(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-14
(45)【発行日】2022-03-23
(54)【発明の名称】細胞培養器及び細胞培養装置
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20220315BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
(21)【出願番号】P 2021527627
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(86)【国際出願番号】 JP2020024548
(87)【国際公開番号】W WO2020262354
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-12-27
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517123221
【氏名又は名称】アイ ピース,インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田邊 剛士
(72)【発明者】
【氏名】平出 亮二
(72)【発明者】
【氏名】伴 一訓
(72)【発明者】
【氏名】木下 聡
【審査官】野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/145235(WO,A1)
【文献】特開2016-208866(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038887(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/154788(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00- 3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で細胞を培養するための細胞培養器であって、
底面の幅が側面の高さ以上であり、
前記内部に流体を供給するための流路を備え、
当該細胞培養器がガス非透過性物質で包埋され、前記内部が閉鎖可能である、
細胞培養器。
【請求項2】
内部で細胞を培養するための細胞培養器であって、
底面及び上面の少なくも一方が透明であり、
前記内部に流体を供給するための流路を備え、
当該細胞培養器がガス非透過性物質で包埋され、前記内部が閉鎖可能である、
細胞培養器。
【請求項3】
前記底面を有する第1筐体と、
前記第1筐体上に配置され、前記底面と対向する上面を有する第2筐体と、
を備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが組み合わされ、前記内部が形成される、
請求項1又は2に記載の細胞培養器。
【請求項4】
前記流路が、前記第1筐体及び前記第2筐体の少なくとも一方に設けられている、請求項3に記載の細胞培養器。
【請求項5】
当該細胞培養器内の温度を調節する温度調節部をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の細胞培養器。
【請求項6】
前記内部に内部培養容器を配置可能である、請求項1から5のいずれか1項に記載の細胞培養器。
【請求項7】
前記内部に配置された培地成分透過部材をさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の細胞培養器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞技術に関し、細胞培養器及び細胞培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
胚性幹細胞(ES細胞)は、ヒトやマウスの初期胚から樹立された幹細胞である。ES細胞は、生体に存在する全ての細胞へと分化できる多能性を有する。現在、ヒトES細胞は、パーキンソン病、若年性糖尿病、及び白血病等、多くの疾患に対する細胞移植療法に利用可能である。しかし、ES細胞の移植には障害もある。特に、ES細胞の移植は、不成功な臓器移植に続いて起こる拒絶反応と同様の免疫拒絶反応を惹起しうる。また、ヒト胚を破壊して樹立されるES細胞の利用に対しては、倫理的見地から批判や反対意見が多い。
【0003】
このような背景の状況の下、京都大学の山中伸弥教授は、4種の遺伝子:OCT3/4、KLF4、c-MYC、及びSOX2を体細胞に導入することにより、誘導多能性幹細胞(iPS細胞)を樹立することに成功した。これにより、山中教授は、2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した(例えば、特許文献1、2参照。)。iPS細胞は、拒絶反応や倫理的問題のない理想的な多能性細胞である。したがって、iPS細胞は、細胞移植療法への利用が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4183742号公報
【文献】特開2014-114997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
iPS細胞に限らず、様々な細胞を効率よく培養可能な装置が望まれている。そこで、本発明は、細胞培養器及び細胞培養装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によれば、内部で細胞を培養するための細胞培養器であって、底面の幅が側面の高さ以上であり、内部に流体を供給するための流路を備え、内部が閉鎖可能である、細胞培養器が提供される。
【0007】
上記の細胞培養器において、底面及び上面の少なくとも一方が透明であってもよい。
【0008】
本発明の態様によれば、内部で細胞を培養するための細胞培養器であって、底面及び上面の少なくとも一方が透明であり、内部に流体を供給するための流路を備え、内部が閉鎖可能である、細胞培養器が提供される。
【0009】
上記の細胞培養器が、底面を有する第1筐体と、第1筐体上に配置され、底面と対向する上面を有する第2筐体と、を備え、第1筐体と第2筐体とが組み合わされ、内部が形成されてもよい。
【0010】
上記の細胞培養器において、流路が、第1筐体及び第2筐体の少なくとも一方に設けられていてもよい。
【0011】
上記の細胞培養器が、当該細胞培養器内の温度を調節する温度調節部をさらに備えていてもよい。
【0012】
上記の細胞培養器において、内部に内部培養容器を配置可能であり、流路が、内部培養容器内に流体を供給してもよい。
【0013】
上記の細胞培養器が、内部に配置された培地成分透過部材をさらに備えていてもよい。
【0014】
また、本発明の態様によれば、内部で細胞を培養するための細胞培養器と、細胞培養器に接続された容積可変容器と、を備え、細胞培養器の底面の幅が側面の高さ以上であり、細胞培養器が、内部に流体を供給するための流路を備え、容積可変容器が、流路を介して細胞培養器に接続されており、細胞培養器及び容積可変容器内を流体が移動可能であり、細胞培養器及び容積可変容器の内部が閉鎖可能である、細胞培養装置が提供される。
【0015】
また、本発明の態様によれば、内部で細胞を培養するための細胞培養器と、細胞培養器に接続された容積可変容器と、を備え、底面及び上面の少なくとも一方が透明であり、細胞培養器が、内部に流体を供給するための流路を備え、容積可変容器が、流路を介して細胞培養器に接続されており、細胞培養器及び容積可変容器内を流体が移動可能であり、細胞培養器及び容積可変容器の内部が閉鎖可能である、細胞培養装置が提供される。
【0016】
上記の細胞培養装置において、容積可変容器が物質を収容し、流体の移動により、細胞に物質が接触してもよい。
【0017】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内に細胞を供給するための流路をさらに備えていてもよい。
【0018】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内に細胞を供給するための流体機械をさらに備えていてもよい。
【0019】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内に培地を供給するための流路をさらに備えていてもよい。
【0020】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内に細胞剥離剤を供給するための流路をさらに備えていてもよい。
【0021】
上記の細胞培養装置が、細胞剥離剤で細胞培養器の内面から剥離した細胞の少なくとも一部を細胞培養器外に出すための流路をさらに備えていてもよい。
【0022】
上記の細胞培養装置において、細胞剥離剤で細胞培養器の内面から剥離した細胞の少なくとも一部が細胞培養器に戻されてもよい。
【0023】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内に細胞凍結保存液を供給するための流路をさらに備えていてもよい。
【0024】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器内の温度を調節する温度調節部をさらに備えていてもよい。
【0025】
上記の細胞培養装置において、細胞培養器の内部に内部培養容器を配置可能であり、内部培養容器内に培地を供給してもよい。
【0026】
上記の細胞培養装置が、細胞培養器の内部に配置された培地成分透過部材をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、細胞培養器及び細胞培養装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態に係る細胞培養システムの模式的正面図である。
【
図2】実施形態に係る細胞培養システムの模式的斜視図である。
【
図3】実施形態に係る単核球回収器の模式図である。
【
図4】実施形態に係る細胞培養器の模式的断面図である。
【
図5】実施形態に係る細胞培養器の模式的断面図である。
【
図6】実施形態に係る細胞培養器の模式的断面図である。
【
図7】実施形態に係る細胞培養器の模式的断面図である。
【
図8】実施形態に係る細胞培養システムの模式的正面図である。
【
図9】実施形態に係る細胞培養システムの模式的斜視図である。
【
図10】実施例1に係る細胞塊の顕微鏡写真である。
【
図11】実施例1に係るiPS細胞のフローサイトメトリーの結果を示すヒストグラムである。
【
図12】実施例2に係る蛍光活性化セルソーティングの分析結果である。
【
図13】実施例2に係る単核球回収器に入れる前の処理血液の顕微鏡写真(a)と、単核球回収器から回収された単核球を含む溶液の顕微鏡写真(b)である。
【
図14】実施例2に係る単核球回収器に入れる前の処理血液における血小板の数と、単核球回収器から回収された単核球を含む溶液における血小板の数と、を示すグラフである。
【
図15】実施例2に係る単核球回収器に入れる前の血小板を含む処理血液入れた培養液の写真(a)と、血小板を除去された単核球を含む溶液を入れた培養液の写真(b)である。
【
図16】実施例3に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞の顕微鏡写真である。
【
図17】実施例3に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞をフローサイトメトリーで分析した結果を示すヒストグラムである。
【
図18】実施例4に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞の顕微鏡写真である。
【
図19】実施例4に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞をフローサイトメトリーで分析した結果を示すヒストグラムである。
【
図20】実施例5に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞の顕微鏡写真である。
【
図21】実施例5に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞をフローサイトメトリーで分析した結果を示すヒストグラムである。
【
図22】実施例6に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞の顕微鏡写真である。
【
図23】実施例6に係るiPS細胞の作製方法で作製された細胞をフローサイトメトリーで分析した結果を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。ただし、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0030】
図1及び
図2に示すように、実施形態に係る細胞培養装置は、内部で細胞を培養するための細胞培養器22と、細胞培養器22に接続された容積可変容器27と、を備える。例えば、細胞培養器22の底面の幅は、側面の高さ以上である。ここで、底面とは、重力方向に対して略垂直な面をいう。細胞培養器22は、内部に流体を供給するための流路26を備え、容積可変容器27が、流路26を介して細胞培養器22に接続されており、細胞培養器22及び容積可変容器27内を流体が移動可能である。流路26は、例えば、細胞培養器22の側壁に接続されている。流路26には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。また、細胞培養器22及び容積可変容器27の内部が閉鎖可能である。なお、本開示において、流体とは気体及び液体の両方を含む。
【0031】
実施形態に係る細胞培養装置は、血液を収容する血液容器50と、赤血球沈降剤又は赤血球除去剤を収容する赤血球処理剤容器53を備える。
【0032】
血液容器50は、内部に血液を収容する。血液容器50は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。血液容器50の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。血液容器50は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。血液容器50の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。血液容器50の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。血液容器50は、当該血液容器50の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、血液容器50は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、血液容器50は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0033】
赤血球処理剤容器53は、内部に赤血球沈降剤又は赤血球除去剤を収容する。赤血球処理剤容器53は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。赤血球処理剤容器53の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。赤血球処理剤容器53は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。赤血球処理剤容器53の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。赤血球処理剤容器53の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。赤血球処理剤容器53は、当該赤血球処理剤容器53の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、赤血球処理剤容器53は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、赤血球処理剤容器53は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0034】
実施形態に係る細胞培養装置は、例えば、血液と、赤血球沈降剤又は赤血球除去剤と、を混合する混合器57をさらに備える。混合器57は、例えば、血液と赤血球沈降剤又は赤血球除去剤との混合液が流れる、折れ曲がり流路を備える。折れ曲がり流路は、らせん状に折れ曲がっていてもよい。折れ曲がり流路において流路が蛇行していてもよい。折れ曲がり流路において、断面積が増減を繰り返していてもよい。混合器57は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。混合器57の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。混合器57は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。混合器57の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。混合器57の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0035】
血液容器50には、少なくとも血液を血液容器50から混合器57に送るための流路51が接続されている。流路51には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。赤血球処理剤容器53には、少なくとも赤血球沈降剤又は赤血球除去剤を赤血球処理剤容器53から混合器57に送るための流路54が接続されている。流路54には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。流路51と流路54は流路56に合流する。流路56には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。流路56は混合器57に接続されている。混合器57には、混合器57内で混合された血液と赤血球沈降剤又は赤血球除去剤との混合液を赤血球除去器11内に送るための流路58が接続されている。流路58には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。
【0036】
流路51には、流路51内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械52が設けられていてもよい。流体機械52としては、容積式ポンプが使用可能である。容積式ポンプの例としては、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、及びダイヤフラムポンプを含む往復ポンプ、あるいは、ギアポンプ、ベーンポンプ、及びネジポンプを含む回転ポンプが挙げられる。ダイヤフラムポンプの例としては、チュービングポンプ及び圧電(ピエゾ)ポンプが挙げられる。チュービングポンプは、ペリスタルティックポンプと呼ばれる場合もある。また、様々な種類のポンプを組み合わせたマイクロ流体チップモジュールを用いてもよい。本開示における他の流体機械についても同様である。ペリスタルティックポンプ、チュービングポンプ、及びダイヤフラムポンプ等の密閉型ポンプを用いると、流路内部の流体にポンプが直接接触することなく、流体を送ることが可能である。流路54には、流路54内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械55が設けられていてもよい。
【0037】
流路51、54、56、58は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路51、54、56、58の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路51、54、56、58は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路51、54、56、58の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路51、54、56、58の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0038】
赤血球除去器11に血液と赤血球沈降剤又は赤血球除去剤との混合液を送る際、流体機械52が、血液容器50内の血液を、流路51、56を介して混合器57内に移動させる。また、流体機械55が、赤血球処理剤容器53内の赤血球沈降剤又は赤血球除去剤を、流路54、56を介して混合器57内に移動させる。なお、流路51、54に流体機械を設けず、流路56に流体機械を設け、流路56に設けられた流体機械が、血液容器50内の血液と、赤血球処理剤容器53内の赤血球沈降剤又は赤血球除去剤と、を、混合器57内に移動させてもよい。混合器57内で、血液と、赤血球沈降剤又は赤血球除去剤と、が混合する。混合器57内で混合された血液と赤血球沈降剤又は赤血球除去剤との混合液は、流路58を介して赤血球除去器11に送られる。
【0039】
赤血球除去器11は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。赤血球除去器11の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。赤血球除去器11は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。赤血球除去器11の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。赤血球除去器11の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。赤血球除去器11は、当該赤血球除去器11の容積を変更可能であってもよい。
【0040】
血液が赤血球沈降剤と混合された場合、赤血球除去器11内で赤血球が沈降し、血液から、赤血球が少なくとも部分的に除去される。血液が赤血球除去剤と混合された場合、赤血球除去器11内で赤血球が溶血し、血液から、赤血球が少なくとも部分的に除去され得る。
【0041】
実施形態に係る細胞培養装置は、赤血球除去器11から、赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を受け、処理血液から単核球を回収する単核球回収器15をさらに備えていてもよい。単核球回収器15は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。単核球回収器15の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。単核球回収器15は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。単核球回収器15の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。単核球回収器15の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。単核球回収器15は、当該単核球回収器15の容積を変更可能であってもよい。
【0042】
図3に示すように、例えば、単核球回収器15の底部には第1開口115が設けられており、単核球回収器15の側面には第2開口116が設けられている。第1開口115の位置は、重力方向において第2開口116より下であり得る。
【0043】
単核球回収器15の第1開口115には流路19が接続されている。流路19には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。流路19は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路19の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路19は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路19の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路19の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0044】
単核球回収器15の第2開口116には流路117が接続されている。流路117には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。流路117は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路117の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路117は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路117の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路117の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
図1及び
図2に示すように、流路117には、流路117内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械21が設けられている。
【0045】
図3に示すように、単核球回収器15の底部が漏斗状であってもよい。この場合、例えば、単核球回収器15の漏斗状の底部の先端に第1開口115が設けられ、漏斗状の底部の側面に第2開口116が設けられる。第2開口116には、単核球が通過することができないフィルターが設けられていてもよい。
【0046】
単核球回収器15は、内部に、緩衝液等の希釈液を収容可能である。
図1及び
図2に示すように、希釈液は、希釈用液を収容する希釈用液容器61から流路60を介して、単核球回収器15内に導入されてもよい。流路60には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。流路60には、流路60内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械62が設けられていてもよい。希釈用液容器61は、当該希釈用液容器の容積を変更可能であってもよい。また、例えば、流路19及び流路117内部は、希釈液で充填される。
【0047】
希釈用液容器61及び流路60の少なくともいずれかは、内部を外気から閉鎖可能な構造を有していてもよい。希釈用液容器61及び流路60の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。希釈用液容器61及び流路60は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。希釈用液容器61及び流路60の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。希釈用液容器61及び流路60の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0048】
赤血球除去器11と、単核球回収器15と、の間には、赤血球除去器11から単核球回収器15に赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を送るための流路17が設けられている。流路17には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。流路17は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路17の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路17は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路17の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路17の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0049】
流路17には、流路17内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械18が設けられている。
【0050】
予め単核球回収器15内に気体と希釈液が充填されている場合、流体機械18が流路17を介して赤血球除去器11内の赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を吸引し、吸引した赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を単核球回収器15内に供給する。
【0051】
赤血球除去器11内で、赤血球を沈降させた場合、赤血球除去器11内の上澄みが赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液として単核球回収器15に送られる。
【0052】
単核球回収器15に送り込まれた、赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液は、
図3(a)に示すように、希釈液で希釈される。希釈された処理血液溶液中において、血小板は浮遊し、単核球は、単核球回収器15の底に向かって沈降する。なお、希釈液が赤血球除去剤を含んでいてもよい。この場合、処理血液溶液中に残存する赤血球が溶血する。あるいは、単核球回収器15に流路を介して、赤血球処理剤容器53とは異なる赤血球処理剤容器が接続され、赤血球処理剤容器から単核球回収器15に赤血球沈降剤又は赤血球除去剤を供給してもよい。
【0053】
図3(b)に示すように、沈降した単核球は、単核球回収器15の漏斗状の底部の先端に蓄積する。希釈された処理血液溶液中において単核球が沈降した後、
図3(c)に示すように、単核球回収器15の第2開口116に接続された流路117に設けられた流体機械21が、上澄みである希釈された処理血液溶液を吸引する。上澄みを吸引する吸引力は、沈降した単核球を吸引しにくいように設定される。上澄みは、血小板及び溶血した赤血球を含んでいる。したがって、上澄みを単核球回収器15内から吸引除去することにより、血小板及び赤血球から単核球を分離することが可能である。吸引された上澄みは、
図1及び
図2に示す流体機械21に接続された流路216を介して、赤血球除去器11内に送られてもよい。流路216には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。あるいは、吸引された上澄みは、後述する第2容積可変容器30に送られてもよいし、別の容器に送られてもよい。その後、希釈用液容器61から単核球回収器15に希釈液を供給し、上澄みを吸引することを繰り返してもよい。赤血球除去器11内の過剰な流体は、流路93を介して、後述する第2容積可変容器30に送られてもよい。流路93には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。
【0054】
流路19には、単核球回収器15の底部に蓄積した単核球を吸引する単核球吸引装置20が設けられている。単核球吸引装置20としては、ポンプ等の流体機械が使用可能である。
図3に示す第1開口115の大きさは、例えば、単核球吸引装置20が単核球を吸引していない場合に単核球が第1開口115に詰まり、単核球吸引装置20が単核球を吸引している場合に単核球が第1開口115を通過できるよう設定されている。単核球吸引装置20が単核球を吸引すると、単核球は、単核球回収器15内から流路19に移動する。
【0055】
なお、単核球回収器15内を加圧することにより、単核球回収器15内の単核球を流路19に移動させてもよい。この場合、流路19に単核球吸引装置20が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
【0056】
図1及び
図2に示す細胞を培養するための細胞培養器22は、
図4に示すように、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。細胞培養器22の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。細胞培養器22は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。細胞培養器22の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。細胞培養器22の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。
【0057】
細胞培養器22内で、細胞を接着培養してもよいし、細胞を浮遊培養してもよい。細胞を接着培養する場合、細胞培養器22内を、マトリゲル、コラーゲン、ポリリジン、フィブロネクチン、ヴィトロネクチン、ゼラチン、及びラミニン等の細胞接着用コーティング剤でコーティングしてもよい。以下においては、接着培養を例に挙げて説明する。細胞培養器22内部は、細胞は透過できないが、培地成分及び老廃物は透過可能な培地成分透過部材で区切られていてもよい。細胞培養器22の側壁には、細胞が接着しないよう、poly-HEMA(poly 2-hydroxyethyl methacrylate)等の細胞非接着性物質をコーティングして、細胞培養器22の側壁を細胞非接着性にしてもよい。細胞培養器22には、内部を観察可能な透明な窓が設けられていてもよい。窓の材料としては、例えば、ガラス及び樹脂が使用可能である。例えば、細胞培養器22の底面及び上面の少なくともいずれかに透明な窓125が設けられる。これにより、細胞培養器22の底面側から、内部を顕微鏡等で観察することが可能である。
【0058】
細胞培養器22には、窓を加熱及び冷却するための、温度調節部が設けられていてもよい。温度調節部は、窓に配置され、窓を加熱する透明導電膜等の透明ヒーターであってもよい。あるいは、細胞培養器22には、筐体を加熱及び冷却するための温度調節部を備えていてもよい。筐体を温度調節部で温度調節することにより、細胞培養器22内の培地を温度調節することが可能である。細胞培養器22には、細胞培養器22内の培地の温度を測る温度計をさらに備えていてもよい。温度計は、培地に接触することなく細胞培養器22の温度に基づいて培地の温度を測ってもよいし、培地に接触して培地の温度を直接測ってもよい。この場合、培地の温度が所定の温度となるよう、温度調節部がフィードバック制御されてもよい。培地の温度は、例えば、0℃から45℃、あるいは20℃から45℃に調節される。
【0059】
細胞培養器22は一体成型されていてもよい。細胞培養器22は、3Dプリンター法により製造されてもよい。3Dプリンター法としては、材料押出堆積法、マテリアルジェッティング法、バインダージェッティング法、及び光造形法が挙げられる。あるいは、
図5に示すように、細胞培養器22は、底面を有する第1筐体222と、第1筐体222上に配置され、底面と対向する上面を有する第2筐体223と、を備え、第1筐体222と第2筐体223とが組み合わされ、内部が形成されてもよい。細胞培養器22に接続される流路は、第1筐体222及び第2筐体223の少なくとも一方に設けられていてもよい。細胞培養器22の内部に内部培養容器としてシャーレ等を配置可能であってもよい。この場合、流路が、内部培養容器内に流体を供給するよう構成される。
【0060】
図1及び
図2に示すように、細胞培養器22には流路19が接続されている。流路19を介して、細胞培養器22内に細胞が送られる。細胞培養器22の例えば側壁に、流路19が接続されている。流路19には、流路23が接続されている。流路23には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。流路23は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路23の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路23は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路23の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路23の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。流路23には、流路23内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械24が設けられている。
【0061】
流路23には、例えば分化細胞培地等の体細胞培地、あるいはiPS細胞、ES細胞、及び幹細胞等に適した幹細胞培地を収容する流体容器である第1培地容器25が接続されている。培地は、ゲルであってもよいし、液体であってもよいし、流動可能な固体であってもよい。流動可能な固体としては、寒天及び温度感受性ゲルが挙げられる。
【0062】
培地がゲル状である場合、培地は、高分子化合物を含んでいてもよい。高分子化合物は、例えば、ジェランガム、脱アシル化ジェランガム、ヒアルロン酸、ラムザンガム、ダイユータンガム、キサンタンガム、カラギーナン、フコイダン、ペクチン、ペクチン酸、ペクチニン酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、ヘパリチン硫酸、ケラト硫酸、コンドロイチン硫酸、デルタマン硫酸、ラムナン硫酸、及びそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。また、培地は、メチルセルロースを含んでいてもよい。メチルセルロースを含むことにより、細胞同士の凝集がより抑制される。
【0063】
あるいは、培地は、poly(glycerol monomethacrylate) (PGMA)、poly(2-hydroxypropyl methacrylate) (PHPMA)、Poly (N-isopropylacrylamide) (PNIPAM)、amine terminated、carboxylic acid terminated、maleimide terminated、N-hydroxysuccinimide (NHS) ester terminated、triethoxysilane terminated、Poly (N-isopropylacrylamide-co-acrylamide)、Poly (N-isopropylacrylamide-co-acrylic acid)、Poly (N-isopropylacrylamide-co-butylacrylate)、Poly (N-isopropylacrylamide-co-methacrylic acid)、Poly (N-isopropylacrylamide-co-methacrylic acid-co-octadecyl acrylate)、及びN-Isopropylacrylamideから選択される少なくの温度感受性ゲルを含んでいてもよい。
【0064】
なお、本開示において、ゲル状の培地あるいはゲル培地とは、ポリマー培地を包含する。
【0065】
流路19から細胞培養器22内に送られる細胞が体細胞である単核球である場合、体細胞培地としては、例えば、血液細胞培地が使用可能である。第1培地容器25は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。第1培地容器25の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。第1培地容器25は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。第1培地容器25の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。第1培地容器25の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。第1培地容器25は、当該第1培地容器25の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、第1培地容器25は、体細胞培地を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の体細胞培地を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、第1培地容器25は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0066】
単核球回収器15から流路19に単核球が送られると、流体機械24は、第1培地容器25から流路19に、流路23を介して体細胞培地を送る。第1培地容器25は、体細胞培地を収容可能な容積を減少させてもよい。なお、第1培地容器25は、能動的に容積を収縮させてもよいし、流路23内部からの吸引力により、受動的に容積を収縮させてもよい。流路23を介して流路19に送られてきた体細胞培地と、流路19内の単核球と、が混合し、細胞培養器22内に送られる。なお、予め用意された単核球を細胞培養器22内に供給してもよい。また、細胞培養器22に送られる細胞は、単核球に限定されず、体細胞等、あらゆる細胞であってもよい。
【0067】
第1培地容器25及び流路23の少なくともいずれかには、第1培地容器25内の培地の温度を調節する温度調節装置が設けられていてもよい。流体機械24は、細胞が細胞培養器22内に送られた後も、第1培地容器25から細胞培養器22内に体細胞培地を送ってもよい。
【0068】
細胞培養器22には、例えば、流路26を介して第1容積可変容器27が接続されている。流路26は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路26の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路26は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路26の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路26の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。流路26には、流路26内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械28が設けられていてもよい。
【0069】
第1容積可変容器27は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。第1容積可変容器27の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。第1容積可変容器27は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。第1容積可変容器27の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。第1容積可変容器27の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。第1容積可変容器27は、当該第1容積可変容器27の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、第1容積可変容器27は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、第1容積可変容器27は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0070】
細胞培養器22には、例えば、流路29を介して第2容積可変容器30が接続されている。細胞培養器22の例えば側壁に、流路29が接続されている。流路29は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路29の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路29は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路29の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路29の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。流路29には、流路29内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械が設けられていてもよい。流路29には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。
【0071】
第2容積可変容器30は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。第2容積可変容器30の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。第2容積可変容器30は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。第2容積可変容器30の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。第2容積可変容器30の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。第2容積可変容器30は、当該第2容積可変容器30の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、第2容積可変容器30は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、第2容積可変容器30は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0072】
流路19から細胞培養器22内に体細胞と体細胞培地が送り込まれると、細胞培養器22内の空気等の気体は、例えば、第2容積可変容器30内に移動し、第2容積可変容器30は容積を膨張させて、細胞培養器22内から移動してきた気体を受け入れる。なお、第2容積可変容器30は、能動的に容積を膨張させてもよいし、圧力を受けて受動的に容積を膨張させてもよい。
【0073】
第1容積可変容器27は、例えば、内部に、誘導因子等の第1の状態の細胞を第2の状態の細胞に誘導する因子等の物質を収容する。誘導因子はRNAであってもよいし、タンパク質であってもよいし、化合物であってもよい。RNAは、修飾RNAであってもよいし、非修飾RNAであってもよい。第1容積可変容器27は、例えば、リポフェクション試薬を収容していてもよい。誘導因子は、プラスミドベクター、あるいはレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、又はセンダイウイルスベクター等のウイルスベクターあるいはウイルスに含まれていてもよいし、これらの混合物に含まれていてもよい。本開示において、誘導とは、リプログラミング、初期化、形質転換、分化転換(Transdifferentiation or Lineage reprogramming)、分化誘導及び細胞の運命変更(Cell fate reprogramming)等を指す。リプログラミング因子は、例えば、OCT3/4、SOX2、KLF4、c-MYCを含む。
【0074】
体細胞にリプログラミング因子等の誘導因子を導入し、iPS細胞を作製する際には、流体機械28が、細胞培養器22内の体細胞を含む体細胞培地を、流路26を介して、第1容積可変容器27内に移動させる。また、第1容積可変容器27は容積を膨張させ、体細胞を含む体細胞培地を受け入れる。なお、第1容積可変容器27は、能動的に容積を膨張させてもよいし、圧力を受けて受動的に容積を膨張させてもよい。気体を収容している第2容積可変容器30は容積を収縮させ、収容している気体が細胞培養器22内に送り込まれる。なお、第2容積可変容器30は、能動的に容積を収縮させてもよいし、細胞培養器22内部からの吸引力により、受動的に容積を収縮させてもよい。
【0075】
体細胞は、細胞培養器22内から第1容積可変容器27内へ移動することにより、第1容積可変容器27内の誘導因子と接触し、体細胞に誘導因子が導入される。なお、第1容積可変容器27は、容積の膨張と収縮を繰り返し、体細胞と誘導因子を含む体細胞培地を攪拌させてもよい。
【0076】
細胞培養器22には、例えば、流路81を介して、例えばマトリゲル、コラーゲン、ポリリジン、フィブロネクチン、ヴィトロネクチン、ゼラチン、及びラミニン等の細胞接着用コーティング剤を収容する流体容器であるコーティング剤容器82が接続されている。流路81は、例えば、細胞培養器22の側壁に接続している。
【0077】
流路81は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路81の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路81は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路81の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路81の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。流路81には、流路81内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械83が設けられていてもよい。流路81には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。
【0078】
コーティング剤容器82は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。コーティング剤容器82の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。コーティング剤容器82は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。コーティング剤容器82の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。コーティング剤容器82の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。コーティング剤容器82は、当該コーティング剤容器82の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、コーティング剤容器82は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、コーティング剤容器82は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0079】
細胞が第1容積可変容器27内で因子を導入されている間、流体機械83が、コーティング剤容器82内の細胞接着用コーティング剤を、流路81を介して、細胞培養器22内に移動させる。これにより、細胞培養器22の底面が、細胞接着用コーティング剤で覆われる。
【0080】
流路81から細胞培養器22内に細胞接着用コーティング剤が送り込まれると、細胞培養器22内の余剰な流体は、例えば、第2容積可変容器30内に移動し、第2容積可変容器30は容積を膨張させて、細胞培養器22内から移動してきた流体を受け入れる。なお、第2容積可変容器30は、能動的に容積を膨張させてもよいし、圧力を受けて受動的に容積を膨張させてもよい。
【0081】
細胞培養器22と第2容積可変容器30の間には、流路129が設けられていてもよい。細胞培養器22の例えば側壁に、流路129が接続されている。流路129は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路129の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路129は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路129の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路129の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。流路129には、流路129内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械130が設けられていてもよい。流路129には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。
【0082】
細胞培養器22の底面が細胞接着用コーティング剤で所定の時間覆われた後、流体機械130が、細胞培養器22内の細胞接着用コーティング剤を、流路129を介して、第2容積可変容器30内に移動させる。
【0083】
細胞接着用コーティング剤が第2容積可変容器30内に移動させられた後、流体機械28が、第1容積可変容器27内の誘導因子を導入された体細胞を含む体細胞培地を、流路26を介して、細胞培養器22内に移動させる。第1容積可変容器27は容積を収縮させる。また、第2容積可変容器30は容積を膨張させ、細胞培養器22内から気体及び/又は液体を受け入れる。
【0084】
細胞接着用コーティング剤が細胞培養器22の底面に予め塗布されている場合、あるいは細胞培養器22に予め細胞接着用コーティング剤が入れられている場合は、コーティング剤容器82はなくてもよい。
【0085】
別の例として、細胞培養器22内の細胞を第1容積可変容器27に移動させずに、流体機械28が、第1容積可変容器27内の誘導因子を、流路26を介して、細胞が入れられた細胞培養器22内に移動させてもよい。この際、第1容積可変容器27は容積を収縮させ、第2容積可変容器30は容積を膨張させてもよい。誘導因子は、第1容積可変容器27内から細胞培養器22内へ移動することにより、細胞培養器22内の体細胞と接触し、体細胞に誘導因子が導入される。なお、流体機械28が、第1容積可変容器27内の誘導因子を、流路26を介して、細胞培養器22内に、複数回に分けて移動させてもよい。これにより、体細胞に誘導因子が、複数回に分けて導入される。
【0086】
細胞培養器22には、例えば、流路31を介して、例えば幹細胞培地や体細胞培地等の培地を収容する流体容器である第2培地容器32が接続されている。細胞培養器22の例えば側壁に、流路31が接続されている。以下においては、第2培地容器32が幹細胞培地を収容している例を説明する。幹細胞培地は、ゲルであってもよいし、液体であってもよいし、流動可能な固体であってもよい。幹細胞培地は寒天や温度感受性ゲルを含んでいてもよい。幹細胞培地としては、誘導培養培地、拡大培養培地、及び維持培養培地が使用可能である。
【0087】
流路31は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路31の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路31は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路31の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路31の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。流路31には、流路31内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械33が設けられていてもよい。流路31には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。
【0088】
第2培地容器32は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。第2培地容器32の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。第2培地容器32は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。第2培地容器32の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。第2培地容器32の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。第2培地容器32は、当該第2培地容器32の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、第2培地容器32は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、第2培地容器32は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0089】
第2培地容器32及び流路31の少なくともいずれかには、第2培地容器32内の培地の温度を調節する温度調節装置が設けられていてもよい。
【0090】
体細胞に誘導因子が導入されてから所定の期間経過後、流体機械33が、第2培地容器32内の幹細胞培地を、流路31を介して、細胞培養器22内に移動させる。幹細胞培地は、
図6に示すように、細胞培養器22内の培地成分透過部材122で区切られた区画のうち、細胞が存在する区画123に接し、重力方向上側の細胞が存在しない区画124に入れられてもよい。あるいは、幹細胞培地は、
図7に示すように、細胞培養器22内の培地成分透過部材122で区切られた区画のうち、重力方向下側の細胞が存在しない区画123に入れられてもよい。この場合、重力方向上側の区画124に細胞が存在する。内部から幹細胞培地を吸引された
図1及び
図2に示す第2培地容器32は、容積を収縮させる。なお、第2培地容器32は、能動的に容積を収縮させてもよいし、受動的に容積を収縮させてもよい。
【0091】
流路31から細胞培養器22内に幹細胞培地が送り込まれると、細胞培養器22内の空気等の気体及び培地は、例えば、流路29を介して第2容積可変容器30内に移動し、第2容積可変容器30は容積を膨張させて、細胞培養器22内から移動してきた気体及び培地を受け入れる。なお、第2容積可変容器30は、能動的に容積を膨張させてもよいし、圧力を受けて受動的に容積を膨張させてもよい。
【0092】
流路29は、細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち、細胞が存在する区画に接し、細胞が存在しない区画に接続していてもよい。あるいは、流路29は、細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち、細胞が存在する区画に接していてもよい。この場合、細胞培養器22内の余剰な細胞を、流路29を介して第2容積可変容器30に送り出してもよい。
【0093】
細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち、細胞が存在する区画の培地と、細胞が存在しない区画の培地と、は、例えば浸透圧により、培地成分や老廃物を交換する。培地成分透過部材としては、例えば、半透膜、メッシュ、及び中空糸膜が使用可能である。半透膜は、透析膜を含む。培地成分透過部材は、パッキン等を介して、細胞培養器22内に固定されていてもよい。細胞培養器22内の培地成分透過部材で区切られた区画のうち、細胞が存在する区画に、流路19、26、90、129の少なくともいずれかが連通し、細胞が存在しない区画に、流路29、31、81、84、87の少なくともいずれかが連通してもよい。あるいは、細胞培養器22内に一又は複数の中空糸を配置し、中空糸内部に細胞が配置されるよう構成されてもよい。この場合、例えば、流路19、26、90、129の少なくともいずれかが、中空糸内部に連通し、流路29、31、81、84、87の少なくともいずれかが、中空糸外部に連通してもよい。
【0094】
培地成分透過部材が半透膜である場合、半透膜の分画分子量は、例えば、0.1KDa以上、10KDa以上、あるいは50KDa以上である。半透膜は、例えば、セルロースエステル、エチルセルロース、セルロースエステル類、再生セルロース、ポリスルホン、ポリアクリルニトリル、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエステル系ポリマーアロイ、ポリカーボネート、ポリアミド、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、銅アンモニウムレーヨン、鹸化セルロース、ヘモファン膜、フォスファチジルコリン膜、及びビタミンEコーティング膜等からなる。
【0095】
培地成分透過部材がメッシュである場合、メッシュは、細胞培養器22内で培養される細胞よりも小さい孔を有する。メッシュの材料は、例えば樹脂及び金属であるが、特に限定されない。培地成分透過部材の表面は、細胞非接着性であってもよい。
【0096】
培地成分透過部材が中空糸膜である場合、中空糸膜は、細胞培養器22内で培養される細胞よりも小さい孔を有する。例えば、中空糸膜の内側で細胞が培養されてもよい。
【0097】
細胞培養器22内で細胞を培養している間、所定のタイミングで、流体機械33が、第2培地容器32内の幹細胞培地を、流路31を介して、細胞培養器22内に移動させてもよい。また、第2培地容器32と細胞培養器22の間で、培地を循環させてもよい。第2容積可変容器30は容積を膨張させ、新鮮な幹細胞培地の流入により細胞培養器22内の余剰となった使用済み幹細胞培地を受け入れてもよい。流体機械33は、例えば、培地の状態、培地中の細胞塊の状態、細胞数、細胞塊数、培地の濁度、及びpHの変化に応じて、培地の送液量を制御したり、培地の送液の開始及び終了をしたりしてもよい。
【0098】
細胞培養器22には、例えば、流路84を介して、トリプシン、トリプルセレクト、アキュテース、及びEDTA等の細胞剥離剤を収容する流体容器である剥離液容器85が接続されている。細胞培養器22の例えば側壁に、流路84が接続されている。
【0099】
流路84は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路84の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路84は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路84の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路84の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。流路84には、流路84内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械86が設けられていてもよい。流路84が接続されている。流路84には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。
【0100】
剥離液容器85は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。剥離液容器85の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。剥離液容器85は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。剥離液容器85の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。剥離液容器85の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。剥離液容器85は、当該剥離液容器85の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、剥離液容器85は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、剥離液容器85は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0101】
剥離液容器85及び流路84の少なくともいずれかには、剥離液容器85内の細胞剥離剤の温度を調節する温度調節装置が設けられていてもよい。
【0102】
流体機械86が、剥離液容器85内の細胞剥離剤を、流路84を介して、細胞培養器22内に移動させる。これにより、細胞培養器22の底面に接着している細胞が、細胞剥離剤に曝される。
【0103】
流路84から細胞培養器22内に細胞剥離剤が送り込まれると、細胞培養器22内の余剰な流体は、例えば、第2容積可変容器30内に移動し、第2容積可変容器30は容積を膨張させて、細胞培養器22内から移動してきた流体を受け入れる。なお、第2容積可変容器30は、能動的に容積を膨張させてもよいし、圧力を受けて受動的に容積を膨張させてもよい。
【0104】
細胞培養器22内の細胞が、所定の温度で所定の時間、細胞剥離剤に曝された後、流体機械130が、細胞培養器22内の細胞剥離剤を、流路129を介して、第2容積可変容器30内に移動させる。さらに所定の温度で所定の時間経過後、細胞培養器22の底面から細胞が剥がれる。細胞培養器22内の一部又は全部の剥がれた細胞を、流路129を介して第2容積可変容器30に送り出してもよい。細胞培養器22外に送り出された細胞の少なくとも一部を、細胞培養器22内に戻してもよい。その後、第2培地容器32から細胞培養器22内に幹細胞培地を供給する。細胞が細胞培養器22の底面に接着し、さらに所定の時間経過後、例えば、38℃等の高温でセンダイウイルスベクターを消去してもよい。細胞への因子の導入は、2、3回等、複数回繰り返してもよい。このように、本実施形態に係る細胞培養器及び細胞培養装置は、細胞誘導容器及び細胞誘導装置として機能し得る。その後、細胞培養器22内の細胞は、細胞培養器22の底面から剥離される。
【0105】
細胞培養器22には、例えば、流路87を介して、細胞凍結保存液を収容する流体容器である凍結保存液容器88が接続されている。細胞培養器22の例えば側壁に、流路87が接続されている。
【0106】
流路87は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路87の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路87は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路87の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路87の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。流路87には、流路87内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械89が設けられていてもよい。流路87には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。
【0107】
凍結保存液容器88は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。凍結保存液容器88の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。凍結保存液容器88は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。凍結保存液容器88の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。凍結保存液容器88の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。凍結保存液容器88は、当該凍結保存液容器88の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、凍結保存液容器88は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、凍結保存液容器88は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0108】
例えば、細胞培養器22内で誘導因子を導入された体細胞からiPS細胞が作製された後、流体機械89が、凍結保存液容器88内の細胞凍結保存液を、流路87を介して、細胞培養器22内に移動させる。これにより、細胞培養器22内の細胞が、細胞凍結保存液に含まれる。
【0109】
流路87から細胞培養器22内に細胞凍結保存液が送り込まれると、細胞培養器22内の余剰な流体は、例えば、第2容積可変容器30内に移動し、第2容積可変容器30は容積を膨張させて、細胞培養器22内から移動してきた流体を受け入れる。なお、第2容積可変容器30は、能動的に容積を膨張させてもよいし、圧力を受けて受動的に容積を膨張させてもよい。
【0110】
細胞培養器22には、例えば、流路90を介して、細胞凍結保存液を収容する流体容器である細胞凍結保存容器91が接続されている。細胞培養器22の例えば側壁に、流路90が接続されている。
【0111】
流路90は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。流路90の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。流路90は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。流路90の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。流路90の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。流路90には、流路90内の流体を移動させるためのポンプ等の流体機械92が設けられていてもよい。流路90には流体機械以外の弁が設けられていなくてもよい。
【0112】
細胞凍結保存容器91は、内部を外気から閉鎖可能な構造を有し得る。細胞凍結保存容器91の内部を含む閉鎖空間は、外部と気体、ウイルス、微生物及び不純物等の交換をしないよう構成され得る。細胞凍結保存容器91は、ガス非透過性物質に埋め込まれ、包埋されていてもよい。細胞凍結保存容器91の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて形成されていてもよい。細胞凍結保存容器91の少なくとも一部は、部材に彫り込まれて凹部を重ね合わせて形成されていてもよい。細胞凍結保存容器91は、当該細胞凍結保存容器91の容積を変更可能であってもよい。この場合、例えば、細胞凍結保存容器91は、流体を収容するシリンジと、シリンジに挿入され、シリンジ内を移動可能なプランジャーと、を備え、プランジャーの移動により、シリンジ内の流体を収容可能な容積を変更可能である。あるいは、細胞凍結保存容器91は、可撓性を有する蛇腹やバッグであってもよい。
【0113】
流体機械92が、細胞培養器22内の細胞を含む細胞凍結保存液を、細胞凍結保存容器91に送る。細胞凍結保存容器91は、流路90から取り外して密閉可能である。細胞凍結保存容器91は、例えば、冷凍庫等に配置される。
【0114】
本実施形態によれば、密閉されている細胞培養器22内に、細胞培養器22外に存在する細胞、微生物、ウイルス、及び塵等が進入しないため、細胞培養器22内の清浄度が保たれる。そのため、細胞培養器22をクリーンルーム内に配置しなくともよい。細胞が存在する閉鎖系内に二酸化炭素ガス、窒素ガス、及び酸素ガス等を供給してもよいし、しなくともよい。閉鎖系内に気体を供給する際は、例えば、流路等にガス交換フィルターを介して、気体を供給してもよいし、細胞培養器22内に気体を供給してもよい。
【0115】
実施形態に係る細胞培養装置によれば、例えば、完全閉鎖系で細胞が培養されるため、培養装置からの細胞の漏れ出しによるクロスコンタミネーションのリスクを低減することが可能である。また、例えば、細胞がHIV肝炎ウイルス等のウイルスに感染している場合であっても、細胞の漏れ出しによるオペレーターへの感染のリスクを低減することが可能である。さらに、細胞培養器内の培地が、細胞培養器外の空気中の細菌、ウイルス及びカビ等にコンタミネーションするリスクを低減することが可能である。またさらに、実施形態に係る細胞培養器によれば、CO2インキュベーターを用いることなく、細胞を培養することも可能である。
【0116】
上記のように、本発明を実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施形態及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、
図1及び
図2に示す細胞培養器22に送られる細胞は、単核球等の血液細胞に限定されない。細胞培養器22に送られる細胞は、幹細胞、線維芽細胞、神経細胞、網膜上皮細胞、肝細胞、β細胞、腎細胞、間葉系幹細胞、血液細胞、メガカリオサイト、T細胞、軟骨細胞、心筋細胞、筋細胞、血管細胞、上皮細胞、多能性幹細胞、ES細胞、iPS細胞、あるいは他の体細胞であってもよい。細胞培養器22に送られる細胞は、任意である。
【0117】
さらに、実施形態では、細胞培養器22内で単核球からiPS細胞を作製する例を説明したが、細胞培養器22内で幹細胞から線維芽細胞、神経細胞、網膜上皮細胞、肝細胞、β細胞、腎細胞、間葉系幹細胞、血液細胞、メガカリオサイト、T細胞、軟骨細胞、心筋細胞、筋細胞、血管細胞、上皮細胞、多能性幹細胞、ES細胞、iPS細胞、あるいは他の体細胞等の分化細胞を作製してもよい。幹細胞は、iPS細胞、胚性幹細胞(ES細胞)、体性幹細胞あるいは他の人工的に誘導された幹細胞等であってもよい。この場合は、例えば、第1容積可変容器27は、内部に分化誘導因子を収容する。なお、細胞培養器22内で細胞の誘導をせずに、細胞の培養を行ってもよい。
【0118】
また、上述したように、予め用意された細胞を細胞培養器22内に供給してもよい。この場合、
図8及び
図9に示すように、予め用意された細胞を細胞容器215内に収容し、細胞容器215内の細胞を、流路19に送ってもよい。このように、本発明は様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
【実施例】
【0119】
(実施例1)
本実施例においては、完全に閉鎖された環境下において、培地交換及びガス交換をすることなく、細胞を培養可能である例を示す。増殖因子を培地(StemSpan H3000、登録商標、STEMCELL Technologies Inc.)に添加し、さらに培地に脱アシル化ゲランガムを添加して、ゲル培地を用意した。
【0120】
用意したゲル培地を15mLチューブに入れ、ゲル培地に2×105個の血液細胞を播種した。その後、15mLチューブをCO2インキュベーター内に配置し、7日間、血液細胞(単核球)を培養した。その後、ゲル培地にOCT3/4、SOX2、KLF4、cMYCを搭載するセンダイウイルスベクターを感染多重度(MOI)が10.0となるよう添加し、血液細胞をセンダイウイルスに感染させた。
【0121】
ゲル培地にセンダイウイルスを添加した後、ゲル培地に15mLのゲル化した幹細胞培地(20%KnockOut SR(登録商標、ThermoFisher SCIENTIFIC)を含むDMEM/F12)を添加し、そのうち15mLのセンダイウイルスに感染した細胞を含む培地を密閉可能な細胞培養器に入れ、ゲル培地を細胞培養器に注入した。その後、細胞培養器内部を密閉し、細胞培養器の内部と外部とで、ガス交換が完全に生じないようにした。
【0122】
細胞培養器内で初期化因子を導入された細胞の浮遊培養を開始した。その後、2日に一度、培地保持槽40内の2mLのゲル培地を、2mLの新鮮なゲル培地に交換した。
【0123】
15日後、細胞を顕微鏡で観察したところ、
図10に示すように、ES細胞様コロニーを形成していることが確認された。また、4%-パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、フローサイトメーターを用いて、固定された細胞における細胞表面抗原TRA-1-60の発現量を測定したところ、
図11に示すように、90%以上TRA-1-60陽性であり、ほぼ完全にリプログラミングされていることが確認された。したがって、完全に閉鎖された環境下において、培地交換及びガス交換をすることなく、幹細胞以外の体細胞からiPS細胞を誘導できることが示された。
【0124】
(実施例2)
血液を赤血球沈降剤で処理し、赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を得た。処理血液を表面細胞マーカー抗体で処理し、蛍光活性化セルソーティング(FACS)で分析した結果を
図12に示す。処理血液は、CD3陽性細胞、CD14陽性細胞、CD31陽性細胞、CD33陽性細胞、CD34陽性細胞、CD19陽性細胞、CD41陽性細胞、CD42陽性細胞、及びCD56陽性細胞を含んでいた。
【0125】
赤血球を少なくとも部分的に除去された処理血液を
図3に示したような単核球回収器に入れ、緩衝液で希釈し、上澄みを除去した。その後、単核球回収器から単核球を回収した。
図13(a)に示すように、単核球回収器に入れる前の処理血液は、血小板を多く含んでいた。一方、
図13(b)に示すように、単核球回収器から回収された単核球を含む溶液は、血小板がほぼ除去されていた。同一面積あたりにおける、単核球回収器に入れる前の処理血液における血小板の数と、単核球回収器から回収された単核球を含む溶液における血小板の数と、を示すグラフを
図14に示す。
【0126】
単核球回収器に入れる前の血小板を含む処理血液を培養液に入れると、
図15(a)に示すように、凝集した。これに対し、単核球回収器から回収された、血小板を除去された単核球を含む溶液を培養液に入れると、
図15(b)に示すように、凝集しなかった。
【0127】
(実施例3)
血液培地に脱アシル化ゲランガムを添加して、ゲル培地を用意した。用意したゲル培地をラミニンコートした6ウェルディッシュに入れ、2×105個の血液細胞(単核球)を播種した。その後、6ウェルディッシュを37℃のCO2インキュベーター内に配置し、7日間、血液細胞を培養した。その後、血液増殖培地にOCT3/4、SOX2、KLF4、cMYCを搭載するセンダイウイルスベクター(CytoTune-iPS2.0、ThermoFisher SCIENTIFIC)を感染多重度(MOI)が5となるよう添加し、血液細胞をセンダイウイルスに感染させた。
【0128】
細胞を6ウェルディッシュに入れたまま、血液増殖培地にセンダイウイルスを添加した二日後に、500μLの幹細胞培地(20%KnockOut SR(登録商標、ThermoFisher SCIENTIFIC)を含むDMEM/F12)又はステムフィットを利用して培地交換した。
【0129】
血液増殖培地にセンダイウイルスを添加して15日後、細胞を顕微鏡で観察したところ、
図16に示すように、ES細胞様コロニーが形成されていることが確認された。また、4%-パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、フローサイトメーターを用いて、固定された細胞における細胞表面抗原TRA-1-60の発現量を測定したところ、
図17に示すように、誘導後の細胞は、ほぼ100%TRA-1-60陽性であり、ほぼ完全にリプログラミングされていることが確認された。したがって、細胞培養器内で細胞にリプログラミング因子を導入し、同一の細胞培養器内でリプログラミング因子を導入された細胞を培養して、細胞をリプログラミングすることが可能であることが示された。
【0130】
(実施例4)
血液培地に脱アシル化ゲランガムを添加して、ゲル培地を用意した。用意したゲル培地をラミニンコートしたフラスコに入れ、5×105個の血液細胞(単核球)を播種した。その後、37℃のCO2インキュベーター内に配置し、7日間、血液細胞を培養した。その後、血液増殖培地にOCT3/4、SOX2、KLF4、cMYCを搭載するセンダイウイルスベクター(CytoTune-iPS2.0、ThermoFisher SCIENTIFIC)を感染多重度(MOI)が5となるよう添加し、血液細胞をセンダイウイルスに感染させた。
【0131】
血液増殖培地にセンダイウイルスを添加した二日後、フラスコ内に空気が残らないように、幹細胞培地(20%KnockOut SR(登録商標、ThermoFisher SCIENTIFIC)を含むDMEM/F12)又はステムフィットでフラスコを完全に満たし、外部とのガス交換が生じないように、フラスコのキャップを閉め、細胞、微生物、及び不純物等が透過しないよう、フラスコの内部を閉鎖した。
【0132】
血液増殖培地にセンダイウイルスを添加して15日後、細胞を顕微鏡で観察したところ、
図18に示すように、ES細胞様コロニーが形成されていることが確認された。また、4%-パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、フローサイトメーターを用いて、固定された細胞における細胞表面抗原TRA-1-60の発現量を測定したところ、
図19に示すように、誘導後の細胞は、ほぼ100%TRA-1-60陽性であり、ほぼ完全にリプログラミングされていることが確認された。したがって、細胞培養器内で細胞にリプログラミング因子を導入し、同一の閉鎖された細胞培養器内でリプログラミング因子を導入された細胞を培養して、細胞をリプログラミングすることが可能であることが示された。
【0133】
(実施例5)
ゲル状ではない液体の血液増殖培地をラミニンコートした6ウェルディッシュに入れ、2×105個の血液細胞(単核球)を播種した。その後、6ウェルディッシュを37℃のCO2インキュベーター内に配置し、7日間、血液細胞を培養した。その後、血液増殖培地にOCT3/4、SOX2、KLF4、cMYCを搭載するセンダイウイルスベクター(CytoTune-iPS2.0、ThermoFisher SCIENTIFIC)を感染多重度(MOI)が5となるよう添加し、血液細胞をセンダイウイルスに感染させた。
【0134】
細胞を6ウェルディッシュに入れたまま、血液増殖培地にセンダイウイルスを添加した二日後に、500μLの幹細胞培地(20%KnockOut SR(登録商標、ThermoFisher SCIENTIFIC)を含むDMEM/F12)又はステムフィットを利用して培地交換した。
【0135】
血液増殖培地にセンダイウイルスを添加して15日後、細胞を顕微鏡で観察したところ、
図20に示すように、ES細胞様コロニーが形成されていることが確認された。また、4%-パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、フローサイトメーターを用いて、固定された細胞における細胞表面抗原TRA-1-60の発現量を測定したところ、
図21に示すように、誘導後の細胞は、ほぼ100%TRA-1-60陽性であり、ほぼ完全にリプログラミングされていることが確認された。したがって、細胞培養器内で細胞にリプログラミング因子を導入し、同一の細胞培養器内でリプログラミング因子を導入された細胞を培養して、細胞をリプログラミングすることが可能であることが示された。
【0136】
(実施例6)
ゲル状ではない液体の血液増殖培地をラミニンコートしたフラスコに入れ、5×105個の血液細胞(単核球)を播種した。その後、フラスコを37℃のCO2インキュベーター内に配置し、7日間、血液細胞を培養した。その後、血液増殖培地にOCT3/4、SOX2、KLF4、cMYCを搭載するセンダイウイルスベクター(CytoTune-iPS2.0、ThermoFisher SCIENTIFIC)を感染多重度(MOI)が5となるよう添加し、血液細胞をセンダイウイルスに感染させた。
【0137】
血液増殖培地にセンダイウイルスを添加した二日後、フラスコ内に空気が残らないように、幹細胞培地(20%KnockOut SR(登録商標、ThermoFisher SCIENTIFIC)を含むDMEM/F12)又はステムフィットでフラスコを完全に満たし、外部とのガス交換が生じないように、フラスコのキャップを閉め、細胞、微生物、及び不純物等が透過しないよう、フラスコの内部を閉鎖した。
【0138】
血液増殖培地にセンダイウイルスを添加して15日後、細胞を顕微鏡で観察したところ、
図22に示すように、ES細胞様コロニーが形成されていることが確認された。また、4%-パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、フローサイトメーターを用いて、固定された細胞における細胞表面抗原TRA-1-60の発現量を測定したところ、
図23に示すように、誘導後の細胞は、ほぼ100%TRA-1-60陽性であり、ほぼ完全にリプログラミングされていることが確認された。したがって、細胞培養器内で細胞にリプログラミング因子を導入し、同一の閉鎖された細胞培養器内でリプログラミング因子を導入された細胞を培養して、細胞をリプログラミングすることが可能であることが示された。
【符号の説明】
【0139】
11・・・赤血球除去器、15・・・単核球回収器、17・・・流路、18・・・流体機械、19・・・流路、20・・・単核球吸引装置、21・・・流体機械、22・・・細胞培養器、23・・・流路、24・・・流体機械、25・・・培地容器、26・・・流路、27・・・容積可変容器、28・・・流体機械、29・・・流路、30・・・容積可変容器、31・・・流路、32・・・培地容器、33・・・流体機械、40・・・培地保持槽、50・・・血液容器、51・・・流路、52・・・流体機械、53・・・赤血球処理剤容器、54・・・流路、55・・・流体機械、56・・・流路、57・・・混合器、58・・・流路、60・・・流路、61・・・希釈用液容器、62・・・流体機械、81・・・流路、82・・・コーティング剤容器、83・・・流体機械、84・・・流路、85・・・剥離液容器、86・・・流体機械、87・・・流路、88・・・凍結保存液容器、89・・・流体機械、90・・・流路、91・・・細胞凍結保存容器、92・・・流体機械、93・・・流路、115・・・開口、116・・・開口、117・・・流路、122・・・培地成分透過部材、123・・・区画、124・・・区画、129・・・流路、130・・・流体機械、215・・・細胞容器、216・・・流路