ512aは、レンズアクチュエータ512bによりレーザ光L1の光軸方向に移動可能であり、移動に伴ってレーザ光L1の焦点位置を調整する。集光レンズ512cは、可動レンズ512aを通過したレーザ光L1を集光する。可動レンズ512aと集光レンズ512cにより、コリメータで平行光に変換されたレーザ光L1を所定のスポット径に調整する。本実施形態においては、可動レンズ512aは拡散レンズであるが、集光レンズであってもよい。走査装置513は、本実施形態では、ガルバノスキャナである。走査装置513は、X軸ガルバノミラー513aと、X軸ガルバノミラー513aを回転させるX軸ミラーアクチュエータ513bと、Y軸ガルバノミラー513cと、Y軸ガルバノミラー513cを回転させるY軸ミラーアクチュエータ513dと、を有する。走査装置513は、レーザ光L1を走査して材料層の所定の照射領域にレーザ光L1を照射して固化層を形成する。具体的には、X軸ガルバノミラー513aの回転角度を制御することでレーザ光L1の照射位置のX軸方向が制御され、Y軸ガルバノミラー513cの回転角度を制御することでレーザ光L1の照射位置のY軸方向が制御される。
【0020】
同様に、レーザ光源521は、レーザ光L2を出力する。レーザ光L2は、材料層を焼結または溶融することが可能であり、例えば、COレーザ、ファイバーレーザ、またはYAGレーザである。レーザ光源521から出力されたレーザ光L1は、不図示のコリメータにより平行光に変換される。フォーカス制御ユニット522は、可動レンズ522aと、レンズアクチュエータ522bと、集光レンズ522cと、を有する。可動レンズ522aは、レンズアクチュエータ512bによりレーザ光L2の光軸方向に移動可能であり、移動に伴ってレーザ光L2の焦点位置を調整する。集光レンズ522cは、可動レンズ522aを通過したレーザ光L2を集光する。可動レンズ522aと集光レンズ522cにより、コリメータで平行光に変換されたレーザ光L2を所定のスポット径に調整する。本実施形態においては、可動レンズ522aは拡散レンズであるが、集光レンズであってもよい。走査装置523は、本実施形態では、ガルバノスキャナである。走査装置523は、X軸ガルバノミラー523aと、X軸ガルバノミラー523aを回転させるX軸ミラーアクチュエータ523bと、Y軸ガルバノミラー523cと、Y軸ガルバノミラー523cを回転させるY軸ミラーアクチュエータ523dと、を有する。走査装置523は、レーザ光L2を走査して材料層の所定の照射領域にレーザ光L2を照射して固化層を形成する。具体的には、X軸ガルバノミラー523aの回転角度を制御することでレーザ光L2の照射位置のX軸方向が制御され、Y軸ガルバノミラー523cの回転角度を制御することでレーザ光L2の照射位置のY軸方向が制御される。
【0021】
なお、本実施形態においては、走査装置513,523毎にそれぞれレーザ光源511とレーザ光源521を設けたが、ビームスプリッタ等により1つの光源から出力されるレーザ光を分光させるように構成してもよい。換言すれば、照射装置は、少なくとも1つのレーザ光源と、複数の走査装置と、を有していればよい。また、照射装置は、3つ以上の走査装置を有していてもよく、3つ以上のレーザ光を同時に走査可能に構成されていてもよい。なお、照射装置5は、固化層の形成だけでなく、較正板Tに所定の照射痕を形成するためにも使用される。
【0022】
加工装置6は、固化層の表面や不要部分に対して切削を行う。加工装置6は、加工ヘッド61と、加工ヘッド駆動装置63と、切削工具69と、を含む。加工ヘッド駆動装置63は、任意のアクチュエータを有するものであればよく、加工ヘッド61をチャンバ11内の造形領域上の任意の位置に移動させる。例えば、加工ヘッド駆動装置63は、加工ヘッド61を所定の水平方向であるX軸方向に移動させるX軸駆動装置と、加工ヘッド61をX軸に直交する水平方向であるY軸方向に移動させるY軸駆動装置と、加工ヘッド61を所定の鉛直方向であるZ軸方向に移動させるZ軸駆動装置と、を有する。
【0023】
加工ヘッド61は、スピンドル65を有する。スピンドル65は、エンドミル等の切削工具69を把持し、スピンドルモータ67によって回転することができるように構成されている。スピンドル65により回転された切削工具69により、固化層の表面や不要部分に対して切削加工が行われる。
【0024】
なお、積層造形装置1は切削装置を備えていなくてもよいし、切削装置は他の構成でもよい。例えば、切削装置は、バイト等の切削工具を把持するとともに切削工具を鉛直方向の回転軸に沿って回動させる旋回機構が設けられた加工ヘッドと、加工ヘッドを水平駆動するための加工ヘッド駆動装置を含んでいてもよい。加工ヘッド駆動装置は、例えば、一対の第1水平移動機構と、一対の第1水平移動機構に設けられているガントリと、ガントリに取り付けられており加工ヘッドが固定された第2水平移動機構と、を有する。
【0025】
撮像装置7は、造形領域の少なくとも一部を撮像可能に構成されており、後述するレーザ座標系の較正に際して、照射痕を撮像して、照射痕の位置情報を取得する。照射痕は、レーザ光L1,L2の照射により較正板Tに形成された、撮像装置7により認識可能な刻印である。撮像装置7は、照射痕を撮像可能な任意の撮像素子を有しているものであればよく、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラである。
【0026】
本実施形態においては、撮像装置7は、加工装置6の加工ヘッド61に設けられ、加工ヘッド駆動装置63により加工ヘッド61を移動させることで、チャンバ11内の任意の位置に移動される。このようにすれば、撮像装置7を移動させるために別途駆動装置を設ける必要がないので、好ましい。但し、撮像装置7を移動させる駆動装置が別途設けられてもよい。また、撮像装置7によって撮像可能な領域が全ての照射痕を含むのであれば、撮像装置7はチャンバ11内の所定の位置に固定されてもよい。
【0027】
ここで、積層造形装置1の制御装置8を説明する。図3に示されるように、本実施形態の制御装置8は、主制御装置81と、照射制御装置83と、撮像制御装置85と、ドライバ870,871,872,873,874,875,876,877,878,879と、を含む。主制御装置81、照射制御装置83および撮像制御装置85は、それぞれ、ハードウェアとソフトウェアを任意に組み合わせて構成されてよく、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置、出入力インターフェースを有している。また、本実施形態では、主制御装置81、照射制御装置83および撮像制御装置85はそれぞれ別体に構成されているが、主制御装置81、照射制御装置83および撮像制御装置85のうち少なくとも2つ以上が一体として構成されてもよい。
【0028】
主制御装置81は、不図示のCAM(Computer Aided Manufacturing)装置が作成したプロジェクトファイルにしたがって、ドライバ870,871,872,873を介して、リコータヘッド42、造形テーブル2、加工ヘッド61およびスピンドル65を制御する。また、主制御装置81は、プロジェクトファイルのうち、レーザ光L1,L2の照射位置等の指令を含む造形プログラムを照射制御装置83に送る。
【0029】
さらに主制御装置81は、レーザ座標系の較正にあたり、加工ヘッド61を駆動させて撮像装置7を照射痕が撮像可能な位置に移動させるとともに、照射制御装置83に照射痕の形成に係るレーザ光L1,L2の照射指令を送り、撮像制御装置85に照射痕の撮像指令を送る。なお、主制御装置81に係る上述の制御は、照射制御装置83または撮像制御装置85によって行われてもよい。
【0030】
照射制御装置83は、主制御装置81から送られた造形プログラムと、レーザ座標系の補正データに基づき、照射装置5を制御する。具体的に、照射制御装置83は、ドライバ874,875を介して、X軸ガルバノミラー513aおよびY軸ガルバノミラー513cの回転角度を制御し、レーザ光L1の照射位置を制御する。また、照射制御装置83は、ドライバ876を介して、可動レンズ512aの位置を制御し、レーザ光L1の焦点位置を調節する。また、照射制御装置83は、レーザ光源511を制御して、レーザ光L1の強度の調節やオン/オフの切り替えを行う。照射制御装置83は、ドライバ877,878を介して、X軸ガルバノミラー523aおよびY軸ガルバノミラー523cの回転角度を制御し、レーザ光L2の照射位置を制御する。また、照射制御装置83は、ドライバ879を介して、可動レンズ522aの位置を制御し、レーザ光L2の焦点位置を調節する。また、照射制御装置83は、レーザ光源521を制御して、レーザ光L2の強度の調節やオン/オフの切り替えを行う。
【0031】
さらに照射制御装置83は、レーザ座標系の較正にあたり、主制御装置81から送られた照射指令に基づき、照射装置5を制御し、較正板Tの所望の位置に照射痕を形成する。このとき、較正板Tの複数の同じ目標位置に対して、走査装置513,523のそれぞれで走査されたレーザ光L1,L2により、それぞれ異なる形状の照射痕が形成される。また、照射制御装置83は、照射痕の目標位置の座標データと、撮像制御装置85から取得した照射痕の実際の照射位置の座標データとを比較し、レーザ座標系の各地点におけるずれ量を特定した補正データを生成する。なお、照射制御装置83に係る上述の制御は、主制御装置81または撮像制御装置85によって行われてもよい。
【0032】
撮像制御装置85は、レーザ座標系の較正にあたり、主制御装置81から送られた撮像指令に基づき、照射痕を撮像して、照射痕の位置情報を取得する。このとき、撮像制御装置85は、同一の目標位置に対して形成された複数の照射痕を同時に撮像するよう、撮像装置7を制御する。撮像制御装置85は、取得した位置情報を解析し、座標データとして数値化して主制御装置81および照射制御装置83へ送る。なお、撮像制御装置85に係る上述の制御は、主制御装置81または照射制御装置83によって行われてもよい。
【0033】
2.較正板T
較正板Tとしては、照射痕を形成できるものであれば任意のものが使用可能であるが、表面が平坦であり、温度や湿度等の影響を比較的受けにくいものが望ましい。較正板Tは、照射ターゲットと、照射ターゲットが取り付けられる基板と、を含んで構成されてもよい。照射ターゲットは、レーザ光L1,L2の照射により照射痕を形成可能なシート状の部材であり、例えば黒紙や感熱紙である。基板は、所望の平面度を有する板状部材であり、例えばガラス板である。
【0034】
3.目標位置
次に、積層造形装置1のレーザ座標系の較正を行う際に、レーザ光L1とレーザ光L2を照射する目標となる目標位置について説明する。目標位置は、造形領域上に設定される複数の座標であり、各目標位置に対してレーザ光L1およびレーザ光L2が照射され、照射痕が形成される。換言すれば、照射痕の形成にあたり、所定の形状を有する照射痕のうち撮像装置で検出可能な所定の1点の座標と目標位置の座標とが一致するように、レーザ光L1およびレーザ光L2が照射される。目標位置の数および位置は特に限定されないが、造形領域上に均等に分布されることが望ましい。本実施形態では、図4に示されるように、縦方向に5個、横方向に5個ずつ、計25個の目標位置t1-t25が、造形領域上、すなわち較正板T上に、所定の間隔で格子状に配置される。
【0035】
4.照射痕
次に、較正板Tに形成する照射痕について説明する。照射痕は、任意の特定可能な位置に照射位置を有しており、照射位置と目標位置とが一致するように照射痕が形成される。図5Aから図5Eに例示的に示すように、レーザ光L1とレーザ光L2のそれぞれが形成する照射痕は、十字形、X字形、円形、正三角形、逆正三角形等の複数の形状パターンから任意のものが選択される。十字形とX字形の照射痕は、交差する2本の線分で構成されるものである。交差する2本の線分で構成される照射痕は、その交点が目標位置に一致するように形成される。また、円形、正三角形、逆正三角形等、線分の交点を取れない形状の照射痕は、例えばその重心が目標位置に一致するように形成される。なお、ここで示した照射痕の形状は一例であり、矩形、ひし形、台形、二等辺三角形等の様々な形状の照射痕を用いることができる。
【0036】
また、所定の目標位置において、レーザ光L1で形成される照射痕と、レーザ光L2で形成される照射痕は、異なる形状を有する。そのため、図6Aから図6Dに例示的に示すように、レーザ光L1とレーザ光L2の両者によって形成される照射痕は、十字形とX字形が重複したもの、十字形と円形が重複したもの、X字形と円形が重複したもの、十字形と正三角形が重複したもの等となる。なお、レーザ光L1およびレーザ光L2によってそれぞれ形成される照射痕の形状は、すべての目標位置において同一である必要はない。また、積層造形装置が3つ以上のレーザ光を同時に走査可能に構成されている場合は、所定の目標位置において、各レーザ光で形成される照射痕は、それぞれ異なる形状を有する。例えば、4つのレーザ光を同時に走査可能に構成されている場合、図6Eに例示的に示すように、十字形、X字形、円形、正三角形が重複したものとなる。もちろん、他の形状が重複するものであってもよい。
【0037】
また、制御装置8の撮像制御装置85は、複数重なった照射痕から、それぞれの照射位置を特定する。撮像制御装置85は、照射痕が2本の線分で形成される場合には、線分の交点を照射位置として特定する。なお、レーザ光L1,L2によって形成される線分は所定の幅を有しているので、交点の算出にあたり線分の中心線を算出して、各中心線の交点を線分の交点としてもよい。また、制御装置8の撮像制御装置85は、照射痕が円形、正三角形、逆正三角形等、線分の交点を取れない形状である場合には、それらの重心を照射位置として特定する。
【0038】
ここで、十字形の照射痕と円形の照射痕とが重なった状態を例にして、照射位置の特定方法を説明する。撮像制御装置85は、図7Aに示されるように、撮像装置7が撮像した照射痕から、線分の中心線と、円形の輪郭とを特定する。そして、図7Bに示されるように、線分の中心線に着目して、その交点を十字形の照射痕の照射位置として特定する。また、図7Cに示されるように、円の輪郭に着目して、その円の重心を円形の照射痕の照射位置として特定する。
【0039】
図8Aから図8Dに示されるように、較正前のレーザ座標系は歪んでいる場合があるため、照射痕にも歪みが発生する可能性がある。円形や正三角形等の照射痕の重心を照射位置として特定することで、照射痕が正常な円形である場合はもちろんのこと、歪んで楕円形の照射痕となった場合でも、好適に照射位置を特定することができる。同様に、照射痕が正常な正三角形である場合、歪んで正三角形ではない三角形の照射痕となった場合でも、好適に照射位置を特定することができる。
【0040】
5.積層造形装置1の動作
以上に説明した積層造形装置1により所望の三次元造形物を形成するにあたり、事前にレーザ座標系の較正が行われる。レーザ座標系の較正は、機械調整後や造形開始前等、任意のタイミングで行われればよい。好ましくは、レーザ座標系の較正は、造形開始時に毎回実施される。ここで、図9を参照しながら積層造形装置1のレーザ座標系の較正時の動作の流れを説明する。
【0041】
まず、チャンバ11内の造形領域、すなわち造形テーブル2の上に較正板Tが設置される。好ましくは、較正板Tの上面位置が、後の積層造形時における材料層の上面位置と一致するよう、造形テーブル2の位置が調整される。また、チャンバ11内を後の積層造形時の環境に近づけるため、チャンバ11内に後の積層造形時と同種の不活性ガスが充満されることが望ましい。
【0042】
次に、照射痕形成工程が実施される。照射装置5がレーザ光L1を較正板Tの目標位置t1に照射して照射痕を形成するとともに(A101)、レーザ光L2を較正板Tの目標位置t1に照射して照射痕を形成する(A102)。このとき、レーザ光L1によって形成される照射痕の形状と、レーザ光L2によって形成される照射痕の形状は、異なっている。同様の処理を全ての目標位置に対してレーザ光L1及びレーザ光L2を照射して照射痕を形成するまで繰り返す。
【0043】
好ましくは、照射痕形成工程において、照射装置5の走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光L1とレーザ光L2は、較正板Tに同時に照射される。なお、レーザ光L1とレーザ光L2は、同じ目標位置に対して同時に照射されてもよいし、別々の目標位置に対して同時に照射されてもよい。レーザ光L1による照射痕の形成とレーザ光L2による照射痕の形成を平行して行うことで、照射痕の形成にかかる時間を短縮できる。
【0044】
続いて、撮像工程が実施される。加工ヘッド61を移動させることで、撮像装置7を目標位置t1の直上に移動させ(A103)、撮像装置7により、較正板Tの目標位置t1に形成された照射痕を撮像して画像データを得る(A104)。このとき、目標位置t1の近辺にはレーザ光L1およびレーザ光L2で形成された照射痕が重複して存在しているので、撮像装置7は同一の目標位置に対して形成された複数の照射痕を同時に撮像する。
【0045】
そして、特定工程が実施される。撮像制御装置85が画像データを解析して、照射痕の実際の照射位置を特定する(A105)。このようにして、撮像工程で撮像された照射痕に基づいて、照射装置5の走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光L1とレーザ光L2の照射位置が特定される。
【0046】
撮像工程および特定工程は、全ての照射痕の照射位置を特定するまで繰り返される。なお、特定工程は全ての照射痕についての撮像工程を終えた後実施されてもよい。また、加工ヘッド61等にレーザ光L1,L2が干渉しない範囲で、照射痕形成工程と撮像工程が平行して行われてもよい。
【0047】
次に、補正工程が実施される。照射制御装置83は、レーザ光L1によって形成した照射痕の目標位置の座標と、照射痕の実際の照射位置の座標とを比較し、目標位置と実際の照射位置とのずれ量を求める。また、照射制御装置83は、照射痕のずれ量に基づき、照射痕を形成した座標以外におけるずれ量も推定して求める。このようにして、照射制御装置83は、走査装置513に係るレーザ座標系の各地点におけるずれ量を特定した補正データを生成する(A106)。同様の手順で、照射制御装置83は、走査装置523に係るレーザ座標系の各地点におけるずれ量を特定した補正データを生成する(A107)。これらの補正データは、後の積層造形において利用される。
【0048】
そして、補正工程を終えると、積層造形装置1は、レーザ座標系の較正処理を終了する。なお、ここで説明した各工程の処理順は、一例であり、別の順序で処理を行うことも可能である。
【0049】
このように、本実施形態の較正方法では、複数の走査装置513,523を使用して、較正板Tの同じ目標位置に形状がそれぞれ異なる照射痕を形成し、それらの照射痕を同時に撮像する。これにより、複数の走査装置513,523を備える積層造形装置1においても、各走査装置513,523に係るレーザ座標系の較正を平行して行うことができる。ひいては、走査装置513,523間の相互誤差を低減できるとともに、比較的高速に目標位置と照射位置とのずれ量を取得することができる。また、照射痕の撮像にあたり撮像装置7を目標位置の直上に移動させる場合は、複数の走査装置513,523を使用して形成された照射痕を同時に撮像することができるので、加工ヘッド駆動装置63等の駆動装置による機械誤差も低減できる。
【0050】
以上のように較正された積層造形装置1によって、所望の三次元造形物を得るための積層造形が実施される。
【0051】
まず、造形テーブル2にベースプレートが設置され、チャンバ11に所定濃度の不活性ガスが充満される。
【0052】
続いて、造形領域に材料層を形成する材料層形成工程が行われる。造形テーブル2が所定厚みの材料層が形成できる適切な高さに調整され、リコータヘッド42が造形領域上を水平方向に移動する。リコータヘッド42から撒布された材料はブレードによって均され、材料層が形成される。
【0053】
そして、照射装置5によりレーザ光L1,L2を材料層の所定の照射領域に照射し固化層を形成する固化工程が行われる。このとき、造形プログラムに規定されるレーザ光L1,L2の照射位置の指令は、レーザ座標系の補正データにより補正される。
【0054】
以上のような材料層形成工程と固化工程とが繰り返されて、複数の固化層が積層されて所望の三次元造形物が製造される。
【0055】
なお、所定数の固化層が形成される毎に、固化層の表面に対して切削を行う切削工程が実施されてもよい。切削工程を実施することで、より高精度の三次元造形物が得られる。
【0056】
本発明は、既にいくつかの例が具体的に示されているように、図面に示される実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形または応用が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 :積層造形装置
2 :造形テーブル
3 :造形テーブル駆動装置
4 :材料層形成装置
5 :照射装置
6 :加工装置
7 :撮像装置
8 :制御装置
11 :チャンバ
12 :ウインドウ
41 :ベース台
42 :リコータヘッド
43 :リコータヘッド駆動装置
61 :加工ヘッド
63 :加工ヘッド駆動装置
65 :スピンドル
67 :スピンドルモータ
69 :切削工具
81 :主制御装置
83 :照射制御装置
85 :撮像制御装置
511 :レーザ光源
512 :フォーカス制御ユニット
512a :可動レンズ
512b :レンズアクチュエータ
512c :集光レンズ
513 :走査装置
513a :X軸ガルバノミラー
513b :X軸ミラーアクチュエータ
513c :Y軸ガルバノミラー
513d :Y軸ミラーアクチュエータ
521 :レーザ光源
522 :フォーカス制御ユニット
522a :可動レンズ
522b :レンズアクチュエータ
522c :集光レンズ
523 :走査装置
523a :X軸ガルバノミラー
523b :X軸ミラーアクチュエータ
523c :Y軸ガルバノミラー
523d :Y軸ミラーアクチュエータ
870 :ドライバ
871 :ドライバ
872 :ドライバ
873 :ドライバ
874 :ドライバ
875 :ドライバ
876 :ドライバ
877 :ドライバ
878 :ドライバ
879 :ドライバ
L1 :レーザ光
L2 :レーザ光
T :較正板
t1-t25 :目標位置
【要約】
【課題】複数の走査装置を備える積層造形装置において、効率よくレーザ座標系の較正を行うことができる積層造形装置の較正方法を提供する。
【解決手段】造形領域に設置された較正板の複数の同じ目標位置に対して、複数の走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光により、それぞれ異なる形状の照射痕を形成する照射痕形成工程と、撮像装置により、同一の目標位置に対して形成された複数の照射痕を同時に撮像する撮像工程と、撮像工程で撮像された照射痕に基づいて、走査装置のそれぞれで走査されたレーザ光の照射位置を特定する特定工程と、特定工程で特定された照射位置に基づいて、走査装置のそれぞれに係るレーザ座標系の各地点におけるずれ量を特定した補正データを生成する補正工程と、を備える積層造形装置の較正方法が提供される。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9