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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】固体酸化物燃料電池のためのアノード
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/86 20060101AFI20220316BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20220316BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20220316BHJP
   H01M 8/1226 20160101ALI20220316BHJP
   H01M 8/0637 20160101ALI20220316BHJP
   B01J 23/83 20060101ALI20220316BHJP
   C01B 3/40 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
H01M4/86 T
H01M4/86 U
H01M4/88 T
H01M8/12 101
H01M8/1226
H01M8/0637
B01J23/83 M
C01B3/40
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019530760
(86)(22)【出願日】2017-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 GB2017053681
(87)【国際公開番号】W WO2018104736
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】1620848.0
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516060716
【氏名又は名称】シーリーズ インテレクチュアル プロパティ カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】ロバート リア
(72)【発明者】
【氏名】エバ-マリア ハマー
(72)【発明者】
【氏名】アダム ボーン
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-067472(JP,A)
【文献】特開2016-165712(JP,A)
【文献】特開2013-014820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86- 4/98
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体酸化物燃料電池(SOFC)のためのアノードであって、前記アノードが、
ドープされた金属酸化物を含むマトリックスと、
電極触媒と
を含み、
前記電極触媒が、前記マトリックスによって支持された多孔質粒子を含み、前記多孔質粒子が、前記多孔質粒子の孔内部に捕捉された水蒸気改質触媒材料を含有する、
固体酸化物燃料電池(SOFC)のためのアノード。
【請求項2】
前記水蒸気改質触媒材料が、Fe,Co,Ru,Ni,Rh,Pt,Pd、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のアノード。
【請求項3】
前記水蒸気改質触媒材料がニッケルである、請求項2に記載のアノード。
【請求項4】
前記ドープされた金属酸化物が導電性セラミック材料である、請求項1から3までのいずれか1項に記載のアノード。
【請求項5】
前記導電性セラミック材料が、ペロブスカイトランタンストロンチウムクロマイト(LSCr)、ランタンストロンチウムクロムマンガナイト(LSCrM)及びドープされたストロンチウムチタネートから選択される、請求項4に記載のアノード。
【請求項6】
前記ドープされた金属酸化物が希土類ドープセリアである、請求項1からまでのいずれか1項に記載のアノード。
【請求項7】
前記ドープされた金属酸化物が、ガドリニウムドープセリア(CGO)、サマリウムドープセリア、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項6に記載のアノード。
【請求項8】
前記多孔質粒子の孔径が1μm未満である、請求項1からまでのいずれか1項に記載のアノード。
【請求項9】
前記多孔質粒子の孔径が1nm~500nmの範囲内である、請求項8に記載のアノード。
【請求項10】
前記多孔質粒子が、前記マトリックスよりも高い有孔率のものである、請求項1からまでのいずれか1項に記載のアノード。
【請求項11】
前記多孔質粒子の孔の表面が複数の活性金属触媒ナノ粒子で被覆されている、請求項1から10までのいずれか1項に記載のアノード。
【請求項12】
前記多孔質粒子が前記マトリックス全体を通して分散されている、請求項1から11までのいずれか1項に記載のアノード。
【請求項13】
アノードマトリックス材料の総アノードの90重量%以下が、水蒸気改質触媒材料を含有する多孔質粒子を含む電極触媒で置き換えられている、請求項1に記載のアノード。
【請求項14】
水蒸気改質触媒材料を含有する前記多孔質粒子が、総アノードの重量に基づいて、5~70重量%の範囲内で存在する、請求項1から13までのいずれか1項に記載のアノード。
【請求項15】
水蒸気改質触媒材料を含有する前記多孔質粒子が、総アノードの重量に基づいて、10~60重量%の範囲内で存在する、請求項14に記載のアノード。
【請求項16】
前記多孔質粒子が希土類ドープセリアを含む、請求項1から15までにいずれか1項に記載のアノード。
【請求項17】
前記多孔質粒子がプラセオジミウムドープセリア(PDC)を含む、請求項16に記載のアノード。
【請求項18】
前記マトリックスが5重量%~70重量%の範囲内の水蒸気改質触媒材料をさらに含、請求項1から17までのいずれか1項に記載のアノード。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか1項に記載のアノードを作るための組成物であって、前記組成物が、
ドープされた金属酸化物を含むマトリックス前駆体と、
電極触媒と
を含み、
前記電極触媒が、多孔質粒子の孔内部に捕捉された水蒸気改質触媒材料を含有する多孔質粒子を含む、
アノードを作るための組成物。
【請求項20】
請求項1から18までのいずれか1項に記載のアノードを作るための方法であって、
i) 請求項19に記載の組成物を基板に適用し、
ii) 前記組成物材料を焼結する
工程を含む、方法。
【請求項21】
請求項1から18までのいずれか1項に記載のアノードを含む、固体酸化物燃料電池。
【請求項22】
前記アノードが、金属支持型固体酸化物燃料電池のためのものであり、金属支持基板上に設けられる、請求項21に記載の固体酸化物燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物燃料電池電極、具体的には固体酸化物燃料電池アノード、前記アノードの製造に際して使用される組成物、前記アノードの形成方法、前記アノード内に使用される電極触媒、及び固体酸化物燃料電池アノード内の前記電極触媒の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物燃料電池(solid oxide fuel cell: SOFC)は、燃料ガスから発電する効率的な手段を提供する。SOFCは、固体電解質材料によって分離されたアノードとカソードとから成る。燃料ガス及び空気を、高温でそれぞれアノード及びカソードを通過させることにより電気を生成する。種々の燃料電池アーキテクチャが存在する。特に好ましいSOFCデザインは、金属支持型固体酸化物燃料電池、例えば英国特許GB1476647号明細書に開示されたものである。
【0003】
SOFCにおいて使用されるアノードは典型的には、しばしばニッケルを含有する導電性セラミック材料、例えばサーメットを含む。燃料が電解質と連通するのを可能にするのに充分な多孔性をアノードが有することも重要である。電解質において燃料はカソード側から移動する酸素イオンと合体することができる。
【0004】
従来型のSOFCサーメットアノードは、電子伝導性金属相(通常はニッケル又はニッケル合金)と、通常は電解質材料から形成されたセラミック相との多孔質混合物から成る。電極触媒活性が高い低コストの好適な金属(すなわち貴金属でない)は通常、遷移金属(Ni,Fe,Cu,Co)である。遷移金属はSOFC動作温度下で、電池への燃料及び空気の供給に基づいて還元され酸化されることになる。酸化及び還元のこのような繰り返しは、これと関連する体積の変化に基づき、そして還元時に金属酸化物がしばしばその元の形状に戻らないという事実に基づき、しばしば破壊的である。いくつかのシステムは酸化銅を使用する。酸化銅は、このプロセスに対する電池の耐容性を改善するために焼結助剤として使用される。これは、Ceres Power Steel Cellのデザインに基づくアーキテクチャを有する電池に当てはまる(例えば国際公開第02/34628号パンフレット参照)。
【0005】
しかしながら、動作中にアノードの微細構造変化が生じるので(特に表面拡散によって金属粒子間のネックが徐々に失われる)、動作中、酸化還元安定性が徐々に損なわれ、その結果最終的に故障するという懸念がある。加えて、誤って不充分な燃料によって電池を動作させると、ほとんどの場合、アノード/電解質集成体の層間剥離によって壊滅的な故障が生じる(層間剥離がアノード/電解質界面で発生するのか、アノード自体内で発生するのかはあまり明らかではない)。従って、より堅牢なセラミックバックボーン構造が望ましい。アノード内のNi含量を減らすと、酸化還元サイクル時の劣化速度を遅くすることができるが、しかしこれと同時に電池性能も著しく低下する。
【0006】
長期にわたって安定なアノードが、アノード雰囲気の変化による影響を及ぼされることのない多孔質セラミックとしてアノード主構造相を有するとともに、アノードにおける金属占有率が著しく低いことが理想的である。このようなデザインは典型的には、金属相を含まないセラミックバックボーン構造を焼結し、次いで金属塩溶液の浸透によって金属を後から添加し、これに続いて乾燥及び焼成を施すことにより達成される。
【0007】
残念ながら、これらの構造は、大量生産するには現実的でない。それというのも典型的には、充分な金属を構造内へローディングするためには多数回の浸透が必要となるからである。加えて、これらの構造は、ナノスケールの金属粒子を急速に焼結することに起因して不安定になり、導電性を損なうおそれがある。
【0008】
欧州特許出願公開第0 996 184号明細書は、高性能固体酸化物燃料電池アノードの一例である。このアノードはアノードの多孔質微細構造内へニッケルを含浸することにより製造される。アノードはニッケル、並びに、大きい表面積を保持するのを保証するためにニッケル金属の粗大化に抵抗するように構成された薬剤を含む。
【0009】
英国特許第1,186,493号明細書に開示された電極は、固体電解質燃料電池のための種々異なる材料を使用して製造されている。このことは、酸化プラセオジミウムと、酸化ニッケルと、酸化クロムとを含有する混合酸化物層を使用することを含む。これはまた主としてカソードを対象にしている。
【0010】
米国特許第6,319,626号明細書には、数ある元素の中でもプラセオジミウムの遷移金属ペロブスカイトを基材とする高性能電極触媒が記載されている。遷移金属ペロブスカイトはイットリウム安定化ジルコニアと反応させられる。
【0011】
米国特許出願公開第2015/0244001号明細書には、プラセオジミウムで被覆されたCGO粒子を含むカソードの製造方法が開示されている。
【0012】
従って、必要とされるのは、セル内部の反応を触媒する優れた導電特性を有するアノードであって、アノードが酸化還元サイクルによる顕著な体積変化を被らないアノードである。電池の有効寿命を改善するためにニッケル使用量を低減するが、しかしこの場合アノードの導電性を犠牲にしないようにすることも望ましい。
【0013】
この従来型のアノード構造の主な欠点は、次の通りである。
(1) 電池が動作温度にあるときに燃料の供給が停止されると、金属相が再酸化する(関連する体積拡張を伴う)傾向がある。このことはアノードの構造を破壊し、電池を故障させるおそれがあるものの、英国GB1315744.1号及び英国GB1315746.6号(参照することにより本明細書中に援用する)に開示されているように、重篤なセル損傷が発生する前に燃料供給が何百回も断たれるのを可能にするほど充分にこれに対して耐性を有するアノード微細構造を形成することが可能である。
(2) 内部表面積が比較的小さく、その結果触媒活性が低くなる。
【0014】
本発明はこれらの問題点を克服するか、又は少なくとも改善することを意図する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様では、固体酸化物燃料電池(SOFC)のためのアノードであって、前記アノードが、ドープされた金属酸化物(doped metal oxide)を含むマトリックスと、電極触媒とを含み、前記電極触媒が、水蒸気改質触媒材料を含有する多孔質粒子を含む、固体酸化物燃料電池(SOFC)のためのアノードが提供される。
【発明の効果】
【0016】
驚くべきことに、アノード材料中に多孔質粒子を介して水蒸気改質触媒材料を導入することによって、このことがSOFCの効率を改善し、そしてより低い水蒸気改質触媒材料含量を使用して同等又はより高い電池性能が達成されるのを可能にすることを、発明者は見いだした。上述のように、アノード構造全体を通して連続的且つ高有孔度の孔を導入し、次いで触媒材料を多孔質マトリックス内へ含浸することは難しい。しかしながら、多孔質粒子(典型的にはアノード材料自体よりも有孔率が高い)を導入することにより、工業的に再現可能な方法でより高い有孔率を工学的にもたらすることが可能である。理論に縛られずに言えば、多孔質粒子内部に水蒸気改質触媒を「捕捉する(entrapping)」ことによって、このことが連続酸化還元サイクルを通して水蒸気改質触媒材料によって加えられる歪みを低減するのを助けると思われる。それというのも、多孔質粒子が、水蒸気改質触媒材料が構造変化を被るのに伴う変形に抵抗するからである。
【0017】
水蒸気改質触媒材料はいずれか1種の物質に具体的に制限されるものではない。しかしながら、典型的には水蒸気改質触媒材料は金属、最も典型的には、Mn,Fe,Co,Cu,Ru,Ni,Rh,Pt,Pd,Au、又はこれらの組み合わせから成る群から選択された元素を含む金属を含む。水蒸気改質触媒材料は最も典型的には金属であり、且つ/又は典型的には本明細書中に挙げられたもののうちの少なくとも1種を含む異なる金属の合金である。多くの場合、水蒸気改質触媒材料は、Fe,Co,Ru,Ni,Rh,Pt,Pd、又はこれらの組み合わせから成る群から選択される。それというのもこれらは良好な触媒活性を有しているからである。これらの化合物のうち、Fe,Co,Ni,及びこれらの組合せが特に好ましい。それというものこれらは水蒸気改質において良好な触媒特性を示し、容易に入手可能であり、そして単純な技術を用いて多孔質「キャリア」粒子内へ導入することができるからである。多くの場合水蒸気改質触媒はニッケルを含む。それというのもニッケルは、水蒸気改質プロセスにおいて最適な触媒特性を有することが判っているからである。
【0018】
水蒸気改質触媒はMg(マグネシウム)及び/又はAl(アルミニウム)を含んでもよい。これらの元素は、触媒金属分散体の安定性を改善することが判っている。
【0019】
水蒸気改質触媒材料は触媒粒子の孔内部に捕捉される。すなわち、酸化還元に関連する体積変化の結果としてアノード微細構造全体が変化することはない。含浸された触媒粒子は大きい比表面積(典型的には従来型の多孔質アノードよりも大きい)を有しており、これにより特にメタンの水蒸気改質のためにより高い触媒活性をもたらす。
【0020】
本明細書中に使用される「マトリックス(matrix)」という用語は、多孔質粒子を支持するアノード部分を意味するものとする。マトリックスはドープされた金属酸化物を含むものの、他の成分を含んでもよく、同質又は異質の材料層を形成してよい。このマトリックス全体を通して他のアノード成分が(均一又は不規則に)分配されてよく、且つ/又は前記成分がマトリックスの表面の部分又は全てに担持されてよい。
【0021】
典型的には、ドープされた金属酸化物は導電性セラミック材料である。それというのもこのような材料は固体酸化物燃料電池の動作条件に適しているからである。典型的には、導電性セラミック材料は希土類ドープセリア(rare-earth doped ceria)である。このような材料はSOFC動作条件下で安定であるだけでなく、良好な電気特性及び構造特性をもたらし、そして基板、特に金属基板に良好に取り付けることができる。さらに、多くの場合、希土類ドープセリアは、ガドリニウムドープセリア、サマリウムドープセリア、又はこれらの組み合わせから選択される。具体的には、希土類ドープセリアはガドリニウムドープセリア(CGO)である。
【0022】
誤解を避けるために述べるならば、「金属(metal)」又は特定の金属、例えば本明細書中に使用されるニッケル(nickel)に言及する場合、これは、反対のことを指定するのではない限り、元素金属自体を含む、前記金属を含む任意の化合物又は合金(例えば酸化ニッケル)に範囲が及ぶものとする。多孔質粒子の内部面に被着された水蒸気改質触媒材料は1種又は2種以上の触媒材料、又は他の添加剤を含むことにより、水蒸気改質触媒の特性を改善することができる。例えばコバルト-ニッケル合金を使用するか、又はコバルトとニッケルとの単純混合物を使用してよい。
【0023】
多孔質粒子は孔径が1μm未満であり、通常は1nm超である。典型的には、多孔質粒子の孔径は1nm~500nmである。通常は多孔質粒子はメソポーラス粒子である。典型的には孔径は1nm~200nm、より典型的には1~100nm、さらにより典型的には1nm~80nm、そしてさらにより典型的には1nm~50nmである。本明細書中で使用される「メソポーラス(mesoporous)」という用語は、孔径が2nm~50nmであることを意味するものとする。孔径はしばしば5~30nmであり、10nm~20nmであってよい。
【0024】
水蒸気改質触媒材料をアノードマトリックス内へ直接に導入するのではなく、水蒸気改質触媒材料を多孔質粒子内へ導入することにより、性能を改善することができ、且つ/又はより少ない水蒸気改質触媒材料を使用して同等の性能を達成することができる。孔径が小さければ小さいほど、典型的には表面積は大きくなり、ひいては水蒸気改質触媒のための活性表面も大きくなる。このアプローチの付加的な利点は、SOFC動作条件下で安定である種々様々な多孔質粒子が存在し、ひいてはバルク材料(典型的には粒子を支持するマトリックス)と同様に粒子組成が制限されないことである。しかしながら、粒子は典型的にはアノード条件下では電子伝導性且つ/又はイオン伝導性である。粒子は、印刷用組成物中に組み込むこともできる。このことは現行の工業的加工技術を改変する必要を回避する。
【0025】
多くの場合、多孔質粒子はマトリックス全体を通して分散される。典型的には、分布はほぼ均一である。それというのも、アノード材料を1つの工程で印刷することが(多層アノードを構築するよりも)しばしば好ましいからである。とはいうものの、分布が均一であることは必要というわけではなく、粒子はアノードの表面上に被膜(coating)を形成することもできる。
【0026】
多孔質粒子がSOFC動作条件に耐えるのに充分に堅牢であり、且つ変形しないか、又は変形に対して少なくとも実質的に抵抗性であることにより、多孔質粒子が反復SOFC動作サイクルを通してこれらの多孔質構造を維持し得るものであれば、本発明において使用することができる粒子のタイプに具体的な制約はない。典型的には、多孔質粒子はサーメットである。それというのも、サーメットはマトリックス材料との適合性を改善し、有用な電気特性及び熱特性を提供するからである。多くの場合、多孔質粒子はマトリックスとは異なる材料から形成されている。種々異なる材料の混合物を使用して触媒担持粒子を製作することができ、そして2種以上のタイプの触媒担持粒子を使用することもできる。
【0027】
これらの材料のうち、多くの場合、多孔質粒子はプラセオジミウムドープセリア(PDC)を含む。PDCは自動車産業において、他の触媒との組み合わせにおいてNOガスを除去する際に広く使用される。PDCは、これをSOFCと一緒に使用するのに適したものにする特性の最適な組み合わせを所有することが判っている。本発明のアノードを含むSOFCが使用される場合(具体的にはPDCを採用するアノード)、SOFCは著しい損傷(例えば、SOFC動作が突然中止される状況でしばしば引き起こされる層間剥離)を被った後でさえ、その活性のほとんどをまだ維持できることが驚くべきことに判っている。
【0028】
水蒸気改質触媒を含有する多孔質粒子がSOFCアノードとともに使用されると、より高い内部改質速度が観察されることも判っている。このことは結果として、いかなる所与の燃料利用時にも水素の利用可能性を高める。このことは電池に対する応力を軽減し、局部的な燃料欠乏のリスクを冒すことなしに、燃料利用度がより高い時の劣化を低減し且つ/又は動作を可能にする。理論に縛られずに言えば、電池のより高い内部改質能力は、活性表面積が著しく増大していることによって説明し得ると考えられる。
【0029】
SOFCアノード内に提供された好ましい水蒸気改質触媒(例えば1つの好ましい実施態様ではニッケル)が(それぞれ酸化物形態と金属形態との間で)頻繁な酸化及び還元を被るにもかかわらず、典型的には電極触媒は、水蒸気改質触媒材料の酸化物(例えば酸化ニッケル)を含有する(上記のような)多孔質粒子を含む。これは特に初期製作プロセス中に当てはまる。
【0030】
多孔質粒子内へ導入される水蒸気改質触媒材料(例えば1つの形態又は別の形態のニッケル)は典型的には、可溶化塩、最も典型的には金属塩(水蒸気改質触媒材料が金属の場合)として多孔質粒子内へ導入される。これを多孔質粒子へ添加し、次いで乾燥させ(そして典型的には焼成して金属塩を金属酸化物に分解する)ことによって、多孔質粒子を水蒸気改質触媒及び任意のその他の添加剤で被覆する。当業者にはよく知られているように、このような浸透法及び多数の応用を実施することにより、多孔質粒子の内部構造のほぼ完全な被覆を保証することができる。
【0031】
典型的には、インシピエントウェットネス含浸技術を用いて、触媒的に活性な材料を上記多孔質粒子内へ組み入れる。しかしながら触媒担体の含浸分野においてよく知られている他の技術を用いてもよい。例えば、金属触媒によって、イオン交換のような技術を原則的に用いてもよい。
【0032】
マトリックスはさらに、焼結助剤、導体、触媒材料、バインダー、分散剤、又はこれらの組み合わせから選択された1種又は2種以上の成分を含むこともできる。これらの材料のうちのいくつかは焼結プロセス中に除去される(例えばバインダー及び分散体)が、しかしマトリックスが形成される起源となる組成物に有用な機能を提供する。
【0033】
例えば、マトリックスはさらに、多孔質粒子に結合されているだけではなく、上述のような水蒸気改質触媒材料を「遊離」した状態で含むこともできる。例えば、多孔質粒子内へ既に導入されたものに加えて、ニッケル化合物、例えば酸化ニッケル又は金属ニッケルをマトリックスに直接に添加することができる。上述のように、水蒸気改質触媒材料は典型的には酸化物、例えば酸化ニッケルの形態を成している。多くの金属水蒸気改質触媒はマトリックス(ほとんどが金属であるので)の導電特性を改善し、そして燃料の内部改質を促進する。従って、何らかの水蒸気改質触媒材料をマトリックス内へ導入することにより導電性を増強することが望ましい場合がある。使用される水蒸気改質触媒材料(又はその酸化物)の量は特に制限されない。しかしながら、特性の最良のバランスを達成するために、典型的には、マトリックスの水蒸気改質触媒材料含量は総アノードの約80重量%以下、より典型的には約75%以下、さらにより典型的には5重量%~70重量%、さらにより典型的には10重量%~60重量%、さらにより典型的には20重量%~55重量%である。通常は、水蒸気改質触媒材料含量は10重量%~50重量%、より多くの場合には15%~45%、より典型的には20%~40%、そしていくつかの事例では25%~35%となる。
【0034】
マトリックス材料に添加される水蒸気改質触媒の代わりに、又はこれに加えて、マトリックスはさらに他の導体(金属又は非金属)を含むことにより、アノードのコンダクタンスを改善することができる。これは非触媒材料を含む。例えば組成物中に銅合金を導入することができる。数多くの他の触媒材料(例えば貴金属又は他の触媒活性遷移金属)を使用して、燃料電池内部の他の反応を触媒し(例えば望ましくない副生成物の分解を促進する)、且つ/又は水蒸気改質触媒材料の特性を向上させることもできる。最も典型的には、いずれの付加的導体もセラミック導体となる。それというのもこれらはより高い酸化還元安定性を有する傾向があり、そしてアノード材料と同様にSOFC条件に反応するからである。このことは付加的な利点を有することもできる。それというのも、いくつかのセラミック導体はそれ自体がなんらかの電極触媒活性を提供することが知られているからである。アノード又はSOFCの活性又は安定性を過度に犠牲にしないものであるならば、前記導体の量又は選択肢には具体的な制約はない。水蒸気改質触媒材料の低減全体を補償するために、「非水蒸気改質触媒材料」導体を利用すると、より高い酸化還元安定性の導体が使用可能になり、そして酸化還元サイクル中に電池に加えられる機械的歪みが最小化される。
【0035】
安定性、及び耐炭素形成性又は耐触媒毒性を改善するために、水蒸気改質触媒材料に加えて、他の材料、例えばモリブデン、マグネシウム、アルミニウム、及びこれらの酸化物を原則的に添加することができる。
【0036】
マトリックス材料内部には種々の他の添加剤が含まれてよい。例えば、マトリックスはさらに焼結助剤を含むことにより、燃焼するとアノード内部に最適な構造が得られるのを保証することができる。一例としては、組成物は銅、典型的には酸化銅を含んでよい。本明細書中で「銅(copper)」に言及する際には、これは、特に断りのない限り、銅金属を含む、銅を含む化合物又は合金を意味するものとする。
【0037】
下記実施例から明らかなように、水蒸気改質触媒材料(例えばニッケル)を含有する多孔質粒子をSOFCアノード内へ導入すると、性能が改善されるものの、余りにも多量に添加すると、アノードの酸化還元安定性に不都合な影響を及ぼすことがある。従って、典型的には、所定量のアノードマトリックス材料だけが、水蒸気改質触媒材料を含有する多孔質粒子と置き換えられる。典型的には、水蒸気改質触媒材料を含有する多孔質粒子のレベルは、総アノードの90重量%以下、より典型的には80%以下、さらにより典型的には75%以下、さらにより典型的には5~70重量%、そしてさらにより典型的には10~60重量%となる。水蒸気改質触媒材料を含有する多孔質粒子は15~50重量%、より多くの場合には20~40重量%、そしてさらにより典型的には25~30重量%となる。
【0038】
典型的には、アノードは、金属支持型固体酸化物燃料電池のためのものである。典型的には金属基板は鋼であり、より典型的にはフェライト系ステンレス鋼である。本発明が適合性を有する好適なSOFCの一例は、例えば国際公開第02/35628号パンフレット(具体的には第8~13頁及び添付の図面に開示された特定の実施態様)に記載されたCeres Power 「Steel Cell」のSOFCである。
【0039】
本発明の第2態様では、本発明の第1態様に基づくアノードを作るための組成物であって、前記組成物が、ドープされた金属酸化物を含むマトリックス前駆体と、電極触媒とを含み、前記電極触媒が、水蒸気改質触媒材料を含有する多孔質粒子を含む、アノードを作るための組成物が提供される。
【0040】
「マトリックス前駆体(matrix precursor)」という用語は、上記マトリックスを製造するために最終的に使用される組成物を形成する成分の集合を表すものとする。硬化されると、結果として得られるマトリックスは、本発明の第1態様に記載されたマトリックスとなる。マトリックス前駆体をマトリックスから区別する主要な付加的成分は、組成物が効果的に印刷されるのを可能にする溶媒の存在である。
【0041】
水蒸気改質触媒のためのキャリアとして多孔質粒子を利用することにより、そして前記粒子を組成物中に組み込むことにより、改善された多孔性と上記特性とを有するアノードを前記組成物から製造することができる。固体酸化物燃料電池を、例えば印刷技術を用いてどのように製造するかは当業者には明らかである。それというのもこのような仕方は当業者によく知られているからである。手短に言えば、適宜の基板上にインクが堆積され、そしてインクからの溶媒が蒸発させられることにより、被膜が後に残される。この被膜は通常は1つ又は2つ以上の焼結工程後に導電性セラミックアノードとして作用する。
【0042】
組成物は、アノード製造をより良好に促進するように組成物の特性を改善するための種々の添加剤を含んでよい。例えば、分散体を添加することにより、貯蔵中、輸送中、及び製造中に組成物内部に材料が凝集するのを防止することができる。組成物のレオロジーを改質するための化合物を添加することにより、組成物の流れを改善することができる。処理前の成分の溶解性を改善するための溶媒、及び他の材料を、当業者によく知られているように添加することもできる。
【0043】
本発明とともに使用することができる添加剤の一例としては、顔料(例えば金属酸化物顔料)、ポリマーバインダー、凝集を防止して金属酸化物粉末を安定化させるための分散剤、組成物内部の気泡を不安定化し、印刷された層をレベルアウトしてほぼ平らな表面にするのを助けるための湿潤剤/消泡剤が挙げられる。
【0044】
組成物はさらに1種又は2種以上の溶媒を含んでよい。これは、電極層を印刷するときに特に有用である。それというのもこれは種々の成分がほぼ均質に合体されるのを可能にし、溶媒は電極材料(典型的にはアノード)を形成するためにスラリーを乾燥させることにより除去することができるからである。多くの場合、組成物はインクの形態を成して提供される。
【0045】
スラリー/インク中に使用される溶媒は、無機顔料を有するスクリーン印刷インクを形成するのに適した種々様々な溶媒から選択されてよいが、しかし低揮発性の溶媒(従ってインクは堆積前に乾燥することはない)、制限された極性を有する溶媒、及びインクに所要のレオロジー特性を与えるために必要となるポリマーとの良好な適合性を有する溶媒となることもしばしばある。好適な溶媒の一例としては、テキサノール(Texanol)(2,2,4-トリメチル1,3ペンタンジオールモノイソブチレート)、テルピネオール、ブチルカルビトール、水、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらのうち、水は最も好ましくない。それというのも、金属酸化物粉末の分散は、水と粒子表面上のヒドロキシド基との間に水素結合が形成されることに起因して難しく、粒子凝集を引き起こすからである。
【0046】
スラリーは次いでいくつかの例では、典型的にはアトリッションミルによって粉砕することによって、ドープされたセリア粉末粒径、及び存在する任意の焼結助剤の粒径を低減することができる。このことは、電極触媒粒子のサイズ、及び電極触媒粒子の活性に対する影響に応じて、電極触媒の組み込みの前又は後に行われる。任意には、粉砕は二峰性粒径分布を提供することもでき、この場合主要ピークはほぼ0.15μm、しばしば0.1~0.4μm、又は0.15~0.35μmであり、そして二次ピークはほぼ1.0μm、しばしば0.5~1.5μm、又は0.75~1.25μmであってよい(テキサノール中に分散された粉末をMalvern mastersizerを使用して測定)。粉砕プロセスはまた、ドープされたセリア粉末と一緒に存在するいかなる焼結助剤をも均質に分散するという利点も有している。焼結助剤は存在するならば多くの場合、しばしば粒径がサブミクロンレベル、例えば0.1~0.9μm、しばしば0.3~0.6μmに低減される。
【0047】
従って、任意には二峰性粒径分布を形成するためにスラリーを粉砕する付加的な工程が考えられる。好適な粉砕プロセスの一例としてはビードミリング、振動ミリング、バスケットミリング、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら全ては、極めて硬質のセラミックビードをスラリーに添加し、そしてビードが互いに連続的に衝突するように機械エネルギーを加え、衝突するビード間に粉末が捕らえられるのに伴って粉末を分解することを伴う。ビードが存在する場合、粉砕が完了した後にビードをスラリーから取り除く工程があってよい。
【0048】
任意には、しばしば粉砕の後に、スラリーをスクリーン印刷可能なインクに変化させるために、有機ポリマーをスラリーに添加することができる。典型的に使用される有機ポリマーはバインダー(多くの場合1~5重量%)、分散剤(粉砕段階時に添加されていない場合)、界面活性剤(多くの場合0.05~5重量%)を含むことにより、プリントのレベリングを助け、そして製造中及び印刷中、及びこれらの組み合わせにおいてインクから気泡を放出する。バインダーは二重の役割、すなわちインクのレオロジーを改質することによりそのチキソトロピックな性質を増大させること(これは効果的な印刷にとって重要である)、及び印刷された層内で、層が乾燥するのに伴って粒子を互いに結合し、亀裂を防止し、乾燥済グリーン圧縮粉に何らかの強度を与えること、から成る二重の役割を果たす。好適なバインダーの一例としてはポリビニルブチラール(PVB)、及びエチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な分散剤及び界面活性剤は、Byk-Chemie、BASF、TEGO、又はSchwegmannのような企業によって供給される一般に独占所有権のある添加剤である。インクの形成はしばしば添加剤の溶解を必要とする。このことは、適宜の高剪断分散混合プロセス、例えばハイスピードディスペンサ(High Speed Disperser)(HSD)を用いることによって実現することができるものの、他の方法を用いてもよい。インクはトリプル・ロールミルを使用してさらに均質化されてよい。インクの形成は、基板上へのドープされたセリアのより容易な堆積を可能にする。
【0049】
本発明の第3態様において、本発明の第1態様に基づくアノードを作るための方法が提供される。この方法は、i)本発明の第2態様に基づく組成物を基板に被着し、そしてii)前記組成物材料を硬化する工程を含む。典型的には、組成物は基板上のプリントである。このことは、印刷が極めて工業的に拡張可能であり、多数の電池が連続的に製作されるのを可能にするので有利である。
【0050】
所与の組成物を効果的に焼結するために必要となる温度、圧力、及び周囲環境条件は当業者によく知られている。典型的には不活性、又はほぼ不活性の雰囲気を使用して、しばしば標準圧力で焼結を行う。
【0051】
本発明の第4態様では、本発明の第1態様に基づくアノードを含む固体酸化物燃料電池も提供される。典型的には、固体酸化物燃料電池は、金属支持型固体酸化物燃料電池である。具体的には、アノードは基板(具体的には金属基板)上に電解質層及びカソード層と一緒に設けられていてよい。基板は、空気燃料が金属支持基板を通ってアノードと接触するのを可能にするために多孔質であってよい。
【0052】
基板金属は、金属支持型SOFCにおいて広く使用されるいかなる金属基板であってもよいが、しかし本発明のためには金属基板はしばしば、英国特許第2,368,450号明細書に記載されているような、非穿孔領域によって取り囲まれた穿孔付き領域を含む。前記明細書の開示内容は、特にこのタイプの金属支持型SOFCの基礎構造に関連して、参照することにより本明細書中に援用される。これらのデザインにおいて、アノードは穿孔付き領域に被さるように位置決めされ、この形態は、ガスが穿孔付き(しばしばレーザードリル加工された)領域を通してアノードにアクセスするのを可能にする。多くの場合、金属基板はステンレス鋼基板、しばしばフェライト系ステンレス鋼である。それというのも、フェライト系ステンレス鋼は、最も広く使用されているドープされたセリアであるガドリニウムドープセリア(しばしばGDC又はCGOと略される)と類似の熱膨張係数を有し、これにより加熱/冷却サイクル中の半電池内部の応力を低減するからである。
【0053】
また本発明のさらなる態様では、本発明の第4態様に基づく燃料電池を含む固体酸化物燃料電池スタックが提供される。典型的には複数の燃料電池が、当業者によく知られているように典型的にはスタックと呼ばれる個々の電池のバンク内に配列されている。
【0054】
本発明のさらなる態様では、本明細書中に記載されたSOFC又はSOFCスタックを使用して発電する方法が提供される。
【0055】
本発明の別の態様では、ニッケル含有多孔質粒子を含む、固体酸化物燃料電池のための電極触媒であって、多孔質粒子が希土類ドープセリアを含む、電極触媒が提供される。
【0056】
希土類ドープセリアから成る多孔質粒子を利用することが、SOFCの触媒特性を改善する優れた方法であることを発明者は見いだした。既存のSOFCシステムは、触媒材料で含浸されたバルク希土類ドープセリア層を利用する。このようなシステムは、上記欠点を被る。従って単純なSOFC触媒材料を希土類ドープセリアから成るニッケル含有多孔質粒子で置き換えることにより、触媒活性を改善すること、及び/又は同じ効率レベルを達成するために必要となる触媒材料量を低減することが可能である。前記触媒材料は、これらの多孔質構造に基づき酸化還元損傷に抵抗するのを助けることもできる。
【0057】
本発明の別の態様ではまた、SOFCアノード内にニッケル含有多孔質粒子を含む電極触媒の使用も提供される。(例えば)本発明の第1態様に関連して上述したように、触媒材料を装入された多孔質粒子は特定の技術分野(例えば自動車排ガス触媒分野)においては知られているものの、現在までSOFC分野においてこのようなアプローチは採用されていない。このことはおそらくは、厳しい酸化還元要件、及びSOFCが耐えなければならない環境に起因する。これは当業者に既に知られているSOFCが(合体して発電することができる燃料及び酸素イオンの拡散を可能にするために)多孔質構造を有しているからである。従って、本発明のこの態様では、多孔質粒子は典型的には、本発明の第1態様において定義された通りである。
【0058】
添付の図面を参照しながら本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1図1は、触媒被膜を付加する前のPDC粒子を示す概略図である。
図2図2は、PDC触媒担持粒子をa)2500倍の倍率及びb)30000倍の倍率で示すSEM顕微鏡写真である。
図3図3は、触媒材料で含浸した後のPDC粒子を示す概略図である。
図4図4は、含浸後のPDC粒子を30000倍の倍率で示すSEM顕微鏡写真である。
図5図5は、金属支持型SOFCのための従来型のSOFCサーメットアノードを示す概略図である。
図6図6は、含浸済PDC粒子を含む本発明の範囲外のSOFCを示す概略図である。
図7図7は、含浸済PDCから形成されたアノードを有する本発明の範囲外のSOFC電池の断面を、(a)アノード微細構造、(b)アノード-基板界面、及び(c)アノード-電解質界面で示すSEM顕微鏡写真である。
図8図8は、含浸済PDC粒子が従来型のサーメット構造内へ組み込まれているSOFCアノードを示す概略図である。
図9図9は、含浸済PDC粒子が従来型のサーメット構造内へ組み込まれているSOFCアノードの断面を、a)5000倍及びb)15000倍の倍率で示すSEM画像である。
図10図10は、La0.75Sr0.25Mn0.5Cr0.5のマトリックス内へ組み込まれた含浸済PDC粒子を示す概略図である。
図11図11は、La0.75Sr0.25Mn0.5Cr0.5のマトリックス内へ組み込まれたPDC粒子を示すSEM断面画像である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本明細書中に記載された実施態様は、Solvayによって商業的に供給される20%プラセオジミアドープセリア(PDC(praseodymia-doped ceria),Ce0.8Pr0.21.9)を使用する。これは自動車業界においてNOエミッションを低減するために水性ガスシフト触媒のための担体として典型的に使用される。PDCは、ほぼ3μm直径の多孔質のほぼ球形の粒子の形態で得られ、そしてこれらの粒子は極めて大きい内部表面積150~200m-1を有している。球形粒子はナノメートル・スケール結晶子の凝集体から形成されている。球形多孔質PDC粒子1の概略図が図1に示されており、この粒子は粒子本体3と複数の孔5とを含んでいる。
【0061】
PDC粒子の孔を活性金属でライニングするために、PDC粒子を適宜の金属触媒で含浸する。ここに記載された全ての実施態様では、活性金属触媒はニッケル又はニッケルの合金である。ニッケルは分子水素の解離(このことはSOFCアノード内の水素の電気化学的酸化において重要な工程である)、及び水素と一酸化炭素とを放出するためのメタンの水蒸気改質(別の重要なSOFCアノード反応)に関して触媒的に活性であることが知られている。金属触媒ナノ粒子で含浸された触媒粒子が図3に概略的に示されており、同図には、孔5と粒子本体3とを含む粒子1であって前記孔の表面が複数の触媒ナノ粒子7で被覆されている粒子1が含まれている。含浸済粒子のSEM顕微鏡写真が図4に示されている。図4ではナノ粒子は余りにも小さいので個別に見ることはできない。
【0062】
インシピエント・ウェットネス含浸プロセスは下記の工程を伴う。
(a) 触媒が僅かに湿ったように見え始める(インシピエント・ウェットネス点)まで既知の質量の触媒担体に脱イオン水を液滴状に添加することにより、触媒担体の比孔容積(cm/gとして表す)を実験に基づいて確立する。これは、触媒粒子の外側に余剰の水を残すことなしに触媒中の孔が吸収し得る水の体積である。
(b) 含浸されるべき活性金属の硝酸塩(ただし他の塩、例えば塩化物を使用することも原則的には可能である)の溶液を脱イオン水中で形成する。この場合、ニッケルの飽和溶液、及び任意には硝酸コバルトを調製することにより、触媒担体上に含浸することができる金属の量を単一工程で最大化する。
(c) 既知の質量のPDC触媒担持粒子に金属硝酸塩の溶液を液滴状に添加する一方、インシピエント・ウェットネス点であることが予め割り出された体積を僅かに下回る体積の溶液が添加されるまで、触媒担体を連続的に混合する。
(d) 硝酸溶液で含浸された触媒担体を炉へ移し、そして乾燥させて水を除去することにより無水金属硝酸塩被膜で含浸された触媒をその孔内部に残す。
(e) 乾燥させた含浸済触媒を適宜に換気された炉へ移し、そして二酸化窒素の放出を伴って、金属硝酸塩を等価の金属酸化物に分解させるのに充分に高い温度(ここでは全ての事例に対して650℃を用いた)でこれを焼成する。
【0063】
含浸済PDC粒子を燃料電池システム内に組み込むための後続の製造プロセスが、含浸済触媒の酸化物形態で実施される。金属酸化物はSOFCが最初に運転されるときに水素及び温度に晒されると、これらの天然の金属形態に還元される。この金属形態において、金属酸化物は触媒活性を提供する。
【0064】
従来型のSOFCアノードとの比較
英国GB1315744.1号及び英国GB1315746.6号に開示されているもののような、金属支持型用途のための従来型のSOFCアノードが図5に概略的に示されている。ここでは、アノードはフェライト系ステンレス鋼基板11とガドリニウムドープセリア(CGO)電解質13との間に堆積されている。アノードは、気体状反応物質がアノードを通ってアノード-電解質界面へ/アノード-電解質界面から拡散するのを可能にするように多孔質である。
【0065】
アノードは、CGO15と金属相17とから成る焼結セラミック-金属複合体から成る。アノード構造を形成する粒子の粒径範囲は典型的には0.5~2μmである。通常、アノードはCGPと金属酸化物との混合物として堆積され焼結される。そして金属酸化物は、最初のSOFC動作中に水素に晒されると活性金属に還元される。
【0066】
アノード堆積プロセス
本明細書中に記載された全ての実施態様に関して、堆積プロセスは、本質的には英国GB1315746.6号に記載されている通りである。第1の工程として、含浸済PDC粒子はスクリーン印刷に適したインクになるように調製される。このインクは、有機溶媒(テキサノール)と、典型的には総インク質量の50~80重量%の、顔料として溶媒系内部に分散された金属酸化物(酸化ニッケル及び酸化コバルト)と、ポリマーバインダー(例えばポリビニルブチラール(PVB)Eastman Butvar B76等級)と、インク中の金属酸化物粉末を安定化し、そして成分が沈降又は凝集する傾向を最小化するための1種又は2種以上の分散剤(Byk Chemieから商業的に入手可能な分散剤を使用した)と、印刷された層のレベリングを助け、そしてプリントの欠陥を招くおそれのある、インク中に捕らえられたいかなる気泡をも不安定化するための湿潤/消泡剤(Byk Chemieによって形成されたByk-057)とを含む。
【0067】
金属酸化物をインク中に分散させる方法は、インク及び塗料を形成するために当業者によく知られたもの、例えばビードミリング、高剪断分散器の使用、及びトリプルロール・ミリングを単独又は組み合わせで含む。結果として得られたインクを金属基板上にスクリーン印刷することにより、堆積されたアノード層を形成する。このアノード層を次いで炉に通すことにより、溶媒を蒸発させ、これにより乾燥させた印刷層を形成する。
【0068】
乾燥させた印刷層を、インク中のバインダー及び分散剤を焼き払うのに充分に高い温度の炉に通す。燃え尽きた層を均衡プレス又は一軸プレスすることにより、そのグリーン密度を増大させる。プレスされた層を次いで炉内に置き、空気中で1050℃までの温度でこれを燃焼することにより、金属酸化物粉末から成る粒子を一緒に焼結させ、これにより多孔質セラミック構造を形成する。任意には、PCT/GB2016/050256及び英国GB1502035.7号に開示されたプロセスにおいて電解質層をアノードに被せて印刷することができる。この場合燃え尽き工程、プレス工程、及び焼結工程は合体される。
【0069】
全体的に含浸済PDC粒子から成るアノード
本発明ではないSOFC図6に概略的に示されている。このSOFCは、電解質13と、焼結された含浸済PDC粒子19から形成されたアノードと、フェライト系ステンレス鋼基板11とを含む。本SOFCは、図7の断面された電池のSEM顕微鏡写真で示されている。この利点は、従来型のSOFCアノードサーメットと比較して極めて良好な酸化還元安定性と内部水蒸気改質活性とを有することである。なぜならば、理論に縛られずに言えば、これは機械的安定性に関して金属相に依存しないからである。
【0070】
このSOFCの欠点は、アノード層の電子伝導性が比較的低いことである。それというのもアノード-電解質界面から基板へ電子電流を運ぶための隣接する金属相がないからである。このことは結果として電池のこの部分に比較的高いオーム抵抗電圧損失を招く。の問題を避けるために、本発明に従う2つの実施態様開発され
【0071】
PDC粒子を組み込んだアノード-例A
従って、活性金属含浸済のPDC粒子が典型的には、部分的に金属相に代わって、従来型のサーメットアノード構造内へ組み込まれる。この事例では、何らかの隣接する金属相の存在により、内部水蒸気改質に関して何らかの酸化還元安定性及び触媒活性を犠牲にして、電子伝導性が大幅に向上する。しかしながらこれらの特性の両方は、従来型のサーメットアノードと比較してなおも改善されている。
【0072】
この構造は図8に概略的に示されている。図8は電解質13と、鋼基板11と、含浸済PDC粒子19、CGO粒子21、及び金属粒子23を含むアノードとを示している。このタイプのアノードが図9のSEM断面図として示されている。
【0073】
標準的なサーメットアノードは、42重量%のCGO、及び58重量%のNiOとCuOとの90:10混合物を初期製造時に含有する。これらの構造内のNiO/CuO含量を低減する結果、電気化学的性能及び内部水蒸気改質活性を犠牲にして、機械的安定性及び酸化還元安定性が改善される。42重量%のCGOを維持するが、しかしNiO/CuO含量を部分的に含浸済PDCと置き換えることにより、高い電気化学的性能と高い酸化還元安定性と高い内部改質活性とを望ましく組み合わせ得ることが実証されている。図9に示されたアノードは42重量%のCGOと、33重量%の含浸済PDCと、25重量%のNiO/CuOとから成る組成を有している。この結果、アノードは約28重量%しか金属を含有しない。この金属は、58重量%の金属を有する従来型のサーメットアノードと同等の電気化学的性能を有する。金属含量のこのような低減は、アノードの機械的安定性及び酸化還元安定性を改善する。
【0074】
電子伝導性セラミックから成るマトリックス内への含浸済PDC粒子の組み込み-例B
活性金属含浸済PDC粒子は典型的には、好適な電子伝導性セラミックのマトリックス内へ組み込まれる。多孔質導電性セラミックマトリックスは、アノードの機械的構造を提供し、そしてアノード-電解質界面から基板への電流収集経路を提供する。このことは図10に概略的に示されており、図10は、電解質13と、含浸済PDC粒子19と、導電性セラミック25と、鋼基板11とを示している。図11は、伝導性セラミックマトリックス内へ組み込まれたPDC粒子のSEM断面を示している。
【0075】
好適な電子伝導性セラミックの選択は、SOFC動作温度における還元雰囲気中で安定であり且つ電子伝導性である材料に制限される。好適な材料は、ペロブスカイトLa0.75Sr0.25CrO(ランタンストロンチウムクロマイト、LSCr)及びLa0.75Sr0.25Mn0.5Cr0.5(ランタンストロンチウムクロムマンガナイト、LSCrM)を含む。これらの2種の材料のうち、LSCrMが、LSCrと比較してその焼結可能性が大きいので好ましい。なお、ペロブスカイトのAサイト上のランタンとストロンチウムとの相対比、及びBサイト上のクロムとマンガンとの相対比は著しく変化してよい。他の好適な材料は、ドープされたストロンチウムチタネートを含む。これは、極めて高い酸化還元安定性を示すので有利であることが判っている。それというのもアノードの機械的構造が完全に酸化還元安定性のセラミックから形成されているからである。
【0076】
表1は、上記システムの試験データの概要、及び標準的なアノードサーメットとの比較を示す。PDCは、8重量%のニッケル及び2重量%のコバルトで含浸した。コバルトは層の焼結を向上させるために添加した。570℃及び0.75V/セルのSOFC出力を56%H/44%N燃料において測定する。実施態様の出力は標準アノードと同等であり、PDCアノードの事例では、前述のようにアノード内のオーム抵抗が高いために出力が若干低いことが判る。
【0077】
全メタン転化率及び内部メタン転化率は、内部メタン水蒸気改質に関するアノードの触媒活性の尺度である。これはスタック温度610℃で測定され、スタックは熱力学的平衡温度540℃の部分的に水蒸気改質されたメタンで運転される。スタック燃料利用率は65%である。全メタン転化率は、改質器供給部とスタック燃料出口との間のメタン転化率である。内部メタン転化率は、スタック内部で転化されたスタック燃料供給部内のメタンのパーセンテージである。540℃のリフォメート平衡とは、システムに供給されたメタンの55%が外部で転化され、残りがスタック内部で転化されることを意味する。これらの測定のための燃料供給組成物は表2に示されている。メタン転化率は、スタックを去った燃料ガス組成物を赤外ガス分析器を用いて測定することに基づいて計算する。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
表1から明らかなように、実施態様は具体的には、酸化還元サイクルを通した性能損失が低減され、そして内部メタン改質が改善される点で、標準的なアノードを凌ぐ利点をもたらす。
【0081】
本明細書中に記載された特徴は、本発明の部分を「含む(comprising)」と称されることがあるが、本発明は前記特徴の1つ又は2つ以上から「成る(consist)」又は「本質的に成る(consist essentially)」こともある。さらに、全ての数値範囲は文字通りに解釈されるべきではなく、文字の上では逸脱しているが、しかし技術的には重要ではない形で逸脱した値を包含するために「約(about)」という用語によって修飾されるものと解釈されるべきである。
本開示には以下に例示する実施形態も開示される。
[実施形態1]
固体酸化物燃料電池(SOFC)のためのアノードであって、前記アノードが、
ドープされた金属酸化物を含むマトリックスと、
電極触媒と
を含み、
前記電極触媒が、水蒸気改質触媒を含有する多孔質粒子を含む、
固体酸化物燃料電池(SOFC)のためのアノード。
[実施形態2]
前記水蒸気改質触媒が、Mn,Fe,Co,Cu,Ru,Ni,Rh,Pt,Pd,Au、又はこれらの組み合わせから選択される、実施形態1に記載のアノード。
[実施形態3]
前記水蒸気改質触媒がニッケルである、実施形態2に記載のアノード。
[実施形態4]
前記触媒がさらにMg及び/又はAlを含む、実施形態1から3までのいずれか1項に記載のアノード。
[実施形態5]
前記ドープされた金属酸化物が導電性セラミック材料である、実施形態1から4までのいずれか1項に記載のアノード。
[実施形態6]
前記導電性セラミック材料が希土類ドープセリアである、実施形態1から5までのいずれか1項に記載のアノード。
[実施形態7]
前記希土類ドープセリアが、ガドリニウムドープセリア(CGO)、サマリウムドープセリア、又はこれらの組み合わせから選択される、実施形態6に記載のアノード。
[実施形態8]
前記希土類ドープセリアがガドリニウムドープセリア(CGO)である、実施形態7に記載のアノード。
[実施形態9]
前記多孔質粒子の孔径が1μm未満である、実施形態1から8までのいずれか1項に記載のアノード。
[実施形態10]
前記多孔質粒子の孔径が1nm超である、実施形態9に記載のアノード。
[実施形態11]
前記多孔質粒子の孔径が1nm~500nmである、実施形態10に記載のアノード。
[実施形態12]
前記多孔質粒子がメソポーラス粒子である、実施形態11に記載のアノード。
[実施形態13]
前記多孔質粒子が前記マトリックス全体を通して分散されている、実施形態1から12までのいずれか1項に記載のアノード。
[実施形態14]
前記多孔質粒子がプラセオジミウムドープセリア(PDC)を含む、実施形態13に記載のアノード。
[実施形態15]
前記多孔質粒子が酸化ニッケルを含む、実施形態1から14までのいずれか1項に記載のアノード。
[実施形態16]
前記マトリックスがさらに、焼結助剤、触媒材料、バインダー、分散剤、又はこれらの組み合わせから選択された1種又は2種以上の成分を含む、実施形態1から15までのいずれか1項に記載のアノード。
[実施形態17]
前記マトリックスがさらに水蒸気改質触媒を含む、実施形態16に記載のアノード。
[実施形態18]
前記マトリックスがさらにニッケルを含む、実施形態17に記載のアノード。
[実施形態19]
前記マトリックスがさらに銅を含む、実施形態1から18までのいずれか1項に記載のアノード。
[実施形態20]
前記マトリックスがさらに酸化銅を含む、実施形態19に記載のアノード。
[実施形態21]
前記アノードが、金属支持型固体酸化物燃料電池のためのものである、実施形態1から20までのいずれか1項に記載のアノード。
[実施形態22]
実施形態1から21までのいずれか1項に記載のアノードを作るための組成物であって、前記組成物が、
ドープされた金属酸化物を含むマトリックス前駆体と、
電極触媒と
を含み、
前記電極触媒が、水蒸気改質触媒を含有する多孔質粒子を含む、
アノードを作るための組成物。
[実施形態23]
前記組成物がさらに1種又は2種以上の溶媒を含む、実施形態22に記載の組成物。
[実施形態24]
前記組成物がインクである、実施形態22又は23に記載の組成物。
[実施形態25]
前記組成物が、焼結助剤、触媒材料、バインダー、分散剤、又はこれらの組み合わせから選択された1種又は2種以上の成分を含有する、実施形態22から24までのいずれか1項に記載の組成物。
[実施形態26]
実施形態1から21までのいずれか1項に記載のアノードを作るための方法であって、
i) 実施形態22から25までのいずれか1項に記載の組成物を基板に適用し、
ii) 前記組成物材料を硬化する
工程を含む、方法。
[実施形態27]
実施形態1から21までのいずれか1項に記載のアノードを含む、固体酸化物燃料電池。
[実施形態28]
前記固体酸化物燃料電池が、金属支持型固体酸化物燃料電池である、実施形態27に記載の固体酸化物燃料電池。
[実施形態29]
実施形態27又は28に記載の燃料電池を含む、固体酸化物燃料電池スタック。
[実施形態30]
ニッケル含有多孔質粒子を含む、固体酸化物燃料電池のための電極触媒であって、前記多孔質粒子が希土類ドープセリアを含む、電極触媒。
[実施形態31]
SOFCアノード内での、実施形態1から21までのいずれか1項に記載の水蒸気改質触媒を含有する多孔質粒子を含む電極触媒の使用。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8
図9a)】
図9b)】
図10
図11