(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】非封止型レチクル貯蔵器具
(51)【国際特許分類】
G03F 1/66 20120101AFI20220316BHJP
H01L 21/673 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
G03F1/66
H01L21/68 T
(21)【出願番号】P 2020133042
(22)【出願日】2020-08-05
【審査請求日】2020-08-05
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506017182
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】9F.,No.2,Sec.4,Zhongyang Rd.,Tucheng Dist.,New Taipei,Taiwan236
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】荘 家和
(72)【発明者】
【氏名】▲温▼ 星閔
(72)【発明者】
【氏名】薛 新民
(72)【発明者】
【氏名】李 怡萱
(72)【発明者】
【氏名】邱 銘乾
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-210655(JP,A)
【文献】特表2008-531416(JP,A)
【文献】特開2010-113202(JP,A)
【文献】特開2018-120221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/66
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチクル貯蔵器具であって、
シーリングおよび前記シーリングを包囲しているカバーを備えた頂部蓋と、
キャリヤおよび前記キャリヤを包囲している周辺構造体を備えた底部蓋と、
前記頂部蓋を前記底部の蓋の上方に持ち上げるよう構成された複数のバンプとを有し、
前記キャリヤおよび前記シーリングならびに前記カバーは、前記頂部蓋が前記底部蓋と係合すると、レチクル収容スペースを画定し、前記頂部蓋の前記カバーは、前記底部蓋の前記周辺構造体に向き、
前記複数のバンプによって、前記頂部蓋を前記底部蓋の上方に持ち上げることにより、前記頂部蓋の前記カバーの少なくとも一部分
と、前記底部蓋の前記周辺構造体の少なくとも一部分
との間に隙間ができ、この隙間により、前記レチクル収容スペースと前記レチクル貯蔵器具の外部環境との間に、複数の通路
が画定
され、前記レチクル収容スペースは、前記通路に起因して封止されることがない、レチクル貯蔵器具。
【請求項2】
前記通路は、
前記カバーおよび前記周辺構造体上に夫々形成された互いに異なる方向
に延びる少なくとも2つの延長構造体で構成され、前記2つの延長構造体は、前記カバー上に形成された第1の雌型部材および前記周辺構造体上に形成された第1の雄型部材によって構成され、前記第1の雌型部材は、前記第1の雄型部材に構造的に一致している、請求項1記載のレチクル貯蔵器具。
【請求項3】
前記通路は、
前記カバーおよび前記周辺構造体上に夫々形成された互いに異なる方向
に延びる少なくとも2つの延長構造体で構成され、前記2つの延長構造体はさらに、前記カバー上に形成された第2の雄型部材および前記周辺構造体上に形成された第2の雌型部材によって構成され、前記第2の雄型部材は、前記第2の雌型部材に構造的に一致している、請求項2記載のレチクル貯蔵器具。
【請求項4】
前記第1の雌型部材は、前記第2の雄型部材を包囲し、前記第1の雄型部材は、前記第2の雌型部材を包囲している、請求項3記載のレチクル貯蔵器具。
【請求項5】
前記通路は、少なくとも、第1の水平延長構造体、第2の水平延長構造体および垂直延長構造体で画定され、前記垂直延長構造体は、前記第1の水平延長構造体と前記第2の水平延長構造体との間に位置し、前記第1の水平延長構造体および前記第2の水平延長構造体は、それぞれ、異なる高さレベルのところで延びている、請求項1記載のレチクル貯蔵器具。
【請求項6】
前記底部蓋の周辺構造体と前記キャリヤとの間にはトレンチが形成され、前記トレンチは、前記通路と前記レチクル収容スペースとの間に延びている、請求項1記載のレチクル貯蔵器具。
【請求項7】
前記複数のバンプは、前記カバーから下方に延び、前記底部蓋の前記周辺構造体は、前記複数のバンプに対応しかつ前記周辺構造体から下方に延びる複数の収容凹部を有し、前記収容凹部の各々は、対応関係にある前記バンプを部分的に受け入れるよう構成され、その結果、前記頂部蓋の前記カバーが前記底部蓋の前記周辺構造体の上方に持ち上げられるようになっている、請求項1記載のレチクル貯蔵器具。
【請求項8】
レチクル貯蔵器具であって、
シーリングおよび前記シーリングを包囲しているカバーを備えた頂部蓋と、
キャリヤおよび前記キャリヤを包囲している周辺構造体を備えた底部蓋とを有し、
前記キャリヤおよび前記シーリングならびに前記カバーは、前記頂部蓋が前記底部蓋と係合すると、レチクル収容スペースを画定し、前記頂部蓋の前記カバーは、前記底部蓋の前記周辺構造体に向き、前記頂部蓋の前記カバーの少なくとも一部分
と、前記底部蓋の前記周辺構造体の少なくとも一部分
との間には隙間ができ、
この隙間により、前記レチクル収容スペースと前記レチクル貯蔵器具の外部環境との間に通路
が画定
され、前記レチクル収容スペースは、前記通路に起因して封止されることがなく、前記通路は、多数の延長構造体で構成され、前記通路は、第1の曲がり角および第2の曲がり角を有し、前記第1の曲がり角および前記第2の曲がり角は、空気流の流れを変更することができる、レチクル貯蔵器具。
【請求項9】
前記通路は、入口をさらに有し、前記第1の曲がり角は、前記入口の高さレベルよりも高い高さレベルのところに位置し、前記第2の曲がり角は、前記入口の高さレベルよりも低い高さレベルのところに位置している、請求項8記載のレチクル貯蔵器具。
【請求項10】
前記周辺構造体と前記キャリヤとの間にはトレンチが形成され、前記トレンチは、前記通路と前記レチクル収容スペースとの間に延びている、請求項8記載のレチクル貯蔵器具。
【請求項11】
前記頂部蓋の前記カバーは、前記カバーから下方に延びる複数のバンプを有し、前記底部蓋の前記周辺構造体は、前記バンプに対応しかつ前記周辺構造体から延びる複数の収容凹部を有し、前記収容凹部の各々は、対応関係にある前記バンプを部分的に受け入れるよう構成され、その結果、前記頂部蓋の前記カバーが前記底部蓋の前記周辺構造体の上方に持ち上げられるようになっている、請求項8記載のレチクル貯蔵器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レチクル貯蔵器具、特に非封止型(すなわち、非気密型)レチクルポッドに関する。
【背景技術】
【0002】
既知のレチクルポッドは、一般に、外側ポッドおよび内側ポッドを含み、外側ポッドは、レチクルポッドの始まりの層であり、内側ポッドは、外側ポッド内に収容される。幾つかの形式の外側ポッドは、頂部蓋および底部蓋で構成されている場合がある。同様に、内側ポッドは、頂部蓋および底部蓋で構成される場合があり、この内側ポッドは、この中にレチクルを収容する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
極紫外(EUV)レチクルのための汚染制御具合は、主として、粒子およびダストが内側ポッドに入るのを阻止するための内側ポッドの頂部蓋と底部蓋の組み合わせで決まる。頂部蓋および底部蓋を備えた内側ポッド向きの従来設計は、内部ポッド環境と外部環境との流体連通を阻止するための気密手段を用いており、その目的は、ポッドの内側と外側との間の空気流を止め、したがって、内側ポッド内のレチクルが汚染されるのを阻止することにある。しかしながら、かかる気密設計には幾つかの欠点があると言える。先ず最初に、表面封止は、実施するのが困難である。例えば、関連のある接触面の粗さに対する厳密な基準が必要とされる場合がある。さらに、温度および圧力変化により引き起こされる内部ポット環境と外部環境との間の大きな圧力差が存在する幾つかの場合、相当大きな空気乱流が内側ポッドの開放の際(すなわち、頂部蓋と底部蓋を分離する際)に生じる場合があり、すると、かかる空気乱流がレチクルを汚染させる。これは、一般に、外側ポッドまたは内側ポッドを移送するプロセス中に起こる。さらに、気密設計では一般に、頂部蓋と底部蓋は、互いに係合するとある量の接触領域を有する必要があり、それにより、場合によっては、粒子の発生がこれら硬い小片相互の衝突に起因して生じ、したがって、内側ポッド内に受け入れられているレチクルもまた汚染される。
【0004】
したがって、内側ポッド内に受け入れられているレチクルが内側ポッドの開閉の両方のプロセス中に比較的安全な環境内に留まるようするために内側ポッドの従来型気密設計に存在する上述の欠点を解決する手段を開発することが相変わらず要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、レチクル貯蔵器具であって、シーリングおよびシーリングを包囲しているカバーを備えた頂部蓋と、キャリヤおよびキャリヤを包囲している周辺構造体を備えた底部蓋と、頂部蓋を底部の蓋の上方に持ち上げるよう構成された複数のバンプとを有するレチクル貯蔵器具を提供することにある。キャリヤおよびシーリングならびにカバーは、頂部蓋が底部蓋と係合すると、レチクル収容スペースを画定し、頂部蓋のカバーは、底部蓋の周辺構造体に向いている。頂部蓋のカバーの少なくとも一部分および底部蓋の周辺構造体の少なくとも一部分は、複数のバンプによって複数の通路を画定し、レチクル収容スペースは、この通路に起因して封止されることがない。
【0006】
好ましい一実施形態では、通路は、互いに異なる方向の少なくとも2つの延長構造体で構成され、互いに異なる方向の少なくとも2つの延長構造体は、カバー上に形成された第1の雌型部材および周辺構造体上に形成された第1の雄型部材によって構成され、第1の雌型部材は、第1の雄型部材に構造的に一致している。
【0007】
好ましい一実施形態では、通路は、互いに異なる方向の少なくとも2つの延長構造体で構成され、互いに異なる方向の少なくとも2つの延長構造体はさらに、カバー上に形成された第2の雄型部材および周辺構造体上に形成された第2の雌型部材によって構成され、第2の雄型部材は、第2の雌型部材に構造的に一致している。
【0008】
好ましい一実施形態では、第1の雌型部材は、第2の雄型部材を包囲し、第1の雄型部材は、第2の雌型部材を包囲している。
【0009】
好ましい一実施形態では、通路は、少なくとも、第1の水平延長構造体、第2の水平延長構造体および垂直延長構造体で画定され、垂直延長構造体は、第1の水平延長構造体と第2の水平延長構造体との間に位置し、第1の水平延長構造体および第2の水平延長構造体は、それぞれ、異なる高さレベルのところで延びている。
【0010】
好ましい一実施形態では、底部蓋の周辺構造体とキャリヤとの間にはトレンチが形成され、トレンチは、通路とレチクル収容スペースとの間に延びている。
【0011】
好ましい一実施形態では、複数のバンプは、カバーから下方に延び、底部蓋の周辺構造体は、複数のバンプに対応しかつ周辺構造体から下方に延びる複数の収容凹部を有し、収容凹部の各々は、対応関係にあるバンプを部分的に受け入れるよう構成され、その結果、頂部蓋のカバーが底部蓋の周辺構造体の上方に持ち上げられるようになっている。
【0012】
本発明のもう一つの目的は、レチクル貯蔵器具であって、シーリングおよびシーリングを包囲しているカバーを備えた頂部蓋と、キャリヤおよびキャリヤを包囲している周辺構造体を備えた底部蓋とを有するレチクル貯蔵器具を提供することにある。キャリヤおよびシーリングならびにカバーは、頂部蓋が底部蓋と係合すると、レチクル収容スペースを画定する。頂部蓋のカバーは、底部蓋の周辺構造体に向き、頂部蓋のカバーの少なくとも一部分および底部蓋の周辺構造体の少なくとも一部分は、通路を画定し、レチクル収容スペースは、通路に起因して封止されることがない。通路は、多数の延長構造体で構成される。通路は、第1の曲がり角および第2の曲がり角を有し、第1の曲がり角および第2の曲がり角は、空気流の流れを変更することができる。
【0013】
好ましい一実施形態では、通路は、入口をさらに有し、第1の曲がり角は、入口の高さレベルよりも高い高さレベルのところに位置し、第2の曲がり角は、入口の高さレベルよりも低い高さレベルのところに位置する。
【0014】
好ましい一実施形態では、周辺構造体とキャリヤとの間にはトレンチが形成され、トレンチは、通路とレチクル収容スペースとの間に延びている。
【0015】
好ましい一実施形態では、頂部蓋のカバーは、カバーから下方に延びる複数のバンプを有し、底部蓋の周辺構造体は、バンプに対応しかつ周辺構造体から延びる複数の収容凹部を有し、収容凹部の各々は、対応関係にあるバンプを部分的に受け入れるよう構成され、その結果、頂部蓋のカバーが底部蓋の周辺構造体の上方に持ち上げられるようになっている。
【0016】
本発明の原理によって例示される以下の説明および図面により本発明の利点および特徴について詳細に説明する。
【0017】
本開示内容の上述の特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面を参照すると良好に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3A】本発明の通路の3つの実施形態のうちの一つを示すAA線矢視断面図である。
【
図3B】本発明の通路の3つの実施形態のうちの別の一つを示すAA線矢視断面図である。
【
図3C】本発明の通路の3つの実施形態のうちの別の一つを示すAA線矢視断面図である。
【
図4A】支持手段の第1の実施形態を示すBB線矢視断面図である。
【
図4B】頂部蓋に用いられる支持手段を示す図である。
【
図4C】底部蓋に用いられる支持手段を示す図である。
【
図5】支持手段の第2の実施形態を示すBB線矢視断面図である。
【
図6】支持手段の第3の実施形態を示すBB線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示内容の一部をなす添付の図面を参照して種々の例示の実施形態について詳細に説明する。また、これらの実施形態を達成するために実施可能な実施例によりこれら実施形態を説明するが、当業者がこれら実施形態を達成することができようにするのに十分な細部が提供されている。理解されるように、これらの実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用することができるとともに他の変更を行うことができる。加うるに、上記内容にもかかわらず、「一実施形態では」という語句が幾つか見受けられる場合、これらの語句は、必ずしも、同一のまたは単一の一実施形態を示しているわけではない。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味に解されることはなく、これら実施形態の範囲は、特許請求の範囲の記載によってのみ定められる。
【0020】
明細書全体および添付の特許請求の範囲の記載において別段の指定がなければ、以下の用語の各々は、以下に具体的に定められた意味を持っている。本明細書で用いられているように、別段の指定がなければ、「または」という用語は、包括的な意味に解されるべきであり、しかも「または/および」という用語と均等である。別段の指定がなければ、「~よれば(~に係る)」という用語は、排他的な意味に解されてはならず、かかる用語により、本明細書に記載されていない他の多くの要因への言及をなすことができる。加うるに、原文明細書全体において、“a”、“one”および“the”という用語は、複数の意味でも用いられる。「~内に(内の)」という用語は、本明細書においては、「~内に(内の)」と「~上に(上の)」の両方を意味するよう用いられている。
【0021】
本発明の目的は、非封止型レチクル貯蔵器具を提供することにある。
図1および
図2は、それぞれ、レチクル貯蔵器具の平面図および側面図である。レチクル貯蔵器具は、頂部蓋(101)および底部蓋(102)を有する。レチクル(図示せず)を頂部蓋(101)と底部蓋(102)との間に収容することができる。非封止型レチクル貯蔵器具の特定の特徴は、頂部蓋(101)が底部蓋(102)と係合したときに収容状態のレチクルが実質的に封止されることがないということにある。換言すると、レチクル貯蔵器具のレチクル収容スペースは、外部環境の圧力と実質的に同一の圧力を有する。図示していないにもかかわらず、かかるレチクル貯蔵器具はさらに、外側ポッド内に受け入れられるのが良い。本発明による非封止型レチクル貯蔵器具は、主として、内側ポッドに関する。頂部蓋(101)および底部蓋(102)は、これらの表面上に外側ポッドと接触するための構造体または接点を備えるのが良い。
【0022】
図1は、本発明に係るレチクル貯蔵器具が中央領域およびこの中央領域を包囲している4つの縁部を備えていることを示す平面図である。かかるレチクル収容スペースは、一般に、中央領域の下に位置する。レチクル貯蔵器具は、中央領域の縁部との間に特定の構造体を備えており、その結果、頂部蓋(101)が底部蓋(102)と係合すると、特定の経路を備えた通路が形成され、それによりレチクル貯蔵器具に上述の非封止特性が与えられる。特定の経路を備えた通路を通過する空気粒子は、可能性として捕捉されることがあり、したがって、収容状態のレチクルを汚染しないようになる。
図1Aおよび
図2に示されているように、頂部蓋(101)は、この頂部上に空気埋め戻しのために用いられる複数の入口穴(符号が付与されていない)および粒子を濾過するために用いられるフィルタ(図示せず)をさらに備えるのが良い。
【0023】
図2は、AA線およびBB線が描かれた本発明に係るレチクル貯蔵器具の斜視図である。
図3A~
図3Cは、通路の3つの実施形態を示すAA線矢視断面図である。通路の一方の側しか示されていないにもかかわらず、この通路はまた、レチクル貯蔵器具の各側部のところで延びていることが予想される。幾つかの場合、レチクル貯蔵器具のある特定の側部だけが本発明に係る非封止型通路を有する一方で、他の側部は、封止される。加うるに、
図4Aは、BB線矢視断面図であり、
図4Bおよび
図4Cは、頂部蓋と底部蓋の結合構造の第1の実施形態を示している。
図5は、頂部蓋と底部蓋の結合構造の第2の実施形態を示している。
図6は、頂部蓋と底部蓋の結合構造の第3の実施形態を示している。
【0024】
図3A~
図3Cは、頂部蓋(101)がシーリングまたは天井(201)およびシーリング(201)から水平にかつ下方に延びるカバー(202)を有している状態を示している。カバー(202)は、比較的大きな厚みを有する。図の一部しか示されていないにもかかわらず、カバー(202)は、シーリング(201)を包囲するとともに頂部蓋(101)の4つの縁部に向かって延びていることが予想される。底部蓋(102)は、キャリヤ(203)および周辺構造体(204)を有する。キャリヤ(203)は、レチクルを担持するための担持面を提供する。キャリヤ(203)は、レチクル収容領域を画定するための複数の支持または拘束部材を提供するのが良い。底部蓋(102)の4つの縁部に沿って延びる周辺構造体(204)は、キャリヤ(203)を包囲しておりかつキャリヤ(203)の担持面よりも僅かに低いところに位置している。幾つかの実施形態では、周辺構造体(204)は、キャリヤ(203)の担持面よりも高いところに位置するのが良い。
【0025】
頂部蓋(101)と底部蓋(102)が互いに係合すると、キャリヤ(203)およびシーリング(201)ならびにカバー(202)は、レチクル収容スペースを画定する。頂部蓋(101)のカバー(202)は、互いに完全には接触しない状態で底部蓋(102)の周辺構造体(204)に向く。変形例として、カバー(202)および周辺構造体(204)は、互いに部分的に接触状態にあっても良い。頂部蓋(101)のカバー(202)の少なくとも一部および底部蓋(102)の周辺構造体(204)の少なくとも一部は、レチクル収容スペースを非封止状態にする通路を画定する。この通路は、入口(205)および出口(206)を有する。入口(205)は、カバー(202)と周辺構造体(204)との間で最も外側に位置する隙間である。出口(206)は、カバー(202)と周辺構造体(204)との間に画定された最も内側の通路のところの終端部である。理解されるべきこととして、入口(205)および出口(206)という語句は、流れの方向を限定するよう用いられてはいない。事実、空気流は、二方向のはずである。加うるに、理解されるべきこととして、カバー(202)、キャリヤ(203)および周辺構造体(204)の設計は、入口(205)、出口(206)およびレチクル収容スペースとの間の関係を定め、すなわち、これは、通路とレチクル収容スペースとの相対関係を定める。図面は、通路がレチクル収容スペースよりも低いところに位置する形態の一形式を示しているに過ぎない。
【0026】
通路は、互いに異なる方向に提供されている少なくとも2つの延長構造体で構成されている。
図3Aに示されている実施形態として、互いに異なる方向の少なくとも2つの延長構造体は、カバー(202)の第1の雌型部材(207)および周辺構造体(204)の第1の雄型部材(208)によって構成されている。第1の雌型部材(207)は、第1の雄型部材(208)に構造的に一致しており、第1の雄型部材(208)は、第1の雌型部材(207)内に部分的に受け入れられている。断面図しか示されていないにもかかわらず、理解されるべきこととして、第1の雌型部材(207)および第1の雄型部材(208)は、レチクル収容スペースを包囲しているカバー(202)および周辺構造体(204)沿いの延長構造体である。第1の雌型部材(207)および第1の雄型部材(208)は、2つの垂直延長構造体および入口(205)から出口(206)までの1つの水平延長構造体を構成している。
【0027】
通路の互いに異なる方向の少なくとも2つの延長構造体は、さらに、カバー(202)の第2の雄型部材(209)および周辺構造体(204)の第2の雌型部材(210)で構成されている。第2の雄型部材(209)は、第2の雌型部材(210)に構造的に一致し、第2の雄型部材(209)は、第2の雌型部材(210)内に部分的に受け入れられている。予想されるべきこととして、第2の雄型部材(209)および第2の雌型部材(210)もまた、レチクル収容空間を包囲しているカバー(202)および周辺構造体(204)沿いの延長構造体である。また、第2の雄型部材(209)および第2の雌型部材(210)は、2つの垂直延長構造体および入口(205)と出口(206)との間の1つの水平延長構造体を構成している。
【0028】
第1の雌型部材(207)は、カバー(202)上の第2の雄型部材(209)を包囲している。第1の雄型部材(208)は、周辺構造体(204)上の第2の雌型部材(210)を包囲している。この形態は、限定例ではない。変形例として、幾つかの実施形態では、第2の雄型部材(209)は、第1の雌型部材(207)と比較して、入口(205)の方に比較的近いのが良く、これに対し、第2の雌型部材(210)は、第1の雄型部材(208)と比較して、入口(205)の方に比較的近いのが良い。これら雌型および雄型構造体の数は、いずれも限定例ではなく、雌型および雄型構造体についてこれよりも多い数または少ない数が採用可能であると言って良い。例えば、特定の構成例では、通路は、第1の水平延長構造体、第2の水平延長構造体および垂直延長構造体で構成されるのが良く、この場合、垂直延長構造体は、第1の水平延長構造体と水平延長構造体との間に位置し、第1の水平延長構造体および第2の水平延長構造体は、互いに異なる高さレベルのところでそれぞれ延びている。この設計は、空気流のための遮断度を増大させるためにレベルの差を備えた通路を形成するためである。水平延長構造体の幅および垂直延長構造体の幅は、0.02mmから0.20mmまでの範囲にあるのが良い。
【0029】
図3Aの構成によれば、入口(205)から入る空気流は、レチクル収容スペースに入る前に第1の雄型部材(208)と第2の雌型部材(210)のバリヤを通過しなければならず、それにより粒子がレチクルに付着する恐れが減少する。底部蓋の周辺構造体(204)とキャリヤ(203)との間にトレンチ(211)がさらに設けられるのが良く、このトレンチ(211)は、出口(206)とレチクル収容スペースとの間に構成され、このトレンチは、担持面よりも低いところに位置する底部まで下方に延びている。トレンチ(211)は、粒子がレチクル収容スペースに入らないようにしておくための別のバリヤを形成する。さらに、キャリヤ(203)の担持面は、通路よりも高いところに位置し、それにより、粒子は、トレンチ(211)の底部中に落下せざるを得ない。
【0030】
図3Bは、通路の第2の実施形態を示している。通路は、入口(205)と出口(206)との間に位置する勾配のある延長構造体を含む。勾配のある延長構造体は、カバー(202)の第1の雌型部材(207)および周辺構造体(204)の第1の雄型部材(208)によって構成され、この場合、第1の雌型部材(207)および第1の雄型部材(208)には、テーパが付けられている。これにより、入口(205)から出口(206)までの低-高勾配延長部が提供されるが、高-低勾配の提供が可能な場合がある。幾つかの実施形態では、通路は、少なくとも1つの水平延長構造体および勾配延長構造体で構成されるのが良い。
【0031】
図3Cは、通路の第3の実施形態を示している。通路は、階段状延長部を含むのが良い。図示のように、第1の雌型部材(207)は、互いに異なる高さの凹部を有し、第1の雄型部材(208)は、互いに異なる高さの2つの段部を有する。2つの構造は互いに一致しており、これら構造は、空気流のための遮断度を増大させる階段状経路を形成している。これは、入口(205)から出口(206)までの低-高段階状延長構造体を提供している。しかしながら、高-低階段状延長構造体が採用可能であると言える。
【0032】
頂部蓋のカバー(202)および底部蓋の周辺構造体(204)により形成される入口(205)と出口(206)との間の通路は、少なくとも、第1の曲がり角および第2の曲がり角を含むのが良い。曲がり角は、空気流の方向が変化する通路構造である。これら曲がり角は、空気流のためのバリヤ作用を効果的に高めることができる。
図3A~
図3Cに示されているように、第1の雌型部材(207)および第1の雄型部材(208)は、第1の曲がり角としての役目を果たし、第2の雄型部材(209)および第2の雌型部材(210)は、第2の曲がり角としての役目を果たす。この実施形態では、第1の曲がり角は、入口(205)の高さレベルよりも高い高さレベルのところに位置し、第2の曲がり角は、入口(205)の高さレベルよりも低い高さレベルのところに位置する。第1の曲がり角は、入口(205)と第2の曲がり角との間に配置されている。かかる曲がり角は、頂部蓋(101)および底部蓋(102)の対応関係にある表面上の雄型-雌型構造体によって形成されるのが良い。例えば、頂部蓋の下方に向いた表面は、平坦な表面であるのが良く、底部蓋の上方に向いた表面は、多数の雌型-雄型構造を有するのが良い。変形例として、底部蓋の上方に向いた表面は、平坦な表面であって良く、頂部蓋の下方に向いた表面は、多数の雄型-雌型構造を有しても良く、あるいは上方に向いた表面と下方に向いた表面の両方が多数の雄型-雌型構造を有しても良い。
【0033】
図4Aは、本発明に係るレチクル貯蔵器具のコーナー部構造を示すBB線矢視断面図であり、このコーナー部構造は、頂部蓋(101)および底部蓋(102)のために用いられる支持手段を含む。頂部蓋(101)のカバー(202)は、頂部蓋の4つのコーナー部上に(または比較的広い面積を有するコーナー部上に)設けられるとともにカバー(202)から下方に延びる複数の支持バンプ(212)を有する。底部蓋(102)の周辺構造体(204)は、対応関係にあるバンプ(212)を部分的に受け入れるよう構成された複数の対応関係にある収容凹部(213)を有し、その結果、頂部蓋(101)のカバー(202)は、底部蓋(102)の周辺構造体(204)の上方に持ち上げられて通路を形成することができるようになっている。一実施形態では、バンプ(212)は、収容凹部(213)の深さよりも大きな高さを有する。
【0034】
図4Bは、頂部蓋(101)の内側を示している。バンプ(212)は、カバー(202)の表面上に形成されるとともに第2の雄型部材(209)の延長経路上に位置決めされている。しかしながら、バンプ(212)は、第2の雄型部材(209)を回避するために他の場所に形成されても良い。バンプ(212)は、頂部蓋(101)のカバー(202)と一体であるのが良い。変形例として、
図6では、バンプ(212)は、互いに異なる材料の部材であってかつ頂部蓋(101)のカバー(202)、例えば、軟質バンプに連結されても良い。
図4Cは、底部蓋(102)の内側を示している。収容凹部(213)が周辺構造体(204)の表面上に形成され、この収容凹部は、第2の雌型部材(210)の延長経路と連通している。しかしながら、延長凹部(213)は、第2の雌型部材(210)を回避するために他の場所に形成されても良い。バンプ(212)およびその対応の収容凹部(213)は、半球形である。
図5は、バンプ(212)およびその対応の収容凹部(213)が長方形の構造であるのが良い第2の実施形態を示している。幾つかの実施形態では、バンプと収容凹部の位置を切り換えることもまた可能である。
【0035】
何はさておき、本発明に係るレチクル貯蔵器具は、この器具またはレチクル内側ポッドのための非封止状態を生じさせる頂部蓋と底部蓋との間の通路を提供するとともに内圧と外圧のバランスを取る。粒子が通路の特定の経路に起因してこの器具内のレチクル収容スペースに達することは、困難である。
【0036】
上述の細部は、上述の実施形態の組み合わせの製造および使用に関する完全な説明を提供している。かかる記載内容の精神および範囲から逸脱することなく種々の実施形態を想到することができる。かくして、これら実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
101 頂部蓋
102 底部蓋
201 シーリング
202 カバー
203 キャリヤ
204 周辺構造体
211 トレンチ
205 入口
206 出口
207 第1の雌型部材
208 第1の雄型部材
209 第2の雄型部材
210 第2の雌型部材