(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20220316BHJP
【FI】
E03D9/08 C
(21)【出願番号】P 2018096407
(22)【出願日】2018-05-18
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】持田 真之
(72)【発明者】
【氏名】河野 寛輝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆政
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-280139(JP,A)
【文献】特開平5-118073(JP,A)
【文献】特開2017-2501(JP,A)
【文献】特開2011-208475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留するタンクと、
前記タンクの水を使用者の局部へ向けて吐出する吐出ノズルと、を備え、
前記タンクは、
エアギャップを形成する位置に設けられるとともに、給水源からの水を垂直方向へ吐出して前記タンク内へ流入させる流入口と、
前記タンクの水を前記吐出ノズルへ流出させる流出口と、
前記タンク内に設けられ、前記流入口から流入する水流によって前記タンク内に発生した気泡を貯留する空気貯留部と、を備える
ことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記空気貯留部は、
上面部と、
前記上面部の少なくとも一端部から下方に延在する側面部と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記流入口から前記空気貯留部までの流路の一部が絞られるように形成される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記タンクは、前記流入口から流入する水を整流する整流部をさらに備え、
前記空気貯留部は、前記整流部の下流側に設けられ、
前記整流部もしくは前記空気貯留部の少なくとも一方には、前記空気貯留部に溜まった空気による浮きを防止する浮き防止部が設けられる
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記流出口は、前記空気貯留部よりも下方に設けられる
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一つに記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洋式便器本体の上部に配置され、吐出される水によって人体を洗浄する衛生洗浄装置が知られている。衛生洗浄装置は、例えば水道管などの給水源から供給される水をタンクに貯留し、貯留された水を吐出ノズルから人体へ吐出するように構成される。
【0003】
また、衛生洗浄装置にあっては、汚水が流路を逆流して給水源を汚染することを防止するため、給水源から吐出ノズルまでの流路にエアギャップが形成されることがある(例えば、特許文献1参照)。従来技術に係る衛生洗浄装置において、エアギャップは、給水源から吐出ノズルまでの流路を分断するような空間であり、例えば、上記したタンクに形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、給水源から供給される水をタンクに貯留するとき、設定された水位位置を例えばフロートセンサ等が検知すると、給水源からの供給が停止し、水がタンク内に貯留される。このとき、例えばタンク内の隅部や部品の結合箇所等におけるタンク内の一部分の水位は、水の表面張力が働き設定された水位より高くなる。このように、タンク内の一部分の水位が高い状態で、給水源に負圧が発生すると、タンク内の水が流入口へ引き込まれてしまうおそれがある。つまり、タンク内の水が、給水源へ逆流してしまうおそれがある。
また、タンク内の水位が所定の水位以上とならないように、いわゆるオーバーフロー部を設けることが考えられる。しかしながら、この場合も、水の表面張力によってオーバーフロー面の水位よりも高い水位位置で水が貯留され、給水源に負圧が発生して、タンク内の水が流入口へ引き込まれてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、タンク内の水が上流側へ逆流してしまうことを抑制することができる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る衛生洗浄装置によれば、水を貯留するタンクと、前記タンクの水を使用者の局部へ向けて吐出する吐出ノズルと、を備え、前記タンクは、エアギャップを形成する位置に設けられるとともに、給水源からの水を垂直方向へ吐出して前記タンク内へ流入させる流入口と、前記タンクの水を前記吐出ノズルへ流出させる流出口と、前記タンク内に設けられ、前記流入口から流入する水流によって前記タンク内に発生した気泡を貯留する空気貯留部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、流入口から流入する水流によって空気を貯留する空気貯留部を備えているため、給水源からの水の供給が停止すると、水流によって貯留されていた空気が水中から抜ける。抜けた分の空気の体積分、タンク内の水位が低下する。つまり、水位が下がった分、流入口から水面が遠ざかるため、給水源の負圧によって流入口に水が引き込まれることが抑制される。従って、タンク内の水が流入口から逆流してしまうことを抑制することができる。
【0009】
また、本発明の一態様に係る衛生洗浄装置において、好ましくは、前記空気貯留部は、上面部と、前記上面部の少なくとも一端部から下方に延在する側面部と、を有する。
【0010】
この構成によれば、空気貯留部は、上面部と、上面部の少なくとも一端部から下方に延在する側面部と、を有するため、空気貯留部に空気が溜まり易くなる。空気が溜まるほど、給水源からの水の供給が停止したときに抜けていく空気の体積が多くなるため、タンク内の水位をより低下させることができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係る衛生洗浄装置において、好ましくは、前記流入口から前記空気貯留部までの流路の一部が絞られるように形成される。
【0012】
この構成によれば、流入口から空気貯留部までの流路の一部が絞られるように形成されるため、絞られた部分の下流側は水の流速が早くなる。流速が早くなることで、空気貯留部から流入口側へ空気が抜けることを抑制され、空気貯留部に空気が溜まり易くなる。従って、タンク内の水位をより低下させることができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る衛生洗浄装置において、好ましくは、前記タンクは、前記流入口から流入する水を整流する整流部をさらに備え、前記空気貯留部は、前記整流部の下流側に設けられ、前記整流部もしくは前記空気貯留部の少なくとも一方には、前記空気貯留部に溜まった空気による浮きを防止する浮き防止部が設けられる。
【0014】
この構成によれば、整流部と空気貯留部の少なくとも一方には、浮き防止部が設けられるため、空気貯留部に溜まった空気による整流部または空気貯留部の浮きを防止することができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る衛生洗浄装置において、好ましくは、前記流出口は、前記空気貯留部よりも下方に設けられる。
【0016】
この構成によれば、流出口が空気貯留部よりも下方に設けられているため、空気貯留部の空気が、流出口に流れてしまうことが抑制され、吐出ノズルから吐出される水による局部の洗浄性を保つことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、衛生洗浄装置において、タンク内の水が上流側へ逆流してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置の構成の一例を示す説明図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置のタンクの斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置のタンクの分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置のタンク内の水の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0020】
<1.衛生洗浄装置の構成>
図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を示す斜視図である。なお、
図1には、説明を分かり易くするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。また、
図1および後述する
図2以降は、いずれも模式図である。
【0021】
図1に示すように、トイレ装置1は、洋式大便器(以下「便器」と記載する)10と、衛生洗浄装置20とを備え、トイレ室内に設置される。便器10は、貯水タンク11に貯留された水で洗浄を行うロータンク式であるが、これに限定されるものではなく、例えばフラッシュバルブ式であってもよい。また、
図1に示す例では、床置き式の便器10を示したが、これに限られず、壁掛け式などであってもよい。
【0022】
衛生洗浄装置20は、便器10の上部に設けられ、水を使用者の身体へ吐出させて局部を洗浄する。なお、本明細書において、「水」なる表現は、必ずしも冷水の意味ではなく、温水を含む意味で使用する場合がある。
【0023】
具体的に衛生洗浄装置20は、本体部30と、便蓋300と、図示しない便座とを備える。便蓋300および便座はともに、開閉可能なように本体部30に取り付けられる。
【0024】
本体部30は、ケース31と、ノズルユニット40と、給水部50とを備える。ケース31は、ノズルユニット40や給水部50などを収納する。
【0025】
図2は、ノズルユニット40や給水部50を含む衛生洗浄装置20の構成の一例を示す説明図である。
【0026】
図2に示すように、衛生洗浄装置20は、ノズルユニット40や給水部50に加え、制御部200と、着座センサ210と、操作部220とを備える。なお、上記した制御部200および着座センサ210は、例えば本体部30(
図1参照)に設けられる。
【0027】
ノズルユニット40は、吐出ノズル41を備える。例えば、吐出ノズル41は、先端に吐出孔42が開口され、水を吐出孔42から使用者の局部等へ吐出することができる。また、吐出ノズル41は、ケース31(
図1参照)に対して進退可能に構成される。詳しくは、例えば、吐出ノズル41には、図示しないモータなどの駆動源が接続される。吐出ノズル41は、駆動源の駆動により、便器10のボウル12内へ進出した位置と、ケース31内に後退して格納される位置との間で進退させられる。なお、吐出ノズル41は、進出した位置で水を使用者の身体へ吐出させて局部を洗浄する。
【0028】
給水部50は、水道管などの給水源Aに接続され、給水源Aからの水をノズルユニット40へ供給する。具体的には、給水部50は、止水栓51と、給水バルブユニット52と、タンク60と、ポンプ110と、熱交換器120とを備える。
【0029】
なお、以下では、給水源Aからノズルユニット40までの流路のうち、給水源Aからタンク60までの流路を「第1流路50a」、タンク60から熱交換器120までの流路を「第2流路50b」、熱交換器120からノズルユニット40までの流路を「第3流路50c」と記載する場合がある。
【0030】
第1流路50aには、上流側から順に、止水栓51および給水バルブユニット52が設けられる。止水栓51は、給水源Aから第1流路50aへの水の供給を手動操作に応じて停止させるための器具であるが、通常は開けた状態とされる。
【0031】
給水バルブユニット52は、上流側から順に、逆止弁52aと、ストレーナ52bと、定流量弁52cと、電磁弁52dとを備える。逆止弁52aは、給水源Aから止水栓51を介して供給された水の逆流を防止する。ストレーナ52bは、給水源Aから供給される水に混入したゴミなどの異物を除去する。定流量弁52cは、給水源Aから流入される水を所定の流量以下に調整して流出させる。電磁弁52dは、例えば、非通電時に閉状態となるノーマルクローズ式のバルブであり、制御部200からの制御信号に応じて第1流路50aを開閉する。
【0032】
タンク60は、給水源Aから第1流路50aを介して供給された水を貯留する。具体的には、タンク60は、タンク60の上方に形成される流入口94を備える。流入口94は、例えば、給水源Aからの水を垂直方向へ吐出してタンク60内へ流入させる。そして、タンク60に貯留された水は、後述するように、ノズルユニット40の吐出ノズル41へ供給される。
【0033】
なお、本明細書において「垂直」や「水平」などの語句を用いるが、これらは、必ずしも数学的に厳密な精度を必要とするものではなく実質的な公差や誤差などについては許容されるものである。
【0034】
また、タンク60には、タンク60に貯留される水の水位を検出する水位検出センサ100が配置される。
【0035】
ここで、例えば、水がタンク60に流入口94から流入すると、水はタンク60に既に貯留された水に当たったり、また、水に当たったときに気泡(泡)が発生したりするため、タンク内の水面Sにゆらぎが生じ易い。そのため、従来技術における水位検出センサは、上記した水面Sのゆらぎの影響を受けて、水位の検出精度が低下するおそれがあった。
【0036】
そこで、本実施形態に係るタンク60にあっては、仕切り部83を備えるようにした。例えば、仕切り部83は、タンク60内に設けられる。かかる仕切り部83は、タンク60内を、流入口94が設けられて水が流入する流入室71と水位検出センサ100が配置される水位検出室72とに区画する。
【0037】
このように、本実施形態にあっては、仕切り部83がタンク60内に設けられることで、水がタンク60に流入する際に生じる水面Sのゆらぎは、水位検出室72に伝達され難くなり、結果として水位検出センサ100における水位の検出精度を向上させることができる。
【0038】
図2の説明を続けると、タンク60は、例えば大気開放式のタンクである。また、タンク60は、オーバーフロー口73と、排水路74とを備える。オーバーフロー口73は、例えば、上記した流入口94より下方の位置で、かつ、タンク60の上部付近に設けられる開口であり、タンク60内の余剰水を流出させる。排水路74は、オーバーフロー口73から流出された余剰水を排水する流路である。
【0039】
従って、タンク60においては、上記したようなオーバーフロー口73と流入口94とを備えるため、水位がオーバーフロー口73より上方に上昇することはなく、これにより、流入口94と水面Sとの間にエアギャップ(空間)Gが形成されることとなる。すなわち、給水源Aから吐出ノズル41までの流路が、エアギャップGによって分断される。
【0040】
このように、本実施形態にあっては、エアギャップGがタンク60に形成されることで、例えば、給水源Aから吐出ノズル41までの流路において負圧が生じた場合であっても、汚水がタンク60から第1流路50aを介して逆流して給水源Aを汚染することを防止することができる。
【0041】
なお、オーバーフロー口73から排水路74へ流出した余剰水は、例えば、ケース31(
図1参照)に形成される排水経路(図示せず)を通って便器10のボウル12へ排出される。
【0042】
ポンプ110は、第2流路50bに設けられる。ポンプ110は、制御部200からの制御信号に応じて駆動し、タンク60に貯留され流出口76から流出された水を熱交換器120を介して吐出ノズル41へ供給する。
【0043】
熱交換器120は、吐出ノズル41へ供給される水の加熱を行うことができる。例えば、熱交換器120は、発熱体121と、熱交換器用水位検出センサ122とを備える。
【0044】
発熱体121は、熱交換器120内に配置され、制御部200からの制御信号によって通電されて発熱し、熱交換器120を通過する水を加熱する。なお、発熱体121としては、たとえばシーズヒータを用いることができるが、これに限定されるものではなく、例えばセラミックヒータなどその他の種類の発熱装置であってもよい。
【0045】
熱交換器用水位検出センサ122は、熱交換器120の所定の位置に配置され、熱交換器120内の水位が所定の位置以上に上昇した場合に、所定の信号を出力する。なお、熱交換器用水位検出センサ122としては、フロートスイッチ(フロートセンサ)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
そして、熱交換器120においては、水が発熱体121によって加熱されて温水が生成され、生成された温水が第3流路50cを介してノズルユニット40へ供給され、使用者の身体へ吐出される。
【0047】
着座センサ210は、例えばケース31(
図1参照)の適宜位置に設けられ、使用者が便座に座ったことを検知する。着座センサ210は、着座が検知された場合、着座を示す信号を出力する。かかる着座センサ210としては、例えば、投受光式の距離センサを用いることができる。
【0048】
なお、着座センサ210は、上記した距離センサに限られず、例えば便座に作用する使用者の荷重を検出する荷重センサなど他の種類のセンサを用いてもよい。また、着座センサ210は、必ずしもケース31に設けられることを要せず、例えばトイレ室の壁面などに設けられていてもよい。
【0049】
操作部220は、人体の洗浄を開始する洗浄開始指示や洗浄を停止する洗浄停止指示が使用者によって入力される操作ボタンや操作ツマミなどを備え、トイレ室の適宜位置に設けられる。操作部220は、使用者から操作ボタン等を介して入力された洗浄開始指示等を示す信号を出力する。なお、操作部220としては、例えばリモートコントローラを用いることができるが、これに限られず、本体部30に設けられるものであってもよい。
【0050】
上記した水位検出センサ100、熱交換器用水位検出センサ122、着座センサ210および操作部220から出力される各種の信号は、制御部200に入力される。制御部200は、衛生洗浄装置20全体を制御し、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの図示しない演算処理装置や、RAM(Random Access Memory)などの図示しない記憶装置を備える。
【0051】
制御部200は、入力される各種の信号に基づいて電磁弁52d、ポンプ110、発熱体121およびノズルユニット40などを制御する処理を行うことができる。
【0052】
例えば、制御部200は、水位検出センサ100や着座センサ210、操作部220から入力される信号に基づいて、電磁弁52dやポンプ110を制御するが、これについては後述する。
【0053】
また、制御部200は、熱交換器用水位検出センサ122から入力される所定の信号に基づいて、発熱体121への通電を制御することができる。例えば、制御部200は、熱交換器用水位検出センサ122から所定の信号が入力される場合、発熱体121への通電を行う一方、所定の信号が入力されない場合、言い換えれば、熱交換器120内の水位が所定の位置以下の場合、発熱体121への通電を停止することができる。これにより、熱交換器120における空焚きを防止することができる。
【0054】
<2.タンクの構成>
次いで、上記したタンク60について、
図3以降を参照して詳しく説明する。
図3は、タンク60の斜視図である。なお、上記したように、タンク60は、給水部50(
図2参照)に含まれ、ケース31(
図1参照)内に収納されるが、
図3に示すタンク60は、ケース31から取り出した状態を示している。
【0055】
また、
図4は、タンク60の分解斜視図である。
図3および
図4に示すように、タンク60は、タンク本体部70と、蓋部80と、流入部90と、空気貯留部400とを備える。タンク本体部70には、蓋部80が着脱可能に取り付けられるとともに、蓋部80には、流入部90が着脱可能に取り付けられる。また、空気貯留部400は、タンク本体部70内であって、タンク本体部70の底面70bと蓋部80との間に挟まれるように設けられる。
【0056】
具体的には、タンク本体部70は、例えば、略直方体の箱状に形成され、内部に水を貯留可能な形状とされる。なお、
図4等に示すタンク本体部70の形状は、あくまでも例示であって限定されるものではなく、例えば、円筒状や楕円筒状などその他の種類の形状であってもよい。
【0057】
また、タンク本体部70の上方(Z軸正方向)には、開口79が形成される。そして、かかる開口79の一部を覆うようにして、蓋部80がタンク本体部70に取り付けられる。逆に言えば、
図3に示すように、タンク本体部70は、蓋部80が取り付けられた状態のときに、蓋部80によって覆われない開口79aを有し、大気開放される。なお、開口79aについては、
図5を参照して後述する。
【0058】
また、
図4に示すように蓋部80の上方(Z軸正方向)にも、開口89が形成される。そして、かかる開口89を覆うようにして、流入部90が蓋部80に取り付けられる。
【0059】
このように、蓋部80はタンク本体部70に対して着脱可能とされ、流入部90は蓋部80に対して着脱可能とされる。なお、本実施形態において、タンク本体部70、蓋部80および流入部90、空気貯留部400は、別体とされるが、これに限定されるものではなく、一部または全部が一体となるように構成されてもよい。
【0060】
また、タンク本体部70には、上記したオーバーフロー口73と、排水路74とが形成される。詳しくは、
図4に示すように、オーバーフロー口73は、タンク本体部70の側面70aの上端において、開口79aと対応する部位が切り欠かれることで形成される。
【0061】
なお、上記では、オーバーフロー口73がタンク本体部70の側面70aの切り欠きによって形成されるようにしたが、これに限られず、側面70aに穿設される孔(開口)などによって形成されてもよい。
【0062】
排水路74は、タンク本体部70の側面70aの外周側であって、オーバーフロー口73の下方に形成される(
図3参照)。これにより、排水路74は、例えば、オーバーフロー口73の下端73aを越えて流出する余剰水を受けて排水することができる。
【0063】
<2.1.流入部の構成>
図5は、
図3のV-V線断面図である。
図5に示すように、流入部90は、基部91と、流入路92と、接続口93と、上記した流入口94とを備える。基部91は、上記した蓋部80の開口89を覆うことができる形状に形成される部材である。
【0064】
流入路92は、給水源A(
図1参照)からの水が流通する流路であり、基部91に形成される。例えば、流入路92は、基部91を貫通するように形成されるとともに、上流側となる一端に接続口93が、下流側となる他端に流入口94が形成される。詳しくは、流入路92は、接続口93から水平方向に向けて延在した後に屈曲し、垂直方向(より詳しくは鉛直下向き方向(Z軸負方向))に向けて延在するように形成される。
【0065】
接続口93には、第1流路50a(
図1参照)が接続され、給水源Aからの水が供給される。
【0066】
流入口94は、上記したように、垂直方向に向けて延在する流入路92の下流側に形成されることから、給水源Aからの水を垂直方向へ吐出してタンク60のタンク本体部70内へ流入させる。
【0067】
また、流入口94は、エアギャップGを形成する位置に設けられる。具体的には、オーバーフロー口73の下端73a(
図3参照)と対応する位置を
図5に二点鎖線で示すと、流入口94は、オーバーフロー口73の下端73aから側面視において上方に所定距離Da離間した位置に設けられる。
【0068】
上述したように、タンク60の水位は、オーバーフロー口73(正確には下端73a)より上方に上昇することはないため、流入口94と図示しない水面Sとの間にエアギャップGが形成されることとなる。このように、流入口94は、エアギャップGを形成する位置に設けられる。
【0069】
<2.2.蓋部の構成>
次に、蓋部80について説明する。蓋部80は、
図4および
図5に示すように、受け部81と、導水部82と、上記した仕切り部83と、支持部84とを備える。
図5に示すように、蓋部80がタンク本体部70に取り付けられた状態のとき、受け部81、導水部82、仕切り部83および支持部84は、いずれもタンク本体部70内に位置される。
【0070】
受け部81は、例えば、蓋部80の開口89の下方の位置、かつ、流入口94の下方の位置(正確には直下の位置)に設けられ、流入口94から吐出される水を受ける部位である。
【0071】
詳しくは、受け部81は、板状の部材であり、略下方に向けて延在するように形成される。また、受け部81は、垂直方向に対して傾斜する傾斜面81aを備え、かかる傾斜面81aで流入口94から吐出される水を受ける。
【0072】
導水部82は、受け部81で受けた水を導く部位である。例えば、導水部82は、板状の部材であり、水平面82aと、垂直面82bとを備える。水平面82aは、受け部81の下端から連続して形成されるとともに、水平方向(詳しくは、仕切り部83に近づくように水平方向(X軸負方向))に向けて延在するように形成される。
【0073】
垂直面82bは、水平面82aにおいて受け部81と連続する部位とは反対側の部位から連続して形成されるとともに、垂直方向(詳しくは鉛直下向き方向(Z軸負方向))に向けて延在するように形成される。
【0074】
これにより、導水部82は、受け部81で受けた水を、水平面82aで仕切り部83に向けて水平方向に導いた後、垂直面82bで垂直方向(詳しくは鉛直下向き方向)へ導くことができる。つまり、受け部81及び導水部82が、流入口94からタンク本体部70内に流入する水を整流する整流部として機能する。
【0075】
また、導水部82の下端82cは、タンク本体部70の底面70bまで到達しないような位置とされる。言い換えると、導水部82の下端82cは、底面70bとの間に間隙が形成される位置とされる。この間隙に、後述する空気貯留部400が配置されている。
【0076】
また、
図4に示すように、蓋部80の上部であって、Y軸方向の左右端部には、係合突起86が設けられている。この係合突起86は、タンク本体部70の側面70aに設けられる係合孔70dと係合し、タンク本体部70に対して蓋部80が上方に移動することを規制している。
【0077】
仕切り部83は、上記したように、タンク60内、正確にはタンク本体部70内を、水が流入する流入室71と水位検出センサ100が配置される水位検出室72とに区画する。これにより、水がタンク60に流入する際に生じる水面のゆらぎが、水位検出室72に伝達され難くなり、結果として水位検出センサ100における水位の検出精度を向上させることができることは、既に述べた通りである。
【0078】
なお、流入室71には、上記した受け部81および導水部82、空気貯留部400が設けられ、流入口94から吐出された水は、受け部81、導水部82、空気貯留部400の順に流れていく。換言すると、空気貯留部400は、整流部として機能する受け部81及び導水部82の下流側に設けられる。
【0079】
図5に示すように、仕切り部83は、例えば、板状の部材であり、流入口94から吐出され、導水部82及び空気貯留部400を通った水は、仕切り部83とタンク本体部の側面70aとの間に形成される流路(図示せず)を通って、水位検出室72へ流れ込むこととなる。
【0080】
次に、蓋部80の支持部84について説明する。
図5に示すように、支持部84は、水位検出センサ100を支持する部位である。例えば、支持部84は、仕切り部83に対して、水位検出室72が形成される側に隣接して形成される。支持部84には、中央付近に挿通孔84aが穿設される。支持部84は、かかる挿通孔84aに、後述する水位検出センサ100の軸部(ステム)102が挿通されることで、水位検出センサ100を支持する。
【0081】
<2.3.空気貯留部の構成>
次に、空気貯留部400について説明する。空気貯留部400は、上記したように、タンク本体部70内であって、タンク本体部70の底面70aと蓋部80との間に設けられる。
【0082】
図4及び
図5に示すように、空気貯留部400は、略箱状に形成されており、平板状の上面部401と、上面部の端部から下方に延在する側面部402と、を備える。
【0083】
側面部402は、上面部401のY軸負方向の端部から下方に延在する左側面部402aと、上面部401のY軸正方向の端部から下方に延在する右側面部402bと、上面部401のX軸正方向の端部から下方に延在する後側面部402cとを有し、左側面部402a及び右側面部402b、後側面部402cは連続して形成されている。また、空気貯留部400のX軸負方向側とZ軸負方向側は、開放されている。
【0084】
左側面部402aと右側面部402bの下部には、切り欠き部403が設けられており、空気貯留部400に流入した水は、この切り欠き部403から空気貯留部400外へ流れる。
【0085】
また、空気貯留部400には、上面部401から上方に突出する突起部405が設けられている。突起部405の上端は、導水部82の下面に当接している。
【0086】
<2.4.タンク本体部の構成>
次に、タンク本体部70について説明する。タンク本体部70は、上記したように、蓋部80が取り付けられた状態のときに、蓋部80によって覆われない開口79aを有し、大気開放される。かかる開口79aは、例えば、流入室71に形成される。
【0087】
また、
図5に示すように、タンク本体部70は、水位検出室72側において、凹部75と、上記した流出口76と、流出路77と、接続口78とを備える。
【0088】
ここで、タンク本体部70の説明を続ける前に、水位検出室72に配置される水位検出センサ100について説明しておく。
【0089】
本実施形態に係る水位検出センサ100としては、例えばフロートスイッチ(フロートセンサ)を用いることができる。なお、水位検出センサ100は、上記したフロートスイッチに限定されるものではなく、例えば、超音波式や静電容量式などその他の種類の水位検出センサであってもよい。
【0090】
図5に示すように、水位検出センサ100は、フロート部101と、軸部(ステム)102とを備える。フロート部101は、軸部102に対して上下動可能に取り付けられるとともに、図示しないマグネットが内蔵される。そして、フロート部101は、水位検出室72内の水位の変動に応じて浮力を受け、軸部102に沿ってマグネットとともに上下動する。
【0091】
軸部102は、上記したように、上端側が支持部84の挿通孔84aに挿通され、長手方向が垂直方向となるようにして支持される。また、軸部102には、図示しないリードスイッチが内部の適宜位置に設けられる。なお、かかるリードスイッチは、フロート部101のマグネットの上下動に伴う磁界の強弱に応じてON/OFFする。
【0092】
従って、水位検出センサ100は、フロート部101のマグネットの上下動に応じたリードスイッチON/OFFに基づいて、水位検出室72の水位を検出することができる。
【0093】
本実施形態に係る水位検出センサ100では、水位検出室72における下方付近の水位H1と、水位検出室72における上方付近で水位H1より高い水位H2とを検出できるように設定されるものとする。
【0094】
また、水位H1は、例えば、タンク60の下流側にあるポンプ110(
図2参照)の駆動によってタンク60の水を吐出ノズル41から吐出させて洗浄できる、最低の水位である。また、水位H2は、例えば、タンク60の満水位(最高水位)である。
【0095】
そして、本実施形態において、制御部200は、水位検出センサ100や着座センサ210、操作部220から入力される信号に基づいて、電磁弁52dやポンプ110(いずれも
図2参照)を制御し、タンク60における水位を、H1よりも低い初期水位や水位H1,H2に変動させる。
【0096】
上記した水位の変動について
図2および
図5を参照しつつ説明する。例えば、制御部200は、着座センサ210から着座を示す信号が入力されると、電磁弁52dを開弁し、水位が初期水位H0のタンク60に対して給水を開始する。
【0097】
そして、制御部200は、水位検出センサ100からタンク60の水位が水位H1になったこと示す信号が入力されると、電磁弁52dを閉弁して給水を停止するとともに、吐出ノズル41による洗浄に備える、言い換えると洗浄準備動作を終える。
【0098】
続いて、制御部200は、操作部220から洗浄開始指示を示す信号が入力されると、電磁弁52dを開弁してタンク60への給水を開始するとともに、ポンプ110を駆動させてタンク60の水を吐出ノズル41から吐出させて洗浄を行う。
【0099】
なお、制御部200は、水位検出センサ100からタンク60の水位が水位H2(満水位)になったこと示す信号が入力された場合、電磁弁52dを閉弁して給水を停止する。従って、洗浄は、タンク60の水位が水位H1以上、かつ、水位H2以下のときに行われることとなる。
【0100】
続いて、制御部200は、操作部220から洗浄停止指示を示す信号が入力されると、電磁弁52dを閉弁してタンク60への給水を停止するとともに、ポンプ110も停止させて洗浄を終了する。
【0101】
その後、制御部200は、使用者が離座して着座センサ210から着座を示す信号が入力されなくなると、タンク60の水抜き処理を実行することができる。例えば、制御部200は、ポンプ110を駆動させ、タンク60内の残水を吐出ノズル41へ供給し、吐出ノズル41から少量ずつ便器10のボウル12へ排出し、タンク60の水位を初期水位H0へ戻して水抜き処理を行う。
【0102】
タンク本体部70の説明に戻ると、タンク本体部70の凹部75は、
図5に示すように、水位検出室72の底面から下方(Z軸負方向)に向けて凹むように形成される。
【0103】
なお、凹部75は、水位検出室72の底面の全面に亘って形成されても、一部に形成されてもよい。すなわち、凹部75は、水位検出室72の底面の少なくとも一部に形成されればよい。
【0104】
また、例えば、凹部75は、
図4,5に示すように、有底円筒状に形成されるが、凹部75の形状はこれに限定されるものではない。
【0105】
また、凹部75は、上記した水位検出センサ100のフロート部101が出入可能な形状とされる。すなわち、水位検出センサ100は、フロート部101が凹部75に出入りできるように配置される。言い換えると、水位検出センサ100は、一部(例えばフロート部101や軸部102の下端部分)が凹部75内に位置するように配置される。
【0106】
これにより、水位検出センサ100は、凹部75内の水位を検出することができる。また、例えば、
図5に示すように、水位検出センサ100において、ポンプ110(
図2参照)を駆動可能な水位H1の位置を凹部75内に設定することが可能となり、これにより、着座後の洗浄準備動作に要する時間を短縮することができる。
【0107】
すなわち、例えば、着座後にタンク60の流入室71に水が流入すると、後述するように、流入室71の水は水位検出室72の凹部75に集まるようにして流れ込む。そのため、水位を初期水位H0から水位H1まで早期に上昇させることができる。そして、かかる水位H1を、一部が凹部75に配置された水位検出センサ100で確実に検出することで、タンク60への給水停止などが行われて洗浄準備動作を終えることができ、よって洗浄準備動作に要する時間を短縮することができる。
【0108】
流出口76は、
図5に示すように、水位検出室72に設けられる。例えば、流出口76は、水位検出室72の下方にある凹部75に形成される。また、流出口76は、空気貯留部400よりも下方に配置される。かかる流出口76は、タンク60の水、正確には水位検出室72の水を吐出ノズル41(
図2参照)へ流出させる。
【0109】
なお、上記では、流出口76は、凹部75の下部75aの側面に形成されるようにしたが、これはあくまでも例示であって限定されるものではなく、例えば、凹部75の底面などその他の場所に形成されてもよい。
【0110】
流出路77は、流出口76に接続され、タンク60内(正確には凹部75を含む水位検出室72)から流出された水が流通する流路である。接続口78は、流出路77において、流出口76が接続される端部とは反対側の端部に形成される。そして、接続口78には、第2流路50b(
図2参照)が接続される。
【0111】
タンク本体部70が上記のように構成されることで、水位検出室72の凹部75には、流入室71から水位検出室72へ流れてくる水が集まるようにして流れ込むこととなる。なお、図示は省略するが、流入口94からの水の流入が、水位検出室72の凹部75が満水になった後も継続される場合、水位検出室72および流入室71の両方に水が貯留されていくことになる。
【0112】
また、上記したように、洗浄の際にポンプ110が駆動すると、水位検出室72の水は、流出口76から流出される。そして、流出口76から流出された水は、流出路77および接続口78を介して第2流路50b(
図2参照)へ流れ、その後、ポンプ110、熱交換器120および第3流路50cを介して吐出ノズル41(いずれも
図2参照)へ供給される。
【0113】
<3.作用>
次に、
図6及び
図7を用いて、上述した本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置の作用を説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置のタンク内の水の流れを示す説明図である。
図7は、
図5のVII-VII線断面図である。
【0114】
図6に示すように、流入口94は、給水源Aからの水を垂直方向(より詳しくは鉛直下向き方向(Z軸負方向))に向けて吐出してタンク60のタンク本体部70内へ流入させる。流入口94から吐出された水は、受け部81の傾斜面81aに当たり、傾斜面81aに沿って下流に向かって流れる。その後、受け部81を流れてくる水は、導水部82によってさらに下流の空気貯留部400へ導かれる。
【0115】
ここで、例えば、タンク本体部70内の水が所定の水位(例えば満水位)まで溜まると、水位検出センサ100の検知に基づいて給水源Aからの水の供給が停止し、水がタンク本体部70内に貯留される。このとき、例えばタンク本体部70内の隅部や蓋部80との結合箇所における一部分の水位は、水の表面張力が働き設定された水位よりも高くなる。このように、タンク本体部70内の一部分の水位が高い状態で、給水源Aに負圧が発生すると、タンク本体部70内の水が流入口94に引き込まれてしまうおそれがある。つまり、タンク本体部70内の水が給水源Aへ逆流してしまうおそれがある。
また、タンク本体部70内の水位が所定の水位以上とならないように、オーバーフロー口73を設けている。しかしながら、水の表面張力によって、オーバーフロー口73の下端73aよりも高い水位位置で、タンク本体部70内で水が貯留され、給水源Aに負圧が発生してタンク本体部70内の水が流入口94へ引き込まれてしまうおそれがある。
【0116】
そこで、本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置によれば、流入口94から流入する水流によってタンク本体部70内に発生した気泡を貯留する空気貯留部400を備えている。
【0117】
具体的には、流入口94から吐出された水が、タンク本体部70内に着水すると、気泡(泡)が発生する。特に、導水部82の垂直面82bから、空気貯留部400に向かって流れるときに気泡(泡)が発生する。そして、受け部81や導水部82、導水部82から空気貯留部400に至るまでの流路で発生した気泡(泡)は、水流の勢いによって空気貯留部400へ向かって流れ、空気貯留部400の上流側(X軸負方向)の開放された側面から、上面部401と側面部402によって囲われた空間内に浸入して貯留される(空気M)。空気貯留部400内に浸入した気泡(泡)は、互いに結合して空気溜まりとなる。
【0118】
さらに、流入口94からタンク本体部70内に水が供給されている間は、空気貯留部400の上流側(X軸負方向)の開放された側面側から常に水が流れるため、流れる水の動圧によって、空気貯留部400の前方側(X軸負方向)の開放された側面からタンク本体部70の上方に向かって空気貯留部400内の空気Mが抜けていくことが抑制される。つまり、流入口94から流入する水流によって空気貯留部400に空気が貯留された状態が保持される。
そして、流入口94からタンク本体部70内への水の供給が停止すると、水流によって空気貯留部400に貯留されていた空気がタンク本体部70の上方に向かって抜ける。詳しくは、空気貯留部400の前方側(X軸負方向)の開放された側面からタンク本体部70の上方に向かって空気貯留部400内の空気Mが抜ける。この抜けた空気Mの体積分、タンク本体部70内の水位が低下する。つまり、水位が下がった分、流入口94から水面が遠ざかるため、給水源Aの負圧によって流入口94にタンク本体部70内の水が引き込まれることが抑制される。従って、タンク本体部70内の水が流入口94から逆流してしまうことを抑制することができる。
【0119】
また、空気貯留部400は、上面部401と、上面部401の端部から下方に延在する側面部402と、を有するため、空気貯留部400内に空気が溜まり易くなる。空気が溜まるほど、給水源Aからの水の供給が停止したときに抜けていく空気の体積が多くなるため、タンク本体部70内の水位をより低下させることができる。
なお、上面部401は、略水平に形成されるが、空気貯留部400の空気の抜けやすさを考慮して、X軸正方向に向かって下方に傾斜するように上面部を形成してもよい。反対に、空気貯留部400の空気の溜まり易さを考慮して、X軸正方向に向かって上方に傾斜するように上面部を形成してもよい。
【0120】
さらに、流出口76は、空気貯留部400よりも下方に設けられているため、空気貯留部400に貯留した空気Mが、流出口76に流れてしまうことが抑制される。そのため、吐出ノズルから吐出される水に空気が混合されることが抑制され、吐出ノズルから吐出される水による局部の洗浄性を保つことができる。
【0121】
また、ここで、空気貯留部400に空気Mが溜まると、空気Mの浮力によって、空気貯留部400や、空気貯留部400の上方に配置される受け部81及び導水部82がタンク本体部70に対して浮き上がってしまうおそれがある。
【0122】
そこで、本発明の一実施形態における衛生洗浄装置によれば、空気貯留部400の上面部401には、突起部405が設けられている。この突起部405の上端が導水部82の下面に当接しており、これによって空気貯留部400の上方への移動が規制されている。つまり、突起部405が浮き防止部として機能しており、空気貯留部400に溜まった空気によって、空気貯留部400や受け部81及び導水部82が浮いてしまうことを防止することができる。
さらに、受け部81及び導水部82が設けられる蓋部80は、係合突起86と係合孔70dが係合することによって、タンク本体部70に対して上方に移動することが規制されている。つまり、係合突起86と係合孔70dが浮き防止部として機能しており、空気貯留部400に溜まった空気によって、受け部81及び導水部82が設けられる蓋部80が上方に浮いてしまうことを防止することができる。
【0123】
また、
図6及び
図7に示すように、流入口94から空気貯留部400までの流路の一部が絞られるように形成される。具体的には、導水部82の下流端には、流路が絞られる絞り流路410が形成されている。この絞り流路410は、
図6における上面部401のX軸負方向の端部と仕切り部83とによって形成される流路であり、空気貯留部400の空気が貯留される空間よりも上流に形成されている。また、絞り流路410は、仕切り部83と導水部82によって形成される流路(絞り流路410よりも上流の流路)よりも、流路断面積が狭くなっている。
【0124】
このように、流入口94から空気貯留部400までの流路の一部が絞られるように形成されるため、絞り流路410の下流側は、水の流速が早くなる。流速早くなることで、絞り流路410の下流に設けられる空気貯留部400から、流入口94側へ空気が抜けることが抑制され、空気貯留部400に空気が溜まり易くなる。従って、タンク本体部70内の水位をより低下させることができる。
【0125】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0126】
1 トイレ装置
10 便器
20 衛生洗浄装置
41 吐出ノズル
60 タンク
75 凹部
76 流出口
83 仕切り部
94 流入口
100 水位検出センサ
400 空気貯留部
A 給水源
G エアギャップ