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特許7041629表面再建用骨頭インプラントのためのホルダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】表面再建用骨頭インプラントのためのホルダ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/46 20060101AFI20220316BHJP
   A61F 2/36 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
A61F2/46
A61F2/36
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2018543463
(86)(22)【出願日】2016-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-08
(86)【国際出願番号】 GB2016053476
(87)【国際公開番号】W WO2017077342
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-11-01
(31)【優先権主張番号】1519629.8
(32)【優先日】2015-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518158994
【氏名又は名称】エンボディ オーソピーディック リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EMBODY ORTHOPAEDIC LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウォズンクロフト
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】西独国実用新案公開第07601139(DE,U)
【文献】特表2007-516789(JP,A)
【文献】特表2010-528681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0209597(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/46
A61F 2/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み装置用のホルダシステムであって、前記ホルダシステムは、クランプ部として機能するように構成されている第1構成要素を備え、前記第1構成要素は、
作動部分と、
顎部分と、
ヒンジ領域と、を有し、前記作動部分及び前記顎部分はヒンジ領域のいずれか一方の側に配置されており、これにより、前記作動部分が圧縮されると前記顎部分が拡張し、前記作動部分が緩和されると前記顎部分が閉鎖し、
前記第1構成要素はまた、当該第1構成要素内に、前記作動部分と前記顎部分との間の、該第1構成要素の壁によって規定されたキャビティを有し、前記作動部分は、当該作動部分を介して前記キャビティへのアクセスを可能にするよう配置されているホルダシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のホルダシステムであって、前記作動部分及び前記顎部分のそれぞれが、ヒンジ部周りに配置された、互いに対向するアームを有するホルダシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のホルダシステムであって、前記作動部分は、互いに対向する少なくとも2個のアームを有するホルダシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のホルダシステムであって、前記作動部分の前記アームは、ほぼ同一の長さを有するホルダシステム。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のホルダシステムであって、前記顎部分は、互いに対向する少なくとも2個のアームを有するホルダシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のホルダシステムであって、前記顎部分の前記アームは、特定患者の骨に正確に適合するよう術前に規定され、これにより、術前計画に従って前記ホルダを方向付けるホルダシステム。
【請求項7】
請求項5に記載のホルダシステムであって、前記顎部分の前記アームは、特定患者に対する適合性を有することなく、大腿骨頸部における特定の寸法範囲にほぼ適合するよう規定されているホルダシステム。
【請求項8】
請求項5~7の何れか一項に記載のホルダシステムであって、前記顎部分の前記アームが、略同一の長さを有するホルダシステム。
【請求項9】
請求項5~7の何れか一項に記載のホルダシステムであって、前記顎部分の前記アームは、異なる長さを有するホルダシステム。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載のホルダシステムであって、前記第1構成要素は、当該第1構成要素の内部を延在する略円筒形の孔を規定し、該円筒形の孔は、前記顎部分において、前記ホルダの円筒形部分によって延長され、前記ホルダが配置される骨に対して延長された整列を提供するホルダシステム。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載のホルダシステムであって、前記顎部分が、少なくとも1つの把持部を有するホルダシステム。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載のホルダシステムであって、前記第1構成要素の前記作動部分は、略円筒形の輪郭を規定するホルダシステム。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載のホルダシステムであって、前記第1構成要素は、前記作動部分と前記顎部分との間にバルーン状の輪郭を有する部分を更に有するホルダシステム。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載のホルダシステムであって、前記顎部分は、前記キャビティの遠位端部(顎部分端部)に内部レッジを有し、該レッジが、前記埋め込み装置のエッジに接触するように配置されることにより、前記埋め込み装置が前記キャビティ内で保持されており、
前記レッジは、前記埋め込み装置のエッジに存在する、任意の輪郭に正確に嵌合するように輪郭付けされているホルダシステム。
【請求項15】
請求項1~14の何れか一項に記載のホルダシステムであって、第2構成要素が設けられ、前記第2構成要素は、前記第1構成要素がアンクランプとすることを防止するホルダシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のホルダシステムであって、前記第2構成要素が、前記作動部分と相互作用するホルダシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のホルダシステムであって、前記作動部分及び前記第2構成要素は、互いに取り付けられるための相補的な手段を有するホルダシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のホルダシステムであって、前記第2構成要素は、ねじを介して、前記第1構成要素上に挿入されると共に締結されるロックカラーであり、前記顎部分の拡張を防止すると共に、前記顎部分のクランプ力を増加させるホルダシステム。
【請求項19】
請求項17に記載のホルダシステムであって、前記第2構成要素は、バヨネット嵌合又は圧入により、前記第1構成要素上に挿入されると共に締結されるロックカラーであり、前記顎部分の拡張を防止すると共に前記顎部分のクランプ力を増加させるホルダシステム。
【請求項20】
請求項15~19の何れか一項に記載のホルダシステムであって、前記第2構成要素は、より前記作動部分の拡張又は圧縮を防止するため、前記作動部分の両側と相互作用するように構成されているホルダシステム。
【請求項21】
請求項15~17の何れか一項に記載のホルダシステムであって、前記第2構成要素は、軸を有し、前記第2構成要素は、前記第1構成要素に固定されると、前記軸は、前記第1構成要素内のキャビティに向けて延在するホルダシステム。
【請求項22】
請求項21に記載のホルダシステムであって、前記埋め込み装置が前記第1構成要素の前記キャビティ内に保持されている場合に、前記第2構成要素が前記第1構成要素に固定されると、前記第2構成要素の前記軸は、前記埋め込み装置上に押圧されるホルダシステム。
【請求項23】
請求項15~22の何れか一項に記載のホルダシステムであって、前記第2構成要素は、嵌入ロッド用の受け口を更に有しており、
骨頭インプラントを位置決めすると共に所定位置で嵌入させるために、別箇の嵌入ロッドが前記第2構成要素に組み付けられており、
前記受け口は、前記嵌入ロッドの回転を防止する割り出し手段を更に有するホルダシステム。
【請求項24】
請求項15~23の何れか一項に記載のホルダシステムであって、前記第1構成要素及び/又は前記第2構成要素は、ナイロン等のプラスチックで製造されるホルダシステム。
【請求項25】
請求項23に記載のホルダシステムであって、前記嵌入ロッドは、アルミニウム合金又はステンレス鋼等の金属で製造されるホルダシステム。
【請求項26】
請求項15~23の何れか一項に記載のホルダシステムであって、前記第1構成要素及び前記第2構成要素は、選択的レーザ焼結法等の付加製造法で製造されるホルダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面再建用骨頭インプラントのためのホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
股関節表面再建術の間、大腿骨頭は、回転カッター、場合によっては鋸で平坦に整形されるため、表面再建用骨頭インプラントの内側輪郭は大腿骨に正確にフィットする。表面再建用骨頭インプラントは、セメントで固定されるか、又は(セメントフリーで)多孔質コーティングが施される場合がある。何れの場合も、外科医は、予め成形された大腿骨上に骨頭インプラントを強制的に嵌入させる必要がある。多孔質コーティングが施された、セメントフリーのインプラントの場合、骨は若干大きく機械加工されるため、僅かな締まり嵌め固定により、当該骨に対する前記インプラントの、初期的な安定性が得られる。骨頭インプラントの内径と骨との間の円筒形係合部分が比較的短いため、表面再建用骨頭インプラントは通常、中央ポストを含み、当該中央ポストが、大腿骨頭の中央部に予め穿孔された孔内に差し込まれると共に、当該インプラントを骨上でガイドする。セメントで固定されたインプラントの場合、前記中央ポストには、低粘度の骨セメントが髄内骨管に流入するという望ましくない現象を防止する機能もある。インプラントの移植が一旦完了すると、前記中央ポストは一般的に、負荷を伝えたり又は他の機能を発揮したりする必要はないとされている。また、整形外科医及びバイオメカニカルエンジニアの間では、特により小型の表面再建用骨頭インプラントの場合、中央ポストを収容するために骨が過度に除去され、従って骨の弱体化につながるという懸念が高まっている。更に、大きなポストは、ある程度負荷を担って応力遮蔽を生じ、骨損失のみならず、場合によってはインプラントの損傷が引き起こされる。従って、次世代の非金属インプラント(ジルコニア強化アルミナセラミック(ZTA)で製造されたインプラントを含む)に関しては、前記中央ポストのサイズを縮小するか、又は完全に除去することが望ましい。しかしながら、この場合、残存している短いステムに対して骨頭インプラントを初期的に整列させる問題、及び/又は、骨頭インプラントの内孔と成形済みの骨との間における短い円筒形係合部分の問題が懸念される。骨頭インプラントの強制的な嵌入時に骨頭インプラントが整列状態から逸脱し始めると、骨上にて不正確な角度で固定される可能性があり、更に前進させるか又は取り外すことが困難になることが判明している。更に、骨頭インプラントの支持面は、強制的な嵌入時に損傷する可能性があり、これにより支持面の性能に影響を及ぼす小さな引っかき傷が生じる。
【発明の概要】
【0003】
上述した問題を解決するため、本発明は、表面再建用骨頭インプラントのためのホルダであって、前記インプラントを確実に把持すると共に、内筒部の長さを延ばすことにより、骨に嵌合させている間、付加的な整列を与える、表面再建用骨頭インプラントのためのホルダを提供する。更に、本発明に係るホルダは、支持面を包み込んで、強制的な嵌入時に、当該支持面を保護する。
【0004】
上記においては、本発明に係るシステムは、ホルダシステムと称されている。しかしながら、本発明に係るシステムは、埋め込み装置を保持するために使用され、前記装置を大腿骨に対して正しい方向にガイドするので、前記システムは適切には、ガイドシステムとして分類することができる。
【0005】
本発明は、埋め込み装置用のホルダシステムを提供し、当該ホルダシステムは、クランプ部として機能するように構成された第1構成要素と、前記第1構成要素にクランプされたときに、前記第1構成要素と相互作用することにより、当該第1構成要素の動きを防止する第2構成要素とを備える。
【0006】
更に、本発明は、埋め込み装置用のホルダシステムを提供し、当該ホルダシステムは、クランプ部として機能するように構成されていると共に、作動部分及び顎部分を有する第1構成要素を備え、前記作動部分及び前記顎部分はヒンジ領域のいずれか一方の側に配置されており、前記第1構成要素内に、前記第1構成要素の壁によって前記作動部分と前記顎部分との間に規定されたキャビティがあり、 前記作動部分は、当該作動部分を介して前記キャビティへのアクセスを可能にするように配置されている。
【0007】
前記第1構成要素は、基本的に、作動部分及び顎部分を有する。 前記作動部分及び前記顎部分のそれぞれは、洗濯挟みと同様の構成で、ヒンジ部周りに配置された、互いに対向するアームを有する 。
【0008】
前記作動部分及び前記顎部分のそれぞれは、好適には、互いに対向する少なくとも2個のアームを有し、場合により、互いに対向する2個、3個、4個、5個又は6個のアームを有する。 前記作動部分及び前記顎部分におけるアームの個数は、同一である必要はない。
【0009】
本発明の特定の態様において、前記作動部分の前記アームは、ほぼ同一の長さを有する。 この点は、本発明に係るホルダシステムが第2構成要素を備え、その第2構成要素が前記作動部分に固定される場合に有利である。
【0010】
前記作動部分は、好適には、略円筒形の輪郭を有する。 言うまでもなく、前記円筒形の輪郭は、完全な円筒形に形成されていなくてもよい。その代りに、前記作動部分の前記壁は、前記作動部分を構成する前記アーム間に複数のギャップを有することができる。これは、前記第1構成要素の前記顎部分を作動させるために、前記作動部分における、前記対向するアームの圧縮及び拡張を可能にするので有利である。この場合、円筒形とは、略円筒形の端点までアームの壁が延長すると仮定した場合に、略円筒形の輪郭が得られることを意味する。
【0011】
本発明に係るホルダシステムは、第1構成要を備え、前記第1構成要素は、当該第1構成要素の内部を延在する略円筒形の孔を規定する。前記円筒形の孔は、前記顎部分において、前記ホルダの円筒形部分によって延長され、場合により、前記延長部分の寸法とほぼ対応し、ホルダが配置される骨(例えば、予め機械加工された大腿骨)に対して延長された整列を提供する 。このように、前記第1構成要素の前記顎部分が延長されることによって、大腿骨頭に対する前記インプラントのより正確な整列が可能であり、特に、埋め込み装置の中央ポストが短いか又は存在しない場合、より正確な整列が可能である。
【0012】
以下に、より詳細に説明するように、前記作動部分及び前記顎部分は一般的に、ヒンジ領域のいずれか一方の側に配置され、これにより、前記作動部分が圧縮されると前記顎部分が拡張し、前記作動部分が緩和されると前記顎部分が閉鎖する。
【0013】
ホルダシステムの好適な使用において、第1構成要素は、埋め込み装置上に嵌合する必要がある。特定の実施形態において、埋め込み装置は、基本的に部分球面を有する股関節表面再建用インプラントとして構成される。この嵌合は、前記顎部分を拡張することにより部分的に達成され、前記埋め込み装置が第1構成要素内の前記キャビティを通過したとき、前記顎部分の前記アームは、前記埋め込み装置に嵌合し、その後、解放される。この目的を達成するため、前記ホルダは、前記埋め込み装置を収容するために、前記第1構成要素内にキャビティを規定するように構成される。こうしたキャビティは、典型的には、前記作動部分及び前記顎部分の壁によって規定される。前記キャビティは、好適には、前記作動部分と前記顎部分との間に位置し、場合により、前記ヒンジの領域に位置している。前記キャビティは、基本的に、前記第1構成要素の残部よりも大きな輪郭を有し、当該輪郭は、埋め込み装置のボール状構造を示す。場合により、前記キャビティは、バルーン(拡張)状の輪郭を有し、場合により、これは適度に/ほぼ球状である。
【0014】
本発明の好適な態様において、前記顎部分は、少なくとも1つの把持部 を有し、場合により、前記顎部分は、把持すべき対象物との摩擦力を増加させる輪郭を有する。 この把持部は、前記顎部分の内面におけるレッジを規定する。こうしたレッジは、典型的には、前記キャビティの遠位端部(顎部分端部)に位置すると共に、埋め込み装置のエッジに接触するように配置されることにより、前記埋め込み装置がキャビティ内で保持される。
【0015】
前記埋め込み装置が任意かつ特定の輪郭を有する場合、前記顎部分の前記レッジは、好適には、前記埋め込み装置の前記エッジに存在する、任意の輪郭に正確に嵌合するように輪郭付けされる。
【0016】
特定の構成において、前記埋め込み装置の前記エッジ及び前記顎部分の前記合わせ内部レッジのいずれも、対応する内向き傾斜角を有し、当該傾斜角は、前記第2構成要素が締結されるに伴い、アセンブリ全体の把持力、安全性、並びに剛性を高めるように機能する。
【0017】
確実な固定状態を提供するため、前記ホルダシステムの好適な実施形態においては、第2構成要素が設けられ、当該第2構成要素は、前記第1構成要素がアンクランプとなることを防止する。 基本的に、これは、前記作動部分と相互作用する前記第2構成要素によって達成される 。
【0018】
基本的に、この相互作用は、前記作動部分及び前記第2構成要素が互いに取り付けられるための相補的な手段、例えば、ねじ又はバヨネット嵌合部を有することにより達成される。
【0019】
好適には、前記第2構成要素は、前記作動部分の拡張又は圧縮を防止するため、前記作動部分の両側と相互作用するように構成されている 。
【0020】
本発明の好適な実施形態において、前記第2構成要素は、軸を有し、前記第2構成要素は、前記第1構成要素に固定されると、前記軸は、前記第1構成要素内の前記キャビティに向けて延在する 。前記埋め込み装置が前記第1構成要素のキャビティ内に保持されている場合に、前記第2構成要素が前記第1構成要素に固定されると、前記第2構成要素の前記軸は、前記埋め込み装置上に押圧される。 前記第2構成要素の前記軸からの押圧が、前記埋め込み装置のエッジ又はリムを、前記第1構成要素における前記顎部分上の前記レッジに対して押圧し、これにより、前記埋め込み装置に対する、堅固な圧縮把持が形成され、使用時における、前記埋め込み装置の動きを防止する。前記顎部分の前記レッジが、前記埋め込み装置における前記エッジの輪郭に対応するように輪郭付けされる場合、言うまでもなく、前記埋め込み装置が前記キャビティ内で整列される方法は比較的少数、好適には、1つだけである。従って、このように、前記埋め込み装置を前記ホルダ内で堅固かつ安全に整列するための方法を提供され、前記埋め込み装置の更なる取り付けが正確に行われる。
【0021】
前記埋め込み装置の取り付けに際して、典型的には、外科医はインプラントに力を伝達する必要がある。これは、別箇の嵌入シャフトによって行われるのが好適である。これに関して、前記第2構成要素は、前記嵌入シャフト用の受け口を更に有する。前記受け口は、前記第2構成要素のシャフトとは反対側に配置される。前記受け口は、前記シャフトの軸線又はシャフト軸線の一部を形成することができる。前記受け口は、前記嵌入シャフトの回転を防止するための割り出し手段を有することもできる。
【0022】
幾つかの構成において、骨頭インプラントを所定位置、例えば、予め成形された大腿骨頭上に、位置決めすると共に嵌入させるために、前記衝突シャフトは、前記第2構成要素に組み付けられる。
【0023】
前記第1構成要素は、プラスチック材料(例えばナイロン)で構成することができる。このような材料は、ヒンジ領域にある程度の弾性を付与するため、ヒンジ領域が作動(操作)状態と緩和状態との間で屈曲可能となり有利である。特定の実施形態において、前記第1構成要素は、付加製造法、例えば、選択的レーザ焼結法(SLS)で製造される。同様に、前記第2構成要素も、前記第1構成要素と同一材料及び同一方法で製造することができる。
【0024】
前記嵌入シャフトは、任意の適切で強固な金属で製造することができる。幾つかの態様において、前記シャフトは、金属(例えば、アルミニウム合金又はステンレス鋼)で製造される。
【0025】
また、本発明は、本明細書に記載のホルダシステムにおける第1構成要素及び/又は第2構成要素を、3Dプリンタに印刷させる、コンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体を提供する。
【0026】
更に、本発明は、埋め込み装置を保持するための方法を提供し、当該方法は、ホルダシステムの使用を含み、当該ホルダシステムは、クランプ部として機能する第1構成要素を備え、当該第1構成要素は、作動部分及び顎部分を有し、前記作動部分及び前記顎部分はヒンジ領域のいずれか一方側に配置され、前記第1構成要素内には、当該第1構成要素の壁によって前記作動部分と前記顎部分との間に規定されたキャビティがあり、前記作動部分は、当該作動部分を介して前記キャビティへのアクセスを可能にするように配置され、前記埋め込み装置は、前記キャビティ内に位置するように前記第1構成要素内に挿入され、前記ホルダシステムは、前記第1構成要素の前記作動部分に取り付けられた第2構成要素を更に備え、当該第2構成要素は、前記第1構成要素上に締結されるように配置され、これにより、前記埋め込み装置が前記顎部分によってキャビティ内で堅固に把持される。
【0027】
上述したように、埋め込み装置及び前記顎部分の把持部は、場合により、前記埋め込み装置が前記キャビティ内で正確に整列するように、相補的な輪郭を有する。
【0028】
使用中、前記ホルダシステムが対象の骨(例えば大腿骨)上に配置されて当該骨に押し込まれることにより、前記埋め込み装置が前記骨と相互作用する。ホルダシステムが骨上に配置される前又は配置された後に、嵌入シャフトが第2構成要素に取り付けられる。その後、前記第2構成要素に対して、場合により、嵌入シャフトで衝撃を加えることにより、前記埋め込み装置が所定位置に確実に固定される。
【0029】
前記埋め込み装置が適切に配置されると共に固定されると、前記第2構成要素は、前記第1構成要素から取り外され、また、前記第1構成要素が前記埋め込み装置から取り外される。前記第1構成要素の取り外しは、前記作動部分の前記アームが圧縮されることで補助され、これにより、顎領域のアームが拡張する。従って前記把持部が前記埋め込み装置から分離し、その後、前記第1構成要素が前記埋め込み装置から取り外し可能となる。
【0030】
前記ホルダは、弾性ヒンジ部を備え、当該弾性ヒンジ部は、前記骨頭インプラント上で拡張可能であると共に骨頭インプラント上に嵌入可能である。前記ホルダは、略球形の形状であり、強制的な嵌入時に前記骨頭インプラントを包み込んで、当該骨頭インプラントを保護する。前記ホルダは、前記骨頭インプラントのリムに正確に嵌入する内部リムを備える。別箇のロックカラーは、好適にはねじを介して、挿入されると共に締結される。前記ロックカラーは、前記骨頭インプラント上で締め付けられる、凹端部を備えた短い軸を有する。前記骨頭インプラントのリムは、内向き傾斜角を有するため、前記ロックカラーが締結されると、骨頭インプラントが前記リムと前記球形支持面の上部との間で堅固に把持される。前記ホルダは、組み付けられると共に締結されると、剛性が非常に高まる。更に、前記ホルダは、極めて正確に製造された骨頭インプラントの支持面直径に対して堅固に引っ張られるため、円筒形延長部は、前記支持面の精度を採用し、前記インプラント内径に対して正確かつ強固な円筒形延長部となる。前記ロックカラーは、操作及び強制的な嵌入のため、別箇の金属シャフトを収容する係合機構を有する。
【0031】
前記骨頭インプラントが最終的に大腿骨上に嵌入されると、前記シャフト及び前記ロックカラーが取り外され、その結果、前記ホルダのヒンジ部は自由に屈曲可能となり、また、前記ホルダは、前記骨頭インプラントを覆うように拡張させて当該骨頭インプラントを取り外すことができる。この取り外し工程の間、前記骨頭インプラントに作用する力はなく、大腿骨上に対する嵌入を損う可能性がある。前記ホルダ及び前記ロックカラーは、プラスチック材料(例えばナイロン)で製造され、硬い支持面に損傷を与えることはない。前記ホルダ及び前記ロックカラーは、好適には、付加的な製造法、例えば、選択的レーザ焼結法(SLS)により、プラスチック(例えば、ナイロン)で製造される。操作及び嵌入用のシャフトは、好適には、金属(例えば、アルミニウム合金又はステンレス鋼)で製造される。前記シャフトの接続部は、好適には、前記ロックカラー内に僅かに圧入されるため、前記シャフト及び前記ロックカラーは、一度組み付けられた後、共に固定された状態を維持する。代替的に、使用者による解除を必要とする可逆的スナップフィット又はスナップフィットを採用してもよい。更に、係合部は、組み付けられた前記ホルダと前記シャフトとの間の回転を防止する。前記シャフトに加えて、患者固有の骨頭インプラント整列ガイド部を使用し、術前の骨スキャン及び所定の計画に従って、前記骨頭インプラントを大腿骨上に配置することができる。前記シャフトの反対側端部は、回転割り出し機構も有するため、前記整列ガイド部により、前記骨頭インプラントを、大腿骨上の、計画された回転方向に方向付けることができる。骨頭インプラントの更なる嵌入が必要な場合、前記ホルダを前記骨頭インプラント上に再度組み付ける必要なく、前記シャフトが挿入された前記ロックカラーを個別に使用することができる。
【0032】
本発明の更なる特徴は、前記ホルダ上の延長された円筒部が、前記骨頭インプラントの非対称的な輪郭形状に適合するよう形作られ、前記骨頭インプラントを骨上に対して適切に回転させて方向付けなければならない外科医に対して視覚的合図を提供することである。これに加えて、前記ホルダは、明確なマーキング(例えば「上付き文字」及び「下付き文字」)を有し、外科医を更に所望の解剖学的位置に案内する。
【0033】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】表面再建用骨頭インプラント上に組み付けられた、完全なホルダを示す説明図である。
図2図1における骨頭インプラント、ホルダ、並びにロックカラーを示す分解図である。
図3】骨頭インプラント上に組み付けられる前のホルダを示す断面図である。
図4】骨頭インプラント上に組み付けられた後のホルダを示す断面図である。
図5】骨頭インプラント上に組み付けれた後の状態のホルダ及びロックカラーを示す断面図である。
図6】嵌入シャフトが挿入される前の完全なホルダを、前記ロックカラーと前記嵌入シャフトとの間の係合機構及び回転防止機構と共に示す図である。
図7】骨頭インプラント及び嵌入シャフトを備えた完全なホルダを示す図である。
図8】骨頭インプラント及び嵌入シャフトを備えた完全なホルダを、予め成形された大腿骨上に嵌入させる直前の状態で示す説明図である。
図9】大腿骨上に完全に嵌入させたインプラント上から取り外される際のホルダを示す説明図である。
図10】前記骨頭インプラントを嵌入させるため、前記ホルダなしで、前記ロックカラー及び前記嵌入シャフトが使用されている状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1及び図2において、3つの部分は、表面再建用骨頭インプラント(3)、ホルダ(2)及びロックカラー(1)として識別される。更に、ホルダ(2)の薄い弾性部(4)が明示されており、当該弾性部(4)は、以下に説明するようにヒンジとして機能する。
【0036】
使用時において、ロックカラー(1)は、係合雄ねじ(5)及び係合雌ねじ(8)により緩められており、互いに分離されている。この分離状態において、ホルダ(2)のねじ部(6)は、例えば、親指と人差し指(図示せず)との間での、手動式の摘み保持により、矢印方向(A)(図3参照)に圧縮することができる。前記ねじ部が圧縮されると、弾性ヒンジの反対側にて、大部分の球形部(10)が図3に示すように矢印(B)方向に拡張する。雄ねじ(5)の一部は、親指及び他の指の把持部としても機能する。表面再建用骨頭インプラント(3)は、大部分の球状部(10)が完全に拡張すると、当該球状部(10)の内部を容易に通過し、当該球状部(10)と共に組み付けられ、また、前記ホルダは、前記摘み保持が緩められると、前記骨頭インプラント周りを閉鎖して図4に示すように当該骨頭インプラントを包み込む。その後、ロックカラー(1)は係合雄ねじ(5)及び係合雌ねじ(8)を介して組み付けられ、図5に示すように、軸(9)が骨頭インプラント(3)の上部に対して締め付けられる。この場合、図4及び図5に示すように、前記骨頭インプラントの輪郭リム(11)は、ホルダ(2)の内部レッジ(12)に嵌合する。前前記ロックカラーの軸(9)が前記骨頭インプラントに対して締め付けられると、前記骨頭インプラントに対する前記ホルダの把持力が高まる。前記骨頭インプラントリム及び前記ホルダ内部レッジには、対応する内向き傾斜角(C)があるためである(図5参照)。従って、締め付けが強くなればなるほど、前記骨頭インプラントがより確実に把持されると共に、組立体全体がより堅固になる。図5において、更に、前記骨頭インプラント孔の円筒形部は、ホルダの円筒形部分(7)により、元の長さの約2倍に延びていることが明示されている。シャフト(14)は、前記ロックカラーの孔(16)に嵌入するスピゴット(13)を介して、前記ホルダアセンブリ内に挿入される。スピゴット(13)及びロックカラー孔(16)は、一旦組み付けられると、僅かな締まり嵌め固定により、互いに接続された状態を維持する。図6に示すように、回転整列機構(17)は、前記シャフト上の回転方向機構(15)に対応し、前記シャフトと前記ホルダアセンブリ(18)との間の回転を防止する。図7は、前記シャフトの反対側端部の回転割り出し機構(19)を示す。回転割り出し機構(19)は、任意の骨頭インプラント整列ガイド部(図示せず)に係合し、術前計画に従って、前記骨頭インプラントを任意の回転方向に方向付ける。前記シャフトは、図8に示すように、予め機械加工された大腿骨(20)に対して前記骨頭インプラントを位置決めすると共に嵌入させるのに使用される。前記ホルダの延長円筒形部分(7)は、強制的な嵌入前及び嵌入時に、前記骨頭インプラントが前記骨に対して正確に整列することを保証する。前記骨頭インプラントリム及び前記ホルダレッジに設けられた内向き傾斜角(C)は、前記ホルダ孔と、極めて正確に製造されたインプラント支持面との間で完全な接触が生じることを保証するものでもある。これにより、前記ホルダの円筒形延長部は、前記骨頭インプラントに基づく精度及び剛性が付与されるため、機械加工された骨に対する嵌合は良好に制御される。完全に嵌入させた後、前記ロックカラー(1)及び前記シャフト(14)が取り外され、その後、前記ホルダの前記ねじ部を圧縮すれば(上述したように)球形部分が拡張し、これにより、図9に示すように、前記移植された骨頭インプラントを覆う前記ホルダを取り外すことが可能となる。完全に拡張された場合、前記ホルダは、大腿骨との固定を損なうことなく、骨頭インプラント上を容易に通過することができる。大腿骨頸部が極めて短いといった稀な状況においては、前記円筒形延長部が頸部の下部に衝突することにより、骨頭インプラントの更なる前進が回避される。このような状況においては、図10に示すように、ホルダ(2)が(上述したように)取り外され、依然として取り付けられたシャフト(14)を備えるロックカラー(1)を独立して使用することにより、前記骨頭インプラントを完全に嵌入させる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10