(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/00 20220101AFI20220316BHJP
G01F 1/66 20220101ALI20220316BHJP
【FI】
G01F1/00 F
G01F1/66 101
(21)【出願番号】P 2018047215
(22)【出願日】2018-03-14
【審査請求日】2020-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】小山 貴正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宗太郎
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-332447(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0334257(US,A1)
【文献】特開2004-85309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/02
G01F15/00-15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管内を流れる流体の流量を測定する流量測定部と、
前記流量測定部により測定された流量に基づいて、前記配管内の流体が静止している静止状態から前記配管内の流体が流動する流動状態への第1の切り替わりを判定しかつ前記流動状態から前記静止状態への第2の切り替わりを判定する切り替わり判定部と、
前記流量測定部により測定される流量を積算する流量積算部と、
前記切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して前記流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりの判定後に前記切り替わり判定部による第2の切り替わりの判定に応答して前記流量積算部による流量の積算を停止させる積算制御部と、
前記第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から前記第2の切り替わりの判定に応答して流量の積算が停止された時点までの間に前記流量積算部により積算された流量の値を積算値として取得する取得部と、
前記取得部により取得された積算値に関する情報を出力する出力部と、
前記取得部により積算値が取得された時点から前記切り替わり判定部により次の第1の切り替わりが判定される時点までの間に、前記流量積算部により積算された積算値をリセットするリセット部とを備える、流量計。
【請求項2】
配管内を流れる流体の流量を測定する流量測定部と、
前記配管内の流体が静止している静止状態から前記配管内の流体が流動する流動状態への第1の切り替わりを判定しかつ前記流動状態から前記静止状態への第2の切り替わりを判定する切り替わり判定部と、
前記流量測定部により測定される流量を積算する流量積算部と、
前記切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して前記流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりの判定後に前記切り替わり判定部による第2の切り替わりの判定に応答して前記流量積算部による流量の積算を停止させる積算制御部と、
前記第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から前記第2の切り替わりの判定に応答して流量の積算が停止された時点までの間に前記流量積算部により積算された流量の値を積算値として取得する取得部と、
前記取得部により取得された積算値に関する情報を出力する出力部と、
前記取得部により積算値が取得された時点から前記切り替わり判定部により次の第1の切り替わりが判定される時点までの間に、前記流量積算部により積算された積算値をリセットするリセット部と、
前記取得部により取得される積算値の許容範囲を設定する第1の許容範囲設定部と、
前記取得部により取得された積算値が前記第1の許容範囲設定部により設定された積算値の許容範囲内にあるか否かを判定する第1の積算値判定部と、
前記積算値の許容範囲を設定するために使用者により操作される第1の操作部
とを備え、
前記出力部は、前記積算値に関する情報として前記第1の積算値判定部による判定結果を出力し、
前記第1の許容範囲設定部は、前記第1の操作部の操作が開始されることにより前記流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の操作部の操作が終了されることにより前記流量積算部による流量の積算を停止させ、前記第1の操作部の操作が開始された時点から前記第1の操作部の操作が終了された時点までの間に積算された流量の値に基づいて前記積算値の許容範囲を設定す
る、流量計。
【請求項3】
配管内を流れる流体の流量を測定する流量測定部と、
前記配管内の流体が静止している静止状態から前記配管内の流体が流動する流動状態への第1の切り替わりを判定しかつ前記流動状態から前記静止状態への第2の切り替わりを判定する切り替わり判定部と、
前記流量測定部により測定される流量を積算する流量積算部と、
前記切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して前記流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりの判定後に前記切り替わり判定部による第2の切り替わりの判定に応答して前記流量積算部による流量の積算を停止させる積算制御部と、
前記第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から前記第2の切り替わりの判定に応答して流量の積算が停止された時点までの間に前記流量積算部により積算された流量の値を積算値として取得する取得部と、
前記取得部により取得された積算値に関する情報を出力する出力部と、
前記取得部により積算値が取得された時点から前記切り替わり判定部により次の第1の切り替わりが判定される時点までの間に、前記流量積算部により積算された積算値をリセットするリセット部と、
予め設定された設定時間内に前記配管を流れる流体の総量を測定すべき第1の総量取得指令を受け付ける第1の受付部
とを備え、
前記積算制御部は、前記第1の受付部により前記第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、前記切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して前記流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりが判定された時点から前記設定時間を経過した時点で前記流量積算部による流量の積算を停止させ、
前記取得部は、前記第1の受付部により前記第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、前記第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から前記設定時間を経過した時点までの間に前記流量積算部により積算された流量の値を総量値として取得し、
前記出力部は、前記第1の受付部により前記第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、前記取得部により取得された総量値に関する情報を出力す
る、流量計。
【請求項4】
前記第1の受付部により前記第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、前記取得部により取得される総量値の許容範囲を設定する第2の許容範囲設定部と、
前記第1の受付部により前記第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、前記取得部により取得された総量値が前記第2の許容範囲設定部により設定された総量値の許容範囲内にあるか否かを判定する第2の積算値判定部とをさらに備え、
前記出力部は、前記第1の受付部により前記第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、前記総量値に関する情報として前記第2の積算値判定部による判定結果を出力する、請求項
3記載の流量計。
【請求項5】
前記総量値の許容範囲および前記設定時間を設定するために使用者により操作される第2の操作部をさらに備え、
前記第2の許容範囲設定部は、前記第1の受付部により前記第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、前記第2の操作部の操作が開始されることにより前記流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第2の操作部の操作が終了されることにより前記流量積算部による流量の積算を停止させ、前記第2の操作部の操作が開始された時点から前記第2の操作部の操作が終了された時点までの間に積算された流量の値に基づいて前記総量値の許容範囲を設定するとともに、前記第2の操作部の操作が開始された後前記切り替わり判定部により第1の切り替わりが判定された時点から前記第2の操作部の操作が終了された時点までの時間を前記設定時間として設定する、請求項
4記載の流量計。
【請求項6】
配管内を流れる流体の流量を測定する流量測定部と、
前記配管内の流体が静止している静止状態から前記配管内の流体が流動する流動状態への第1の切り替わりを判定しかつ前記流動状態から前記静止状態への第2の切り替わりを判定する切り替わり判定部と、
前記流量測定部により測定される流量を積算する流量積算部と、
前記切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して前記流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりの判定後に前記切り替わり判定部による第2の切り替わりの判定に応答して前記流量積算部による流量の積算を停止させる積算制御部と、
前記第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から前記第2の切り替わりの判定に応答して流量の積算が停止された時点までの間に前記流量積算部により積算された流量の値を積算値として取得する取得部と、
前記取得部により取得された積算値に関する情報を出力する出力部と、
前記取得部により積算値が取得された時点から前記切り替わり判定部により次の第1の切り替わりが判定される時点までの間に、前記流量積算部により積算された積算値をリセットするリセット部と、
前記切り替わり判定部により前記第1および第2の切り替わりが予め設定された回数繰り返して判定される間に前記配管を流れる流体の総量を測定すべき第2の総量取得指令を受け付ける第2の受付部
とを備え、
前記積算制御部は、前記第2の受付部により前記第2の総量取得指令が受け付けられた場合に、前記切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して前記流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりが判定された時点から前記第1および第2の切り替わりが前記設定された回数繰り返して判定されたことに応答して前記流量積算部による流量の積算を停止させ、
前記取得部は、前記第2の受付部により前記第2の総量取得指令が受け付けられた場合に、前記第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から前記第1および第2の切り替わりが前記設定された回数繰り返して判定されたことに応答して流量の積算が停止された時点までの間に前記流量積算部により積算された流量の値を総量値として取得し、
前記出力部は、前記第2の受付部により前記第2の総量取得指令が受け付けられた場合に、前記取得部により取得された総量値に関する情報を出力す
る、流量計。
【請求項7】
配管内を流れる流体の流量を測定する流量測定部と、
前記配管内の流体が静止している静止状態から前記配管内の流体が流動する流動状態への第1の切り替わりを判定しかつ前記流動状態から前記静止状態への第2の切り替わりを判定する切り替わり判定部と、
前記流量測定部により測定される流量を積算する流量積算部と、
前記切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して前記流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりの判定後に前記切り替わり判定部による第2の切り替わりの判定に応答して前記流量積算部による流量の積算を停止させる積算制御部と、
前記第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から前記第2の切り替わりの判定に応答して流量の積算が停止された時点までの間に前記流量積算部により積算された流量の値を積算値として取得する取得部と、
前記取得部により取得された積算値に関する情報を出力する出力部と、
前記取得部により積算値が取得された時点から前記切り替わり判定部により次の第1の切り替わりが判定される時点までの間に、前記流量積算部により積算された積算値をリセットするリセット部と、
前記切り替わり判定部により前記第2の切り替わりが判定された時点から予め定められた無効時間の間、前記切り替わり判定部による判定を無効とする判定無効部
とを備え
る、流量計。
【請求項8】
前記切り替わり判定部は、
前記流量測定部により測定された流量が予め定められた第1の流量しきい値以下の値から前記第1の流量しきい値を超えたときに前記第1の切り替わりを判定し、前記流量測定部により測定された流量が予め定められた第2の流量しきい値よりも大きい値から前記第2の流量しきい値以下の値となったときに前記第2の切り替わりを判定する、請求項1
~6のいずれか一項に記載の流量計。
【請求項9】
前記取得部により取得される積算値の許容範囲を設定する第1の許容範囲設定部と、
前記取得部により取得された積算値が前記第1の許容範囲設定部により設定された積算値の許容範囲内にあるか否かを判定する第1の積算値判定部とをさらに備え、
前記出力部は、前記積算値に関する情報として前記第1の積算値判定部による判定結果を出力する、請求項1
~7のいずれか一項に記載の流量計。
【請求項10】
表示部と、
所定時間前から現在までの間に前記取得部により取得された1または複数の積算値を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された1または複数の積算値の最大値および最小値を前記表示部に表示させる表示制御部とを備える、請求項1~
9のいずれか一項に記載の流量計。
【請求項11】
前記流量測定部は、超音波の送信および受信が可能に構成された一対の超音波素子と、前記配管内の流体を通して前記一対の超音波素子の間で超音波が伝達されるように前記一対の超音波素子を前記配管に固定するクランプ部材とを含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管内を流れる流体の流量を測定する流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
配管内を流れる流体の流量を測定するために流量計が用いられている。このような流量計の一例として、例えば特許文献1に記載された流量センサにおいては、現在の流量の値が瞬時流量値として検出され、所定時間前から現在までの流量の積算値が積算流量値として検出される。検出された瞬時流量値および積算流量値は、それぞれ表示器に表示される。積算流量値は、使用者が当該流量センサに設けられたマニュアル調整ボタンを操作することによりリセットされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-347352号公報
【文献】特開2007-298401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接着剤または離型剤等の液体を一定量ずつ吐出するディスペンサがある。特許文献1に記載された流量センサをディスペンサに適用する場合には、ディスペンサから液体が吐出されるごとに吐出中の液体の積算流量値を検出することにより、ディスペンサから間欠的に吐出される液体の各回の吐出量を取得することができる。
【0005】
ディスペンサから液体が吐出されるごとにその吐出量を把握することができれば、ディスペンサの動作状態をより正確に管理することができる。この場合、使用者は、ディスペンサによる液体の吐出が行われるごとに、積算流量値をリセットする操作(以下、リセット操作と呼ぶ。)を行う必要がある。しかしながら、ディスペンサによる液体の吐出時間および吐出周期等によっては、使用者がディスペンサにおける液体の吐出状態を正確に把握できない場合がある。この場合、使用者が流量センサのリセット操作を適切に行うことは難しい。
【0006】
流量センサにおける積算流量値をリセットするための方法として、使用者によるリセット操作に代えて、流量センサの外部から流量センサにリセット信号を入力する方法がある(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法を用いる場合には、ディスペンサの吐出に同期してリセット信号を発生するための信号発生器を別途用意する必要がある。そのため、ディスペンサの吐出量を測定するための構成が複雑化する。
【0007】
本発明の目的は、簡単な構成で配管内を間欠的に流れる流体の流動ごとの流量の積算値を容易に取得することが可能な流量計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る流量計は、配管内を流れる流体の流量を測定する流量測定部と、流量測定部により測定された流量に基づいて、配管内の流体が静止している静止状態から配管内の流体が流動する流動状態への第1の切り替わりを判定しかつ流動状態から静止状態への第2の切り替わりを判定する切り替わり判定部と、流量測定部により測定される流量を積算する流量積算部と、切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりの判定後に切り替わり判定部による第2の切り替わりの判定に応答して流量積算部による流量の積算を停止させる積算制御部と、第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から第2の切り替わりの判定に応答して流量の積算が停止された時点までの間に流量積算部により積算された流量の値を積算値として取得する取得部と、取得部により取得された積算値に関する情報を出力する出力部と、取得部により積算値が取得された時点から切り替わり判定部により次の第1の切り替わりが判定される時点までの間に、流量積算部により積算された積算値をリセットするリセット部とを備える。
【0009】
その流量計においては、第1の切り替わりが判定されることにより流量の積算が開始される。その後、第2の切り替わりが判定されることにより流量の積算が停止される。流量の積算が開始された時点から当該流量の積算が停止された時点までの間の積算値が取得され、取得された積算値に関する情報が出力される。積算値が取得された時点から次の第1の切り替わりが判定される時点までの間に、流量積算部により積算された積算値がリセットされる。
【0010】
これにより、使用者は、配管内を間欠的に流れる流体が流動するごとの流量の積算値を取得するために煩雑な操作を行う必要がない。具体的には、使用者は、配管内を間欠的に流れる流体が静止状態から流動状態に切り替わるごとに、積算の開始、積算の停止および積算値のリセットを行うための操作を行う必要がない。また、積算の開始、積算の停止および積算値のリセットを行うための構成を別途用意する必要がない。したがって、簡単な構成で配管内を間欠的に流れる流体の流動ごとの流量の積算値を容易に取得することが可能である。
【0014】
(2)第2の発明に係る流量計は、配管内を流れる流体の流量を測定する流量測定部と、配管内の流体が静止している静止状態から配管内の流体が流動する流動状態への第1の切り替わりを判定しかつ流動状態から静止状態への第2の切り替わりを判定する切り替わり判定部と、流量測定部により測定される流量を積算する流量積算部と、切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりの判定後に切り替わり判定部による第2の切り替わりの判定に応答して流量積算部による流量の積算を停止させる積算制御部と、第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から第2の切り替わりの判定に応答して流量の積算が停止された時点までの間に流量積算部により積算された流量の値を積算値として取得する取得部と、取得部により取得された積算値に関する情報を出力する出力部と、取得部により積算値が取得された時点から切り替わり判定部により次の第1の切り替わりが判定される時点までの間に、流量積算部により積算された積算値をリセットするリセット部と、取得部により取得される積算値の許容範囲を設定する第1の許容範囲設定部と、取得部により取得された積算値が第1の許容範囲設定部により設定された積算値の許容範囲内にあるか否かを判定する第1の積算値判定部と、積算値の許容範囲を設定するために使用者により操作される第1の操作部とを備え、出力部は、積算値に関する情報として第1の積算値判定部による判定結果を出力し、第1の許容範囲設定部は、第1の操作部の操作が開始されることにより流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の操作部の操作が終了されることにより流量積算部による流量の積算を停止させ、第1の操作部の操作が開始された時点から第1の操作部の操作が終了された時点までの間に積算された流量の値に基づいて積算値の許容範囲を設定する。
【0015】
この場合、配管を流れる流体の実際の流量に基づいて積算値の許容範囲を容易に設定することができる。
【0016】
(3)第3の発明に係る流量計は、配管内を流れる流体の流量を測定する流量測定部と、配管内の流体が静止している静止状態から配管内の流体が流動する流動状態への第1の切り替わりを判定しかつ流動状態から静止状態への第2の切り替わりを判定する切り替わり判定部と、流量測定部により測定される流量を積算する流量積算部と、切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりの判定後に切り替わり判定部による第2の切り替わりの判定に応答して流量積算部による流量の積算を停止させる積算制御部と、第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から第2の切り替わりの判定に応答して流量の積算が停止された時点までの間に流量積算部により積算された流量の値を積算値として取得する取得部と、取得部により取得された積算値に関する情報を出力する出力部と、取得部により積算値が取得された時点から切り替わり判定部により次の第1の切り替わりが判定される時点までの間に、流量積算部により積算された積算値をリセットするリセット部と、予め設定された設定時間内に配管を流れる流体の総量を測定すべき第1の総量取得指令を受け付ける第1の受付部とを備え、積算制御部は、第1の受付部により第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりが判定された時点から設定時間を経過した時点で流量積算部による流量の積算を停止させ、取得部は、第1の受付部により第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から設定時間を経過した時点までの間に流量積算部により積算された流量の値を総量値として取得し、出力部は、第1の受付部により第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、取得部により取得された総量値に関する情報を出力する。これにより、流量計の利便性が向上する。
【0017】
(4)流量計は、第1の受付部により第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、取得部により取得される総量値の許容範囲を設定する第2の許容範囲設定部と、第1の受付部により第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、取得部により取得された総量値が第2の許容範囲設定部により設定された総量値の許容範囲内にあるか否かを判定する第2の積算値判定部とをさらに備え、出力部は、第1の受付部により第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、総量値に関する情報として第2の積算値判定部による判定結果を出力してもよい。
【0018】
この場合、設定時間内に配管を流れる流体の総量値に基づく判定結果を流量計の外部装置に対する制御信号として用いることができる。したがって、流量計の利便性がより向上する。
【0019】
(5)流量計は、総量値の許容範囲および設定時間を設定するために使用者により操作される第2の操作部をさらに備え、第2の許容範囲設定部は、第1の受付部により第1の総量取得指令が受け付けられた場合に、第2の操作部の操作が開始されることにより流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第2の操作部の操作が終了されることにより流量積算部による流量の積算を停止させ、第2の操作部の操作が開始された時点から第2の操作部の操作が終了された時点までの間に積算された流量の値に基づいて総量値の許容範囲を設定するとともに、第2の操作部の操作が開始された後切り替わり判定部により第1の切り替わりが判定された時点から第2の操作部の操作が終了された時点までの時間を設定時間として設定してもよい。
【0020】
この場合、配管を流れる流体の実際の流量に基づいて総量値の許容範囲および設定時間を容易に設定することができる。
【0021】
(6)第4の発明に係る流量計は、配管内を流れる流体の流量を測定する流量測定部と、配管内の流体が静止している静止状態から配管内の流体が流動する流動状態への第1の切り替わりを判定しかつ流動状態から静止状態への第2の切り替わりを判定する切り替わり判定部と、流量測定部により測定される流量を積算する流量積算部と、切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりの判定後に切り替わり判定部による第2の切り替わりの判定に応答して流量積算部による流量の積算を停止させる積算制御部と、第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から第2の切り替わりの判定に応答して流量の積算が停止された時点までの間に流量積算部により積算された流量の値を積算値として取得する取得部と、取得部により取得された積算値に関する情報を出力する出力部と、取得部により積算値が取得された時点から切り替わり判定部により次の第1の切り替わりが判定される時点までの間に、流量積算部により積算された積算値をリセットするリセット部と、切り替わり判定部により第1および第2の切り替わりが予め設定された回数繰り返して判定される間に配管を流れる流体の総量を測定すべき第2の総量取得指令を受け付ける第2の受付部とを備え、積算制御部は、第2の受付部により第2の総量取得指令が受け付けられた場合に、切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりが判定された時点から第1および第2の切り替わりが設定された回数繰り返して判定されたことに応答して流量積算部による流量の積算を停止させ、取得部は、第2の受付部により第2の総量取得指令が受け付けられた場合に、第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から第1および第2の切り替わりが設定された回数繰り返して判定されたことに応答して流量の積算が停止された時点までの間に流量積算部により積算された流量の値を総量値として取得し、出力部は、第2の受付部により第2の総量取得指令が受け付けられた場合に、取得部により取得された総量値に関する情報を出力する。これにより、流量計の利便性が向上する。
【0026】
(7)第5の発明に係る流量計は、配管内を流れる流体の流量を測定する流量測定部と、配管内の流体が静止している静止状態から配管内の流体が流動する流動状態への第1の切り替わりを判定しかつ流動状態から静止状態への第2の切り替わりを判定する切り替わり判定部と、流量測定部により測定される流量を積算する流量積算部と、切り替わり判定部による第1の切り替わりの判定に応答して流量積算部による流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりの判定後に切り替わり判定部による第2の切り替わりの判定に応答して流量積算部による流量の積算を停止させる積算制御部と、第1の切り替わりの判定に応答して流量の積算が開始された時点から第2の切り替わりの判定に応答して流量の積算が停止された時点までの間に流量積算部により積算された流量の値を積算値として取得する取得部と、取得部により取得された積算値に関する情報を出力する出力部と、取得部により積算値が取得された時点から切り替わり判定部により次の第1の切り替わりが判定される時点までの間に、流量積算部により積算された積算値をリセットするリセット部と、切り替わり判定部により第2の切り替わりが判定された時点から予め定められた無効時間の間、切り替わり判定部による判定を無効とする判定無効部とを備える。
【0027】
この場合、第2の切り替わりが判定された時点の直後にオーバーシュートが発生することにより第1の切り替わりが判定される場合に、当該判定が無効となる。それにより、意図しないタイミングで積算値がリセットされることが防止される。
(8)切り替わり判定部は、流量測定部により測定された流量が予め定められた第1の流量しきい値以下の値から第1の流量しきい値を超えたときに第1の切り替わりを判定し、流量測定部により測定された流量が予め定められた第2の流量しきい値よりも大きい値から第2の流量しきい値以下の値となったときに第2の切り替わりを判定してもよい。これにより、ノイズまたは外乱等の影響による第1および第2の切り替わりの誤検出が防止される。
(9)流量計は、取得部により取得される積算値の許容範囲を設定する第1の許容範囲設定部と、取得部により取得された積算値が第1の許容範囲設定部により設定された積算値の許容範囲内にあるか否かを判定する第1の積算値判定部とをさらに備え、出力部は、積算値に関する情報として第1の積算値判定部による判定結果を出力してもよい。
この場合、配管を流れる流体の積算値に基づく判定結果を流量計の外部装置に対する制御信号として用いることができる。したがって、流量計の利便性が向上する。
(10)流量計は、表示部と、所定時間前から現在までの間に取得部により取得された1または複数の積算値を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された1または複数の積算値の最大値および最小値を表示部に表示させる表示制御部とを備えてもよい。
この場合、使用者は、所定時間前から現在までの間に取得された積算値の最大値および最小値を容易に認識することができる。
(11)流量測定部は、超音波の送信および受信が可能に構成された一対の超音波素子と、配管内の流体を通して一対の超音波素子の間で超音波が伝達されるように一対の超音波素子を配管に固定するクランプ部材とを含んでもよい。
上記の流量計はクランプオン式超音波流量センサである。この場合、流量計を既存の配管に容易に取り付けることができる。また、配管内を流れる流体に圧力損失を生じさせることがないので、高い粘性を有する流体についても高い精度で積算値を取得することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、簡単な構成で配管内を間欠的に流れる流体の流動ごとの流量の積算値を容易に取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る流量センサの基本構成を説明するためのブロック図である。
【
図2】
図1の流量センサにおける流量の算出方法を説明するための第1超音波素子、第2超音波素子およびそれらの周辺部材を示す模式的断面図である。
【
図3】流量センサによる瞬時流量および流量積算の具体的な測定例を説明するための図である。
【
図4】第1のチューニング機能を説明するための図である。
【
図5】時間総量測定機能を説明するための図である。
【
図6】第2のチューニング機能を説明するための図である。
【
図7】
図1の制御装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図8】積算流量の測定時に
図7の各機能部により実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】時間総量測定機能による総量の測定時に
図7の各機能部により実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】回数総量測定機能による総量の測定時に
図7の各機能部により実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】流量センサにより測定される瞬時流量の時間的変化の一例を示す図である。
【
図12】他の実施の形態に係る制御装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態に係る流量計について図面を参照しつつ説明する。以下の説明においては、流量計の一例としてクランプオン式超音波流量センサ(以下、流量センサと略記する。)を説明する。
【0031】
[1]流量センサの基本構成
図1は本発明の一実施の形態に係る流量センサの基本構成を説明するためのブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る流量センサ1は、ヘッド部10および本体部20を備える。ヘッド部10および本体部20は、図示しないケーブルにより接続されている。
【0032】
ヘッド部10は、第1超音波素子101を有する第1ヘッド部11と第2超音波素子102を有する第2ヘッド部12を含み、例えばディスペンサを構成する配管Pに取り付けられる。ヘッド部10が取り付けられる配管Pは、液体を吐出するためのディスペンサの吐出口につながる。配管P内を接着剤または離型剤等の液体が間欠的に流れることにより、ディスペンサの吐出口から液体が間欠的に吐出される。
【0033】
ヘッド部10が配管Pに取り付けられた状態で、第1および第2超音波素子101,102は、第1および第2超音波素子101,102間で配管Pおよび配管P内の液体を通して超音波が伝達されるように、後述するクランプ部材CL(
図2)により配管Pに固定される。
【0034】
本体部20は、送信回路201、受信回路202、操作部203、表示部204、記憶部205、出力回路206および制御装置300を含む。送信回路201は、制御装置300の制御に基づいて第1および第2超音波素子101,102をそれぞれ駆動するための駆動信号を生成する。送信回路201が第1超音波素子101を駆動するための駆動信号を生成することにより、その駆動信号に応答して第1超音波素子101から超音波が送信される。また、送信回路201が第2超音波素子102を駆動するための駆動信号を生成することにより、その駆動信号に応答して第2超音波素子102から超音波が送信される。
【0035】
送信回路201は、第1および第2超音波素子101,102にそれぞれ対応する2つの駆動信号生成回路により構成されてもよい。あるいは、送信回路201は、1つの駆動信号生成回路と切り替え回路とにより構成されてもよい。この場合、切り替え回路は、駆動信号生成回路により発生された駆動信号を第1および第2超音波素子101,102に切り替えて出力する。
【0036】
第1および第2超音波素子101,102の各々においては、超音波が受信されることにより、受信された超音波に対応した超音波信号が出力される。受信回路202は、第1超音波素子101から出力される超音波信号に所定の信号処理(増幅処理およびアナログ/デジタル変換処理等)を行うとともに信号処理後の超音波信号を制御装置300に与える。また、受信回路202は、第2超音波素子102から出力される超音波信号に所定の信号処理を行うとともに信号処理後の超音波信号を制御装置300に与える。
【0037】
受信回路202は、第1および第2超音波素子101,102にそれぞれ対応する2つの信号処理回路により構成されてもよい。あるいは、受信回路202は、1つの信号処理回路と切り替え回路とにより構成されてもよい。この場合、切り替え回路は、第1および第2超音波素子101,102から出力される超音波信号が信号処理回路に入力されるように、第1および第2超音波素子101,102と信号処理回路との接続状態を切り替える。
【0038】
制御装置300は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリにより構成され、送信回路201を制御するとともに受信回路202から与えられる信号処理済みの超音波信号に基づいて配管P内を流れる液体の流量を測定する。流量とは、単位時間内に配管Pを通過する液体の量である。
【0039】
また、制御装置300は、測定された流量に基づいて、配管P内部の状態が、液体が静止している静止状態から液体が流動している流動状態に切り替わったか否かを判定する。また、制御装置300は、測定された流量に基づいて、配管P内部の状態が、流動状態から静止状態に切り替わったか否かを判定する。
【0040】
また、制御装置300は、測定された流量と切り替わりの判定結果とに基づいて、配管P内を間欠的に流れる液体の流動ごとの流量の積算値を取得する。さらに、制御装置300は、取得された積算値が予め定められた許容範囲内にあるか否かを判定し、判定結果を示す判定信号を出力回路206に与える。制御装置300の動作の詳細は後述する。
【0041】
操作部203は、複数の操作ボタンを含む。使用者は、操作部203を操作することにより、流量の測定に用いられる各種情報を入力することができる。流量の測定に用いられる各種情報には、ヘッド部10の取付対象となる配管Pの材質、配管Pの内径、配管Pの外径、液体内での超音波の速度、液体への超音波の入射角および後述する流量補正係数等が含まれる。使用者は、操作部203を操作することにより、上記の許容範囲の設定を行うことができる。また、操作部203の複数の操作ボタンには、第1ボタン203a、第2ボタン203bおよび第3ボタン203cが含まれる。第1~第3ボタン203a~203cの詳細は後述する。
【0042】
表示部204は、例えばセグメント表示器またはドットマトリクス表示器を含み、制御装置300の制御に基づいて配管P内を流れる液体の流量値および積算値等を表示する。記憶部205は、不揮発性メモリまたはハードディスクドライブにより構成され、配管P内を流れる液体の流量を測定するための各種情報を記憶する。また、記憶部205は、制御装置300により配管P内の液体が流動するごとに取得された流量の積算値を記憶する。
【0043】
出力回路206は、制御装置300から与えられた判定信号を測定により取得された積算値に関する情報として流量センサ1の外部装置(図示せず)に出力する。外部装置は、例えばパーソナルコンピュータまたはプログラマブルロジックコントローラである。この場合、判定信号は外部装置のオン状態およびオフ状態を切り替えるための信号(オンオフ信号)として用いることができる。これにより、流量センサ1を流量スイッチとして用いることができるので、流量センサ1の利便性が向上する。
【0044】
[2]流量の測定方法
図2は、
図1の流量センサ1における流量の算出方法を説明するための第1超音波素子101、第2超音波素子102およびそれらの周辺部材を示す模式的断面図である。
【0045】
図2に示すように、ヘッド部10においては、配管Pの外周面の一部に接触するように固体の弾性カプラントCP1が設けられ、配管Pの外周面の他の部分に接触するように固体の弾性カプラントCP2が設けられる。弾性カプラントCP1,CP2は、固体の高分子ゴムまたは固体のゲル状物質等からなる軟質弾性体材料により形成される。
【0046】
第1ヘッド部11は、超音波を伝達するウェッジ材111を含み、ウェッジ材111が弾性カプラントCP1の外周面に接するように設けられる。第2ヘッド部12は、第1ヘッド部11と同様に、超音波を伝達するウェッジ材111を含み、当該ウェッジ材111が弾性カプラントCP2の外周面に接するように設けられる。ウェッジ材111は、非金属でかつ高い剛性および高い音響透過性を有する材料により形成される。
【0047】
第1ヘッド部11および第2ヘッド部12は、配管Pを挟み込むようにクランプ部材CLにより配管Pに固定される。配管P内を液体が流れることにより、第1超音波素子101と第2超音波素子102との間の超音波の送受信が可能となる。このとき、超音波は、配管Pおよびその内部の液体を配管Pの軸心方向に対して斜めに横切る。
【0048】
図1の制御装置300においては、第1超音波素子101から第2超音波素子102に超音波が送信されるとともに第2超音波素子102から出力される超音波信号が受信回路202へ入力されるように送信回路201が制御される。また、第2超音波素子102から第1超音波素子101に超音波が送信されるとともに第1超音波素子101から出力される超音波信号が受信回路202へ入力されるように送信回路201が制御される。その後、2つの超音波信号に基づいて時間差が算出される。
【0049】
流量の測定前には、流量センサ1には少なくとも配管Pの内径、液体内での超音波の速度、液体への超音波の入射角および流量補正係数が設定される。流量補正係数は、配管Pの断面内で所定の分布を有する液体の速度を平均速度に換算するための係数である。
【0050】
この場合、制御装置300においては、例えば下記式(1)に基づいて配管P内を流れる液体の流量Qが算出される。Δtは本体部20において算出される第1の時間と第2の時間との時間差であり、dは配管Pの内径であり、θは液体中の超音波の入射角であり、Vsは液体中の超音波の速度であり、Kは流量補正係数である。
【0051】
Q=(1/K)・(πdVs
2/8tanθ)・Δt …(1)
[3]流量センサ1における積算流量の測定例
流量センサ1においては、微小周期で配管Pを流れる液体の流量が測定される。以下の説明では、時間軸上の各時点で測定される流量を、瞬間的に測定される流量として瞬時流量と呼ぶ。また、静止状態から流動状態に切り替わった時点から次の静止状態に切り替わる時点までの間に測定された瞬時流量を積算することにより得られる流量を、積算流量と呼ぶ。この場合、積算流量は、すなわち一回の脈動で配管P内を流れる液体の量である。
【0052】
図3は、流量センサ1による瞬時流量および流量積算の具体的な測定例を説明するための図である。
図3の1段目には、流量センサ1により測定される瞬時流量の時間的変化の一例が示される。
図3の2段目には、瞬時流量に基づいて判定される配管P内部の状態が示される。また、
図3の3段目に流量センサ1により測定される積算流量の時間的変化の一例が示される。さらに、
図3の4段目および5段目に、判定信号および吐出信号の一例がそれぞれ示される。吐出信号は、配管P内で液体が間欠的に流動したことを示す信号である。
【0053】
本例では、瞬時流量値および積算流量値は、配管P内を液体が上流から下流に向かって流動することにより正の値をとり、配管P内を液体が下流から上流に向かって流動する(逆流)ことにより負の値をとるものとする。
【0054】
配管P内を液体が間欠的に流動する場合、瞬時流量値は、液体が静止しているときに0またはほぼ0の値を示し、液体が上流から下流に向かって流動しているときに増大する。
【0055】
ここで、本実施の形態に係る流量センサ1においては、配管P内部の状態およびその切り替わりを判定するための流量しきい値thが予め設定される。流量しきい値thは、例えば超音波信号に発生するノイズ等を考慮して設定され、
図1の記憶部205に記憶される。なお、流量しきい値thは、使用者による
図1の操作部203の操作に基づいて設定されてもよいし、流量センサ1の工場出荷時に製造者により設定されてもよい。
【0056】
図1の制御装置300においては、瞬時流量値が流量しきい値th以下であるときに配管P内部が静止状態にあると判定され、瞬時流量値が流量しきい値thよりも大きいときに配管P内部が流動状態にあると判定される。このように、流量しきい値thを用いることにより、配管P内部の状態およびその切り替わりがノイズ等の影響により誤判定されることが防止される。
【0057】
図3の例によれば、瞬時流量値が流量しきい値th以下である時間、すなわち時点t0から時点t1までの時間、時点t2から時点t3までの時間、時点t4から時点t5までの時間および時点t6以降の時間、配管P内部が静止状態にあると判定される。一方、瞬時流量値が流量しきい値thを超えている時間、すなわち時点t1と時点t2との間の時間、時点t3と時点t4との間の時間および時点t5と時点t6との間の時間、配管P内部が流動状態にあると判定される。
【0058】
これにより、静止状態から流動状態への切り替わりおよび流動状態から静止状態への切り替わりが判定される。以下の説明において、配管P内部における静止状態から流動状態への切り替わりを第1の切り替わりと呼び、配管P内部における流動状態から静止状態への切り替わりを第2の切り替わりと呼ぶ。
【0059】
図1の制御装置300においては、第1の切り替わりが判定された時点で瞬時流量の積算が開始され、第2の切り替わりが判定された時点で瞬時流量の積算が停止される。また、第1の切り替わりが判定された時点では、当該時点までに積算された積算流量がリセットされる。
【0060】
図3の例では、第1の切り替わりが判定された時点t1で、瞬時流量の積算が開始される。それにより、時点t1の直後では、積算流量が瞬時流量の立ち上がりに応じて急峻に立ち上がる。その後、第2の切り替わりが判定された時点t2で、瞬時流量の積算が停止される。それにより、時点t2が経過すると次の第1の切り替わりが判定されるまでの間、積算流量値が時点t2で測定された値に維持される。
【0061】
時点t3において次の第1の切り替わりが判定されると、当該時点t3までに測定された積算流量値がリセットされるとともに瞬時流量の積算が開始される。その後、第2の切り替わりが判定された時点t4で、瞬時流量の積算が停止される。時点t4に続く時点t5~t6においては、時点t3~t4における動作と同様に、積算流量値のリセット、瞬時流量の積算の開始および瞬時流量の積算の停止が行われる。
【0062】
ここで、本実施の形態に係る流量センサ1においては、測定された積算流量値が適切であるか否かを判定するための範囲が、予め第1の許容範囲aaとして設定される。第1の許容範囲aaは、下限値a1および上限値a2を含み、例えば配管Pを含むディスペンサの一回当たりの液体の吐出量を考慮して使用者により設定される。
【0063】
図1の制御装置300においては、第2の切り替わりが判定された時点で積算流量値が第1の許容範囲aa内にあるか否かが判定され、次の第1の切り替わりが判定された時点でその判定結果がリセットされる。積算流量値の判定時には、積算流量値が第1の許容範囲aa内にある場合にハイレベルの判定信号が生成され、積算流量値が第1の許容範囲aa内にない場合にローレベルの判定信号が生成される。
【0064】
図3の例では、積算流量値は、時点t2,t4において第1の許容範囲aa内にある。そのため、時点t2~t3の間および時点t4~t5の間、判定信号はハイレベルに維持されている。一方、積算流量値は、時点t6において第1の許容範囲aaの下限値a1よりも小さく、第1の許容範囲aa外にある。そのため、時点t6以降で判定信号はローレベルに維持されている。
【0065】
図1の制御装置300においては、上記の吐出信号が生成される。吐出信号は、第2の切り替わりが判定されることによりその時点から予め定められた一定時間ハイレベルとなり、その後ローレベルとなる。生成された吐出信号を、例えば発光装置の点灯状態および消灯状態を切り替えるための切り替え信号として用いることにより、配管P内部で液体が間欠的に流動したか否かを使用者に容易に提示することが可能になる。
【0066】
[4]第1のチューニング機能
本実施の形態に係る流量センサ1は、使用者が
図3の第1の許容範囲aaを設定する作業を補助する機能として第1のチューニング機能を有する。第1のチューニング機能では、
図1の第1ボタン203aが用いられる。
図4は、第1のチューニング機能を説明するための図である。
図4では、第1の許容範囲aaが設定される際に測定される積算流量の時間的変化の一例が示される。
【0067】
第1のチューニング機能を用いて第1の許容範囲aaの設定を行う場合、使用者は、まず配管P内部が静止状態にあるときに、第1ボタン203aを押下しかつその押下状態を所定時間の間継続する操作(長押し操作)を行う。制御装置300においては、第1ボタン203aの長押し操作が開始されると同時に瞬時流量の積算が開始される。
図4の例では、時点u1で第1ボタン203aの長押し操作が開始されるものとする。時点u1の直後においては、配管P内部が静止状態にあるため積算流量値は0で維持される。
【0068】
続いて、使用者は、第1ボタン203aの押下状態を維持しつつディスペンサを操作することにより、実際の測定時に配管P内を1回当たり流動することになる量の液体を、当該ディスペンサから吐出させる。
図4の例では、時点u2でディスペンサからの液体の吐出が開始され、時点u3でディスペンサからの液体の吐出が終了するものとする。
【0069】
この場合、時点u1~u2の間では、配管P内部が静止状態にあるため積算流量値が0で維持される。その後、時点u2から時点u3にかけて配管P内部が流動状態となることにより、積算流量値が増大する。
【0070】
続いて、使用者は、ディスペンサによる液体の吐出が終了した時点よりも後の時点で、第1ボタン203aの長押し操作を終了する。
図4の例では、時点u4で第1ボタン203aの長押し操作が終了されるものとする。この場合、時点u3~u4の間では、配管P内部が静止状態にあるため、積算流量値は時点u3における値で維持される。
【0071】
上記の一連の動作により、使用者による第1ボタン203aの操作が終了された時点の積算流量値αに基づいて、第1の許容範囲aaが設定される。例えば、積算流量値αを中心として積算流量値αの大きさの数%(例えば、10%)の幅を有するように、下限値a1および上限値a2が決定され、これらの値が
図1の記憶部205に記憶されることにより第1の許容範囲aaが設定される。
【0072】
第1のチューニング機能によれば、使用者は、配管Pを流れる液体の実際の流量に基づいて積算流量値の第1の許容範囲aaを容易に設定することができる。
【0073】
[5]時間総量測定機能
本実施の形態に係る流量センサ1は、使用者により予め設定された設定時間内に配管Pを流れる液体の量の合計を総量として測定する時間総量測定機能を有する。時間総量測定機能による総量の測定時には、
図3の例と同様に、微小周期で瞬時流量が測定され、測定された瞬時流量に基づいて第1の切り替わりおよび第2の切り替わりが判定される。設定時間内に配管Pを流れる液体の総量は、設定時間内に測定される瞬時流量を積算することにより算出される。
【0074】
図5は、時間総量測定機能を説明するための図である。
図5の1段目には、流量センサ1により測定される瞬時流量の時間的変化の一例が示される。
図5の2段目には、瞬時流量に基づいて判定される配管P内部の状態が示される。
図5の3段目には、時間総量測定機能により測定される総量の時間的変化の一例が示される。
【0075】
図5の例では、時点t10から時点t11までの時間、時点t12から時点t3までの時間、時点t14から時点t15までの時間および時点t16以降の時間で瞬時流量値が流量しきい値th以下であり、その他の時間で瞬時流量値が流量しきい値thを超えている。それにより、時点t11,t13,t15で第1の切り替わりが判定され、時点t12,t14,t16で第2の切り替わりが判定される。
【0076】
時間総量測定機能による総量の測定を行う場合、使用者は、まず配管P内部が停止状態にあるときに
図1の第2ボタン203bを押下操作する。この押下操作は、上記の長押し操作ではなく通常の押下操作である。制御装置300においては、第2ボタン203bが押下操作されると同時に瞬時流量の積算が開始される。
図5の例では、時点t10で第2ボタン203bが押下操作されるものとする。時点t10~t11の間では、配管P内部が静止状態にあるため総量は0で維持される。
【0077】
時点t11において第1の切り替わりが判定されると、制御装置300において時間の計測が開始される。具体的には、総量の測定が開始された後第1の切り替わりが最初に判定された時点から設定時間が経過するまでの間の時間が計測される。
【0078】
図5の例では、時点t11~時点t17までの時間が設定時間である。この場合、時点t11~時点t17までの間、瞬時流量の積算が継続され、時点t17で瞬時流量の積算が停止される。それにより、時点t17において測定される総量は、時点t11~t12の間、時点t13~時点t14の間および時点t15~時点t16の間に配管Pを流れた液体の合計となる。このようにして、設定時間の間に配管Pを流れる液体の総量が測定される。測定された総量値は、例えば次の総量の測定開始時にリセットされる。なお、測定された総量値は、総量の測定完了後、予め定められた時間が経過したときにリセットされてもよい。
【0079】
ここで、本実施の形態に係る流量センサ1においては、測定された総量値が適切であるか否かを判定するための範囲が、予め第2の許容範囲bbとして設定される。第2の許容範囲bbは、下限値b1および上限値b2を含み、例えば配管Pを含むディスペンサの設定時間当たりの液体の吐出量の合計を考慮して使用者により設定される。
【0080】
それにより、
図3の例と同様に、総量の測定時においても、測定された総量が第2の許容範囲bb内にあるか否かが判定され、その判定結果を示す判定信号が生成される。さらに、生成された判定信号は、例えば
図1の出力回路206から流量センサ1の外部に出力される。
【0081】
[6]第2のチューニング機能
本実施の形態に係る流量センサ1は、使用者が
図5の第2の許容範囲bbおよび設定時間を設定する作業を補助する機能として第2のチューニング機能を有する。第2のチューニング機能では、
図1の第3ボタン203cが用いられる。
図6は、第2のチューニング機能を説明するための図である。
図6では、第2のチューニング機能により第2の許容範囲bbが設定される際に測定される総量の時間的変化の一例が示される。
【0082】
第2のチューニング機能を用いた第2の許容範囲bbの設定を行う場合、使用者は、まず配管P内部が静止状態にあるときに第3ボタン203cの長押し操作を開始する。制御装置300においては、第1ボタン203aの長押し操作が開始されると同時に瞬時流量の積算が開始される。
図6の例では、時点u10で第3ボタン203cの長押し操作が開始されるものとする。時点u10の直後においては、配管P内部が静止状態にあるため総量値は0となる。
【0083】
続いて、使用者は、第3ボタン203cの押下状態を維持しつつディスペンサを操作することにより、実際の測定時における動作と同様にディスペンサを動作させる。このとき、ディスペンサは、例えば一定周期で間欠的に液体の吐出動作を行うものとする。
図6の例では、時点u11~u12の間、時点u13~u14の間および時点u15~u16の間でディスペンサから液体が吐出されるものとする。それにより、時点u11~u16にかけて間欠的に総量値が増大する。
【0084】
その後、使用者は、所望の時点で、第3ボタン203cの長押し操作を終了する。
図6の例では、時点u17で第3ボタン203cの長押し操作が終了されるものとする。この場合、時点u16~u17の間では、配管P内部が静止状態にあるため、総量値は時点u16における値で維持される。
【0085】
上記の一連の動作により、総量値が最初に立ち上がる時点u11から第3ボタン203cの押下操作が解除される時点u17までの時間が設定時間として設定される。また、使用者による第3ボタン203cの押下操作が解除された時点で測定されている総量値βに基づいて、第2の許容範囲bbが設定される。例えば、当該総量値βを中心として総量値βの大きさの数%(例えば、10%)の幅を有するように、下限値b1および上限値b2が決定され、これらの値が
図1の記憶部205に記憶されることにより第2の許容範囲bbが設定される。
【0086】
第2のチューニング機能によれば、使用者は、配管Pを流れる液体の実際の流量に基づいて総量値の第2の許容範囲bbおよび設定時間を容易に設定することができる。
【0087】
[7]流量センサ1の機能的な構成
図7は、
図1の制御装置300の機能的な構成を示すブロック図である。
図7に示すように、制御装置300は、超音波制御部301、流量測定部302、切り替わり判定部303、積算制御部304、流量積算部305、リセット部306、取得部307、積算値判定部308、許容範囲設定部309、受付部310および表示制御部311を含む。これらの構成要素は、制御装置300のCPUが制御装置300内のメモリまたは記憶部205に記憶された流量測定用プログラムを実行することにより実現される。なお、制御装置300に含まれる上記の複数の構成要素の一部または全てが電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0088】
超音波制御部301は、
図1の第1および第2超音波素子101,102から交互に超音波が送信されるように送信回路201を制御する。流量測定部302は、第1および第2超音波素子101,102から受信回路202を通して与えられる信号処理後の超音波信号、記憶部205に記憶された各種情報および上記の式(1)に基づいて瞬時流量を測定する。
【0089】
切り替わり判定部303は、流量測定部302により測定された瞬時流量と流量しきい値thとに基づいて、静止状態から流動状態への第1の切り替わりを判定する。例えば、切り替わり判定部303は、測定された瞬時流量が流量しきい値th以下の値から流量しきい値thを超えたときに第1の切り替わりを判定する。また、切り替わり判定部303は、流量測定部302により算出された瞬時流量と流量しきい値thとに基づいて、流動状態から静止状態への第2の切り替わりを判定する。例えば、切り替わり判定部303は、測定された瞬時流量が流量しきい値thよりも大きい値から流量しきい値th以下の値となったときに第2の切り替わりを判定する。切り替わり判定部303は、判定結果を積算制御部304に与える。また、切り替わり判定部303は、第2の切り替わりの判定を示す信号を吐出信号として出力回路206に与える。この場合、出力回路206は、与えられた吐出信号を流量センサ1の外部装置に出力する。なお、吐出信号は生成されなくてもよい。
【0090】
流量積算部305は、流量測定部302の測定により得られる瞬間流量値を積算する。積算制御部304は、積算流量値の測定時に、切り替わり判定部303による第1の切り替わりの判定に応答して流量積算部305による瞬時流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりの判定後の第2の切り替わりの判定に応答して瞬時流量の積算を停止させる。また、積算制御部304は、時間総量測定機能による総量値の測定時に、切り替わり判定部303による第1の切り替わりの判定に応答して流量積算部305による瞬時流量の積算を開始させ、当該第1の切り替わりの判定時点から設定時間を経過した時点で瞬時流量の積算を停止させる。なお、積算制御部304はタイマ機能を有する。それにより、積算制御部304は、総量の測定時にタイマ機能を用いて設定時間の計測を行う。
【0091】
取得部307は、積算流量値の測定時に、瞬時流量の積算が開始された時点から当該瞬時流量の積算が停止された時点までの間に積算された瞬時流量の積算値を積算流量値として取得する。また、取得部307は、時間総量測定機能による総量値の測定時に、瞬時流量の積算が開始された時点から予め設定された設定時間を経過した時点までの間に積算された瞬時流量の積算値を総量値として取得する。取得部307は取得した流量積算値または総量値を積算値判定部308および記憶部205に与える。この場合、記憶部205においては、取得部307により取得された流量積算値または総量値が記憶される。
【0092】
リセット部306は、取得部307における流量積算値または総量値の取得に応答して、切り替わり判定部303により次の第1の切り替わりが判定された時点で流量積算部305により積算された積算流量値または総量値をリセットする。なお、リセット部306は、次の第1の切り替わりが判定された時点でリセットを行うことに加えて、流量積算値または総量値が取得された時点から予め定められた時間が経過した時点でリセットを行ってもよい。
【0093】
積算値判定部308は、取得部307により取得された流量積算値が記憶部205に記憶された第1の許容範囲aa内にあるか否かを判定する。または、積算値判定部308は、取得部307により取得された総量値が記憶部205に記憶された第2の許容範囲bb内にあるか否かを判定する。その上で、積算値判定部308は、判定結果を示す判定信号を生成し、生成された判定信号を出力回路206に与える。出力回路206は、積算値判定部308から与えられた判定信号を流量センサ1の外部装置に出力する。
【0094】
ここで、上記の取得部307は取得した流量積算値または総量値を出力回路206に与えてもよく、出力回路206は取得部307から与えられた流量積算値または総量値を示す信号を流量センサ1の外部装置に出力してもよい。この場合、出力されるべき信号の形式およびダイナミックレンジは、使用者による操作部203の操作に基づいて設定可能であってもよい。
【0095】
受付部310は、使用者による
図1の第1ボタン203aの操作に基づいて第1のチューニング機能を用いた第1の許容範囲aaの設定指令を受け付け、第1ボタン203aの操作状態に対応する制御信号を許容範囲設定部309に与える。この場合、許容範囲設定部309は、例えば第1ボタン203aの長押し操作が開始されることにより流量積算部305による瞬時流量の積算を開始させ、当該長押し操作が終了されることにより流量積算部305による瞬時流量の積算を停止させる。その後、許容範囲設定部309は、積算された値に基づいて第1の許容範囲aaを決定し、決定した第1の許容範囲aaを記憶部205に記憶させる。それにより、第1の許容範囲aaが設定される。
【0096】
また、受付部310は、使用者による
図1の第2ボタン203bの操作に基づいて時間総量測定機能による総量測定の指令を受け付ける。この場合、上記のように積算制御部304、流量積算部305および取得部307において総量値を取得するための処理が行われる。
【0097】
さらに、受付部310は、使用者による
図1の第3ボタン203cの操作に基づいて第2のチューニング機能を用いた第2の許容範囲bbおよび設定時間の設定指令を受け付け、第3ボタン203cの操作状態に対応する制御信号を許容範囲設定部309に与える。この場合、許容範囲設定部309は、例えば第3ボタン203cの長押し操作が開始されることにより流量積算部305による瞬時流量の積算を開始させ、当該長押し操作が終了されることにより流量積算部305による瞬時流量の積算を停止させる。さらに、許容範囲設定部309は、第3ボタン203cの操作が開始された時点から当該長押し操作が終了された時点までの間に積算された値に基づいて第2の許容範囲bbを決定し、決定した第2の許容範囲bbを記憶部205に記憶させる。また、許容範囲設定部309は、第3ボタン203cの長押し操作が開始された後第1の切り替わりが判定された時点から当該長押し操作が終了された時点までの時間を設定時間として記憶部205に記憶させる。それにより、第2の許容範囲bbおよび設定時間が設定される。
【0098】
表示制御部311は、記憶部205に記憶された各種情報、取得部307により取得された流量積算値、および取得部307により取得された総量値等を表示部204に表示させる。ここで、表示制御部311は、所定時間前から現在までの間に取得された1または複数の流量積算値の最大値および最小値を表示部204に表示させてもよい。この場合、使用者は、所定時間前から現在までの間に取得された流量積算値の最大値および最小値を容易に認識することができる。
【0099】
[8]積算流量の測定処理
図8は、積算流量の測定時に
図7の各機能部により実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示される処理は、例えば流量センサ1の電源がオンされることにより開始される。下記の処理中には、
図7の超音波制御部301および流量測定部302により、微小周期で瞬時流量が測定されるものとする。また、初期状態で、記憶部205には、第1の許容範囲aaが予め記憶されているものとする。
【0100】
まず、
図7の切り替わり判定部303は、流量測定部302により測定された瞬時流量と流量しきい値thとに基づいて第1の切り替わりを判定する(ステップS10)。第1の切り替わりが判定されない場合、切り替わり判定部303はステップS10の処理を繰り返す。一方、第1の切り替わりが判定された場合、
図7の積算制御部304は、その判定に応答して流量積算部305による瞬時流量の積算を開始させる(ステップS11)。
【0101】
次に、切り替わり判定部303は、流量測定部302により測定された瞬時流量と流量しきい値thとに基づいて第2の切り替わりを判定する(ステップS12)。第2の切り替わりが判定されない場合、切り替わり判定部303はステップS12の処理を繰り返す。一方、第2の切り替わりが判定された場合、積算制御部304は、その判定に応答して流量積算部305による瞬時流量の積算を停止させる(ステップS13)。このとき、切り替わり判定部303は、吐出信号を生成する。
【0102】
次に、
図7の取得部307は、直前のステップS11の処理により瞬時流量の積算が開始された時点から直前のステップS13の処理により瞬時流量の積算が停止された時点までの間に積算された瞬時流量の積算値を積算流量値として取得する(ステップS14)。
【0103】
次に、
図7の積算値判定部308は、直前のステップS14の処理で取得部307により取得された流量積算値が記憶部205に記憶された第1の許容範囲aa内にあるか否かを判定し、判定結果を示す判定信号を生成する(ステップS15)。その後、積算値判定部308および切り替わり判定部303は、生成された判定信号および吐出信号を
図7の出力回路206に与えることにより流量センサ1の外部に出力させる(ステップS16)。
【0104】
次に、
図7の切り替わり判定部303は、ステップS10の処理と同様に、第1の切り替わりを判定する(ステップS17)。第1の切り替わりが判定されない場合、切り替わり判定部303はステップS17の処理を繰り返す。一方、第1の切り替わりが判定された場合、
図7のリセット部306は、ステップS17における第1の切り替わりの判定に応答して流量積算部305により積算された積算流量値をリセットする(ステップS18)。その後、
図7の積算制御部304は、ステップS11の処理に戻る。
【0105】
上記の一連の処理は、例えば流量センサ1の電源がオン状態からオフ状態に切り替わることにより終了する。あるいは、上記の一連の処理は、例えば使用者の操作部203の操作により、時間総量測定機能、第1のチューニング機能、または第2のチューニング機能の使用が指令されることにより終了する。
【0106】
[9]時間総量測定機能による総量の測定処理
図9は、時間総量測定機能による総量の測定時に
図7の各機能部により実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。
図9に示される処理は、例えば
図8の処理の実行中に、
図1の第2ボタン203bが操作されることにより開始される。下記の処理中には、
図7の超音波制御部301および流量測定部302により、微小周期で瞬時流量が測定されるものとする。また、初期状態で、記憶部205には、第2の許容範囲bbおよび設定時間が予め記憶されているものとする。
【0107】
まず、
図7の切り替わり判定部303は、流量測定部302により測定された瞬時流量と流量しきい値thとに基づいて第1の切り替わりを判定する(ステップS20)。第1の切り替わりが判定されない場合、切り替わり判定部303はステップS20の処理を繰り返す。一方、第1の切り替わりが判定された場合、
図7の積算制御部304は、その判定に応答して流量積算部305による瞬時流量の積算を開始させる(ステップS21)。また、積算制御部304は、そのタイマ機能を用いて第1の切り替わりが判定された時点からの時間の計測を開始する(ステップS22)。
【0108】
次に、積算制御部304は、記憶部205に記憶された設定時間と計測されている時間とに基づいて、第1の切り替わりが判定された時点から設定時間が経過したか否かを判定する(ステップS23)。設定時間が経過していない場合、積算制御部304はステップS23の処理を繰り返す。一方、設定時間が経過した場合、積算制御部304は、流量積算部305による瞬時流量の積算を停止させる(ステップS24)。
【0109】
次に、
図7の取得部307は、直前のステップS21の処理により瞬時流量の積算が開始された時点から直前のステップS24の処理により瞬時流量の積算が停止された時点までの間に積算された瞬時流量の積算値を総量値として取得する(ステップS25)。
【0110】
次に、
図7の積算値判定部308は、直前のステップS25の処理で取得部307により取得された総量値が記憶部205に記憶された第2の許容範囲bb内にあるか否かを判定し、判定結果を示す判定信号を生成する(ステップS26)。その後、積算値判定部308は、生成された判定信号を
図7の出力回路206に与えることにより流量センサ1の外部に出力させる(ステップS27)。
【0111】
次に、
図7の切り替わり判定部303は、ステップS20の処理と同様に、第1の切り替わりを判定する(ステップS28)。第1の切り替わりが判定されない場合、切り替わり判定部303はステップS28の処理を繰り返す。一方、第1の切り替わりが判定された場合、
図7のリセット部306は、ステップS28における第1の切り替わりの判定に応答して流量積算部305により積算された総量値をリセットする(ステップS29)。その後、
図7の積算制御部304は、ステップS21の処理に戻る。
【0112】
上記の一連の処理は、例えば流量センサ1の電源がオン状態からオフ状態に切り替わることにより終了する。または、上記の一連の処理は、例えば使用者の操作部203の操作により積算流量値の測定が指令されることにより終了する。あるいは、上記の一連の処理は、例えば使用者の操作部203の操作により、第1のチューニング機能または第2のチューニング機能の使用が指令されることにより終了する。
【0113】
[10]効果
(a)本実施の形態に係る流量センサ1においては、積算流量値の測定時に、第1の切り替わりが判定されることにより瞬時流量の積算が開始され、第2の切り替わりが判定されることにより瞬時流量の積算が停止される。瞬時流量の積算が開始された時点から当該瞬時流量の積算が停止された時点までの間の積算流量値が取得される。取得された積算流量値が第1の許容範囲aa内にあるか否かが判定され、判定結果を示す判定信号が流量センサ1の外部に出力される。積算流量値が取得された時点から次の第1の切り替わりが判定される時点までの間に、積算流量値がリセットされる。
【0114】
これにより、使用者は、配管P内を間欠的に流れる液体が静止状態から流動状態に切り替わるごとに、瞬時流量の積算の開始、瞬時流量の積算の停止および積算流量値のリセットを行うための煩雑な操作を行う必要がない。また、上記の流量センサ1によれば、瞬時流量の積算の開始、瞬時流量の積算の停止および積算流量値のリセットを行うための信号発生器等の構成を別途用意する必要がない。したがって、簡単な構成で配管P内を間欠的に流れる液体の流動ごとの積算流量値を容易に取得することが可能である。
【0115】
(b)本実施の形態に係る流量センサ1においては、時間総量測定機能を用いることにより、設定時間内に配管Pを流れる液体の総量を取得することができる。これにより、例えばディスペンサによる液体の吐出回数を考慮した設定時間が予め設定されることにより、複数回吐出される液体の量の合計を総量として容易に取得することが可能になる。したがって、流量センサ1の利便性が向上する。
【0116】
(c)上記の流量センサ1は、クランプオン式超音波流量センサであるので、既存の配管Pに容易に取り付けることができる。また、クランプオン式超音波流量センサにおいては、配管Pの内部にセンサ等を設ける必要がなく、流量測定用の液体の流路を別途形成する必要もない。そのため、配管P内を流れる液体に圧力損失が発生することが抑制される。したがって、高い粘性を有する液体についても高い精度で積算流量値および総量を取得することができる。
【0117】
[11]他の実施の形態
(a)上記実施の形態に係る流量センサ1においては、時間総量測定機能により設定時間内に配管Pを流れる液体の総量が取得されるが、本発明はこれに限定されない。流量センサ1は、上記の時間総量測定機能に加えて、第1および第2の切り替わりが予め設定された設定回数繰り返して判定される間に配管Pを流れる液体の総量を測定する回数総量測定機能を有してもよい。
【0118】
この場合、
図7の受付部310は、例えば使用者の操作部203の操作に基づいて回数総量測定機能による総量測定の指令を受け付ける。また、
図7の積算制御部304は、受付部310が回数総量測定機能による総量測定の指令を受け付けた場合に、制御装置300内のメモリにカウンタを設定する。さらに、積算制御部304は、切り替わり判定部303による第1の切り替わりの判定に応答して流量積算部305による瞬時流量の積算を開始させるとともに、第1および第2の切り替わりの判定に応答してカウンタの値をインクリメントする。その後、積算制御部304は、カウンタの値が設定回数に到達した場合に、流量積算部305による瞬時流量の積算を停止させる。そこで、
図7の取得部307は、瞬時流量の積算が停止された時点の瞬時流量の積算値を総量値として取得する。
【0119】
リセット部306は、受付部310が回数総量測定機能による総量測定の指令を受け付けた場合に、取得部307における総量値の取得に応答して、切り替わり判定部303により次の第1の切り替わりが判定された時点で総量値をリセットするとともに、積算制御部304により設定されたカウンタの値をリセットする。
【0120】
本例の回数総量測定機能による総量測定時には、上記の回数総量測定機能による総量測定時と同様に、取得される総量に対応する許容範囲が第3の許容範囲として予め設定されているものとする。この場合、積算値判定部308は、取得部307により取得された総量値が記憶部205に記憶された第3の許容範囲内にあるか否かを判定し、判定結果を示す判定信号を生成し、生成された判定信号を出力回路206に与える。出力回路206は、積算値判定部308から与えられた判定信号を測定により取得された総量値に関する情報として流量センサ1の外部装置に出力する。
【0121】
図10は、回数総量測定機能による総量の測定時に
図7の各機能部により実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。
図10に示される処理は、例えば
図8の処理の実行中に、操作部203が操作されることにより開始される。この開始時には、制御装置300内のメモリにカウンタが設定される。また、下記の処理中には、
図7の超音波制御部301および流量測定部302により、微小周期で瞬時流量が測定されるものとする。また、初期状態で、記憶部205には、第3の許容範囲および設定回数が予め記憶されているものとする。
【0122】
まず、
図7の切り替わり判定部303は、流量測定部302により測定された瞬時流量と流量しきい値thとに基づいて第1の切り替わりを判定する(ステップS30)。第1の切り替わりが判定されない場合、切り替わり判定部303はステップS30の処理を繰り返す。一方、第1の切り替わりが判定された場合、
図7の積算制御部304は、その判定に応答して流量積算部305による瞬時流量の積算を開始させる(ステップS31)。
【0123】
次に、切り替わり判定部303は、流量測定部302により測定された瞬時流量と流量しきい値thとに基づいて第2の切り替わりを判定する(ステップS32)。第2の切り替わりが判定されない場合、切り替わり判定部303はステップS32の処理を繰り返す。一方、第2の切り替わりが判定された場合、積算制御部304は、予め設定されたカウンタの値をインクリメントする(ステップS33)。
【0124】
次に、積算制御部304は、カウンタの値が予め設定された設定回数に到達したか否かを判定する(ステップS34)。カウンタの値が設定回数に到達していない場合、切り替わり判定部303は、ステップS32の処理に戻る。一方、カウンタの値が設定回数に到達した場合、積算制御部304は、流量積算部305による瞬時流量の積算を停止させる(ステップS35)。
【0125】
次に、
図7の取得部307は、直前のステップS31の処理により瞬時流量の積算が開始された時点から直前のステップS35の処理により瞬時流量の積算が停止された時点までの間に積算された瞬時流量の積算値を総量値として取得する(ステップS36)。
【0126】
次に、
図7の積算値判定部308は、直前のステップS36の処理で取得部307により取得された総量値が記憶部205に記憶された第3の許容範囲内にあるか否かを判定し、判定結果を示す判定信号を生成する(ステップS37)。その後、積算値判定部308は、生成された判定信号を
図7の出力回路206に与えることにより流量センサ1の外部に出力させる(ステップS38)。
【0127】
次に、
図7の切り替わり判定部303は、ステップS20の処理と同様に、第1の切り替わりを判定する(ステップS39)。第1の切り替わりが判定されない場合、切り替わり判定部303はステップS39の処理を繰り返す。一方、第1の切り替わりが判定された場合、
図7のリセット部306は、ステップS39における第1の切り替わりの判定に応答して流量積算部305により積算された総量値およびカウンタの値をリセットする(ステップS40)。その後、
図7の積算制御部304は、ステップS31の処理に戻る。
【0128】
上記の一連の処理は、例えば流量センサ1の電源がオン状態からオフ状態に切り替わることにより終了する。または、上記の一連の処理は、例えば使用者の操作部203の操作により積算流量値の測定が指令されることにより終了する。あるいは、上記の一連の処理は、例えば使用者の操作部203の操作により、時間総量測定機能、第1のチューニング機能または第2のチューニング機能の使用が指令されることにより終了する。
【0129】
回数総量測定機能によれば、設定回数間欠的に配管Pを流れる液体の総量を取得することができる。これにより、例えばディスペンサにより設定回数分吐出される液体の総量を容易に取得することが可能になる。したがって、流量センサ1の利便性が向上する。
【0130】
なお、流量センサ1に上記の回数総量測定機能が設けられる場合には、第3の許容範囲は、第1および第2のチューニング機能による第1および第2の許容範囲aa,bbの設定の例と同様に、設定回数間欠的に配管Pを流れる液体の実際の総量に基づいて設定されてもよい。
【0131】
(b)上記実施の形態に係る流量センサ1においては、第1および第2の切り替わりを判定するために1つの流量しきい値thが予め設定されるが、本発明はこれに限定されない。流量センサ1においては、第1および第2の切り替わりをそれぞれ判定するための互いに異なる2つの流量しきい値が予め設定されてもよい。互いに異なる2つの流量しきい値は、例えば流量測定部302により測定される瞬時流量のヒステリシスを考慮して設定される。
【0132】
ここで、第1の切り替わりを判定するための流量しきい値を第1の流量しきい値とし、第2の切り替わりを判定するための流量しきい値を第2の流量しきい値とする。この場合、
図7の切り替わり判定部303は、測定された瞬時流量が第1の流量しきい値以下の値から当該第1の流量しきい値を超えたときに第1の切り替わりを判定する。また、切り替わり判定部303は、測定された瞬時流量が第2の流量しきい値よりも大きい値から当該第2の流量しきい値以下の値となったときに第2の切り替わりを判定する。
【0133】
(c)
図11は、流量センサ1により測定される瞬時流量の時間的変化の一例を示す図である。
図11の例では、配管P内を液体が間欠的に流動することにより、時点t21で瞬時流量値が流量しきい値th以下の値から流量しきい値thを超え、時点t22で瞬時流量値が流量しきい値thよりも高い値から流量しきい値th以下となっている。それにより、時点t21で第1の切り替わりが判定され、時点t22で第2の切り替わりが判定される。
【0134】
第2の切り替わりの判定直後は、ディスペンサの動作特性等により配管P内の液体の流動状態が不安定になる可能性がある。
図11の例では、時点t22の直後に瞬時流量が比較的大きく変動することにより、時点t23で瞬時流量が流量しきい値thを超えている。そのため、流量積算の測定時には、時点t23で第1の切り替わりが判定されることにより、使用者が意図しないタイミングで流量積算値がリセットされることになる。
【0135】
そこで、流量センサ1においては、例えば積算流量の測定時に、第2の切り替わりが判定された時点から一定時間の間第1の切り替わりの判定が無効とされてもよい。
図12は、他の実施の形態に係る制御装置300の機能的な構成を示すブロック図である。
図12に示すように、本例の制御装置300は、
図7の構成に加えて判定無効部312をさらに備える。
【0136】
判定無効部312は、切り替わり判定部303により第2の切り替わりが判定された時点(
図11の時点t22)から予め定められた一定時間(
図11の白抜きの矢印参照)の間、切り替わり判定部303による判定を無効とする。以下、判定を無効とするために予め定められる一定時間を無効時間と呼ぶ。この場合、第2の切り替わりが判定された時点の直後に、上記のようなオーバーシュートが発生することにより第1の切り替わりが判定される場合に、当該判定が無効となる。それにより、意図しないタイミングで積算流量値がリセットされることが防止される。
【0137】
無効時間の長さは、第2の切り替わりが判定された時点からオーバーシュートが発生すると想定される期間をカバーするように設定されることが好ましい。なお、無効時間は、使用者による
図1の操作部203の操作に基づいて設定されてもよいし、流量センサ1の工場出荷時に製造者により設定されてもよい。また、判定無効部312は、使用者による操作部203の操作に基づいて、無効時間中切り替わり判定部303による判定を無効にする作動状態と、無効時間中切り替わり判定部303による判定を無効にしない非作動状態とに切り替え可能に構成されてもよい。
【0138】
(d)上記実施の形態に係る流量センサ1においては、積算流量の測定時に、第1の切り替わりが判定された時点で瞬時流量の積算が開始され、第2の切り替わりが判定された時点で瞬時流量の積算が停止されるが、本発明はこれに限定されない。瞬時流量の積算の停止は、第2の切り替わりが判定された時点から一定時間経過後に行われてもよい。
【0139】
この場合、例えば第2の切り替わりが判定された時点から一定時間が経過するまでの間に配管P内の液体が逆流する場合でも、その逆流した液体の瞬時流量が負の値として積算される。それにより、配管P内を間欠的に流れる液体の流動ごとの積算流量値をより正確に測定することができる。
【0140】
(e)上記実施の形態に係る流量センサ1においては、積算流量値が第1の許容範囲aa内にあるか否かを示す判定信号が出力され、設定時間内に配管Pを流れる液体の総量値が第2の許容範囲bb内にあるか否かを示す判定信号が出力されるが、本発明はこれらの例に限定されない。
【0141】
流量センサ1においては、瞬時流量が測定されるごとに測定された瞬時流量が予め定められた瞬時流量用の判定しきい値を超えたか否かを示す判定信号が出力されてもよい。
【0142】
この場合、瞬時流量用の判定しきい値は、次のように設定されてもよい。例えば、配管P内を液体が連続的または間欠的に流れるとともに微小周期で瞬時流量が測定される状態で、使用者により操作部203の特定のボタンが長押し操作される。そこで、特定のボタンが押下されている間に測定された複数の瞬時流量値から最大の瞬時流量値を抽出し、抽出した瞬時流量値に対して所定の割合(例えば90%)を有するように瞬時流量用の判定しきい値を設定する。
【0143】
あるいは、瞬時流量用の判定しきい値は、次のように設定されてもよい。例えば、配管P内で液体が静止するとともに微小周期で瞬時流量が測定される状態で、使用者により操作部203の特定のボタンが操作される。そこで、特定のボタンが操作されたときに測定された瞬時流量値を静止値として取得する。また、配管P内で液体が連続的に流動するとともに微小周期で瞬時流量が測定される状態で、使用者により操作部203の特定のボタンが操作される。そこで、特定のボタンが操作されたときに測定された瞬時流量値を流動値として取得する。取得された静止値および流動値の間の値を瞬時流量用の判定しきい値として設定する。
【0144】
(f)配管P内を流れる液体の実際の瞬時流量値が既知である場合には、流量センサ1は、使用者の操作に基づいて配管P内を実際に流れる液体の瞬時流量を測定し、その測定により得られる瞬時流量値が既知の値となるように上記の式(1)を校正する校正機能を有してもよい。
【0145】
(g)上記実施の形態の形態に係る流量センサ1は、配管Pに流れる液体の瞬時流量を測定するが、本発明はこれに限定されない。上記の流量センサ1は、配管Pに流れる流体の流量を測定可能に構成されていればよい。したがって、流量センサ1は、配管Pを流れる気体の流量を測定可能に構成されてもよい。この場合、流量センサ1は、例えば配管Pを流れる気体の流量を瞬時流量として取得し、設定時間内に配管Pを流れる気体の総量を取得してもよい。
【0146】
(h)上記実施の形態に係る流量センサ1は、配管P内の液体に超音波を入射することにより流量を測定するクランプオン式超音波流量センサであるが、本発明はこれに限定されない。上記の流量センサ1のうち、
図1のヘッド部10、
図7の送信回路201、
図7の受信回路202、
図7の超音波制御部301および
図7の流量測定部302の構成に代えて、コリオリ式流量計、電磁式流量計、熱式流量計または羽根車式流量計等の他の測定原理を用いた流量測定装置を用いることもできる。
【0147】
[12]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0148】
上記実施の形態においては、配管Pが配管の例であり、流量センサ1が流量計の例であり、ヘッド部10、送信回路201、受信回路202、超音波制御部301および流量測定部302が流量測定部の例であり、切り替わり判定部303が切り替わり判定部の例であり、流量積算部305が流量積算部の例であり、積算制御部304が積算制御部の例であり、取得部307が取得部の例であり、出力回路206が出力部の例であり、リセット部306がリセット部の例である。
【0149】
また、流量しきい値thが第1の流量しきい値および第2の流量しきい値の例であり、第1の許容範囲aaが積算値の許容範囲の例であり、許容範囲設定部309が第1および第2の許容範囲設定部の例であり、積算値判定部308が第1および第2の積算値判定部の例であり、第1ボタン203aが第1の操作部の例であり、第2ボタン203bおよび受付部310が第1の受付部の例であり、第2の許容範囲bbが総量値の許容範囲の例である。
【0150】
また、時間総量測定機能による総量測定の指令が第1の総量取得指令の例であり、第3ボタン203cが第2の操作部の例であり、回数総量測定機能による総量測定の指令が第2の総量取得指令の例であり、操作部203および受付部310が第2の受付部の例である。
【0151】
また、表示部204が表示部の例であり、記憶部205が記憶部の例であり、表示制御部311が表示制御部の例であり、第1および第2超音波素子101,102が一対の超音波素子の例であり、クランプ部材CLがクランプ部材の例であり、判定無効部312が判定無効部の例である。
【0152】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【符号の説明】
【0153】
1…流量センサ,10…ヘッド部,11…第1ヘッド部,12…第2ヘッド部,20…本体部,101…第1超音波素子,102…第2超音波素子,111…ウェッジ材,201…送信回路,202…受信回路,203…操作部,203a…第1ボタン,203b…第2ボタン,203c…第3ボタン,204…表示部,205…記憶部,206…出力回路,300…制御装置,301…超音波制御部,302…流量測定部,303…判定部,304…積算制御部,305…流量積算部,306…リセット部,307…取得部,308…積算値判定部,309…許容範囲設定部,310…受付部,311…表示制御部,312…判定無効部,CL…クランプ部材,CP1,CP2…弾性カプラント,P…配管