(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
H01M 50/534 20210101AFI20220316BHJP
H01M 50/571 20210101ALI20220316BHJP
H01M 50/567 20210101ALI20220316BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20220316BHJP
H01G 11/80 20130101ALI20220316BHJP
【FI】
H01M50/534
H01M50/571
H01M50/567
H01M50/533
H01G11/80
(21)【出願番号】P 2017201207
(22)【出願日】2017-10-17
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】榎本 行生
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-077039(JP,A)
【文献】特開2016-219122(JP,A)
【文献】特開平08-077999(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0193696(US,A1)
【文献】特開2003-151527(JP,A)
【文献】特開2003-115287(JP,A)
【文献】特開2004-071267(JP,A)
【文献】特開2003-157812(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0300435(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01G 11/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端子が設けられた外装体と、
前記外装体に収容された電極体と、
前記外部端子とは異なる材料で形成され、軸方向の一端に前記外部端子に接続されるかしめ部を有する導電軸部と、
前記外装体に収容され、前記導電軸部の他端が接続され、前記電極体が接続された導電板部と
を備え、
前記外部端子は、
前記かしめ部を収容する凹部を有し、
前記凹部における側面及び前記かしめ部との接触面にめっき層又はアルマイト処理層が形成されている、蓄電素子。
【請求項2】
前記導電板部は、前記外装体の蓋板と略平行に延びる板状に形成され、その第一面に前記導電軸部の他端が接続され、その第二面に前記電極体の前記蓋板に向けて延びるタブが接続され、前記蓋板の面方向における前記導電板部及びタブのそれぞれの寸法は前記外部端子の寸法よりも大きい、請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記めっき層のイオン化傾向は、前記導電軸部のそれよりも大きく、前記外部端子のそれよりも小さい、請求項1又は2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記外部端子はアルミニウムで形成され、
前記導電軸部は銅で形成されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部端子が設けられている蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、自動車等の様々な機器に、充放電可能な蓄電素子が使用されている。電気自動車(EV)又はプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の電気エネルギーを動力源とする車両は、大きなエネルギーを必要とするため、複数の蓄電素子を備える大容量の蓄電モジュールを搭載している。
【0003】
一般に、蓄電素子は、セパレータを介して正極板及び負極板を積層し、又は巻回して形成される電極体を、電解液と共にケースに気密に収容する。電極体と集電体を介し電気的に接続される正極外部端子及び負極外部端子が、ケースの蓋板に設けられる。
ケースと端子との間、及びケースと集電体との間には、ガスケット又は絶縁プレートが配される。
【0004】
特許文献1は、角型のケースを有するリチウムイオン二次電池を開示している。ケースの蓋は、貫通孔を有する。貫通孔に棒状の胴部が挿入され、該胴部の一端部にはケース内で第1フランジ部が連結され、胴部の他端部には端子板(外部端子)が接続されている。第1フランジ部には、電極体のタブが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蓄電素子には、外部端子と集電体との機械的かつ電気的な接続性が良好であり、良好な気密性を有し、漏液及び水分の浸入を防止することが求められている。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、良好な気密性を有し、漏液及び水分の浸入を防止できる蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る蓄電素子は、外部端子が設けられた外装体と、前記外装体に収容された電極体と、前記外部端子とは異なる材料で形成され、軸方向の一端に前記外部端子に接続されるかしめ部を有する導電軸部と、前記外装体に収容され、前記導電軸部の他端が接続され、前記電極体が接続された導電板部とを備え、前記外部端子は、前記かしめ部に接する表面に、めっき層又はアルマイト処理層を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部端子が、かしめ部に接する表面にめっき層又はアルマイト処理層を有するので、耐腐食性が良好であり、蓄電素子の電気的性能の低下、及び短寿命化が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る蓄電素子の斜視図である。
【
図4】
図2のIV-IV線の部分拡大断面図である。
【
図5】第2実施形態に係る蓄電素子の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本実施形態の概要)
本実施形態の蓄電素子は、外部端子が設けられた外装体と、前記外装体に収容された電極体と、前記外部端子とは異なる材料で形成され、軸方向の一端に前記外部端子に接続されるかしめ部を有する導電軸部と、前記外装体に収容され、前記導電軸部の他端が接続され、前記電極体が接続された導電板部とを備え、前記外部端子は、前記かしめ部に接する表面に、めっき層又はアルマイト処理層を有する。
【0012】
かしめ部と外部端子との接触部においては、異種金属が接触しているので、接触部に例えば水等の液体が入り込み、液体を介してかしめ部と外部端子とが導通すると、電蝕が生じる虞がある。外部端子のイオン化傾向がかしめ部のそれより大きい場合、外部端子が腐食する。
上記構成によれば、外部端子がめっき層又はアルマイト処理層を有するので、耐腐食性が良好である。従って、蓄電素子の電気的性能の低下、及び短寿命化が抑制される。
【0013】
前記導電板部は、前記外装体の蓋板と略平行に延びる板状に形成され、その第一面に前記導電軸部の他端が接続され、その第二面に前記電極体の前記蓋板に向けて延びるタブが接続され、前記蓋板の面方向における前記導電板部及びタブのそれぞれの寸法は前記外部端子の寸法よりも大きくてもよい。
【0014】
上記構成によれば、導電板部が蓋板と略平行に延びる板状に形成されているため、導電板部が外装体内で占有する体積が小さい。そのため、外装体内における電極体の体積占有率(Volume Occupancy)を大きくして、蓄電素子のエネルギー密度を向上できる。導電板部が外装体内で占有する体積が小さいにも関わらず、タブが接続される第二面の面積を広く確保できる。そのため、前記面方向における導電板部及びタブのそれぞれの寸法を外部端子の寸法よりも大きくし、タブと導電板部との接触面積を大きくして、蓄電素子における電流経路の抵抗ロスを小さくできる。大電流が流れても、溶断しにくい。
【0015】
前記めっき層のイオン化傾向は、前記導電軸部のそれよりも大きく、前記外部端子のそれよりも小さくてもよい。
【0016】
イオン化傾向が外部端子、外部端子、めっき層、導電軸部の順に大きい場合、導電軸部とめっき層との間の電位差は、導電軸部と外部端子との間の電位差より小さくなる。従って、電蝕の発生がより良好に抑制される。
【0017】
前記外部端子はアルミニウムで形成され、前記導電軸部は銅で形成されてもよい。
【0018】
アルミニウムと銅とはイオン化傾向の差が大きく、外部端子と導電軸部との接触部で電蝕が生じ易い。
上記構成によれば、外部端子がめっき層又はアルマイト処理層を有するので、イオンの移動を抑制でき、電蝕の発生が良好に抑制される。
【0019】
(第1実施形態)
以下本発明を、実施の形態に係る蓄電素子を示す図面に基づいて説明する。
図1は第1実施形態に係る蓄電素子の斜視図、
図2は蓄電素子の正面図である。以下、蓄電素子1がリチウムイオン二次電池である場合を説明するが、蓄電素子1はリチウムイオン二次電池には限定されない。
【0020】
図1に示すように、蓄電素子1は、蓋板21及びケース本体20を有するケース2、正極端子4、負極端子5、外ガスケット7,10、破裂弁6、及び集電体9,12を備える。正極端子4は略中央部に凹部41を有し、凹部41に集電体12の端部が機械的かつ電気的に接続されている。負極端子5は略中央部に凹部51を有し、凹部51に集電体9の端部が機械的かつ電気的に接続されている。また負極端子5は表面にめっき層53を有する。集電体9,12の詳しい接続構造は後述する。
【0021】
ケース2は例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等の金属、又は合成樹脂からなる。ケース2は、直方体状をなし、後述する電極体3及び電解液(不図示)を収容する。本実施形態では、蓄電素子1の設置面(不図示)に対し、蓋板21が垂直に延びるように配置されている。なお、蓋板21は、
図1における上を向くように配置してもよい。
【0022】
図2に示すように、蓋板21の外面の一端部に正極端子4が外ガスケット10を介して設けられ、蓋板21の外面の他端部に負極端子5が外ガスケット7を介して設けられている。正極端子4及び負極端子5は、その平坦な外面が露呈して、バスバー等の導電部材(図示せず)が溶接されるように構成されている。蓋板21の、正極端子4と負極端子5との間に破裂弁6が設けられている。
【0023】
図3は、
図2のIII-III線断面図である。
図3に示すように、電極体3は、複数の正極板13、負極板14、及びセパレータ15を備える。正極板13、負極板14、及びセパレータ15はそれぞれ、
図3における左右方向から見て矩形状をなす。複数の正極板13及び負極板14は、セパレータ15を介して交互に積層されている。
図3においては、それぞれの負極板14から延びる負極タブ17が、それらの先端側で重ね合わされて導電板部90の内面(第二面)に接合されている状態を示す。負極タブ17は、蓄電素子1のエネルギー密度を向上できるように(負極端子5と負極板14との間の電流経路による占有スペースを小さくできるように)、ケース2内に湾曲した状態で収容されている。図示していないが、正極板13から延びる正極タブ16(後述)も、負極タブ17と同様に構成されている。
電極体3は、長尺の正極板13と負極板14とをセパレータ15を介して扁平状に巻回して得られる巻回タイプであってもよい。
集電体9の取り付け構造は後述する。
【0024】
正極板13は、アルミニウムやアルミニウム合金等からなる板状(シート状)又は長尺帯状の金属箔である正極基材箔の両面に正極活物質層が形成されたものである。負極板14は、銅及び銅合金等からなる板状(シート状)又は長尺帯状の金属箔である負極基材箔の両面に負極活物質層が形成されたものである。
正極活物質層に用いられる正極活物質、又は負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質又は負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。
【0025】
正極活物質としては、例えば、LiMPO4 、LiM2 SiO4 、LiMBO3 (MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
【0026】
負極活物質としては、例えば、リチウム金属、リチウム合金(リチウム-アルミニウム、リチウム-シリコン、リチウム-鉛、リチウム-錫、リチウム-アルミニウム-錫、リチウム-ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li4 Ti5 O12等)、ポリリン酸化合物等が挙げられる。
【0027】
セパレータ15は、電解液が浸潤するシート状乃至フィルム状の材料から形成される。セパレータ15を形成する材料としては、例えば織布、不織布、又は多孔性かつシート状乃至フィルム状の樹脂が挙げられる。セパレータ15は正極板13と負極板14とを離隔すると共に、正極板13と負極板14との間に電解液を保持する。
【0028】
図4は、
図2のIV-IV線の部分拡大断面図である。蓋板21には、二つの貫通孔210、211が蓋板21の長手方向に間隔をあけて設けられている。貫通孔210、211の間に破裂弁6が配置されている。
【0029】
図4に示すように、蓄電素子1は貫通孔211の近傍に、負極端子5、外ガスケット7、内ガスケット8、及び集電体9を備える。
集電体9は銅製であり、導電板部90、導電軸部91、及びかしめ部92を有する。導電板部90は蓋板21の内側に配置されている。筒状の導電軸部91は導電板部90の外面(第一面)の略中央部に設けられており、貫通孔211を貫通する。導電軸部91の軸方向の一端にかしめ部92が形成されている。
導電軸部91は導電板部90に一体的に形成されてもよい。代替的に、導電軸部91は導電板部90と別体で、導電板部90に溶接、かしめ等により接合されてもよい。導電軸部91は中実であってもよい。
【0030】
内ガスケット8は、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)又はポリプロピレン(PP)等の合成樹脂製である。内ガスケット8は、板部80、挿通孔81、ボス82、縁部83、及び被圧縮凸部84を有する。板部80は、導電板部90と蓋板21の内面との間に介在し、略中央部に挿通孔81を有する。挿通孔81を囲むように、筒状のボス82が設けられており、導電軸部91の外周を覆っている。板部80の内面の周縁には、内側に突出する縁部83が設けられている。縁部83は導電板部90の側面を覆う。板部80における、ボス82の外周側の両面にはリング状の被圧縮凸部84,84が設けられている。被圧縮凸部84はリング状に限定されず、周方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。被圧縮凸部84は、かしめ時に押圧されて圧縮する。
【0031】
負極端子5はアルミニウム製であり、矩形板状をなす。負極端子5は第一面(外面)に、丸穴状の凹部51を有する。凹部51の底面の中央部には、導電軸部91が挿通される挿通孔52が設けられている。
負極端子5は、表面にNiめっきにより形成されためっき層53を有する。
【0032】
負極端子5はアルミニウム製であり、かしめ部92は銅製であり、イオン化傾向の差が大きい。負極端子5とかしめ部92との接触部分に水等の液体が浸入し、かしめ部92と負極端子5とが液体を介して導通した場合、電蝕(ガルバニック腐食)が生じる虞がある。
【0033】
電蝕を防ぐために集電体9全体の表面にNiのめっき層を設けた場合、かしめ部92と負極端子5との間で生じる電蝕は抑制できるが、導電板部90と負極タブ17とを超音波溶接するときに負極タブ17にNi粉が混入する虞がある。
本実施形態においては、負極端子5にNiのめっき層53を設けている。Niめっきは、電解Niめっき及び無電解Niめっきのいずれでもよい。
めっき層53は、少なくとも導電軸部91と負極端子5とが接触する部分に設ければよい。
【0034】
外ガスケット7はPPS又はPP等の合成樹脂製であり、板部70、挿通孔71、及び縁部72を有する。板部70は、蓋板21の外面と負極端子5の内面との間に介在する。挿通孔71は板部70の略中央部に設けられており、ボス82が挿入される。板部70の外面の周縁には、外側に突出する縁部72が設けられており、負極端子5の側面を覆っている。
蓋板21の面方向(長手方向)における、導電板部90及び負極タブ17のそれぞれの寸法(面積)は、負極端子5の寸法よりも大きい。
【0035】
図4に示すように、蓄電素子1は貫通孔210の近傍に、正極端子4、外ガスケット10、内ガスケット11、及び集電体12を備える。
集電体12はアルミニウム製であり、導電板部120、導電軸部121、及びかしめ部122を有する。導電板部120は蓋板21の内側に配置されている。筒状の導電軸部121は導電板部120の略中央部に設けられており、貫通孔210を貫通する。導電軸部121の端部にかしめ部122が形成されている。
導電軸部121は導電板部120に一体的に形成されてもよい。代替的に、導電軸部121は導電板部120と別体で、導電板部120に溶接、かしめ等により接合されてもよい。
【0036】
内ガスケット11は、例えばPPS又はPP等の合成樹脂製である。内ガスケット11は、板部110、挿通孔111、ボス112、縁部113、及び被圧縮凸部114を有する。板部110は、導電板部120と蓋板21の内面との間に介在し、略中央部に挿通孔111を有する。挿通孔111を囲むように、筒状のボス112が設けられており、導電軸部121の外周を覆っている。板部110の内面の周縁には、内側に突出する縁部113が設けられている。板部110における、ボス112の外周側の両面に、リング状の被圧縮凸部設けられた114,114が設けられている。被圧縮凸部114はリング状に限定されず、周方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。
【0037】
正極端子4はアルミニウム製であり、矩形板状をなす。正極端子4は第一面(外面)に、丸穴状の凹部41を有する。凹部41の底面の中央部には、導電軸部121が挿通される挿通孔42が設けられている。
導電軸部121の端部を凹部41にかしめることにより、かしめ部122が形成され、集電体12が正極端子4に機械的にかつ電気的に接続される。負極端子5と異なり、正極端子4の表面にはめっき層は形成されていない。正極端子4及び集電体12は共にアルミニウム製であるので、かしめ部122と正極端子4とが接触する部分で、電蝕は生じない。
【0038】
外ガスケット10はPPS又はPP等の合成樹脂製であり、板部100、挿通孔101、及び縁部102を有する。板部100は、蓋板21の外面と正極端子4の内面との間に介在する。挿通孔101は板部100の略中央部に設けられており、ボス112が挿入される。板部100の外面の周縁には、外側に突出する縁部102が設けられており、正極端子4の側面を覆っている。
【0039】
本実施形態においては、導電軸部91の直下に負極タブ17が配置されているので、負極タブ17から負極端子5までの電流経路が短い。導電板部90が蓋板21と略平行に延びる板状に形成されているため、導電板部90がケース2内で占有する体積が小さい。そのため、ケース2内における電極体3の体積占有率が大きく、蓄電素子1のエネルギー密度が良好である。導電板部90がケース2内で占有する体積が小さいにも関わらず、負極タブ17が接続される内面の面積を広く確保できる。そのため、蓋板21の面方向における導電板部90及び負極タブ17のそれぞれの寸法を負極端子5の寸法よりも大きくし、負極タブ17と導電板部90との接触面積を大きくして、電流経路の抵抗ロスを小さくできる。同様に、正極タブ16から正極端子4までの電流経路が短く、また正極タブ16と導電板部120との接触面積を大きくして、電流経路の抵抗ロスを小さくできる。従って、蓄電素子1において、大電流が流れても、電流経路が溶断しにくい。
【0040】
本実施形態においては、負極端子5が表面にめっき層53を有し、かしめ部92と負極端子5との間にめっき層53が介在することになる。めっき層53はNiにより形成され、Niのイオン化傾向はアルミニウムと銅との間であるので、かしめ部92とめっき層53との間の電位差が、かしめ部92と負極端子5との間の電位差より小さくなる。従って、従って、電蝕の発生が抑制され、蓄電素子1の電気的性能の低下、及び短寿命化が抑制される。
【0041】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る蓄電素子30の部分断面図である。図中、
図4と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
第2実施形態の蓄電素子30は、負極端子5が、第1実施形態のめっき層53の代わりにアルマイト処理層54を有すること以外は、第1実施形態の蓄電素子1と同様の構成を有する。
【0042】
アルマイト処理層54は、アルマイト処理により形成される。アルマイト処理とは、アルマイト処理液中においてアルミニウムを陽極としてその表面を酸化させ、酸化被膜を形成させる陽極酸化処理である。
アルマイト処理層54は、少なくとも導電軸部91と負極端子5とが接触する部分に設ければよい。
【0043】
本実施形態においては、負極端子5がアルマイト処理層54を有するので、導電軸部91と負極端子5とが接触する部分の耐腐食性が良好である。従って、蓄電素子1の電気的性能の低下、及び短寿命化が抑制される。
【0044】
本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
第1実施形態及び第2実施形態において、蓄電素子1がリチウムイオン二次電池である場合につき説明しているが、蓄電素子1はリチウムイオン二次電池には限定されない。蓄電素子1は、ニッケル水素電池等の他の二次電池であってもよいし、一次電池であってもよいし、キャパシタ等の電気化学セルであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1、30 蓄電素子
2 ケース
20 ケース本体
21 蓋板
3 電極体
4 正極端子
41、51 凹部
42、52 挿通孔
5 負極端子
53 めっき層
54 アルマイト処理層
6 破裂弁
7、10 外ガスケット
70、100 板部
71、101 挿通孔
72、102 縁部
8、11 内ガスケット
80、110 板部
81、111 挿通孔
82、112 ボス
83、113 縁部
84、114 被圧縮凸部
9、12 集電体
90、120 導電板部
91、121 導電軸部
92、122 かしめ部