(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】タウリン母液の不純物の除去及びタウリン母液の回収の方法及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
C07C 303/44 20060101AFI20220316BHJP
C02F 1/42 20060101ALI20220316BHJP
C07C 309/14 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
C07C303/44
C02F1/42 B
C07C309/14
(21)【出願番号】P 2020146972
(22)【出願日】2020-09-01
【審査請求日】2020-09-01
(31)【優先権主張番号】201910826732.9
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520336182
【氏名又は名称】チェンジャン ヨンアン ファーマシュティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ファン キチャン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ フェン
(72)【発明者】
【氏名】リ シャオボ
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533883(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106699612(CN,A)
【文献】特開2019-001772(JP,A)
【文献】特開平07-206804(JP,A)
【文献】特開平03-188057(JP,A)
【文献】SONG, F. et al,The effect of ionic strength on the uptake of taurine on a strong-basic anion exchange resin,Chinese Journal of Reactive Polymers,2005年,Vol.14,pp.22-27
【文献】蛯谷幸司 ほか,有価物回収技術開発試験,北海道立釧路水産試験場 平成2年度 事業報告書,1991年,pp.314-319,ISSN:0288-982X
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンオキシド法によるタウリンの製造
工程においてタウリンを分離及び抽出したタウリン最終母液の処理に用いる、タウリン母液の不純物を除去してタウリン母液を回収する方法であって、以下の工程を備える方法:
(1)タウリン最終母液を陰イオン交換樹脂でイオン交換し、有効成分が陰イオン交換樹脂に吸着され、アルカリ溶液で陰イオン交換樹脂に溶離と再生を行い、吐出口の液体を回収する;
(2)工程(1)の吐出口で回収した液体にアンモニア溶解処理を行い、固液分離して不純物が除去された母液を得る;
(3)工程(2)で得た母液を
前記エチレンオキシド法によるタウリンの製造工程における加安分解の工程に移す。
【請求項2】
前記アンモニア溶解処理の際に、吐出口の液体にアンモニアガス又は液体アンモニアを添加し、アンモニアの質量と体積の比が15g/100ml以上である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記陰イオン交換樹脂は塩基性陰イオン交換樹脂である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程(1)の前に、タウリン最終母液に活性炭による脱色及び不純物の除去処理を行い、
該処理は、冷却条件下でタウリン最終母液に活性炭を添加し、固液分離して、不純物が除去された母液を得て、前記母液を酸性又は中性に調整することを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
酸性の液体又は陽イオン交換樹脂で前記母液のpHを調整する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記冷却条件は製造システムの温度が前の工程の温度により低いことであり、システムの処理温度は15℃~25℃の間にコントロールする請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
エチレンオキシド法によるタウリンの製造方法であって、以下の工程を備える方法:
S1. エチレンオキシドを亜硫酸水素ナトリウム溶液と反応させ、イセチオン酸ナトリウムを得る;
S2. S1で得たイセチオン酸ナトリウム及び不純物が除去された母液に加安分解を行い、蒸発濃縮して、タウリンナトリウム溶液を製造し;
S3. S2で得たタウリンナトリウム溶液が酸性陽イオン交換樹脂で交換して、タウリンの液体を製造し、濃縮及び結晶化により、タウリンの粗生成物及び母液を製造する、又は、硫酸での中和によりタウリンの結晶化溶液を製造し、結晶化溶液を冷却して結晶化し、タウリンの粗生成物及び母液を得る;
S4. S3で回収した母液を複数回濃縮して結晶し、タウリンを分離及び抽出し、濃縮してタウリン最終母液を製造し;
請求項1乃至6の何れか一のタウリン母液の不純物を除去してタウリン母液を回収する方法を用いて、S4の最終母液の不純物を除去し、不純物を除去して回収した母液をS2の加安分解の工程に送る。
【請求項8】
エチレンオキシド法によるタウリンの製造工程
においてタウリンを分離及び抽出したタウリン最終母液の処理に用いる
、不純物の除去及びタウリン母液の回収のためのシステムであって、有効成分を吸着する陰イオン樹脂吸着装置と、アンモニア溶解脱塩装置が順番に含まれ、前記陰イオン樹脂吸着装置の材料投入口は前工程で製造されたタウリン最終母液の吐出口に接続し、前記陰イオン樹脂吸着装置は陰イオン交換樹脂カラムが設置され、アンモニア溶解脱塩装置には循環経路を有するアンモニア溶解反応タンク及び気密ろ過装置を有する不純物の除去及びタウリン母液の回収のためのシステム。
【請求項9】
前記陰イオン樹脂吸着装置とタウリン最終母液の吐出口との間に活性炭脱色不純物除去装置が設置され、前記活性炭脱色不純物除去装置が脱色タンクとろ過装置を有する請求項8に記載の不純物の除去及びタウリン母液の回収のためのシステム。
【請求項10】
前記活性炭脱色不純物除去装置の前端あるいは後端に陽イオン樹脂吸着装置が接続され、陽イオン交換樹脂はタウリン最終母液のpHを下げるために用いられる請求項9に記載の不純物の除去及びタウリン母液の回収のためのシステム。
【請求項11】
前記活性炭脱色不純物除去装置の後端に陽イオン樹脂吸着装置が接続され、前記陽イオン樹脂吸着装置は原料タンク及び陽イオン交換樹脂カラムを含み、前記原料タンクは活性炭脱色不純物除去装置の吐出口に接続され、前記陽イオン交換樹脂カラムは前記陰イオン交換樹脂カラムに接続される請求項10に記載の不純物の除去及びタウリン母液の回収のためのシステム。
【請求項12】
前記陰イオン交換樹脂カラムは再生投入弁を介して、アルカリ性液体の添加を制御し、再生方式で前記陰イオン交換樹脂カラムに吸着した陰イオンを溶離して、母液受けタンクに回収し、前記母液受けタンクの吐出口はアンモニア溶解脱塩装置の投入口に接続される請求項8乃至11の何れか一に記載の不純物の除去及びタウリン母液の回収のためのシステム。
【請求項13】
前記アンモニア溶解反応タンクは、アンモニアの投入口、原料投入口及び吐出口を有し、前記アンモニア溶解反応タンクの吐出口はポンプを通じて、前記気密ろ過装置の投入口に接続し、前記ポンプは、濾過後の透明な反応物を排出する反応物の移送吐出弁を有する請求項12に記載の不純物の除去及びタウリン母液の回収のためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学的にタウリンを合成する製造方法に関する。特に、エチレンオキシド法でタウリンを製造する際に製造される母液に対し、その不純物の除去処理及びリサイクルの方法、またその製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タウリンの化学名は2-アミノエタンスルホン酸であり、体細胞の中に、含有量が最も多い含硫有遊離アミノ酸である。タウリンの化学合成プロセスには、主にエチレンオキシド法及びエタノールアミン法がある。その中のエチレンオキシド法による作製方法に三つの工程がある。
(1)エチレンオキシドを最初の原料とし、エチレンオキシドと亜硫酸水素ナトリウムとの付加反応を行い、イセチオン酸ナトリウムを生成する。
主要な反応は以下の通りである。
【化1】
【化2】
【化3】
副次反応は以下の通りである。
【化4】
(2)イセチオン酸ナトリウムの加安分解でタウリンナトリウムを生成する。
加安分解の副次反応式:
【化5】
【化6】
(3)酸性化してタウリンを生成する。例えば、塩酸、好ましくは硫酸で中和してタウリン及び無機塩を生成する。
【0003】
上述の付加反応及び合成反応の中に、副生成物が必ず生成する。その中に、エチレングリコール及びエチレングリコールのポリマーなどが含まれる。加安分解の反応は可逆反応であり、約20%以上のイセチオン酸ナトリウムは製造システムに伴い、次の工程に入る。加安分解の反応液は硫酸で中和され、分離された母液が得られる。1~3回の濃縮、分離、抽出により、最終母液が得られる。最終母液の中の主な不純物はタウリン、イセチオン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、2,2’-イミノビス(エタンスルホン酸)二ナトリウム、エチレングリコール、ポリエチレングリコール及び微量の金属イオンなど複数の成分を含み、汚染度が高い廃棄物である。既存の製造方法が母液のリサイクル方法を採用する際、いずれも副生成物の累積的な増加の問題が発生する。副生成物の量が閾値に達すると、一部の母液を排出することでしか解決できなくなり、廃棄物及び汚染の問題になる。
【0004】
中国の特許である特許文献1~4は硫酸でタウリンナトリウムを中和し、タウリン及び硫酸ナトリウムを生成する方法を記載している。冷却後の結晶懸濁液を濾過することにより、タウリンの粗生成物が簡単に生成することができる。しかしながら、廃棄物である母液の中にまだタウリン、硫酸塩、及び他の有機不純物がある。
【0005】
母液の使用について、非特許文献1において発表された、「タウリン加安分解反応研究」(著者 劉福明、解利民)は、タウリンの反応の過程及び反応の中にエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどほかの有機不純物が存在すると詳細に説明しており、収率に対する母液のリサイクルの影響も解析している。反応系の母液の含有量が多ければ多いほど、収率が高くなる。しかしながら、実際の製造工程では、母液の量を無限に増やすことができない。母液の含有量の増加に伴い、反応系の中の副生成物も大量に増加する。しかも、製造工程での、最終母液の生成量は最大で9.0%(v/v)のリサイクル量に過ぎない。総製造コスト及び収率を包括的に考えると、母液の含有量を6.3%~8.3%(v/v)の間にコントロールするのは最も理想的である。したがって、母液の中の不純物の除去処理は母液のリサイクル量を向上させる前提である。そうでなければ、リサイクル量の増加は製造過程で生成する副生成物の量の増加につながり、製造はより不安定になる。
【0006】
中国の特許である特許文献5はイオン交換でタウリンナトリウムを中和し、タウリンを生成する方法を記載している。また、母液のリサイクルで収率をさらに向上させている。この方法は主に硫酸塩の生成を回避し、その中のナトリウム原子をリサイクルし、硫酸、水酸化ナトリウムなどの原料を大幅に節約している。抽出された母液は原料として加安分解の反応に戻される。しかしながら、この方法も付加反応や合成反応などの副反応の発生を回避していない。母液からの不純物の除去処理はまだ必要である。
【0007】
母液の不純物の除去処理について、中国の特許である特許文献6は母液を全回収するタウリンの製造方法を記載している。この特許は主に二段階の中和で不純物を除去し、タウリンの粗生成物を生成する。濾過及び触媒作用により、硫酸ナトリウムがさらに除去され、ナトリウムは合成段階で再利用される。その中で、二段階中和によるエチレングリコール及び他の有機ポリマーの除去の効果及び不純物の除去処理を制限している。
【0008】
要は、既存のタウリン製造方法は比較的整備されているが、タウリンの分離、精製及び母液のリサイクルといった面では、まだ多くの不足があり、効果的な解決方法が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】中国特許出願公開第101508657号明細書
【文献】中国特許出願公開第10158658号明細書
【文献】中国特許出願公開第10158659号明細書
【文献】中国特許出願公開第101486669号明細書
【文献】中国特許出願公開第107056659号明細書
【文献】中国特許出願公開第105732440号明細書
【非特許文献】
【0010】
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の実施形態の技術方法をさらに明確に説明するため、実施形態の中に使われる添付図面を簡単に逐一説明する。明らかに、以下の添付図面は本発明の一部の実施形態である。本分野の当業者にとって、創造的な活動をとらない限り、以下の添付図面によって、他の添付図面も得られる。
【
図1】本発明の実施形態1の中の母液のリサイクル及び不純物の除去方法のプロセスフローチャートである。
【
図2】本発明の実施形態2の中の母液のリサイクル及び不純物の除去方法のプロセスフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態1の中の母液のリサイクル及び不純物の除去システムの模式図である。
【
図4】本発明の実施形態2の中の母液のリサイクル及び不純物の除去システムの模式図である。
【
図5】本発明の実施形態3の中の母液のリサイクル及び不純物の除去システムの模式図である。
【
図6】本発明の実施形態4の中の母液のリサイクル及び不純物の除去システムの模式図である。
【
図7】本発明が提供したタウリンを製造するプロセス(陽イオン交換方法)のエチレンオキシド法のフローチャートである。
【
図8】本発明が提供したタウリンを製造するプロセス(硫酸中和方法)のエチレンオキシド法のフローチャートである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、タウリン最終母液の中の不純物を効果的に除去し、再利用する不純物除去回収方法及び製造装置を提供し、最終母液を合成段階まで全リサイクルし、母液の排出による環境汚染問題を低減し、収率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
多くの研究及び実験から、本発明者らは不純物の除去及びタウリン母液の回収方法を期せずして発見した。この方法は既存のエチレンオキシド法によるタウリンの製造過程において、母液の不純物を除去したうえで、母液を全回収する。
【0014】
本発明において、上述の技術問題を解決する方法は以下の通りである。不純物の除去及びタウリン母液の回収方法は、エチレンオキシド法によるタウリンの生産及びタウリン最終母液の処理に応用する。そのタウリン最終母液とは濃縮、分離が少なくとも一回行われたタウリン母液である。その処理の工程は以下通りである。
(1)タウリン最終母液を陰イオン交換樹脂でイオン交換し、有効成分が陰イオン交換樹脂に吸着される。また、アルカリ性溶液で陰イオン交換樹脂を溶離、再生し、吐出口の液体を回収する。
(2)工程(1)の吐出口で回収した液体にアンモニアを溶解させ、固液分離で不純物が除去された母液を得る。
(3)工程(2)で得た母液を加安分解の工程に移す。
【0015】
好ましくは、そのアンモニア反応の際、吐出口の液体に液体アンモニア又はアンモニアガスを添加する。アンモニアの質量と体積の比は15g/100ml以上である。
【0016】
好ましくは、陰イオン交換樹脂カラムは塩基性陰イオン交換樹脂カラムである。
【0017】
好ましくは、工程(1)の前に、タウリン最終母液に活性炭による脱色及び不純物の除去処理を行う。この処理は、冷却条件の下でタウリン最終母液に活性炭を添加し、固液分離後、不純物が除去された母液を得て、その溶液を酸性又は中性に調整することを含む。
【0018】
好ましくは、硫酸又はほかの酸性液体で、上述の活性炭処理後のタウリン最終母液の溶液のpHを2.5~7.0に調整する。さらに好ましくは、上述の酸性液体ではなく、固液分離前又は分離後、陽イオン交換樹脂でタウリン最終母液の溶液のpHを3.0~6.0に調整し、好ましくは3.0~3.5にする。
【0019】
好ましくは、その冷却条件とは生産システムの温度が前の工程の温度により低いことである。システムの処理温度は15~25℃の間にコントロールする。好ましくは18~22℃にする。
【0020】
以上の発想に基づき、上述の不純物の除去及び母液を回収する方法をエチレンオキシド法によるタウリンの製造に適用する。その工程は以下の通りである。
S1. エチレンオキシドを亜硫酸水素ナトリウム溶液と反応させ、イセチオン酸ナトリウムを得る。
S2. S1で得たイセチオン酸ナトリウム、処理した母液、及びアンモニア水を混合し、反応液を得る。そして、アンモニアを一定の濃度まで吸収させ、触媒作用下で加安分解の反応を行い、蒸発濃縮したタウリンナトリウム溶液を得る。
S3. S2で得たタウリンナトリウム溶液を一定の濃度に調整し、そして酸性陽イオン交換樹脂で処理してタウリンの液体を得る。そして、濃縮及び結晶化によってタウリンの粗生成物及び母液を得る。または、硫酸を添加し、pHを7.0~8.5に調整したうえで、タウリンの結晶の溶液を得る。結晶の溶液を冷却及び結晶化したら、タウリンの粗生成物及び母液を得る。
S4. S3で回収した母液に複数回の濃縮及び結晶化を行い、プレートフレームフィルターなどの濾過装置でタウリンを分離、抽出したうえで、濃縮してタウリン最終母液を得る。
S5. S4で回収したタウリン最終母液を15~25℃まで冷却し、一定の量の活性炭を添加したうえで、硫酸を入れ、pHを2.5~7.0に調整する。プレートフレームフィルター、ミクロポーラスフィルターなどのろ過装置で母液を分離する。一つのオプションとして、pHを調整するために上述の硫酸を添加せずに、固液分離前又は後に、酸性陽イオン交換樹脂で酸性度を上げる処理を行う。
S6. S5で回収した母液を塩基性陰イオン交換樹脂に通して、陰イオン交換樹脂をタウリン、イセチオン酸ナトリウムなどと交換し、有効成分を樹脂に吸着する。吐出口の液体は不純物が多く存在する液体であり、後続処理が必要である。一定の程度まで回収したら、アルカリ性溶液で樹脂を再生し、不純物及び有効成分を分離する。吐出口で回収した液体は不純物が除去されたタウリン母液である。
S7. S6で回収したタウリン母液に冷却条件の下でアンモニアの含有量の質量と体積の比が15g/100ml以上まで液体アンモニア又はアンモニアガスを入れたら、硫酸塩及び他の不純物が析出する。そして、リーフフィルター又はクローズドプレートフレームフィルターで透明な母液を得る。得た母液を工程S2に戻し、加安分解の反応に用いる。
【0021】
ここで説明したいのは、その中に、S1で生成されたイセチオン酸ナトリウムは濃縮、結晶化及び乾燥処理されて固体が得られる。または、反応完了後、反応で得た混合液を処理せずに直接S2のアンモニア水を混合して、反応液を得る。アンモニアを吸収した反応液のアンモニアの濃度は20wt%~28wt%(重量割合)である。
【0022】
具体的には、S1の中の亜硫酸水素ナトリウム溶液の濃度は9wt%~36wt%であり、亜硫酸水素ナトリウムとエチレンオキシドとの量の比は1:0.95~1である。
【0023】
具体的には、S2の中の触媒は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸リチウムの中の任意の一つ又は二つ以上の混合物であり、加安分解反応の温度は150℃~290℃であり、圧力は10Mpa~25Mpaである。
【0024】
具体的には、S3において、酸性陽イオン交換樹脂カラムでタウリンナトリウムを処理する際、タウリンナトリウム溶液の濃度は15%%~35%であり、好ましくは、18%~20%である。S3において、タウリンナトリウムを硫酸で処理する際、タウリンナトリウムの濃度は25%~40%であり、好ましくは、32%~38%である。
【0025】
S3のタウリン粗生成物に水、活性炭などを添加する必要がある。溶解、脱色、ろ過、冷却、結晶化、遠心分離、乾燥して、タウリンの完成品を得る。遠心分離後の高品質な母液はタウリンナトリウム溶液を調製するために再利用できる又はタウリン粗生成物の脱色処理に用いる原料に送ることができる。
【0026】
具体的には、S4の母液が複数回の濃縮及び結晶化により、1回又は2回の濃縮で、それぞれ2回目及び3回目の粗生成物が得られる。得られたタウリン最終母液は、2回目の母液又は3回目の母液である。S3において、タウリンナトリウムを酸性陽イオン交換樹脂カラムで処理する際、タウリン最終母液を好ましくは2回目の母液とする。S3において、タウリンナトリウムを処理するために硫酸が選択された場合、タウリン最終母液を好ましくは3回目母液とする。
【0027】
上述の不純物の除去及び回収方法に基づき、本発明は不純物の除去や回収システムを提供する。その目的はエチレンオキシド法によるタウリンの製造中のタウリン最終母液を処理することにある。その中に、有効成分の吸着するために順番に接続された陰イオン樹脂吸着装置及びアンモニア溶解及び脱塩装置が含まれる。その陰イオン樹脂吸着装置の材料投入口は、前の工程で得たタウリン最終母液の吐出口に接続される。そして、陰イオン樹脂吸着装置に陰イオン交換樹脂カラムが設置されている。また、アンモニア溶解及び脱塩装置に循環経路を有するアンモニア反応タンク及び気密ろ過装置がある。
【0028】
好ましくは、その陰イオン樹脂吸着装置とタウリン最終母液の吐出口の間に活性炭による脱色及び不純物の除去装置が設置される。その活性炭による脱色及び不純物の除去装置は脱色用のタンク及びろ過装置を備える。
【0029】
好ましくは、その活性炭による脱色及び不純物の除去装置の前端あるいは後端は陽イオン樹脂吸着装置に接続される。その陽イオン樹脂吸着装置はタウリン最終母液のpHを下げるためである。
【0030】
好ましくは、その活性炭による脱色及び不純物の除去装置の後端が陽イオン樹脂吸着装置に接続される際、その陽イオン樹脂吸着装置に原料タンク及び陽イオン交換樹脂カラムが設置される。その原料タンクは活性炭による脱色及び不純物の除去装置の吐出口に接続される。その陽イオン交換樹脂カラムは陰イオン交換樹脂カラムに接続される。
【0031】
好ましくは、その陰イオン交換樹脂カラムは再生原料の投入弁を通じて、アルカリ性液体の添加をコントロールし、陰イオン交換樹脂カラムに陰イオンを吸着し、再生の方式でその陰イオン交換樹脂カラムに吸着された陰イオンを溶離して、溶離液を母液受けタンクに回収する。その母液受けタンクの吐出口はそのアンモニア溶離及び脱塩装置の投入口に接続される。
【0032】
好ましくは、そのアンモニアの溶離反応タンクにアンモニアの投入口、原料投入口及び吐出口が設置される。そのアンモニアの反応タンクの吐出口はポンプを介して気密ろ過装置の投入口に接続される。そのポンプに移送取出弁が設置され、濾過後の透明な物質を排出する。
【0033】
好ましくは、その陰イオン樹脂吸着装置は、順番に接続された原料タンク、原料注入ポンプ、陰イオン交換樹脂カラム及び受けタンクを含む。その中に、原料タンク及び受けタンクは常圧の装置である。
【0034】
好ましくは、その陰イオン交換樹脂カラムは塩基性陰イオン交換樹脂カラムである。
【0035】
好ましくは、その気密ろ過装置はリーフフィルター又はクローズドプレートフレームフィルターである。
【0036】
好ましくは、その活性炭による脱色及び不純物の除去装置は、順番に接続された脱色タンク、1次ろ過装置、移送用タンク、2次ろ過装置及び受け貯蔵タンクを含む。その脱色タンクに冷却機構があり、その2次ろ過装置は精密フィルターである。
【0037】
好ましくは、冷却機構は、脱色タンク外部の水循環凝縮層である。冷却水の給水バルブ及び排水バルブが冷却水の出入りをコントロールする。
【0038】
好ましくは、1次ろ過装置は、プレートフレームフィルター又はミクロポーラスフィルターである。
【発明の効果】
【0039】
本発明は既存の技術に比べると、以下のメリット及び効果を有する。
1、本発明で採用された方法及びシステムはタウリン最終母液を陰イオン交換樹脂で処理したうえで、タウリン母液の中の不純物が多く除去できる。さらに、アンモニア溶解処理で塩を除去し、純粋なタウリン母液が得られ、母液のリサイクル量の増加及び製品の収率向上を実現できる。
2、本発明で採用された活性炭による脱色及び不純物の除去装置は冷却条件で使用する装置である。活性炭が一定の量のエチレングリコール、金属イオン及び少量の有機物質などの不純物を吸着し、タウリン母液の中の不純物をさらに徹底的に除去できる。
3、本発明の中の回収及び不純物の除去装置は最善化設計を採用し、不純物の除去装置を使い、最終母液の中の各不純物の除去を狙い、効果的で徹底的した、簡単な操作、低いコストなどの特徴を有する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に、添付の図面及び具体的な実施形態に合わせ、本発明の具体的な内容について、さらに詳細に説明する。採用される実施形態は単なる本発明の説明用であり、本発明の範囲を制限するわけではない。
【0041】
図1に示すように、本発明はタウリン母液における不純物の除去方法及びタウリン母液の回収方法を提供する。その目的はエチレンオキシド法によるタウリンの製造に用いることにある。製造中に、複数回の濃縮及び結晶化で得られたタウリン最終母液を、陰イオン交換樹脂を通して、イオン交換する。そして、アルカリ性溶液で陰イオン交換樹脂を溶離、再生し、吐出口の液体を回収する。吐出口で回収した液体をアンモニア溶解処理し、固液分離後、不純物が除去された母液が得られる。また、その母液を加安分解の反応に原料として加える。
【0042】
図2に示すように、本発明はタウリン母液の不純物の除去及び回収方法を提供する。上述の実施形態の処理方法に基づき、さらに一つの工程を追加する。すなわち、活性炭による脱色及び不純物の除去である。この工程において、好ましくは不純物の除去の最初の工程にする。すなわち、タウリン最終母液を先に冷却したうえで、活性炭で脱色及び不純物の除去を行う。固液分離後、陰イオン樹脂吸着の工程を行い、不純物をさらに除去する。濾過後、アンモニア溶解処理により、母液の中の硫酸塩を除去し、母液の不純物の除去処理を完成したうえで、加安分解の工程に戻し、循環型製造に組み込む。
【0043】
図3に示すように、本発明はタウリン母液の不純物の除去及び回収方法を提供する。
図1の不純物の除去及び回収方法を採用する。その中に、順番に接続された陰イオン交換樹脂吸着装置、アンモニア溶解及び脱塩装置が含まれる。
【0044】
その中に、陰イオン吸着装置の投入口617は、前の工程で生成されたタウリン最終母液の吐出口に接続される。陰イオン樹脂吸着装置は、原料タンク61、陰イオン交換樹脂カラム62及び受けタンク63を含む。原料タンク61と陰イオン交換樹脂カラム62の間に原料注入ポンプ616が接続される。原料タンク61及び受けタンク63は常圧の装置である。
【0045】
原料タンク61の上に母液の投入口617及び排気口618が設置され、下に取出弁64が設置されている。原料注入ポンプ616に原料投入弁65が設置され、吐出口の逆止弁66及び取出弁67が設置されている。陰イオン交換樹脂カラムの上に母液の投入弁68、洗浄弁69及び再生投入弁610が並んで設置されている。この三つのバルブの中の液体は一つのトータル投入弁611のコントロールの下で、陰イオン交換樹脂カラム62に入る。陰イオン交換樹脂カラム62には一つのトータル取出弁612が設置され、並んで設置された再生取出弁613、洗浄排水弁614及び反応物取出弁615をコントロールする。受けタンク63の上の投入口624が再生取出弁613のパイプに接続され、下には取出弁620が設置され、移送ポンプ622の投入弁621に接続される。移送ポンプ622には移送取出弁623が設置され、受けタンク63の上に排気口619が設置されている。陰イオン交換樹脂カラム62は再生投入弁610でアルカリ性溶液の添加をコントロールし、再生の方式で陰イオン交換樹脂カラム62に吸着された陰イオンを溶離し、母液受けタンク63に回収する。母液受けタンク63の吐出口で吐き出された反応物は、移送ポンプの移送吐出口弁623のコントロールでアンモニア溶解及び脱塩装置の投入口に運ばれる。上述のパイプライン及びバルブ以外、この装置の中に、製造装置に必要なバルブと接続部品も設置されている。そのいずれも本分野で公知であるから、説明を省略する。
【0046】
陰イオン樹脂吸着装置は、最終母液の中の大半の不純物を除去できる。操作は簡単である。操作の際、最終母液を原料タンクの投入口617より、原料タンク61に投入し、原料タンクの取出弁64、原料注入ポンプの投入弁65、原料投入ポンプの取出弁67、陰イオン交換樹脂カラムの原料投入弁68、陰イオン交換樹脂カラムの投入弁611、陰イオン交換樹脂カラムの取出弁612、陰イオン交換樹脂カラムの反応物の取出弁615を開き、樹脂カラムの原料注入ポンプ616を起動し、反応物が陰イオン交換樹脂カラムの取出弁615から吐き出されたら吐出口のpHを確認する。吐出口の反応物の含有量を図り、吸着が飽和状態になったら樹脂カラムの原料注入ポンプ616を停止し、陰イオン交換樹脂カラムの原料投入弁68及び陰イオン交換樹脂カラムの取出弁615を閉じる。陰イオン交換樹脂カラムの洗浄排水弁614及び陰イオン交換樹脂カラムの洗浄弁69を開き、指定時間まで洗浄したら、陰イオン交換樹脂カラムの洗浄排水弁614及び陰イオン交換樹脂カラムの洗浄弁69を閉じる。陰イオン交換樹脂カラムの再生取出弁613及び陰イオン交換樹脂カラムの投入弁610を開き、アルカリで樹脂を再生する。同時に、樹脂カラムに吸着した母液の中の有効成分を溶離し、溶離した母液を受けタンク63に回収する。その中に、常圧の装置の排気口は常時開放の状態である。
【0047】
アンモニア溶解及び脱塩装置は、順番に接続されたアンモニア溶解タンク71、ポンプ73及びリーフフィルター72を含む。そのリーフフィルター72は、クローズドプレートフレームフィルターに置き換えることができる。アンモニア溶解タンク71の上に、アンモニア吸収機74、アンモニア投入弁75、反応物投入弁76、透明溶液返送タンク弁79及び排気弁710、安全弁77及び安全弁前制御弁78が設置されている。アンモニア溶解タンクの底に取出弁711が設置されている。この取出弁711はポンプの投入弁712に接続される。ポンプ73のもう一方の端部にそれぞれ、ポンプの取出弁713及び移送取出弁718が設置されている。ポンプの取出弁713の吐出口は吸込ベーンの返送バルブ714からアンモニア吸収機74に接続し、ブレード機の投入弁715を通じてリーフフィルター72に接続される。リーフフィルターにリリーフ弁716及び取出弁717が設置されている。取出弁717は透明溶液を返送タンク弁79に接続される。上述のように、想像装置に必要なバルブ及び接続部品が設置され、そのいずれも本分野で公知のものであるから、説明を省略する。
【0048】
上述のアンモニア反応及び脱塩装置は母液の中の塩や不純物を除去できる。操作も簡単である。操作方法は、安全弁前制御弁78を開き、排気弁710を開き、投入弁76を開き、母液をアンモニア溶解タンク71に投入する。投入後、投入弁76を閉じ、底の取出弁711、ポンプの投入弁712、吸込ベーンの返送バルブ714を開き、ポンプ73を起動し、ポンプの取出弁713を開き、安定したらアンモニア投入弁75を開き、排気弁710を閉じ、アンモニアを吸収させ、アンモニアの含有量が15%(質量と体積の比、15g/100ml)以上になったら、吸収を停止する。アンモニア投入弁75を閉じる。リリーフフィルターのリリーフ弁716、透明溶液返送タンク用弁79及びブレード機の投入弁715を開き、リーフフィルター72に充填したら、リーフフィルター取出弁717を開き、同時にリリーフフィルターのリリーフ弁716を閉じる。このプロセスをループする。アンモニア溶解タンク71の中の反応物の状態を確認するために試料を採取する。濾過を反応物が透明になるまで行い、移送取出弁718を開き、反応物を加安分解のプロセスに移す。
【0049】
本発明の
図2に示している、タウリン母液の不純物の除去及び回収方法、
図4に示している対応する処理装置の接続図が以上の不純物の除去及び回収システムに比べると、そのシステムは陰イオン樹脂吸着装置の前に活性炭による脱色及び不純物の除去装置を追加した。すなわち、前の工程で得たタウリン最終母液に対して、先に活性炭による脱色及び不純物の除去を行い、そして、陰イオン樹脂吸着装置で吸着処理を行う。具体的に言えば、活性炭による脱色及び不純物の除去装置は、順番に接続された脱色タンク51、プレートフレームフィルターに接続するポンプ52、プレートフレームフィルター53、移送タンク54、精密フィルターに接続するポンプ55、精密フィルター56、受けタンク57及び移送ポンプ534を含む。精密フィルター56はプレートフレームフィルター53に比べると、精密フィルター56の穴の直径がより小さく、小さい粒子の濾過もできる。その中で、脱色タンク51、移送タンク54及び受けタンク57は常圧の装置である。
【0050】
脱色タンク51の外部に水分循環凝縮層が設置され、その目的は脱色タンク51の内部温度を下げることにある。そこに、冷却水の給水弁58及び冷却水の排水弁59が設置されている。脱色タンク51にミキサー530があり、その上に母液の投入口510及び排気口511がある。底に取出弁512が設置され、プレートフレームフィルターに接続するポンプの投入弁513を通じて、プレートフレームフィルターに接続するポンプ52につながる。プレートフレームフィルターに接続するポンプ52に取出弁514及び逆止弁515が設置されている。プレートフレームフィルター53の出入口に投入弁516及び取出弁517がそれぞれ設置され、移送タンク投入弁518を通じて移送タンク54に接続される。移送タンク54の上に投入口536、排気口519及びミキサー531が設置されている。底の取出弁520は精密フィルターに接続するポンプ投入弁521に接続される。精密フィルターポンプ55の吐出口は取出弁522に接続され、精密フィルターポンプリターン弁523及び精密フィルターの投入弁525にそれぞれ接続される。精密フィルター56に洗浄の給水弁524、洗浄の排水弁527及び排気弁526が設置されている。精密フィルターの取出弁528は受けタンク57の投入口に接続される。受けタンク57に排気口529が設置されている。その取出弁532は移送ポンプ534の投入弁533に接続される。移送ポンプ534の取出弁535は陰イオン樹脂吸着装置の中の原料タンク61に接続される。その他の製造装置に必要なバルブ及び接続部品は本分野で公知のものであるから、説明を省略する。脱色タンクに酸性液体の投入口を好ましくは設置し、その目的は、酸性液体、例えば硫酸を投入し、タンク内部の溶液のpHを下げることにあり、後続の不純物の除去にさらに有利である。
【0051】
この装置を追加したら、二段階濾過により、濾過の効率及び処理能力の向上が実現できる。操作方法は、活性炭を母液の投入口510より投入し、又は、他の口より投入するが、特に限定されない。プレートフレームフィルター脱色タンク取出弁512を閉じ、反応物を脱色タンクの投入口510より脱色タンク51に投入する。冷却水の排水弁59及び冷却水の給水弁58を開き、冷却水を通過させ、冷却する。同時に、脱色タンクのミキサー530を起動し、指定の温度まで冷却したら、冷却水の給水弁58及び冷却水の排水弁59を閉じる。脱色タンクの取出弁512、プレートフレームフィルターに接続するポンプの投入弁513、フレームフィルターの投入弁516、プレートフレームフィルターの取出弁517及び移送タンクの投入弁518を開き、移送タンクの取出弁520を閉じ、フレームフィルターのポンプ52を起動する。そして、プレートフレームフィルターのポンプの逆止弁515でプレートフレームフィルターに入る圧力を調節する。活性炭及び反応物がともにプレートフレームフィルター53に入る。活性炭はそのフィルター53に留まる。プレートフレームフィルターを開けたら、不純物を吸着した活性炭が排出できる。そして、移送タンク54の中の反応物が一定の量までたまったら、移送タンクの取出弁520、精密フィルターに接続するポンプの投入弁521、精密フィルターポンプリターン弁523、精密フィルターの投入弁525、精密フィルターの排気弁526、及び精密フィルターの取出弁528を開き、精密フィルターに接続するポンプ55を起動し、精密フィルターに接続するポンプの取出弁522を開く。精密フィルターの排気弁が反応物を吐き出したら、精密フィルターの排気弁526を閉じる。精密フィルターポンプリターン弁523で精密フィルター56の投入時の圧力を調整する。受けタンク57で回収した反応物を後続の処理に移す。すなわち、陰イオン樹脂吸着装置の原料タンク61である。陰イオン交換樹脂カラム62による処理後、アンモニア溶解タンク71でアンモニア溶解を行い、硫酸塩などの不純物をさらに除去する。
【0052】
図5のように、本発明は不純物の除去及び回収システムに対して、さらなる最善化をした。脱色タンクに酸性液体を投入し、pHを下げる代わりに、前の工程で得たタウリン最終母液に対して、先に固体酸で酸性度を上げる。酸性度向上の装置は酸性陽イオン交換樹脂吸着装置である。酸性陽イオン交換樹脂吸着装置は前の工程の中のタウリン最終母液の吐出口に接続される。
【0053】
図面に示したように、陽イオン樹脂吸着装置は原料タンク81、陽イオン交換樹脂カラム82及び受けタンク83を含む。原料タンク81及び陽イオン交換樹脂カラム82の間に原料注入ポンプ816が接続される。その中の原料タンク81及び受けタンク83は常圧の装置である。
【0054】
原料タンク81の上に母液の投入口817及び排気口818が設置されている。原料タンク81の下に、取出弁84が設置されている。原料注入ポンプに投入弁85、取出逆止弁86及び取出弁87が設置されている。陽イオン交換樹脂カラム82の上に母液の投入弁88、洗浄弁89及び再生投入弁810が設置されている。この三つの弁の中の液体は一つのトータル投入弁811のコントロール下で陽イオン交換樹脂カラム82に入る。陽イオン交換樹脂カラム82にトータル取出弁812が設置され、設置された反応物取出弁813、洗浄取出弁814及び再生取出弁815をコントロールする。受けタンクの上の投入口824は反応物の取出弁813のパイプに接続される。下に、取出弁820が設置され、移送ポンプ822の投入弁821に接続される。移送ポンプに移送取出弁823が設置されている。受けタンク83の上に排気口819が設置されている。陽イオン交換樹脂カラム82は再生投入弁810で酸性液体の投入をコントロールする。そして、再生の方式でその陽イオン交換樹脂カラム82に吸着した金属イオンなどを溶離する。母液受けタンク83の吐出口から吐き出された反応物が移送ポンプの移送取出弁823のコントロールの下で、反応物は活性炭による不純物の除去装置の投入口510に運ばれる。上述のパイプライン及びバルブのほか、この装置に製造装置に必要なバルブ及び接続部品が設置されている。そのいずれも本分野で公知のものであるから、説明を省略する。
【0055】
その陽イオン樹脂吸着装置は母液の中の金属イオンなどの不純物を除去できる。同時に、他の陰イオン又は不純物を取り入れないままで母液のpHを下げられる。操作は簡単である。前の工程で生産したタウリン最終母液を原料タンクの投入口817により原料タンク81に投入し、原料タンクの取出弁84、原料注入ポンプの投入弁85、原料注入ポンプの取出弁87、陽イオン樹脂カラムの原料投入弁88、陽イオン樹脂カラムの投入弁811、陽イオン樹脂カラム取出弁812、陽イオン樹脂カラムの反応物取出弁813を開き、樹脂カラムの原料注入ポンプ816を起動する。反応物が陽イオン樹脂カラムの反応物取出弁813から吐き出され、受けタンク83に入ったら、吐出口のpHを確認し、吐出口の反応物の含有量を測る。吐出口のpH又は受けタンク83のpHが指定の値に達したら、樹脂の原料注入ポンプ816を停止し、陽イオン樹脂カラムの原料投入弁88及び陽イオン樹脂カラムの反応物取出弁813を閉じる。陽イオン樹脂カラムの洗浄取出弁814及び陽イオン樹脂カラム洗浄弁89を開く。指定の時間まで洗浄したら、陽イオン樹脂カラム洗浄取出弁814及び陽イオン樹脂カラム洗浄弁89を閉じる。陽イオン樹脂の再生取出弁815及び陽イオン樹脂カラムの再生投入弁810を開き、酸で陽イオン樹脂カラムに再生を行う。同時に、陽イオン樹脂カラムに吸着した母液の中の金属イオンなどの不純物を溶離し、陽イオン樹脂カラムの再生取出弁815で後続の処理に移す。移送ポンプ822で受けタンク83の中の処理後の母液を脱色タンク51に運ぶ。
【0056】
図6に示すように、本発明は上述の実施形態のプロセス及び設備を最適化する。不純物の除及び去回収システムは、順番に活性炭による脱色及び不純物の除去装置、陽イオン交換樹脂吸着装置、陰イオン交換樹脂吸着装置及びアンモニア反応及び脱塩装置で構成される。その中で、陽イオン交換樹脂吸着装置および陰イオン交換樹脂吸着装置は原料タンク及び受けタンクを共有し、固体酸によって処理後のタウリン最終母液のpHを下げる。このプロセスは二つの化学反応に関わる。一つは酸性樹脂と溶液の中の陽イオンとの交換反応である。もう一つは酸と塩基性樹脂との反応である。段階的な反応により、必要な反応物を得る。この方式で行われた分離は完全的な分離である。
【0057】
具体的に言えば、陽イオン交換樹脂吸着装置の原料タンク81は活性炭による脱色及び不純物の除去装置の受けタンク57に接続される。原料タンク81と陽イオン交換樹脂カラム82との間に原料注入ポンプ816が接続される。陽イオン交換樹脂カラム82は陰イオン交換樹脂カラム62に接続し、陰イオン交換樹脂カラム62は受けタンク63に接続される。受けタンク63は、移送ポンプ622の移送吐出口623のコントロール下で、アンモニア溶解及び脱塩装置の投入口に運ばれる。
【0058】
その中で、原料タンク81の上に母液投入口817及び排気口818が設置され、下に取出弁84が設置されている。原料注入ポンプに投入弁85、取出逆止弁86及び取出弁87が設置されている。陽イオン交換樹脂カラム82の上に母液の投入弁88、洗浄弁89及び再生投入弁810が設置されている。この三つの弁の中の液体は一つのトータル投入弁811のコントロール下で陽イオン交換樹脂カラム82に入る。陽イオン交換樹脂カラム82にトータル取出弁812が設置され、設置された反応物の取出弁813、洗浄取出弁814及び再生取出弁815をコントロールする。陰イオン交換樹脂カラムの上の投入口は反応物の取出弁813のパイプに接続し、母液投入弁68にコントロールされる。陰イオン交換樹脂カラムの上に洗浄弁69及び再生投入弁610が設置されている。この三つの弁の中の液体は一つのトータル投入弁611のコントロールの下で陰イオン交換樹脂カラム62に入る。陰イオン交換樹脂カラム62にトータル取出弁612が設置され、設置された反応物の再生取出弁613、洗浄取出弁614及び反応物取出弁615をコントロールする。受けタンク63の上の投入口624は再生取出弁613のパイプに接続される。下に、取出弁620が設置され、移送ポンプ622の投入弁621に接続される。移送ポンプに移送取出弁623が設置されている。陰イオン交換樹脂カラム62は再生投入弁610でアルカリ性液体の投入をコントロールする。そして、再生の方式でその陰イオン交換樹脂カラム62に吸着した陰イオンを溶離し、母液受けタンク63に回収する。母液受けタンク63の吐出口から吐き出された反応物が移送ポンプの移送取出弁623のコントロール下で、アンモニア溶解及び脱塩装置の投入口まで運ばれる。
【0059】
図7及び8に示すように、本発明はエチレンオキシド法によるタウリンの製造のための2つの方法を提供する。その中で、上述の不純物の除去及び回収方法並びにその装置が適用される。その二つの方法の相違は加安分解後のプロセスにある。一つは陽イオン樹脂を採用した方法である。この方法について、本出願人によるもう一つの中国発明特許である中国特許出願公開第107056659号明細書に詳細に記載している。もう一つは硫酸中和を採用した方法である。以下の実施形態は本発明が提供した一つのタウリン母液の不純物の除去及び回収方法の各工程を分解するものである。その実施形態はそれぞれその実施形態の中の一つの工程又は一つの工程の中の一部である。次に、
図7及び8の二つのプロセスを組み合わせ、タウリンの製造方法を説明する。
【0060】
S1. エチレンオキシドを亜硫酸水素ナトリウム溶液と反応させ、イセチオン酸ナトリウムを得る。この反応の中に、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの不純物が生成する。
【0061】
S2. S1で得たイセチオン酸ナトリウム、不純物が除去された母液、アンモニア水を混合し、反応液を得る。そして、アンモニアを一定の濃度まで吸収させ、触媒作用の下で加安分解の反応を行う。反応完了後、フラッシュ蒸発により、余計なアンモニアガスを反応液から排出し、加安分解の原料として再利用する。そして、蒸発濃縮により、タウリンナトリウム溶液を得る。工程S1で産出したイセチオン酸ナトリウム溶液の中のエチレングリコール類の副生成物は、ポリエーテルアルコール類などの有機物に変換される。それは加安分解が可逆反応からである。化学平衡の法則により、ジタウリンナトリウム、トリタウリンナトリウムの存在は原料の変化率向上を実現することができる。不純物の除去処理を行われた母液の再利用は溶液のリサイクル量を向上させ、副反応を削減することを実現することができる。さらに、安定した製造及び収率の向上という目的を実現できる。
【0062】
S3. S2で得たタウリンナトリウム溶液を一定の濃度に調整する。酸性陽イオン交換樹脂カラムを通すことによりタウリンの溶液が得られる。そして濃縮及び結晶化でタウリン粗生成物及び母液を得る。分離の温度は約15~25℃である。または、硫酸中和の方法を採用し、pHが7.0~8.5まで硫酸の添加し、タウリン結晶の溶液を得る。冷却して結晶化した後、タウリン粗生成物及び母液を得る、分離の温度は32~35℃ぐらいである。
【0063】
S4. S3で得た母液を複数回の濃縮及び結晶化後、プレートフレームフィルターなどの装置で分離し、タウリンを抽出し、そして、濃縮によってタウリン最終母液を得る。
【0064】
S5. 先ず、S4で回収したタウリン最終母液を15~25℃まで冷却する。これは最高の結晶化の効果の下で不純物を析出させるためである。そして、一定の量の活性炭を添加し、プレートフレームフィルター、ミクロポーラスフィルターなどの装置で固体の不純物を濾過し、不純物が除去された母液を得る。この工程において、溶液のpHを酸性又は中性に調整する必要がある。二つの方法が採用できる。一つは溶液に酸性液体を添加する。例えば硫酸。pHを2.5~7.0に調整する。もう一つはタウリン最終母液に陽イオン交換樹脂の処理を行い、pHを2.5~7.0に調整する。
【0065】
S6. 先ず、S5で回収した母液を塩基性陰イオン交換樹脂カラムに通し、吐出口で不純物が多く存在する溶液を回収する。この後、後続の処理が必要である。一定の程度まで回収したら、アルカリ性溶液で、例えば水酸化ナトリウム溶液で、樹脂に対して再生を行う。吐出口で回収した溶液は不純物が徹底的に除去されたタウリン母液である。そして、溶液の中のタウリンの大半が陰イオンのままで存在するように溶液のpHを調整する。陰イオン樹脂吸着の原理によると、樹脂はタウリンの陰イオンと交換作用を行う。タウリンの陰イオンを樹脂に吸着させる。同時に、母液中のイセチオン酸ナトリウム、ジタウリンナトリウム、トリタウリンナトリウムも、陰イオンの形態で存在し、樹脂で交換され、樹脂に吸着する。エチレングリコールやポリエーテルアルコールなどの有機物の不純物は、樹脂とは交換されずに、樹脂によって吸着されない。樹脂に吸着したタウリンやイセチオン酸ナトリウムをアルカリ性溶液で溶離し、純粋なタウリン母液を得る。こうすることで、有効成分及び不純物の分離を実現し、母液の不純物の除去という目的を達成する。
【0066】
S7. S6で回収した不純物が徹底的に除去された母液に冷却条件の下でアンモニアの含有量が15%以上になるまで液体アンモニアを通過させたら、大量の硫酸塩及びほかの不純物が析出する。そして、リーフフィルター又はクローズプレートフレームフィルターによって、透明な母液を得る。得た母液は加安分解のプロセスに使える(工程S2)。上述のろ過装置は環境保護の要求を満たすため、アンモニアの漏洩防止で気密でなければならない。
【0067】
次に、工程S5における陽イオン交換樹脂カラムの方法の原理について説明する。
【0068】
工程S5の中の酸性陽イオン交換樹脂は固体酸と見なすことができる。陽イオン交換樹脂が行う化学反応は以下の通りである。(陽イオンはNa+のみで表され、再生した酸はH2SO4のみで表される)。
RH + Na+ → RNa + H+ (1)
2RNa + H2SO4
→ 2RH + Na2SO4
(2)
【0069】
その中のRHは酸性陽イオン交換樹脂が水素の状態であることを示している。(すなわち再生完了の状態)、RNaは酸性陽イオン交換樹脂がナトリウムを吸収した状態であることを示している。(すなわち吸着飽和状態)。再生した陽イオン交換樹脂の原理は、溶液の陽イオンが樹脂において、逆極性の基との親和力が有し、溶液中の陽イオンが樹脂に留まる。そして、樹脂から解離された水素イオンは溶液に放出され、溶液の中の陰イオンと結合する。反応液は陽イオン樹脂と十分な交換を行い、溶液のpHを下げる。一定の程度まで吸着したら、溶液のpHは最低になる。陽イオン交換樹脂の交換が飽和になり、酸性がより高い必要がある(すなわち、化学式(2)の中のH2SO4の酸性はRHの酸性より強い)。再生溶液で樹脂に留まっている陽イオンを再度交換し、RHを得る。同時に、再生されたNa2SO4は溶液の形で分離される。こうすることで、RHはまたH+を提供できる。すなわち、化学式(1)に使い続けることができる。
【実施例】
【0070】
本発明の技術的効果を説明するため、次は実施例で説明する。以下の実施例の中の原料をとりわけ説明しない限り、そのいずれも市販の製品である。採用した方法をとりわけ説明しない限り、そのいずれも通常方法である。とりわけ説明しない限り、反応物の含有量は質量と体積の割合である。
【0071】
実施例1
本実施例において、説明したいのは工程S6の陰イオン交換樹脂カラムの処理方法である。
【0072】
最初の前処理の際、陰イオン交換樹脂を湿式で交換カラムに取り付け、2ベッドボリューム(BV)、4%の水酸化ナトリウム溶液を(質量%、以下同じ)、1.8BV/h~2.2BV/h(その中の任意の値)の流速かつ順方向でその交換カラムの中の樹脂に通過させる。そして、脱イオン水でpH=9ぐらいまで洗浄する。カラムを取り付ける際、樹脂を先に湿式でメスシリンダーに入れ、樹脂の上層部に5cm~10cmぐらいの水層を確保する。樹脂が緻密化するようにメスシリンダーを軽く振る。そして、湿式で交換カラムへ移す。樹脂層の上層部に5cm~10cmの水層を残し、樹脂層に気泡を残さない。再生処理の際、カラムを取り付ける工程はない、代わりに直接水を流し、樹脂カラムの中の反応物の動きを加速させる。そして、2BV、4%の水酸化ナトリウム溶液を2BV/hの流速かつ順方向でその交換カラムの中の樹脂に通過させる。1BVの反応物が吐き出されたら、再生溶離液を回収する。そして、脱イオン水でpH=9ぐらいまで洗浄し、再生が完了する。洗浄水は再生溶離液と混合できる。再生溶離液及び洗浄水と混合した溶離液のいずれもタウリンの母液にできる。後続の再処理により、加安分解のプロセスに戻す。
【0073】
実施例2
本実施例において、説明したいのはタウリン最終母液に対して、工程S5、S6のプロセスを行い、不純物の除去処理が完了したタウリン母液である。
【0074】
(1)タウリン母液の処理:タウリン母液1000mlをとり、その質量の体積に対する割合は10%であった(タウリンを基準とし、100mL溶液の中に10gのタウリンを含む)。15~25℃まで冷却し、活性炭1gを添加し、硫酸を添加し、pHを3~3.5に調整し、吸引濾過により母液950mlを得た。
【0075】
(2)上述の母液500mlをとり、0.25-2.5BV/h(その中の任意の値)の流速かつ順方向で樹脂カラムに通した。吐出口の最初の液体は樹脂層の水分であり、回収しなかった(pHを測ることで反応液の排出を判断できる。pHの変化が反応液の排出である)。反応液が排出されたら、計量及び回収を開始する。0.08BV~0.15BV(その中の任意の値)ごとに試料を採取し、pHを測定した。吐出口の反応液の指数が添加液の指数と基本的に一致した時(すなわちpHが近い)、添加を停止した。そして、脱イオン水で2BV/hの速度かつ順方向で反応液を流し、回収した。反応液が完全に吐き出されたら、2BV、4%の水酸化ナトリウム溶液を2BV/hの流速かつ順方向で樹脂層に通した。回収した反応物の総体積は約820mlであった。その主な成分はタウリン、イセチオン酸ナトリウムであった。検出されたタウリンの含有量は6%であり、イセチオン酸ナトリウムは7.3%であった。
【0076】
【0077】
実施例3
実施例2の中の処理後の母液に対して、アンモニア溶解を行い、工程S7で、回収再利用した。
【0078】
回収した母液のアンモニア反応処理:実施例2で回収した母液に液体アンモニアを含有量が15%~20%に達するまで添加し、濾過後、透明な溶液を得た。
【0079】
タウリンナトリウムの調製:水酸化ナトリウムが触媒として存在し、イセチオン酸ナトリウム溶液(本社製品)、アンモニアの反応処理後の母液及びアンモニアガスに対して、加安分解を行った。加安分解は220℃~280℃及び10Mpa~15Mpaで、1時間反応させた。反応完了後、フラッシュ蒸発でアンモニアガスを除去し、得られた母液がタウリンナトリウム溶液であった。
【0080】
計測によると、処理後の母液に硫酸塩はほぼ入っていなかった。
【0081】
実施例4
実施例2の中の処理前の母液に対して、アンモニア溶解を行い、工程S7で、リサイクルした。
【0082】
回収した母液のアンモニア溶解処理:実施例2で回収した原料(すなわち処理前の母液)に液体アンモニアを含有量が15%~20%になるまで添加し、濾過後、透明な溶液を得た。
【0083】
タウリンナトリウムの調製:水酸化ナトリウムを触媒として、イセチオン酸ナトリウム溶液(本社製品)、アンモニアの溶解処理後の母液及びアンモニアガスに対して、加安分解を行った。加安分解は220℃~280℃及び10Mpa~15Mpaで、1時間反応した。反応完了後、フラッシュ蒸発でアンモニアガスを除去し、得られた母液がタウリンナトリウム溶液であった。
【0084】
実施例5
二つの実施例及び対応する比較例を選び、母液回収の各条件下での、加安分解の条件及びその後、抽出したタウリン粗生成物の含有量を示す。
【0085】
以下の実施例のいずれも1.5molのイセチオン酸ナトリウムを用いた。そして、実施例3、4の方法でタウリンナトリウム溶液を調製した。得られたタウリンナトリウム溶液に対して、陽イオン交換樹脂で処理してタウリン溶液を得た。そして、タウリン溶液を濃縮し、冷却して結晶化によってタウリン粗生成物を得た。そして、タウリンの含有量を測定した。
【0086】
【0087】
その中で、加安分解の収率=換算された純粋なタウリンの質量÷(イセチオン酸ナトリウムの質量÷148×125)×100%
【0088】
この比較例によると、加安分解の中で、工程S5、S6で処理したタウリン最終母液を使って製造する際、タウリン粗生成物の中のタウリン含有量は92%以上に達した。
【0089】
実施例5の試験1及び試験2を比較すると、処理前の母液のリサイクルは加安分解の収率を向上させた。しかしながら、同時に、粗生成物の含有量が減少した。最終的に製品の品質に影響を及ぼした。以上のことにより、未処理の母液は一定の程度までしかリサイクルできない。これもエチレンオキシド法の中に、母液のリサイクル量がこれ以上に向上できない理由である。
【0090】
実施例5の試験1及び試験3、試験2及び試験4を比較すると、処理前及び処理後の母液リサイクル量は同じの条件の下で(換算された純粋なタウリンの質量が同じである)、加安分解の収率が明らかに向上する。同時に、粗生成物の含有量も増加する。これは、母液の不純物の除去について、処理後の方が徹底しており、加安分解の条件の下でも処理後の副反応が大幅に減少し、製品の品質も大幅に向上することを明確に示した。
【0091】
実施例5の中の試験1、2、3、4を包括的に比較すると、不純物の除去処理済みの母液は収率の向上、粗生成物の含有量の増加に対して、明確な効果があった。同時に処理後の母液の再利用はリサイクル量を明らかに向上させた。
【0092】
実施例6
本実施例において、説明したいのはタウリン最終母液に対して、工程S5、S6のプロセスを行い、不純物の除去処理が完了後のタウリン母液である。
【0093】
(1)タウリン母液の処理:タウリン母液1000mlをとり、その質量の体積に対する割合は10%であった。(タウリンを基準とし、100mL溶液の中に10gのタウリンを含む)15~25℃まで冷却し、活性炭1gを添加し、陽イオン交換樹脂処理を行い、pHを3~3.5に調整し、母液を950mlまで濃縮して減量した。
【0094】
(2)上述の母液500mlをとり、0.25BV/h~2.5BV/h(その中の任意の値)の流速かつ順方向で陰イオン交換樹脂カラムに通した。吐出口の最初の液体は樹脂層の水分であり、回収しなかった。(pHを測ることで反応液の排出を判断できる。pHの変化が反応液の排出である)反応液が排出されたら、計量及び回収を開始した。0.08BV~0.15BV(その中の任意の値)ごとに試料を採取し、pHを測定した。吐出口の反応液の指数が添加液の指数と基本的に一致した時(すなわちpHが近い)、添加を停止した。そして、脱イオン水で2BV/hの速度かつ順方向で反応液を流し、回収した。反応液が完全に吐き出されたら2BV、4%の水酸化ナトリウム溶液を2BV/hの流速かつ順方向で樹脂層に通した。回収した反応物の総体積は約820mlである。その主な成分はタウリン、イセチオン酸ナトリウムであった。検出されたタウリンの含有量は6.3%であり、イセチオン酸ナトリウムは7.5%であった。
【0095】
【0096】
実施例2及び実施例6の比較
処理前:タウリン:1000×10%=100g。
イセチオン酸ナトリウム:1000×12%=120g。
実施例2の処理後:タウリン950/500×820×6%=93.48g
イセチオン酸ナトリウム:950/500×820×7.3%=113.73g。
タウリン回収率=93.48/100×100%=93.48%
イセチオン酸ナトリウム回收率=113.73/120×100%=94.78%
実施例6の処理後:タウリン950/500×820×6.3%=98.15g
イセチオン酸ナトリウム:950/500×820×7.5%=116.85g。
タウリン回収率=98.15/100×100%=98.15%
イセチオン酸ナトリウム回収率=116.85/120×100%=97.38%
【0097】
【0098】
試験結果から、陽イオン交換樹脂を採用した処理方法は硫酸を採用した方法により、回収率がより高かった。同時に溶液の色もより淡かった。
【0099】
最後に説明したいのは、以上の実施例は単なる本発明の技術方法を説明するためである。発明に対する制限ではない。前述の実施例により、本発明を詳細に説明し、本分野の普通の技術員も理解できると思われるが、前述の各実施例に記載されている技術方法に対する改正、あるいは製造の反応条件の入れ替え、あるいはその中の一部の技術に対する同等の特徴の入れ替えが依然として可能である。そして、これらの改正及び入れ替えにより、関連の技術方法の実質が本発明における各実施例の技術方法の発想と範囲から外れることはない。