IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

<>
  • 特許-光線療法システム及び方法 図1
  • 特許-光線療法システム及び方法 図2
  • 特許-光線療法システム及び方法 図3
  • 特許-光線療法システム及び方法 図4
  • 特許-光線療法システム及び方法 図5
  • 特許-光線療法システム及び方法 図6
  • 特許-光線療法システム及び方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】光線療法システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020507744
(86)(22)【出願日】2018-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2018059621
(87)【国際公開番号】W WO2018197243
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】17167766.9
(32)【優先日】2017-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファルク トーマス マリア
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマンス フレデリクス マリア デュー‐ダン
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0129280(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2796166(EP,A1)
【文献】国際公開第2008/069103(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/008826(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06 - A61N 5/08
A61M 21/00 - A61M 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御可能な照度及び色温度を有する光出力を生成するように動作可能な照明アセンブリと、
前記照明アセンブリに動作可能に結合されているコントローラと
を備える光線療法システムにおいて、前記コントローラは、
前記照明アセンブリによって付与するための目標メラノピック露光量を示すデータ入力を受信することと、
光の複数の異なる色温度の相対メラノピック効果に対応する1つ又は複数のメラノピック重み付け係数をデータストアから取り出すことと、
規定の処置期間にわたって総計で前記目標メラノピック露光量を与えるために、前記メラノピック重み付け係数に基づいて、前記照明アセンブリの前記照度及び色温度値を経時的に制御するための制御スケジュールを作成することと、
前記制御スケジュールに従って前記照明アセンブリを制御することと
を行うことを特徴とする、光線療法システム。
【請求項2】
前記コントローラはさらに、1つ又は複数の好ましい色温度値を示す色選好データを受信し、前記処置期間のうちの少なくとも一部分にわたって、前記光出力の前記色温度が前記好ましい色温度値を有するように、前記制御スケジュールを作成する、請求項1に記載の光線療法システム。
【請求項3】
前記コントローラは、予め記憶されているスケジュールテンプレートに基づいて前記制御スケジュールを作成し、前記スケジュールテンプレートは、固定時間部分及び設定可能時間部分を含み、前記コントローラは、前記設定可能時間部分を決定し、前記固定時間部分及び前記設定可能時間部分の2つは、前記目標メラノピック露光量を与える、請求項1又は2に記載の光線療法システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記設定可能時間部分の間の平均照度レベルが、前記固定時間部分の間の平均照度レベルよりも大きいように、前記制御スケジュールを作成する、請求項3に記載の光線療法システム。
【請求項5】
前記予め記憶されているスケジュールテンプレートは、複数の中間の固定時間部分によって分離されている、複数の設定可能時間部分を含む、請求項3又は4に記載の光線療法システム。
【請求項6】
前記コントローラはさらに、前記処置期間の間の前記光出力の前記照度の上限及び下限の指示、並びに、前記処置期間の少なくとも設定可能時間部分の持続時間の上限及び下限の指示を前記データストアから取り出し、前記色温度値に従って前記制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分を作成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の光線療法システム。
【請求項7】
前記光線療法システムは、前記目標メラノピック露光量を示す前記データ入力を受信するためのユーザ入力デバイスと、ユーザ出力デバイスとをさらに備え、前記目標メラノピック露光量の受信の前に、前記コントローラは、
前記照度及び前記持続時間の前記上限及び前記下限に基づいて、光色温度のセットの各々について前記照明アセンブリを使用して付与可能な最大及び最小メラノピック露光量を決定することと、
各色温度の決定されている前記上限及び前記下限を通信するように前記ユーザ出力デバイスを制御することとを行う、請求項6に記載の光線療法システム。
【請求項8】
前記コントローラはさらに、
前記照度及び前記持続時間の前記上限及び前記下限に基づいて、前記目標メラノピック露光量を与えるのに十分な以下のパラメータ、すなわち、
前記制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間の前記光出力の色温度、
前記制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の持続時間、及び
前記制御スケジュールの少なくとも制御可能時間部分の間の前記光出力の照度レベル
のうちの少なくとも1つの最大値及び最小値を決定することと、
決定された前記最大値及び前記最小値を通信するように前記ユーザ出力デバイスを制御することと、
前記ユーザ入力デバイスから、前記パラメータのうちの1つ又は複数の好ましい値を示すデータ入力を受信することと、
前記光出力が、前記処置期間の少なくとも一部分について、前記好ましい値と一致するように、前記制御スケジュールを作成することとを行う、請求項7に記載の光線療法システム。
【請求項9】
前記データストアは、前記コントローラに含まれるか、又は、前記データストアは、前記光線療法システムから遠隔している、請求項1から8のいずれか一項に記載の光線療法システム。
【請求項10】
前記照明アセンブリは、各々がそれぞれのスペクトル放出プロファイルを有する複数の光源を備え、前記光出力の前記色温度の制御は、予め記憶されている設定データに基づいて、前記複数の光源の各々の光レベルを決定することを含む、請求項1から9のいずれか一項の光線療法システム。
【請求項11】
前記光線療法システムは、ユーザの眼が開いているか又は閉じているかを検出するための眼状態センサをさらに備え、前記眼状態センサは、前記コントローラと動作可能に結合され、前記コントローラは、前記目標メラノピック露光量が与えられることを保証するために、前記眼状態センサからの読み値に基づいて前記制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間に前記光出力の持続時間、前記照度、及び/又は色温度を調整し、
前記コントローラは、規定の検知期間にわたる前記眼状態センサからの読み値に基づいて、ユーザの眼が閉じられていた総計時間期間を計算し、前記総計時間期間だけ、前記制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の持続時間を延長する、請求項1から10のいずれか一項に記載の光線療法システム。
【請求項12】
前記光線療法システムは、前記コントローラと動作可能に結合され、使用時に、前記照明アセンブリの光路内にユーザが存在するか否かを検出する存在センサをさらに備え、前記コントローラは、前記目標メラノピック露光量が与えられることを保証するために、前記存在センサからの読み値に基づいて前記制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間に前記光出力の持続時間、前記照度、及び/又は色温度を調整する、請求項1から11のいずれか一項に記載の光線療法システム。
【請求項13】
前記光線療法システムは、ユーザに近接する光レベルを検出する光レベルセンサをさらに備え、前記コントローラは、前記目標メラノピック露光量が与えられることを保証するために、前記光レベルセンサからの読み値に基づいて前記制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間に前記光出力の持続時間、前記照度、及び/又は色温度を調整し、前記光レベルセンサは、ユーザの1つ又は複数の眼に近接して配置される、請求項1から12のいずれか一項に記載の光線療法システム。
【請求項14】
前記コントローラはさらに、
ユーザの年齢の指示をデータストアから取り出すことと、
種々の年齢のユーザの光に対する平均感受性に基づいて、年齢重み付け係数のセットをデータストアから取り出すことと、
前記目標メラノピック露光量が与えられることを保証するために、取り出されている前記年齢及び取り出されている前記年齢重み付け係数に基づいて、前記制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間に前記光出力の持続時間、前記照度及び/又は色温度を調整することとを行う、請求項1から13のいずれか一項に記載の光線療法システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線療法システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば病院、特に集中治療室(ICU)のような臨床単位において処置されている多くの患者は、睡眠周期の乱れを呈する場合がある。これは、患者の治癒過程を妨げる可能性があり、特に、患者がせん妄を発症するリスクを増大させる可能性がある。重病患者の80%までがせん妄を患っており、結果として入院の長さが増大し、場合によっては、死亡率までが増大している。この理由から、集中治療医学会議によって発行されている、すなわち、米国及びドイツにおける最近のガイドラインは、そのような患者におけるせん妄を防止するための手段が提案されている。特に提案されている手段は、薬理的なものではなく、代わりに、高照度光療法を通じて患者のサーカディアンリズムを自然に回復させる試みに焦点を当てている。
【0003】
ヒトについて、眼を光に曝露することは、サーカディアンリズムを自然な24時間の昼夜周期に同期させるにあたっての、最も重要なファクタである。患者を、太陽の周期と同期されている、特別に調整された周期の高照度光に曝露することによって、患者のサーカディアンリズムを再較正し、睡眠障害を低減することができる。
【0004】
米国特許出願公開第2015/0126806号明細書は、患者のせん妄を低減するように、所定のスケジュールに従って、特に、サーカディアンリズムスケジュールに従って、室内の照明条件を制御するための照明システムを開示している。システムは、室内の光レベル又は光強度を調整するために、内部光源、及びまた、室内に入る外部光の量を制御するための手段を含む。システムはまた、患者が曝露される光の量を検出するための光センサをも備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
患者の睡眠パターンを改善するための光線療法システムの開発が、一般的に模索されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は特許請求の範囲によって定義される。
【0007】
本発明の一態様によれば、光線療法システムであって、
制御可能な照度及び色温度を有する光出力を生成するように動作可能な照明アセンブリと、
照明アセンブリに動作可能に結合されているコントローラと
を備え、コントローラは、
照明アセンブリによって付与するための目標メラノピック露光量を示すデータ入力を受信することと、
光の複数の異なる色温度の相対メラノピック効果に対応する1つ又は複数のメラノピック重み付け係数をデータストアから取り出すことと、
メラノピック重み付け係数に基づいて、規定の処置期間にわたって総計で、目標メラノピック露光量を与えるなどのために、照明アセンブリの照度及び色温度値を経時的に制御するための制御スケジュールを作成することと、
制御スケジュールに従って照明アセンブリを制御することと
を行うように適合されている、光線療法システムが提供される。
【0008】
本発明の実施形態は、専用の光線療法プログラムが、所与の患者に対して作成され、指定の目標メラノピック露光量が与えられるように構成されることを可能にする。光線療法システムのコントローラは、特定の時間窓(処置期間)の過程にわたって、目標露光量が与えられるように、照明アセンブリの照度及び色温度を経時的に制御するための制御スケジュールを作成する。
【0009】
目標メラノピック露光量は、例えば、臨床医によって指定される。したがって、システムは、臨床医からの最小限の入力のみに基づいて、光線療法処置の効率の高い技術的実施態様を可能にすることができる。光線療法を与えるためのシステムは既知であるが、特定の目標メラノピック露光量のみに基づいて、特定の患者のためのカスタム光線療法プログラムを生成するように構成されているシステムは、当該技術分野には見当たらない。したがって、このシステムには、睡眠を改善し、せん妄を低減するために、これらの光に基づく処置を管理及び与える効率を大幅に改善するという可能性がある。
【0010】
メラノピック露光量は、当該技術分野における用語であり、光の照度と、光が与えられる時間期間との積に等しい、患者に与えられる光の用量に対応する。これは典型的には、ルクス時(ルクスは照度のSI単位である)単位で測定される。簡潔にするために、以下の記述において、メラノピック露光量は単に「露光量」に短縮される。別途指定のない限り、「露光量」が参照される場合、これは、上記で定義したような「メラノピック露光量」を参照するものとして理解されるものとする。
【0011】
本発明のシステムは、とりわけ、患者に与えられる光の色温度を明示的に考慮に入れるように構成されている点において、従来技術からさらに区別される。光の生物学的効果が、ヒトのサーカディアン周期に対するその相対的影響(「メラノピック効果」として知られる)に関して、光の色温度に依存することが、最近発見されている。したがって、本発明者らは、光線療法スケジュールを作成するにあたって技術的システムによって容易に利用することができるように、光の複数の異なる色温度のこの相対的な生物学的効果を定量化するメラノピック重み付け係数のセットを決定した。したがって、本開示の目的のための「メラノピック露光量」は、色温度で重み付けされたメラノピック露光量(異なる色温度の光に対するヒトの相対的なメラノピック又は生物学的感受性に対してさらに調整されたルクス時単位のメラノピック露光量)を参照するものとして理解されるべきである。
【0012】
システムのコントローラは、関連するデータストアから相対重み付け係数のセットを取り出し、それに従って、処置期間の持続時間全体を通じて、目標メラノピック露光量が与えられるように、制御スケジュール内で光出力の強度及び色温度値を設定するように適合されている。
【0013】
光の色温度のメラノピック効果が考慮に入れられる、せん妄を低減するための照明スケジュールを作成することは、当該技術分野における既知のシステムからの大きな発展を表す。考慮に入れられるのは色温度だけではなく、システムは、色温度が制御可能である照明アセンブリを含む。それゆえ、コントローラはまた、制御スケジュールにおける複数の可変パラメータのうちの1つとして色温度を設定することが可能である。例えば、特定の実施形態において、ユーザは、好ましい色温度を指定し、その後、制御スケジュールが、特定の目標メラノピック露光量が与えられることを依然として保証しながら、その色の光を含むように決定される。
【0014】
特に、コントローラは、1つ又は複数の好ましい色温度値を示す色選好データを受信し、処置期間のうちの少なくとも一部分にわたって、光出力の色温度が好ましい色温度値を有するように、制御スケジュールを作成するように適合される。
【0015】
したがって、これらの実施形態は、与えられる光用量の正確さに影響を与えることなく、色温度がより大きく設定可能であることを可能にしながら、必要なメラノピック露光量を与える光出力治療の効率的な技術的実施を提供することが可能である。これによって、特定の色温度の光を選好する患者及びシステムのユーザにより幅広い選択肢が与えられ、また、光線処置を設定するにあたって臨床医により大きい柔軟性が与えられる。
【0016】
制御スケジュールを作成する効率を改善するために、制御スケジュールは、予め記憶されているスケジュールテンプレートに基づく。テンプレートは、固定時間部分及び設定可能時間部分を含み、コントローラは、2つの部分がともに、目標メラノピック露光量を与えるように、設定可能部分を決定するように適合されている。時間部分とは、処置期間全体の中の1つ又は複数の特定の時間期間に対応するスケジュールの部分を意味する。「固定」とは、その時間期間にわたる照度値の少なくとも一般的な傾向又はパターンが予め決定されており、コントローラによって変更又は設定されない所定の部分を意味する。固定時間部分及び設定可能時間部分の相対全長は設定可能である。固定時間部分は、時間的に不連続である複数の下位部分から形成される。
【0017】
例として、予め記憶されているスケジュールテンプレートは、固定である開始部分及び終了部分、並びに、設定可能である中央部分を有する。開始及び終了部分はともに、テンプレートの固定時間部分を形成する。好ましくは、開始及び終了部分は各々、中央部分よりも長さが短い。
【0018】
1つ又は複数の実施形態によれば、コントローラは、設定可能時間部分の間の平均照度レベルが、固定時間部分の間の平均照度レベルよりも大きいように、制御スケジュールを作成するように適合される。固定時間部分は、例えば、相対的に低いレベルのベースライン照度を提供し、一方で、設定可能部分は、与えられる露光量全体のうちの相当の部分を提供する。このより高いレベルの部分は、以下の例において、「ブースト」部分と称される場合がある。
【0019】
1つ又は複数の実施形態によれば、予め記憶されているテンプレートは、複数の中間固定時間部分によって分離されている、複数の設定可能時間部分を含む。予め記憶されているテンプレートに関連して上述されている変形形態及びオプションはまた、この実施形態の例にも適用される。
【0020】
上述したように、本発明の実施形態は、患者に与えられる光線療法プログラムの改善された設定可能性を提供する。処置スケジュールの様々なパラメータが、予め記憶されている設定に従って、又は、臨床医、他のユーザ若しくはさらには患者によってのいずれかで規定又は制約される。コントローラは、そのような規定の制約又はパラメータに従いながら目標メラノピック露光量を与えるのに適切な制御スケジュールを決定するように構成される。
【0021】
例えば、1つ又は複数の実施形態によれば、コントローラは、処置期間の間の光出力の照度の上限及び下限の指示、並びに、処置期間の少なくとも設定可能時間部分の持続時間の上限及び下限の指示をデータストアからさらに取り出し、上記値に従って制御スケジュールの少なくとも設定可能部分を作成するように適合される。これらの制限は、データストアにおいて予め設定され、又は、臨床医若しくは他のユーザによって記憶される。
【0022】
例えば、臨床医が、様々なパラメータ、この場合は、制御スケジュールの少なくとも設定可能部分の照度及び持続時間の境界レベルを設定することが可能であることが有利である。これは、例において、臨床的な理由、又は、単純に実用性若しくは患者選好の理由による。
【0023】
光線療法システムは、目標メラノピック露光量を示すデータ入力を受診するためのユーザ入力デバイスと、ユーザ出力デバイスとをさらに備え、目標メラノピック露光量を受信する前に、コントローラは、照度及び持続時間値の上限及び下限に基づいて、光色温度のセットの各々について照明アセンブリを使用して付与可能な最大及び最小メラノピック露光量を決定することと、各色温度の決定されている上記上限及び下限を通信するようにユーザ出力デバイスを制御することとを行うように適合される。
【0024】
これらの例によれば、コントローラは、データストアから取り出される制約に基づいて、光出力が様々な異なる色温度の各々において静的に設定される場合に、システムによって付与することができる最大及び最小総計露光量を計算する。光の異なる色温度の生物学的効果は異なるため、或る色温度における光出力は、他の色温度よりも大きい総計露光量を与えることが可能である。
【0025】
計算されている最大値及び最小値は、ユーザ出力デバイスを介してシステムのユーザ(例えば、臨床医)に通信される。例として、これはディスプレイであるが、無論、他のユーザ出力デバイスが、当業者には直ちに理解される。このように上限及び下限付与可能光容量を通信することによって、臨床医による臨床的意志決定が、システムの特定の技術的制約によって通知される。特定の露光量が要求される場合に、臨床医に、実際に可能な露光量、又は、少なくとも、患者が制限されることになる光色温度を事前に通知することによって、時間が節約される。
【0026】
場合によっては、通信される様々な可能な露光量は、臨床医が患者に必要と考える照射線量を除外する。この場合、臨床医は、(システムがこれらの値を調整することが可能であるように構成されている場合に)上記で参照されている持続時間又は照度の記憶されている上限及び下限を変更し得る。
【0027】
各色温度の付与可能な露光量の計算されている最大値及び最小値を通信した後、コントローラは、ユーザ又は臨床医によって、ユーザ入力デバイスを使用して入力される目標メラノピック露光量が受信されるのを待つ。目標メラノピック露光量が受信された後、コントローラは、持続時間及び照度の上限及び下限に基づいて、目標メラノピック露光量を与えるのに十分な以下のパラメータ、すなわち、
制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間の光出力の色温度、
制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の持続時間、及び、
制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間の光出力の照度レベルのうちの少なくとも1つの最大値及び最小値を決定するようにさらに適合される。
【0028】
コントローラは、その後、決定されている最大値及び最小値を通信するようにユーザ出力デバイスを制御し、上記パラメータのうちの1つ又は複数について、好ましい値を示すデータ入力をユーザ入力から受信し、処置期間のうちの少なくとも一部分にわたる光出力が上記好ましい値と一致するように、制御スケジュールを作成する。
【0029】
したがって、これらの実施形態による例は、治療に関する意思決定を通知するのに役立つ追加の情報を計算し、臨床医又はユーザに提供する。これは、与えられる処置の臨床的に重要な要素(処置の持続時間など)に関する意志決定、又は、単純に、個人的な選好(場合によっては、選好に従って患者によって選択され得る、光の色温度など)に関する決定である。列挙されているパラメータのうちの2つ以上の最大値及び最小値が通信される。
【0030】
コントローラは、例によっては、上記のパラメータのうちの1つ又は複数の所望の値又は範囲の入力が受信されるのを待ち、その後、残りのパラメータ(当てはまる場合)の達成可能な最大値及び最小値を再計算する。これらはその後、ユーザ出力を介して(臨床医のような)ユーザに再通信される。コントローラは、その後再び、表示されているパラメータのうちの1つの特定の値又は範囲が入力されるのを待つ。このプロセスは、治療のすべてのパラメータが設定されるまで続く。
【0031】
上記の実施形態において、データストアからのデータ、設定又はパラメータの取り出しが参照される。データストアは、例において、コントローラによって含まれるか、システムによって含まれる別個の構成要素であるか、又は、特許請求されるシステムの外部にあり、ただしコントローラに通信可能にリンクされる。2つ以上のデータストアがあってもよい。
【0032】
任意の実施形態によれば、システムの照明アセンブリは、各々がそれぞれのスペクトル放出プロファイルを有する複数の光源を備え、光出力の色温度の制御は、予め記憶されている設定データに基づいて、上記複数の光源の各々の光レベルを決定することを含む。予め記憶されている設定データは、データストアに記憶され、コントローラによって取り出される。データストアは、システムに対してローカルであるか、又は、システムから遠隔している。
【0033】
設定データは、例として、ルックアップテーブル、又は、所与の色の光を生成するために光源の各々の必要な動作設定若しくは出力設定が、様々な可能な色温度の各々について記憶される他のデータ構造を含む。光の色が指定されると、このテーブル又は他のデータ構造が調べられ、各光源について指示される設定が実施される。
【0034】
光線処置療法の一部として患者に与えられる光は、眼の中の光受容体によって光が実際に受け取られる場合にのみ、サーカディアンリズムに影響を及ぼす。したがって、与えられる光処置の実際の生物学的効果は、処置期間に対する、対象者の眼が開いたままである時間の割合に依存する。
【0035】
それゆえ、1つ又は複数の実施形態によれば、システムは、ユーザの眼が開いているか又は閉じているかを検出するための眼状態センサをさらに備え、センサは、コントローラと動作可能に結合され、コントローラは、目標露光量が与えられることを保証するために、センサからの読み値に基づいて制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間に光出力の持続時間、照度、及び/又は色温度を調整するように適合される。
【0036】
眼状態センサは、カメラのような光学センサであるか、又は、ユーザの1つ又は複数の眼が開いている及び/若しくは閉じているときを検知するか、若しくは、その指示を提供するのに適している任意の他のセンサである。コントローラは、フィードバックループを実施するように構成され、センサ読み値に基づいて、制御スケジュールは、与えられる光出力に対する患者の実際の光曝露の任意の低減に対抗するように修正される。したがって、制御スケジュールは、残りのスケジュールされている光曝露が目標露光量を与えるのに十分であるように、変更される(例えば、処置が延長又は増大される)。
【0037】
コントローラは、例えば、規定の検知期間にわたる眼状態センサからの読み値に基づいて、ユーザの眼が閉じられていた総計時間期間を計算し、上記総計時間期間だけ、制御スケジュールの少なくとも1つの時間部分の持続時間を延長する。
【0038】
付加的に又は代替的に、本発明のシステムは、コントローラと動作可能に結合され、使用時に、照明アセンブリの光路内にユーザが存在するか否かを検出するように構成されている存在センサを備え、コントローラは、目標メラノピック露光量が与えられることを保証するために、センサからの読み値に基づいて制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間に光出力の持続時間、照度、及び/又は色温度を調整するように適合される。このオプションは同じ原理に基づき、生成される光は、患者が実際に存在する期間のみにわたって必要な生物学的効果を及ぼし得る。
【0039】
与えられる露光量の精度を改善するため、システムはユーザに近位の光レベルを検知するように配置される光レベルセンサをさらに備え、コントローラは、目標メラノピック露光量が与えられることを保証するために、センサからの読み値に基づいて制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間に光出力の持続時間、照度、及び/又は色温度を調整するように適合される。
【0040】
任意選択的に、光レベルセンサは、ユーザの1つ又は複数の眼に近接して配置される。
【0041】
光レベルセンサからの読み値に基づいて、コントローラは、患者の位置において受け取られる光の実際の照度を決定する。測定照度が予測よりも低い場合、照明アセンブリの照度レベルは、補償するために増大され、測定照度が予測よりも高い場合には、低減される。このように、所望のメラノピック露光量が、より信頼可能に付与される。
【0042】
患者の眼の開閉に加えて、眼レンズ自体の透過率が、患者が受け取る光の量に影響を及ぼす。眼レンズの透過率は、年齢が増大するにつれて低減する傾向にある。したがって、1つ又は複数の実施形態によれば、コントローラは、
ユーザの年齢の指示をデータストアから取り出すことと、
種々の年齢のユーザの光に対する平均感受性に基づいて、年齢重み付け係数のセットをデータストアから取り出すことと、
目標露光量が与えられることを保証するために、取り出されている年齢及び重み付け係数に基づいて、制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間に光出力の持続時間、照度及び/又は色温度を調整することと
を行うようにさらに適合される。
【0043】
本発明のさらなる態様による例は、目標メラノピック露光量を与えるように照明アセンブリを制御することを含む、光治療方法を提供し、照明アセンブリは、制御可能な照度及び色温度を有する光出力を生成するように動作可能であり、方法は、
照明アセンブリによって付与するための目標メラノピック露光量を示すデータ入力を受信することと、
光の複数の異なる色温度の相対メラノピック効果に対応する1つ又は複数のメラノピック重み付け係数をデータストアから取り出すことと、
メラノピック重み付け係数に基づいて、規定の処置期間にわたって総計で、目標メラノピック露光量を与えるなどのために、照明アセンブリの照度及び色温度値を経時的に制御するための制御スケジュールを作成することと、
制御スケジュールに従って照明アセンブリを制御することと
を含む。
【0044】
ここで、添付の図面を参照して本発明の例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の一実施形態による、例示的な光線療法システムを示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による、例示的な光線療法システムの使用時の構成を示す概略図である。
図3】例示的な制御スケジュールテンプレートを示すグラフ図である。
図4】色温度の関数としての、メラノピック重み付け係数を示すグラフ図である。
図5】光の波長の関数としての、メラノピック重み付け係数を示すグラフ図である。
図6】例示的な制御スケジュールのグラフ図である。
図7】さらなる例示的な制御スケジュールテンプレートを示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
制御可能なメラノピック露光量を付与するための光線療法システムは、設定可能な照度及び色温度を有する光出力を生成するための照明アセンブリを含む。受信される目標メラノピック露光量に基づいて、システムのコントローラは、規定の処置期間にわたって総計で、指示されている目標メラノピック露光量が与えられるように、照明アセンブリのパラメータレベルを経時的に制御するための適切な制御スケジュールを構築する。制御スケジュールの構築において、異なる色温度の光に対するヒトの相対メラノピック感受性が考慮に入れられる。付与される光の色温度は、それに従って、色を調整した後に、与えられる露光量が入力目標露光量に一致するように制御される。
【0047】
ここで、図1から図7を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0048】
病室内の照明システムは、患者(特に患者のサーカディアンリズム)に対する光の臨床的効果よりも、介護人にとっての光の機能を中心として設計されていることが多い。本発明は、この問題に対処することを目標とする。
【0049】
本発明のシステムは、臨床医が、所与の患者に付与されることになる所望のメラノピック露光量を指定することを可能にし、システムは、患者が規定の用量の光を受けることを保証するように構成される。この目的のために、実施形態の好ましいセットによれば、システムは、最初に、臨床医の処方及び使用される照明アセンブリの特性に基づいて、規定の処置期間にわたる光の必要なタイミング、照度及び色温度を指定する調整された光線療法スケジュール又はプログラムを計算する。その後、コントローラは、スケジュールにおいて指定されているように光を与えるように、照明アセンブリを制御することによって、光線療法を実行する。
【0050】
特定の例において、加えて、フィードバックセンサが提供され、光線療法プログラムが、検出される周囲日光の量、検出される患者の存否、及び/又は、患者の眼が開いている若しくは閉じている持続時間に基づいて閉ループ構成に従って調整される。
【0051】
図1は、本発明の一実施形態による、例示的な光線療法システム12のブロック図を示す。図2は、例示的なシステム12の例示的な物理レイアウトを概略的に示す。
【0052】
システムは、制御可能な照度及び色温度を有する光出力を生成するように動作可能な照明アセンブリ16を備える。照明アセンブリは、光線療法制御ユニット20のコントローラ24に動作可能に結合される。光線療法制御ユニットは、ユーザインターフェース26並びに第1のデータストア30、第2のデータストア32及び第3のデータストア34をさらに備える。第1のデータストア30は、照明アセンブリに関係する設定及び仕様データを記憶し、第2のデータストアは、光の異なる色温度の相対的な生物学的効果に対応するメラノピック重み付け係数のセットを記憶し、第3のデータストアは、コントローラ24がそれに基づいて各制御スケジュールを作成する、1つ又は複数の制御スケジュールテンプレートのセットを備える。3つのデータストア30、32、34が図1の例において提供されているが、さらなる例において、これらは例えば、1つのデータストアに組み合わされ、及び/又は、コントローラ24によって一体的に含まれ、若しくは、照明システムに対して遠隔し、コントローラ24に通信可能にリンクされる。
【0053】
使用時、制御ユニット20のコントローラ24は、ユーザインターフェース26から、照明アセンブリ16によって付与するための目標メラノピック露光量を示すデータ入力28を受信するように適合される。コントローラは、光の様々な色温度に対する身体の異なる生物学的感受性に対応するメラノピック重み付け係数のセットをデータストアのうちの1つ(本例の目的のために、これは第2のデータストア32であると仮定される)から取り出すように適合される。これらのファクタ(及び場合によっては他のファクタ)に基づいて、コントローラは、規定の処置期間の過程にわたって総計で、目標メラノピック露光量を与えるなどのために、照明アセンブリの照度及び色温度値を経時的に制御するための制御スケジュールを作成するように適合される。コントローラはその後、照明アセンブリ16と適切に通信することによって、この制御スケジュールを実行するように構成される。
【0054】
照明アセンブリは、本例の目的のために、LEDベースの照明パネル16であると仮定される。これは例えば、使用時に、患者が中に横たわるか又は座ることになる処置ベッド66の上方に配置される照明アセンブリを示す図2に示されている。使用時に、光パネル16は、光出力68を、患者に与えるためにベッドに向かって下向きに放出する。
【0055】
本例の光パネル16は、各々が使用時に異なるスペクトル組成及び異なる色温度の光を放出する2つのLEDモジュールセット40、42を備えると仮定される。第1のLEDモジュールセット40は、寒色の色温度の光(広く5000ケルビンよりも大きい温度の光に対応する)を放出するように適合されており、第2のLEDモジュールセット42は、暖色の色温度の光(広く、約2700~3000ケルビンの範囲内の温度を有する光に対応する)を放出するように適合されている。
【0056】
2つのLEDモジュールセット40、42が同時に起動されるとき、各セットからの光の混合から形成される、合成された光出力が生成される。2つのモジュールセットの各々の相対光レベル(すなわち、パワー出力)を適切に制御することによって、広い範囲の異なる色温度の光を生成することができる。例えば、寒色LEDモジュールがより大きい相対パワーにおいて放出することによって、相対的に寒色の光出力が生成され、暖色LEDモジュールがより大きい相対パワーにおいて放出することによって、より暖色の相対色温度の光が生成される。
【0057】
照明アセンブリ16は、所与の色温度及び所与の照度の光出力を生成するなどのために、LEDモジュール40、42の相対光レベルを制御するためのローカル照明アセンブリコントローラ46をさらに備える。これは、必要な色温度及び照度を達成するために2つのLEDモジュール40、42のそれぞれの制御を容易にするローカル照明アセンブリドライバ46と関連付けて行われる。ドライバによる制御は、例としてデジタル調光照明インターフェース(DALI)プロトコルを含む任意の適切なアドレス指定プロトコルに従う。
【0058】
使用時に、コントローラ26が目標メラノピック露光量を与えるのに適した制御スケジュールを生成すると、コントローラ26は、照明アセンブリコントローラ46と通信して、照明アセンブリコントローラ46に、作成されているスケジュールに従う光出力を、適切な時点において生成するようにLEDモジュール40、42を制御するように指示する。
【0059】
LEDモジュールが、特に本例において使用されているが、これは本発明にとって必須ではない。本発明の一般的な概念は、単純に、制御可能な照度及び色温度を有する光出力を生成するように動作可能な照明アセンブリを必要とする。この概念の任意の構成又は技術的実施態様が適切であることになる。これは、他の形態の固体状態光源、又は、代替的に、例えば蛍光若しくは白熱光源を含む照明アセンブリを含み得る。2つの照明モジュールセット40、42が図1の例において提供される。しかしながら、ここでもこれは必須ではない。さらなる例において、より多数又はより少数が提供されてもよい。設定可能な色温度及び照度の合成光出力を生成するように動作可能な単一の照明モジュールが提供されてもよい。
【0060】
任意選択的に、システムは、目標メラノピック露光量の送達を保証するなどのために、光線療法スケジュールのパラメータの調整におけるフィードバックを提供するために、センサ54、56、58から成るアセンブリ50をさらに含む。この任意選択の態様は、下記により詳細に説明する。
【0061】
任意選択的にまた、システムは、医療記録システム62及び患者モニタリングシステム64を備える患者データ管理システム60と通信可能に結合される。これによって、与えられる光線療法を、患者のより広い臨床目標及び目的と統合することが可能になるとともに、いくつかの例では、特定の患者特有の臨床パラメータ又は必要性(年齢又は累積入院継続期間)に従った治療の適合が可能になる。この任意選択の態様も、以下のセクションにおいてより詳細に説明する。
【0062】
照明アセンブリの効果的な制御及び制御スケジュールの効率的な生成を容易にするために、制御ユニット20の、それぞれ照明アセンブリ、光の異なる色温度のメラノピック重み付け、及び制御スケジュールを生成するためのテンプレートと関連付けられる、第1のデータストア30、第2のデータストア32、及び第3のデータストア34の各々に、様々なデータセットが記憶される。
【0063】
第1のデータストア30は好ましくは、照明アセンブリ16と関連付けられる2つの主要なデータセットを記憶する。第1に、データストア30は、LEDモジュール40、42の光レベル(例えば、DALI光レベル)のすべての可能性のある組み合わせについて、照明アセンブリによって生成される光の結果もたらされる色温度を列挙している表(又は他の適切なデータ構造)を記憶する。
【0064】
下記の表1は、暖色LEDモジュールセット42及び寒色(白色)LEDモジュールセット40を有する、図1にあるような照明アセンブリの、例示的なそのような色温度表(の抜粋)を示す。表1は、例えば、寒白色LEDモジュールが190の(DALI)光レベルにおいて駆動され、暖白色LEDモジュールが65の(DALI)光レベルにおいて駆動される場合、結果もたらされる色温度は5000ケルビンであることを示す。
【0065】
【表1】
【0066】
このデータセットは、コントローラ24によって、照明アセンブリ16に対する、特定の色の光出力を生成することを可能にするための適切な制御命令を提供するために使用される。
【0067】
表1のもののようなデータセットは、所与の照明アセンブリ16について、複数の異なるLEDモジュール40、42の光レベル設定を変化させ、合成光出力の結果もたらされる色温度を測定することによって経験的に生成される。これは、例えば、光レベル設定のすべての可能な組み合わせを迅速に掃引し、対応する光出力色温度を測定するように構成されているコントローラを提供することによって、データ収集を加速するために、技術的に実施され得る。
【0068】
代替的に、いくつかの事例において、照明アセンブリ16には、製造業者によってそのようなデータセットが提供される。
【0069】
色温度表に加えて、第1のデータストア30は好ましくはまた、照明アセンブリ16を使用して生成することができる光出力の最大及び最小の可能な照度を列挙する表(又は他のデータ構造)をも記憶する。これは一般的に、照明アセンブリの構成要素照明モジュール40、42の各々の最大及び最小照度の関数である。この表は、とりわけ、コントローラによって、照明アセンブリ16に提供される制御命令が、その動作パラメータの外部にないことを保証するために使用される。そのような制御命令は、動作エラーをもたらす場合がある。
【0070】
表2は、そのような照度データ表の一例を示す。この例において、例えば、表は、関連する照明アセンブリ16の最大照度が2000ルクス(及び、最小値は0)であることを示している。好ましくは、この表の照度は、患者の位置に置いて、さらにより好ましくは患者の眼の位置において測定されるものとしての照度を示す。
【0071】
【表2】
【0072】
しかしながら、与えられる光線療法の正確さを改善するために、好ましくは、データセットは、その場で経験的に生成される。これは、観測される色温度が、光線療法システムが操作される環境条件に依存するためである。各光レベルセットについての結果もたらされる色温度の測定は、好ましくは、患者の可能性の高い又は実際の位置の可能な限り近くにおいて行われるべきである。
【0073】
好ましくは、光線療法システム12は、様々な異なる特定の照明アセンブリをサポートするように構成される。この目的のために、第1のデータストア30は好ましくは、各サポートされる照明アセンブリの設定データ(上記データセットの各々の設定データを含む)を含む。設置時において、正確な照明アセンブリに対応するデータがコントローラ(又はユーザ)によって、接続されている照明アセンブリのコントローラによる自動検出に基づいて、又は、ユーザインターフェース26を介して提供されるユーザ入力に基づいてのいずれかで、選択される。
【0074】
上述したように、患者のサーカディアンリズムに対する光の生物学的効果は、光の色温度に依存する。コントローラ24は、制御スケジュールを作成するときに、これらの異なる効果を考慮に入れるように構成されている。これを容易にするために、第2のデータストア32は、光の各可能な色温度に対するメラノピック重み付け係数のセットを記憶する。いくつかの例において、照明アセンブリが生成することが可能な色温度のみに対する重み付け係数を列挙した専用の表が、本システムと適合する各照明アセンブリ16に対して提供される。他の例においては、すべての可能な色温度(又は少なくとも広い範囲)に対応する重み付け係数を列挙した単一の包括的なリストが提供される。このリストは、任意の照明アセンブリについて調べられる。
【0075】
下記の表3は、重み付け係数の例示的なセットの抜粋を示す。係数が高くなるほど、生物学的効果が高くなる。表3は、例えば、照明パネルが5000ケルビンの色温度において操作される場合、メラノピック係数は0.903であることを示す。
【0076】
【表3】
【0077】
表に記載されている値の間に入る色温度に対応するメラノピック重み付け係数のおおよその値は、表内の隣接するデータ点間の線形補間によって導出される。例えば、3000Kの色温度のおおよその重み付け係数を導出するためには、2670Kと4002Kとの間で線形補間が適用される。
【0078】
代替的に、中間色温度のメラノピック重み付け係数は、図3に示すグラフを使用してより正確に決定される。グラフは、メラノピック重み付け係数(y軸)対色温度(x軸)の曲線を提供する。曲線が及ぶ任意の色温度のメラノピック重み付け係数は、単純に、グラフから値を読み取ることによって決定される。
【0079】
表3の値とグラフに示される関係との両方は、異なる単色波長の光の様々なメラノピック効果の研究に基づいて決定されている。この研究は、光の波長と、ヒトのサーカディアンリズムに対するその生物学的効果との間に明確な関係が確立されることを示している。図4は、確立されている傾向を示しており、y軸は相対的なメラノピック効果を示し、x軸は波長(単位はnm)を示す。このグラフは、ドイツ規格協会(DIN)広報「DIN SPEC 5031-100: Optical radiation physics and illuminating engineering - Part 100: Melanopic effects of ocular light on human beings - Quantities, symbols and action spectra」(16ページ)から採られている。グラフに使用されている値は、同文献において付録C(27~29ページ)に表形式で示されている。
【0080】
本発明は、これらの効果が光、特に特定の色温度の光のより複雑なスペクトル組成においてどのように現れるかを考慮することによって、この研究がより現実的な臨床設定に有用に適用されるという洞察に基づく。当業者にはよく知られているように、光源の色温度は、相当する色の光を光源のそれに放射する理想的な黒体放射体の温度を指す。所与の温度の光の黒体放出スペクトルは、例えば、プランクの黒体放射法則を使用して第1原理から容易に導出可能であるが、具体的には光色度のコンテキストにおけるスペクトルは、それら自体で独立して良好に確立されており、当該技術分野における共通の一般知識の一部を形成する。
【0081】
図4のグラフに示す関係、及び、異なる色温度の光の既知のスペクトル組成を使用して、任意の色温度の光のメラノピック重み付け係数は、単純に、光のスペクトル成分の各々のメラノピック係数の、スペクトル組成におけるそれらの相対振幅又は強度によって重み付けされた加重和を計算することによって、第1原理から導出される。
【0082】
上述したように、制御ユニット20のコントローラ24は、好ましくはユーザインターフェース26を介して、照明アセンブリ12によって付与するための目標メラノピック露光量を示すデータ入力28を受信するように構成される。コントローラはその後、データストア(図1の例では、第2のデータストア32)から取り出されるメラノピック重み付け係数に基づいて、目標露光量を与えるように照明アセンブリ16を適切に制御するための制御スケジュールを生成するように構成される。
【0083】
好ましい実施形態セットによれば、コントローラ24は、予め記憶されている制御スケジュールテンプレートに基づいて各制御スケジュールを生成するように適合されている。1つ又は複数の適切なスケジュールテンプレートは、例えば、ローカルデータストアに記憶される。図1の例の目的のために、これらは、制御ユニット20の第3のデータストア34に記憶されるものと解釈される。
【0084】
図5は、例示的な制御スケジュールテンプレート70をグラフ形式で概略的に示す。テンプレートは、時間(x軸、単位は時間)の関数として照度(y軸、単位は[ルクス])を示す(不完全な)折れ線グラフの形態で提示されている。テンプレートは、事前に設定されており、開始セクション74a及び終了セクション74bの組み合わせから形成される固定時間部分74と、コントローラ24によって生成するための設定可能時間部分76とを含む。固定時間部分は、所定のものであり、時間に対する照度の固定パターン又は曲線に従う。設定可能時間部分は、必要なメラノピック露光量に基づいて、コントローラによって設定可能である。
【0085】
コントローラ24は、テンプレート70が取り出されると、設定可能時間部分76を生成し、それによって、固定部分74及び設定可能部分から形成される制御スケジュール全体を作成する。この例におけるスケジュール全体は、06:00~22:00の16時間の総計処置期間78にわたって延伸する。これは、処置期間78の持続時間にわたる制御スケジュール71全体(の少なくとも照度値)をグラフ形式で示す図6に示されている。制御スケジュール71全体は、処置期間の始まりから終わりまで延伸する連続的な処置「曲線」72を形成する。
【0086】
図6から分かるように、固定部分74は、低レベルベースライン光出力を提供し、一方で、設定可能部分76は、固定部分よりも著しく高い照度の光出力を含む、露光量の相当部分を提供する。この理由から、設定可能部分は、以下の説明において、「ブースト」部分と称される場合がある。
【0087】
照明アセンブリ16を制御するための制御スケジュール71を作成するとき、コントローラ24は、図5に示すような制御スケジュールテンプレート70を第3のデータストア34から取り出し、全処置期間78にわたって総計で、目標メラノピック露光量が与えられるように、設定可能時間部分76を設定する。好ましい例において、設定可能部分76の持続時間82と最大照度レベル84の両方が設定可能である。いくつかの例において、処置期間78の総計持続時間は固定であり、結果、設定可能部分の持続時間が調整される結果として、固定部分74の総計持続時間が対応して変更される。しかしながら、さらなる例において、処置期間78は、延長可能であり、この場合、設定可能部分の持続時間を延長又は低減する結果として、単純に、総計処置期間が同量だけ延長又は低減される。
【0088】
図5及び図6のテンプレート70及び完全な制御スケジュール71のグラフ表現は、経時的な照度値(y軸)の変動のみを示す。しかしながら、スケジュールテンプレート70及び完全なスケジュール71はまた、両方とも、固定時間期間74中の固定色温度値及び設定可能部分76中の設定可能値を含む、色温度値をも含む。
【0089】
これは、例示的な制御スケジュールテンプレートを表形式で示す、下記の表4により明確に示されている。表は、予め構成されている開始部分74a及び終了部分74bの間に、照度及び色温度が各々開始セクション74a中にわずかに増大し、終了セクション74b中に低減することを示す。特に、照度は6:30の時間における0ルクスから7:00の時間における300ルクスまで線形的に増大する。色温度は、この時間の間に、2700ケルビンから3000ケルビンへと漸進的に増大する。
【0090】
表4内の灰色のセルは、コントローラによって設定可能であるパラメータ値を示す。最初にテンプレートが取り出されたとき、これらの値はブランクであり、コントローラによって、目標メラノピック露光量を与えるように計算されなければならない。このように完成されるテンプレートが、制御スケジュール全体を形成する。
【0091】
【表4】
【0092】
ここで、制御スケジュールを作成し、光線療法プログラムを付与するためのシステムの1つの例示的な実施態様を詳細に説明する。この例は、特許請求の範囲において規定されるような本発明の広い一般的な範囲の限定として解釈されるべきではなく、1つの可能な実施態様の例示を提供するに過ぎない。
【0093】
少なくとも1つの実施形態セットによれば、システム12の実施態様は、3つの段階、すなわち、初期設定段階、光線療法処方段階、及び光線療法実行段階から構成される。
【0094】
初期設定段階の間、臨床医又は他のユーザが、制御スケジュールテンプレート70の設定可能部分76のパラメータに対する一定の境界又は制約を設定する。例えば、臨床医は、制御スケジュール71の設定可能部分76の持続時間82に対する上限及び下限、並びに/又は、設定可能部分中の照度84の上限及び下限を設定することを所望する。下記の表5は、そのような制約の例示的なセットを示す。表は、制御ユニット20のデータストア30、32、34のうちの1つに記憶され得る例示的な光線療法設定表を表し、この表において、ユーザは、例として、設定可能部分の持続時間が2~10時間に制約されるべきであり、最大照度レベルが500~2000ルクス(2000ルクスは、この事例において、いずれにしても、本例の照明アセンブリの達成可能な最大照度であることに留意されたい。表2参照)に制約されるべきであることを示している。
【0095】
【表5】
【0096】
加えて、初期設定段階の間、制御ユニット20のコントローラ24は、臨床医によって設定される光線療法制約(表5)及び第2のデータストア32に記憶されているメラノピック重み付け係数(表3)に基づいて、異なる光出力色温度のセットの各々について、照明アセンブリ16によって付与可能な最大及び最小の可能なメラノピック露光量を計算する。これらはその後、メラノピック露光量表の形態で第1のデータストア30に記憶される。
【0097】
例示的なそのような表(の抜粋)が下記の表6に与えられる。表6は、例えば、5000ケルビンの色温度によって、付与可能なメラノピック露光量は903ルクス時~18060ルクス時に及ぶことを示す。これらの値は、メラノピック計数表(表3)及び光線療法曲線設定表(表5)に与えられている情報から計算される。最小付与可能露光量は500ルクス×2時間=1000ルクス時である。最大付与可能露光量は2000ルクス×10時間=20000ルクス時である。
【0098】
その後、関連するメラノピック係数(表3によれば5000ケルビンの色温度に対しては0.903)を補正係数として適用することによって、色補正メラノピック露光量範囲が、表6に示すように導出される。特に、最小メラノピック露光量は0.903×1000ルクス時=903ルクス時である。最大メラノピック露光量は0.903×20000ルクス時=18060ルクス時である。
【0099】
【表6】
【0100】
光線療法設定表(表5)及びメラノピック露光量表(表6)が生成されると、初期設定段階は完了する。その後、光線療法処方段階が後続する。
【0101】
光線療法処方段階において、臨床医は、制御ユニット20のユーザインターフェース26によって、所望の光線療法を処方する。例示的なユーザインターフェースは、患者ベッド66の後方に位置決めされている制御ユニット20を示す図2に概略的に示されている。この例におけるユニットは、ユーザインターフェースのユーザ出力デバイスとして作用するディスプレイ67を備える。ユニットはまた、ユーザ入力のための手段をも備える。これは、例えば別個のキーボード若しくは他の入力デバイスであり、又は、ディスプレイは、ユーザ入力を可能にするタッチディスプレイである。
【0102】
光線療法処方を受け取るために臨床医と対話するための例示的なステップは以下のとおりである。
【0103】
最初に、コントローラ24が、第1のデータストア30に記憶されているメラノピック露光量表(表6参照)から最小及び最大付与可能メラノピック露光量を取り出し、これらをディスプレイ67に表示する。
【0104】
ユーザ(例えば、臨床医)はその後、ユーザインターフェース26を使用して、付与されるべきメラノピック露光量を選択する。これが、目標メラノピック露光量になる。例として、ユーザが15600ルクス時の目標露光量を選択すると考える。
【0105】
これに従って、コントローラ24は、選択されているメラノピック露光量に基づいて、照明アセンブリによって与えられる光の最小及び最大の可能な色温度を決定し、表示する。これは、記憶されているメラノピック露光量表(表6)を使用して計算される。表から、15600ルクス時の露光量には、少なくとも4002ケルビンの色温度が必要であることが分かる。
【0106】
ユーザはその後、好ましい色温度を選択する。例として、ユーザが5000ケルビンの色温度を選択すると考える。
【0107】
本例において、ユーザはこの段階で、好ましい色温度を選択するオプションのみを提示されるが、他の例において、コントローラは、以下のパラメータ、すなわち、色温度、制御スケジュールの設定可能部分76の持続時間82、及び、設定可能部分の間の光出力の照度レベル84のうちのいずか1つ又は複数について、最小及び最大付与可能値を計算することが留意される。これらのうちのいずれか又はすべては、ディスプレイ67を介してユーザに表示され、ユーザは、これらのパラメータのうちの1つ又は複数の好ましい値を選択するオプションを与えられる。
【0108】
本例に戻って、好ましい色温度値を受信した後、コントローラ24はその後、制御スケジュールの設定可能部分76の可能な最小及び最大持続時間を決定し、表示する。可能な値は、指示されている目標メラノピック露光量及び好ましい光色温度に基づいて決定され、メラノピック露光量表(表6)、光線療法曲線設定表(表5)、及びメラノピック係数表(表3)を参照することによって計算される。
【0109】
本例については、5000ケルビンの好ましい色温度が選択されたと仮定された。設定可能時間部分76の最小の可能な持続時間は、2000ルクスの最大照度レベルがこの時間部分全体を通じて均一に適用されると仮定することによって、15600ルクス時/(2000ルクス*0.903)=8.6時間と計算される。
【0110】
設定可能時間部分76の最大の可能な持続時間は、500ルクスの最小照度レベルがこの時間部分全体を通じて均一に適用されると仮定することによって、15600ルクス時/(500ルクス*0.903)=34.6時間と計算される。しかしながら、初期設定段階において、ユーザ(この例では、臨床医)が制御スケジュールの設定可能時間部分の最大持続時間を10時間(表5)に制約しているため、最大持続時間は10時間の上限を定められる。
【0111】
コントローラはまた、この段階において同時に、制御スケジュールの設定可能部分の最小及び最大の可能な照度レベルも決定し、表示する。これらはここでも、目標メラノピック露光量及び受信されている好ましい色温度に基づいて決定され、メラノピック露光量表(表6)、光線療法曲線設定表(表5)、及びメラノピック重み付け係数表(表3)を使用して計算される。計算を単純にするために、少なくともいくつかの例によれば、コントローラは、均一な照度の光が制御スケジュール71の設定可能部分76の持続時間82全体を通じて与えられるように、制御スケジュールを作成する。
【0112】
最小照度レベルは、設定可能時間部分76の10時間の最大持続時間82が適用されると仮定することによって、15600ルクス時/(10時間*0.903)=1728ルクスと計算される。最大照度レベルは、2時間の最小持続時間が適用されると仮定することによって、15600ルクス時/(2時間*0.903)=8638ルクスと計算される。しかしながら、ユーザは最大照度レベルが2000ルクスであると設定しているため、最大値は2000ルクスの上限を定められる。
【0113】
制御スケジュール71の設定可能部分76のこのように計算された最大及び最小の可能な照度レベル及び持続時間は、ユーザインターフェース26のディスプレイ67を使用して表示される。ユーザはその後、好ましい持続時間又は好ましい照度レベルのいずれかを入力する。ユーザが好ましい持続時間を入力する場合、コントローラは、入力持続時間に基づいて、目標メラノピック露光量を与えるための対応する適切な照度レベルを計算する。ユーザが好ましい照度レベルを入力する場合、コントローラは同様に、入力照度レベルに基づいて、目標露光量を与えるための対応する適切な持続時間を計算する。
【0114】
本例において、コントローラは、設定可能部分の持続時間と照度レベルの両方について最大値及び最小値を同時に計算し、表示するように構成されているが、さらなる例においては、これらのうちの1つのみが決定され、表示されることが留意される。いずれが計算され、表示されるかは、1つ又は複数の例によれば、ユーザによって、初期設定段階の一部として設定される。
【0115】
本例の目的のために、ユーザが、制御スケジュール71の9時間の設定可能部分76の好ましい持続時間を選択することが、例示のために仮定される。このとき、必要な照度レベルは15600ルクス時/(9時間*0.903)=1920ルクスのように計算することができる。これは、スケジュールの設定可能部分76の持続時間82全体を通じて均一な照度レベルが適用されることを仮定する。
【0116】
入力されている好ましいパラメータ値及び計算されているパラメータ値の全体に基づいて、並びに、制御スケジュールテンプレート70の固定時間部分74a、74bの間の固定パラメータ値にも基づいて、コントローラ24は、処置期間78の持続時間にわたる照明アセンブリ16の照度及び色温度値の制御スケジュールを作成する。上記の例に提示されている例示的な値に従って作成されるスケジュール全体は、下記の表7に示す。
【0117】
【表7】
【0118】
表7の光線療法の制御スケジュールがこのように作成されると、コントローラ24は、制御スケジュール全体を通じた光の各色温度について、それらの光色温度を達成するのに必要な、照明アセンブリ16のLEDモジュール40、42の各々の適切なパワーレベルを決定するように構成されている。これらのパワーレベルは、好ましくは、第1のデータストア30に予め記憶されている適切な色温度表に基づいて決定される(図1のシステム内の例示の照明アセンブリに関して、上記の表1参照)。
【0119】
上記で言及したように、パワーレベルは、1つ又は複数の例によれば、DALIアドレス指定プロトコルを使用して体系化される。表8は、上記表7の例示的な制御スケジュールの色温度値に基づく、図1の例示的なシステムの照明アセンブリ16の寒白色40及び暖色42のLEDモジュールのそのような例示的な(DALI)パワーレベルセットを示す。表1の色温度表が、各光色温度の必要なDALI光レベルを計算するために使用されている。
【0120】
【表8】
【0121】
述べられているように、上記表8のDALI光レベルのセットは、表1の色温度値に基づいて計算されている。しかしながら、この表の値は、照明アセンブリ16が最大照度、すなわち、2000ルクスにおいて動作しているという仮定に基づいて計算されている(上記表2参照)。
【0122】
本例について、照度は、2000ルクスの最大値よりも低く、したがって、表8のパワーレベルには補正が適用されなければならない。
【0123】
この目的のために、コントローラ24は、制御スケジュール71の設定可能部分76中の照度レベルと、この時間期間中の照明アセンブリの最大照度との間の比を計算する。これはその後、補正係数として、設定可能時間部分に対応する表8のDALI光レベル値に適用される。結果もたらされる最終的なDALI光レベルスケジュールを、下記表9に示す。
【0124】
【表9】
【0125】
本例について、設定可能時間部分76の間、照度レベルは1920ルクスに設定されている。それゆえ、スケジュールのこの部分の間の値の補正係数は、1920ルクス/2000ルクス=0.96である。スケジュールの設定可能部分の間の寒白色LEDモジュール40の結果もたらされるDALI光レベルは、190*0.96=182である。設定可能部分の間の暖色LEDモジュール42の結果もたらされるDALI光レベルは、65*0.96=62である。
【0126】
制御スケジュールの固定時間部分74についても、同じ補正プロセスが実施されなければならない。この部分の間の照度は変化し、すべての事例において、設定可能時間部分76全体を通じて照度よりも大幅に低い。必要な計算を実施する方法は当業者には明らかであるため、固定部分の間のすべての照度レベルに対する補正係数の計算は、ここでは網羅的に繰り返さない。単一の例として07:00の時間における照度は300ルクスである。したがって、補正係数は、300/2000=0.15である。この補正係数を、07:00の表8のDALI光レベルに適用することによって、寒白色LEDモジュール40については6(=42*0.15)の値がもたらされ、暖色42のLEDモジュール42については32(=213*0.15)の値がもたらされる。
【0127】
少なくともいくつかの例によれば、各制御スケジュールテンプレート70の固定時間部分の補正済みDALI光レベルは、照明システムと適合する各照明アセンブリについて、予め計算され、第1のデータストア30に記憶される。これは、固定部分の間の照度レベルが予め設定されているために、可能である。各制御スケジュールテンプレートの補正済みDALI光レベルを予め記憶することによって、各完全な制御スケジュール71の作成におけるシステムの処理効率が増大する。
【0128】
表9の例にあるような、補正済み光レベルスケジュールが導出されると、これは、例えば、第3のデータストア34に記憶される。
【0129】
このとき、光線療法処方段階が完了する。最終段階は、作成された制御スケジュールが実行される光線療法実行段階である。
【0130】
この段階によれば、コントローラ24は、導出されている光レベルスケジュール(表9)に従ってLEDモジュール40、42の光レベルを変化させるように、照明アセンブリ16を制御するように構成される。
【0131】
この目的のために、コントローラ24は、以下の一連のステップを反復的に(すなわち、一定の時間間隔をおいて)実施するように適合されている。
1.記憶されている光レベルスケジュール(表9)を取り出す又は読み出す。
2.現在の時刻を決定する。
3.現在の時刻に対応する光レベルスケジュールの行を識別し、したがって、現在の時刻の寒白色LEDモジュール40暖白色LEDモジュールの必要なDALI光レベルを識別する。現在の時刻が光レベルスケジュールの複数の時点の間である場合、コントローラは、光レベルが複数の時点の間で線形的に増大又は低減するはずであると仮定するように適合される。例えば、図8を参照して、時刻が07:45であるとすると、寒白色LEDモジュール40の光レベルは、6と182との間の半分、すなわち、94のレベルに設定される。暖色LEDモジュール42は、32と62との間の半分、すなわち47に設定される。
4.所与の時点のLEDモジュール40、42の各々の必要な光レベルを照明アセンブリコントローラ44に通信する。
【0132】
その後、照明アセンブリコントローラ44は、受信されている必要な光レベルに従って、照明アセンブリのドライバモジュール46に指示する。その後、ドライバモジュール(本例ではDALIドライバモジュール)は、それに応じてLEDモジュール40、42を制御する。
【0133】
コントローラは、制御スケジュールの複数の異なる時点がどれだけ近く離間されているかに応じて、非限定例として、10秒ごと、30秒ごと、又は5秒ごとに、上記一連のステップを繰り返すように適合される。
【0134】
1つ又は複数の実施形態によれば、照明システム12は、照明アセンブリの制御又は制御スケジュール71の作成においてフィードバックを提供するための1つ又は複数のセンサをさらに備える。例として、図1の例示的な照明アセンブリは、存在センサ54、眼状態センサ56及び光レベルセンサ58を含む、そのようなセンサのアセンブリ50を備える。センサは、例えば、フィードバックループを促進し、制御スケジュールは、センサからの読み値に従って調整される。他の例示的な照明システム12は、これらのセンサのいずれをも備えず、又は、これらのセンサのうちの1つ若しくは複数から成るサブセット、及び、任意選択的にさらなる追加の若しくは代替的なセンサを備える。2つ以上の任意の所与のタイプのセンサが提供されてもよい。
【0135】
コントローラ24と動作可能に結合されている、例による存在センサ54が提供され、使用時に、照明アセンブリの近傍内に患者が存在するか否かを検出するように構成される。存在センサは、照明アセンブリ16の光出力経路内にユーザ(患者など)が存在するか否かを検出するように適合される。照明アセンブリの光出力経路の軌跡は事前に分かっており(例えば、システムが固定空間構成を有する場合)、この場合、存在センサは、照明アセンブリの投影位置に向けられた固定視野を有して構成することができる。例えば、図2を参照すると、照明アセンブリ16の光出力経路は、患者ベッド66に向かっていることが分かる。この場合、存在センサは、ベッドの少なくとも部分領域に向けられた視野を有して構成される。
【0136】
コントローラは、患者がいないことが検出されると、制御スケジュールの実行を停止し、患者が戻ったことが検出されると、制御スケジュールを継続するように適合される。これによって、スケジュールされている処置の部分が逃されないこと、及び、患者が処方されているメラノピック露光量のすべてを受けることが保証される。
【0137】
代替的に、コントローラ24は、目標露光量が与えられることを保証するために、センサからの読み値に基づいて、制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間に光出力の持続時間、照度及び/又は色温度を調整するように適合される。患者が調整されたスケジュールの残りの部分にわたって存在したままであると仮定して、患者が目標メラノピック露光量のすべてを受けるように、スケジュール71が延長され、又は、設定可能部分76の間の照度が増大される。
【0138】
1つ又は複数の例によれば、システムは、患者の眼が開いているか又は閉じているかを検出するように適合されている眼状態センサ56を含む。これは、眼追跡センサであるか、又は、カメラ若しくは異なる種類の光学センサであるか、或いは、超音波又は音響センサのような、述べられている目的に適した任意の他の形態のセンサである。センサは、眼の状態の変化のみを検出するように動作可能であり(すなわち、絶対的な状態ではない)、そのため、較正を必要とする。代替的に、センサは、任意の所与の瞬間において、患者の眼が開いているか又は閉じているかを検出するように動作可能であってもよい。
【0139】
コントローラは、センサからの読み値に基づいて制御スケジュールを調整するように構成される。例えば、コントローラは、患者の眼が閉じていることが検出されると、制御スケジュールの実行を停止し、患者が再び眼を開いたことが検出されると、制御スケジュールの実行を継続するように適合される。
【0140】
代替的に、患者の眼が閉じているものとして検出される時間を補償するために、制御スケジュール71の少なくとも設定可能部分76の持続時間が延長されるか、又は、設定可能部分の間の照度レベルが増大される。
【0141】
特に、コントローラ24は、目標露光量が与えられることを保証するために、センサからの読み値に基づいて、制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間に光出力の持続時間、照度及び/又は色温度を調整するように適合される。
【0142】
コントローラ24は、規定の検知期間にわたる眼状態センサからの読み値に基づいて、ユーザの眼が閉じられていた総計時間期間を計算し、上記総計時間期間だけ、制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の持続時間を延長するように適合される。
【0143】
眼センサからの読み値に加えて又はそれに代えて、コントローラ24は、任意選択的に、関連付けられる患者モニタリングシステムと通信するように適合される。患者モニタリングシステムは、患者に付与されている他の処置若しくは薬剤に関する情報、又は、患者の他の生理的パラメータを記憶するか、又は、他の様態でコントローラに提供するように適合される。例示的な患者モニタリングシステムが図1に概略的に示される。
【0144】
1つ又は複数の例によれば、システムは、光線療法が付与されるべきである患者に近接して又は患者の位置において光のレベルを検出するための光センサを備える。好ましくは、センサは、患者の眼の近位の位置における光レベルを検知するように位置決め又は適合されている。いくつかの例によれば、コントローラ24は、所与の瞬間において、患者の眼における光レベルが制御スケジュールにおいて指定されているレベルよりも低いことが検出されるのに応答して、照明アセンブリ16の光出力の照度を増大させ、逆に、測定レベルがその時点における予測レベルよりも高い場合には、光レベルを低減するように適合される。後者の場合、照度の低減は、患者にとって有害であるか又は処置の有効性に影響を与える光の過剰摂取を回避する。センサは、照明アセンブリの照度が、例えば、環境光レベルに従って調整されることを可能にし、結果、照明アセンブリの照度を低下させることによって、大量の外部光を補償することができる。
【0145】
例によれば、より一般的に、コントローラは、目標露光量が与えられることを保証するために、センサからの読み値に基づいて、制御スケジュールの少なくとも設定可能時間部分の間に光出力の持続時間、照度及び/又は色温度を調整するように適合され、任意選択的に、光レベルセンサは、ユーザの1つ又は複数の眼に近接して配置される。
【0146】
1つ又は複数の例によれば、光線療法システム12は、上述したセンサの3つすべてを含む。3つすべてを組み合わせることによって、システムは、患者によって受け取られる実際のメラノピック露光量のおおよその測度を導出することが可能である。3つのセンサはともに、患者がいない瞬間、患者歯存在するが患者の眼が閉じている瞬間、及び、患者の位置において受け取られる光の測定レベルを考慮に入れることが可能である。
【0147】
パラメータのそのような組み合わせによって、必要な目標メラノピック露光量をより正確に与えることが可能である。例えば、上記で言及したように、治療スケジュールは、センサからの読み値に応じて調整され、結果、目標メラノピック露光量がより正確に与えられる。
【0148】
上記図1の例において、照明アセンブリ16は、2つのLEDモジュールセット、すなわち、寒白色LEDモジュール及び暖色LEDモジュールを含む光パネルであると解釈されている。しかしながら、さらなる例によれば、異なる照明アセンブリが使用される。単一のタイプのLEDモジュールのみ(例えば、寒色のみ又は暖色のみの光)を備える照明アセンブリが使用されてもよい。例えば、3つ若しくは4つ又は5つ以上など、3つ以上のタイプのLEDモジュールを備える照明アセンブリが使用されてもよい(例えば、寒色、暖色及び中間の白色LEDモジュール又は異なる色のLEDの組み合わせ)。
【0149】
より多くのLEDモジュールを使用することによって、より豊富な又はより広範囲の光色温度が達成されることが可能である。これによって、患者が選好する特定の光色に関して患者により幅広い選択肢が与えられ、又は、光の色が臨床的因子である場合に、より幅広い臨床オプションが臨床医に与えられる。加えて、光のメラノピック効果は色に依存するため、利用可能な色の範囲を拡大することによって、所望のメラノピック露光量が与えられ得る精度が改善され、又は、所与の露光量を達成するためにより幅広い設定オプションが与えられる。
【0150】
エントレインメントに対する光の生物学的効果(「メラノピック効果」)は、光曝露の長さ、付与される光の強度(すなわち、照度)及び光の色温度に依存する。眼の中の光受容体によって光が実際に受け取られる場合にのみ、光はサーカディアンリズムに影響を及ぼすことに留意することも重要である。それゆえ、光の効果はまた、眼が開いているか又は閉じている時間の割合及び眼レンズの透過率にも依存する。眼レンズの透過率は、年齢が増大するとともに低減することが分かっている。
【0151】
したがって、制御スケジュール71は、1つ又は複数の例によれば、患者の年齢に応じて適合される。例えば、表9の光レベルスケジュールの光レベル値又は表7の制御スケジュールの照度値が、適切な年齢補正係数を適用することによって調整される。年齢補正係数は、より高齢の患者に対して適用される照度が増大するように、年齢が増大するとともに上昇する。同様に、補正係数は、レンズ透過率がより高い、より若齢の患者に対しては、適用される照度を低減するように構成される。
【0152】
年齢補正係数の例示的なセットを下記の表10に示す。
【0153】
【表10】
【0154】
1つ又は複数の例によれば、患者の年齢は、コントローラが通信可能にリンクされている患者データ管理システムから取り出される。これは、電子医療記録システム62及び患者モニタリングシステム64を備える任意選択的な患者データ管理システム60を示す図1に示されている。患者データ管理システムは、光線療法システム12の外部にあり、単純に、コントローラ24と通信可能にリンクされる。患者の年齢は、電子医療記録システム62に記憶される。
【0155】
患者モニタリングシステム64は、1つ又は複数の例によれば、患者に付与されている他の補助処置に関する情報、又は、モニタリングされている患者の他の生理的パラメータを記憶及び/又はモニタリングするように適合される。この情報は、任意のセンサによって提供されるデータ、及び/又は、電子医療記録システム62から取り出される情報に加えて、又は、それに代えて、使用される。
【0156】
例えば、患者モニタリングシステム64は、患者の現在の鎮静レベル及び/又は睡眠段階に関する情報を提供する。患者が深く鎮静しているか、又は、深い睡眠相にある場合、これは、いかなる眼状態センサデータからも独立して、患者の眼が閉じていることの指示を提供する。それによって、患者モニタリングシステムからのデータは、例において、例えば、上述した眼状態センサからの読み値の代替又は補完として使用される。このデータはその後、上述したものと同様に、目標メラノピック露光量の送達をより良好に保証するように、治療制御スケジュール71を適合させるために使用される。
【0157】
付加的に又は代替的に、1つ又は複数の例によれば、制御スケジュール71は、患者の入院の累積持続時間に従って調整される。特に、臨床医は、適用される光線療法が、患者が臨床環境(例えば、病院)内に留まっている長さに応じて変化することを所望する。したがって、「入院時間長補正係数」が、制御スケジュールの光レベル又は照度レベルに適用され、この係数は、患者が病院又は診療所内に受け入れられている総時間量に応じて増大する。
【0158】
臨床医は、例えば、病院組織(例えば、ICU)で過ごす1日目については制御スケジュールの設定可能部分の間の照度レベルを低減し、次いで、その後は照度レベルを通常に戻すことを決定し得る。臨床医はさらに、5日目からそれ以降、患者のサーカディアンリズムがこの時間長の後は回復していると仮定して、付与される光レベルを漸進的に低減することを決定する。そのような補正係数の例示的なセットを下記の表12に示す。患者の累積的な入院時間長は、通信可能にリンクされている患者データ管理システム60から取り出される。
【0159】
【表11】
【0160】
上述の例においては、2つのセクション74a、74bに分割されている固定時間部分74によって両側を囲まれている単一の設定可能時間部分76を備える例示的な制御スケジュールテンプレート70が提示された。しかしながら、さらなる例によれば、異なる制御スケジュールテンプレートが代わりに使用される。特に、第3のデータストア34に記憶されている、複数の設定可能時間部分を含む1つ又は複数の制御スケジュールテンプレートが提供されてもよい。一例が、図7にグラフ形式で示されている。例は、2つの設定可能部分90、92を含み、これらは中間の固定時間部分94、96、98のセットによって分離されている。設定可能部分の各々は、別個に設定可能持続時間102、106及び最大照度レベル104、108を有する。例示を目的として、設定可能部分は図7において完成して示されているが、これらの部分は実際には、本当のテンプレートにおいては欠けており、コントローラはこれを完成させるように適合されていることが理解される。
【0161】
任意の例によれば、制御スケジュールテンプレートの1つ又は複数の固定時間部分は、そのようなテンプレートが使用される場合、任意の特定の傾向又はパターンをとる。固定部分の間の平均照度が、設定可能部分のいずれかの間の平均照度よりも低いことが好ましい。
【0162】
上記の例においては、制御スケジュールは、コントローラ24によって、制御スケジュールテンプレート70に基づいて作成されるが、代替的な例においては、そのようなテンプレートは使用されない。処置期間78の持続時間全体を通じたスケジュールの照度レベルは、処置期間にわたって総計で、目標メラノピック露光量が照明構成に与えられるように、コントローラによって設定される。
【0163】
上述したように、実施形態は、コントローラを利用する。コントローラは、必要とされる様々な機能を実施するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、多数の方法で実施することができる。プロセッサは、必要な機能を実施するためにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされる1つ又は複数のマイクロプロセッサを利用するコントローラの一例である。しかしながら、コントローラは、プロセッサを利用して又は利用することなく実施されてもよく、また、いくつかの機能を実施するための専用ハードウェアと、他の機能を実施するためのプロセッサ(例えば、1つ又は複数のプログラムされているマイクロプロセッサ及び関連回路)との組み合わせとして実施されてもよい。
【0164】
本開示の様々な実施形態において利用されるコントローラ構成要素の例は、限定ではないが、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。
【0165】
様々な実施態様において、プロセッサ又はコントローラは、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROM(登録商標)のような揮発性及び不揮発性コンピュータメモリのような1つ又は複数の記憶媒体と関連付けられる。記憶媒体は、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はコントローラ上で実行されると、必要な機能を実施する1つ又は複数のプログラムによって符号化される。様々な記憶媒体が、プロセッサ若しくはコントローラ内で固定され、又は、輸送可能であり、結果、媒体に記憶されている1つ又は複数のプログラムをプロセッサ又はコントローラにロードすることができる。
【0166】
当業者は、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲を研究することから、特許請求されている本発明を実践することにおいて、開示されている実施形態に対する他の変形形態を理解し、実行することができる。特許請求の範囲において、「備える」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形は複数を除外しない。特定の方策が相互に異なる従属請求項に記載されているというだけのことは、これらの方策の組み合わせを好都合に使用することができないということを示すものではない。特許請求の範囲内の任意の参照符号は、それらの範囲を限定されるようには解釈されないものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7