(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】液浸冷却モジュールおよびそれを有する電子装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20220316BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
H05K7/20 Q
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019189225
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2019-11-12
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519371622
【氏名又は名称】緯穎科技服務股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Wiwynn Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 宗麟
(72)【発明者】
【氏名】白 庭▲育▼
(72)【発明者】
【氏名】林 世▲隆▼
(72)【発明者】
【氏名】▲チャン▼ 金▲翰▼
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-229493(JP,A)
【文献】特開平04-340077(JP,A)
【文献】実開昭57-073994(JP,U)
【文献】特開2008-118077(JP,A)
【文献】特開2010-010204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
H05K 7/20
H01L 23/34 - 23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱媒体を収容するように適合された収容空間を有する、ボックス本体と、
該収容空間内に配設されるとともに液状放熱媒体に浸漬され、該液状放熱媒体が、少なくとも1つの発熱素子の熱エネルギーによって、ガス化されてガス状放熱媒体となるように適合された、少なくとも1つの発熱素子と、
凝縮構造と気流誘導デバイスとを備え、該凝縮構造が該収容空間内に配設されるとともに第1の凝縮部分を備え、該気流誘導デバイスが、該ボックス本体内に配設されるとともに、該ガス状放熱媒体を該第1の凝縮部分に向かって誘導するように適合され、
前記発熱素子から前記ボックス本体の前記収容空間上方に向かって形成される直接的経路が塞がれないように、該凝縮構造及び該気流誘導デバイスが該ボックス本体の側壁に沿って配設されている、液浸冷却モジュールと、
該ボックス本体の外部に配設されるとともに、該収容空間内の物理的測定パラメータおよび画像を表示するように適合された、表示インターフェースとを備え、
サーバ、記憶装置、または交換器である、電子装置。
【請求項2】
前記液浸冷却モジュールが少なくとも1つのセンサを備え、該少なくとも1つのセンサが前記収容空間内に配設され、前記収容空間内の空気温度が温度閾値よりも高いこと、または前記収容空間内の空気圧が圧力閾値よりも高いことを該少なくとも1つのセンサが感知すると、前記気流誘導デバイスが作動し、
前記液浸冷却モジュールが制御部を備え、前記収容空間内の該空気温度が該温度閾値よりも高いこと、または前記収容空間内の該空気圧が該圧力閾値よりも高いことを該少なくとも1つのセンサが感知すると、該制御部が前記凝縮構造内の凝縮液の流速を制御して増加させる、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記気流誘導デバイスが、少なくとも1つの気流発生デバイスと気流通路とを備え、該少なくとも1つの気流発生デバイスが誘導気流を発生させるように適合され、該誘導気流が、前記ガス状放熱媒体を前記第1の凝縮部分まで該気流通路に沿って流れるようにし、
該気流通路が、前記収容空間の縁部に沿って延在するとともに少なくとも1つの空気入口を有する少なくとも1つの導管を備え、
該少なくとも1つの空気入口が複数の空気入口を備え、該空気入口の開口が、該空気入口と該少なくとも1つの気流発生デバイスとの間の距離に比例する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記気流誘導デバイスが、少なくとも1つの気流発生デバイスと気流通路とを備え、該少なくとも1つの気流発生デバイスが誘導気流を発生させるように適合され、該誘導気流が、前記ガス状放熱媒体を前記第1の凝縮部分まで該気流通路に沿って流れるようにし、
前記気流誘導デバイスが、該少なくとも1つの気流発生デバイスと該気流通路との間に接続されたマスクを備え、該気流通路からの該誘導気流が、該マスクを通って該少なくとも1つの気流発生デバイスに向かって流れるように適合され、
該気流通路のセグメントが該マスクに接続され、該誘導気流が流れの方向に沿って該セグメントの中央に向かって流れ、前記気流誘導デバイスが、該セグメント内に配設されるとともに該流れの方向に沿って配置された複数のストッパを備え、該ストッパの長さが該ストッパと該セグメントの中央との間の距離に反比例する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
ボックス本体と少なくとも1つの発熱素子とを備え、該ボックス本体が放熱媒体を収容するように適合された収容空間を有し、該少なくとも1つの発熱素子が、該収容空間内に配設されるとともに液状の該放熱媒体に浸漬される、電子装置向けに適合された、液浸冷却モジュールであって、
該収容空間内に配設されるとともに第1の凝縮部分を備える、凝縮構造と、
該ボックス本体内に配設され、ガス状の該放熱媒体を該第1の凝縮部分に向かって誘導するように適合された、気流誘導デバイスとを備え、
前記発熱素子から前記ボックス本体の前記収容空間上方に向かって形成される直接的経路が塞がれないように、該凝縮構造及び該気流誘導デバイスが該ボックス本体の側壁に沿って配設され、
該気流誘導デバイスが、少なくとも1つの気流発生デバイスと気流通路とを備え、該少なくとも1つの気流発生デバイスが誘導気流を発生させるように適合され、該誘導気流が、該ガス状放熱媒体を該気流通路に沿って該第1の凝縮部分に向かって流れるようにし、該気流誘導デバイスが、該少なくとも1つの気流発生デバイスと該気流通路との間に接続されたマスクを備え、該気流通路からの該誘導気流が、該マスクを通って該少なくとも1つの気流発生デバイスに向かって流れるように適合され、
該凝縮構造が、該収容空間の縁部に沿って延在する第2の凝縮部分を備える、液浸冷却モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液浸冷却モジュールおよびそれを有する電子装置に関し、より詳細には、気流誘導デバイスを有する液浸冷却モジュール、およびそれを有する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバの性能が急速に成長するにつれて、高性能サーバは多くの廃熱を発生させる。廃熱の蓄積によって起こるホストの動作低下を回避するために、一部のサーバは、メインボードを放熱液に浸漬するように設計されており、放熱液は、メインボードの発熱する素子が発生させた熱を吸収し、ガス化し、凝縮管路で凝縮する。凝縮管路で凝縮された放熱液滴は、重力によって放熱液に戻され、それによって循環して放熱効果を達成し、それが当該分野において二相浸漬冷却技術として知られている。放熱液のコストは通常は高価であり、放熱液がガス化された後に予期せずに外部に放散された場合、サーバの維持コストが過度に増加することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、放熱媒体が外部に漏れるのを防ぐことができるとともに、放熱媒体の凝縮効率を増加させ、電子装置の放熱能力を改善することができる、電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の電子装置は、ボックス本体と、少なくとも1つの発熱素子と、液浸冷却モジュールとを含む。液浸冷却モジュールは、凝縮構造と気流誘導デバイスとを含む。ボックス本体は収容空間を有し、収容空間は放熱媒体を収容するように適合される。発熱素子は、収容空間内に配設されるとともに液状放熱媒体に浸漬され、液状放熱媒体は、発熱素子の熱エネルギーによって、ガス化されてガス状放熱媒体となるように適合される。凝縮構造は、収容空間内に配設され、第1の凝縮部分を含む。気流誘導デバイスは、ボックス本体内に配設され、ガス状放熱媒体を第1の凝縮部分に向かって誘導するように適合される。
【0005】
本開示の液浸冷却モジュールは、ボックス本体と少なくとも1つの発熱素子とを含む、電子装置向けに適合される。ボックス本体は収容空間を有し、収容空間は放熱媒体を収容するように適合される。発熱素子は、収容空間内に配設されるとともに液状放熱媒体に浸漬される。液浸冷却モジュールは、凝縮構造と気流誘導デバイスとを含む。凝縮構造は、収容空間内に配設され、第1の凝縮部分を含む。気流誘導デバイスは、ボックス本体内に配設され、ガス状放熱媒体を第1の凝縮部分に向かって誘導するように適合される。
【0006】
本開示の一実施形態では、電子装置はカバー本体を含み、カバー本体は、ボックス本体を被覆して収容空間を封止するように適合され、カバー本体は、ボックス本体に対して開かれて、収容空間を外部環境に露出させるように適合される。
【0007】
本開示の一実施形態では、カバー本体がボックス本体に対して開かれると、気流誘導デバイスが作動する。
【0008】
本開示の一実施形態では、液浸冷却モジュールは、収容空間内に配設された少なくとも1つのセンサを含む。収容空間内の空気の温度が温度閾値よりも高いこと、または収容空間内の空気圧が圧力閾値よりも高いことをセンサが感知すると、気流誘導デバイスが作動する。
【0009】
本開示の一実施形態では、液浸冷却モジュールは制御部を含み、収容空間内の空気の温度が温度閾値よりも高いこと、または収容空間内の空気圧が圧力閾値よりも高いことをセンサが感知すると、制御部は、凝縮構造内の凝縮液の流速を制御して増加させる。
【0010】
本開示の一実施形態では、センサは、温度センサおよび圧力センサの少なくとも一方を含む。
【0011】
本開示の一実施形態では、気流誘導デバイスは、少なくとも1つの気流発生デバイスと、気流通路とを含み、少なくとも1つの気流発生デバイスは誘導気流を発生させるように適合される。誘導気流は、ガス状放熱媒体が気流通路に沿って第1の凝縮部分まで流れるようにする。
【0012】
本開示の一実施形態では、気流通路は少なくとも1つの導管を含み、少なくとも1つの導管は、収容空間の縁部に沿って延在するとともに少なくとも1つの空気入口を有する。
【0013】
本開示の一実施形態では、少なくとも1つの空気入口は複数の空気入口を含み、空気入口の開口は、空気入口と少なくとも1つの気流発生デバイスとの間の距離に比例する。
【0014】
本開示の一実施形態では、凝縮構造は第2の凝縮部分を含み、第2の凝縮部分は少なくとも1つの導管の下に位置し、少なくとも1つの空気入口は第2の凝縮部分に面する。
【0015】
本開示の一実施形態では、凝縮構造は第2の凝縮部分を含み、第2の凝縮部分は少なくとも1つの導管に取り囲まれ、少なくとも1つの空気入口は第2の凝縮部分に面する。
【0016】
本開示の一実施形態では、気流誘導デバイスは、少なくとも1つの気流発生デバイスと気流通路との間に接続されたマスクを含み、気流通路からの誘導気流は、マスクを通過して少なくとも1つの気流発生デバイスに向かって流れるように適合される。
【0017】
本開示の一実施形態では、気流通路のセグメントはマスクに接続され、誘導気流は、流れの方向に沿ってセグメントの中央に向かって流れる。気流誘導デバイスは複数のストッパを含む。ストッパはセグメント内に配設され、流れの方向に沿って配置される。ストッパの長さは、ストッパとセグメントの中央との間の距離に反比例する。
【0018】
本開示の一実施形態では、少なくとも1つの気流発生デバイスおよび気流通路は、ボックス本体の側壁に形成される。
【0019】
本開示の一実施形態では、凝縮構造は第2の凝縮部分を含み、第2の凝縮部分は収容空間の縁部に沿って延在する。
【0020】
本開示の一実施形態では、電子装置は表示インターフェースを含み、表示インターフェースは、ボックス本体の外部に配設されるとともに、収容空間内の物理的測定パラメータおよび画像を表示するように適合される。
【0021】
本開示の一実施形態では、電子装置は、サーバ、記憶装置、または交換器である。
【発明の効果】
【0022】
上記に基づいて、本開示の電子装置は気流誘導デバイスを備え、ボックス本体内のガス状放熱媒体は、気流誘導デバイスを通して凝縮構造に向かって強制的に誘導することができる。このようにして、ガス状放熱媒体が意図せずに外部環境へと逃げるのを防ぐことが可能である。それに加えて、気流誘導デバイスを通してガス状放熱媒体を凝縮構造に向かって強制的に誘導することにより、放熱媒体の凝縮効率を増加させることができ、それによって電子装置の放熱能力が改善される。
【0023】
本開示の上述の特徴および利点を更に理解できるようにするため、図面とともに実施形態を以下に詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の一実施形態による電子装置を示す斜視図である。
【
図2】ボックス本体に対して開かれた
図1のカバー本体を示す図である。
【
図3】
図1の凝縮構造および気流誘導デバイスを示す斜視図である。
【
図4】
図3の凝縮構造および気流誘導デバイスを示す分解組立図である。
【
図5】
図1の電子装置のいくつかの要素を示す概略図である。
【
図6】
図1の電子装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図4の気流誘導デバイスを示す分解組立図である。
【
図8】
図4の気流誘導デバイスを示す斜視図である。
【
図9】
図4の気流誘導デバイスを示す部分断面図である。
【
図10】
図4の気流誘導デバイスを示す正面図である。
【
図11】
図1のボックス本体の収容空間内の蒸気線を示す図である。
【
図12】構造の一部を省略した
図3の液浸冷却モジュールの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本開示の一実施形態による電子装置の斜視図である。
図2は、ボックス本体に対して開かれた
図1のカバー本体を示している。
図3は、
図1の凝縮構造および気流誘導デバイスの斜視図である。
図4は、
図3の凝縮構造および気流誘導デバイスの分解組立図である。
図1~
図4を参照すると、この実施形態の電子装置100は、例えば、サーバ、記憶装置、または交換器であり、ボックス本体110と、カバー本体120と、少なくとも1つの発熱素子130と、液浸冷却モジュールMとを含む。液浸冷却モジュールMは、凝縮構造140と、気流誘導デバイス150とを含む。ボックス本体110の収容空間は、放熱媒体を収容するように適合される。発熱素子130は、ボックス本体110の収容空間内に配設されるとともに液状放熱媒体に浸漬される。発熱素子130は、例えば、中央処理装置、またはサーバ内の複数のプラグ可能なメインボード上にある他の種類のチップであるが、本開示はそれらに限定されない。液状放熱媒体は、発熱素子130の熱エネルギーによって、ガス化されてガス状放熱媒体となる。
【0026】
凝縮構造140は、ボックス本体110の収容空間内に配設され、第1の凝縮部分142と第2の凝縮部分144とを含む。第1の凝縮部分142は、例えば主凝縮部分であり、第2の凝縮部分144は、例えば副凝縮部分であり、収容空間の中央にある電子素子構成領域を占領し阻害することなく、ボックス本体110の収容空間の縁部に沿って延在する。第1の凝縮部分142は、例えば凝縮パイプ・セットであり、外部凝縮液の入力および出力のための、凝縮液入口142aと凝縮液出口142bとを有する。同様に、第2の凝縮部分144は、例えば凝縮パイプ・セットであり、外部凝縮液の入力および出力のための、凝縮液入口144aと凝縮液出口144bとを有する。
【0027】
放熱媒体は、例えば、標準温度で液体状態である誘電体溶液であり、また例えば、40℃~60℃の沸点を有するフッ化液体、または他の適切な放熱媒体であるが、本開示はそれに限定されない。液状放熱媒体は、発熱素子130(中央処理装置、またはサーバ内のメインボード上にある他のタイプのチップなど)によって発生する熱を吸収して、発熱素子130の温度を低下させ、発熱素子130によって発生する熱によって急速に沸騰しガス化する。高い熱エネルギーを有するガス状放熱媒体が封止された収容空間内の凝縮構造140まで流れると、凝縮構造140内を流れる低温凝縮液によって冷却され、凝縮構造140上で凝縮される。凝縮構造140内の凝縮液は、放熱媒体から熱エネルギーを吸収し、次に電子装置100の外部まで流れて熱交換によって冷却され、冷却された凝縮液は凝縮構造140に戻り、それによって継続的に循環する。他方で、凝縮構造140上で凝縮された放熱媒体の液滴は、重力によって落下して液状放熱媒体に戻り、それによって循環して放熱効果を達成する。カバー本体120は、
図1に示されるように、ボックス本体110を被覆してボックス本体110の収容空間を封止するように適合されるので、放熱媒体は封止された収容空間内で上述の循環を行う。更に、カバー本体120は、
図2に示されるように、ボックス本体110に対して開かれるように適合されて、ボックス本体110の収容空間を外部環境に露出させ、それによって電子装置100の維持管理または素子の除去もしくは交換が容易になる。
【0028】
気流誘導デバイス150はボックス本体110内に配設される。カバー本体120がボックス本体110に対して開かれると、気流誘導デバイス150を作動させて、ガス状放熱媒体を第1の凝縮部分142に向かって誘導して即座に液体状態へと凝縮することができる。このようにして、カバー本体120が開かれているとき、ガス状放熱媒体が予期せずに外部へと逃げるのを防ぐことが可能である。それに加えて、ガス状放熱媒体は、気流誘導デバイス150を通して凝縮構造140へと強制的に誘導されて、放熱媒体の凝縮効率を増加させ、それによって電子装置100の放熱能力を改善する。
【0029】
ボックス本体110およびその収容空間を概略的に示している
図11を最初に参照する。収容空間において、ガス状放熱媒体S2が蒸気線Vと液状放熱媒体S1の液面との間に分配され、ガス状放熱媒体S2よりも軽い重量を有する空気が蒸気線の上に位置する。収容空間内の温度および/または圧力が高いほど、ガス状放熱媒体S2の量は多くなり、つまり、蒸気線Vの位置が高いほど、ガス状放熱媒体S2が外部に逃げる可能性が高くなる。
図5は、
図1の電子装置のいくつかの要素の概略図である。
図5に示されるように、この実施形態の電子装置100は、制御部160と、温度センサ170と、圧力センサ180とを更に含む。温度センサ170および圧力センサ180は、ボックス本体110の収容空間内に配設され、収容空間内の空気の温度および空気圧を感知するようにそれぞれ構成される。制御部160は、温度センサ170および圧力センサ180に連結され、温度センサ170によって感知された空気温度および圧力センサ180によって感知された空気圧の少なくとも一方にしたがって、収容空間内の蒸気線Vの高さを判定することができ、それによって、気流誘導デバイス150の作動を制御するとともに、凝縮構造140内の凝縮液の流速が増加されるか否かを制御する。以下、関連する動作プロセスについて詳細に記載する。
【0030】
図6は、
図1の電子装置の動作のフローチャートである。
図6を参照すると、カバー本体120が開いているとき(ステップS601)、気流誘導デバイス150が作動する(ステップS602)。このとき、制御部160は、温度センサ170によって感知される温度にしたがって、ボックス本体110の収容空間内の空気の温度が温度閾値T1よりも高いか否かを判定する(ステップS603)。温度センサ170が、収容空間内の空気の温度が温度閾値T1よりも高いことを感知した場合、ガス状放熱媒体の量が臨界値よりも多いため、蒸気線Vの位置が高すぎ、ガス状放熱媒体が外部環境に逃げる可能性が高いことを表す。このとき、制御部160は、凝縮構造140内の凝縮液の流速を制御して増加させて(ステップS604)、放熱媒体の凝縮速度を加速させるとともに、ガス状放熱媒体が逃げるのを回避する。逆に、温度センサ170が、収容空間内の空気の温度が温度閾値T1以下であることを感知した場合、ガス状放熱媒体の量が臨界値よりも少なく、したがってガス状放熱媒体が外部に逃げる可能性が低いことを表す。このとき、制御部160は、気流誘導デバイス150を制御してオフにして(ステップS605)、電力消費を削減することができる。ステップS605で、ガス状放熱媒体が外部に逃げないことを確保するのに、気流誘導デバイス150をオフにしないように選択することも可能であり、本開示はそれに限定されない。
【0031】
他方で、カバー本体120が閉じていて(ステップS606)ボックス本体110を被覆しているとき、制御部160は、温度センサ170によって感知される温度にしたがって、ボックス本体110の収容空間内の空気の温度が閾値T2よりも高いか否かを判定する(ステップS607)。温度センサ170が、収容空間内の空気の温度が温度閾値T2よりも高いことを感知した場合、ガス状放熱媒体の量が臨界値よりも多いため、蒸気線Vの位置が高すぎ、ガス状放熱媒体がボックス本体110とカバー本体120との間のギャップから外部に逃げる可能性が高いことを表す。このとき、制御部160は、気流誘導デバイス150を制御して作動させ、凝縮構造140内の凝縮液の流速を制御して増加させて(ステップS608)、ガス状放熱媒体が逃げるのを回避する。逆に、温度センサ170が、収容空間内の空気の温度が温度閾値T2以下であることを感知した場合、ガス状放熱媒体の量が臨界値よりも少なく、したがってガス状放熱媒体が外部に逃げる可能性が低いことを表す。このとき、制御部160は、気流誘導デバイス150を制御してオフにして(ステップS609)、電力消費を削減することができる。ステップS609で、ガス状放熱媒体が外部に逃げないことを確保するのに、気流誘導デバイス150をオフにしないように選択することも可能であり、本開示はそれに限定されない。
【0032】
それに加えて、カバー本体120が閉じていて(ステップS606)ボックス本体110を被覆しているとき、制御部160は更に、圧力センサ180によって感知される圧力にしたがって、ボックス本体110の収容空間内の空気圧が圧力閾値Pよりも高いか否かを判定することができる(ステップS610)。圧力センサ180が、収容空間内の空気圧が圧力閾値Pよりも高いことを感知した場合、ガス状放熱媒体の量が臨界値よりも多いため、蒸気線Vの位置が高すぎ、ガス状放熱媒体がボックス本体110とカバー本体120との間のギャップから外部に逃げる可能性が高いことを表す。このとき、制御部160は、気流誘導デバイス150を制御して作動させ、凝縮構造140内の凝縮液の流速を制御して増加させて(ステップS611)、ガス状放熱媒体が逃げるのを回避する。逆に、圧力センサ180が、収容空間内の空気圧が圧力閾値P以下であることを感知した場合、ガス状放熱媒体の量が臨界値よりも少なく、したがってガス状放熱媒体が外部に逃げる可能性が低いことを表す。このとき、制御部160は、気流誘導デバイス150を制御してオフにして(ステップS612)、電力消費を削減することができる。ステップS612で、ガス状放熱媒体が外部に逃げないことを確保するのに、気流誘導デバイス150をオフにしないように選択することも可能であり、本開示はそれに限定されない。
【0033】
図1および
図2に示されるように、本実施形態の電子装置100は、表示インターフェース190を更に含む。表示インターフェース190は、ボックス本体110の外部に配設されるとともに、ユーザが見るように、ボックス本体110の収容空間内の物理的測定パラメータ(温度、圧力など)および画像などの情報を表示するように適合される。
【0034】
図7は、
図4の気流誘導デバイスの分解組立図である。
図7を参照すると、本実施形態の気流誘導デバイス150は、少なくとも1つの気流発生デバイス152と気流通路154とを含む。気流発生デバイス152は、例えばファンであり、ガス状放熱媒体を
図3に示される第1の凝縮部分142までの気流通路154に沿って流す、誘導気流を発生させるように適合される。具体的には、気流発生デバイス152の回転速度は、電子装置100の放熱要件にしたがって決定することができる。
【0035】
更に、気流発生デバイス152は、上部ハウジング152aと、下部ハウジング152bと、複数の気流発生部152cとを含む。上部ハウジング152aおよび下部ハウジング152bはともに組み立てられて、気流発生部152cを被覆する。気流誘導デバイス150は、空気を気流発生デバイス152から気流発生デバイスの下にある第1の凝縮部分142に向かって誘導する、気流発生デバイス152の下端部に接続されたガイド構造156を更に含む。
【0036】
図8は、
図4の気流誘導デバイスの斜視図である。具体的には、気流通路154は、例えば、ボックス本体110の収容空間の縁部に沿って延在する複数の導管によって構築され、
図8に示されるような複数の空気入口154aを有し、誘導気流は、空気入口154aを通って導管に入り、気流発生デバイス152に向かって流れる。更に、気流発生デバイス152が、気流発生デバイス152から遠い空気入口154aに対して発生させる気流誘導力の方が弱いので、空気入口154aの開口を、
図8に示されるような、空気入口154aと気流発生デバイス152との間の距離に比例するように設計することができる。そのため、空気入口154aの吸気量を均一にするように、気流発生デバイス152から遠い空気入口154aはより大きい開口を有する。
【0037】
本実施形態では、導管は、気流発生デバイス152に対応する主本体部分(
図8で実線によって示される気流通路154)を含み、第2の凝縮部分144に対応するとともに主本体部分の両端から延在する、2つのアーム部分(
図8で破線によって示される気流通路154)を含む。他の実施形態では、第2の凝縮部分144は設けられなくてもよく、アーム部分は設けられなくてもよく、本開示はそれに限定されない。
【0038】
図9は、
図4の気流誘導デバイスの部分断面図である。本実施形態では、気流誘導デバイス150は、気流発生デバイス152と気流通路154との間に接続されたマスク158を含む。気流通路154からの誘導気流は、
図9に示される流れの方向に沿って、マスク158を通って気流発生デバイス152に向かって流れるように適合され、気流発生デバイス152を通って、
図1に示される第1の凝縮部分142に向かって流れる。
【0039】
図10は、
図4の気流誘導デバイスの正面図である。
図10を参照すると、本実施形態では、気流通路154のセグメント1541はマスク158に接続され、誘導気流は、流れの方向Dに沿って、気流通路154のセグメント1541の中央に向かって流れる。気流誘導デバイス150は、気流通路154のセグメント1541内に配設されるとともに流れの方向Dに沿って配置される、複数のストッパ159を含む。ストッパ159の長さは、ストッパ139と気流通路154のセグメント1541の中央との間の距離に反比例するので、気流通路154のセグメント1541の中央により近いストッパ159は、流れの方向Dに垂直な方向でより長い長さを有する。このようにして、誘導気流が、気流発生デバイス152によって下方に向けられる前に、気流通路154のセグメント1541の中央に過度に集中するのを回避することが可能なので、気流発生デバイス152は、誘導気流を均一に下方に流れるようにすることができる。
【0040】
図3に示されるように、本実施形態の凝縮パイプ・セット(第2の凝縮部分144)の一部は導管(気流通路154)の下に位置し、導管(気流通路154)の空気入口154a(
図8に図示)は、導管(気流通路154)の下面に形成され、凝縮パイプ・セット(第2の凝縮部分144)に面する。しかしながら、本開示は、凝縮パイプ・セットおよび導管のその相対配置位置に限定されない。他の実施形態では、凝縮パイプ・セット(第2の凝縮部分144)の一部は、導管(気流通路154)に取り囲まれるとともに導管(気流通路154)の縁部に位置してもよく、導管(気流通路154)の空気入口154a(
図8に図示)は、導管(気流通路154)の側面に形成され、凝縮パイプ・セット(第2の凝縮部分144)に面する。それに加えて、他の実施形態では、気流発生デバイス152および気流通路154は、ボックス本体110内における構成空間を更に削減するため、ボックス本体110の側壁に形成されてもよい。
【0041】
図12は、構造の一部を省略した
図3の液浸冷却モジュールの構成を示している。
図3に示される実施形態と比較して、気流誘導デバイス150の気流通路154を、
図12の実施形態に示されるような両側を省略した延長アームに変更し、それに対応して第2の凝縮部分144の構成を省略し、それによってボックス本体110(
図1に図示)の収容空間の利用可能な面積を増加させることができる。
【0042】
概して、本開示の電子装置は気流誘導デバイスを備え、ボックス本体内のガス状放熱媒体は、気流誘導デバイスを通して凝縮構造へと強制的に誘導することができる。このようにして、ガス状放熱媒体が予期せずに外部環境へと逃げるのを防ぐことが可能である。それに加えて、気流誘導デバイスを通してガス状放熱媒体を凝縮構造へと強制的に誘導することにより、放熱媒体の凝縮効率を増加させることができ、それによって電子装置の放熱能力が改善される。
【0043】
本開示を上述の実施形態において記載してきたが、本開示に限定しようとするものではなく、当業者であれば、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、いくつかの修正および改良を行うことができる。したがって、本開示によって保護される範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲に従う。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の液浸冷却モジュールおよび電子装置は、サーバ、記憶装置、または交換器に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
100 電子装置
110 ボックス本体
120 カバー本体
130 発熱素子
140 凝縮構造
142 第1の凝縮部分
142a、144a 凝縮液入口
142b、144b 凝縮液出口142b
144 第2の凝縮部分
150 気流誘導デバイス
152 気流発生デバイス
152a 上部ハウジング
152b 下部ハウジング
152c 気流発生部
154 気流通路
1541 セグメント
154a 空気入口
156 支持構造
158 マスク
159 ストッパ
160 制御部
170 温度センサ
180 圧力センサ
190 表示インターフェース
D 流れの方向
M 液浸冷却モジュール
S1、S2 放熱媒体
V 蒸気線