(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】穿孔制御装置
(51)【国際特許分類】
E21B 1/26 20060101AFI20220316BHJP
B25D 9/26 20060101ALI20220316BHJP
B28D 1/26 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
E21B1/26
B25D9/26
B28D1/26
(21)【出願番号】P 2018122346
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】594149398
【氏名又は名称】古河ロックドリル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】本間 正敏
【審査官】三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-341083(JP,A)
【文献】国際公開第2015/115105(WO,A1)
【文献】実開昭58-010988(JP,U)
【文献】実開昭61-152091(JP,U)
【文献】特開平11-173062(JP,A)
【文献】特開平5-59751(JP,A)
【文献】米国特許第05131475(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0318167(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/26
B25D 9/26
B28D 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後室高低圧切換式の液圧式打撃機構と、フィードモータを有する送り機構と、プッシングピストンおよびダンピングピストンを有するデュアルダンパ機構と、を備える穿孔装置に用いられる穿孔制御装置であって、
前記液圧式打撃機構の作動管路に設けられて第一のパイロット比例制御弁および第一の減圧弁を有する打撃圧力制御手段と、
前記デュアルダンパ機構の作動管路に設けられて第二のパイロット比例制御弁および第二の減圧弁を有するダンパ圧力制御手段と、
前記送り機構の作動管路にポンプ側からフィードモータ側へ向けて順に設けられたフィード圧力調整弁およびフィード流量調整弁と、
前記ダンパ圧力制御手段のパイロットポートと前記フィード流量調整弁および前記フィード圧力調整弁の間の1次通路とを相互に接続する第一のパイロット通路と、
前記打撃圧力制御手段のパイロットポートと前記フィード流量調整弁および前記フィードモータの間の2次通路とを相互に接続する第二のパイロット通路と、
を備えることを特徴とする穿孔制御装置。
【請求項2】
前後室高低圧切換式の液圧式打撃機構と、フィードモータを有する送り機構と、プッシングピストンおよびダンピングピストンを有するデュアルダンパ機構と、を備え、前記デュアルダンパ機構の作動管路が、ダンピングピストン用作動管路と、プッシングピストン用作動管路と、を有する穿孔装置に用いられる穿孔制御装置であって、
前記液圧式打撃機構の作動管路に設けられて第一のパイロット比例制御弁および第一の減圧弁を有する打撃圧力制御手段と、
前記ダンピングピストン用作動管路に設けられて第二のパイロット比例制御弁および第二の減圧弁を有するダンパ圧力制御手段と、
前記送り機構の作動管路にポンプ側からフィードモータ側へ向けて順に設けられたフィード圧力調整弁およびフィード流量調整弁と、
前記フィード流量調整弁と前記フィードモータとの間の2次通路と前記打撃圧力制御手段のパイロットポート並びに前記ダンパ圧力制御手段のパイロットポートとを相互に接続するパイロット通路と、を備え、
前記フィード流量調整弁と前記フィード圧力調整弁との間の1次通路と前記プッシングピストン用作動管路とが直接接続されていることを特徴とする穿孔制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝機構を備える穿孔装置用として好適な穿孔制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の穿孔装置は、例えば
図4に一例を示すようなさく岩機Aを備える。このさく岩機Aは、走行台車に設けられたブーム先端に装着されるガイドシェル8と、ガイドシェル8上を前進後退可能に搭載されて打撃・回転機構3を有するさく岩機本体1と、を有する。
さく岩機本体1は、ガイドシェル8のキャリッジ7上に設置され、キャリッジ7にはフィードモータ10によって駆動されるチェーン9が連結され、さく岩機本体1を進退駆動する送り機構が構成されている。さく岩機本体1の先端には、シャンクロッド2が装着され、シャンクロッド2の前端には、ビット6を前端に取り付けたロッド4がスリーブ5を介して連結されている。
そして、これらビット6、ロッド4、スリーブ5及びシャンクロッド2で工具が構成され、送り機構によって工具を破砕対象へと押付けるとともに、打撃機構と回転機構とにより発生する衝撃力と回転力を、工具を介して破砕対象へと伝達して破砕対象を破砕するようになっている。
【0003】
ここで、本出願人は、
図5に示すように、工具(シャンクロッド)2および打撃ピストン12とさく岩機本体1との間に配設され、破砕対象から工具2を介してさく岩機本体1に伝えられる反射エネルギーを緩衝するダンピングピストン17と、工具2を破砕対象に安定的に押し付けるプッシングピストン16と、を備える2段式の緩衝機構DP(以下、「デュアルダンパ機構DP」ともいう)を実用化し、さく岩機本体1の機器の損耗低減と打撃効率の向上とを果たしている。
同図に示す例では、さく岩機本体1には、チャック13を介してシャンクロッド2に回転を与えるチャックドライバ14が設けられている。チャックドライバ14には、シャンクロッド2の大径部後端に当接する伝達部材としてのチャックドライバブッシュ15が装着され、このチャックドライバブッシュ15の後側に、緩衝機構としてのプッシングピストン16とダンピングピストン17とが配設されている。
【0004】
さらに、本出願人は、
図4および
図5に示すように、デュアルダンパ機構DPの作動圧力(すなわちダンパ圧力DPpr)を、送り機構の作動圧力FFprに基づいて制御するダンパ圧力制御手段22を提案している。
このダンパ圧力制御手段22によれば、破砕対象の状態に応じて変化する送り機構の推力をパラメータとして、ダンピングピストン17の緩衝力(すなわち、
図5に示すダンピング推力F17)と、プッシングピストン16の押し付け力(すなわち、
図5に示すプッシング推力F16)とを自動調整するので、ダンピング作用とプッシング作用とを適正に発揮することが可能となる。
【0005】
図6はダンパ圧力制御手段22の詳細を示している。
同図に示すように、ダンパ圧力制御手段22は、パイロット比例制御弁27と減圧弁28とを有して構成される。パイロット比例制御弁27のパイロットポートは、送り機構の作動管路に接続されており、減圧弁28のパイロットポートは、パイロット比例制御弁27の入力側に接続されている。減圧弁28の入力側は、
図5に示すポンプ21に接続され、減圧弁28の吐出側は、デュアルダンパDPの作動管路に接続され、さらに、パイロット比例制御弁27の吐出側はタンクに接続されている。
【0006】
図7はダンパ圧力制御手段22によってもたらされる制御特性を示している。
同図に示すように、送り機構の作動圧力FFprの上昇に伴い、ダンパ圧力DPprは線形に上昇する。そして、パイロット比例制御弁27と減圧弁28の調整機構を操作することで、同図に示す灰色のマスクの領域内で制御特性を変化させることが可能である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-341083号公報
【文献】再表2015-115105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、さく岩機の出力は向上しており、本出願人も、前後室高低圧切換式の液圧式打撃機構を開発して高出力化を実現している(例えば特許文献2参照)。
しかし、前後室高低圧切換式の液圧式打撃機構は、前室常時高圧後室高低圧切換式の液圧式打撃機構と比較すると、ピストンが通常の打撃点を越えて前進したときにクッション性能が不足し得る。
ここで、ピストンが通常の打撃点を越えて前進する状況は、工具の先端が空隙や破砕帯に突入した場合であり、このような場合は、送り機構の作動圧力FFprも低下する。つまり、
図7に示す通り、上記ダンパ圧力制御手段22によれば、送り機構の作動圧力FFprが低下するとダンパ圧力DPprも低下するので、充分なプッシング作用が発揮されない。
【0009】
したがって、前後室高低圧切換式の液圧式打撃機構に従来のダンパ圧力制御手段を備えたデュアルダンパ機構を適用すると、工具の先端が空隙や破砕帯に突入した場合には、プッシング作用が不十分なため、工具の岩盤への押し付け力が足りない状況が発生し、その状況下でピストンが充分に減速されずに工具を打撃することになる。
工具の先端が破砕対象に密着しない状態でピストンが工具を打撃することを「空打ち」というところ、前述の状態は、工具に対して最も過酷な空打ち状態といえるものであり、そのため、工具の寿命が短くなるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、前後室高低圧切換式の液圧式打撃機構にデュアルダンパ機構を適用した場合において、ダンパ作用を適正に発揮し且つ空打ち状態を改善し得る穿孔制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る穿孔制御装置は、前後室高低圧切換式の液圧式打撃機構と、フィードモータを有する送り機構と、プッシングピストンおよびダンピングピストンを有するデュアルダンパ機構と、を備える穿孔装置に用いられる穿孔制御装置であって、前記液圧式打撃機構の作動管路に設けられて第一のパイロット比例制御弁および第一の減圧弁を有する打撃圧力制御手段と、前記デュアルダンパ機構の作動管路に設けられて第二のパイロット比例制御弁および第二の減圧弁を有するダンパ圧力制御手段と、前記送り機構の作動管路にポンプ側からフィードモータ側へ向けて順に設けられたフィード圧力調整弁およびフィード流量調整弁と、前記ダンパ圧力制御手段のパイロットポートと前記フィード流量調整弁および前記フィード圧力調整弁の間の1次通路とを相互に接続する第一のパイロット通路と、前記打撃圧力制御手段のパイロットポートと前記フィード流量調整弁および前記フィードモータの間の2次通路とを相互に接続する第二のパイロット通路と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の他の一態様に係る穿孔制御装置は、前後室高低圧切換式の液圧式打撃機構と、フィードモータを有する送り機構と、プッシングピストンおよびダンピングピストンを有するデュアルダンパ機構と、を備え、前記デュアルダンパ機構の作動管路が、ダンピングピストン用作動管路と、プッシングピストン用作動管路と、を有する穿孔装置に用いられる穿孔制御装置であって、前記液圧式打撃機構の作動管路に設けられて第一のパイロット比例制御弁および第一の減圧弁を有する打撃圧力制御手段と、前記ダンピングピストン用作動管路に設けられて第二のパイロット比例制御弁および第二の減圧弁を有するダンパ圧力制御手段と、前記送り機構の作動管路にポンプ側からフィードモータ側へ向けて順に設けられたフィード圧力調整弁およびフィード流量調整弁と、前記フィード流量調整弁と前記フィードモータとの間の2次通路と前記打撃圧力制御手段のパイロットポート並びに前記ダンパ圧力制御手段のパイロットポートとを相互に接続するパイロット通路と、を備え、前記フィード流量調整弁と前記フィード圧力調整弁との間の1次通路と前記プッシングピストン用作動管路とが直接接続されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のいずれか一の態様に係る液圧式打撃機構によれば、液圧式打撃機構の作動管路には打撃圧力制御手段が設けられ、デュアルダンパ機構の作動管路にはダンパ圧力制御手段が設けられ、打撃圧力制御手段のパイロットポートは、送り機構の作動管路のフィード流量調整弁の下流圧、すなわち送り機構の2次圧力が供給され、ダンパ圧力制御手段のパイロットポートにはフィード流量調整弁とフィード圧力調整弁の間の圧、すなわち送り機構の1次圧力が供給される。
したがって、液圧式打撃機構は、破砕対象の状態に対応して打撃圧力が変動して作動し、デュアルダンパ機構は、送り機構の設定圧に対応して一定のダンパ圧力で作動するので、通常のさく孔時には、デュアルダンパ機構および液圧式打撃機構は、ともに所定の作動状態を維持し、工具先端が空隙や破砕帯に突入したときには、デュアルダンパ機構のプッシング作用は適正に発揮され、かつ、液圧式打撃機構の打撃圧力は絞られるので空打ち状態が大幅に改善される。
【発明の効果】
【0014】
上述のように、本発明によれば、前後室高低圧切換式の液圧式打撃機構にデュアルダンパ機構を適用した場合において、ダンパ作用を適正に発揮し且つ空打ち状態を改善する穿孔制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一態様に係る穿孔制御装置の第1の実施形態の説明図である。
【
図2】
図1の穿孔制御装置によってもたらされる制御例である。
【
図3】本発明の一態様に係る穿孔制御装置の第2の実施形態の説明図である。
【
図4】従来のダンパ圧力制御手段を備えた穿孔装置の模式図である。
【
図7】従来のダンパ圧力制御手段の制御線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。但し、穿孔装置全体の各構成は、上述した従来の構成(
図4~
図7)と共通するので詳細な説明は省略する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0017】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態の穿孔制御装置100について
図1を参照して説明する。
第1の実施形態の穿孔制御装置100は、同図に示すように、ドリフタ(液圧式打撃機構)101、デュアルダンパ機構104、打撃圧力制御手段108、ダンパ圧力制御手段112、回転機構115および送り機構116を備えている。デュアルダンパ機構104は、プッシングピストン105およびダンピングピストン106を有する。
【0018】
ドリフタ101は、打撃ピストン102と切換バルブ103とを有し、公知の前後室高低圧切換式の作動機構を備えている。打撃ピストン102の前方(図中上方)には、シャンクロッド125が装着され、シャンクロッド125には、図示しないロッドが接続されるとともに、ロッド先端には図示しない工具が装着される。
ドリフタ101とポンプPとは、打撃作動管路107を介して接続されており、打撃作動管路107には、打撃圧力制御手段108が設けられている。打撃圧力制御手段108は、パイロット比例制御弁109と減圧弁110とを有して構成されている。
【0019】
パイロット比例制御弁109のパイロットポート109aには、後述するパイロット通路127が接続されており、減圧弁110のパイロットポート110aは、パイロット比例制御弁109の入力側に接続されている。減圧弁110の入力側は、打撃作動管路107の上流側に接続され、吐出側は打撃作動管路107の下流側に接続されている。
デュアルダンパ機構104とポンプPとは、ダンパ作動管路111を介して接続されており、ダンパ作動管路111にダンパ圧力制御手段112が設けられている。ダンパ圧力制御手段112は、パイロット比例制御弁113と減圧弁114とを有して構成されている。
【0020】
パイロット比例制御弁113のパイロットポート113aには、後述するパイロット通路126が接続されており、減圧弁114のパイロットポート114aは、パイロット比例制御弁113の入力側に接続されている。減圧弁114の入力側は、ダンパ作動管路111の上流側に接続され、吐出側はダンパ作動管路111の下流側に接続されている。
パイロットポート113a、114aには、それぞれ調整機構113b、114bが設けられている。調整機構113bは、
図7におけるダンパ圧力DPprの初期値、すなわち、送り圧力FFprがゼロの時のダンパ圧力を設定し、調整機構114bは、ダンパ圧力DPprの上限値を設定する。
【0021】
送り機構116は、フィードモータ117、フィード圧力調整弁118、フィード流量調整弁121、および送り作動管路122を有する。送り作動管路122は、図中右側が前進側122a、左側が後退側122bである。
送り作動管路122の前進側122aには、ポンプP側からフィードモータ117側に向けて順に、フィード圧力調整弁118およびフィード流量調整弁121が設けられている。フィード圧力調整弁118は、リリーフ弁119および減圧弁120を有して構成されている。
【0022】
ここで、送り作動管路122の前進側122aにおいて、フィード圧力調整弁118とフィード流量調整弁121との間の区間を1次圧通路123と呼び、フィード流量調整弁121とフィードモータ117との間の区間を2次圧通路124と呼ぶ。
1次圧通路123とダンパ圧力制御手段113のパイロットポート113aとは、パイロット通路126によって相互に接続されており、2次圧通路124と打撃圧力制御手段108のパイロットポート109aとは、パイロット通路127によって相互に接続されている。
【0023】
次に、第1の実施形態の穿孔制御装置100の制御特性について、
図2を参照して説明する。なお、
図2の横軸は穿孔が進むにつれて、破砕対象の状態が硬岩H1~軟岩S~硬岩H2~空隙G~硬岩H3と変化することを示しており、縦軸はこの破砕対象の状態変化に対応する打撃圧力(MPa)、実フィード圧力(MPa)、ダンパ作動圧力(MPa)、打撃点変位(mm)、フィード速度(m/min×10
-1)、および、ツールストレス(%)の変動を示している。
【0024】
図1に示した構成において、破砕対象の状態が変化すると、実フィード圧力、すなわち2次圧通路124の圧力が変化する。一方で、1次圧通路123の圧力は、破砕対象の状態変化の影響を受けることなく、フィード圧力調整弁118で設定した圧力に保たれる。
したがって、ドリフタ101の作動圧力は、2次圧通路124からパイロット圧が供給される打撃圧力制御手段108の比例制御によって破砕対象の状態変化に伴い変動する。これに対し、デュアルダンパ機構104のダンパ作動圧力は、1次圧通路123からパイロット圧が供給されるダンパ圧力制御手段113によって制御されて常に一定である。
【0025】
破砕対象が軟岩Sの場合は、実フィード圧力が低下し、これに伴い打撃圧力も低下して打撃力を絞り、ダンパ作動圧力は一定なので、プッシングピストン105の推力は低下することなくシャンクロッド125を前方へと安定的に押し付ける。そのため、空打ち状態は緩和されてツールストレスの上昇は低く抑えられている。
破砕対象が空隙Gの場合は、実フィード圧力が大幅に低下し、これに伴い打撃圧力も低下して打撃力を大幅に絞り、ダンパ作動圧力は一定なので、プッシングピストン105の推力は低下することなくシャンクロッド125を前方へと安定的に押し付ける。そのため、空打ち状態は緩和されてツールストレスの上昇は低く抑えられている。
ここで、空隙Gと軟岩Sにおけるツールストレスを対比すると、空隙Gの方がツールストレスが高くなっているが、空隙Gでは、プッシングピストン105が適正に作動しても工具の先端を破砕対象に密着させることに限界があるためである。
【0026】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の穿孔制御装置200について
図3を参照して説明する。なお、第1の実施形態と相違する点を説明し、同図では、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付すとともにその説明を適宜省略する。
第2の実施形態の穿孔制御装置200と第1の実施形態の穿孔制御装置100との相違点は、同図に示すように、デュアルダンパ104の作動管路を、プッシングピストン作動管路128とダンピングピストン作動管路129とに分離し、プッシングピストン作動管路128を1次圧通路123と接続し、ダンピングピストン作動管路129をポンプPと接続し、その途中にダンパ圧力制御手段112を設けた点である。
【0027】
そして、第2の実施形態の穿孔制御装置200では、打撃圧力制御手段108のパイロットポート109aおよびダンパ圧力制御手段112のパイロットポート113aと2次圧通路124とをパイロット通路127´で接続している。
すわなち、プッシングピストン105を送り機構116の1次圧で作動させ、ダンピングピストン106を送り機構116の2次圧に比例して作動させるというものである。これにより、プッシング作用は、第1の実施形態と同様に、破砕対象の状態によらず一定で、ダンピング作用については、破砕対象の状態に応じて最適制御をすることができる。
なお、本発明に係る穿孔制御装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
100、200 穿孔制御装置
101 ドリフタ(液圧式打撃機構)
102 打撃ピストン
103 切換バルブ
104 デュアルダンパ機構
105 プッシングピストン
106 ダンピングピストン
107 打撃作動管路
108 打撃圧力制御手段
109 パイロット比例制御弁
109a パイロットポート
110 減圧弁
110a パイロットポート
111 ダンパ作動管路
112 ダンパ圧力制御手段
113 パイロット比例制御弁
113a パイロットポート
113b 調整機構
114 減圧弁
114a パイロットポート
114b 調整機構
115 回転機構
116 送り機構
117 フィードモータ
118 フィード圧力調整弁
119 リリーフ弁
120 減圧弁
121 フィード流量調整弁
122 送り作動管路
122a 前進側
122b 後退側
123 1次圧通路
124 2次圧通路
125 シャンクロッド
126 パイロット通路
127、127´ パイロット通路
128 プッシングピストン作動管路
129 ダンピングピストン作動管路
P ポンプ
T タンク