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特許7041662ポリアミック酸、ポリイミド樹脂及びポリイミドフィルム
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  • 特許-ポリアミック酸、ポリイミド樹脂及びポリイミドフィルム 図1
  • 特許-ポリアミック酸、ポリイミド樹脂及びポリイミドフィルム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】ポリアミック酸、ポリイミド樹脂及びポリイミドフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20220316BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220316BHJP
   F21K 9/00 20160101ALI20220316BHJP
【FI】
C08G73/10
C08J5/18 CFG
F21K9/00
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019230449
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2020105504
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2020-03-27
(31)【優先権主張番号】10-2018-0166692
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0171630
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ドゥ リ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ミン ヒ
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/051213(WO,A1)
【文献】特開2017-179000(JP,A)
【文献】国際公開第2014/207963(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/011590(WO,A1)
【文献】特開2002-161136(JP,A)
【文献】特開2002-327056(JP,A)
【文献】特開2008-118069(JP,A)
【文献】特開平07-281193(JP,A)
【文献】特開平07-281192(JP,A)
【文献】国際公開第2017/051827(WO,A1)
【文献】特開2015-050420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/00- 73/26
C08J 5/18
F21K 9/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアミンモノマー及びジアンヒドリドモノマーの反応によって得られ、
前記ジアミンモノマーは、サイズが2.8~3.5Åである第1モノマー成分と、
サイズが1.5~1.8Åである第2モノマー成分、及び、サイズが2.3~2.6Åである第3モノマー成分のうちのいずれか一方のみとを含み、
前記ジアンヒドリドモノマーのサイズは1.5~4.0Åであり、
前記第2モノマー成分及び前記第3成分のうちで前記第2モノマー成分が用いられる場合、前記第2モノマー成分は、前記ジアミンモノマーの総重量に対して10~50モル%の含量で含まれ、
前記第2モノマー成分及び前記第3成分のうちで前記第3モノマー成分が用いられる場合、前記第3モノマー成分は、前記ジアミンモノマーの総重量に対して10~50モル%の含量で含まれ、
前記モノマーサイズは、分子モデリングプログラム ガウシアン(Gaussian)09を用いて測定したものであり、Z-マトリックスコーディネート(Z-matrix coordinate)化学計算法に基づいて、モノマーの最も広い面をx-y-z直交座標系におけるx-z面と平行に位置させた後、y軸方向への長さを測定した時に現れる最も長い値と定義される、ポリアミック酸のイミド化反応によって形成されたポリイミドフィルムを含む照明機器
【請求項2】
前記第1モノマー成分は、トランス-1,4-シクロヘキサンジアミン(trans-1,4-Cyclohexane diamine,tCHD)、1,4-シクロヘキサンジアミン(1,4-Cyclohexane diamine,14CHD)、1,3-シクロヘキサンジアミン(1,3-Cyclohexanediamine,13CHD)、1,2-シクロヘキサンジアミン(1,2-Cyclohexanediamine,12CHD)及び2-フルオロ-1,4-シクロヘキサンジアミン(2-Fluoro-1,4-Cyclohexane diamine)から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の照明機器
【請求項3】
前記ジアンヒドリドモノマーは、ビフェニルテトラカルボン酸ジアンヒドリド(3,3,4,4-Biphenyltetracarboxylic dianhydride,BPDA)、ピロメリト酸ジアンヒドリド(1,2,4,5-benzene tetracarboxylic dianhydride,pyromellicticacid dianhydride,PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアンヒドリド(3,3,4,4-Benzophenone tetracarboxylic dianhydride,BTDA)、オキシジフタル酸ジアンヒドリド(4,4-Oxydiphthalic dianhydride,ODPA)及びビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィドジアンヒドリド(4,4-bis(3,4-dicarboxyphenoxy)diphenyl sulfide dianhydride,BDSDA)から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の照明機器
【請求項4】
前記第2モノマー成分は、p-フェニレンジアミン(para-phenylene diamine,pPDA)、m-フェニレンジアミン(meta-phenylene diamine,mPDA)、2-クロロ-1,4-フェニレンジアミン(2-Chloro-1,4-phenylenediamine)、2,5-ジクロロ-1,4-フェニレンジアミン(2,5-Dichloro-1,4-phenylenediamine)、2-フルオロ-1,4-フェニレンジアミン(2-Fluoro-1,4-phenylenediamine)及び2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-フェニレンジアミン(2,3,5,6-Tetrafluoro-1,4-phenylenediamine)から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の照明機器
【請求項5】
前記第3モノマー成分は、4-アミノベンゾ酸4-アミノフェニルエステル(4-Aminobenzoic acid 4-aminophenyl ester,4ABA)、4,4’-ジアミノベンゾフェノン(4,4’-Diaminobenzophenone)、ベンジジン(Benzidine)及び4,4’-ジアミノジフェニルメタン(4,4’-Diaminodiphenylmethane)から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の照明機器
【請求項6】
前記ポリイミドフィルムが1.67以上の屈折率を有する、請求項に記載の照明機器
【請求項7】
前記ポリイミドフィルムが20以下の黄色度(YI)を有する、請求項に記載の照明機器
【請求項8】
前記ポリイミドフィルムが50~250℃で20ppm/℃以下の熱膨張係数(CTE)を有する、請求項に記載の照明機器
【請求項9】
前記ポリイミドフィルムが550nmで83%以上の透過度を有する、請求項に記載の照明機器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い屈折率及び低い黄色度を実現できるポリアミック酸、ポリイミド及びこれを含むフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリイミド(PI)フィルムはポリイミド樹脂をフィルム化したものであり、ポリイミド樹脂は、ジアンヒドリド化合物とジアミン化合物の反応、又は、ジアンヒドリド化合物とジイソシアネート化合物によって製造され得る。
【0003】
ポリイミドフィルムは優れた機械的特性、耐熱性、電気絶縁性を有していることから、半導体の絶縁膜、表示装置の電極保護膜、フレキシブル印刷配線回路用基板などの広範囲な分野で用いられている。
【0004】
一般に、ポリイミド樹脂は、高い芳香族環密度のため褐色及び黄色に着色されており、可視光線領域にて光透過率が低く、大きい複屈折率を有するので、光学部材への使用には限界がある。
【0005】
米国特許第4595548号、第4603061号、第4645824、第4895972号、第5218083号、第5093453号、第5218077号、第5367046号、第5338826号、第5986036号、第6232428号及び大韓民国特許公開公報第2003-0009437号に、芳香族ジアンヒドリドと芳香族ジアミンによって製造され、熱的特性が大きく低下しない範囲で透過度及び色相の透明度が向上したポリイミドが開示されている。しかし、かかるポリイミドは、機械的特性、耐熱性及び屈折率の側面において表示装置又は照明用機器に使用するには足りない点がある。
【0006】
最近、表示装置又は照明装置などの効率向上のために有機発光ダイオード(OLED、特に、能動型有機発光ダイオード(AMOLED))が使用されている。
【0007】
有機発光ダイオード(OLED)を含む表示装置又は照明装置は、多層の積層構造を有する。したがって、有機発光ダイオードで発生した光が表示装置又は照明装置の外部に放出されるためには多層の積層構造を通過する必要がある。ところが、有機発光ダイオードで発生した光が多層の積層構造を通過する過程で光導波(wave guide)効果又は全反射などが発生し、光が損失することがある。その結果、現在、有機発光ダイオードの外部量子効率は低いレベルに留まっている。
【0008】
ポリイミド樹脂又はポリイミドフィルムを、有機発光ダイオードを含む表示装置又は照明装置の絶縁層又は光学フィルムとして用いるためには、電極に用いられる物質の屈折率と類似する程度の高い屈折率及び耐熱性を有する必要がある。しかし、透明高分子素材は内部構成分子の電子特性のため、1.70以上の屈折率を有し難いという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一実施例は、低い黄色度及び高い屈折率を有するポリイミド樹脂及びポリイミドフィルムを提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の実施例は、低い黄色度及び高い屈折率を有するポリイミドフィルムの製造に使用可能なポリアミック酸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明の一実施例は、ジアミンモノマー及びジアンヒドリドモノマーの反応によって得られ、前記ジアミンモノマーは、サイズが2.8~3.5Åである第1モノマー成分を含み、前記ジアンヒドリドモノマーのサイズは1.5~4.0Åであり、前記モノマーサイズは、分子モデリングプログラム ガウシアン(Gaussian)09を用いて測定したものであり、Z-マトリックスコーディネート(Z-matrix coordinate)化学計算法に基づいて、モノマーの最も広い面をx-z面と平行に位置させた後、y軸方向への長さを測定した時に現れる最も長い値と定義される、ポリアミック酸を提供する。
【0012】
前記第1モノマー成分は、トランス-1,4-シクロヘキサンジアミン(trans-1,4-Cyclohexane diamine,tCHD)、1,4-シクロヘキサンジアミン(1,4-Cyclohexane diamine,14CHD)、1,3-シクロヘキサンジアミン(1,3-Cyclohexanediamine,13CHD)、1,2-シクロヘキサンジアミン(1,2-Cyclohexanediamine,12CHD)及び2-フルオロ-1,4-シクロヘキサンジアミン(2-Fluoro-1,4-Cyclohexane diamine)から選ばれる1種以上を含む。
【0013】
前記ジアンヒドリドモノマーは、ビフェニルテトラカルボン酸ジアンヒドリド(3,3,4,4-Biphenyltetracarboxylic dianhydride,BPDA)、ピロメリト酸ジアンヒドリド(1,2,4,5-benzene tetracarboxylic dianhydride,pyromellictic acid dianhydride,PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアンヒドリド(3,3,4,4-Benzophenone tetracarboxylic dianhydride,BTDA)、オキシジフタル酸ジアンヒドリド(4,4-Oxydiphthalic dianhydride,ODPA)及びビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィドジアンヒドリド(4,4-bis(3,4-dicarboxyphenoxy)diphenyl sulfide dianhydride,BDSDA)から選ばれる1種以上を含む。
【0014】
前記ジアミンモノマーは、サイズが1.5~1.8Åである第2モノマー成分をさらに含むことができる。
【0015】
前記第2モノマー成分は、p-フェニレンジアミン(para-phenylene diamine,pPDA)、m-フェニレンジアミン(meta-phenylene diamine,mPDA)、2-クロロ-1,4-フェニレンジアミン(2-Chloro-1,4-phenylenediamine)、2,5-ジクロロ-1,4-フェニレンジアミン(2,5-Dichloro-1,4-phenylenediamine)、2-フルオロ-1,4-フェニレンジアミン(2-Fluoro-1,4-phenylenediamine)及び2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-フェニレンジアミン(2,3,5,6-Tetrafluoro-1,4-phenylenediamine)から選ばれる1種以上を含む。
【0016】
前記第2モノマー成分は、前記ジアミンモノマーの総重量に対して10~50モル%の含量で含むことができる。
【0017】
前記ジアミンモノマーは、サイズが2.3~2.6Åである第3モノマー成分をさらに含むことができる。
【0018】
前記第3モノマー成分は、4-アミノベンゾ酸4-アミノフェニルエステル(4-Aminobenzoic acid 4-aminophenyl ester,4ABA)、4,4’-ジアミノベンゾフェノン(4,4’-Diaminobenzophenone)、ベンジジン(Benzidine)及び4,4’-ジアミノジフェニルメタン(4,4’-Diaminodiphenylmethane)から選ばれる1種以上を含む。
【0019】
前記第3モノマー成分は前記ジアミンモノマーの総重量に対して10~50モル%の含量で含まれる。
【0020】
本発明の他の実施例は、前記ポリアミック酸のイミド化反応によって得られたポリイミド樹脂を提供する。
【0021】
本発明のさらに他の実施例は、前記ポリアミック酸のイミド化反応によって形成されたポリイミドフィルムを提供する。
【0022】
前記ポリイミドフィルムは1.67以上の屈折率を有することができる。
【0023】
前記ポリイミドフィルムは20以下の黄色度(YI)を有することができる。
【0024】
前記ポリイミドフィルムは50~250℃で20ppm/℃以下の熱膨張係数(CTE)を有することができる。
【0025】
前記ポリイミドフィルムは、550nmにて83%以上の透過度を有する。
【0026】
本発明のさらに他の実施例は、前記ポリイミドフィルムを含む照明機器を提供する。
【0027】
本発明のさらに他の実施例は、前記ポリイミドフィルムを含む表示装置を提供する。
【0028】
本発明のさらに他の実施例は、前記ポリイミド樹脂を含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、低い黄色度及び高い屈折率を有するポリイミドフィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】ビフェニルテトラカルボン酸ジアンヒドリド(3,3,4,4-Biphenyltetracarboxylic dianhydride,BPDA)のサイズ測定を示す概略図である。
図2】本発明のさらに他の実施例による表示装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。ただし、後述する実施例は、本発明の明確な理解を助けるための例示的な目的で提示されるもので、本発明の範囲を制限するものではない。
【0032】
本発明の実施例を説明するための図面に開示された形状、大きさ、比率、角度、個数などは例示的なものであり、本発明は図面に開示の事項に限定されない。本発明を説明するに当たって、関連する公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0033】
本明細書において「含む」、「有する」、「からなる」などが使われる場合、「~だけ」という表現がない限り、他の部分が追加されてもよい。構成要素が単数で表現された場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数も含む。また、構成要素を解釈するとき、特に明示的記載がなくても誤差範囲を含むものと解釈する。
【0034】
時間関係に関する説明において、例えば、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」などでもって、時間的な前後関係が説明される場合、「直ちに」又は「直接」という表現がない限り、連続的でない場合も含みうる。
【0035】
第1、第2などが、様々な構成要素を説明するために使用されるが、これらの構成要素はこれらの用語によって制限されない。これらの用語は、単に、一つの構成要素を他の構成要素と区別するためのものである。したがって、以下に言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で、第2構成要素であってもよい。
【0036】
「少なくとも一つ」という用語は、一つ以上の関連項目から提示可能な、あらゆる組合せを含むものと理解しなければならない。例えば、「第1項目、第2項目及び第3項目の少なくとも一つ」は、第1項目、第2項目又は第3項目のそれぞれだけでなく、第1項目、第2項目及び第3項目のうちの2つ以上から提示可能な、いかなる項目の組合せをも意味しうる。
【0037】
本発明の各実施例のそれぞれの特徴が、部分的に又は全体的に、互いに結合又は組合せ可能であり、技術的に様々な連動及び駆動が可能であり、各実施例が、相互に独立して実施されてもよく、相互に関連させて共に実施されてもよい。
【0038】
本発明の一実施例は、ジアミンモノマー及びジアンヒドリドモノマーの反応によって得られるポリアミック酸を提供する。ジアミンモノマーは、サイズが2.8~3.5Åである第1モノマー成分を含む。ジアンヒドリドモノマーのサイズは、1.5~4.0Åである。
【0039】
本発明の一実施例によれば、モノマーサイズは、分子モデリングプログラム ガウシアン(Gaussian)09を用いて測定される。具体的に、モノマーサイズ測定のために分子モデリングプログラム ガウシアン(Gaussian)09を利用し、Z-マトリックスコーディネート(Z-matrix coordinate)化学計算法に基づいて、モノマーの最も広い面をx-z面と平行に位置させた後、y軸方向への長さを測定した時に現れる最も長い値と定義されるものをモノマーサイズDという。
【0040】
図1を参照すると、分子モデリングプログラム ガウシアン(Gaussian)09を用いてZ-マトリックスコーディネート(Z-matrix corrdinate)化学計算法によって測定された、モノマーの最も広い面積を有する部分が、x-z面と平行に位置するのであり、y軸を基準に最も遠い距離を測定した値がモノマーのサイズDとなる。
【0041】
本発明の一実施例によれば、ジアミンモノマーは、2.8~3.5Åのモノマーサイズを有する第1モノマー成分を含む。第1モノマー成分としては、トランス-1,4-シクロヘキサンジアミン(trans-1,4-Cyclohexane diamine,tCHD)、1,4-シクロヘキサンジアミン(1,4-Cyclohexane diamine,14CHD)、1,3-シクロヘキサンジアミン(1,3-Cyclohexanediamine,13CHD)、1,2-シクロヘキサンジアミン(1,2-Cyclohexanediamine,12CHD)及び2-フルオロ-1,4-シクロヘキサンジアミン(2-Fluoro-1,4-Cyclohexane diamine)の少なくとも一つを含む。しかし、本発明の一実施例がこれに限定されるものではなく、2.8~3.5Åのモノマーサイズを有する他のジアミンモノマーが、本発明の一実施例による第1モノマー成分として用いられてもよい。
【0042】
本発明の一実施例によれば、便宜上、トランス-1,4-シクロヘキサンジアミン(tCHD)と1,4-シクロヘキサンジアミン(14CHD)が区別して表現される。1,4-シクロヘキサンジアミン(14CHD)がシス型構造かトランス型構造かを区別しないときは、1,4-シクロヘキサンジアミン(14CHD)と表現し、トランス構造の1,4-シクロヘキサンジアミンを特に指すときは、トランス-1,4-シクロヘキサンジアミン(tCHD)という。
【0043】
本発明の一実施例によれば、ジアンヒドリドモノマーは、1.5~4.0Åのモノマーサイズを有する。モノマーサイズが1.5~4.0Åであるジアンヒドリドモノマーとしては、例えば、ビフェニルテトラカルボン酸ジアンヒドリド(3,3,4,4-Biphenyltetracarboxylic dianhydride,BPDA)、ピロメリト酸ジアンヒドリド(1,2,4,5-benzene tetracarboxylic dianhydride,pyromellicticacid dianhydride,PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアンヒドリド(3,3,4,4-Benzophenone tetracarboxylic dianhydride,BTDA)、オキシジフタル酸ジアンヒドリド(4,4-Oxydiphthalic dianhydride,ODPA)及びビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィドジアンヒドリド(4,4-bis(3,4-dicarboxyphenoxy)diphenyl sulfide dianhydride,BDSDA)の少なくとも一つを含むことができる。しかし、本発明の一実施例がこれに限定されるものではなく、1.5~4.0Åのモノマーサイズを有する他のジアンヒドリドモノマーが、本発明の一実施例によるジアンヒドリドモノマーとして用いられてもよい。
【0044】
本発明のポリアミック酸は、ジアミンモノマー及びジアンヒドリドモノマーの反応によって製造することができる。モノマーサイズ2.8~3.5Åのジアミンモノマーである第1モノマー成分及びモノマーサイズ1.5~4.0Åのジアンヒドリドモノマーによって製造されたポリアミック酸は、正面結晶構造を有することができ、180゜に近い傾斜角(Tilt angle)及び二面角(dihedral angle)を有することができ、また非接合構造を形成することができる。その結果、ポリアミック酸が高屈折特性、低い黄色度、及び透明な特性を有することができる。
【0045】
本発明の一実施例によれば、ジアミンモノマーは、第1モノマー成分に加えて、1.5~1.8Åのモノマーサイズを有する第2モノマー成分、及び、2.3~2.6Åのモノマーサイズを有する第3モノマー成分の少なくとも一つをさらに含むことができる。
【0046】
ジアミンモノマーが、第1モノマー成分に加えて、第2モノマー成分及び第3モノマー成分の少なくとも一つをさらに含む場合、ジアミンモノマーとジアンヒドリドによって製造されたポリアミック酸は、低いCTE及び黄色度を有するとともに高い屈折率を有するポリイミドフィルムの製造に用いられ得る。
【0047】
モノマーサイズが1.5~1.8Åである第2モノマー成分としては、例えば、p-フェニレンジアミン(para-phenylene diamine,pPDA)、m-フェニレンジアミン(meta-phenylene diamine,mPDA)、2-クロロ-1,4-フェニレンジアミン(2-Chloro-1,4-phenylenediamine)、2,5-ジクロロ-1,4-フェニレンジアミン(2,5-Dichloro-1,4-phenylenediamine)、2-フルオロ-1,4-フェニレンジアミン(2-Fluoro-1,4-phenylenediamine)及び2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-フェニレンジアミン(2,3,5,6-Tetrafluoro-1,4-phenylenediamine)の少なくとも一つを含むことができる。しかし、本発明の一実施例がこれに限定されるものではなく、1.5~1.8Åのモノマーサイズを有する他のジアミンモノマーが、本発明の一実施例による第2モノマー成分として用いられてもよい。
【0048】
第2モノマー成分は、ジアミンモノマーの総重量に対して、50モル%以下の含量で含まれ得る。例えば、第2モノマー成分は、ジアミンモノマーの総重量に対して10~50モル%の含量で含まれ、より具体的に、10~40モル%の含量で含まれ得る。或いは、第2モノマー成分は、ジアミンモノマーの総重量に対して20~40モル%の含量で含まれてもよい。
【0049】
第2モノマー成分は、小さいモノマーサイズを有し、ポリイミド樹脂及びポリイミドフィルムにおいて分子間距離を減少させる役割を担うことができ、高分子鎖の密度を高める役割を担うことができる。これによって、第2モノマー成分は、ポリイミドフィルムの屈折率及び耐熱性を向上させることができる。
【0050】
2.3~2.6Åのモノマーサイズを有する第3モノマー成分としては、例えば、4-アミノベンゾ酸4-アミノフェニルエステル(4-Aminobenzoic acid 4-aminophenyl ester,4ABA)、4,4’-ジアミノベンゾフェノン(4,4’-Diaminobenzophenone)、ベンジジン(Benzidine)及び4,4’-ジアミノジフェニルメタン(4,4’-Diaminodiphenylmethane)の少なくとも一つを含むことができる。しかし、本発明の一実施例がこれに限定されるものではなく、2.3~2.6Åのモノマーサイズを有する他のジアミンモノマーが、本発明の一実施例による第3モノマー成分として用いられてもよい。
【0051】
第3モノマー成分は、ジアミン総重量に対して10~50モル%の含量で含まれ得る。具体的に、第3モノマー成分は、ジアミンの総重量に対して30~50モル%の含量で含まれ、より具体的に40~50モル%の含量で含まれ得る。
【0052】
第3モノマー成分は、第1モノマー成分に比べて小さいモノマーサイズを有し、ポリイミド樹脂及びポリイミドフィルムにおいて分子間距離を減少させる役割を担うことができ、分子内の共鳴現象を減少させることができる。これによって、第3モノマー成分は、ポリイミドフィルムの屈折率を上昇させる役割、及び、黄色度の増加を防止する役割を担うことができる。
【0053】
本発明の一実施例によれば、ジアミンモノマーとして、第1モノマー成分に加えて、第2モノマー成分又は第3モノマー成分が追加される場合、ジアミンモノマー及びジアンヒドリドモノマーによって製造されるポリアミック酸及びこのようなポリアミック酸によって製造されるポリイミドフィルムの黄色度を減少させることができ、且つ屈折率を向上させることができる。
【0054】
本発明の一実施例によって、ジアミンモノマーとして第1モノマー成分、第2モノマー成分及び第3モノマー成分が共に使用されると、10以下の黄色度及び1.75以上の屈折率を有するポリイミドフィルムを製造することができる。
【0055】
本発明の一実施例によれば、ジアミンモノマーは、ジアミンモノマーの全重量に対して、0超~80重量%の第1モノマー成分、10~50重量%の第2モノマー成分及び10~50重量%の第3モノマー成分を含むことができる。より具体的に、ジアミンモノマーは、ジアミンモノマーの全重量に対して、50~60重量%の第1モノマー成分、10~40重量%の第2モノマー成分、及び、10~40重量%の第3モノマー成分を含むことができる。
【0056】
本発明の他の実施例によれば、上述したポリアミック酸をイミド化反応させてポリイミド樹脂を製造することができる。
【0057】
本発明の他の実施例によれば、上述したポリイミドを含むポリイミドフィルムを提供することができる。
【0058】
本発明の実施例において、ポリイミド樹脂は、ポリアミック酸がイミド化反応によって形成された化合物を意味し、ポリイミドフィルムは、ポリイミド樹脂がフィルムの形態に剤形化された製品を意味する。
【0059】
本発明の一実施例によるポリイミドフィルムは、50~250℃にて20ppm/℃以下の熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion,CTE)を有することができる。本発明の他の実施例によれば、ポリイミドフィルムは、50~250℃にて10ppm/℃以下の熱膨張係数(CTE)を有することができる。より具体的に、ポリイミドフィルムは、50~250℃にて8ppm/℃以下の熱膨張係数を有することができる。
【0060】
本発明の他の実施例によれば、ポリイミドフィルムは、50~250℃にて4.7~7.4ppm/℃の熱膨張係数を有することができる。
【0061】
本発明の他の実施例によれば、ポリイミドフィルムは、厚さ10~100μmを基準にUV分光計で透過度を測定するとき、550nmにて83%以上の透過度を有することができる。また、ポリイミドフィルムは、厚さ10~100μmを基準にUV分光計で透過度を測定するとき、380~780nmにて平均83%以上の透過度を有することができる。
【0062】
本発明の他の実施例によるポリイミドフィルムは、フィルム厚さ10~100μmを基準に、20以下の黄色度を有することができる。
【0063】
また、本発明の他の実施例によるポリイミドフィルムは、フィルム厚さ10~100μmを基準に、13以下の黄色度を有することができ、より具体的に10以下の黄色度を有することができる。
【0064】
例えば、本発明の他の実施例によるポリイミドフィルムは、12.5以下の黄色度(YI)を有することができる。
【0065】
上記のような熱膨張係数、光透過度及び黄色度を有する本発明の一実施例によるポリイミドフィルムは、既存の黄色を帯びるポリイミドフィルムとは異なり、表示装置の保護膜、拡散板、コーティング膜、層間絶縁膜、ゲート絶縁膜及び液晶配向膜など、透明性が要求される分野に用いることができる。例えば、液晶配向膜として本発明の一実施例による透明ポリイミドを使用する場合、高コントラスト比の液晶表示装置を製造することができる。
【0066】
また、本発明の一実施例によるポリイミドフィルムは、フレキシブル表示装置の基板(substrate)として使用することができ、OLED素子、照明機器、映像素子機器及びハードコーティングフィルムなどにも使用することができる。
【0067】
上述した熱膨張係数、透過度、黄色度などの物性は、厚さ10~100μm範囲のポリイミドフィルム、例えば、11μm、12μm、13μm、…100μmなどの厚さを有するフィルムでもって測定すればよく、前記厚さ内におけるフィルムをそれぞれ測定すると、前記物性範囲をいずれも満たすことができる。ここで、ポリイミドフィルムの厚さ範囲は、物性を測定するためのものであり、特に言及がない限り、本発明の一実施例によるポリイミドフィルムの厚さを限定するものではない。
【0068】
本発明の一実施例によるポリイミドフィルムは1.67以上の屈折率を有することができる。
【0069】
本発明の一実施例によるポリイミドフィルムの屈折率は、例えば、複屈折分析機(Prism Coupler,Sairon SPA4000)を用いて、532nmにてTE(Transverse Electric)モードで測定する場合、1.67でありうるのであり、具体的に1.70以上でありうるのであり、より具体的に1.75でありうるのであり、1.77以上であり得る。このように、本発明の一実施例によるポリイミドフィルムは、表示装置の電極として用いるITO(InSnO)と類似する程度の、高い屈折率を有するので、照明機器に適用されて優れた光抽出効果を発現することができる。
【0070】
例えば、本発明の一実施例によるポリイミドフィルムは、1.74~1.81の屈折率を有することができる。
【0071】
本発明の他の実施例は、ポリアミック酸を製造する方法を提供する。
【0072】
本発明の他の実施例によれば、ポリアミック酸を製造する方法は、ジアミン溶液を製造する製造段階(S10)、及び、製造段階(S10)にて製造されたジアミン溶液に、モノマーサイズが1.5~4.0Åであるジアンヒドリドモノマーを添加して反応させる反応段階(S20)を含む。
【0073】
ジアミン溶液を製造する製造段階(S10)は、ジアミンモノマーを溶媒に添加して溶解させる段階を含む。ジアミンモノマーとして、モノマーサイズが2.8~3.5Åである第1モノマーを単独で使用することができる。また、ジアミンモノマーとして、モノマーサイズが2.8~3.5Åである第1モノマーに、モノマーサイズが1.5~1.8Åである第2モノマー及びモノマーサイズが2.3~2.6Åである第2モノマーのうちの1種以上が混合されたモノマーを使用してもよい。
【0074】
ジアミンモノマーは、モノマーサイズが1.5~1.8Åである第2モノマーを、ジアミンモノマーの総重量を基準に、10~40モル%の含量で含むことができる。この場合、ポリイミドフィルムの屈折率上昇の効果、及び、構造特性上、黄色度の増加の防止に有利であり得る。
【0075】
モノマーサイズが2.3~2.6Åである第2モノマーは、ジアミンモノマーの総重量を基準に、10~50モル%の含量で含むことができる。この場合、ポリイミドフィルムの屈折率上昇の効果、及び、構造特性上、黄色度の増加の防止に有利であり得る。
【0076】
溶媒として、m-クレゾール、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、ジエチルアセテート、ジエチルホルムアミド(DEF)、ジエチルアセトアミド(DEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)から選ばれる1種以上の極性溶媒を用いることができる。この他にも、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルムといった低沸点溶液、又はγ-ブチロラクトンといった低吸収性溶媒を使用してもよい。しかし、溶媒は、上記に言及した種類に限定されず、目的に応じて、単独で、或いは2種以上を使用してもよい。
【0077】
溶媒の含量に特別な限定はない。重合度及び工程の利便性のために、溶媒の含量は、全溶液の70~95重量%に調整することができ、より具体的に75~95重量%に調整することができる。
【0078】
次に、反応段階(S20)は、製造段階(S10)で製造されたジアミン溶液に、モノマーサイズが1.5~4.0Åであるジアンヒドリドモノマーを添加して反応させる段階である。
【0079】
反応段階(S20)において反応時の条件は特に限定されないが、反応時に、アルゴンや窒素などの不活性気体を使用することができ、反応温度は0~80℃であり、より具体的に60~80℃であり、反応時間は1~48時間であり、より具体的に1~5時間であり得る。反応段階(S20)が前記条件で行われると、ポリアミック酸の重合が十分になされ得る。
【0080】
このような製造方法で製造されたポリアミック酸から、ポリイミドフィルムを製造する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。ポリアミック酸をイミド化させる方法には、熱イミド化法と化学イミド化法がある。このうち、例えば、化学イミド化法を適用することができる。具体的に、化学イミド化法を実施した溶液を沈殿させてから、精製、乾燥後に再び溶媒に溶かして使用することができる。ここで、溶媒は、上記に言及した溶媒と同一であり得る。化学イミド化法は、ポリアミック酸溶液に、酢酸無水物などの酸無水物に代表される脱水剤と、イソキノリン、β-ピコリン、ピリジンなどの3級アミン類などに代表されるイミド化触媒を適用させる方法である。化学イミド化法と熱イミド化法を併用してもよく、加熱条件は、ポリアミック酸溶液の種類、フィルムの厚さなどによって変動しうる。
【0081】
化学イミド化法で製造されたポリイミドを、沈殿及び乾燥して粉末状のポリイミドを製造した後、粉末状のポリイミドを再び溶媒に溶解してポリイミド溶液にした後、ポリイミド溶液を支持体に塗布し、乾燥及び熱処理によって支持体上でフィルム化することによって、ポリイミドフィルムが得られる。塗布されたフィルムのフィルム化温度は、例えば、250~500℃でありうるのであり、支持体として、ガラス板、アルミ箔、循環ステンレスベルト、ステンレスドラムなどを使用することができる。
【0082】
フィルム化にかかる時間は、温度、支持体の種類、塗布されたポリイミド溶液の量、触媒の混合条件によって異なり、一定の時間に限定されない。例えば、5分~30分の範囲で行われ得る。
【0083】
熱処理温度は100~500℃の範囲で行うことができ、熱処理時間は100分~180分の範囲で行う。熱処理して乾燥及びイミド化を完了した後、支持体からポリイミドフィルムを剥離する。
【0084】
熱処理を終えたフィルムの残留揮発成分は5%以下であり、好ましくは3%以下である。
【0085】
得られるポリイミドフィルムの厚さは、特に限定されないが、10~100μmの範囲であり得る。
【0086】
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されないことは、当業界で通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0087】
<実施例1>
反応器として、撹拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた500ml反応器に、窒素を通過させながらN-メチル-2-ピロリドン(NMP)273.321gを満たした後に、第1モノマー成分であるtCHD 11.419gを溶解した。その後、ジアンヒドリドモノマーであるBPDA 29.422gを入れて70℃に昇温させた後、1.5時間維持した。その結果、固形分の濃度が13重量%であるポリアミック酸溶液を得た。反応終了後、得られた溶液をガラス板に塗布し、80℃の熱風で20分処理し、310℃までで硬化させた。その後、徐々に冷却してガラス板から分離し、ポリイミドフィルムを得た。ここで、使用されたtCHD及びBPDAは、分子モデリングプログラム ガウシアン09を用いてモノマーサイズを測定した結果、下表2の通りだった。
【0088】
<実施例2>
反応器として、撹拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた500ml反応器に、窒素を通過させながらN-メチル-2-ピロリドン(NMP)298.613gを満たした後に、第2モノマー成分であるpPDA 2.163gを溶解した。その後、第1モノマー成分であるtCHD9.135gを溶解した。その後、ジアンヒドリドモノマーであるBPDA 29.422gを入れて70℃に昇温させた後、1時間維持した。その結果、固形分の濃度が12重量%であるポリアミック酸溶液を得た。反応終了後、得られた溶液をガラス板に塗布し、80℃の熱風で20分処理して330℃までで硬化させた。その後、徐々に冷却してガラス板から分離し、ポリイミドフィルムを得た。ここで、使用されたpPDA、tCHD及びBPDAは、分子モデリングプログラム ガウシアン09を用いてモノマーサイズを測定した結果、下表2の通りだった。
【0089】
<実施例3>
反応器として、撹拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた500ml反応器に、窒素を通過させながらN-メチル-2-ピロリドン(NMP)298.170gを満たした後に、第2モノマー成分であるpPDA3.244gを溶解した。その後、第1モノマー成分であるtCHD7.993gを溶解した。その後、ジアンヒドリドモノマーであるBPDA 29.422gを入れて70℃に昇温させた後、1時間維持した。その結果、固形分の濃度が12重量%であるポリアミック酸溶液を得た。反応終了後、得られた溶液をガラス板に塗布し、80℃の熱風で20分処理し、310℃までで硬化させた。その後、徐々に冷却してガラス板から分離し、ポリイミドフィルムを得た。ここで、使用されたpPDA、tCHD及びBPDAは、分子モデリングプログラム ガウシアン09を用いてモノマーサイズを測定した結果、下表2の通りだった。
【0090】
<実施例4>
反応器として、撹拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた500ml反応器に、窒素を通過させながらN-メチル-2-ピロリドン(NMP)297.726gを満たした後に、第2モノマー成分であるpPDA4.326gを溶解した。その後、第1モノマー成分であるtCHD6.851gを溶解した。その後、ジアンヒドリドモノマーであるBPDA 29.422gを入れて70℃に昇温させた後、1時間維持した。その結果、固形分の濃度が12重量%であるポリアミック酸溶液を得た。反応終了後、得られた溶液をガラス板に塗布し、80℃の熱風で20分処理し、310℃までで硬化させた。その後、徐々に冷却してガラス板から分離し、ポリイミドフィルムを得た。ここで、使用されたpPDA、tCHD及びBPDAは、分子モデリングプログラム ガウシアン09を用いてモノマーサイズを測定した結果、下表2の通りだった。
【0091】
<実施例5>
反応器として、撹拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた500ml反応器に窒素を通過させながらN-メチル-2-ピロリドン(NMP)266.011gを満たした後に、第3モノマー成分である4ABA10.956gを溶解した。その後、第1モノマー成分であるtCHD8.222gを溶解した。その後、ジアンヒドリドモノマーであるBPDA35.306gを入れて70℃に昇温させた後、1時間維持した。その結果、固形分の濃度が17重量%であるポリアミック酸溶液を得た。反応終了後、得られた溶液をガラス板に塗布し、80℃の熱風で20分処理し、310℃までで硬化させた。その後、徐々に冷却してガラス板から分離し、ポリイミドフィルムを得た。ここで、使用された4ABA、tCHD及びBPDAは、分子モデリングプログラム ガウシアン09を用いてモノマーサイズを測定した結果、下表2の通りだった。
【0092】
<実施例6>
反応器として、撹拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた500ml反応器に窒素を通過させながらN-メチル-2-ピロリドン(NMP)269.352gを満たした後に、第3モノマー成分である4ABA12.326gを溶解した。その後、第1モノマー成分であるtCHD7.537gを溶解した。その後、ジアンヒドリドモノマーであるBPDA35.306gを入れて70℃に昇温させた後、1時間維持した。その結果、固形分の濃度が17重量%であるポリアミック酸溶液を得た。反応終了後、得られた溶液をガラス板に塗布し、80℃の熱風で20分処理し、310℃までで硬化させた。その後、徐々に冷却してガラス板から分離し、ポリイミドフィルムを得た。ここで、使用された4ABA、tCHD及びBPDAは、分子モデリングプログラム ガウシアン09を用いてモノマーサイズを測定した結果、下表2の通りだった。
【0093】
<実施例7>
反応器として、撹拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた500ml反応器に窒素を通過させながらN-メチル-2-ピロリドン(NMP)272.693gを満たした後に、第3モノマー成分である4ABA13.695gを溶解した。その後、第1モノマー成分であるtCHD6.851gを溶解した。その後、ジアンヒドリドモノマーであるBPDA35.306gを入れて70℃に昇温させた後、1時間維持した。その結果、固形分の濃度が17重量%であるポリアミック酸溶液を得た。反応終了後、得られた溶液をガラス板に塗布し、80℃の熱風で20分処理し、310℃までで硬化させた。その後、徐々に冷却してガラス板から分離し、ポリイミドフィルムを得た。ここで、使用された4ABA、tCHD及びBPDAは、分子モデリングプログラム ガウシアン09を用いてモノマーサイズを測定した結果、下表2の通りだった。
【0094】
<実施例8>
反応器として、撹拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた500ml反応器に窒素を通過させながらN-メチル-2-ピロリドン(NMP)297.282gを満たした後に、第2モノマー成分であるpPDA5.407gを溶解した。その後、第1モノマー成分であるtCHD5.710gを溶解した。その後、ジアンヒドリドモノマーであるBPDA 29.422gを入れて70℃に昇温させた後、1時間維持した。その結果、固形分の濃度が12重量%であるポリアミック酸溶液を得た。反応終了後、得られた溶液をガラス板に塗布し、80℃の熱風で20分処理し、310℃までで硬化させた。その後、徐々に冷却してガラス板から分離し、ポリイミドフィルムを得た。ここで、使用されたpPDA、tCHD及びBPDAは、分子モデリングプログラム ガウシアン09を用いてモノマーサイズを測定した結果、下表2の通りだった。
【0095】
<実施例9~19>
実施例2と同様の方法で、表1の含量によって、ジアミン成分とジアンヒドリド成分を用いてポリイミドフィルムを製造し、これを実施例9~17とした。
【0096】
また、ジアミンモノマーとしてtCHD、pPDA及び4ABAを使用し、ジアンヒドリドモノマーとしてBPDAを使用してポリイミドフィルムを製造し、これを実施例18とした。ジアミンモノマーとしてtCHD、pPDA及び4ABAを使用し、ジアンヒドリドモノマーとしてPMDAを使用してポリイミドフィルムを製造し、これを実施例19とした。
【0097】
実施例18及び19では、ジアミンモノマー溶液の製造段階において、pPDAと4ABAをまず溶解し、次いでtCHDを溶解した。
【0098】
実施例1~19によるモノマー組成は、表1の通りである。実施例1~19で使用された各成分のモノマーサイズは、表2の通りである。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
<比較例1>
反応器として、撹拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた500ml反応器に、窒素を通過させながらN-メチル-2-ピロリドン(NMP)295.064gを満たした後にpPDA10.814gを溶解した。その後、BPDA 29.422gを入れて15時間反応した。その結果、固形分の濃度が12重量%であるポリアミック酸溶液を得た。反応終了後、得られた溶液をガラス板に塗布し、80℃の熱風で20分処理して380℃までで硬化させた。その後、徐々に冷却してガラス板から分離し、ポリイミドフィルムを得た。
【0102】
<比較例2>
反応器として、撹拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた500ml反応器に、窒素を通過させながらN-メチル-2-ピロリドン(NMP)280.597gを満たした後に4ABA25.108gを溶解した。その後、BPDA32.364gを入れて15時間反応した。その結果、固形分の濃度が17重量%であるポリアミック酸溶液を得た。反応終了後、得られた溶液をガラス板に塗布し、80℃の熱風で20分処理し、310℃までで硬化させた。その後、徐々に冷却してガラス板から分離し、ポリイミドフィルムを得た。
【0103】
上記の実施例1~19及び比較例1~2で製造されたポリイミドフィルムを、下記の方法で物性を評価し、その結果を下表3に示した。
【0104】
(1)透過度測定
UV分光計(コニカミノルタ、CM-3700d)を用いて550nmで透過度を3回測定し、平均値を表1に記載した。
【0105】
(2)黄色度(Y.I.)測定
UV分光計(コニカミノルタ、CM-3700d)を用いてASTM E313規格で黄色度を測定した。
【0106】
(3)熱膨張係数(CTE)測定
TMA(TA Instrument社、Q400)を用いてTMA法によって2回にわたって50~250℃における線形熱膨張係数を測定した。試験片の大きさは4mm×24mm、荷重は0.02N、昇温速度は5℃/minとした。
【0107】
フィルムを製膜し、熱処理によってフィルム内に残留応力が残っていることがあるので、最初の作動(Run)で残留応力を完全に除去した後、2回目の値を実測定値として提示した。
【0108】
(4)屈折率測定
複屈折分析機(Prism Coupler、Sairon SPA4000)を用いて532nmでTE(Transverse Electric)モードで測定した。
【0109】
【表3】
【0110】
前記表1に見られるように、実施例1~8は、2.8~3.5Åサイズであるモノマーを含むジアミン(tCHD)、及び、1.5~4.0Åサイズであるモノマーを含むジアンヒドリド(BPDA)を含むものであり、2.8~3.5Åサイズのモノマーを含むジアミンを含まない、比較例1及び2に比べて、優れた物性を有することが確認された。一方、比較例1及び2で製造されたフィルムの場合、屈折率が高すぎ、装備の測定限界を超えたため、屈折率が測定されなかった。
【0111】
このことから、黄色度、透過度、熱膨張係数、屈折率の全ての物性を満たすためには、実施例1~19のように本発明の構成を満たさなければならないことが分かった。
【0112】
図2は、本発明のさらに他の実施例による表示装置の概略断面図である。
【0113】
本発明のさらに他の実施例による表示装置は、基板110、薄膜トランジスター200、及び薄膜トランジスター200に連結された有機発光素子270を含む。
【0114】
図2を参照すると、表示装置は、基板110、基板110上に配置された薄膜トランジスター200、薄膜トランジスター200に連結された第1電極271を含む。また、表示装置は、第1電極271上に配置された有機発光層272、及び有機発光層272上に配置された第2電極273を含む。図2に示す表示装置は、有機発光表示装置である。
【0115】
基板110はプラスチックで作製され得る。具体的に、基板110は、本発明の一実施例によるポリイミド樹脂又はポリイミドフィルムで作ることができる。
【0116】
基板110上にバッファ層121が配置される。また、基板110とバッファ層121との間には、光遮断層180が配置され得る。
【0117】
薄膜トランジスター200は、基板110上のバッファ層121上に配置される。薄膜トランジスター200は、バッファ層121上の半導体層130、半導体層130と絶縁され、半導体層130の少なくとも一部と重なるゲート電極140、半導体層130に連結されたソース電極150、及び、ソース電極150と離隔して半導体層130に連結されたドレイン電極160を含む。
【0118】
図2を参照すると、ゲート電極140と半導体層130との間にゲート絶縁膜122が配置される。ゲート絶縁膜122は、本発明の一実施例によるポリイミド樹脂又はポリイミドフィルムで作ることができる。
【0119】
平坦化膜190は薄膜トランジスター200上に配置され、基板110の上部を平坦化させる。平坦化膜190は、本発明の一実施例によるポリイミド樹脂又はポリイミドフィルムで作ることができる。
【0120】
第1電極271は平坦化膜190上に配置される。第1電極271は、平坦化膜190に設けられたコンタクトホールを通じて薄膜トランジスター200のドレイン電極160に連結される。
【0121】
バンク層250は第1電極271及び平坦化膜190上に配置され、画素領域又は発光領域を定義する。例えば、バンク層250が複数の画素間の境界領域にマトリックス構造で配置されることにより、バンク層250によって画素領域が定義され得る。バンク層250は、本発明の一実施例によるポリイミド樹脂又はポリイミドフィルムで作ることができる。
【0122】
有機発光層272は第1電極271上に配置される。有機発光層272はバンク層250上にも配置され得る。
【0123】
有機発光層272は、1つの発光層を含んでもよく、上下に積層された2つの発光層を含んでもよい。このような有機発光層272からは、赤色、緑色及び青色のいずれか一つの色を有する光が放出されてもよく、白色(White)光が放出されてもよい。
【0124】
第2電極273は、有機発光層272上に配置される。
【0125】
第1電極271、有機発光層272及び第2電極273が積層されて有機発光素子270をなすことができる。
【0126】
図示してはいないが、有機発光層272が白色(White)光を発光する場合、個別の画素は有機発光層272から放出される白色(White)光を波長別にフィルタリングするためのカラーフィルターを含むことができる。カラーフィルターは、光の移動経路上に形成される。
【0127】
本発明の実施例によるポリイミド系フィルムは、図2に示す表示装置の発光面をカバーするウィンドウとして適用可能である。
図1
図2