(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】ヘッドバンド
(51)【国際特許分類】
A41D 20/00 20060101AFI20220316BHJP
A61F 7/10 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
A41D20/00
A61F7/10 330P
A61F7/10 330G
(21)【出願番号】P 2021001914
(22)【出願日】2021-01-08
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2020077965
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518272706
【氏名又は名称】星川 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】星川 正美
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-201518(JP,A)
【文献】米国特許第05826277(US,A)
【文献】米国特許第05377360(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00-13/12
A41D20/00
A61F 7/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側方から見て偏平な形状で中空の透水性チューブ体(2)と、
この透水性チューブ体(2)の長手方向の中間部(2a)に配置され、保形性を有する吸水帯(10)とからなり、
吸水帯(10)は、前記透水性チューブ体(2)の長手方向に長い帯状であり、かつ前記中間部(2a)からズレないように固定されているヘッドバンドにおいて、
前記透水性チューブ体(2)の両端部が開口端(4)であり、透水性チューブ体(2)の内部は、一方の開口端から他方の開口端まで通水可能に空間的に連通して
おり、
透水性チューブ体(2)は、伸縮可能な材料により、また吸水帯(10)は透水性チューブ体(2)に比べて引張り強度の大きい材料でそれぞれ形成されており、
吸水帯(10)の長手方向中心部(A)が透水性チューブ体(2)の長手方向中心線(О)に重なるように吸水帯(10)と透水性チューブ体(2)とを連結しており、
前記吸水帯(10)は、透水性チューブ体(2)の長手方向の一部に設定された縫着箇所(16)に、当該透水性チューブ体内の通水性を損なわないようにピンポイントで縫着されており、
前記縫着箇所の隣接領域(17)は、吸水帯(10)が透水性チューブ体(2)に連結されていない非連結領域であり、
前記
隣接領域(17)の範囲は、前記縫着箇所(16)から一定の距離(r)以内の範囲であり、当該距離(r)は、少なくとも透水性チューブ体(2)の幅(d)の半分である
ことを特徴とする、ヘッドバンド。
【請求項2】
前記透水性チューブ体(2)は、矩形材料(F)の幅方向の端部同士を重ね合わせ、この重合箇所(7)を縫着させてなり、
前記重合箇所(7)は、透水性チューブ体(2)の筒壁(3)から当該筒長の全長に亘って内方へ突入する帯状突片に形成されており、
前記吸水帯(10)は前記重合箇所(7)の長手方向の一部にピンポイントで縫着されていることを特徴とする、請求項
1に記載のヘッドバンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドバンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、運動をする時や病気になった時に頭部を冷やすための冷却用ヘッドバンドが提供されている(特許文献1)。
このヘッドバンドは、左右方向に長い長方形状の布地を幅方向(上下方向)に2つ折りし、2つ折りした布地の長手方向の中間部の左右両縁で表裏の布同士を幅方向に縫い合わせることで、前記中間部の内部をポケット状の収納部に形成する。
そして折り目線と反対側から、前記中間部内に、多数の吸水性樹脂製のペレットを充填した後に、前記折り目線と反対側の布地の端部同士を縫い合わせることにより、吸水性樹脂を前記中間部の内部に封止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、ヘッドバンドの中間部内に多数の吸水性樹脂製のペレットを充填しており、ヘッドバンドを利用者の頭部に装着した状態において、これらペレットが自重により中間部の下側に偏る可能性があり、そうなると、装着感が悪くなり、使い勝手が良くない。
また、汗が布地を通ってバンドの中間部に入り、汚れとしてペレットに付着すると、除去することが容易ではない。
さらにヘッドバンドを縫合する途中で中間部に多数のペレットを充填するから、縫合作業が完成する前に中間部よりペレットがこぼれ落ちる可能性があり、作製が面倒である。
【0005】
本発明の第1の目的は、使い勝手が良い吸水型のヘッドバンドを提供することである。
本発明の第2の目的は、衛生的である吸水型のヘッドバンドを提供することである。
本発明の第3の目的は、簡単に作製できる吸水型ヘッドバンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、側方から見て偏平な形状で中空の透水性チューブ体2と、
この透水性チューブ体2の長手方向の中間部2aに配置され、保形性を有する吸水帯10とからなり、
吸水帯10は、前記透水性チューブ体2の長手方向に長い帯状であり、かつ前記中間部2aからズレないように固定されているヘッドバンドにおいて、
前記透水性チューブ体2の両端部が開口端4であり、透水性チューブ体2の内部は、一方の開口端から他方の開口端まで通水可能に空間的に連通しており、
透水性チューブ体2は、伸縮可能な材料により、また吸水帯10は透水性チューブ体2に比べて引張り強度の大きい材料でそれぞれ形成されており、
吸水帯10の長手方向中心部Aが透水性チューブ体2の長手方向中心線Оに重なるように吸水帯10と透水性チューブ体2とを連結しており、
前記吸水帯10は、透水性チューブ体2の長手方向の一部に設定された縫着箇所16に、当該透水性チューブ体内の通水性を損なわないようにピンポイントで縫着されており、
前記縫着箇所の隣接領域17は、吸水帯10が透水性チューブ体2に連結されていない非連結領域であり、
前記隣接領域17の範囲は、前記縫着箇所16から一定の距離r以内の範囲であり、当該距離rは、少なくとも透水性チューブ体2の幅dの半分である。
【0007】
本手段では、ヘッドバンドは、
図2(A)に示す如く、側方から見て偏平な形状で中空の透水性チューブ体2を有する。そして、この透水性チューブ体の長手方向の中間部2aには、
図1に示す如く、保形性を有する吸水帯10が配置されている。
そして、前記吸水帯10が前記透水性チューブ体2に前記中間部2aからズレないように固定されている。
この構造によれば、
図6に示すように、利用者の頭部に装着した状態で、フィット感がよく、使い勝手が良い。
また本手段では、
図1に示す如く、前記透水性チューブ体2の両端部が開口端4であり、透水性チューブ体2の内部は、一方の開口端から他方の開口端まで空間的に連通している。
この構造によれば、ヘッドバンドを洗浄するときに、一方の開口端から他方の開口端へ通水することにより、吸水帯を含むヘッドバンドを洗浄して、直ちに再使用することができ、使い勝手が良い。
また、使い終わって、洗濯する場合に、洗濯後に干すときにも通気性も確保できるので、衛生的に使用できる。
【0009】
また本手段では、透水性チューブ体2は伸縮可能な材料で形成したので、利用者が望む締付け強度が得られるように透水性チューブ体を伸長させて頭部に装着することができる。
また吸水帯10は透水性チューブ体2に比べて引張り強度の大きい材料で形成されているので、引張り変形しにくく、予め設計された長さ及び厚みで頭部に当接させることができる。
そして
図1に示す如く、吸水帯10の長手方向中心部Aが透水性チューブ体2の長手方向中心線Оに重なるように吸水帯10と透水性チューブ体2とを連結している。従って、吸水帯10に連結することで透水性チューブ体2の伸縮変形が妨げられることがない。
【0011】
また本手段では、前記吸水帯10は、透水性チューブ体2の長手方向の一部に、当該透水性チューブ体内の通水性を損なわないようにピンポイントで(一箇所で)縫着されている。
この構造によれば、
図7に示すように透水性チューブ体2の内部に水を流したときに、前記吸水帯10の周囲に満遍なく流水を行き渡らせることができる。
故に吸水帯10の周囲(吸水帯の表面及び吸水帯付近の透水性チューブ体の内面部分)に付着した汚れを適切に洗い落とすことができる。
なお、前記縫着箇所の隣接領域17は、吸水帯10が透水性チューブ体2に連結されていない非連結領域である。
前記隣接領域17の範囲は、前記縫着箇所16から一定の距離r以内の範囲であり、当該距離rは、少なくとも透水性チューブ体2の幅dの半分である。
【0012】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
前記透水性チューブ体2は、矩形材料Fの端部同士を重ね合わせ、この重合箇所7を縫着させてなり、
前記重合箇所7は、透水性チューブ体2の筒壁3から当該筒長の全長に亘って内方へ突入する帯状突片に形成されており、
前記吸水帯10は前記重合箇所7の長手方向の一部にピンポイントで縫着されている。
【0013】
本手段では、前記透水性チューブ体2は、矩形材料Fの端部同士を重ね合わせた箇所(重合箇所7)を縫着させ、当該重合箇所7は、吸水帯への連結用片として、透水性チューブ体2の筒壁3から内方へ突入したから、その縫着部分が外部から見えず、体裁が良い。
また重合箇所7である帯状突片の長手方向の一部に、吸水帯10がピンポイントで縫着させたから、吸水帯10の表面及び透水性チューブ体2の筒壁3の内面に流水を万遍なく行き渡らせることができ、十分に洗浄することができる。
なお、前記透水性チューブ体2及び吸水帯10は、洗濯のための曲げ伸ばしが自在な程度に柔軟な材料で形成することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
第1の手段に係る発明によれば、保形性を有する吸水帯10が前記透水性チューブ体2に対して前記中間部2aからズレないように固定されているから、フィット感がよく、使い勝手が良い。
また前記透水性チューブ体2の内部は、当該透水性チューブ体の一方の開口端から他方の開口端まで空間的に通水可能に連通するから、これら開口端の一方から他方へ通水することにより、ヘッドバンドの内部を十分に洗浄することができ、衛生的に使用できる。
また第1の手段に係る発明によれば、伸縮可能な透水性チューブ体2の長手方向中心線Оに引っ張り強度の大きい吸水帯10の長手方向中心部Aを連結したから、透水性チューブ体2の伸縮変形が妨げられることなく、利用者の頭部にしっかりと装着できる。
また第1の手段に係る発明によれば、前記吸水帯10は、透水性チューブ体2の長手方向の一部に、当該透水性チューブ体内の通水性を損なわないようにピンポイントで縫着されているから、吸水帯10の周囲に付着した汚れを適切に洗い落とすことができる。
第2の手段に係る発明によれば、透水性チューブ体2は矩形材料Fの端部同士を重ね合わせた箇所(重合箇所7)を縫着させており、当該重合箇所7を、吸水帯への連結用片として透水性チューブ体2の筒壁3から内方へ突入させたから、その縫着部分が外部から見えることがなく体裁が良い。
また帯状突片である重合箇所7の長手方向の一部に、吸水帯10がピンポイントで縫着されたから、透水性チューブ体2の筒壁3の内面及び吸水帯10を十分に洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るヘッドバンドの正面図である。
【
図2】
図1のヘッドバンドの構造を側方から見た図であり、同図(A)はヘッドバンド全体の側面図、同図(B)はその一部拡大図である。
【
図3】
図1のヘッドバンドの製作手順を示す図であり、同図(A)は、側方から見た、透水性チューブ体の材料を2つ折りする段階を、同図(B)は側方から見て、折り返した材料の端部同士を接合してチューブ体とする段階を、同図(C)は、側方から見て、チューブ体の端部に吸水帯を付設する段階を、また同図(D)は、正面方向から見て、吸水帯を付設したチューブ体を、吸水帯が内側になるように折り返した段階を、それぞれ示している。
【
図4】
図1のヘッドバンドの透水性チューブ体への吸水帯の縫着箇所の実施例の説明図であり、同図(A)は透水性チューブ体の重合箇所に針を2度通して縫着した構造を、また同図(B)は重合箇所に針を1度通して縫着した構造をそれぞれ示している。
【
図5】
図1のヘッドバンドの変形例の正面図である。
【
図6】
図1のヘッドバンドの使用状態の説明図である。
【
図7】本発明のヘッドバンドを洗浄する作業の説明図であり、同図(A)は
図1のヘッドバンドを洗浄する様子を、また同図(B)は
図5のヘッドバンドを洗浄する様子をそれぞれ示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から
図7は、本発明の実施形態に係るヘッドバンド1を示している。このヘッドバンドは、
図1に示す如く、透水性チューブ体2と、吸水帯10とを具備する。
これら各部材は、耐水性を有する柔軟な材料で形成することが望ましい。こうすることにより、ヘッドバンドを水飲み場などで簡単に洗い、水分を搾り取って再使用することが可能とするためである。
【0017】
透水性チューブ体2は、中空であり、かつ側方から見て偏平な形状を有する。
この透水性チューブ体2は、利用者の頭部に装着するものであり、その長手方向の中間部2aは利用者の額を覆う部位、左右一対の側部2bは側頭部から後頭部に亘って装着される部位である(
図6参照)。
透水性チューブ体2は、外部から内部へ透水可能に形成されている。
また透水性チューブ体2の両端部は、開口端4としている。
図示例では、透水性チューブ体2は、筒壁3と、この筒壁3から後述の破断帯10との連結片として内方へ突設される帯状突片7とからなる。
具体的には、透水性チューブ体2は、矩形の材料Fを幅方向に2つ折りして形成する折り目線6を有する。
また透水性チューブ体2は、その折り目線6と反対側で矩形材料Fの端部同士を重ねており、この重合箇所7を縫合する縫合線8を有する。
図示例では、縫合線8として、一定の間隔を存して平行に配置した第1縫合線8a及び第2縫合線8bを形成している。
また図示例では、
図2(B)に示すように、前記重合箇所7を、重合箇所に縫い付けた吸水帯の端部とともに、ヘッドバンド1を内側へ折り返している。
この構造では、前記重合箇所7は、透水性チューブ体2の筒壁3から、その筒長の全長に亘って内方へ突入する帯状突片に形成されている。
本実施形態では、透水性チューブ体2は伸縮可能な材料によって形成している。
これにより、ヘッドバンド1を頭部に巻き付けたときに、透水性チューブ体2を引き延ばす具合を加減することで、その締め付け具合を調整できるようにしている。
もっともこの構造へ適宜変更することができる。
【0018】
吸水帯10は、透水性チューブ体2の長手方向に長い帯状に形成されている。
吸水帯10は、前記透水性チューブ体2の中間部2a内に配置され、かつ中間部からズレないように固定されている。
本実施形態では、前記吸水帯10の短手方向の端部12が前記透水性チューブ体2の縫合線8側に縫い付けられている。
しかしながら、前記短手方向の端部12を折り目線6側に縫い付けてもよい。
縫い付け方法としては、吸水帯10の長手方向の一箇所(縫合箇所16)で例えばくくり縫いにより透水性チューブ体2に連結すればよい。
これらの構造によれば、ヘッドバンド1を簡単に製作することができる。
【0019】
比較的狭い範囲をピンポイントで縫合することに適した器具として、例えばピンポイント縫いミシンが提案されている(特開昭55-120891)。
【0020】
通常の縫い目では、一方向に縫い目が断続的に連続しているのに対して、前記の縫着箇所16は、吸水帯10をピンポイントで縫い付けることで透水性チューブ体10に連結されており、縫着箇所16と隣接する領域17では吸水帯10は透水性チューブ体2に連結されていない。
なお、“ピンポイントで”とは、線状に連なる縫い目に対して、“一箇所で”縫い付けられているという意味であり、針目が一つであることを要しない。
前記縫着箇所16の隣接領域17を、吸水帯10が透水性チューブ体2に連結されていない非連結領域とすることにより、ヘッドバンドの洗浄作業を十分に行うことができる。すなわち、吸水帯10の周囲(吸水帯10の表面及び吸水帯に隣接する透水性チューブ体2の筒壁3の内面)に流水を万遍なく行き渡らせ、その周囲に付着した汚れを十分に洗い流すことができる。
非連結領域である隣接領域17は、縫着箇所16から一定の距離r以内の範囲であり、その距離rは、縫着箇所の周囲で十分な通水性が得られるように(後述の連通代が十分に確保できるように)定める。
本発明においては、距離rは、少なくとも透水性チューブ体2の幅dの半分と同程度
とし、好ましくは透水性チューブ体2の幅dと同程度とすることができる。
なお、“ピンポイントで縫い付ける”とは、吸水帯10の一部を縫着により透水性チューブ体2に固定できればどのような態様でも良い。
例えば、
図4(A)に示すように、当該一部の両側で、吸水帯10と透水性チューブ体2とを縫い針で突き通して、一対の貫通孔(針目h)を通過する縫い糸tで吸水帯10の一部を透水性チューブ体2に固定しても良い。なお、作図上、縫い糸tは誇張して太く描かれている。
また、
図4(B)に示すように、吸水帯10と透水性チューブ体2とを貫通する針目hを一つとして、この針目を通過する縫い糸tが、吸水帯10の縁の外側を経て、この縁と針目との間の吸水帯10の一部を透水性チューブ体2に括り止めるように構成しても良い。
【0021】
吸水帯10は、透水性チューブ体2を透して浸入する汗水などを吸収し、帯水する機能を有する。
また吸水帯10は、帯水することで膨らむが、帯状という基本的な形状を保持するという特性(保形性)を有する。こうすることにより、中間部2aを利用者の額に当接させた状態で、良好なフィット感が得られる。
本実施形態の吸水帯10は、布製品(タオル用生地など)で形成されているが、前述の帯水機能・保形性が得られる限り、どのような素材で形成しても構わない。
また本実施形態では、吸水帯10は、ヘッドバンドの芯材として、透水性チューブ体2に比べて引張り強度の大きい材料で形成されている。
すなわち、吸水帯10は、透水性チューブ体2と異なり、弾性的に引き延ばすことができず、或いは容易ではない。
故に、吸水帯10は、予め設計された長さ及び厚みで頭部に接することとなる。こうすることにより、十分な吸水機能が担保される。
【0022】
好適な図示例では、
図1に示すように、吸水帯10の長手方向中心部Aが透水性チューブ体2の長手方向中心線Оに重なるように吸水帯10と透水性チューブ体2とを連結している。
こうすることにより、透水性チューブ体2の伸縮変形が妨げられないようにしている。
【0023】
また本実施形態では、透水性チューブ体2及び吸水帯10は、曲げ伸ばしが自在である程度に柔軟な布地で形成されている。こうすることにより、例えば運動の途中でヘッドバンド1を水飲み場などで簡単に洗い、濯いで絞り、水分を搾り取って再使用することができる。
さらに、前記透水性チューブ体2は、長手方向の側部同士を結び付けることが容易な程度の柔軟性を有する。
この程度に柔軟でかつ伸縮自在な材料で透水性チューブ体2を形成することにより、通常の鉢巻と比較して老若男女を問わずに側部同士を容易に結ぶことができる。また結び方のバリエーションも広がる(例えば蝶結びやかた結びなど)。
また透水性チューブ体2及び吸水帯10は、形状安定性のある材料、具体的には、洗濯してもシワを生じにくい防シワ性、すなわち、JIS規格で規定するW&W性(ウォッシュアンドウェア性)を有する材料で形成することができる。
【0024】
さらに本実施形態では、前述の通り、前記透水性チューブ体2は一対の開口端4を有している。
そして吸水帯10の前面と透水性チューブ体2の表部分後面との間、及び、吸水帯10の裏面と透水性チューブ体2の裏部分前面との間には、
図2(A)に示す如く、それぞれ連通代Mが形成されている。
こうすることにより、透水性チューブ体2の一方の開口端から他方の開口端までが空間的に連通している。
故に、ヘッドバンド1を洗浄するときに、一方の開口端4から他方の開口端4へ通水することにより、吸水帯を含むヘッドバンドの内部が洗浄され、直ちに再使用することができ、使い勝手が良い。
【0025】
図3は、本発明のヘッドバンドの製作手順を、
図3(A)~(C)では透水性チューブ体の長手方向から見た態様で、また
図3(D)では正面方向から見た態様でそれぞれ示している。
まず、
図3(A)に示すように、前記透水性チューブ体2は、矩形材料Fを幅方向に2つ折りして、折り目線6を形成する。
そして、
図3(B)に示す如く、その折り目線6と反対側で矩形材料Fの端部同士を重ね、この重合箇所7を縫着させて縫合線8を形成する。
次に、
図3(C)に示す如く、前記吸水帯10は、短手方向の端部12を前記透水性チューブ体2の縫合線8側に縫い付ける、
さらに、
図3(D)に想像線で示す如く、透水性チューブ体2の一方の開口端4側から、
図3(C)の段階まで作成したエアバンドを裏返していき、吸水帯10が透水性チューブ体2の内側に配置されるようにする。
【0026】
図5は、本実施形態の変形例であり、吸水帯10の短手方向の一方端部12Aを、透水性チューブ体2の縫合線8側に、他方端部12Bを、透水性チューブ体2の折り目線6側にそれぞれ連結している。
【0027】
前記ヘッドバンド1を使用するときには、透水性チューブ体2の中間部2aを、利用者の額に当てるともに、透水性チューブ体2の一対の側部2bを、耳の上を通して、後頭部側で相互に結び付ける。
本発明の透水性チューブ体2は柔軟で伸縮性があるので、一般的な鉢巻のように、
・生地にシワが生ずる
・結びづらい
・結び目に髪が挟まって痛くなる、髪が抜ける
・強く結ぶと頭部に圧迫感があるのに動くと外れ易い
というような不都合を生じない。
【0028】
そしてヘッドバンド1を頭部に装着した状態で、自らスポーツをしたり、或いはスポーツ観戦をしたり、さらには日常生活を行うことができる。
運動などで汗をかいても、頭部から流れ落ちる汗が吸水帯10によって吸われるので、汗が目に入って不快感を生じたり、目が痛くなったりという不都合を回避することができる。
また吸水帯10が限界まで汗を吸ったときには、ヘッドバンド1を頭部から外し、水道水などで簡単に洗って、水分を搾り取ることで再使用することができる。
【0029】
図7には、ヘッドバンドを洗浄する作業の一部の行程が描かれている。なお、図面の簡単のため、透水性チューブ体2を想像線で表現しており、吸水帯に対して透水性チューブ体を上下方向に短く描いている。
図1に示したヘッドバンド1を頭部から外し、ヘッドバンドの長手方向が縦向きになるようにヘッドバンドの適所、例えば透水性チューブ体と吸水帯との重なり部分並びに透水性チューブ体の上側の側部2bを摘まんで、水道の蛇口などの水源より上側の開口端4へ水を注ぐ。
そうすると、
図7(A)に示すように、透水性チューブ体2と吸水帯10とは長手方向の中間の1箇所にピンポイントで縫着されているに過ぎないため、流水は吸水帯10の両側(表面側と裏面側)に分かれ、これら各面と通水性チューブ体2の対向面との間のよごれを押し流しつつ、下側の開口端4より流出する。
図5に示したヘッドバンドを洗浄する場合にも、同様の操作により、透水性チューブ体へ注水すると、
図7(B)に示すように、透水性チューブ体2と吸水帯10とは長手方向の中間の2箇所にピンポイントで縫着されているに過ぎないため、やはり流水は吸水帯10の両側を通り、よごれを押し流して、排水される。
しかる後に、必要により、洗面台などでヘッドバンドを濯ぐとよい。
以上の作業は、ヘッドバンドを家庭に持ち帰って洗濯機で洗濯する前に、例えばスポーツジムなどの設備(洗面所など)でも簡易に行うことができるので、使い勝手がよい。
【符号の説明】
【0030】
1…ヘッドバンド 2…透水性チューブ体 2a…中間部 2b…側部
3…筒壁 4…開口端
6…折り目線 7…重合箇所(帯状突片)
8…縫合線 8a…第1縫合線 8b…第2縫合線
10…吸水帯 12…短手方向の端部 16…縫着箇所 17…非縫着領域
A…(吸水帯の)…長手方向中心部 F…矩形材料 h…針目 M…連通代
О…(透水性チューブ体の)長手方向中心線 t…糸