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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/32 20060101AFI20220316BHJP
【FI】
B65D19/32 F
B65D19/32 A
B65D19/32
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017244323
(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公開番号】P2019112068
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】593025619
【氏名又は名称】トーホー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西山 禎一
(72)【発明者】
【氏名】小田 徹
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-524166(JP,A)
【文献】特開2007-176533(JP,A)
【文献】特開2017-105532(JP,A)
【文献】特開2015-208989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂製の板状のパレット本体と、前記パレット本体の上面を補強する補強材と、を備えたパレットであって、
前記パレットの全面に真空一体成型された樹脂シートを更に備え、
前記補強材は、前記パレット本体と同じ樹脂材料であってそれよりも高密度・高強度な材料により形成されており、
前記パレット本体の上面には、前記補強材が埋め込まれる凹部が形成され、
前記補強材は、前記樹脂シートで覆われることにより前記凹部に埋め込まれた状態で前記パレット本体と密着保持されることを特徴とするパレット。
【請求項2】
前記パレット本体及び樹脂シートは、同じ樹脂材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記樹脂シートは、染色又は色彩が施されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパレット。
【請求項4】
前記パレット本体の下面に設けられる複数の桁体を更に備え、
前記桁体は、前記樹脂シートで覆われることにより前記パレット本体と密着保持されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項5】
前記パレット本体と前記桁体とは、互いに嵌合するための嵌合構造を有することを特徴とする請求項4に記載のパレット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトやハンドリフト等を用いた荷物の運搬に使用され、発泡スチロール等の発泡樹脂製のパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フォークリフトやハンドリフト等によって荷物を運搬する際の荷台として、各種のパレットが広く使用されている。例えば、物流の現場等におけるフォークリフト等による荷物の運搬時には、パレットの載置面に荷物が積載され、パレットの側面のフォーク差し込み口にフォークリフト等のフォークが差し込まれ、パレットが所定高さ位置まで揚上される。そして、フォークリフト等を運転して目的地までパレットを搬送した後に、フォークを下降させ、パレットが目的地に置かれた後に、フォーク差し込み口からフォークが抜き取られる。
【0003】
一般的なパレットとして、木製、プラスチック製、金属製(鉄合金)又は紙製のものが知られている。しかしながら、一般的なパレットの多くは、例えば、木製パレットでも10kg以上の重量があり、紙製パレットも、プラスチック製や金属製に比べて軽いとはいえ、形状安定性を確保するために高密度で圧縮加工されており、かなりの重量がある。人の出入りが多い市場等では、ハンドリフトが使われることも多く、また、近年では、ロボットアームにより自動的に荷物の搬入、分別、ピッキング等が行われるロボット倉庫でも、パレットが用いられており、ロボットアームによる搬送効率を向上させるために、パレットの軽量化がより求められている。そこで、紙製パレットよりも更に軽量なパレットとして、発泡樹脂製のパレットが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-72754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発泡樹脂製のパレットは、木製やプラスチック製のパレットに比べて、重量物を載せるための強度が十分とは言えず、また、その表面が荒れやすい問題があった。また、パレットに木材や金属などの補強材を設けた場合には、パレット自体とは材質が異なるので、廃棄の際の分別が面倒であった。一方、補強材を取り外しし易いようにすれば、分別は容易になるが、パレットの使用中に補強材が外れて、強度を確保できなくなる虞がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、軽量で且つ重量物を載せられる充分な強度と表面耐久性を有し、また、補強材が容易には外れない一方で廃棄の際に補強材の分別が可能なパレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、発泡樹脂製の板状のパレット本体と、前記パレット本体の上面を補強する補強材と、を備えたパレットであって、記パレットの全面に真空一体成型された樹脂シートを更に備え、前記補強材は、前記パレット本体と同じ樹脂材料であってそれよりも高密度・高強度な材料により形成されており、前記パレット本体の上面には、前記補強材が埋め込まれる凹部が形成され、前記補強材は、前記樹脂シートで覆われることにより前記凹部に埋め込まれた状態で前記パレット本体と密着保持されることを特徴とする。
【0009】
上記パレットにおいて、前記パレット本体及び樹脂シートは、同じ樹脂材料により形成されていることが好ましい。
【0012】
上記パレットにおいて、前記樹脂シートは、染色又は色彩が施されていることが好ましい。
【0013】
上記パレットにおいて、前記パレット本体の下面に設けられる複数の桁体を更に備え、前記桁体は、前記樹脂シートで覆われることにより前記パレット本体と密着保持されることが好ましい。
【0014】
上記パレットにおいて、前記パレット本体と前記桁体とは、互いに嵌合するための嵌合構造を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るパレットによれば、主体を成すパレット本体が発泡樹脂製なので、軽量であり、また、樹脂シートが真空一体成形されているので、パレット本体を成す発泡樹脂に比べて、表面耐久性を得ることができる。また、パレット本体の上面に補強材が設けられたことで、荷物が置かれる部分の強度を上げることができる。また、補強材は樹脂シートにより保持されているので、容易には外れない一方で、接着剤等により接着されていないので、例えば、樹脂シートを破れば取り外すこともできる。従って、補強材が、木材や金属といった非樹脂材料でも、パレットの廃棄の際には、補強材のみを分別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)本発明の一実施形態に係るパレットの平面を主とした斜視図、(b)は底面を主とした斜視図。
図2】(a)乃至(d)は、同パレットのパレット上面への樹脂シートの真空成形の手順を説明するための図。
図3】(a)乃至(d)は、同パレットのパレット下面への樹脂シートの真空成形の手順を説明するための図。
図4】(a)は同パレットの側断面図、(b)は(a)の部分拡大断面図。
図5】(a)乃至(c)は上記実施形態の変形例に係るパレットにおいてパレット本体に取り付けされる補強材を変更した構成を示す斜視図。
図6】(a)(b)は上記実施形態の別の変形例に係るパレットにおいてパレット本体と桁体とを分離した構成を示す斜視図。
図7】上記実施形態の更に別の変形例に係るパレットにおいてパレット本体と桁体とを分離した構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係るパレットについて、図1乃至図4を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態のパレット1は、物流の現場等においてフォークリフトやハンドリフト等を用いた荷物の管理・運搬に好適に使用されるものであり、発泡樹脂製の板状のパレット本体2と、パレット本体2の下面に設けられる複数の桁体3と、を備える。また、パレット1は、その全面に真空一体成形された樹脂シート4を更に備える。
【0018】
更に、パレット1は、パレット本体2の上面21を補強する補強材5を更に備える。また、パレット本体2の上面21には、補強材5が埋め込まれる凹部27が形成されている。
【0019】
パレット本体2及び桁体3は、夫々別体として成型されている。パレット本体2を構成する材料は、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂といった発泡合成樹脂であり、本実施形態では、発泡ポリスチレン(EPS(expanded polystyrene))が用いられる。桁体3を構成する材料は、パレット本体2と同じであることが好ましいが、パレット本体2とは密度や硬さが異なるものが用いられてもよく、別の材料が用いられてもよい。
【0020】
パレット本体2は、所定の肉厚を有し、平面視で矩形状の板状部材である。なお、パレット本体2の形状は、平面視で多角形状を含む各種の形状から適宜に選択され得る。パレット本体2は、荷物が積載される積載面となる上面21と、複数(本実施形態では9個)の桁体3が設けられる下面22と、上面21及び下面22を繋ぐ側面23と、を有する。上面21が下面22の外形寸法は略等しく、各側面23の角部は丸みを帯びるように面取りされている。
【0021】
桁体3は、積載面となる上面21の高さを嵩上げする支持部材であり、複数の桁体3が、隣り合う桁体3と所定間隔を空けて配置されることにより、フォークリフトのフォークが差し込まれるフォーク差し込み部10を形成する。ここでは、3本の桁体3が並列配置され、フォーク差し込み部10が、フォークの差し込み方向の両側に開放しており、いわゆる2方差しが可能なパレット1の構成を示す。
【0022】
桁体3は、パレット本体2に接合される接合面31と、パレット1が載置される際に底面となる載置面32と、接合面31と載置面32とを繋ぐ側面33と、を有する。本実施形態の桁体3では、接合面31及び載置面32が平面視で矩形状であり、側面33が4面ある長ブロック形状のものである。桁体3の接合面31は、その下面側において肉抜き(軽量化)のための凹部31a(後述する図4(b)参照)が形成されている。また、桁体3の下面には、フォークリフトを用いた複数回の運搬による発泡スチロールの劣化や屑ごみの発生を防止するため、硬化性樹脂、木材、金属等から成るカバー等(不図示)が取り付けられてもよい。
【0023】
桁体3は、接合面31が載置面32よりも僅かに大きくなるよう形成されており、桁体3の接合面31は、外側に僅かに広がった鍔部31bを有する。桁体3は、図示した形状に限らず、例えば、楕円柱形状、四角柱以外の多角柱形状であってもよい。側面33は、積載面となる上面21の嵩上げ量が所望の値となるように設定される。また、各側面33の角部及び側面33と載置面32との角部は丸みを帯びるように面取りされている。
【0024】
樹脂シート4は、パレット本体2及び桁体3を、それらの接合箇所を除く全面を覆うように成形される。樹脂シート4は、加熱により軟化して変形する一方で、常温では硬化して、重量物を載せられる充分な強度と表面耐久性を有するシート部材である。本実施形態の樹脂シート4の材料には、パレット本体2と同じ樹脂材料が用いられることが好ましく、例えば、パレット本体2及び桁体3よりも高密度で非発泡材料であるポリスチレン(PS)が用いられる。
【0025】
図2(a)乃至(d)及び図3(a)乃至(d)は、本実施形態のパレット1において、パレット本体2に樹脂シート4を一体真空形成する手順を示す。まず、図2(a)に示すように、所定形状に成型されたパレット本体2が用意される。パレット本体2の上面21に形成された凹部27は、フォークリフトのフォークの差し込み方向(桁体3の長手方向)と略直交する方向で複数(図例では6か所)併設された凹溝である。凹溝の深さは、パレット本体2の肉厚と略同じであることが好ましい。こうすれば、フォークリフトを用いてパレット本体2の上面21に載置された荷物を運搬する際に、フォークリフトのフォークが補強材5に直接接触し、補強材5に荷重がかかるので、パレット本体2の負荷が低減され、パレット1が軋み難くなり、荷物の重量を受けて破断することを防止することができる。また、凹部27の凹溝の長手方向の両端部は、凹溝より幅広に形成されており、これにより、補強材5を凹部27から着脱する際に作業者が指を凹部27に差し入れ易く、作業性を向上させることができる。
【0026】
補強材5は、細長い板形状の部材であり、所定強度以上の強度特性を有する材料から形成される。補強材5を構成する材料には、例えば、パレット本体2及び樹脂シート4と同じ樹脂材料(例えば、PS)であって、それらよりも高密度・高強度なものが用いられる。パレット1の廃棄時にパレット本体2、樹脂シート4及び補強材5を分別廃棄する必要がなく、廃棄の手間が少なく、リサイクルに適合した製品とすることができる。また、補強材5は、木材又は金属材であってもよい。木材は、材料の取得と所定形状への加工が容易である。また、金属は、パレット1の強度をより高めたいときに好適に用いられる。また、パレット本体2には、上面21から下面22に貫通した通気口25が形成されている(図2(b)も参照)。
【0027】
次に、図2(b)に示すように、補強材5が嵌め込まれたパレット本体2が、その上面21を上にして真空容器61の上面に載置され、その上に樹脂シート4が配置される。なお、図2(b)では、説明の便宜上、染色を施した樹脂シート4を示しているが、樹脂シート4は透明であってもよく、パレット本体2と同じ白色であってもよい。図2(c)に示すように、樹脂シート4の上方にはヒータ62が配置されており、ヒータ62が樹脂シート4を加熱して、樹脂シート4を軟化させる。真空容器61には、内部空間と真空容器61の上面側外部とを通じる吸引口(不図示)と、内部空間を減圧する減圧ポンプ63とが設けられている。パレット本体2が載置された真空容器61は、上方に移動可能となっており、パレット本体2をヒータ62により軟化した樹脂シート4に密着させると共に、減圧ポンプ63を作動させて通気口25を介して、パレット本体2と樹脂シート4との間の空気を吸引し、樹脂シート4をパレット本体2に真空吸着させる。これにより、図2(d)に示すように、パレット本体2の上面21と側面23とが樹脂シート4によって隙間なく覆われる。
【0028】
続いて、図3(a)に示すように、パレット本体2の下面22に、複数の桁体3が配置される。パレット本体2の下面22には、桁体3との接合部26が設けられている。接合部26は、パレット本体2の下面22の表面から僅かに彫り込まれており、桁体3の接合面31に設けられた鍔部31bが嵌り込む。なお、桁体3は、パレット本体2と同じ樹脂材料により構成される接着剤により仮固定されていてもよい。
【0029】
次に、図3(b)に示すように、桁体3が配置されたパレット本体2が、その下面22を上にして真空容器61の上面に載置され、その上に樹脂シート4が配置される。そして、図3(c)に示すように、パレット本体2が載置された真空容器61を、上方に移動させて、パレット本体2をヒータ62により軟化した樹脂シート4に密着させると共に、減圧ポンプ63を作動させて通気口25を介して、樹脂シート4をパレット本体2に真空吸着させる。これにより、図3(d)に示すように、パレット本体2の下面22及び側面23と、桁体3の載置面32及び側面33とが樹脂シート4によって隙間なく覆われる。このとき、補強材5は、樹脂シート4で覆われることにより凹部27に埋め込まれた状態で密着保持される。
【0030】
このように、本実施形態のパレット1では、その全面に樹脂シート4を真空一体成形することで、夫々別体として成型されたパレット本体2、桁体3及び補強材5が、樹脂シート4で覆われることにより互いに密着保持される。そして、凹部27に補強材5が埋め込まれることで、パレット1は、フォークリフトのフォークと直交するパレット1の左右方向の強度を上げることができる。また、補強材5は凹部27に嵌め込まれた状態で樹脂シート4により保持されているので、容易には外れない一方で、接着剤等により接着されていないので、例えば、樹脂シート4を破れば、凹部27から取り外すこともできる。従って、補強材5が、木材や金属といった非樹脂材料でも、パレット1の廃棄の際には、補強材5のみを分別することができる。
【0031】
また、パレット1は、夫々別体として成型されたパレット本体2及び桁体3が、樹脂シート4で覆われることにより互いに密着保持される。本実施形態のパレット1は、少なくとも主体を成すパレット本体2が発泡樹脂製なので、軽量であり、また、パレット1の全面に樹脂シート4が真空一体成形されているので、パレット本体2を成す発泡樹脂に比べて、表面耐久性を得ることができる。また、樹脂シート4は、常温では硬化しており、パレット本体2の側面23といった鉛直面を含むパレット1の全面に設けられているので、パレット1自体の強度を、一定の重量物を載せられる強度に向上させることができる。なお、図4(b)では、説明の便宜上、樹脂シート4の厚みを誇張して示している。
【0032】
また、本実施形態のパレット1では、図4(b)に示したように、パレット本体2の下面22の接合部26に、桁体3の鍔部31bが嵌まり込み、下面22と側面33との成す隅部は直角が緩やかな曲面となっている。そのため、樹脂シート4で被覆された際に、それらの隅部に隙間が残存し難く、樹脂シート4がパレット本体2及び桁体3に対して密着保持される。
【0033】
また、パレット本体2及び樹脂シート4は、いずれも同じ樹脂材料(本例ではポリスチレン)により形成されているので、パレット1の廃棄時にパレット本体2及び樹脂シート4を分別廃棄する必要がなく、廃棄の手間が少なく、リサイクルに適合した製品とすることができる。また、樹脂シート4は、パレット本体2に対して真空一体成形で密着保持されており、接着剤等によって接着されていないので、樹脂シート4を破ればパレット本体2にから分離することもできる。桁体3もまた、パレット本体2及び樹脂シート4と同じ樹脂材料により形成することで、パレット1の廃棄を簡便にすることができる。また、桁体3も、パレット本体2とは別体であり、樹脂シート4で覆われることによりパレット本体2に密着保持されるので、樹脂シート4を破ればパレット本体2にから分離することもできる。
【0034】
上記実施形態の変形例について、図5を参照して説明する。本変形例のパレット1は、金属製の補強材5が、パレット本体2の上面21の概ね全域に設けられたものである。図5(a)は、補強材5が金属メッシュ板5Aであり、上面21にはその周縁を除き、金属メッシュ板5Aが嵌め込まれる凹部27が形成された構成を示す。図5(b)は、補強材5が鉄線を格子状に配置した鉄筋5Bであり、上面21には凹部27として鉄筋5Bが格子状の溝が形成された構成を示す。図5(c)は、補強材5がパンチングボード5Cであり、上面21にはその周縁を除き、パンチングボード5Cが嵌め込まれる凹部27が形成された構成を示す。
【0035】
例えば、パレット1上に凹凸のある重量物が載置されると、パレット本体2の上面21に局所的に荷重が加わると、パレット本体2の上面21は、樹脂シート4で覆われているとはいえ、局所的な凹みが生じるケースがある。そのようなケースが繰り返されると、パレット本体2の上面21が凸凹になり、パレット1の耐久性が低下する。本変形例によれば、金属製の補強材5が、パレット本体2の上面21の概ね全域に設けられているので、パレット本体2の上面21に局所的に荷重が加わっても、凹みが生じ難く、パレット1の耐久性を向上させることができる。また、補強材5は、樹脂シート4(不図示)で覆われているので、パレット1に置かれた積載物に直接的には接触しない。従って、金属製の補強材5の表面の凹凸が、積載物に影響を及ぼすこともない。
【0036】
樹脂シート4は、染色又は色彩が施されていてもよい。染色又は色彩は、パレット1の種類や用途に応じて適宜に選択される。一般的に発泡合成樹脂製品は、白色である。発泡樹脂製のパレット本体2(桁体3)は、所定の厚みを有する3次元形状の部材なので、それらを有色にするには、多量の染料等が必要となる。また、パレットの外表面を塗装しただけでは、表面耐久性は変化しないので、外表面が損傷等して内部の色目が露呈すれば、見栄えが悪くなる。一方、樹脂シート4は、厚みが僅かな略2次元形状の部材なので、有色にするにも少量の染料等で足りる。従って、樹脂シート4に染色又は色彩を施すことで、効率的にパレット1の外観を有色にすることができる。また、樹脂シート4により、パレット1の表面耐久性が向上するので、外表面が損傷等し難くなり、長期にわたって見栄えの良い状態を維持することができる。また、樹脂シート4に色彩を施すことで、意匠的な見栄えが良くなり、パレット1を例えば棚等にも利用でき、顧客の目に触れる店頭に展示することもできるようになる。
【0037】
本実施形態のパレット1は、桁体3がパレット本体2とは別体なので、桁体3には、形状や材質等が異なる複数種のもの適用することができる。例えば、図6(a)に示すように、ブロック形状の桁体3Aを用い、フォークリフトのフォークを4方から差し込み可能とすべく、その長手方向の長さがパレット本体2の一側面より短く、パレット本体2の下面22の四隅、これら4隅の側部側の中間位置、及び下面22の中心部に夫々設けられてもよい。また、図6(b)に示すように、桁体3として、上記の桁体3よりも高さが高い桁体3Aが用いられてもよい。この桁体3Bによれば、積載面となるパレット本体2の上面21の嵩上げ量が大きくなり、フォーク差し込み部10(図1参照)の開口を高さ方向に大きくすることができる。
【0038】
このように、パレット本体2に対して、大きさや形状(又は材質)の異なる複数種の桁体3を適用し、それらを樹脂シート4で密着保持する。そして、桁体3は、比較的サイズの大きな成型体であるパレット本体2に比べてサイズが小さいので、小型の金型で成型することができる。従って、パレット本体2を共有しつつ、複数種の桁体3を適宜に採用することで、用途に応じた複数種のパレット1を製造することができ、パレット1の形状等の制約を少なくすることができる。
【0039】
上記実施形態の変形例について、図7を参照して説明する。本変形例のパレット1は、パレット本体2と桁体3とは、互いに嵌合するための嵌合構造を有するものである。具体的には、パレット本体2の下面22には凹溝22aが形成され、桁体3の上面には凸条31cが形成されている。この変形例では、フォークリフトのフォークを2方から差し込み可能となっている。この構成においても、上記実施形態と同様の効果を奏すると共に、保管時に要するスペースを減少し、顧客の要望に応じてパレット1の構成をカスタマイズすることができる。
【0040】
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記実施の形態においてはパレット1の構造をフォークリフトによる荷物の運搬に適用する例を説明したが、他の発泡合成樹脂製の構造物にも適用できることは言うまでもない。また、上記施形態のパレット1は、フォークリフトやハンドリフト等に好適に使用されるものを示したが、例えば、床置きタイプ又はパレット本体2の下面にキャスタを設けた移動タイプ等であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 パレット
2 パレット本体
21 上面
22 下面
22a 凹溝(嵌合機構)
27 凹部
3 桁体
31c 凸条(嵌合機構)
4 樹脂シート
5 補強材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7