IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピーエスケー インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-基板処理方法及び基板処理装置 図1
  • 特許-基板処理方法及び基板処理装置 図2
  • 特許-基板処理方法及び基板処理装置 図3
  • 特許-基板処理方法及び基板処理装置 図4
  • 特許-基板処理方法及び基板処理装置 図5
  • 特許-基板処理方法及び基板処理装置 図6
  • 特許-基板処理方法及び基板処理装置 図7
  • 特許-基板処理方法及び基板処理装置 図8
  • 特許-基板処理方法及び基板処理装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220316BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
H01L21/304 645C
H01L21/302 101B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020206462
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2020-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0161819
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519362963
【氏名又は名称】ピーエスケー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヒー-ウン
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-113001(JP,A)
【文献】特表2019-518338(JP,A)
【文献】特開2004-39976(JP,A)
【文献】特表2005-522056(JP,A)
【文献】特開2014-7370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0064209(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/3065
H01L 21/027
H01L 21/31
B08B 3/08-3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法において、
チャンバーが有する処理空間に水、そしてアルコールを含む処理流体を供給し、前記処理流体からプラズマを発生させて前記基板上に形成されたホウ素(Boron)を含む薄膜を除去する基板処理方法。
【請求項2】
前記薄膜は、
BACL(Boron Amorphous Carbon Layer)であり、
前記アルコールは、
メタノール(MeOH)又はエタノール(EtOH)である請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記処理流体は、
液状の前記水、そして前記アルコールが前記チャンバーの外部に配置された気化器(Vaporizer)で気化されて前記処理空間に注入される請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記基板は、
前記基板上にパターンが形成された状態に前記処理空間に搬入され、
前記パターンは、
前記薄膜を含む請求項1乃至請求項3のいずれかの一項に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記薄膜は、
ハードマスク(Hardmask)である請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記処理空間は、
前記基板が処理される間に、前記基板が処理される前、又は前記基板が処理された後に排気ユニットによって排気される請求項1乃至請求項3のいずれかの一項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
基板上に形成されたホウ素(Boron)を含む薄膜を除去する処理する装置において、
処理空間を有するチャンバーと、
前記処理空間で基板を支持するチャックと、
前記チャックの上部に配置されるバッフルと、
前記処理空間に気化された水、そしてアルコールを含む処理流体を供給する流体供給ユニットと、
前記チャック、そして前記バッフルの中で少なくともいずれか1つと連結され、前記処理流体からプラズマを発生させる高周波電源と、を含む基板処理装置。
【請求項8】
前記流体供給ユニットは、
気化器と、
前記気化器で水を供給する第1処理流体供給源と、
前記気化器でアルコールを供給する第2処理流体供給源と、を含む請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記薄膜は、
BACL(Boron Amorphous Carbon Layer)であり、
前記第2処理流体供給源が供給する前記アルコールは、
メタノール(MeOH)又はエタノール(EtOH)である請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記装置は、
前記処理空間に残留する不純物及び/又は前記処理流体を排気する排気ユニットをさらに含む請求項7乃至請求項9のいずれかの一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板処理方法及び基板処理装置に係る。
【背景技術】
【0002】
プラズマはイオンやラジカル、そして電子等から成されたイオン化されたガス状態を言い、非常に高い温度や、強い電界、或いは高周波電磁界(RF Electromagnetic Fields)によって生成される。半導体素子の製造工程はプラズマを利用して基板の上の膜質を除去するアッシング又は蝕刻工程を含む。アッシング又は蝕刻工程はプラズマに含有されたイオン及びラジカル粒子が基板上の膜質と衝突又は反応することによって遂行される。
【0003】
プラズマを利用して基板を処理する装置は基板上の薄膜を除去するのに使用されることができる。例えば、基板処理装置が除去する薄膜は基板上に形成されたハードマスク(Hardmask)である。一般的なハードマスクの中でアモルファスカーボン(Amorphous Carbon)物質を含むハードマスクの場合、このようなハードマスクはカーボンベース(Carbon Base)の物質であるので、O、N等のドライガス(Dry Gas)の組合を通じて基板から容易に除去され、チャンバーから容易に排出されることができる。
【0004】
しかし、ハードマスクの中でアモルファスカーボン(Amorphous Carbon)物質にホウ素(Boron)が高いレベルに添加(Doping)された場合には、カーボン物質を除いた、添加されたホウ素(Boron)部分は上述したドライガスのみで適切な除去が難しい。これに、特許文献1では、HO Vaporを使用してハードマスクに添加されたホウ素部分を除去するプロセスを提案している。
【0005】
しかし、このようなプロセスはハードマスクに添加されたホウ素部分を除去する効率を改善するのに限界がある。具体的に、ハードマスクに添加されたホウ素部分に対して追加的な除去効率を高めるためには、基板を処理する工程温度を高くするか、或いはHO VaporのFlow Capacityを向上させなければならない。しかし、工程温度mp上昇、そしてHO VaporのFlow Capacityを向上させることは技術的に限界があるだけでなく、期待される改善幅も小さい。また、単純に工程温度の上昇及びHO VaporのFlow Capacityを大きくする場合、基板処理に作用する他の処理因子に影響を与える可能性がある。
【0006】
また、発明者は長い間に実験の末に、ホウ素が高いレベルに添加されたハードマスクを除去する基板処理装置が有するチャンバー内に、ハードマスクを除去する過程で発生する副産物(Byproduct)がチャンバー内から適切に排出されない問題点を発見した。具体的に、図1はBACLが形成されない基板をプラズマを利用して基板を処理する装置に処理する場合、発生する工程副産物の量を分析したグラフであり、図2はBACLが形成された基板をプラズマを利用して基板を処理する装置に処理する場合、発生する工程副産物の量を分析したグラフである。
【0007】
図1図2では工程流体でH、Ar、そしてHOを利用し、BACL(Boron Amorphous Carbon Layer)は上述したホウ素が高いレベルに添加されたハードマスクの一例である。また、BACLはHと反応してCHを生成し、Bに変化することができる。また、BはHOと反応して工程副産物であるB(OH)を生成することができる。
【0008】
図1図2を互いに比較して見れば、BACLが形成されない基板(例えば、Bare Silicon Wafer)を基板処理装置が処理する場合より、BACLが形成された基板を基板処理装置が処理する場合にさらに多い量の工程副産物であるB(OH)が発生することが分かる。
【0009】
また、図1を参照すれば、BACLが形成されない基板を基板処理装置が処理する場合にも、B(OH)が発生することが分かる。これと関連して、発明者は図3に図示されたように基板処理装置のチャンバーでプラズマを発生させなく、注入される工程流体の種類に応じて発生する工程副産物(B(OH)))の量を分析した。図3ではチャンバーにBACLが形成されない基板を搬入した。図3を参照すれば、Plasma Off、Vapor On条件でHOを基板処理装置のチャンバーに注入した場合に、B(OH)のPeakが発生することが分かる。
【0010】
図1乃至3を総合して見れば、BACLが形成された基板をHOを工程流体で使用してBACL膜を除去する場合、工程副産物(B(OH))が発生される点、チャンバー内空間にB又はB(OH)が残留することができる点等が分かる。また、BがHOと反応して生成するB(OH)は相対的に高い沸点及び融点を有することを理由として基板から工程副産物(B(OH))が適切に除去されないことを類推することができる。また、アモルファスカーボン(Amorphous Carbon)物質にホウ素(Boron)が高いレベルに添加(Doping)されたハードマスクの場合には、カーボン物質を除いた、添加されたホウ素(Boron)部分を除去するのにより多い時間が所要されることを類推することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許公開第2016/0064209号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は基板上に形成された薄膜(例えば、ハードマスク)を効果的に除去し、チャンバー内の処理空間に工程副産物が残留することを最小化し、チャンバー内の処理空間に残留する工程副産物を効果的に排出することができる基板処理方法及び基板処理装置を提供することにある。
【0013】
本発明が解決しようとする課題が上述した課題に限定されることはなく、言及されなかった課題は本明細書及び添付された図面から本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は基板を処理する方法を提供する。基板を処理する方法は、チャンバーが有する処理空間に水、そしてアルコールを含む処理流体を供給し、前記処理流体からプラズマを発生させて前記基板上に形成されたホウ素(Boron)を含む薄膜を除去することができる。
【0015】
一実施形態によれば、前記薄膜は、BACL(Boron Amorphous Carbon Layer)であり、前記アルコールは、メタノール(MeOH)又はエタノール(EtOH)である。
【0016】
一実施形態によれば、前記処理流体は、液状の前記水、そして前記アルコールが前記チャンバーの外部に配置された気化器(Vaporizer)で気化されて前記処理空間に注入されることができる。
【0017】
一実施形態によれば、前記基板は、前記基板上にパターンが形成された状態に前記処理空間に搬入され、前記パターンは前記薄膜を含むことができる。
【0018】
一実施形態によれば、前記薄膜は、ハードマスク(Hardmask)である。
【0019】
一実施形態によれば、前記処理空間は、前記基板が処理される間に、前記基板が処理される前、又は前記基板が処理された後に排気ユニットによって排気されることができる。
【0020】
また、本発明は基板上に形成されたホウ素(Boron)を含む薄膜を除去する処理する装置を提供する。基板処理装置は、処理空間を有するチャンバーと、前記処理空間で基板を支持するチャックと、前記チャックの上部に配置されるバッフルと、前記処理空間に気化された水、そしてアルコールを含む処理流体を供給する流体供給ユニットと、前記チャック、そして前記バッフルの中で少なくともいずれか1つと連結され、前記処理流体からプラズマを発生させる高周波電源と、を含むことができる。
【0021】
一実施形態によれば、前記流体供給ユニットは、気化器と、前記気化器に水を供給する第1処理流体供給源と、前記気化器にアルコールを供給する第2処理流体供給源と、を含むことができる。
【0022】
一実施形態によれば、前記薄膜はBACL(Boron Amorphous Carbon Layer)であり、前記第2処理流体供給源が供給する前記アルコールは、メタノール(MeOH)又はエタノール(EtOH)である。
【0023】
一実施形態によれば、前記装置は、前記処理空間に残留する不純物及び/又は前記処理流体を排気する排気ユニットをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施形態によれば、基板を効率的に処理することができる。
【0025】
また、本発明の一実施形態によれば、基板上に形成された薄膜(例えば、ハードマスク)を効果的に除去することができる。
【0026】
また、本発明の一実施形態によれば、チャンバー内処理空間に工程副産物が残留することを最小化することができる。
【0027】
また、本発明の一実施形態によれば、チャンバー内処理空間に残留する工程副産物を効果的に排出することができる。
【0028】
本発明の効果が上述した効果によって限定されることはなく、言及されなかった効果は本明細書及び添付された図面から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】BACLが形成されない基板をプラズマを利用して基板を処理する装置に処理する場合、発生する工程副産物の量を分析したグラフである。
図2】BACLが形成された基板をプラズマを利用して基板を処理する装置に処理する場合、発生する工程副産物の量を分析したグラフである。
図3】基板処理装置のチャンバー内に注入される工程流体の種類に応じて発生する工程副産物の量を分析したグラフである。
図4】本発明の一実施形態による基板処理装置が処理する基板の形状を示す図面である。
図5】本発明の一実施形態に係る基板処理装置を示す図面である。
図6図5の基板処理装置によって処理される基板の処理メカニズムを示す図面である。
図7】基板を処理する過程で発生する工程副産物の構造式を示す図面である。
図8図7の工程副産物がアルコールと反応して生成される物質の構造式の一例を示す図面である。
図9図7の工程副産物がアルコールと反応して生成される物質の構造式の他の例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
下では添付した図面を参考として本発明の実施形態に対して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施形態に限定されない。また、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明することにおいて、関連された公知機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にすることができていると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。また、類似な機能及び作用をする部分に対しては図面の全体に亘って同一な符号を使用する。
【0031】
ある構成要素を‘含む’ということは、特別に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外することではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。具体的に、“含む”又は“有する”等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとすることがであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないことと理解されなければならない。
【0032】
単数の表現は文脈の上に明確に異なりに表現しない限り、複数の表現を含む。また、図面で要素の形状及びサイズ等はより明確な説明のために誇張されることができる。
【0033】
第1、第2等の用語は多様な構成要素を説明するために使用されることができるが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。例えば、本発明の権利範囲から離脱されないまま、第1構成要素は第2構成要素と称されることができ、類似に第2構成要素とも第1構成要素と称されることができる。
【0034】
ある構成要素が他の構成要素に“連結されて”あるか、或いは“接続されて”いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、又は接続されているが、中間に他の構成要素が存在することもあると理解されるべきである。反面に、ある構成要素が他の構成要素に“直接連結されて”いるか、或いは“直接接続されて”いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないことと理解されるべきである。構成要素間の関係を説明する他の表現、即ち“~間に”と“すぐ~間に”又は“~に隣接する”と“~に直接隣接する“等も同様に解析されなければならない。
【0035】
異なりに定義されない限り、技術的であるか、或いは科学的な用語を含んで、ここで使用されるすべての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されることと同一な意味である。一般的に使用される事前に定義されていることと同一の用語は関連技術の文脈の上に有する意味と一致する意味であることと解析されるべきであり、本出願で明確に定義しない限り、理想的であるか、或いは過度に形式的な意味として解釈されない。
【0036】
以下では、図4乃至図9を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0037】
図4は本発明の一実施形態による基板処理装置が処理する基板の形状を示す図面である。図4を参照すれば、本発明の一実施形態による基板処理装置10が処理する基板Wはシリコンウエハである。また、基板W上には第1膜F1、そして第2膜F2が形成されることができる。第1膜F1、そして第2膜F2は薄膜の除去工程で除去される膜である。第1膜F1、そして第2膜F2は薄膜の除去工程でパターンを形成することができ、薄膜の除去工程を経た第2膜F2はハードマスク(Hardmask)と称されることができる。
【0038】
また、第2膜F2は、ホウ素(Boron)を含むBACL(Boron Amorphous Carbon Layer)である。また、第2膜F2はホウ素(Boron)が高いレベルに添加(Doping)されたBACL(Boron Amorphous Carbon Layer)である。基板Wは上部に上述したパターンが形成された状態(例えば、上述したBACLであるハードマスクが提供された状態)として後述するチャンバー100の処理空間102に搬入されることができる。基板W上に形成されたパターンは第2膜Fを含むことができる。
【0039】
図5は本発明の一実施形態に係る基板処理装置を示す図面である。図5を参照すれば、本発明の一実施形態による基板処理装置10は基板W上に形成された第2膜F2であるハードマスク(Hardmask)を除去する薄膜の除去工程を遂行することができる。
【0040】
図5を参照すれば、本発明の一実施形態による基板処理装置10はチャンバー100、チャック200、バッフル300、流体供給ユニット400、ガス供給ユニット500、排気ユニット600、電源ユニット700、そして制御器800を含むことができる。
【0041】
チャンバー100は処理空間102を有することができる。チャンバー100は接地されることができる。チャンバー100が有する処理空間102は基板W上に形成されたハードマスクを除去する薄膜の除去工程が遂行される空間である。チャンバー100の一側には基板Wが処理空間102に搬入又は基板Wが処理空間102から搬出される搬入口(未図示)が形成されることができる。搬入口はドア(図示せず)によって選択的に開閉されることができる。また、チャンバー100の底面には後述する排気ユニット600と連結される排気ホール104が形成されることができる。
【0042】
また、チャンバー100には冷却部材110が提供されることができる。冷却部材110はチャンバー100の温度を調節することができる。冷却部材110は処理空間102の温度を調節することができる。冷却部材110は冷却流体を供給する冷却流体供給源と連結された流路である。冷却部材110に供給される冷却流体は、冷却水であるか、或いは冷却ガスである。しかし、これに限定されることではなく、冷却部材110はチャンバー100に冷熱を伝達することができる公知された記載に多様に変形されることができる。
【0043】
チャック200は処理空間102で基板Wを支持することができる。チャック200は支持板210、昇降部材220、そして加熱部材230を含むことができる。支持板210は基板Wが安着される案着面を有することができる。支持板210は上部から見る時、大体に円板形状を有することができる。また、支持板210内には電極が提供されることができる。支持板210内に提供される電極は接地されることができる。
【0044】
昇降部材220は支持板210を上下方向に移動させることができる。昇降部材220は支持板210を上下方向に移動させて、処理空間102で支持される基板Wの高さを変更することができる。
【0045】
また、支持板210内には加熱部材230が提供されることができる。加熱部材230はヒーターである。加熱部材230は加熱電源(図示せず)から電力が供給されて加熱されるヒーターである。加熱部材230は加熱電源から電力が供給されて支持板210に支持される基板Wの温度を調節することができる。
【0046】
バッフル300は処理空間102に工程ガス及び/又は処理流体を供給することができる。バッフル300は内部空間302を有する筒形状に提供されることができる。また、バッフル300の下面には工程ガス及び/又は処理流体が流れる噴射ホール304が形成されることができる。バッフル300の上部には後述する流体供給ライン440、そしてガス供給ライン530が連結される注入ポートが形成されることができる。流体供給ライン440が供給する処理流体、そしてガス供給ライン530が供給する工程ガスは注入ポートを通じて内部空間302に流入されることができる。内部空間302に流入された工程ガス及び/又は処理流体は噴射ホール304を通じて処理空間102に流入されることができる。また、バッフル300の下面は縁領域の下面が中央領域の下面面より低い段差付けた形状を有することができる。これに、バッフル300はチャンバー100の上部に形成された開口に挿入されて設置されることができる。また、バッフル300は接地されることができる。
【0047】
流体供給ユニット400は処理空間102に処理流体を供給することができる。流体供給ユニット400が供給する処理流体は水(H0)又はアルコール等を含むことができる。アルコールはメタノール(MeOH、第1アルコールの一例)、又はエタノール(EtOH、第2アルコールの一例)である。また、流体供給ユニット400は処理流体供給源410、気化器(420、Vaporizer)、流量調節部材430、そして流体供給ライン440を含むことができる。
【0048】
処理流体供給源410は第1処理流体供給源411、そして第2処理流体供給源412を含むことができる。第1処理流体供給源411は気化器420に水(HO)を含む処理流体を気化器420に伝達することができる。また、第2処理流体供給源412はアルコールを含む処理流体を気化器420に伝達することができる。第2処理流体供給源412が気化器420に伝達するアルコールはメタノール(MeOH)又はエタノール(EtOH)である。
【0049】
また、処理流体供給源410は液状の処理流体を気化器420に伝達することができる。気化器420では伝達された処理流体を高温に加熱する等の方式に処理流体を気化された状態に変化させることができる。気化器420で気化された状態に変化された高温の処理流体はバッフル300と連結される流体供給ライン440を通じてバッフル300に伝達されることができる。また、バッフル300に伝達された処理流体は噴射ホール304を通じて処理空間102に注入されることができる。また、流量調節部材430はバッフル300に伝達される処理流体の単位時間当たり供給流量を変更することができる。流量調節部材430はレギュレータ(Regulator)であるか、或いは流量調節バルブである。しかし、これに限定されることではなく、流量調節部材430は処理流体の単位時間当たり供給流量を変更することができる公知された装置で多様に変形されることができる。
【0050】
ガス供給ユニット500は処理空間102に工程ガスを供給することができる。ガス供給ユニット500が処理空間102に供給する工程ガスは、N、Ar、H、O、O*の中で少なくとも1つ以上を含むことができる。
【0051】
ガス供給ユニット500はガス供給源510、流量制御部材520、そしてガス供給ライン530を含むことができる。
【0052】
ガス供給源510はガス供給ライン530を通じてバッフル300に工程ガスを供給することができる。バッフル300に供給された工程ガスは噴射ホール304を通じて処理空間102に供給されることができる。ガス供給源510は第1ガス供給源511、第2ガス供給源512、そして第3ガス供給源513を含むことができる。第1ガス供給源511は窒素(N2)ガスを供給することができる。第2ガス供給源512はアルゴン(Ar)ガスを供給することができる。第3ガス供給源513は水素(H)ガスを供給することができる。また、ガス供給源510が供給する工程ガスの単位時間当たり供給流量は流量制御部材520によって調節されることができる。例えば、流量制御部材520は第1流量制御部材521、第2流量制御部材522、そして第3流量制御部材523を含むことができる。また、第1ガス供給源511が供給する工程ガスの単位時間当たり供給流量はガス供給ライン530に設置される第1流量制御部材521によって調節されることができる。また、第2ガス供給源512が供給する工程ガスの単位時間当たり供給流量はガス供給ライン530に設置される第2流量制御部材522によって調節されることができる。また、第3ガス供給源513が供給する工程ガスの単位時間当たり供給流量はガス供給ライン530に設置される第3流量制御部材523によって調節されることができる。流量制御部材520はレギュレータであるか、或いは流量調節バルブである。しかし、これに限定されることではなく、流量制御部材520は工程ガスの単位時間当たり供給流量を調節する公知された装置で多様に変形されることができる。
【0053】
排気ユニット600は処理空間102を排気することができる。排気ユニット600は基板Wが処理される前、基板Wが処理された後、基板Wが処理される間にの中で少なくとも1つ以上の時期に処理空間102を排気することができる。排気ユニット600は処理空間102を排気して、処理空間102に供給された工程ガス、処理流体、基板Wを処理する過程で発生されることができる副産物(又は不純物)を処理空間102の外部に排出することができる。排気ユニット600は排気ホール104と連結される排気ライン602、そして排気ライン602に減圧を提供する排気部材604を含むことができる。排気部材604はポンプである。しかし、これに限定されることではなく、排気部材604は処理空間102に減圧を提供して処理空間102を排気する公知された装置で多様に変形されることができる。
【0054】
電源ユニット700は処理空間102に電界を発生させることができる。電源ユニット700は処理空間102に電界を発生させて、処理空間102に供給される工程ガス又は処理流体からプラズマを発生させることができる。電源ユニット700は高周波電源702、そして整合器704を含むことができる。高周波電源702はRF電源である。整合器704は高周波電源702に対する整合を遂行することができる。
【0055】
制御器800は基板処理装置10を制御することができる。制御器800は基板処理装置10が基板W上の薄膜を除去する薄膜の除去工程を遂行できるように基板処理装置10を制御することができる。例えば、制御器800は冷却部材110、昇降部材220、加熱部材230、加熱部材230に電力を伝達する加熱電源、流体供給ユニット400、ガス供給ユニット500、排気ユニット600、そして電源ユニット700の中で少なくとも1つ以上を制御することができる。また、制御器800は基板処理装置10の制御を実行するマイクロプロセッサー(コンピュータ)で成されるプロセスコントローラと、オペレータが基板処理装置10を管理するためにコマンド入力操作等を行うキーボードや、基板処理装置10の稼動状況を可視化して表示するディスプレイ等に成されるユーザインターフェイスと、基板処理装置10で実行される処理をプロセスコントローラの制御で実行するための制御プログラムや、各種データ及び処理条件に応じて各構成部に処理を実行させるためのプログラム、即ち処理レシピが格納された格納部を具備することができる。また、ユーザインターフェイス及び格納部はプロセスコントローラに接続されていることができる。処理レシピは記憶部の中で記憶媒体に記憶されていることができ、記憶媒体は、ハードディスクであってもよく、CD-ROM、DVD等の可搬性ディスクや、フラッシュメモリ等の半導体メモリ一であってもよい。
【0056】
図6図5の基板処理装置によって処理される基板の処理メカニズムを示す図面である。具体的に、図6は基板W上に形成された薄膜(例えば、BACL)が除去されるメカニズム(Mechanism)を示す図面である。図6を参照すれば、基板Wは処理空間102に基板W上にBACLである第2膜F2が提供された状態に搬入されることができる。基板W上に提供されたBACLはガス供給ユニット500が供給する工程ガス(例えば、O*、O、H)と反応して主にCO、CO、CHを含む第1工程副産物を発生させることができる。BACLがガス供給ユニット500が供給する工程ガスと反応した後には、基板W上にSolid Boron Oxide(B)が残っていることができる。このようなSolid Boron Oxide(B)は流体供給ユニット400が供給するHOと反応して主にB(OH)を含む第2工程副産物を発生させることができる。このような処理メカニズムは連続的、同時多発的、そして反復的に進行されることができる。
【0057】
また、流体供給ユニット400及びガス供給ユニット500がO*、O、又はH、そしてHOのみを処理空間102に供給する場合には第2工程副産物(Boric acid)は基板Wから適切に除去されないか、或いはチャンバー100の処理空間102に残留することができる。これは、第2工程副産物は大気圧で相対的に高い沸点及び融点を有し、第2工程副産物が水に対する溶解度が相対的に低いためである。
【0058】
具体的に、第2工程副産物が主に含むB(OH)は沸点が300°C、そして融点が171°Cである、即ち、第2工程副産物は大気圧では固体状態に存在し、気化させるのに非常に難しい物質であるので、単純な排気ユニット600の排気のみでは基板W又は処理空間102から除去されるのが難しい。即ち、第2工程副産物は水(HO)に対する溶解度が相対的に低いので、基板W又は処理空間102から除去されることが難しい。
【0059】
したがって、本発明の一実施形態による基板処理方法は処理空間102にアルコール(例えば、メタノール又はエタノール)を注入して上述した問題を解消した。例えば、処理空間102にアルコールが注入されれば、アルコールはB(OH)を主に含む第2工程副産物のエステル化反応(Esterification)を誘導することに応じて揮発性を有するホウ酸塩(Borate)類を生成する。揮発性を有するホウ酸塩(Borate)類は基板W又は処理空間102から容易に除去されることができる。
【0060】
例えば、第2工程副産物が主に含むB(OH)図7に図示されたような構造式を有するようにされる。このようなB(OH)がアルコールと反応する反応式は以下の通りである。
B(OH)+3ROH⇔B(OR)+3H
【0061】
この時、Rがメチル(Methyl)基である場合、エステルの名称はtrimethyl borateになり、そのエステルの構造式は図8に図示された通りである。
【0062】
trimethyl borateは大気圧で相対的に低い沸点及び融点を有する。具体的に、trimethyl borateの沸点は沸点が69°C、そして融点がが-34°Cである。即ち、trimethyl borateは大気圧では液体状態に存在し、trimethyl borateは沸点が300°CであったB(OH)と比較する時、気化させるのが非常に容易であることが分かる。trimethyl borateが気化されるのに容易であるので、処理空間102の温度を少し高めても、排気ユニット600を通じてtrimethyl borateは基板W又は処理空間102から容易に除去されることができる。
【0063】
この時、Rがエチル(ethyl)基である場合、エステルの名称はtriethyl borateになり、そのエステルの構造式は図9に図示されたことと同一である。triethyl borateは大気圧で相対的に低い沸点及び融点を有する。即ち、triethyl borateは大気圧上では液体状態に存在し、triethyl borateは沸点が300°CであったB(OH)と比較する時、気化させるのが非常に容易であることが分かる。triethyl borateが気化されるのに容易であるので、処理空間102の温度を少し高めても、排気ユニット600を通じてtriethyl borateは基板W又は処理空間102から容易に除去されることができる。
【0064】
また、メタノール又はエタノールは、水と比較する時、B(OH)に対して相対的に高い溶解度を有する。例えば、25°Cでエタノールの場合には、9.4g/100mL、メタノールの場合、17.4g/100mLに水と比較する時、基板各々の1.6倍、そして3.1倍の溶解度を有する。即ち、処理空間102に注入されるアルコールはB(OH)を溶解させ、B(OH)が溶解されたアルコールは排気ユニット600を通じて基板W又は処理空間102から容易に除去されることができる。
【0065】
即ち、本発明の一実施形態による基板処理装置が基板を処理する方法では、処理空間102にアルコールを注入することによって、アルコールがBACLを除去する過程で発生される第2工程副産物のB(OH)に対する溶解度を増加させる。B(OH)が溶解されたアルコールは基板W又は処理空間102から容易に除去されることができる。また、処理空間102にアルコールを注入することによって、アルコールがBACLを除去する過程で発生される第2工程副産物のB(OH)に対するエステル化反応を誘導する。これに、揮発性が強いホウ酸塩(Borate)類を生成し、揮発性が強いホウ酸塩(Borate)類は基板W又は処理空間102から容易に除去されることができる。これに、本発明の一実施形態によれば、基板上に形成された薄膜(例えば、ハードマスク)を効果的に除去することができる。また、本発明の一実施形態によれば、チャンバー内処理空間に工程副産物が残留することを最小化することができる。また、本発明の一実施形態によれば、チャンバー内処理空間に残留する工程副産物を効果的に排出することができる。また、本発明の一実施形態によれば本発明の基板を効率的に処理することができる。
【0066】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、前述した内容は本発明の好ましい実施形態を例として説明することであり、本発明は多様な他の組合、変更、及び環境で使用することができる。即ち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、前述した開示内容と均等な範囲及び/又は当業界の技術又は知識の範囲内で変更又は修正が可能である。前述した実施形態は本発明の技術的思想を具現するための最善の状態を説明することであり、本発明の具体的な適用分野及び用途で要求される多様な変更も可能である。したがって、以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではない。添付された請求の範囲は他の実施状態も含むこととして解析されなければならない。
【符号の説明】
【0067】
W 基板
F1 第1膜
F2 第2膜
10 基板処理装置
100 チャンバー
102 処理空間
104 排気ホール
106 冷却部材
200 チャック
210 支持板
220 昇降部材
230 加熱部材
300 バッフル
302 内部空間
304 噴射ホール
400 流体供給ユニット
410 処理流体供給源
411 第1処理流体供給源
412 第2処理流体供給源
420 気化器
430 流量調節部材
440 流体供給ライン
500 ガス供給ユニット
510 ガス供給源
511 第1ガス供給源
512 第2ガス供給源
513 第3ガス供給源
520 流量制御部材
521 第1流量制御部材
522 第2流量制御部材
523 第3流量制御部材
530 ガス供給ライン
600 排気ユニット
602 排気ライン
604 排気部材
700 電源ユニット
702 高周波電源
704 整合器
800 制御器
【要約】
【課題】基板上に形成された薄膜(例えば、ハードマスク)を効果的に除去し、チャンバー内の処理空間に工程副産物が残留することを最小化し、チャンバー内の処理空間に残留する工程副産物を効果的に排出することができる基板処理方法及び基板処理装置を提供する。
【解決手段】本発明は基板を処理する方法を提供する。基板を処理する方法は、チャンバーが有する処理空間に水、そしてアルコールを含む処理流体を供給し、前記処理流体からプラズマを発生させて前記基板上に形成されたホウ素(Boron)を含む薄膜を除去することができる。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9